コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ナメコとワカメのふらいあうぇいっ
- 日時: 2014/06/14 23:31
- 名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)
*ああ
なんて美しくて
——————哀しいんだろう。
前作『浅葱の夢見し』>>188
〜目次〜
一章
>>008 >>017 >>021 >>031 >>040 >>043
二章
>>051 >>052 >>053 >>054 >>059 >>072 >>079
>>084 >>091 >>094 >>095 >>100 >>104 >>105
>>106 >>109 >>110
三章
>>117 >>118 >>122 >>123 >>127 >>132 >>135 >>143
4章
>>163 >>164 >>172 >>182 >>189 >>193 >>200 >>201
>>205 >>209 >>210 >>215
5章
>>225 >>229 >>233 >>240 >>241 >>244 >>245
>>249 >>253 >>261
記憶の欠片
>>050 >>060 >>116
登場人物紹介
>>044 >>124
制服紹介
>>151
白夜さんインタビュー
>>221
〜イラスト〜
撫子の制服姿
>>157
そこに慧と和火
>>190
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- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.411 )
- 日時: 2014/07/09 23:57
- 名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)
*「……けふっ」
軽くむせながら目覚めた。
さっきのは夢だったようだ。
少しずつ、夢と現実の境目があいまいになっている。
首が痛い。
白夜に首を絞められたのだっけ。
だが、痛みを感じるということは、生きている証だ。
撫子は緩慢な仕草で瞬きをくりかえして、まつ毛に残る涙をはらった。
まだ、死ぬわけにはいかない。
和火を元の世界に帰さなければ。
だが、白夜はそう簡単に自分を殺したりはしないだろう。
撫子は身を起こしながらそう思った。
何故なら、セナを取り戻したいから。
おそらく、こうやって過去の夢を見せるのは……。
いや、考えるのはやめにしよう。
撫子はのそりと寝具から出た。
完全に籠の中の鳥状態だ。
食べて、寝て、夢を見て、自我が削られていく。
それと同時に、過去の断片を手に入れ、過去の謎と闇に少しずつ近づけている気がする。
撫子は盆の上にある、新しい食事の数々を見た。
いつのまにか食べ終わったものは下げられている。
綺麗に盛り付けられた料理がそこにはあった。
だが、全く食欲がわかない。
今、欲しいのは、人だ。
食べ物なんかじゃない。
人?
誰に会いたいんだろう。
ぽちゃっと目から水が落ちた。
涙だ。
気づくのに数秒かかった。
「……あ」
止まらない。
いくつも流れて床に落ちる。
私の哀しみの欠片。
「……はは」
口から乾いた笑いが漏れた。
何をやっているんだろう、自分は。
化物からクラスメートを守ろうとしたら、巻き込んでしまった。
白夜に彼を殺されそうにもなった。
慧にも、茜にも、迷惑をかけた。
霊力を持たぬ者にとって、生きるには過酷な世界。
彼を、帰したいと思った。
もとの温かい世界に。
私は、帰りたくないと思った。
あんな冷たい世界には。
もう拒まれたくない。
独りになんかなりたくない。
でも、巻き込んだのは自分の責任だから、こうやって白夜に自ら進んで囚われ、夢にも囚われている。
彼を元の世界に帰すために。
自我が削られて、セナが増えていく。
そうなれと望んだのは自分なのに、今こうして涙が止まらない。
何をやっているんだろう。
覚悟を決めたんじゃなかったのか。
でも心は、消えたくない、って、私は撫子だ、って、叫んでいる。
「……あ、はは……」
撫子は己の髪をぐしゃりと握りしめた。
本当に、何をやっているんだろう。
ずるずると力なく壁にもたれかかった。
「——————————————————撫子」
そのひそやかな声に、ここで絶対に聞こえるはずのない声に、撫子はは目を見開いた。
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.412 )
- 日時: 2014/07/10 21:52
- 名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)
*嘘だ。
ありえない。
彼がここに来るはずない。
これは、己の心があまりにも望みすぎたために生まれた幻聴だろうか。
怖くて、動けない。
動いたら、この幻聴も消えてしまう気がしたから。
「……撫子」
撫子は息をのんだ。
また、聞こえた。
自分がもたれかかっている壁からだ。
撫子は、頬が壁に食い込むほど強く耳を壁に押し付けた。
もう一度。
もう一度、聞きたい。
壁の中に体がのめりこむんじゃないか、というほどさらに耳を押し付けた。
「……ばかなめこ。
いるんだったら返事ぐらいしろ」
「……か、ずひ……?」
情けないほど震えた声が出た。
神様。
どうか、夢幻でありませんように。
これが夢だったら、自分のどこかが確実に壊れる。
「やっと返事した……」
壁の向こうで和火が笑う気配がした。
これが夢じゃないと信じたいのに、信じられない。
「本当に、和火……?」
「なに?
おれじゃ不満?」
「なんで、来たの……?
ここ、すごく危ない所だよ……。
ねえ。
見つかったら、殺されるかもしれないんだよ……?」
和火は、ほぼ間違いなくタスクの子孫だ。
白夜も薄々それに気づいているようだった。
次は、今度こそは、白夜は和火をなんのためらいもなく殺すだろう。
「そんなの知らないし。
おまえがこんな所にいるから、迎えに来ただけ」
「む、かえ……?」
和火は、助けに来てくれたのだ。
ここから出られる。
もう自我を削られたりしない。
撫子、でいられる。
思わず、壁に手をついた。
和火がこの薄い壁一枚を隔てた向こう側に確かにいる。
「ほら、帰るぞ。
さっさと出ろよ」
でも。
この手を取ったら、和火はどうなる?
もしも見つかったら、殺される。
仮に見つからなかったとしても、和火は永遠に元の世界に帰る方法を失う。
自分のためだけに、和火の運命を左右してはいけない。
もう、巻き込まない。
「……和火、前、私に、おれはいらないか、って聞いたよね。
その時の答え、今、言うね」
「は……?」
壁の向こうからいぶかしげな和火の声が聞こえる。
そりゃそうだ。
なんでこんなタイミングで?と思っているに違いない。
でも、今だからこそ、言わなければならない。
撫子はできるだけ感情を押し殺した声を出すようにつとめた。
「和火なんか……いらないよ」
そばにいて。
「私ね、ここで暮らすことにしたんだ」
助けて。
「だからさ、助けに来た、とか、正直迷惑なんだよね」
違う。
「……帰って」
いかないで。
「もう二度と来ないで」
精一杯の突き放す言葉とは裏腹に、心の中ではそれと反対の感情が荒れ狂う。
和火はしばらくの間無言だったが、やがて彼が立ち去るような音がした。
少しずつ足音が小さくなって、消える。
体から一気に力が抜けた。
撫子は、壁に背を預けて、ずるずると崩れ落ちた。
これじゃあ、セナと同じ。
相手を思いやるあまり、本当の気持ちとは真逆のことを言っている。
本当は傍にいてほしいのに。
行かないでほしいのに。
言えない。
彼の幸せを壊してしまうから。
壊さないために、自ら手を振り払った。
これでいいんだ。
これで、うまくいく。
和火は殺されない。
和火は、元の世界に帰れる。
早く元の世界に帰って、幸せになって、私のことなんか忘れてしまえばいいのだ。
そう。
そう思っているはずなのに、どうして涙が止まらないんだろう。
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.413 )
- 日時: 2014/07/10 23:11
- 名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)
*「和火……私、強くなるって決めたんだ」
和火がいないことをいいことに、うわごとのように言葉が口から漏れる。
きつく自分の衣を握りしめる。
「強くなってみんなを守るって……。
守られてばかりじゃ、いられないって……」
涙ってどうやったら止まるんだろうとぼんやり思った。
あとから溢れて止まらないのだ。
視界がぼやけて前が見えない。
「こうしたら、和火はもうここに来なくなるでしょ。
そうすれば、和火は幸せになれるよね……」
そう必死に自分に言い聞かせる。
おかしいな。
自分はこんなに狭量な人間だっただろうか。
なんで、大切な人の幸せを願えなくなっているんだろう。
「そばに、いてほしいなぁ……」
ぼろぼろと熱いものが目尻からいくつもこぼれた。
唇をかみしめて、嗚咽が漏れないようにする。
会いたい。
声が聴きたい。
ばかなめこってまた呼んでほしい。
くしゃってなる、子供みたいな笑顔が見たい。
撫子って、名前を呼んでほしい。
「会いたい……会いたいよ、和火……」
それは、望んではいけないことで。
ありえないことで。
「なに馬鹿なこと言ってるんだろう……私……」
さしのべられた手を振り払ったのは、自分だ。
撫子は力なく自分を嗤った。
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.414 )
- 日時: 2014/07/11 21:35
- 名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)
撫子ちゃんが本当にいい子すぎて泣ける……!
大切な人の幸せを願えない、なんて当然です!
大切な人だからこそ、自分の隣にいてほしい。
そんな気持ちを押し殺してまで和火君を突き放した撫子ちゃん。
なんて素敵なのでしょうか……(T_T)
レイヤ君と白夜様ならレイヤ君です。
レイヤ君です。
レイヤ君です。
そこは譲れないなあ〜(゜_゜>)
更新頑張ってね!
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.415 )
- 日時: 2014/07/11 22:23
- 名前: 花梨 ◆WACHDTB54w (ID: b5YHse7e)
お久しぶりです、いろはちゃん!
最近来れなくてすいませんでしたm(__)m
そして今、撫子ちゃんのいい子さに軽く絶句です、絶句。
和火が勘違いしないかドキドキだよ!
撫子ちゃんは和火と結ばれる運命なんだーーっ!←
あぁ、そして白夜君押しになってしまったよ!
セナちゃんの事が大好きすぎる白夜押しに!
とっても続きを楽しみにしてるので、更新がんばってね‼︎
応援してます!
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