コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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ナメコとワカメのふらいあうぇいっ
日時: 2014/06/14 23:31
名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)

*ああ



 なんて美しくて



 





——————哀しいんだろう。





前作『浅葱の夢見し』>>188


〜目次〜

一章
>>008  >>017  >>021  >>031  >>040  >>043 


二章
>>051   >>052   >>053   >>054   >>059   >>072   >>079

>>084   >>091   >>094   >>095   >>100   >>104   >>105

>>106   >>109   >>110


三章
>>117   >>118   >>122  >>123  >>127  >>132  >>135  >>143


4章
>>163  >>164  >>172  >>182  >>189  >>193  >>200  >>201

>>205  >>209  >>210  >>215


5章
>>225  >>229  >>233  >>240  >>241  >>244  >>245

>>249  >>253  >>261






記憶の欠片

>>050   >>060   >>116


登場人物紹介
>>044  >>124



制服紹介

>>151



白夜さんインタビュー

>>221


〜イラスト〜

撫子の制服姿

>>157

そこに慧と和火

>>190

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Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.325 )
日時: 2014/05/22 18:33
名前: いろはうた (ID: DYDcOtQz)
参照: http://pixiv.me/asaginoyumemishi

*タスクが私の騎士となってからは、毎日が夢のようだった。

あんなにかっこよくて優しくて素敵な人が私の騎士になってくれたんだって、

皆に自慢して回りたいくらいだった。

そのタスクはいつも両手に包帯を巻いていた。

幼かった私はその理由に気づけなかった。

そしてタスクが騎士となって一年以上たったある日。

私はとうとう見てしまった。

タスクが真夜中に、両手を血まみれにしてでも剣術の稽古を続けているのを。

全身の血が一気に冷え切った。

私はころがるようにタスクのもとへ駆けた。


「タスク!!」

「ひ、姫様……!?」


タスクが浅葱色の目を見開いて驚いたようにこちらを見た。

手にしていた木刀を放り捨てて、血相を変えてタスクはこちらに駆け寄ってきた。

目の色が浅葱色になってしまったのも、こうして剣の握りすぎで両手が血まみれになっているのも、

全部、全部、私のせいだ。

やっとわかった。

私の騎士となるために、タスクはいろんなものを捨てたんだ。


「どうかなさったのですか!?

 お怪我は!?」

「手!手!」

「手?

 誰にやられたのですか?

 ……その者を半殺しにしてまいります」

「タスク!!」

「わかりました。

 そいつを半殺し……え、おれ?」

「タスクの手だってば……!!」


話しているうちにも、赤い雫がぽたりぽたりとタスクの手から絶えず滴り落ちている。

もはや包帯が意味をなしていないほどの出血。

まめというまめがつぶれて、かさぶたもめくれてしまっている。

あまりに痛そうで目から涙がこぼれた。


「おれの、手……?」


タスクが心底不思議そうに自分の手を見やる。

いつもこうだ。

私のこととなると過保護すぎる程なのに、自分のことには無頓着すぎる。

——————それを嬉しいと思ってしまう自分がたまらなく嫌だ。


「タスクのうつけ!

 うつけ、うつけ、うつけ!!」


涙がこぼれる。

わけもなく悔しかった。


「自分をもっと大事にしなきゃだめ!!」


だめだ。

どうしても言えない。

傷ついてほしくないから、騎士をやめてほしいと。

タスクは失えない。

どうしても。


「姫様、泣かないで。

 ……ありがとうございます

 おれは、とても嬉しいです」


なんで。

なんで、笑ってくれるの。

なんでお礼なんか言うの。

私のせいで、こんなに痛い思いをしているのに。


「姫様。

 おれは、あなたがおれを想って泣いてくださるのが、たまらなくうれしいのです」


タスクはそう言ってしわっと笑った。

おそるおそる、ふわりと私を抱きしめてくれる。

手の血が私の衣につかないようにそっと。


「おれは……あなたの幸せと笑顔を守れるのならば、命だって惜しくないのです。

 だからこのような傷、何ともありませんよ。

 ですからどうか……泣かないで。

 笑って下さい。

 それだけで、おれは救われる」




こんなにかっこよくて、優しくて、素敵な人だから、

私がタスクに恋をしてしまうのも無理もなかった。









「あなたの幸せと笑顔だけ。

 ……おれが望むのは……ただ、それだけです」







たとえ、おれがあなたの隣にいられなくても、

あなたが、それで、幸せに笑っていられるなら。

あなたの騎士になれただけでも、おれは幸せだ。

だから、それ以上のことを望んではいけない。



——————望んでは、いけないんだ。

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.326 )
日時: 2014/05/23 20:12
名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)

 タスク君……!
 セナ様への想いが素敵すぎる!

 タスク君の想いを罪悪感に包まれながらも嬉しいと思ってしまうセナ様も可愛くて、素敵だね(*^^)v


 いろはちゃんの小説のヒロインは「誰かを守りたい、救いたい、強くなりたい」という考えを持つ人が多いね。
 誰かのためにそんな風に思えるってすごいよね
 見ててすごいなあ、と感心しています(*^。^*)

 
 更新応援してるね!
 頑張ってー!

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.327 )
日時: 2014/05/24 22:32
名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)
参照: http://pixiv.me/asaginoyumemishi

ユリカちゃん!!


遅くなりました!!
本当に本当にごめんなさい!!
地面に乗り込むタイプの土下座します(ごんっ

久しぶりのコメントもらえてとっても嬉しいです!!!!!!!!!
本当に最近なかなかコメントいただけなくて…
たぶん皆様、中間テストで忙しいのね……
寂しいな…と思っていた時のコメントって本当にうれしい…


あと、撫子自身が白夜の婚約者じゃないよ…
ううん…
撫子の御先祖様のひとりである、セナちゃん。
彼女が…
いや。
これ以上はお楽しみで…


コメントありがとう!!



朔良ちゃん!!


はっΣ(゜゜)
そういうキャラが多い…
つ、つまり…
き、キャラがかぶっている!?
いや…そんなはずは……
まあ…
セナさんは、撫子の御先祖様でもありますので、若干似通ったところがあるかなあとは…(苦し紛れ


でも、タスクはいまだかつてないタイプのキャラでして…
サブサブキャラぐらいなんだけどね……
the騎士☆ってやつだね笑


コメントありがとう!!

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.328 )
日時: 2014/05/28 20:59
名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)

*けぶるように降ってきた霧雨の中、撫子は昼ごはんの一部となるイモの皮むきをしていた。

家の主、慧は和火の剣術修行に付き合っていて、今はいない。

撫子は、今日も寝不足だった。

目の下のクマは少しずつ濃くなっている。

過去の夢を見たくなくて、限界まで起きていたのだが、一瞬の気の緩みによって寝てしまった。

これ以上過去の夢など見たくなかった。

夢の中の、先祖である少女とまるで一体化してしまったように、彼女と心が共鳴しているからだ。

まるで、『撫子』という存在がなくなって、彼女そのものが本体であるかのような。

白夜は、長い夢だと言っていた。

今日の夢にはまだ続きがありそうだ。


「また……今晩もみるのかな……」

「何を?」


突然降ってきた声に驚いた撫子は、危うく手にしていた小刀で自分を切り付けそうになった。

上を見上げると、黒髪をしっとりと濡らした和火が、思っていたよりも近くで撫子を見下ろしていた。


「和火!

 剣術の稽古は……?」

「雨が降ってきたから、中止」

「そっか……」

「おまえは?」

「私は、おイモの皮むき」


撫子は手の中のイモと小刀を見せた。

そういえば、和火は、星祭で剣舞を披露することになったらしい。

確かに、この雨では、稽古をすれば足元が滑って危ないだろう。


「……あいつに、なんか作ってるわけ?」


和火は、なぜか不愉快そうに顔をしかめた。

あいつ、というのは慧のことのようだ。

けげんに思いながらうなずくと、和火はますます嫌そうな顔をした。

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.329 )
日時: 2014/05/29 20:49
名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)

*「……じゃあ、おれも食べる」


……じゃあってなんだ、じゃあって。


「……そんな嫌そうな顔で言われても……」

「別に嫌じゃない」

「ただのイモの煮物だよ?

 茜の料理はどうするの?」

「こっちに呼んできて一緒に食べたらいい」

「……たしかに」


大勢で食べた方がきっとおいしいだろう。


「じゃあ、おれ、呼んでくる」

「うん。

 いってらっしゃい」


だが、和火は動かない。

じっと撫子の顔を見てくる。


「な、何?

 行かないの?」


照れ隠しにつっけんどんに言ったら、和火の手がこっちに伸びてきた。

思わずびくっとしたら、和火の指は一瞬止まったが、またこっちに近づいてきた。

雨で少し湿った和火の親指が、撫子の右目の下をそっとさすった。

すごく丁寧で、どこか恭しさすら感じる手つき。

——————騎士のような。


「……クマができてる。

 さっき、なんか見るとか言ってたけど、悪い夢とか見てるのか?

 それで、寝不足」


撫子は驚いて和火の顔を見た。

鋭すぎる。


「和火は、見ないの?」


おそるおそる聞いたら、和火はすっと目を細めた。

なんだか、その仕草が和火が男だ、ということをひどく強く撫子に意識させた。

そう思ったら、目の下に触れる親指の感触がひどく気になった。

なんて、甘い温度だろう。


「見ないけど。

 ……おれにそう聞くってことは、おれに関係してる夢を見——————」

「———いってらっしゃい」


撫子は、和火の言葉を強引にさえぎった。

撫子は和火の手を掴むと、触れてくる指から無理に逃れた。

このままだと、よくわからない甘ったるいものに、自分じゃないものに囚われてしまうような気がした、


「撫子」


わずかに苛立ちを含んだ声。

ごまかすな、って、怒っている。

和火はずるい。

こういう時に、名前を呼ぶなんて。


「早く、茜、呼んできて」


やっとのことでそう言うと、撫子は和火の指を押しやった。

和火は眉を寄せた。

何かを言おうとして何も言わず、そのまま背を向けて和火は歩き去って行った。



「ねえ、和火」



———本当に、夢、見ないの?



————————————本当に??





白夜は、なにがしたいのだろう。

撫子に夢を見せて。

こんなにも悲しい撫子の先祖達の恋物語の数々を見せて。

こんなにも、撫子の存在意義を揺らがせて。

わからない。

なにも。

なにもかも。

すべて。


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