複雑・ファジー小説

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【旧】神々の戦争記
日時: 2012/11/04 07:16
名前: 海底2m (ID: B8PJVqz2)

初めましてこんにちは、海底2mです

とりあえずルールの前にあらすじを^^


五十嵐勇は、魔法に近い存在『シピア』の力によって志の神の作り出した悪魔『妖魔』を倒していく組織、ゼンザスネクラフ支部に入部した。仲間たちと共に次々と妖魔退治をしていく勇であったが、ある日とある組織によって支部が襲撃される。彼らの名は黒鴉——真の平和を求めると、無料動画サイトに犯行声明を載せた。支部が混乱に包まれる中、黒鴉は二度目を襲撃を行うと宣言。同時に氷雨の身柄も要求した。彼らの目的は?そして鈴原家のもう一人の父親が物語るものとは?出会ってはいけない糸が、ついに触れ合おうとする!!非現実的バトルストーリー第一弾!




それではルールです(w)
 ・コメント大歓迎!
 ・黙読でも大歓迎!!
 ・でもやっぱりコメント欲しいです!!!(←


目次、登場人物等は別で用意します。


- - - - - - - -*-降臨された神々様-*- - - - - - - -
         
         +咲野 留季様+
         +ハーマイお兄様+
          +きなこ様+
          +JUDGE 様+
         +キヨムラ様+
          +みやの様+
         +フレイア様+
         +アルテマ様+
         +ヘルメス様+
         +檜原武甲様+
          +秀麗様+
        +ワッツミッツ様+
          +みう様+
          +楽朝様+
   +ハヤシライスのハヤシは、「林」じゃない様+
        +ホットアリス様+
          +さあら様+
         +愛河 姫奈様+
           +御鳥様+


皆さん応援ありがとうございます!!
参照3154まで頑張れる気がしてきたッ!!



- - - - - - - -*-目次-*- - - - - - - -

プロローグ                       >>2
登場人物 & 世界観                >>4
--------------------------------------------------------
第一章
  第一話 「神とか…いるわけねーじゃん」   >>3
  第二話 「記憶」                  >>22
  第三話  「たかが幻、されど幻。彼の瞳もいつも幻(殴」 >>79
  第四話  「コメディを取り戻すべく旅へと出かけよう」   >>161
  第五話  「裏鉄隊と残された一匹」              >>203

--------------------------------------------------------



※現在更新停止中でございまする
*世界観はすべて開発中の物です
*題名は一応決定しました

Re: 神々の戦争記 ( No.66 )
日時: 2011/11/04 14:57
名前: 海底2m (ID: gM/NzqHW)


後片付けをしている最中、勇はふと違和感を覚えた。
「おい、なんか今変な感じしなかったか」
川島は土塊を埋めていたスコップをザクッと地面に突き刺し、手を止めた。

「そうか?気のせいじゃないのか。てかお前も手伝えよ」
「あ、あぁ……」

そういわれて岩を運び始めては見たものの、やはり違和感は消えない。
勇はどうしても作業に集中することができなかった。



「!!!!!!」
不意に襲いかかった悪寒に、荒川は目を見開き、上を見上げた。

「どうした?」
察しの早い井上が聞く。
荒川は点を見据えたまま目を閉じた。この感覚を体感するのは人生で二度目。一回目は荒川がまだ中学生のころだ。

「奴だ……舞い戻ってきやがった」

それで井上はすべてを悟った様に、静かに目を閉じた。
荒川はゆっくりと無線機の周波数を調節し始めた。

「どうしたー?なんだか重い空気が伝わってくるんだが」
ガッハッハと滝浦は笑いながら応答した。
その時までは、滝浦は荒川からの報告がそれほどまでに重大なものだとは思っていなかった。

『あるお知らせが』
「どうした、言ってみろ」
滝浦の声もさすがに重みを含んだ。ここまで荒川がシリアスなのは……いつものことなのだがなんだかおかしい。


そして、滝浦は絶句した。

Re: 神々の戦争記 ( No.67 )
日時: 2011/11/05 14:47
名前: 海底2m (ID: jHk4FiMo)

「やっぱおかしい、なんか来るって絶対」
「まだいってんのかよ。分かったから運べ。日が暮れちまうぞ」
川島は聞く耳も持たずにせっせと土塊を崩していく。

「…………」
勇は遠くを見据えた。
黒い森はざわざわと木々を揺らし、気持ちの良い風が通り抜ける。

と、その時。


「な、なんだあれは!?」
一人の隊員が声を張り上げ、遠方の山を指差した。
勇と川島、それにファレンは瞬時にその指の指す方向を凝視した。

「……妖魔…か……?」
川島が目を細めながらつぶやいた。
勇も揺れる山にポツンと一点だけ黒くなっている個所を発見し、小さくうなずく。

と、黒い点は一気に飛び上がった。
垂直に跳ね上がる点を目で追いかけていくとやがて輪郭がはっきりと大きくなっていき、そして——


『スタンッ』



それは数十メートル先の地面の上に着地した。


近くで見てみると、それは明らかに狼だった。しかも巨大な。
体長約5mはあろう、漆黒の毛におおわれた狼の瞳は、するどく、とがっている。
心なしか歳をとっているように感じるのは気のせいだろうか。

「来たか」
荒川は手に赤く燃え上がる火をまとった。
むきになるなよ、という井上の呟きは、もう荒川の耳には届かない。

沈黙を破ったのは滝浦だった。
「よう」
滝浦は一歩前に出ると、野太い声で狼に呼びかけた。

「ひっさしぶりだなぁ、フェンリル。また暴れにでも来たのか?」
滝浦の声に辺りにざわめきが起こった。

「フェンリル……」
静かに、そしてマイペースに呟く鈴原に、荒川が答えた。






「そうだ、ザーダ・N・フェンリル。

 東の大惨事を引き起こした張本人だ」






Re: 【宿敵】神々の戦争記【再来——】 ( No.68 )
日時: 2011/11/06 14:57
名前: 海底2m (ID: dXgNALUm)

『お前を見るのはこれが初めてなのだが』
「っ、喋った……!?」

突然川島の頭に直接響いた低い声は、明らかに狼——フェンリルが発したものだった。

『喋っているわけではない。心に話しかけている』
「んなマンガみてぇな話が」
あってしまうのである。残念ながら。

「なんにしろ、貴様は何の理由でここにいる?」
滝浦がニヤニヤと笑いながら問いかけた。
そこで初めて、滝浦のその笑い方がいつもとは違うことに川島は気が付いた。

『気まぐれに付き合ってやってるだけだ』
「誰の?」
滝浦の口調はいつの間にか鋭くなっていた。

『それは答えられん』

長い沈黙があたりを覆った。
川島がふと横を見やると、一言も発しない勇がそこにいた。
不思議に思って顔を覗き込んで

——ようやく分かった。

勇が喋らない訳を

心の底から憤っている訳を

そして、勇が抱えている屈辱の塊を——


「……お前…フェンリル、っつったっけ。12年前、お前東エリアに入ったよな」

まずい、これはまずい。
その場にいるすべての隊員がそれを悟った。

滝浦以外は。


『そのようだな「ナメんなよ」
フェンリルの言葉をさえぎって、勇は低く唸った。

「俺はな、親の仇とか、恨みとか、そういうことじゃねぇんだよ」

静寂はなお一層、深みを増す。


「……てめぇをぶっ殺してぇんだよ!!!!!!」
「五十嵐!!」

荒川が叫んだ時にはもう遅かった。
突如勇の頭上の空から一気に黒い雲が広がり始め、完全に太陽は隠れた。
轟音を立てながら稲妻が次々に落下する。

そして、二本の稲妻が勇の両手に結び付いた。
激しいショートする音と共に、勇の腕からは青い火花が飛び散り、
稲妻は筋道を変えながらも、勇と天を結び続ける。

「死ねゴラァァアアアァア!!!!!!!」






「五十嵐ッ!」
荒川は全身を炎でくるむと勇に飛びかかった。炎はバリアと化し、電撃を弾き飛ばす。
だが、それを押しのけるように稲妻はなお勇の腕から発し続け、バチバチと火花を散らした。

「目ェ覚ませこのッ…」
「離せぇぇええええぇぇええ!!」

ついに、電撃は炎を一気に囲い、渦を巻きながら荒川を吹っ飛ばした。

「殺すッ!!!!!!」
勇は一心不乱にフェンリルに向かってダッシュした。軌跡に黒い焦げと火花が散る。
腕からは、後方の天へと続く稲妻が轟音を鳴り響かせながら走っている。

「ウオォオオオオオオォォッ!!!!!!」

勇は両手をバチンと叩くと、それを再びゆっくりと開いていった。
手と手の間に蜘蛛の巣のような電撃が張り巡らされ、その中央に矢のような稲妻が発生する。
そして、両手を思いっきり叩きつけた。

『ズダァァァァアアアアアアン!!!!!!!』
轟音と共に矢が発射された。稲妻は一直線にフェンリルに突進し、隊員たちが息を飲む中——

『ジパッ』
黒い体毛に覆われたそれに直撃した電撃は、か弱い静電気のごとく跳ね返った。
フェンリルは依然表情を変えない。

勇が呆然と立ち尽くし、電撃が弱まったのを見計らってから、周りの隊員が総出で勇を押さえつけた。
抵抗はない。

荒川はゆっくりと勇に近づいて、
















——肩に刻印されたそれを見た。










そして、確信した。

やはりこいつはこいつなんだと——








フェンリルは小さく言い放った。
『お前を喰らったら、米一口分ぐらいにはなるのかもしれんな』
そう言い終わった瞬間、フェンリルの周りを紫色の球体が覆った。

そして、消えた——
辺りを再び静寂が包みこむ。

「……作業再開だ。全員持ち場に戻れ」
滝浦のその声に秘めた思いを知る者は、おそらく新入隊員以外の全員だ。


ネクラフ支部防衛部の宿敵との再会は、たったの3分にも満たなかった。

Re: 【宿敵】神々の戦争記【再来——】 ( No.69 )
日時: 2011/11/06 16:09
名前: 海底2m (ID: dXgNALUm)

翌日からは平常通りの訓練が行われた。当たり前の、いつも通りの風景。
だが、勇は違った。
ドジを踏むこともなく、うっかり、などと言って銃を乱射することもない。
もっとも、それは性格での問題であって、実力は何も変わらない。

「どうしちゃったんだろ」
川島が一人で昼食に向かおうとした時、桐山が隣にやってきた。
「さぁな、昨日のフェンリルでピリピリしてるんじゃないか。なにせ親を殺した奴だからな」
川島は上の方を見上げて言った。桐山は肩をすくませる。

食堂に入ると、勇の姿はなかった。仕方がないので二人で向かいの席に座る。

「隣いいか〜?」
しばらくして鈴原がポリポリと頭をかきながらやってきた。おそろしい隈が目に留まる。
「どうしたんですか、その目」
「あぁ、これ?そうそう昨日ネトゲーで、ってそんなことを話しに来たんじゃないんだなー」
かすめた新事実を隠しつつ、鈴原は身を乗り出した。

「昨日の五十嵐さー、何だかわかるか?」
鈴原が目をキラキラ——させてはいないが、聞いてきた。
「あの暴走ですか?」
桐山が首をかしげた。鈴原は小さくうなずく。
「何かあったんですか?」
川島は手を止めて聞いた。鈴原はすっ、と身を引いて椅子にもたれかかった。
ポケットから携帯ゲーム機を取り出し、ピコピコと操作を始めた。
軽快な、あの旅する赤いヒゲおじさんの音楽が流れ始める。

「あれなー、野生だよ」
鈴原はさほど熱中していないのか、半ばうわの空でゲーム機を操作する。
が、しばらくしてお決まりの死亡サウンドと共に、鈴原の表情は苦痛に満ちた。よくわからない人である。
「野生、ってどういう意味ですか?」
桐山は長いスプーンを器用に操り、パフェを一口、口に入れた。

鈴原はコトッとゲーム機をテーブルの上に乗せた。画面には「GAME OVER」の文字が表示されたままだ。
「普通雷シピアってー遠距離攻撃に不向きだ。わざわざ電線銃使うくらいだし」
「……空気の電気抵抗があるからですよね?」
川島が念のため確認する。

目の前のパフェ女に目を戻すと、完全に話から離脱していた。
川島には分かる。この女は下手すると勇以上に馬鹿なのだ。先輩に対する敬意のかけらも見当たらない。
もっとも、鈴原がそんなことを気にする人間ではないのは分かっているのだが。

「ぴーんぽーん。結局導線使うことが多い。…でも昨日の見ただろ?」
ズイっと鈴原が身を乗り出してきた。
少しだけ顔を遠ざけると、引かず、鈴原は顔を覗き込んできた。

「あの電撃」
川島もよく覚えている。というか、昨日のことなのだから当たり前だ。
視界が覆い尽くされるほどの閃光と共に、勇の両手から一直線に電撃が発射された。

「なんでだと思う?」
正真正銘、目と鼻の先の鈴原の問いただしに、川島は小刻みに首を振った。


そして鈴原の言葉に、川島は絶句する。
口をぽかんとあけて長いスプーンを取り落す桐山が視界の端に映った。

Re: 【宿敵】神々の戦争記【再来——】 ( No.70 )
日時: 2011/11/08 14:48
名前: 海底2m (ID: 4/IWUjDv)

「……どうぞ」
青木は、高等佐官室の扉をノックする音に応えた。
「失礼します」
ガチャリと開いたドアの向こう側の人物が、深く敬礼した。

——荒川だ。

「座ってください」
青木はソファから立ち上がって、小さなガラスでできたテーブルの向かいにある一人掛けのソファに荒川を座らせた。

部屋はシックに決まっており、古時計やシャンデリアなどが飾ってある。
床には、いかにもそれらしい赤いつるの模様が描かれた絨毯が敷かれ、木組みの机にはどっさりと資料がのっている。
完全なる青木の個人書斎だ。

小さく頭を下げてから、荒川はソファに座った。
「紅茶でも入れましょうか」
ゆっくりとカウンターの方に歩いて行った青木は聞いた。
「お気遣いなく」
スーツを着る荒川は静かに断った。

「…五十嵐君のことなんですけれども」
青木はトポトポと紅茶を入れながら言った。
荒川はおそらく、次青木が口にする言葉を知っている。
「今度もう一度精密検査をすることにしましたよ」

紅茶を二つ手にして、青木は戻ってきた。荒川は申し訳程に口をつけた。
「訓練にはいつから復帰できますか」
荒川の問いに青木は静かにため息をつき、ソファに腰を下ろした。
「わかりませんね。おそらく二週間か、長ければ1ヶ月か……
 いずれにせよ、結果が陽性であれば封印を施す必要があります。そうなれば訓練復帰は遠い先でしょう。それに…」
部屋の中に静寂が訪れた。ゆっくりと古時計の秒針の音が聞こえてくる。

「本人に聞いた方が早いのではないのでしょうかね?」
青木は荒川を見つめ、にっこりと笑った。荒川はそれを避けるように目を落とす。
荒川は苦し紛れに口を開いた。
「状態が違います」
「それは封印を処しなくとも制御できるという自信からですか?」
荒川は言葉に詰まった。選ぶ言葉を間違えた、と心の底から思った。

「……荒川君」
青木はカップをコトリと皿の上に置いた。 、、
「五十嵐君、川島君、それに鈴原君と共に彼女を訪ねてみては?何か心が開くきっかけになると思いますよ」
「……了解しました。では、この辺で」
荒川はゆっくり立ち上がり、青木に背を向け歩き出した。

「失礼しました」
荒川はドアの前でもう一度敬礼すると部屋を出た。

「……何より、五十嵐君の彼との接触は何としてでも食い止めなければなりません」
誰もいなくなった部屋の中で、青木は古時計に語りかけた。


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