二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- kskと世界の仲間達
- 日時: 2013/10/09 00:04
- 名前: 旧世界の神 ◆qG6Aph5m22 (ID: H1c8Uwl2)
クリックありがとうございます。
始めまして、旧世界と申します。
今回執筆させて頂く「kskと世界の仲間たち」は、ポケモンのリレー小説です。
この小説は「kskと愉快な仲間たち」の続編となりますので一読推奨します。
もちろん、前作を読まなくても楽しめるよう努力していくつもりです。
※現在前作はご覧になれません、ですが今作とは全くもって世界観から違うので読まなくても問題ありません
先述しましたがこちらは「リレー小説」です
多少のグダりはあるものだと思って御容赦ください
感想・意見大歓迎!
辛口意見お待ちしてます
※この作品はフィクションです。
実際の人物、事件、団体とは一切関係ありません。
どっか似てたとしてもそれは他人の空似です。
幻想です。
冬の小説大会では皆様の応援のお陰で金賞を頂く事が出来ました!
読者の皆様にはこの場を借りて作者一同より感謝の意を表させていただきます!
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- Re: 【人気投票開催中】kskと世界の仲間達 ( No.221 )
- 日時: 2013/04/17 00:56
- 名前: 旧世界の神 ◆kkr9m4c7Y6 (ID: W.5mAcGt)
グレイフィア達の足音はもう数えるのも億劫、というよりは数えようとする者などいないだろうという程の数まで膨れ上がっており、例えるならそれは真夏の昼に蝉の鳴き声を数えるように膨大な数だった。ざっとワットが見る限りではグレイフィアは今十数人、いやもう二十人は居るだろうか。
この増殖が恐らくグレイフィアの辿り着いた『形』の一つなのだろう。
この増殖を基本形とし発展して行く、ワットで言う『構え』のタイプなのか、それとも全く別の発展の仕方をする『二枚刃』のタイプなのか。
それはワットには分からない、増殖の原理も分からない。
しかし、グレイフィアの集団から飛び出した三人を捌かなくてはならない事は分かっていた。
「これが私の辿り着いた『形』……戦型『霞』!」
三人は氷製レイピアをワットに突き立てんとし、三方向からの攻撃を仕掛ける。
その攻撃を読み、二人の攻撃を上手くいなしながら残りの一人を『構え』の体制を崩さぬまま斬りつけた。
殺しはしない様に切ったが、どうも手応えがおかしい事にワットはすぐ気付いた。
切ったグレイフィアからは血が飛び散らない。肉を断つ感覚もない。
この時ワットは、この違和感の理由とグレイフィア増殖の謎について理解した。
(こいつ……氷だ! 氷人形だ! グレイフィアは大量の氷人形を作り出し、それを操って攻撃しているのでしょう! グレイフィアに見えるのは……氷を使って光を屈折させ、氷をグレイフィアに見せかけているだけに過ぎない! トリックは簡単な物でしょう!)
「大量の氷人形を操っているからか……一つ一つの動きがなまっちょろいでしょう! 見切れる! 簡単に!」
続けて残る二人も真っ二つにした時、ワットは既に複数のグレイフィアに周りを囲まれている事に気付いた。
「紳士一刀流! 『木枯らし』!」
高速の一回転切りで、周りのグレイフィアを一気に蹴散らす。
そしてワットは回転の最中、一つ異様な闘志を放つグレイフィアを見付けた。
(あいつだ……あいつが本体!)
回転の終わりと同時に、ワットは宙へ跳んだ。
そして、そのままグレイフィア目掛けて刀を振り下ろす。
「紳士一刀流『滝壺落とし』!」
しかしワットは、そこで異様な違和感を感じた。
(おかしい……こいつまるで防ぐ気が無いでしょう……まさか!)
ワットの予感は的中した。
刀を振り切って真っ二つになったのは、氷のダミーグレイフィア。
本物のグレイフィアは。
またしても天井に張り付き、ワットを見下ろしていた。
(闘志の主は上だったか……! まずい!)
ワットがそう思った時にはもう遅い。
グレイフィアは天井から飛び降り、ワットの刀の上に寸分の狂い無く着地した。
そして、そのまま地面と刀を接着する様に凍らせてしまった。
(近距離の物をこんなに速く凍らせられるとは……驚異としか言いようの無い成長スピードでしょう……! もう……こうなったからには、アレをやるしか……!)
「私の勝ち、のようですわね……とどめを喰らいなさい! 氷技『氷突』(アイスピック)!」
その瞬間、ピクリとも動かない自らの刀と、迫り来るグレイフィアの右手を見て、ワットは一つの決意をした。
ここで終わる訳にはいかない、自分の目的を果たさなくてはならない。
その為には、何を犠牲にしても構わない。
ワットの中には、どこまでも深く黒い漆黒が渦巻いていた。
否、ワットには漆黒しか無かったのだ。最初からそうだったのだ。
機械に与えられた感情など、その程度、ちっぽけで、すぐにでも黒に飲み込まれてしまうのだと、ワットは感じた。
いくら紳士を装ったって、自分は紳士ではないのだ。壊す為、殺す為に作られた、ただの機械なのだ。
ワットが自らの漆黒を受け入れ、自らと再び向き合ったその時。
ワットは、紳士である自分を捨てた。
「ッ?!」
グレイフィアはワットの刀の上から飛び退いた。
本能がそうしたのだ。戦闘者としての奥深くに沈んだ本能が。
『ここに居てはならない』と、グレイフィアの神経を押すのを自らで感じられたと思った。
そして、それが正しかったのだと、グレイフィアは目の前のワットを見て思った。
もう声は出なかった。足も動かなかった。目を合わせてしまった。それだで彼女の全てが停止した。
今までグレイフィアを支えて居た異様なまでの戦闘への執着と闘志は、全て『恐怖』に変わった。
もうグレイフィアは動けない。『恐怖』に、足元から縫い付けられている、とグレイフィアは感じた。
グレイフィアの目には、真っ二つにされ絶命する自分が写っている様に見えた。
まな板に乗せられ、逃れられない死の運命を待つ魚の様に、自分もまたこれから斬り殺されるのだと、グレイフィアは思った。
グレイフィアともあろう者をを一瞬にして震え上がらせるだけの殺気が、彼にはあった。
紳士とは真逆盧に位置するであろう彼の姿が、そこにはあった。
その殺気はグレイフィアを雁字搦めにし、空気を震わせ、血を求めた。
彼は、殺気そのものと成り果てた。
「刀刃刄……『終の構え』」
そう言うと彼は、刀を地面から引き剥がした。
もう彼の剣技は、紳士の物では無かった。
「奥義其ノ一……『阿修羅』」
音も無く振り上げられた刀が、二本にも三本にも、いやもっとそれ以上に見えた時、グレイフィアは自らの死を悟った。
彼がグレイフィアを殺めんとし、殺気を振りかざしたその時。
二人の間に、砂嵐が吹き荒れた。
- Re: 【人気投票開催中】kskと世界の仲間達 ( No.222 )
- 日時: 2013/04/27 21:06
- 名前: 旧世界の神 ◆kkr9m4c7Y6 (ID: MRwb6zkQ)
吹きすさぶ砂嵐によりワットはグレイフィアから距離を取らざるを得ず、刀を下ろして後退した。
「……思ったより……早く来たな……」
ワットとグレイフィアの間に割り込むようにして吹き抜けた砂は、しだいに集まり、形を成し。
一人の少年へと姿を変えた。
「やはり……な、砂、と言えばお前しか居るまい……おかか!」
おかか、と呼ばれた砂の男は、完全に人の姿となり、ぴょんぴょん飛び跳ねながら笑った。
「アヨアヨアヨヨヨー、随分派手にやってるかと思えば、お前本気で殺す気じゃないかパオーン? グレイフィアも運が良かったアヨッ、『決闘空間』が発動していたら割り込めずに斬り殺されていたアヨヨ、お前は本当にツイてるアヨヨヨーン……アヨッ、ワット、まだやるなら代わりに相手するけど……どうするアヨヨ?」
ふん、と鼻を鳴らし、ワットは刀を納めた。
「いや、やめておくでしょう……『砂を斬る』事はできない……それに、お前の訳のわからん言動を見ていると頭が冷えた……礼を言うでしょう、グレイフィアも……勝負は仕切り直し、という事で手を打とう」
グレイフィアはもう既に廊下の奥の闇に向かって歩いていた。
この戦いでの圧倒的な力の差、そして掴みかけた何か……それを考えると、今すぐにでも体を動かさなくてはならないと思ったのだ。
「全く……どこまでも戦闘脳なんですからねっ! あいつは!」
階段をカツカツと降りて来たのは、体のあちこちに扇風機のような物が付いた、機械じかけの人間。
というよりは、おばさんだろう。
「これはこれは……プリンセス・プリン、ご機嫌いかがかな?」
プリンと言う女(機械だが)は、ワットにずかずかと歩み寄り、大声で怒鳴った。「なーにがプリンセス・プリンですからねっ! 今更紳士ぶってご機嫌取ったって無駄なんですからねっ! 屋敷をこんなにめちゃめちゃにして! ここが壊れたら私達幹部は何処で寝泊まりすりゃいいってんですからねっ! もー少し考えて動きなさい! やたらうっさいんですよあんたは! 三階まで音が聞こえたんですからねっ!」
さっきまでは殺気の塊だったワットだが、今は完全に目の前のプリン姫とかいう幹部に圧倒されている。
紳士でもおばさんの口うるささはどうしようもない。
「め、面目無い……」
「だいたいあんたアラシ様に幹部のまとめ役任されてるんだから、もっと責任持って行動しなさい! あれで本当にグレイフィア死んだらどうするつもりですからねっ! 次の作戦はあいつが主体になるんですからねっ!」
「アヨヨヨ!? 雪が降ってるアヨー、どうりで冷えるはずパオーン」
あんたは少し黙ってなさい! とおかかを一喝するプリン姫。
そのまま、廊下の奥に向かって歩き出した。
「今日は兵器開発班の『ロキ』と『Vincent』に進行情報を聞きに行く日ですからねっ! ただでさえ基地本部は遠いのに、こんな事してたら日が暮れちまいますからねっ! 行きますよ、ワット、おかか! ボケっとしてる暇はありませんからねっ!」
おかかとワットは、はぁ、と溜息をついて顔を見合わせた。
「アヨヨヨ……おばさんはホントうるさいアヨ……」
「……おかか、お前は紳士と真逆の位置に居る様な奴だが……そればかりは賛成でしょう」
プリン姫に連れられて、二人はとぼとぼと屋敷を出て行った。
- Re: 【人気投票開催中】kskと世界の仲間達 ( No.223 )
- 日時: 2013/05/20 23:35
- 名前: 旧世界の神 ◆kkr9m4c7Y6 (ID: MRwb6zkQ)
グレイフィアとの戦闘から一週間が過ぎた。
ここ、『フミキングダム本社』まで後退したksk一行は、怪我人の治療を待つと共に次なる精霊使いの情報を待っていた。
「……つまり、俺らはksk達が居ないままここを離れる、と。そういう訳か?」
会議室でまず声を上げたのは、五月雨だ。
精霊使い探しのプランについての話し合いは、怪我人を除いたメンバーで行われて居た。
「ああ。こうも立て続けに幹部に遭遇するとなれば、アラシも本格的に動き始めたと考えるのが妥当。俺達には一刻の猶予も無いという訳だ」
話し合いを仕切るのはフミキ。今回の作戦は、怪我人を除き現在行動可能なメンバーでのみ実行する、と言い出したのが事の発端だ。
「確かにksk達の回復は待っていられないけど、主力の抜けたメンバーでの行動は危険だと思います。前回の様に、精霊使いを探して居たら幹部に遭遇する可能性も否定出来ません」
「いや、今回は敵に遭遇する確立が低いと言える」
タートナックを制し、フミキはタブレットの映像をボードに映し出す。
「これが現在ネットでちょっとした話題になっている『廃墟』の写真だ。述べ500人近くがこの廃墟の付近で突然ありえない物を見たり道に迷ったりしている、当然キングダムで独自にウラを取った物で500だ、実際の件数はさらに多い」
ボードの画面を切り替え、フミキはペンを取り出しておもむろに何か書き始めた。
「今までずっと噂話だとしていたが、この状況だ、確信が無くても行くしか無いだろう。これだけ有名なスポットにもなると、アラシも中々姿を表しにくい筈だ。自分の能力射程に入っているにも関わらず何百という人間を逃がしている、という事は少なくとも野蛮な奴では無いのは確か。原因が精霊使いの能力による物なのかも、敵が居ないかという事も、全く確証はない。だが、今の俺達は戦力が足りないのも確かだ。無駄足かも知れんが、行くだけ行ってみよう……と、とりあえず行く理由になりそうな事を箇条書きにしてみたが、どうだ?」
異議なし、という事で話し合いは終了を迎えた。
かくして、α、ksk、ケフィ、たまを除いたメンバーで『幻の廃墟潜入作戦』は実行される事となった。
「……よし、俺は残留組に話を付けてくる、お前達は外で待ってろ」
りかけいから受け取る物もあるしな、と付け加えて、フミキは部屋を出て行った。
- Re: kskと世界の仲間達 ( No.224 )
- 日時: 2013/10/09 00:19
- 名前: 旧世界の神 ◆kkr9m4c7Y6 (ID: H1c8Uwl2)
「りかけい、居るか?」
分厚い鉄製の自動ドアが開くなり、同時にフミキの口も開いた。
部屋に入ってすぐのソファに一瞥くれるなり腰を下ろして、そのままもう一度りかけいを呼んだ。
「はいはい、居ますよ居ますってば」
そーっと、手に持った箱を落とさない様に、いかにも抜き足差し足忍び足という言葉が似合いそうなスピードで近づいて来るりかけいに目をやってからフミキは、フンと鼻を鳴らして「遅いんだよ」、と悪態をつく。
仕方ないじゃありませんか、とりかけいが言ってからフミキの右足がパタパタと催促のリズムをきっかり丁度十八回鳴らして、りかけいはフミキの眼前に辿り着いた。
「お待たせしました、こちらになります」
言い終わるより先にフミキは箱をりかけいから奪い取り、乱暴に開け放った。
「ああっ、丁寧に扱って下さいよ、せっかく私が慎重に運んで来たのに」
それを聞いてフミキは、バカ言え、と嘲笑する様に一つ笑みを零して、「これから戦闘で使うのにこの程度で壊れてたまるか」と付け加えた。
箱の中から姿を表したのは、二対の龍がデザインされた白銀の2丁拳銃。
手に取って、フミキは思わず顔をしかめた。
重っ、という言葉を尻に加えて。
それを聞いたりかけいは得意そうな顔で目の前の鉄塊銃器の解説を始めた。
「何と言っても様々な機能を搭載していますからね! この我が社特性2丁拳銃の『メタルドラグーン』には!多少重いのもご愛嬌というヤツでございますよ! 対応特殊弾丸の増加、フックショットのスピードと距離強化、それに……」
りかけいの説明には耳も貸さず、フミキは何気無く引き金をグイと引いて見た。
すると、銃口から一筋のレーザー光線が発射され、研究室の天井にピンポン玉程の穴が開いた。
「「うぉぉおぉぉおおおッッ!?」」
叫び声がほぼ同時に二つ。
一つはこの部屋から、もう一つはこの部屋の真上のkskの部屋から。
それを嬉々として見ているのがりかけい。
「驚いたでしょう!? それこそが『メタルドラグーン』に付与された必殺技の一つ、名付けて『零銃』(レイガン)! 弾丸が一発もない時に引き金を引くと発射出来るレーザー光線で、連発はできませんがかなりの威力を……」
「おい」
暴走するりかけいの頭を掴み、フミキはドスの効いた声を発した。
「ロックぐらいしとけッ!」
手痛い、いや頭痛いと言った方が正しいであろう頭突きをフミキから貰ったりかけいは、涙目になりながららkskの部屋へと向かって行った。
- Re: kskと世界の仲間達 ( No.225 )
- 日時: 2013/10/14 21:40
- 名前: 旧世界の神 ◆kkr9m4c7Y6 (ID: H1c8Uwl2)
階段をのしのしと重い足取りで上るりかけいは、自らの勤めるこのキングダムの構造をたった今この瞬間だけは恨んでもいいだろうか、と思っていた。
病室棟はあまり使う事がなく、そこへ向かうのも久し振りであった為、端的に言ってしまえばりかけいは迷った。
元々、りかけいは研究棟と社員寮以外に立ち入らない性分だったのだ。
数多の壁に阻まれ、階段を上り下りし、パスワードの確認をし、何度も社員パスの地図と睨めっこをしながらようやく、kskの病室に辿り着いたのであった。
コンコンと形だけのノックから間髪入れずにドアを開け、ベッドの上でコインを回しているkskと対面する。
「お、りかけいじゃねーか! 久し振り」
「ご無沙汰ですね」
息が上がっているのを悟られないように出来るだけ静かに言うと、とりあえず開いた穴の確認をした。
「上も開いてるからさ、チェックなら忘れないでくれよ。雨漏りする部屋で寝泊まりとかシャレにもならねぇわ」
クルクルと糸を使ってコインを回しながら、kskは天井を指差す。
指の方向をチラリと見て穴の大きさを確認し、りかけいは白衣のポケットから出したメモ帳にサラサラと何か書き込んだ。
「……何してるんです?」
メモを取りながらりかけいが尋ねると、kskは得意そうにコインを回しながら、「コイン技の練習」とだけ返した。
特に反応は返さず、二人の間に沈黙が落ちたが、りかけいがメモをしまうと再び口を開いた。
「フミキング様とオメガから聞く話では、コイン技は見るも無残に破れ去ったそうですが?」
うっせーなぁ、と顔をしかめたkskが戦いで出来た頬の傷を右手人差し指で気にしながら言った。
「ちょいと油断しただけさ、なぁーに『ヤナップも木からフリーフォール』ってよく言うだろ? ……最近は言わない?」
殆ど死語ですね、とりかけいが返すなりkskはばつが悪そうに咳払いし、とにかく次は勝つからな、と言って再びコインを回し始める。
「その為に出来る事っつったら今はこれくらいしかねーよ」
「……お身体の方は?」
「呼吸は安定してるし、もうメシもバッチリ右手で食えるよ、激しい運動はきっついがな」
ほれこのとーり、と言わんばかりに右手から出した光糸でコインを上下左右に動かして見せた。
「ケフィはまだ腕が動かないし、たまの奴はうつ伏せで寝れねーってうるせーし、α……いや師匠は腹に穴が開いちまったんでメシも食えねぇ点滴生活さ。そんで何の用?」
りかけいはメガネをクイッと直し、右手と左手を突き出して、それぞれ人差し指を立てた。
「渡したい物と、聞きたい事があります」
「ほぉー、ずいぶん勝手なギブ&テイクだな」
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