小説カイコ

作者/ryuka ◆wtjNtxaTX2

◇第二話 左廻り走路編◇-11


あの人生ゲーム事件から約二か月。七月もほぼ終わりに近づいている。
終業式が午前中で終わり、それから少し掃除をしてから解散となった。
通知表というガッガリ度MAXな産物を貰い、全クラス中で騒々しい雰囲気が沸き立った後、みんなそれぞれの部活へと散らばっていった。

その頃、俺は体育科実習室へと向かっていた。なんでも、やっと部活のユニフォームとジャージが業者から届いたらしい。
実習室に着くと、他の一年生メンバーはみんな揃っていた。既にみんな、自分の分はもらった後らしく、片手に真新しい青のビニール袋を持っていた。
顧問の津田先生からユニフォームとジャージを一式受け取ると、どうゆう訳だか「鈴木と高橋ちょっと来い」と言わてしまった。……何か悪い事したっけ。

「お前ら、新人戦でリレー組めよ。」津田先生は どっこいしょ、と椅子に座りながら言った。たちまち椅子がキィキィと悲鳴をあげる。「佐藤と張と四人でな。四継かマイルかはお前らに任せるからさ。新人戦ってことをよく考えて決めろよ? 決まったら教えろな。………以上!!」

四継とは一人100mずつ走って、四人で合わせて400m走るリレーで、マイルとは一人400mずつ走って、合計1600m走るリレーだ。正直言って、マイルはやりたくないなぁ……400mとか専門外だし。

「おい、高橋。」鈴木と二人で渡り廊下を歩いている途中、鈴木が話しかけてきた。「マイルに決まってるよな?男ならマイルだよな?」

「えー!? 俺四継がいいな。400mとかマジで無理。」そりゃ鈴木は普段400mハードルとかやってるからいいかもしれないけどさ。「ちゃんと走り切れる気がしないよ。」
「大丈夫だって!夏練で俺と一緒に400m走ろうぜ☆」 輝かんばかりの笑顔。出た!これがウワサの鈴木スマイルか!
「……む。そのスマイル俺にも通用すると思うなよ。」

鈴木はちぇっ、と舌打ちをして先に部室に行ってしまった。まったく、これだからイケメンは………くれぐれも、女子のみなさんはこういう奴に騙されないでいただきたい。
しかし、リレーかぁ。実を言うとちょっと楽しみでもある。それに中学の時、惜しくも県大会でベストエイトに入れなかった悔やみもあるし。





それから結局、マイルは張先輩の猛反対を受けて却下となり、四継をやることになった。