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ナメコとワカメのふらいあうぇいっ
日時: 2014/06/14 23:31
名前: いろはうた (ID: Xr//JkA7)

*ああ



 なんて美しくて



 





——————哀しいんだろう。





前作『浅葱の夢見し』>>188


〜目次〜

一章
>>008  >>017  >>021  >>031  >>040  >>043 


二章
>>051   >>052   >>053   >>054   >>059   >>072   >>079

>>084   >>091   >>094   >>095   >>100   >>104   >>105

>>106   >>109   >>110


三章
>>117   >>118   >>122  >>123  >>127  >>132  >>135  >>143


4章
>>163  >>164  >>172  >>182  >>189  >>193  >>200  >>201

>>205  >>209  >>210  >>215


5章
>>225  >>229  >>233  >>240  >>241  >>244  >>245

>>249  >>253  >>261






記憶の欠片

>>050   >>060   >>116


登場人物紹介
>>044  >>124



制服紹介

>>151



白夜さんインタビュー

>>221


〜イラスト〜

撫子の制服姿

>>157

そこに慧と和火

>>190

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Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.240 )
日時: 2014/04/19 20:03
名前: いろはうた (ID: DYDcOtQz)

*「ねえ……慧。

  もうひとつ、聞きたいことがあるの」


慧に出会ってから、ずっと彼に聞きたかったことだ。


「どうして、私たちを助けてくれたの?」


普通、見ず知らずの人間を助けたりなどしない。

見返りも求めずに、ヒトは危険もかえりみずに初対面の他人を助けたりなどしない。


「……」


慧は今度こそ手を止めて、撫子の顔を見た。

まっすぐに慧の獣のように瞳孔が縦にさけた瞳を見つめ返す。


「……おれは、捨て子だ」


突然ぽつりと慧はつぶやいた。


「赤ん坊の頃、森に捨てられていたのを茜の母さんに拾ってもらった。

 だから誰よりも、他人に助けられることのありがたみをわかっている。

 おまえらが白夜の野郎に襲われているとき、なんか自分の姿と重なって、ほっておけなかった。

 ……それだけだ」


慧の目が撫子からそらされた。

もとのように彼の手が包帯状の湿布を撫子の足首に巻き始める。


「村の連中は違う一族であるおれを、家族のように扱ってくれた。

 おれは、もらった恩を返したい。

 返さなきゃなんねえんだ。

 異族であるおれを受け入れてくれた村のみんなに……」

「慧……」


のろのろと慧が顔をあげた。


「……んだよ」

「うまく言えないけど、その……慧は、慧だよ」

「……あ゛?」

「みんなは、異族を受け入れたんじゃなくって、慧を受け入れたんだと思うよ」


慧は、背負っていた。

恩を返す、という『義務』を。


「慧だから、受け入れたんだよ」

「……おまえに…何がわかんだよ……」

「何もわからない。

 けど、私はそう思うよ」


この数日で、少しだけ慧のことを知ったから。


「恩を返したい、って気持ちは大事だと思う。

 でもね、背負いすぎはよくないと私は思うよ」

「………」


慧は何も言わない。

言いたいことは言えて、撫子はほうっと息を吐いた。


「………寝ろよ」

「…え?う、うん」


慧は無言で撫子を抱き上げると、すでに敷いてあった布団に撫子を下した。

そして、首元まで掛け布団を引き上げ、ぐいぐいと撫子の首に押し付けた。


「け、慧……くるし…」

「あ゛?

 こんぐらいしねえと体が冷えんだろうが」


めちゃくちゃ顔が怖いが、心配してくれているのだ。

慧は立ち上がると、足早に部屋の戸口に向かった。


「あ、慧……」

「……とう」

「え?」

「……ありがとう、撫子」


それだけ言い残すと、慧は部屋を出た。

慧の足音が遠ざかっていく。

撫子は慧に向かって伸ばしかけた手を力なく下した。

過去の夢にまた囚われてしまいそうだから、傍にいてほしい、などという言葉は、

慧のありがとうの一言でのどの奥から出なくなってしまっていた。

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.241 )
日時: 2014/04/19 23:36
名前: いろはうた (ID: DYDcOtQz)

*朝起きたら、青い光の玉が、撫子のふとんの上を浮いていた。




当然のごとく、そこには本人の姿はない。

慧が起きるよりも早く撫子は目覚めたらしい。

しげしげと青い球体を眺める。

この感じからすると、霊力の塊だ。

おそらく撫子の言霊によって生成されたものだ。

言霊は物も形成できるのか…と感心していると、突然青い球体が輝きだした。


『慧』


撫子の声で名を呼ばれ、思わずびくっとした。

辺りを見渡しても本人の姿はない。

そういえば撫子はどこに行ったのだろう。


『私、まだ、村の皆さんに挨拶もなにもしてないから、少し出かけてきます』


「………」


『なるべく早めに戻ってくるようにするから、探さないでね。

 私、大丈夫だから』


「……………………………………………」


声はそこでとだえ、青い球体は霧散した。

しばらく声も出なかった。

数秒の間その場に立ち尽くしていたが、考えるよりも先に体が玄関にかけた。




「あんの、うつけええええええええええええええ!!!!!!」




慧は朝日に向かって吠えた。

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.242 )
日時: 2014/04/20 19:45
名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)

 慧君が、慧君が、
 慧君に萌え!

「ありがとう」とか……撫子ちゃんもキュンでしょう!

 撫子ちゃんも言えなかったんだね…… 
 あれですね、いろはちゃんの物語に出てくるキャラクターは不器用な人が多いね
 そんな人たちのデレの瞬間を見るのが私の楽しみなんだけどね((


 本当に更新早くて、毎日楽しめる!
 見習わなければ……(~_~)


 更新頑張ってね!

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.243 )
日時: 2014/04/20 21:07
名前: いろはうた (ID: DYDcOtQz)

朔良ちゃん!!


君の所にほとんどいけていないにもかかわらず、
いつもコメントしてくれて本当にありがとう!!(TT)

更新速いねっていってくれたけど、そのうち遅くなります……
もうすぐ中間テスト……
入試まで10か月きっちゃったし……
うおおおおおおおおおうううううぅぅぅぅぅぅ………(悶絶


いろはうた自身が不器用な極みなので、君の言うとおり!!
不器用なやつらがいっぱい!!
慧とか慧とか慧とか!!!!!
っていうか慧!!!!!!
可愛がってあげてくれると嬉しいです(*^^*)

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.244 )
日時: 2014/04/20 21:41
名前: いろはうた (ID: DYDcOtQz)

*慧が吠える半刻ほど前に、撫子は過去の夢から覚めたところだった。



〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜〜*〜*〜*〜*〜*〜



私は不治の病におかされ、力なく布団に横たわっていた。

かたわらには、私の騎士、ハヤテが座っている。

長くつややかな藍髪を頭の上でたばね、長い前髪の隙間から強い光を宿す瞳がのぞいている。

凛々しい面差しに、引き締まった体をした青年。

私が愛しく想う人。

だけど、決して想いを伝えてはならぬ人。

彼には————既に想い人がいるようだから。



「……ねぇ、ハヤテ」

「……どうした」

「まだ…好きな人がいるの?」


これは幼い頃からそうだった。


「…ああ」


何度同じことを聞いても、ハヤテは同じことを答える。


「まだ…好きなの?」

「ああ」

「他の女性など考えられないほど?」

「ああ」


胸を切り裂かれるような痛みを、目を閉じてやりすごす。


「…君は?」


突然問い返され、私は重いまぶたをゆっくり開いた。

涼しげなまなざしが、ただこちらに向けられている。

彼の瞳に映っているのが自分だけ、という事実にじわりと胸が熱くなる。

かさかさにかわいた唇をそっと開く。


「……いるわ」

「……」

「他の男性なんて考えられないくらい、好きな人が。」


それは……あなたのことよ。

そう、言えたらどんなにいいだろう。

そして、おれもだ、って応えてくれたらどんなに……

だけど、自分の命はそう長くない。

だから、想いは告げない。

ハヤテは早く私のことなんて忘れて、楽になればいいのだ。

その好きな女性と結ばれて、幸せになって、騎士という役目から解放されて……

しかし、なんて己は醜いのだろう。

私を忘れないで、と叫んでいる自分がいる。


「……はや、て……」


全力でなんとか腕を動かして、愛しい彼の手にそっと添えた。

ハヤテの手を握る力すら残っていなかった。

だけどそれでもいい。

彼に、つたえないと。



「今まで……ありがとう……。

 幸せに…なっ………て………」




愛しているわ。

さよなら。

言えない言葉をひきつれて、私は永久に意識を手放した。









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