複雑・ファジー小説

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もしも俺が・・・・。『フィーダと那拓。』
日時: 2014/01/03 18:25
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)

   作者の今叫びたい一言  『ツイッター、始めました。>>205』 (By 作者)


   序章、あとがき+読者様へ一言!! >>114

   土下座で頼む、簡単アンケート!! >>115
   ↑アンケート円滑化のために、登場人物のリストを作りました!! >>123

   オリキャラ大募集中!!!(こちらをお読みください。) >>140



 【第一回 アンケート回答者リスト!! スペシャルサンクス!!】

・月葵様 →>>117
・るるこ様 →>>125
・檜原武甲様 →>>133
・李々様 →>>134
・八重様 →>>138
・エストレア様 →>>145


 【オリキャラリスト!! スペシャルサンクス!!】

・李々様 →>>141 『明蓮寺 美夜』 >>151 『古屋 朱李衣』
・95様 →>>142 『葉隠 空冴』 >>146 『鳳凰院 龍雅』
・エストレア様 →>>145 『キル・フロート』
・檜原武甲様 →>>147 『知名崎 宇検』
・月葵様 →>>148 『結風 遥』 >>156 『矛燕』 『ゼヘト』
・グレイ様 →>>152 『周邊 蓮華』
・八重様 →>>155 『雛姫 容子』
・るるこ様 →>>166 『王 莉紅』 『鳳広炎』









   クリックどうもありがとうございます。


  おはようございます、こんにちは、そしてこんばんわ。

  どうも初めまして。ご存知の方はお久しぶりです。

  私の名前はヒトデナシと申します。



 “自己紹介が終わったところで、この小説の注意点です。”


  1、荒らしの方々は回れ右して去ってください。

  2、読んでいただけるとすごくありがたいです。

  3、コメントをもらうと、作者は歓喜に満ち溢れます。




 “では次に、この小説はどんなものなのかを紹介いたします。”
    

  1、この小説の中心の視点は基本、主人公である俺(作者ではありません。)が中心です。

  2、この小説は、主人公が『もしもの世界』を体験したとき、どのように思うのか、またはどのように動くのかを描いたものです。

  3、基本、自由である。



  ————と言った感じでございます。



  では早速書いていきたいと思います。

  楽しんでいただけると幸いです。



  ・登場人物・・・主要人物 >>119
          黒川陣営 >>120
          リバース陣営 >>121
          DDD教団陣営 >>122


  ・イラスト広場(心優しい絵師様、常時募集中)・・・>>62

  ・用語説明・・・>>63




   コメントを下さった優しい読者様


 ・月葵様 
 ・八重様
 ・秘密箱様
 ・エストレア様
 ・小枝様
 ・るるこ様
 ・春野花様
 ・陽様
 ・修道士。様
 ・檜原武甲様
 ・李々様
 ・ちぇりお様
 ・95様
 ・グレイ様
 ・H様
 ・007様



    ———— 『もしも俺が・・・・。』目次 ————


【序章、日常編】 

  表紙→>>12 (八重様)
  挿絵→ 第1幕 >>20 (るるこ様)
      第6幕 >>89 (るるこ様)
      第15幕 >>125 (るるこ様)


   第1幕 『もしも俺が自己紹介をしたのなら……。』 >>1 >>7 >>8
   第2幕 『もしも俺が自分の世界を紹介するなら……。』 >>14 >>16 >>19
   第3幕 『もしも俺が風紀委員会を紹介したなら……。』 >>23 >>24 >>25
   第4幕 『もしも俺がドラえもんの世界に行ったなら……。』 >>31 >>32 >>35
   第5幕 『もしも俺がドラえもんの世界に行ったなら……続編。』 >>36 >>37 >>43
   第6幕 『もしも俺(様)が華麗に参上したなら……。』 >>46 >>50 >>51
   第7幕 『もしも俺がアンドロイドの世界に行ったのなら……。』 >>56 >>60 >>61
   第8幕 『もしも俺がアンドロイドの世界に行ったのなら……続編。』 >>64 >>65 >>66
   第9幕 『もしも俺(様)が異次元を渡るなら……。』 >>69 >>70 >>71
   第10幕 『もしも俺(様)がゾンビの世界に飛び込んだなら……。』 >>76 >>77 >>82
   第11幕 『もしも俺(様)がゾンビの世界に飛び込んだなら……続編。』 >>83 >>84 >>85
   第12幕 『もしも俺が休日を過ごすのならば……。』 >>88 >>93 >>96
   第13幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……前編。』 >>101 >>102 >>103
   第14幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……後編。』 >>106 >>107 >>108
   第15幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……終編。』 >>111 >>112 >>113

   あとがき、そしてコメントを下さった方々に感謝の言葉を!! >>114


【第2章、闇人(やみびと)と天使編】

  プロローグ >>124


   第16幕 『もしも俺が日常を過ごしたのなら……。』 >>128 >>131 >>132

   第17幕 『もしも俺がこれまでの事をまとめたなら……。』 >>136 >>159 >>160

   第18幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……。』 >>163 >>164 >>165

   第19幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……2。』 >>170 >>171 >>176

   第20幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……3。』 >>181 >>185 >>186

   第21幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……4。』 >>189 >>190 >>194

   第22幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……5。』 >>198 >>201 >>204

   第23幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……。』 >>206 >>209 >>210

   第24幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……2。』 >>211 >>215 >>216

   第25幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……3。』 >>217




    ------------ サブストーリー -------------


  『交差する二人』・・・>>29 >>30 
  (300参照突破記念。黒川と水島の知られざる出会いの物語。)

  『彼ら彼女らのクリスマス』・・・>>54 >>55
  (600参照突破記念。元地山中学生の奇妙なクリスマスの物語。)

  『物語崩壊、カオスなお祭り騒ぎ。』・・・>>72 >>73
  (1000参照突破記念。あまりにもカオスすぎた。お祭り過ぎた。黒歴史とか言わないで。)

  『たった一つのバレンタインチョコ。』・・・>>86 >>87
  (1300参照突破記念。遅くなりましたがバレンタインネタ。元地山中学に甘い展開!?ww)

  『風紀委員会の日常日記。』・・・>>104 >>105
  (1500参照突破記念。風紀委員会で極秘に行われる秘密の日記が明らかに!?)

  『The Time Start Of ティアナ。』・・・>>109 >>110
  (1800参照突破記念。霧島とティアナ、そしてあのゼロの復活の物語……?)

  『物語崩壊、カオスなお祭り騒ぎ2。』・・・>>127
  (2000参照突破、日常編完結記念。もし俺メンバーのカオスな物語。
  注意、この物語は18歳未満には刺激の強いちょっとした深夜族成分が含まれています。
  お読みの際はにやけるお顔に気を付けて、一文一文丁寧にお読みください。By ヒトデナシ。)

  『黒水SS By 火矢 八重様』・・・>>158
  (トップレベルの作者様、火矢 八重様の執筆した黒水SS。
  よく読んでくださる彼女でこそ書くことが出来る、レベルの高いSSですw 
  黒水SSは全ての読者様のモノ。皆様適当に妄想しちゃってくださいw
  なお、もしも黒水SSを考えちゃった♪という神様がいるなら、
  ぜひともこちらに投稿してくださればなと思いますw 私も読みたいですしねwww)

  『花狩椿と銀色のいばら道』・・・>>168 >>169
  (2500参照突破記念。花狩先生の少年時代の過去。
  劣等感を胸に秘めた彼の前に現れた、ある人との出会いとは……?)




------------名誉、歴史--------------


・11月25日、『もしも俺が・・・・。』投稿。
・11月29日、100参照突破!! (ありがとうございます!!)
・12月02日、200参照突破!! (皆様の応援に感謝しております!!)
・12月06日、300参照突破!! (3は私の好きな数字です。とにかく感謝です!!)
・12月13日、400参照突破!! (嬉しい限りでございます。執筆ファイト!!)
・12月21日、500参照突破!! (500ですか!! 1000まで半分を切りました!!)
・12月24日、600参照突破!! (メリークリスマス!!)
・12月31日、700参照突破!! (2012年最後の日!!)
・01月05日、800参照突破!! (2013年、始まりました!!)
・02月12日、900参照突破!! (復活しました!! 皆様のためにも頑張ります!!)
・02月13日、1000参照突破!! (明日はバレンタインですか。皆様の応援に感謝!!)
・02月15日、1100参照突破!! (1000という大台を突破できてうれしいです!!)
・02月17日、1200参照突破!! (本編も10幕を突破。これからもバンバン書いていきますw)
・02月18日、1300参照突破!! (スリラーナーイト!! ……申し訳ない、深夜の悪乗りですw)
・02月21日、1400参照突破!! (もうすぐ1500!! 大感謝です!!)
・02月25日、1500参照突破!! (きたあああ!!! 1500参照ついに突破!!)
・02月27日、1600参照突破!! (おおぉぉ!! 応援に大変感謝です!!)
・03月01日、1700参照突破!! (ついに3月ですね!!)
・03月03日、1800参照突破!! (ありがとうございます!! ありがとうございます!!)
・03月06日、1900参照突破!! (もうすぐ2000ですね!! 頑張ります!!)
・03月09日、2000参照突破!! (2000参照突破しました!! 歓喜です!! 最高です!!)
・03月11日、2100参照突破!! (3000目指して頑張ります!!)
・03月11日、序章完結!! (始めの物語、無事に書き終えることが出来ました!! サンクス!!)

・03月18日、第2章、始まり!! (実はというと、サブタイトルに結構悩みましたwww)
・03月18日、2200参照突破!! (第2章も頑張ります!!)
・03月20日、2300参照突破!! (第2章、本格的にスタートです!!)
・03月26日、2400参照突破!! (もうすぐ2500ですね!! 頑張りますね!!)
・03月28日、2500参照突破!! (2500参照突破しました!! 3000目指して頑張ります!!)
・03月30日、2600参照突破!! (たくさんのオリキャラをありがとうございます!!)
・03月31日、2700参照突破!! (なんという快挙!! ありがとうございます!!)
・04月02日、2800参照突破!! (4月になりましたね!!)
・04月06日、2900参照突破!! (もうすぐ3000かぁ……。行けるといいなぁ。)
・04月14日、3000参照突破!! (うわぁぁああ!! 3000です!! 3000なんです!!!)
・05月01日、3100参照突破!! (長期休暇を頂きました!! 本日からまた執筆頑張ります!!)
・09月02日、4600参照突破!! (久々の執筆なので腕が鈍りまくりですねw)
・09月04日、4700参照突破!! (5000までもうすぐですね。頑張ります。)
・09月06日、4800参照突破!! (9月と言えば作者はもうすぐ誕生日とやらを迎えるわけですか。)
・09月09日、4900参照突破!! (もうすぐ5000ですね。頑張りますね。)
・09月12日、5000参照突破!! (5000です!! ありがとうございます。)
・09月14日、5100参照突破!! (私の誕生日です。ありがとうございます。)
・09月23日、5200参照突破!! (最近私の家族にPCを占拠される事が多くなりました。)
・11月18日、5300、5400参照突破!! (ここを建設して約一年になります。)

Re: もしも俺が・・・・。『魔法編完結。』 ( No.208 )
日時: 2013/09/15 19:37
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
参照: https://twitter.com/hitodenasi1206


今日は雨が凄いですね。見事にびしょ濡れで帰宅しましたw


 "エストレア様"

ご愛読ありがとうございます。ついに完結いたしました。
すんごく長くなりましたね、ええ。今までで一番長くなりましたw

深々と感想をありがとうございます。では私もそのお返しを……。

この回で一番悩んだところは、どのようにしてルエちゃんの暴走を止めようかという点でしたね。
エスト様は旧もし俺を読んでくださっていますからご存じだともいますが、旧作の魔法編はは水島ちゃんがかなり頑張っていました。
しかし、これで今回もこれだとインパクトに欠けるなと思い、キル君に先陣切ってもらいました。
やはりルエの事をよく分かっているのは間近にいるキルではないか、という結論に達しましたので。

そしてルエちゃんの事を私自身の物語の中で描いてみました。
無論、エスト様の思い描くルエちゃんと私のルエちゃんでは全く人物像が違うはずです。
これはお互いが違う作者であり、思い入れが違うが故の事です。

エスト様には酷な話ですが、私がルエの過去を描いていた時に一番描きたかったのは、ルエの憎悪や悲しみでした。
もちろん、幸せハッピーに描ければそれに越したことはありませんが、人間とは簡単にはいきません。
我々一人一人を見ても必ず闇はあるはずです。それは誰もがご存知です。
そしてルエちゃんには、その闇の中心が『憎悪』になるように書かせていただきました。簡単に言えば復習者。
だからルエちゃんは強くなろうとするのです。だけどそれを簡単に覆され、挫折する。
人間が誰しもある挫折という辛い描写も、悩み、諦めて死を受け入れる
という描写も私にとっては心痛い執筆でした。


キルとの会話が、本音をぶつけることが出来た瞬間だったと思います、これは私も同意見ですね。
きっとこんなつらい経験をしたのなら、簡単に心を開くのは難しいと思います。
ですが、みんな一緒なのです。自分だけではないのです。
たとえ経験の一つ一つは違うものだとしたって、苦しみには変わりないのですから。
そういう複雑な心は人間持っていて当たり前です。だから心開く事を恐れることはないと私も思います。
誰かを頼りにすること。それは弱さでもなく負けでもない。戦略的撤退というやつです。


懐かしいですね。自分の書いた『いのち〜』の事をふと思い出しました。
どうも死に関したことになると途端に真面目に語ってしまうのは私の良い事なのか悪い事なのか。
でも言える事は、やはり命は伝えるものなんですよね。
適当に投げ捨てていいモノではないんですね。生きて、生かされている以上は。

私も久々ですかね。ここまで長く書いたのはw 長文失礼しました。

最後は良い感じで締めさせていただきました。とはいえ、戦いはまだまだ続きますがねw
コメントありがとうございます。執筆の方頑張らせていただきますね。

Re: もしも俺が・・・・。『魔法編完結。』 ( No.209 )
日時: 2013/09/17 20:48
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
参照: https://twitter.com/hitodenasi1206




         「パート2。」



 空は快晴。見渡す限りは風が何の障害もなく通り抜けるほど見通しの良い景色。
 所々にポツンと立つ木が風によってざわざわと騒ぎ、木の葉が揺れ動いて落ちる。
 鳥の鳴き声がまるでBGMの様に聞こえ、琥珀色の髪にパイナップルヘアーをした少年は息をのんだ。

 自分の目の前には見たことのある様な生物がいっぱいいる。
 例えば全身青色のプルンとした触り心地のしそうな立体的な三角形みたいな生物。
 コウモリの様だけど愛らしい顔立ちをしており、洞窟とかによくいそうな生物。
 ドシンドシンと歩く度に地響きを鳴らす薄いオレンジのレンガで作られた古代人形。

 間違いない、と琥珀色の髪のパイナップルヘアーの『瓦 源次』は思った。

 自分達は今回、異次元のゆがみをこじ開けてこのもしもの世界に来た。
 この異次元のゆがみが世界の異変を表し、事件の前兆を表すものなので、
 異次元のゆがみの先の世界の調査をしてそこにいる異端者、DDD教団の野望を探る。
 つまりDDD教団がもしもの世界を破壊しようとしているのを止めようとそういうわけだ。

 そして今回、異次元のゆがみをこじ開けて来た世界は世界的にも有名な世界。
 名前だけなら知らぬ人の方が少ないのかもしれない。そこは————




  「————ドラゴンクエストの世界、ねぇ……」



 そう、そこはドラクエというRPGゲームの王道とも言われている有名な世界だった。
 私達の親父辺りの時代ではあまりにも人気過ぎて社会現象になった事もあるという。
 仕事を休んでまでドラクエを買いに行くのは一体どんな世の中だったのか。

 そんな世界に現在来ているのは、『柿原 召』、『賀茂 紫苑』、そして源次の三人だ。
 紫苑の占いが正しければ、ここには危険が迫っているという事になる。
 とはいえ、こんな有名どころのRPGにさえ危険が迫っているとは一体どういう事なのか。



  「どう見ても平和そうに見えるのは俺だけかー?」


 脱力した姿勢でやる気のなさそうに声を出したのは柿原だった。
 確かにもっと殺伐としててもいいというのに、あまりにも和やかで平和すぎる。
 この辺でピクニック出来るほど良い天気で良い眺めで良い風だ。
 その和やかすぎるせいなのか、紫苑はすでに緊張感の欠片もない。
 その辺にいる青い三角形軟体生物を追い回しては捕まえ、その触り心地を確かめている。

 その青い三角形軟体生物の正体は、ドラクエでは一番有名な『スライム』という魔物だ。
 序盤で出てくる魔物で経験値は1。素手でも勝てるという最弱の魔物だ。
 そんな最弱の魔物を紫苑は我が物顔でおもちゃにして遊んでいる。

 ……おーいお嬢ちゃん、スライムを駒の如く回してあげないで。角らしきものが取れちゃう。



  「さぁて……このグダグダな展開はどうしたものかねぇ。」



 何も起きてる様には思えないこの世界でやる事がはたして本当にあるのか。
 本当にこのまま魔物達と遊んでいるだけの無駄な時間になってしまうのではと危惧し始めた。


 ……そんな時、源次に一匹のスライムが近づいてくる。

 ポヨンポヨンと可愛らしい効果音を鳴らし、自分に近づいてくる。
 愛らしい顔立ちをしていて、時々フルフルと揺れている。
 この仕草を見れば世の女性は「可愛い」と言ってもてはやす事だろう。
 しかし男代表、瓦源次は違う。そんな仕草を見た所でおちょくってるのか、としか思わない。
 むしろ女性に甘えようと計算しているあざとい行動にさえ思えてくるのだ。……許せん。

 世の男性は変な行動(意味深)を取るだけで警察に捕まってしまうというのに、
 このスライムは変な行動(意味不明)をやりたい放題なのだ。そんなのは差別だ。
 フルフル揺らして許されるのは、女性のお尻と大きいお胸でこの世界は十分なのだ。

 源次はニヤリと笑った。彼の内面では日頃のどす黒い何かがふつふつと燃え上がっている。



  「……せっかくドラクエの世界に来たというのに、何もしないのは気が引ける、ねぇ?」



 源次はもう一度、ニヤリと笑いかけた。スライムに向かって。その顔は笑ってるようで笑ってない。
 源次の手には小太刀が一本握られている。この世界には経験値というモノが存在するはず。
 もしスライムを倒せばレベルアップできるのだろうか? レベルアップは重要なお仕事だ。

 これは必要な事なのだ。RPGでボスを倒すのに必要なのだ。(彼はこの世界の人ではありません。)



  「心配ないさスライム君。おたくの犠牲は俺様の中で一生生き続けるのだから……。」


 顔がヤンデレ気味になっている源次は他の人から見れば危ない人だろう。
 その証拠にたまたま視線をそちらに向けた柿原が苦笑いしている。止めようともしないが。
 源次の小太刀がキラリと光った。ああ、あれで八つ裂きにする気かと柿原は呆れていた。


 そして源次の小太刀がスライムに大きく振り上げた瞬間————




  「————スラッッ!!!!」



 スライムは閃光の如く小さな身体を瞬時に動かし、
 源次の腹部に向かって渾身の体当たりをブチかました。ドゴッていう鈍い音がした。



  「ゴフッ!!」


 源次はたまらず小太刀を落とし、両手で腹部を押さえてうずくまった。
 うーんうーんと悶絶している。お前は妊婦かと柿原は突っ込みたくなった。


 後の源次の証言によると、

 【あれはドラゴンボールでいう孫悟空のひじ打ちを腹部に受けたリクームの様な気持ちだった。】

 と、証言している。元ネタが分かる人がどれ程少ないだろうかと柿原は心配だったが。
 そんな源次をまるで愚民を見るような目で見るスライム。……こいつ本当にスライムか?

 あの愛らしい顔とやらはどこへ飛んで行ったのか。そしてついには、



  「きたねぇ手で僕に触るなズラッ!! 下等な変態親父ズラッ!!」


 なんという幻聴まで聞こえてきた。これには柿原は開いた口が塞がらない。
 けど何故だろう。変態親父という点にはこのスライムに激しく同意したい。


 後の源次の証言によると、

 【あれはツンデレだった。】


 と、証言している。柿原が頭を抱えるのには十分なぐらい、源次はバカだった……————。


Re: もしも俺が・・・・。『ドラクエの世界。』 ( No.210 )
日時: 2013/09/23 20:10
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
参照: https://twitter.com/hitodenasi1206




         「パート3。」




  「————で、なんでおたく喋れるのよ?」


 喋るスライムの渾身の一撃を食らって若干フラフラの源次は聞きたい事を質問してみた。
 あの後異変に気付いた紫苑も源次の元に来て、源次の様子を見る度腹を抱えて笑っていた。
 そして現在は一本の大きな木の下で三人+一匹が集まり、小会議を開いている。

 その問題のスライムはというと、紫苑の膝にチョコンと乗っている。代われこの野郎と内心は思っている。


  「喋れるなんて凄いねぇ!! ねぇねぇ召クン、飼おうよ飼おうよー。あ、ボクは紫苑ね。」

  「僕の名前はスラリン。よろしくズラ、紫苑。」

  「……ってすんなり飼われること前提にしてんじゃねぇ!!」

  「…………俺ちんの質問無視っすか?」


 ギャアギャアと各々が喋ると話が進まないしキリがない。
 源次はゴホンゴホンと咳払いを二回ほどしてもう一度同じ質問をぶつける。


  「じゃあスラリン君。おたくが喋れる理由は答えてくれるかな?」


 出来るだけ源次は事をすんなりと進めるために優しく聞いたつもりだったが、
 スラリンは明らかに一瞥して愚民を見る様な目つきで源次を見た後、


  「……よほどの田舎もんズラね。そんな事も知らないズラか?」


 フン、と鼻で笑った日にはそれはもう、源次の脳内でビキッと何かのリミッターが外れた。
 人外の最弱の雑魚に鼻で笑われる日がこようとは思わなんだ。(注、源次は負けました。)
 ワナワナと燃え上がる何かをとりあえず押さえつけ、今は冷静に、冷静になる。
 ここで暴れたら話は続かない。落ち着くんだ源次。


  「……そ……そんなに……有名な情報で……?」


 フルフルとさっきのスライムの様に怒りを振るわす源次。だが今は我慢……


  「当たり前ズラ。常識ズラ。このバーカ。」

  「……よぉし分かった。そこに立て。この俺様が三枚に下ろして痛みを感じずに屠ってやらぁ!!!」

  「…………おーい、落ち着けー源次—。」


 ついに火山が噴火したかのように激怒する源次を必死に後ろから止める柿原。

 なんやかんやと取っ組み合いをしている間にスライムが、
 さっきと同じように源次の腹部にボディタックルを食らわせて静かになった。
 こいつ妙に強くね? そう思わざるを得ない程最弱に似つかわしくない強さ。


  「……すまねぇけど、俺達この世界についてよくしらねぇんだ。教えてくれよ」


 柿原は静かになった源次をほおっておいてスライムに頼む。
 今も源次は悶えている。本気で痛がっている。二回目だから当然だろう。



  「別にそんな大した話じゃないズラ。この世界にいる『魔女』のせいズラ。」

  「魔女……?」

  「おジャ魔女ドレミ……?」

  「古いから、紫苑」


 紫苑のボケを軽くスル—しながらもスラリンの言った事を聞き逃しはしなかった。

 『魔女』。確かに聞いたその響きは、なぜか非常に危険な雰囲気の様な気がした。


  「その『魔女』とやらが、お前を喋れるようにしたのか?」


 柿原の質問にスラリンは少し間を空けてゆっくりと頷いた。何かありそうな反応だ。


  「……実験と言っていたズラ。喋る機能も、力を与える機能も。」

  「実験……。」


 そんな言葉をどこかで聞いたことがあった気がする。柿原は脳を活性化させる。
 そうだ、黒川が確かそんな事を言っていた気がする。名前は、セルダークだったか。
 ジョジョの奇妙な冒険で出会ったセルダークがそんな事を言っていたと報告を受けていた。

 ってことは、奴の仲間である可能性は大だ。つまり……DDD教団。
 ここで話が繋がった。ここには確かに、DDD教団が『いる』。
 そして何かを企んでいる。それは確かだ。破壊のための何かを……。


  「……スラリン、その『魔女』の居場所は分かるか? 俺達はそいつに会いたい。」

  「『魔女』に会うのは止めた方がいいズラ。殺されるズラ……。」


 スラリンは明らかに戸惑った顔だった。そして恐怖が滲む表情だった。
 きっとこいつらは被害にあった魔物達なのだろう。実験のために利用された。
 それも脅迫に屈して従った様に見える。でないとこんな顔は出来ない。
 だとしたら、これ以上この世界が荒らされない様にその『魔女』を追い出さなければならない。


  「大丈夫だよー!! ボク達強いからぁー。」


 そこで紫苑が割って入る様に声を上げた。それでもスラリンの表情は硬い。


  「紫苑……でも危ないズラ……」

  「ノンノン。今時の戦う女の子は強いんだよぉ!!」

  「……」


 紫苑は膝に乗っているスライムを優しく撫でて笑顔で言う。
 徐々にスラリンの固まった表情がほぐれる様に変化していった。
 その仕草は無意識にスライムの恐怖や心配を取り除いているように見えた。

 紫苑のこの才能はある意味天性の才と言ってもいいかもしれない。


  「……分かったズラ!! こっちに来てほしいズラ!!」

  「わーい、ありがとうスラリーン!!」


 紫苑はスラリンを両手で持って万歳をした。クルクルと木の回りを駆けだしながら。
 話の決着がついたところでタイミングよく源次が起き上がってきた。どうやら回復したらしい。
 その表情はなぜか穏やかだった。安堵の表情にも見えたが。



  「……話、ついたみたいねぇ。助かったよ少年。」

  「なんだ、まさかわざと会話に入ってこなかったのかよ?」

  「臨機応変、こういう説得は少年とお嬢さんの方が事が運ぶのよ。」

  「……分かってるような口ぶりで言いやがって」


 源次は普段へらへらとしているがこういう時の空気の読みは鋭い。
 時たまに見せる『別の顔』もあって、この男は本当に謎である。頼もしい時もあるが。

 源次はパチンと両手を合わせて鳴らす。それが全員の視線を集める。



  「さて、じゃあ参りましょうかねぇ。『魔女』のところへ————」



 と、そこで源次は言葉を切り、『別の顔』を見せる……。

 そう、戦いのときに見せる殺気にも似た鋭い顔。そして、





  「————どなたか存じませんが、プライバシーの侵害ですよっといッ!!」



 源次は左手に瞬時に弓を召喚させ、即座に後ろに旋回して右手で弦を引く。
 それを放しはしないが、その矢は確かに『対象』を捉えていた。

 約50m先、こことは別の一本の木の下に二つの人影がこちらを見据えている。
 二つの影はばれたと分かったのか、50m先で意外にも両手を上げた。そしてこちらに向かって来る。
 あっさりと降伏を認めたので呆気ないと柿原は思ったが、見透かしたように源次は言った。


  「一応、警戒しといてねぇ少年。何されるか分かんないから」

  「いや、見た感じは降伏してるぜ?」

  「だから一応と言ったでしょ。なんせ……」


 源次は未だ矢を放つ警戒を解くことなく、ナイフのような鋭い声でこう言った……。




  「……俺様達、今さっき心を読まれたからねぇ————。」





      ————————第23幕 完————————

Re: もしも俺が・・・・。『スラリン。』 ( No.211 )
日時: 2013/11/18 19:24
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)

    ————第24幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……2。』————


           「パート1。」



 両手を上げて近づいてくる二つの人影を太陽が晴らす様に照らした。
 さっきまでは遠すぎてはっきりとは見えなかったが、自分達の前まで来てようやく全身を拝めた。

 まず一人目を見た感想は、どこか大人の様な静かな色気を感じる女性だなと思った。
 スミレ色の髪で短髪。瞳も紫。腰に細身の刀を所持。鎖かたびらを纏い、軽めの鎧を装備している。
 まるで神の使いである女剣士といった感じだろうか。一言でいうなら凛々しい。

 そしてもう一人は対して、不審者の様に怪しい服装の男性だった。
 黒髪短髪で、少々ボサボサの髪型。瞳も黒。赤いバンダナを首に巻いていた。
 黒一色の服に黒のフード付きマントをはおっていたため、余計に怪しい。
 だが隣の女性と同じように細身の長剣を腰にさしており、彼も剣士なのだろうと思った。
 源次は相変わらず弓を構えたままだ。妙に用心深いのはさっきも言っていたことが引っかかっているのだろう。


 『俺様達、今さっき心を読まれたからねぇ……。』


 確かに源次はこう言っていた。これは一体どういうことなのだろうか。
 心を読まれたというのは、つまりさっきの会話や柿原達の考えを見透かされていたという事だろう。
 この人達がもしも『魔女』の手先やらだとしたら、情報が漏れたという事になる。

 それは確かに一大事になる。ここは慎重にならなければ————



  「あー、安心してくれ。俺ら『魔女』の手下とかじゃねぇから」

  「————ッ!?」


 両手を上にあげている状態で気だるそうに怪しげな男性は言った。
 柿原は無意識に構えていた。今、確実に『心を読まれた』。
 でなければ、ここでこんなにピンポイントに当てられるはずなどない。


  「……可笑しな少年だねぇ。そんな『チート能力』搭載なんてさ」

  「あ、やっぱり君は気づいてるんだ? HAHAHA。」


 男性は口を大きく開け源次に盛大に笑って見せた。緊張感の欠片もなさそうだ。


  「おっしゃる通りですわ〜。俺は心を読めんの。」

  「……それで、俺様達を『魔女』の代わりに倒しにでも来たのかい?」

  「はは、それは君の心が一番分かってらっしゃるんじゃない?」

  「……揺さぶりも冗談も心が読まれちゃ意味がないっつう事がよぉく分かったよ。」


 源次は観念したように弓を下ろした。柿原はおいおい、と思わず声を漏らした。


  「良いのかよ? 何も聞いてないし、疑いに関して何も解決してねぇじゃねぇかー」

  「解決しましたよ。こやつらは敵じゃなさそうだねぇ。」

  「なんで分かんだよ?」


 柿原が二人に疑いの目を向けつつ源次に聞く。源次は両手を軽く広げ説明を始める。



  「まず始めに、本当にこやつらが『魔女』の手下なら、俺ちん達は早い段階で奇襲を受けてるよい。」

  「なぜだよ?」

  「俺ちん達が『魔女』を狙ってると分かった時点で、奇襲のタイミングはいくらでもあったでしょ。」

  「だからといって、奇襲が成功するとは限らないはずだ。油断させて近づいて攻撃する可能性もあるだろ」

  「それなら今この時点で近づいた瞬間に起こってるはずでさぁ。
   そしてなお、俺ちん達にいらぬ情報まで与えてくれたじゃない。心が読めるってね。敵だとするならお人好し過ぎるね」

  「それはお前が見抜いたからだろ。だから観念したんだろ?」

  「さて、俺ちんはそれを一回でも大っぴらに口外したかねぇ? 少年にしか告げてなかったはずだがね。
   そしてかつ、俺ちんは『チート能力』としか言ってないのに、やっこさんにはそれが手に取る様に分かっていた。」

  「……。」

  「と、まぁこういうわけだ。ようするに、本当に敵さんならもっと賢くやる方法があっただろうと言いたいのよ。」



 柿原もついに観念した。ここまで言われては反論の余地も可能性もなさそうだ。
 とはいえ、この数分でここまでの考えをまとめて結論を出したというのだろうか。
 毎度一度はかならずこいつに驚かされることがあるなと柿原は思った。


  「ねぇねぇー、心読めるって事は、ボクが今何を考えてるか分かるってことー?」

  「……ここに余ったパンがあるから食っていいぞ」

  「わーい、ありがとー。」


 今の紫苑が考えてたことぐらいなら俺にだって分かる。腹が減ったから食べ物をくれ、だ。
 というか紫苑はすでにこの怪しい男に対して適応し始めていた。

 とはいえ、さっきから一言も喋ろうとしない隣の女性は何者なのか。
 何か妙にただならぬ雰囲気を出している。……あれ、怒ってる?


  「あ、そういや自己紹介まだじゃん。俺は那拓。んで、」


 那拓と名乗った心を読める青年と、チラリと視線が集まったので早々に、


  「……フィーダってんだ。よろしく。」


 と、短く告げた。案外男勝りな喋り方だった。もっと清楚な感じに見えたのだが。
 そのぶっきらぼうな自己紹介に紫苑が首を傾げていると、那拓が意図を読み取ったようで、


  「ああ、気にすんなよ。こいつ早く『魔女』をぶっ殺したいだけなんだよ。だから————」

  「余計な事を言うんじゃねぇ那拓!!」


 心を読み取ったらしく、そのまま那拓が読みあげたらフィーダと名乗る女性は憤怒した。
 やっぱり口調は男勝りで見た目とは違ってギャップが凄い。


  「なんだよぉ、イラつくなって。『急がば廻れ』って言うだろ? うは、俺天才!?」

  「字違うだろうがッ!! 小学生以下か!! 幼稚園からやり直せバカ那拓!!」


 さっきまで大人しかったフィーダが今は那拓を叱咤する程騒がしくなった。
 まるで痴話喧嘩でも見ているみたいだ。いや、子供の喧嘩の方が近いだろうか。

 そんな微笑ましい光景をいつまでも見ていてもいいが、あいにく時間がないため、


  「ご両人、喧嘩は後後。俺ちん達の自己紹介もしておくわ。」


 源次が自分の自己紹介から始めようとしたのだが、


  「ああ、心配スンナ。知ってる知ってる。源次に召に紫苑だろ? 後スラリン? ま、仲良くしようぜ」


 フィーダと取っ組み合いをしながらそう告げた。そういえば心を読めるのだから当然か。

 とはいえ、さっそく話を始めたい。さっきも言ったが源次達にはきちんとタイムリミットがある————。

Re: もしも俺が・・・・。『フィーダと那拓。』 ( No.212 )
日時: 2013/11/19 16:08
名前: 月葵 ◆7a0DWnSAWk (ID: LqhJqVk8)

お久しぶりです!
壁からひっそりこんにちは〜。当然忘れ去られたはずの月葵ですー

ついに出ましたね、「迷」コンビ!←
す、既に、わ……笑いが止まらないです……ww

今後も更新楽しみにしていますね!
ではでは!


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