白い聖職者と銀色の侍 作者/竜吉 ◆l6j3DHrYv.

第十七話「覚悟」



「問題って一体何なんですか?」


ヘブラスカやコムイの言葉に感じた疑問を話す新八

因みに何も聞かされてなかった銀時は、ヒットポイントがレッドゾーンに突入しかけている


「昨日調べてみたけど、この木刀はイノセンスと見てまず間違いない

だけどそれにしては少し異常な点があるんだ」

「異常な点って・・・」

「例えば、本来ならヘブ君はエクソシストの中に同調率が100%を越す『臨界者』が現れると

それに対アクマ武器の石箱(キューブ)が共鳴して身体に異常をきたすんだ」

「でもヘブラスカさんに異常が出た様には見えませんよ?」

「そう、そこが異常なんだよ。

それにこのイノセンスは能力や性質が全く分からなかった上に原石に近い状態だったんだ

イノセンスとの身体的な繋がりがない装備型の適合者は原石が持つ強大な力を制御する事が難しい

だから加工・武器化をしないとイノセンスの力を抑えてシンクロし、武器として扱う事が出来ない

適合者の肉体の一部が武器化した寄生型は例外だとしても、君は多分装備型だろうからね

にも関わらず君はこの木刀でAKUMAを破壊した上にシンクロ率もあれだけの数値を出した

―――これは仮説なんだけど、このイノセンスは不完全な状態で普通と比べて力が弱いんだろうね

だから臨界者レベルの数値が出てもそれに実力が伴わなかったから石箱が反応しなかった

まあ同調率は高いから、君の戦闘能力は普通のエクソシストと同じレベルだと思うけど」


「「・・・先生、解りません。何が解らないのかワカリマセン」」

「・・・ちょっと難しかったようだね」


この二人にコムイの長文ハードルを越すのは無理だったようだ

そうそうに考える事を諦めている


「簡単に言うと、君の木刀はイノセンスで君は適合者で間違いない

だけど君とこのイノセンスは異例ずくめだという事だね」

「・・・じゃあやっぱ俺はエクソシストにならねーといけねーのか?」

「――結果的にはそう言う事になるね」


でも、と付け加える


「これだけ異例尽くめって事は、今後も何か変化があるかも知れない

つまり君が適合者じゃなくなる可能性もあるって事」

「って事は・・」

「この件に関しては上と掛け合ってみるから

暫くは仮エクソシストみたいなもので教団に在籍するといいよ

ただし十分に戦えるからには任務に行って貰う事になるから、その辺は覚悟しといて貰うけど」

「あの、僕達は此処に残っても大丈夫なんですか?」

「・・・それは君たちの意思に任せる事にするよ

ただし命の保障が出来るとは限らないよ」


それでも構わないかい?


「・・・構いません。それに銀さんだけが危険な目に遭うのはこんな事情でも納得いきませんから

神楽ちゃんや姉上もきっと残ると思います」


「―――良い覚悟だね。じゃあこの事は僕が何とかしておくよ」



――――こうして、前途多難な僕等の黒の教団生活が始まる事になった



「大丈夫だよ。この辺新八は見込みあるから」

「何の見込みですか、何の」