コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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ナメコとワカメのふらいあうぇいっ
日時: 2014/06/14 23:31
名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)

*ああ



 なんて美しくて



 





——————哀しいんだろう。





前作『浅葱の夢見し』>>188


〜目次〜

一章
>>008  >>017  >>021  >>031  >>040  >>043 


二章
>>051   >>052   >>053   >>054   >>059   >>072   >>079

>>084   >>091   >>094   >>095   >>100   >>104   >>105

>>106   >>109   >>110


三章
>>117   >>118   >>122  >>123  >>127  >>132  >>135  >>143


4章
>>163  >>164  >>172  >>182  >>189  >>193  >>200  >>201

>>205  >>209  >>210  >>215


5章
>>225  >>229  >>233  >>240  >>241  >>244  >>245

>>249  >>253  >>261






記憶の欠片

>>050   >>060   >>116


登場人物紹介
>>044  >>124



制服紹介

>>151



白夜さんインタビュー

>>221


〜イラスト〜

撫子の制服姿

>>157

そこに慧と和火

>>190

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Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.421 )
日時: 2014/07/13 22:25
名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)

*「和火ってば!!

 今ならまだ……!!」

「だいたいおまえさ……なんなの。

 おれに会いたいなら、会いたい、って言えよ。

 傍にいてほしいなら、傍にいて、って言えよ」


急な話題転換とその内容に、撫子はあんぐりと口を開けた。


「……いらない、とか二度というなこの大ばかばかばかばかばかなめこ!!」

「ひっ、はひぃっ!!」


信じられないが、和火が拗ねている!!

どうやら、先程の拒絶の言葉に少なからず傷ついていたらしい。


「……ちっ」


耳元で舌打ちまでされてしまった。

だが、それは撫子に向けられたものではないようだった。


「いたぞー!!」

「侵入者だ!!」

「追え———!!」


追手が来た。

複数名の足音が聞こえる。

捕まったら、撫子はともかくとして、和火の命はない。


「和火!!

 私を降ろして!!

 私がおとりになるから、その間に逃げて!!」

「……ばか」


和火は少しだけ撫子を抱く腕に力をこめた。

言葉よりもはるかに雄弁なその行動に、こんな時だというのに泣きそうになった。

どうすればいい。

今こそ、言霊をが必要な時なのだろうか。


「射かけよ———っ!!」


背後から掛け声が聞こえた。

次の瞬間いくつもの風を切る音と共に、雨のように矢が飛んできた。

行く手に鈍い音を立てて地面に突き刺さるのを見て、ぞっとした。

やはり、白夜は和火を殺すつもりだ。

どうしよう。

どうしよう。

言霊を使うべきなのだろうか。

本当に、今がその時なのだろうか。

迷っている撫子の目の前で、和火の肩に一本の矢が突き刺さった。

ピッと血が頬に飛び散った。


「和火!?」

「……平気だから、おまえはじっとしてろ」


うめきもせずに、和火は肩の矢にかまわず走り続ける。


「……慧のやつが、そろそろなんとかしてくれるから」


和火がそういった瞬間、背後を目がくらむほど強い電光が走り抜けた。

続いて地面を揺らすほどの轟音が鳴り響いた後、矢が飛んでこなくなった。


「慧!?」

「先に行け!!」


姿は見えないが、慧の声が確かに聞こえた。

いいのだろうか。

慧をこのまま置いて行ってもいいのだろうか。

慧は……死なないだろうか。

そんな心配をしている撫子を抱えたまま、和火は無言で走り続けた。

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.422 )
日時: 2014/07/16 23:17
名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)

*和火は、慧にもらったらしい特別な術式が描かれた紙切れを使って、空間移動を行った。

しかし、慧が紙切れに込めた霊力は、慧の村にたどりつけるほど多くはなかったようで、

気づけば見知らぬ森の中にいた。

水音が聞こえるあたりから、近くに川があるのだろうと推察できた。

もう白夜の気配が感じらないのならどこでもよかった。

空はすっかり闇に覆われ、星が木々のすき間から見える。

撫子は急いで和火を木の根元に座らせると、その肩から勢いよく矢を引き抜いた。

血が少しとびちった。

和火は呻きすらしなかった。

手がどうしようもなく震えた。

毒矢ではないようなのがせめてもの救いだった。

もしそうなら、和火は死んでいたかもしれなかった。

その可能性に手が震えまくってどうしようもない。

ここは、安全な元の現実世界じゃないことを、いやというほど思い知らせれた。

こんなに時間がたっても、まだ異世界に来てしまったことが信じられなかった自分がいた。


「ごめん……」


和火は、撫子を助けに来たから傷ついた。

無茶もした。

そして、和火の手をとってしまった。

それは白夜との契約を無効にする行動だ。

和火の手を振り払いきれなかったから、元の世界に帰るための唯一と言ってもいいほどの

方法を失ってしまった。


「ごめん、和火……」


全部全部、私のせいだ。

あのとき、言霊を『話す』べきか迷ってしまったから、和火は今、血を流している。

手にした矢がかたんと小さな音を立てて地面に落ちた。


「……顔、上げろよ」


撫子は唇をかみしめた。

なんでこんなときに優しい声を出すのだろう。

被害者は和火じゃないか。

加害者の撫子をもっと責めればいいじゃないか。


「撫子」


優しい声に促されて、撫子は顔をあげた。

熱を宿した紫の瞳と正面から視線が交わった。


「おまえに伝えたいことがある」

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.423 )
日時: 2014/07/15 10:57
名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)
参照: http://pixiv.me/asaginoyumemishi

ぱんぱかぱーん!!


参照が3700突破!!
みなさまありがとうございます……

それを記念しまして、しぶのほうに絵を載せました〜
セナ、タスク、白夜、蝶姫、が集合した一枚となっています。
蝶姫がお気に入りです。
よかったら、上のURLをクリックして、ご覧になってくださいませ〜
タイトルは、なんだっけ……十六夜の宴だっけ……?




そして、物語の方も、和火の一番の見せ場のシーンがやってまいりました!!
いろはうたは、このシーンを2か月ぐらいまえに思いついたので、もうだいぶ
熱が薄れてはいるのですが……
でも、和火を応援してくださる方には必見かと思われます!!
とくとご覧あれ!!


それでは、今後ともナメワカをよろしくお願いしますm(ーー)m

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.424 )
日時: 2014/07/15 11:32
名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)

*心臓が痛いほど強く脈打った。

何でだろう。

和火の醸し出す空気が、そのまなざしが、声が、いつもと全部違う。

触れたら焦げ付きそうなくらいに熱いのに、とろりと甘い。

怖い。

こんな和火は知らない。


「もう少しっていうか、元の世界に帰ってから言おうと思ったけど、今言う」


怖い。

聞きたくない。

聞きたくない!!


「わ、私、水汲んでくるね!!」


急いで立ち上がろうとしたら、強く手首を掴まれて、引かれて、和火の体の上に倒れこんでしまった。

あわてて和火の胸を手で押して少しでも距離を取ろうとしたら、くるりと視界ががまわった。

背中に硬い地面。

遅れて、体勢が変わって、押し倒されているような状態なのだと気づく。

それでも逃げようとしたら、和火が両手首を簡単に拘束して、

撫子の上にのしかかるようにして彼女の動きを封じた。


「……逃げるな」

「やめて、和火……!」

「やだ。

 やめない」


本当は、ずっと前から思っていたけど、最近は考えないようにしていた。

和火が撫子に親切にしてくれるのは、和火自身の意志じゃなくて、『タスク』の意志なんじゃないかって。

『タスク』は『セナ』を愛していたから、その子孫である撫子にも好意的なんじゃないかって。


「聞きたくないの……」

「それでもおれは言いたい」


だって、おかしい。

普通、ただのクラスメートを化物から命がけで助けようとしたり、しない。

普通、明らかに危険人物だとわかる白夜にから、ただのクラスメートを守ろうとしたりしない。

それらの行動は全部、和火が優しいからだって、必死にそう思い込もうとしていた。

でも、夢で知った。

過去の騎士たちの想いが強烈だということを。

騎士たちは、主の巫女姫を愛していたが、一度も結ばれることはなかった。

ただの一度もだ。

もし、その強烈な想いが、主の巫女姫と結ばれたいという思いが和火に受け継がれているとしたら……?

撫子自身じゃなくて、『セナ』をみているとしたら……?

ああ。

優しく前髪を払ってくれる指が苦しい。

これも撫子じゃなくて、『セナ』への優しさなの?


「和火……」


紫の瞳の奥に、炎が揺れているのが見えた。

撫子はうめきに近い声でつぶやいた。


「お願い……言わないで」


私を見て。

私は、セナ、じゃないよ。

ねえ、気づいてよ。


「撫子……」


和火は苦しそうに紫の目を細めた。








「おまえが、好きだ」








目の端から涙がこぼれた。

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.425 )
日時: 2014/07/16 10:31
名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)

*撫子の目からこぼれた涙に、和火は驚いたようだった。

わずかに紫の目を見開いて、撫子の目尻からこぼれる雫を凝視している。

何故泣かれたのかわからないようだった。

やがて、和火が動いた。

その右手が撫子の目尻に——————


「……なにしてんだよ……!」


和火が撫子から離れた。

両手の拘束と、のしかかっていた重みがなくなる。

驚いて和火の背後を見やると、慧が険しい表情で和火の肩を掴んでいた。

和火が迷惑そうにその手を振り落とす。

遅れて、慧が和火の掴んで、撫子から引き離してくれたのだと気付く。

あわてて身を起こしたら、すばやく慧が撫子の前に立った。

慧の背に隠れて和火が見えない。

ようやく慧が和火からかばってくれているのだと気付いた。

すべての思考が追いつかない程、感覚が麻痺していた。


「……こいつに、なにをした」


低く押し殺された声。

あまりの怒気に、自分に向けられたものでないのに肩がびくっとはねた。


「……別に、なにも」

「じゃあ、なんでこいつは、泣いている!?」


そう言われて涙が止まらないことに気付いた。

あわてて衣の端で瞼をこする。

慧、私、大丈夫。

和火は、悪くないよ。

そう言わなきゃいけないのに、のどが凍ったように言葉が出ない。

慧の背中はまだぴりぴりしたままだ。

一種即発の空気は変わらない。


「答えろよ……。

 なんで、泣かせた……」

「……泣かせるつもりは、なかった」

「じゃあ、なんでこいつは泣いているんだよ!?

 泣かせるような何かをやったんだろ!?」

「……事実を、言っただけだ」


一瞬の沈黙。

やがて、枯葉を踏みしめる乾いた音が聞こえた。

少しずつそれは、小さくなっていく。

やがて、慧がため息をついた。


「……行っちまった」

「ここから村まで、そんなに遠くないの?」

「ああ、まあな」


だから、和火は、徒歩で一人で帰るのか。

肩の傷を手当てしなくていいのだろうか。

それよりも、と慧は振り返った。

気遣うような色をした金色の瞳がこちらを見る。


「慧、けがは?」

「ねーよ。

 おまえは?」

「私は、大丈夫……」


慧がしゃがみこんで、まっすぐに目を見てきた。

きれいな目だなと思う。

混じり気のない琥珀のようだ。


「あいつになんか、言われたのか……?」

「う、ん……。

 で、でも、大丈夫だから……!!」

「触れてもいいか……?」

「……へ……!?

 う、うん……」


ささやく声に戸惑いながらも了承すると、おそるおそるという感じで慧の手が伸びてきた。

慧の指先が頬に触れた瞬間、思わずびくっと震えてしまった。

その反応を見て、慧はすぐに手を引いたが、やがてまたそっと触れた。

優しく指の腹で触れられて、涙をぬぐわれているのだと気付く。

羽毛が触れるような優しい指に、また泣きそうになった。


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