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- ナメコとワカメのふらいあうぇいっ
- 日時: 2014/06/14 23:31
- 名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)
*ああ
なんて美しくて
——————哀しいんだろう。
前作『浅葱の夢見し』>>188
〜目次〜
一章
>>008 >>017 >>021 >>031 >>040 >>043
二章
>>051 >>052 >>053 >>054 >>059 >>072 >>079
>>084 >>091 >>094 >>095 >>100 >>104 >>105
>>106 >>109 >>110
三章
>>117 >>118 >>122 >>123 >>127 >>132 >>135 >>143
4章
>>163 >>164 >>172 >>182 >>189 >>193 >>200 >>201
>>205 >>209 >>210 >>215
5章
>>225 >>229 >>233 >>240 >>241 >>244 >>245
>>249 >>253 >>261
記憶の欠片
>>050 >>060 >>116
登場人物紹介
>>044 >>124
制服紹介
>>151
白夜さんインタビュー
>>221
〜イラスト〜
撫子の制服姿
>>157
そこに慧と和火
>>190
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- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.471 )
- 日時: 2014/08/09 13:59
- 名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)
*おかしい。
妖魔が来るなんて聞いていない。
せいぜい獣の類ぐらいだと。
どうしよう。
どうしよう。
言霊を使うべきなのか。
今がその時なのだろうか。
頭がガンガンする。
どうしたらいいのかわからない。
「和火、あのね、あれは妖魔の類かも知れない」
声がかすれる。
唇が震える。
空気が震える。
妖魔が近づいてくる。
「は?
妖魔?」
「ただの剣じゃ、無理。
……倒せない」
「……おれの剣は、妖刀だろ」
「妖刀じゃないよ。
……霊力が、こもっているだけ」
和火の先祖の想いが霊力となって、刃に宿っている。
「でも、それなら、その妖魔とかも斬れるだろ。
普通の剣じゃないんだから」
思わず舌打ちしたくなった。
なんで和火は誤魔化されてくれないのだ。
「抜かないで、って言ったら?」
「……撫子」
「それは、和火の一族の家宝の剣でしょう?
簡単に……抜いちゃダメなんでしょう?」
「今が、使うときだろ」
「だから!!」
近い。
妖魔のような存在がどんどん近くなってきている。
でも、抜かせたくない。
騎士の意志になんか染まってほしくない。
和火は和火でいてほしい。
……まっすぐ、撫子を見てほしい。
ああ、どうやって、和火に言ったらいいのだろう。
「抜かないで。
抜くべきときじゃないでしょう?」
「今がその時だよ」
和火は、まっすぐに撫子を見た。
まっすぐすぎて、痛いくらいに。
「大切な人を守るとき。
その時だろ」
和火は間髪いれずに、素早く双刀を抜き放った。
シュリン、という鋭い音が闇に響く。
その瞳が、闇でも輝く緑に輝いた。
「今が」
和火の衣を掴もうとしたら、その前に和火は動いていた。
指の間を緑のグラデーションがすりぬけていく。
大切なものを逃してしまった気がした。
焦燥に体をおされて一歩踏み出す。
だけど、今、自分は丸腰だ。
言霊を使うからと、武器などは断った。
『話す』決意など固まってないのに。
そんな自分に、何ができる……?
そう。
足手まといだ。
『死にたくねえなら、刀を作れ。
でないと……夜の魔に満ちる森では生き残れねえよ』
ああ。
慧だってそう言っていたじゃないか。
今が、大切な人を守る時?
今がそうなのだろうか。
迷う。
言霊を『話す』べきか。
「撫子!!」
はっと我に返る。
目の前には馬ほどの大きさの妖魔が迫っていた。
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.472 )
- 日時: 2014/08/09 21:43
- 名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)
*とっさに身をかがめると、数秒のちに自分の頭があったところを風切り音と共に
妖魔が通過したのを感じた。
だけど、すぐ次が来る。
「撫子!!」
和火が叫んでいる。
「言霊は!?」
和火が刀を抜いたとはいえ、状況は圧倒的に不利だ。
そう。
言霊さえ『話せ』ば、全部終わる。
静止、と一言つぶやいて、その間に慧に助けを求めに行ったら。
だめだ。
他人に頼ってはならない。
自分で、己の力だけでなんとかしなくては。
そう、静止、なんてなまぬるい。
一言、死ね、と言えば。
この手を紅に染めれば、全部解決する。
そのために夜番も引き受けたじゃないか。
受け入れてくれた、優しい村人たちを守るって、そう決めたじゃないか。
その決意はどこへ行ったのだ。
そう、いくら自分に言い聞かせても身体が言うことを聞かない。
カエデの言葉が脳裏にこびりついて消えないのだ。
ふらつきながら、妖魔の突進をなんとかかわす。
だけど、それもいつまでも続かない。
ぬかるみに足をとられてしりもちをついた。
好機とばかりに、妖魔が一斉に撫子の方へと向かってくる。
和火がそれを見てこちらに闇の中から駆け寄ってくるのが見えた。
「来ちゃダメ!!」
「うるさい!!」
一括すると、和火は妖魔たちを一切のためらいなく斬り捨てた。
とどまることなく、その鋭い刃は獣たちを切り裂いていく。
「……っ!!」
和火の背後から、何匹もの妖魔が現れ襲い掛かってきた。
撫子はすぐに和火の背後に回って、彼の背をかばうようにして立った。
言霊を『話す』気がないのなら、せめて身代りに位にはなりたい。
迫りくるぎらつく牙。
撫子は歯を食いしばって、襲い掛かるであろう痛みを覚悟してめを思いっきり閉じた。
ザシュッ
肉を切り裂く音が聞こえた。
痛みがない。
愕然として目を開くと、いつの間にか撫子の前に回り込んだ和火が妖魔の爪を受け止めていた。
だけど、そのカミソリのような爪は受け止めれず、剣を握る和火の手の甲に深く刺さっている。
深緑の草に、鮮血がぱたぱたと落ちる。
和火の血だ。
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.473 )
- 日時: 2014/08/10 12:43
- 名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)
和火君の撫子ちゃん愛(?)が爆発していますな!
忠実なのはいいけど、そこまでとなると撫子ちゃん大変だわ……
朔良としては慧君を応援したくなったぞ笑
——なーんて思っていましたが、撫子ちゃんを守る和火君を見たら変わるわあ……(@_@;)
咄嗟にかばうってすごいよね。
躊躇せずに人を守ることが出来るってすごいことだし、本当にその人を大切に思っていないと出来ないことだからねー
……そんなことを考えながら撫子ちゃん愛を感じました←
更新がんばってね!
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.474 )
- 日時: 2014/08/10 14:32
- 名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)
朔良ちゃん!!
愛が爆発www
そうなのです!!
和火、命がけで撫子を守っております!!
ただそれが、騎士の意志からくるものなのか、和火本人の意志なのか
わからないのであります……
慧を応援!?
け、慧か……
慧は……いや、言わないでおこう!!
ネタバレになるから!!
コメントありがとう!!
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.475 )
- 日時: 2014/08/10 23:15
- 名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)
*全身の毛穴が開いた。
ぶわっと汗がにじむ。
和火の右腕が裂けているのが見えた。
傷口から白いものが見える。
骨だ。
そう認識した瞬間、足の震えが止まらなくなった。
私のせい。
私のせい。
私のせいだ。
和火が私をかばったから。
和火は、和火が……!!
和火は、うめき声すらあげずに、もう片方の無事な手でその妖魔を斬り捨てた。
一切のためらいがなかった。
耳をふさぎたくなるような声を上げて、妖魔がその場に崩れ落ちる。
和火の右手はだらりと垂れさがっている。
血で右手が真っ赤に染まっているのが夜目にも見て取れた。
地面には小さな血の水たまりができている。
鼻をつく鉄さびの匂い。
それが、これは夢なんかじゃなくて現実なのだとないによりも強く伝えてきた。
「撫子、けがは?」
和火の声の調子はいつもと同じだった。
ない、と答えたいのに声が出ない。
わずかに首を横に振った。
「……よかった」
和火が安堵したように小さく笑った。
その間にも、血がしたたり落ちている。
顔が歪むのが分かった。
なんで、気付けなかったんだろう。
もう、騎士だとか血だとか、どうでもいい。
この人は、和火は、大切な大切な人じゃないか。
この人をまもるために、言霊を『話す』べきじゃないか。
なんで、もっと早くに……
強い後悔の念は、霊力となって体中を巡った。
身体から溢れる力が唇を震わせる。
さあ、『話そ』う。
憎き妖魔たちに永遠の眠りを。
とこしえの苦しみを。
よくも、よくも……和火を…!!
強い怒りで目がくらむ。
それは、妖魔たちというよりも、何もできなかった自分に向けられていた。
今ならできる。
和火を守る。
傷つけさせない。
全て終わらせる。
撫子は震える唇を開いた。
迷ない。
ためらわない。
さあ。
——————死の言霊を。
『———』
ズガアアンッッ
目がくらんだ。
地を揺らす轟音。
憎しみのあまりそこまで目がくらむのか。
いや、違う。
この霊力。
この光。
天地をつなぎ、裂く、雷の力。
「……慧?」
死の言霊ではなく、彼の名がこぼれた。
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