コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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ナメコとワカメのふらいあうぇいっ
日時: 2014/06/14 23:31
名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)

*ああ



 なんて美しくて



 





——————哀しいんだろう。





前作『浅葱の夢見し』>>188


〜目次〜

一章
>>008  >>017  >>021  >>031  >>040  >>043 


二章
>>051   >>052   >>053   >>054   >>059   >>072   >>079

>>084   >>091   >>094   >>095   >>100   >>104   >>105

>>106   >>109   >>110


三章
>>117   >>118   >>122  >>123  >>127  >>132  >>135  >>143


4章
>>163  >>164  >>172  >>182  >>189  >>193  >>200  >>201

>>205  >>209  >>210  >>215


5章
>>225  >>229  >>233  >>240  >>241  >>244  >>245

>>249  >>253  >>261






記憶の欠片

>>050   >>060   >>116


登場人物紹介
>>044  >>124



制服紹介

>>151



白夜さんインタビュー

>>221


〜イラスト〜

撫子の制服姿

>>157

そこに慧と和火

>>190

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Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.105 )
日時: 2014/02/26 14:01
名前: いろはうた (ID: 6Bgu9cRk)

*気づけば、撫子たちは見知らぬ鳥居の前に座り込んでいた。

『転送』に成功したようだ。

この鳥居の先は神社なのだろうかと、朱色のそれを見上げる。

あたりに人の気配はない。

先ほどの青年、白夜はうまくまけたようだ。

ぜいぜいと耳障りな自分の呼吸音がその場に響く。

学校の体育の授業でシャトルランを限界まで走り切った時のような状態だ。

体はだるく、視界はぐらぐら揺れる。

もともち残り少なかった霊力をほとんど使い切ってしまったことを知る。

ぽたぽたと額から汗が落ちてむき出しの地面に吸い込まれた。

本当に白夜がついてきていないかを確かめると、撫子は和火の顔をのぞきこんだ。


「和火…、和火…立てそう……?」

返事はないが、彼は無言で体に力を入れてふらふらと立ち上がろうとする。

撫子は、彼の体を支えながら、ゆっくり立ち上がった。

鳥居の向こうに行ってみよう。

人が住んでいるに違いない。



「——————鬼ごと(鬼ごっこ)は、これで終わり…?」



今、聞こえるはずのない声に撫子は愕然と目を見開いた。

信じられない思いで振り返ると、そこには何もなかったかのように立つ白夜の姿があった。

だが、彼の後ろには、先程のように、お付の者達の姿はない。


「なん、で……」

「特殊な結界転送術を、お付の者に使わせた。

 驚いてはならぬよ、巫女姫。

 瞬身が使えるのは君だけだと驕(おご)ってはならぬ」


そういうと彼は、笑みを浮かべた。


「それにしても、『貴女』の力は少しも衰えていない。

 今のでそれがよくわかったよ。

 血と力は脈々と受け継がれている。

 よきことだ。

 しかし、君には私を拒むことは許されぬ。

 『貴女』は目覚めなければならぬのだから」


撫子の足は、反射的に鳥居の向こうへ駈け出そうとしたが、すんでのところで理性がそれを抑えた。

鳥居の向こうに住んでいるであろう人々を、このよくわからないことに巻き込んではならない。


「ああ。

 それともその少年が『貴女』を縛る鎖となっている…?

 ……ならば……殺(あや)めてしまおうか」

「!!」


一歩、また一歩、白夜が近づいてくる。

撫子はめまぐるしく考えた。

どうしよう。

どうすればいい?

何の言霊を『話せ』ばいい?

霊力は残り少ない。

どうすれば、何をすれば、何を『話せ』ば、和火を助けられる…?

白夜が伸ばしてきた手の影が撫子の顔にかかった。

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.106 )
日時: 2014/02/26 14:41
名前: いろはうた (ID: 6Bgu9cRk)

*「——————動くな」




聞き慣れない、少しハスキーな声が聞こえた。

白夜は動きを止めた。


「動けば、てめえののどをつぶす」



よく見れば、白夜の首には、何者かによって短刀がつきつけられていた。

今の声はその何者かが発したようだ。

白夜は紅い瞳のみを、そちらに向けた。


「久しいね、獣の一族の者よ。

 しかし、今は刀をひいてはくれまいか。

 私の長年の夢が、ちょうど今、叶いそうだから」

「黙れ。

 他人(ひと)の領域の前で、ぎゃあぎゃあやってんじゃねえよ。

 とっとと自分の領域に戻れ」


短刀をつきつけているのは、獣のような金の瞳をもつ若者だった。

撫子はただ、呆然としていた。

何故、あの若者が白夜を止めてくれたのかがわからない。

彼は鳥居の向こうの住人だろうか。

とりあえず、撫子は和火の体を自分より後ろに座らせると、自分は彼をかばうように前に立った。


「私は、今日はあまり荒事をしたくはなかったのだけれどね…」


白夜は、ふうっと息を吐いた。

その唇が深い三日月の形に刻まれる。





「ああ…まこと——————わずらわしきこと」




白夜は、短刀をつきつけている若者の手をすばやくひねりあげると、その腹に一発重い蹴りをくらわせた。

蹴飛ばされた若者は地に足をついて、ズザザッと後退した。


「…っ、てめえ…」

「動けぬだろう…?

 腹に術を施した。

 しばらくはしびれて動けぬよ。

 そこで見ているといい」


白夜がこちらを振り返った。

その血のように紅い瞳と目があう。

体中によくわからない震えが走った。

その時、腕を強く掴まれて、ぐいっと後ろに引っ張られた。

熱い手。

和火だ。

背に冷たいものが走る。

彼の瞳が淡い緑に輝いているのが見えた。

ズキン、と強く頭が痛む。

その手に握られているのは、あの刀だ。


「…こいつに…触るな…」


抜身の刃のような声。

和火が和火でないような感覚。

ダメ。

抜かないで。

その刀を抜かないで。

そう言いたいのに、唇は凍ったように動かない。



Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.107 )
日時: 2014/02/26 16:54
名前: ZEXAL (ID: EcIJT88K)

 ぎゃあああなんちゅー展開だよ!?
 今すっごくテンション上がりまくり中なんだけど!!


 知らない人が助けてくれるかと思ったら駄目だった…。
 そしてそして…白夜がすっごくシキ様と重なるんですけど…すっごく楽しい。
 ううう続きはどこに…?


 更新…と勉強頑張って!!
 (テスト点数最悪で、パソコン一時間と制限されてしまったZEXALです涙)

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.108 )
日時: 2014/02/27 11:57
名前: いろはうた (ID: 6Bgu9cRk)

Zちゃん!!


いろはうた、あまりに現実逃避したくて、
今日もこんな時間からカキコにきております…
いろはうたの学校、テストは午前中に終わって、午後から次の日のテストの勉強…
のはずが…カキコにきてます笑


白夜ねえ…(ーωー)
確かに口調といい…雰囲気といい…似ちゃったなあ…シキしゃまに…
まあ、彼の御先祖様も思いっきりカエデに関係があるから、乞うご期待!!

でもそのご先祖様が誰なのかはまだ言わない!!
い、言いたいけど、言わない!!泣



コメントありがとう!!

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.109 )
日時: 2014/02/27 12:14
名前: いろはうた (ID: 6Bgu9cRk)

*チキッと和火の手の中で刀が鳴った。

白夜の紅い瞳がスッと細められる。


「ずいぶんと不思議な気だ。

 ……君も、太古の血をひくものか」




ギャンッ




甲高い濁った音が鳴り響く。

キチキチと小さな音を立てて、白夜の手に握られている大きな深紅の鉄扇を、

和火の刀のさやが受け止めていた。

見た目ではわからないが、両者ともかなりの力で互いに押し合っている。

次の瞬間、二人は同時にその場を飛びのいた。

大きく距離を取った和火の瞳は、いまだ淡い緑に輝いている。

いや。

先ほどよりも、より強い緑になっている。

和火の両手が刀の柄と鞘、両方にかかった。

———抜く気だ。

ダメ。

抜かないで。

ああ、言わなきゃ。

『静止』って、『話さ』なきゃ。

だけど、唇は凍ったように動かなかった。

シュリン、と涼やかな音と共に、刃が鞘から放たれる音があたりに響いた。

和火の目が鮮烈な緑に輝く。

ズキン、と頭が強く痛んだ。

これまでにない強い痛みに、撫子は小さくうめいてうずくまった。

抜かせてしまった。

和火が和火でいられなくなってしまう。


——————私が、『撫子』でいられなくなってしまう。



「三重結界、現出」


なめらかな声が紡ぐ言葉によって、薄赤く光る正方形の結界が和火を三重に囲む。


「炎陣」


聞き覚えのある言葉に、撫子は目を見開いた。

この術は…まずい。

白夜は、結界の中を炎でいっぱいにして、和火を焼き殺す気だ。


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