コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ナメコとワカメのふらいあうぇいっ
- 日時: 2014/06/14 23:31
- 名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)
*ああ
なんて美しくて
——————哀しいんだろう。
前作『浅葱の夢見し』>>188
〜目次〜
一章
>>008 >>017 >>021 >>031 >>040 >>043
二章
>>051 >>052 >>053 >>054 >>059 >>072 >>079
>>084 >>091 >>094 >>095 >>100 >>104 >>105
>>106 >>109 >>110
三章
>>117 >>118 >>122 >>123 >>127 >>132 >>135 >>143
4章
>>163 >>164 >>172 >>182 >>189 >>193 >>200 >>201
>>205 >>209 >>210 >>215
5章
>>225 >>229 >>233 >>240 >>241 >>244 >>245
>>249 >>253 >>261
記憶の欠片
>>050 >>060 >>116
登場人物紹介
>>044 >>124
制服紹介
>>151
白夜さんインタビュー
>>221
〜イラスト〜
撫子の制服姿
>>157
そこに慧と和火
>>190
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- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.516 )
- 日時: 2014/09/01 20:26
- 名前: いろはうた (ID: bUOIFFcu)
*「その日から、私は変わりました。
慣れない化粧もして、髪も毎日丹念にくしけずって、色とりどりの都で流行っている衣をまとって。
すべて、斬透様に見ていただくために。
少しでも、綺麗だと思っていただくために。
……なのに」
蝶姫の目尻にたまっていた大粒の涙がぽろぽろと頬を伝ってこぼれた。
上弦の月に照らされ涙するその姿は、夜に舞う蝶のよう。
「なのに!!
斬透様、どうして!?
どうして、私のことを見て下さらぬのですか!!
私なら、斬透様だけ見ているのに!!
青那様なんかよりずっと斬透様をお支えできるのに!!
……少しでも青那様に近付こうと、この数か月の間必死に努力をしました。
そんなに……私ではいけませんか?
私では青那様の代わりにすらなれませんか!?
何が、青那様に劣っていますか!?
何が足りないのですか!?
おっしゃってください!!
必ずや斬透様の理想の女となってみせます!!
私は。
私は……!!」
「……蝶。
もういい」
白夜様がそう言った途端、蝶姫は糸が切れたようにその場に崩れ落ちた。
彼女の髪が夜風になびいて、美しく髪が波うち、扇のように広がった。
夢のように、幻のように美しい。
「私は……貴方様が、好きなのに……」
消え入りそうなかすれたかぼそいこえは、これ以上なく私を重く打ちのめした。
狂ってしまう一歩手前まで恋に溺れている、壮絶に美しい娘がそこにいた。
ああ、なんて美しい。
なんて美しくて哀しいのだろう。
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.517 )
- 日時: 2014/09/01 21:20
- 名前: 覇蘢 (ID: aQG7fWp7)
いろはうたさん!
銀賞おめでとうございます!
さすがです!
本当にいろはうたさんの物語は人を惹きつける力を持っています。
読んでいても『次、どうなるんだろう。早く続き!』
と思ってしまいます(๑و•̀ω•́)و
文章力も高く、異世界の話なのにまるで、乙女ゲーのような感覚で自分がプレイしているように、
毎回楽しんで読んでいます!
いろはうたさんの乙女ゲー欲しいな←
更新頑張ってください!
改めて、銀賞おめでとうございます!
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.518 )
- 日時: 2014/09/03 16:17
- 名前: いろはうた (ID: 5obRN13V)
覇蘢様!!
ありがとうございます!!(;∀;)
またしても受賞させていただきました!!
本当にありがたいことです……
我が友人にも、もうむしろおまえが乙ゲー作れよ、とか言われました……
ヤンデレ一人、クーデレ一人……
……って、あっかーん!!!!(゜□゜)
全部いろはうたの好きなキャラしかおらーんっ!!!←
こんなのじゃ無理ですね(泣
コメントありがとうございます!!
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.519 )
- 日時: 2014/09/03 17:52
- 名前: いろはうた (ID: 5obRN13V)
*私は、声を荒げてやめろということができなくなった。
タスクと蝶姫が別の世界に行けば、みんな幸せになれる……?
タスクが私のことを気にかけてくれるのは、きっと、元騎士としての最後の責任だろう。
きっとそうだ。
それを、蝶姫は勘違いしているのだ。
私から離れたら、今度こそタスクは蝶姫だけを見ていられる。
私も、白夜様を愛する努力ができる。
それがいいのかもしれない。
そうすれば、全てがうまく収まる。
そう思っているはずなのに、胸が痛いくらい苦しい。
苦しくて苦しくて、頭がおかしくなりそう。
「青那様。
少しさがっていてくださるか?
今から、貴女の騎士殿を転送するのでね」
どくん、と心臓が強く脈打った。
白夜様の手にひときわ強い光がともる。
ぐにゃりと視界が歪んだ。
空間が歪み、ひずみが生まれる。
白夜様の転送の術だ。
あれをタスクに放てば、彼は永遠にこの世界から消える。
永遠に。
二度と会えない。
だけど、それできっとタスクは幸せになれる。
ざりっと音を立てて、私の片足が少し後退した。
もっとさがれ。
もっとさがれ。
そうすれば、タスクは幸せになれる。
そう体に言い聞かせてもそれ以上動けない。
白夜様は私があまり後退していないのに気付いていない。
彼はタスクだけをみている。
恋い慕うように。
でも、その目に宿るのは、焼け焦げそうな黒い感情だ。
白夜様の手にさらに強く白い光がともる。
もうすぐ術が完成する。
もっとさがれ。
もっとさがれ。
そうすれば。
……いやだ。
私は目を見開いた。
いやだ。
だめだ。
こんなのは、逃げているだけだ。
真から目を背けているだけ。
ざりっと足元の砂利が音を立てた。
考えるよりも先に、私は駆け出していた。
「姫様!?」
タスクが驚いて叫ぶ声が聞こえた。
そんなのかまわない。
夜風を切って私は走る。
私は、タスクの目の前に体を躍らせ、真正面から放たれた白い光を受けた。
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.520 )
- 日時: 2014/09/04 18:51
- 名前: いろはうた (ID: 5obRN13V)
〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜
〜タスクの記憶〜
*視界が白いっぱいに染まった。
「っ、姫様っ!!」
おれは声の限り叫んだ。
ぐらりとセナの体が傾いた。
今の術のためにおれの体を押さえつけていた式神たちは白夜が消したらしく
おれは自由になった腕で、地面に激突する寸前のセナの体を抱きとめた。
力を失ってぐったりしている彼女の乱れた銀髪を震える手でそっと払い、その顔を覗き込む。
かたく閉ざされた瞼。
こめかみから流れる血は先程、おれをかばって術を受けたせいだ。
白夜はすんでのところで青那に気付き、急いで術の形質を変えた。
さらに軌道もそらそうとしたようだったが、間に合わなかった。
セナの頭をかすめた。
術の形質がどのようなものかわからない。
もしかしたら、セナは……。
おれのせいだ。
己の浅慮が大切な大切な少女を傷つけた。
おれは、迷っていた。
途中から式神に抗うのをやめていた。
もしかしたら、おれが異世界に行った方が、セナが幸せになるのではないかと、
おれも彼女のことを忘れて生きていけるのではないかと、思ってしまった。
それなら、異世界に転送された方がいいのではないかと。
でも、同時に、セナに止めてほしいと願ったのではないか。
少しでもおれに未練を残していてほしいと望んだのではないか。
強く目を閉じてから、また開く。
セナの体を丁寧に地面に横たえておれは立ち上がった。
歩を進めながら、腰に差してある刀を抜き放った。
白夜はただ茫然とセナを見ている。
不意に、その不気味でいながら美しい紅の瞳がおれを映した。
その時にはすでにおれが刀を上段から振り下ろした後だった。
ギャンッッ
白夜が腰に差していた鉄扇を引き抜き、咄嗟におれの刀を防ぐ。
あたりに金属音が鳴り響いた。
中途半端に時空間が歪められていたため、今の鉄同士の衝突により、ひずみが大きくなる。
キチキチと小さな音を立てて、刀と扇がかみ合う。
「……よくも」
口から呪詛のような言葉が漏れた。
憎い。
この男が憎い。
この男が術に秀でているのは知っている。
家柄もいい。
地位もある。
容姿も整っているし、人望もある。
もうそれで十分ではないか。
何故それ以上を望むのだ。
よりによって何故おれが欲しくて欲しくてたまらなくて、他には何もいらないと心から思う
青那を欲するのだ。
彼女の隣にいて当然だ、という権利を手にしているのに、それに満足できず、
その止まることを知らぬ欲望が彼女を傷つけた。
ギリリとかみしめた奥歯が音を立てた。
憎い。
ああ、憎い。
でも、何よりも憎いのは何もできなかった自分自身だ。
「ぁぁぁぁあああああ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!!」
「……ぐっ……!!」
力任せに押しきり、白夜を突き放す。
その体が後ろに倒れる。
背後には、異世界への扉たる、時空間のひずみがぽっかりと開いていた。
〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜
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