二次創作小説(紙ほか)
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- バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
- 日時: 2016/03/25 21:41
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド
【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】
の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。
暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」
明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!
体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。
———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照
5〜5.5章及び各種設定 【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照
6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5 103時間目>>8-11 104時間目>>12-16 105時間目>>20-23
106時間目>>24-28 107時間目>>29-32 108時間目>>33-36 109時間目>>37-40
110時間目>>41-44 111時間目>>45-48 112時間目>>49-52 113時間目>>53-56
114時間目>>59-62 115時間目>>63-66 116時間目>>67-70 117時間目>>73-76
118時間目>>80-83 119時間目>>84-87 120時間目>>91-94 121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79
6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132
週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138
ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178
召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196
寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221
7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330
7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350
文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355
彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編
おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編
8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編
———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278
———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279
お知らせ>>270
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その① ( No.334 )
- 日時: 2016/03/18 20:48
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
「実はアンタらに頼みがあるんだけどねぇ」
「あ、はい何でしょうか学園ちょ———」
「「お断りだ、こんなババァは放っておいてさっさと帰ろう造」」」
ある日の放課後の事でした。授業も終わり今日はどうするか皆さんで雑談交じりに相談していると、学園長がそのように自分たちに頼みごとがあるとFクラスにやってきました。そしてそんな学園長の頼みを一刀両断する友人のアキさんにゆーさん。……相変わらずお二人と学園長って犬猿の仲ですよねー……
「何だい、つれないねぇ。アンタらは困っている人間を助けることもできないのかい?」
「は、話だけでも聞くべきではないでしょうかアキさんゆーさん」
「造、騙されちゃダメだ。どうせこのババァ何か余計な事を考えているはずだよ」
「明久の言う通りだぞ造。ババァが俺らに何か頼み事なんざ十中八九召喚獣関連のくだらん上に面倒な話だろうぜ」
そう提案するも、心底嫌そうな顔で自分を学園長から引き離そうとするアキさんとゆーさん。どうやら相変わらずこのお二人と学園長は馬が合わないようですね。
「以前はそれで酷い目にあったからのう。造も勝手に本音を喋る召喚獣のことを忘れたわけじゃあるまい」
「…………あんな屈辱もうこりごり」
「ウチもちょっと、ね」
「あ、あはは……」
あー……そう言えばそう言うこともありましたね。本音を喋ってしまう召喚獣のせいで大暴露大会になってしまった事を思い出す自分たち。アキさん、ゆーさん、こーさん、ヒデさんはうんざりとした口調で学園長を睨みつけ、島田さん姫路さんでさえも苦笑い気味です。
「まあそう言うんじゃないよ。今度のは召喚獣に酷い目に遭わされる心配はないさね。アンタらも———アタシもね」
そう渋い顔をする学園長。そう言えば本音を喋ってしまう召喚獣の実験を行った時、最後の最後でアキさん達の召喚獣の暴走(?)によりとんでもないしっぺ返しをくらったと後日本人から聞きましたっけ。アキさんたち曰く自業自得だそうですが……
「でしたら話くらいは聞いても問題ないですよね。それで学園長、頼み事とは何ですか?」
「そうですね。学園長先生、酷い目に遭わされるような事は無いってことは今回は召喚獣関係のお話ではないのですよね」
なら手伝いくらい大丈夫と判断し、学園長に内容を尋ねる自分と真面目で優しい姫路さん。
「いいや、召喚獣の話ではあるねぇ」
「「……そ、そうですか」」
……そう期待したのですが、やはりと言うべきか召喚獣関連の頼みごとのようですね。これには手伝いくらい良いのではと考えていた自分も姫路さんも思わず怯んでしまいます。
「…… ほぅ?“今度のは召喚獣に酷い目に遭わされる心配はない”って言ったなババァ。ならイマイチ信用ならんが一応話だけは聞いてやる。それはどんな頼み事だ」
「僕も一応聞いてあげますよババァ長。で、何の話ですか?」
「おや、何だい。文句は言いつつもやる気はあるのかい?全く素直じゃないねぇ」
「喧しい。正直ババァの頼まれごとなんざ聞きたくもない———が、召喚システム関連の話はちゃんと聞いておきたいだけだ。クラス代表としても……造の友人としてもな。いくら酷い目に遭ったからって、内容はしっかり把握しておくべきだろう」
「だね。僕らが試召戦争を控えている事は勿論、召喚システムは造にとって大事なものだからね。造の体質改善の為なら友達としてまあ、一応はババァ長に手を貸しても良いからね」
「そういうこった。だからこれはババァの為と言うより造の為だな」
「ふ、二人とも……!」
と、嫌々ながらもそう嬉しいことを言ってくれるアキさんとゆーさん。ふ、二人ともなんてお優しい……!
「あ、アキさんゆーさん……ありがとうございます……!」
「気にすんな造、内容次第だが造にとってプラスになるならこのババァの頼み、報酬付きで受けてもいいさ———」
「そうそう。だからこのババァ長の頼み自体は正直嫌だけど、ちゃーんと報酬を出させてから引き受けるよ———」
「「明久(雄二)がな!」」
ガスガスガスガス!×2
「「「「「…………えーっと」」」」」
お互いがお互いを指差して、そして今度はお互いが脛を蹴り合います。もう幾度となく見てきたアキさんとゆーさんの仲良し喧嘩。自分たちはこんな時どんなツッコミをすればいいのやら。
「テメェバカ久……目的の為に俺を売るとはいい根性してんなぁオイ」
「雄二こそ……人を実験台にするなんて倫理観の欠片も無いようだね」
「と言うか待ちなバカ共。なーんで報酬がある前提で話してるんだい」
「「報酬一つ出さない気だったのか妖怪ババァ」」
「アンタらに何でアタシが報酬なんて出さなきゃならないんだい」
更に学園長も加わって、何だか混沌とし始めた模様。とりあえず話が一向に進みませんし3人を宥めることにしましょうかね……
「まあまあ皆さん落ち着いてください。学園長、前回が前回でしたし何が起こるかわかりません。こう言っては身も蓋もありませんが、少しでも報酬があったほうが後腐れがないですし皆さんやる気が出ると思いますよ」
「む……それは……まあ、それもそうだねぇ。なら仕方ない、食券くらいは出してやってもいいさね」
「けっ!食券程度かよ……しけてんなババァ」
「わかっちゃいたけど、相当あくどいよねこのババァ」
「それとお二人も。ここはちょっとした人助け兼バイトと思って、ね?」
「……まあ無いよりはマシか」
「だね、食費が浮くのは何にせよありがたいかな」
そんな感じで何とか交渉に成功。3人とも渋々ではありますが、納得してくれたようです。
「で、どうすんだ。まずは俺と明久、どっちからやればいい。ああ、めんどくさい奴は明久にパスな」
「厄介そうなのは雄二に押し付けてくださいねババァ長」
「安心しな、今回のは“二人用”だしちょうどいいからアンタら二人にやってもらうさね」
「「「「「「「え……二人用?」」」」」」」
「ああそうさ。来年の学園祭にやる召喚大会は趣向を変えたいと思っていてねぇ、その候補として二人用の召喚獣を考えているのさ」
召喚大会……いやはや色々ありましたね。“あの”教頭を追い出せたりアキさんと優勝して白金の腕輪を手に入れたり、一学期あった事ですのにもはや懐かしくすらありますよ。
「ま、清涼祭の召喚大会は試験召喚システムの対外的プロモーションを兼ねてるからな。ババァも去年とは違うことを画策しねーと金が入らないってことだろ。やれやれ随分涙ぐましいことしてんな学園長様は」
「それに関しては否定はしないよ。誰かさん達が学園の品位を下げてるお陰でイメージアップ等に忙しいのさアタシは。と言うわけで二人で一体の召喚獣を呼び出すのはどうかと考えて調整を入れてみたってわけさね」
「うーん、二人で一体ねぇ……」
「それなら前あった本音を喋る召喚獣のようなことは無さそうですよね」
「うむ、中々に面白い試みじゃのう」
操作性的には今まで以上に難しくなるかもしれませんが、その分出来ることも増えそうでヒデさんの言う通り面白いことになりそうですよね。
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その① ( No.335 )
- 日時: 2016/03/18 20:49
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「念を押すが召喚獣の暴走は無い、それはアタシが保証してやるよ。仮に何かあってもフィールドを取り消す方法もちゃんとあるさね。それならどうだい?」
「む……どうする雄二?」
「……正直ババァの言葉はビタイチ信用できんな」
「おいおい、そんなこと言っていいのかい?この召喚獣はアンタらにとってもいずれ役に立つかもしれないと言うのに」
「?学園長、それってどういう意味ですか?」
ニヤリと笑いアキさんゆーさんにそんなことを言う学園長。いずれ役に立つかもしれない……?
「まだまだ実験段階だがね、上手い事いくなら本格的にこの二人で一人の召喚獣システムをいずれ試召戦争に導入する可能性もあるってことさねチビジャリ。試召戦争大好きなアンタらが先にこの召喚獣を体験しておくのは悪い事じゃないと思うがねぇ?」
「なるほど……それでしたらゆーさん、アキさん。どうです?やってみる価値、あると思うのですが」
「……うん、了解。他のクラスに点数で劣る僕らからしてみれば、先にこのシステムを体験するのは確かにアドバンテージになるね。召喚獣の操作って僕にとっては命綱のようなものだし」
「……しゃーない。ババァに乗せられてるようで気に食わんが、やってやるか。他のクラスの連中に貴重な情報アドを持っていかれるのも癪だしな」
と、言うわけで自分や学園長に背中を押される形でこのシステムの実験に協力することになったアキさんとゆーさん。学園長も満足そうに召喚準備を行います。
「よし、なら決まりだね。いくよ———召喚許可、承認。起動(アウェイクン)!」
キィイイイイイイイイイイン ボンッ!
学園長が手を掲げそのキーワードを唱えるとともに、その二人用の召喚獣を召喚するためのフィールドが教室内に展開されます。ついでにもうすっかり馴染んでしまった起動音&召喚音と一緒に自分の身体も召喚獣へと変化します。……って、あれ?
《……?あ、あれ?何も……変わらない?あの、学園長。いつも通り普通の召喚獣状態のようですけど……?》
そう、召喚された自分の身体はいつもと同じで変化無し。見た目も装備も何一つ変わらないようですが、これちゃんと起動しているのでしょうかね?
「ん?ああ、そりゃそうさね。言っただろう、二人で一体の召喚獣だって。単独で召喚されれば通常の召喚獣が召喚されるのは当り前さね」
《ふむ、言われてみれば確かに当たり前ですね》
と言うことは、自分はこの二人用召喚獣の体験は出来そうにないと言うことですか……ちょっぴり残念ですけど仕方ありませんね。
「さて、じゃあそろそろ召喚してもらおうかねぇ。吉井でも坂本でもいい、相手の身体に触れてから召喚獣を呼び出してみな。それで出てくるようにしてあるよ」
「へぇ、それだけでいいんですか」
「簡単なのは助かるな」
その学園長の指示に、ほぼ同時にお互いの顔に手を伸ばすアキさんとゆーさん。そして———
「「ぐぁあああああああああああああ!?」」
———そしてお互いに思い切りその顔を力いっぱい鷲掴みにします。ミシミシミリミリと二人の頭蓋骨からは嫌な音が自分たちの耳にも聞こえて———って、お二人とも……
《あ、アキさんにゆーさん何やってんですか……?》
「わかりきっておったが、こやつらバカじゃな」
「…………いつものこと」
「こらこら、アキに坂本。ちゃんとしなさいって」
「あ、あはは……」
「「ぐぬぬ……さ、試獣召喚(サモン)!!」」
そのままアイアンクローを決めたまま、召喚獣を呼び出すアキさん達。妙な召喚方法ですがいつも通り幾何学模様がアキさん達の足元に出現します。
《ほらほら、アキさんにゆーさん。試獣召喚(サモン)したんですからいい加減アイアンクローを外しましょうよ。このままじゃお互い痛いだけでしょ》
「けっほけっほ……だ、だね……さ、さぁてどんなのだろうね」
「ごほっ……ふ、不毛だしな……にしても妙なもんじゃなきゃいいがな」
《ん……?何だか召喚に少し時間かかってません?》
「処理に時間かかるんだよ、ちょいと待っておきな」
その学園長の言葉通り少し待つ自分たち。待つこと数秒、いつもよりタイムラグはありましたが渋々アイアンクローを外したアキさん達の足元に召喚獣がゆっくりと姿を現します。その現れた召喚獣はと言うと……
「あ……か、可愛いですっ!」
「ほ、ホントね……!つ、土屋カメラで撮っておいて!」
出てきたのは今の自分のような三頭身の召喚獣ではなく、耳と尻尾はあれども二歳くらいの普通の男の子の姿をした召喚獣。何だか心なしかアキさんにもゆーさんにも似ている雰囲気がありますね。
《お二人にとても似ていますね》
「うむ、雄二と明久の間を取ったような外見じゃな」
「…………それを幼くしたイメージ」
「え、そう?いや確かに目元は雄二っぽい気がするけど……」
「外見なんざどうでもいいさ。んで、これはどう操作するんだババァ」
見た目なんか二の次三の次と言わんばかりに学園長にそう尋ねるゆーさん。興味のない事にはとことん興味がない辺りゆーさんらしいと言えばらしいですね。
「今回のは二人で召喚だし、干渉しあわないように操作は無くしてあるよ。二人の性格を元に自律行動をとるのさ」
「「「「「「《…………え?》」」」」」」
「ホレ、そいつを見てみな」
“自律行動”の単語に、この場の全員が前回の本音を喋る半自動化した召喚獣の事を思い出しドキッとしてしまい慌ててアキさん達が召喚した召喚獣を確認します。ですが取り越し苦労だったようで、召喚獣は特に問題行動を起こす気配はない様子ですね。
《うにゅ……?うー……(ぺしぺし)》
トコトコ歩いては教壇に上がったり机の下を潜ったりと遊びだす召喚獣。と、そんな召喚獣を観察していると自分とぱっちり目が合います。
《…………(じー)》
《?え、えっと……?どうかしましたか?》
《わー!きゃっきゃっ♪》
《うおぅ!?ど、どうしたんですホント?》
そのまま突然自分の手を取ってグルグル自分と一緒に回り始める召喚獣。な、何ごと……?
「何かコイツ造の事気に入ったみたいだね。何かホントに子どもみたいだなぁ……」
「そのようだな。このはしゃぎよう、まるでオモチャ与えらえられた幼児そのものだな」
《その理屈だと自分はオモチャなんですかゆーさん……?あぅ……そ、そろそろ離してくれませんか……》
《やー!》
召喚獣に遊ばれる自分を見ながらそう呟くお二人さん。そんなお二人の呟きに学園長は反応してこう話し始めます。
「おや、何だい。バカジャリ共のくせによくぞ気づいたねぇ」
「「うん?よくぞ気づいた?」」
「アンタらの言う通りさ、これは子どもだよ」
《?え、ええ。そうですね。見た目は本当に子どものようですね》
「いや、そう言う意味じゃない。この召喚獣はね、子どもなのさ———この二人のね」
そう言いながら、アキさんとゆーさんを順番に指差す学園長。……ん?二人の子どもって……
「「はぁああああああああああああああああ!?な、何気持ち悪い事言ってんだババァ!?」」
そんな学園長のお言葉に、思わず学園内に響き渡りそうなほど大声で絶叫するアキさんとゆーさん。
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その① ( No.336 )
- 日時: 2016/03/18 20:50
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「召喚者二人の性格・外見の特徴を召喚システムに処理させて二人に出来るであろう子どもを予想して召喚しているのさ」
《えっと。男性同士でも、ですか?》
「男同士でも、だね。そう言う意味ではそこの召喚獣は吉井と坂本の子どもってことさね。よく似てると思わないかい?特にこの二人のバカっぽさが上手く形に出ているようにアタシは見えるねぇ」
む、むぅ……それはまた別の意味で凄い。その学園長の説明にもう一度その召喚獣を見返す自分たち。あ、ああ……確かにあり得ませんがこの二人のお子さんが生まれるとしたらこんな感じになりそうな気がしないでもない気が……
「そう言われると……確かにこの召喚獣、明久たちの子どものような気がしてくるのう」
「…………二人にそっくり」
「ちょ、ちょいと待ったそこの二人!僕と雄二の子どもとかおかしいからね!?ついでにこんなバカな事考え付くババァ長は頭おかしいからね!?」
「まったくだ!こんなバカとの子どもなんぞ気色が悪いぞババァ、その発言取り消しやがれ!」
「気色悪いのはこっちだよアホ雄二!」
と、いつも通り睨みあい取っ組み合いの喧嘩があわや展開されるかと思った矢先———
《ケンカ、ダメ!(ガッ×2)》
「「うぐぁ!?」」
———突然自分と(と言うか自分で)遊んでいたその話題の召喚した召喚獣が、仲介に入るかのごとくアキさん達に飛びかかり二人の脛を思いっきり蹴ります。
「い、痛ったぁ!?……さ、流石召喚獣……外見子どもの癖に攻撃力がヤバイ……」
「的確に……脛を……!つか、こんにゃろ……喧嘩駄目って言っているのに暴力振るか普通……!?」
《お、落ち着いて召喚獣さん。ホラ、取っ組み合いは二人とも止めてくれましたからね》
《はーい》
この思い切りの良さ、そして暴力を止めるための暴力……確かにこの二人の要素が混ざり合っている感じですね。この行動で更に似ているように思えてき始めましたよ。
「造にたしなめられると大人しくなる辺り、やはりこの召喚獣明久と雄二に似ておるのう」
《え?そ、そうですか?》
「…………ああ。ますますそっくり」
「どこがだ!?畜生明久テメェ、子どもに一体どんな教育してやがんだ!喧嘩止めるために暴力振るう矛盾、テメェのバカさ加減が表に出すぎだろ!」
「ふざけないでよ!これは雄二の性格のせいでしょ!僕のせいにしないでよ!」
「いいや、この頭の悪さと喧嘩っ早さはお前のだな!」
「どう考えても不良そのものの雄二のだね!」
「ああもう五月蠅いねぇ。落ち着きなジャリ共。子どもの教育ってものは夫婦の責任だろうが」
「「誰が夫婦だババァ長!?」」
ゲシッ!×2
《またケンカ!!》
「「痛っでぇえええええええええええ!?」」
《あ!?こ、こらこら!ですから喧嘩を止めるための暴力は駄目ですってば!?》
アキさん達が大声を上げると、再びその二人の脛を蹴る召喚獣。せ、正義感のある良い子なのでしょうが……言葉より先に手———いいえ足が出るのは……やはりアキさん達似なんでしょうかね。
「く、くそ……なんちゅう馬鹿力……ええぃババァ!さっさと召喚獣戻しやがれ!」
「思いっきり僕らに危害加えているじゃないですかババァ長!?暴走しないって言ったの嘘じゃないですか!?」
「やれやれ仕方ないねぇ」
アキさん達の抗議に肩をすくめながら学園長が召喚フィールドを解除します。すると自分の召喚獣化も解け自分の隣にいたアキさん達の召喚獣が姿を消してしまいました。
「アキさんにゆーさん、脛大丈夫ですか?」
「う、うん……結構痛いけど平気……」
「あー畜生……やっぱババァに関わると碌な目に遭わんな。ともあれ協力はしたぞババァ、これで十分だろ。とっとと報酬出して失せろ」
「ですよね、お二人ともお疲れ様でした。では学園長、これで終了と言うことで———」
「いいや。まあ、アタシとしてはどんな召喚獣が出るのかわかったわけだしこれで終わりでも良いんだけどねぇ」
「「「へ?」」」
これで終わりと思っている自分たちに、学園長は何やら面白そうな表情でこう続けます。
「協力したいって言う可愛い生徒たちに応えてやるのも学園長の仕事だと思うんだよ。そうだろう———アンタ達」
「「「はいっ!」」」
「「「…………え?」」」
学園長の視線の先には、ギラギラと目を輝かせる姫路さんと島田さんと霧島さんの姿が。こ、これは……
「学園長先生!ぜ、是非とも子どもの姿を見せ———ではなくて、協力させてください!」
「う、ウチも協力します!ほ、ホラ生徒としては先生のお願いには応えないといけませんよね!」
「……任せてください先生」
母性本能が叫んだのか、はたまた想い人たちへの愛ゆえなのか。この場にいた姫路さんに島田さんは勿論の事、いつの間にやら現れた霧島さんまでやる気になっているご様子。
「いやぁ嬉しいねぇ。三人もデータ収集に付き合ってくれるなんて」
「任せてくださいね学園長先生!」
「さあ、気合い入れてお手伝いしなきゃね!」
「み、瑞希に美波?さっきまでもう召喚獣の試運転は嫌がってたのになんでまた急にやる気になってるの……?」
「姫路に島田、何ともわかりやすいのう」
「…………霧島もな」
「と言うかだな。おい翔子、今更ツッコむのもアレだがお前どこから現れた」
「……私たちの二人目三人目の子どもが見られると聞いて来た」
「霧島さん、それ一人目は自分をカウントしてませんか?してますよね絶対」
「つーか全然俺の問いに対する答えになってねーぞオイ」
まあ、自身の想い人との子どもの姿を見られるわけですし、恋する乙女たちにとってはこんなイベント見逃せるはずは無いでしょうからね。そんな三人の反応に満足そうに頷きながら再びフィールドを展開する学園長。
「それじゃよろしく頼むよ」
「わかりました!では———」
「それじゃあ———」
「……早速———」
すると、姫路さんと島田さんはアキさんの方に。霧島さんはゆーさんの方に召喚の為接触しようと手を伸ばします。
「「…………(ササッ)」」
それを後ろに下がって回避するお二人さん。……ん?どうしたんでしょうか。
「な、なんで避けるんですか明久君?」
「そうよアキ。おとなしくしてなさい」
「いや、何でも何も。二人とも協力するんなら二人で召喚すればいいんじゃないのかなーって思うんだけど……」
「……雄二、早く」
「いや、早くと言われてもやらんぞ。俺はもうやったし他の奴とやればいいだろ」
必死で召喚したがる女子三人と、こちらも必死で回避する男子二人。ジリジリ間合いを計りながらお互いがけん制し合います。あれ?それにしても何だかアキさんもゆーさんも先ほど以上に嫌そうですけど……何故に?ひょっとしてさっき召喚獣に脛を蹴られたからもうやりたくない……とか?
《んー……?アキさん達何だか消極的ですね》
「そりゃそうじゃろう。さっき召喚獣に暴走されかけておったしの」
「…………男同士の子どもを召喚されたしな」
「ムッツリーニ、それはもう忘れてよ。気持ちが悪くなるじゃない———」
「隙ありよアキっ!」
「えーい、ですっ!」
「———っとぉおおおお!」
伸ばされた手を素早く移動して回避するアキさん。相変わらずの危険予知と反射神経ですねー
「ええい、油断も隙も無いね!と言うわけで三十六計逃げるに何とか、さよなら!」
「付き合っていられるかってんだ!じゃあな!」
「あっ!明久君っ!」
「こら、待ちなさいアキ!」
「……雄二、逃がさない」
「HAHAHA!逃げ慣れている僕らに追いつけるなんて思わないことだね!」
「その通り!お前らじゃ俺らを捕まえられないさ!あばよ翔子、達者でなー!」
そんな捨て台詞と共に全力で逃げ出すアキさん&ゆーさんと、追うハンターの姫路さん達三人。えーっと、実験はいいのですか……?
「ったく、これじゃあ実験にならないねぇ。ホレ月野にそこの二人。さっさとアイツら追いかけな」
《え、あー……はい。行ってきます》
そんなわけで自分たちもあの5人を追うことに。ほんの少しの時間手伝うだけだったはずなのに、どうしてこうなったのやら……?
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その② ( No.337 )
- 日時: 2016/03/18 20:55
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
今回の学園長の召喚獣の実験は、二人で召喚すると二人の子どもがシミュレーションできると言うもの。そんな召喚獣に興味を示した女性陣3人に迫られて、何故だか必要以上に嫌がるアキさん&ゆーさんの二人は全力で逃亡してしまいました。
『ええい、油断も隙も無いね!と言うわけで三十六計逃げるに何とか、さよなら!』
『付き合っていられるかってんだ!じゃあな!』
『あっ!明久君っ!』
『こら、待ちなさいアキ!』
『……雄二、逃がさない』
『HAHAHA!逃げ慣れている僕らに追いつけるなんて思わないことだね!』
『その通り!お前らじゃ俺らを捕まえられないさ!あばよ翔子、達者でなー!』
———てな感じで、こんな会話があったのは5分ちょい前。
「さて、覚悟は決まったのかしらねアキ」
「明久君、もう逃げられませんからね!」
「……雄二、私から逃げられるとでも?」
「ひ、卑怯じゃないかな瑞希に美波!?」
「う、運動部使う何てズリーぞ翔子!?」
———そして今がこんな感じ。5分も保たずにアキさんゆーさんは三人の策により体育館の隅に見事に追い詰められていました。
「流石はアキさんやゆーさんの行動を熟知している姫路さんたちですね」
「…………所詮姫路たちと明久は狩るものと狩られるものの関係だしな」
「寧ろこの三人に5分近くまで逃げられたことを褒めてやるべきかもの」
学園長に実験の途中だから、早くあの5人を連れ戻してくるように頼まれた自分とヒデさんとこーさんも追いついて、ジリジリと迫られているアキさん達を観察します。
「雄二の言う通り、部活中の女子部活生皆に手伝って貰うなんてズルイよ!卑怯だと思うよ!?」
「そんな汚い真似をして勝って満足か?満足なのかお前たち!?恥ずかしくないのか!?」
「ねえアキに坂本、アンタ達よく『卑怯汚いは敗者の戯言』なんて言ってなかったっけ?」
「……雄二、その台詞よく言ってた気がする」
「「そんな外道な台詞言った覚えはない、きっと雄二(明久)が言ったんだよ(だろう)」」
「こやつらはどんだけ都合の良い脳味噌しておるのやら」
「…………しかもお互いがお互い擦り付けてる」
「ホント毎度のことながら……仲が良いのか悪いのかわかりませんねあのお二人……」
アキさんとゆーさんのそんな発言に、二人以外のFクラス仲良しメンバー全員が思わず苦笑いしてしまいます。と、そんな島田さん達や自分たちを見てアキさん&ゆーさんは———
「「いよっしゃ!隙ありィ!!(ダッ)」」
「逃がしませんよ明久君に坂本君!(ガシッ)」
「「っ何ィ!?」」
一瞬の隙を逃さず脱走———しようとしましたが、姫路さんがしっかりと捕縛していた模様。隙なんてなかった。
「み、瑞希落ち着いてよ!?冷静になってよ!?」
「冷静ですし落ち着いていますよ、大丈夫です。ちゃんと私たちの子どもを———じゃなくて学園長先生のお手伝いしましょうねー」
「それホントに落ち着いてる!?ホントに冷静なの!?」
「ナイスよ瑞希!さあ、大人しく連行されなさいなアキ」
「ひ、姫路!つーか何故お前は俺も捕縛する!?やるなら明久だけでいいだろうが!」
「え?だって坂本君逃げちゃったら翔子ちゃんが困るじゃないですか」
「俺が犠牲になるのは良いとでも言うのか!?」
「……グッジョブ瑞希。さぁ造の弟or妹を作りに行こう雄二」
うーむ、何だかいつもに増して女性陣はテンションもモチベーションも高いですね。
「あの……月野君?理由も聞かずに美波たちに頼まれるがままに吉井君たちを追い詰めたんだけどさ、今更だけど一体どうしたのかしら?」
「ひょっとして吉井君と坂本君がまた何かやったの?美波や姫路さんたち怒らせるようなことした、とか?」
「先輩たち、これってそもそも何の騒ぎ何ですか?」
と、そんなコントのようなアキさん達の問答を観戦していると、島田さんに応援を受けてアキさん達の捕獲を手伝った部活生の三年生や二年生、一年生が事情を知っている自分たちにそのように尋ねてきます。う、うーん……何と説明すればいいのやら。
「え、えーっと……話を要約するとですね、現在進行形で自分やアキさん達で学園長の実験のお手伝いをしていましてね」
「それで……何といえばいいのかのう。まあ要するに暴走する可能性もあるから乗り気じゃない明久たちと手伝いたい姫路たちの意見が割れてこうなった……のかの?」
「…………かなり婉曲した説明だが大体そんな感じ」
「「「なるほど」」」
下手に二人で召喚して二人の子どもが観測できる———なんて説明すれば変な誤解が生まれそうでしたのでそんな感じでちょっぴり誤魔化しながら説明することに。まあ、嘘は言っていませんし良いですよね。
「は、離して瑞希に美波……!」
「ダメです……!一緒に学園長先生のところに戻りましょう……!」
「ねえ、何で今日はそんなにアグレッシブなの瑞希!?み、美波と組めばいいじゃないか……!僕は遠慮するからさぁ……!」
「ひ、ひどいです……!どうして、どうして明久君は———」
と、そんな押し合い引き合いをしていた姫路さんが自分を含め大勢の生徒さんたちが見ている中、アキさんにしがみついたままこんなことを言います。
「———どうして明久君は、私と子どもを作ってくれないんですか!」
「この場にいる全員動くなぁあああああああああああああああああ!」
「「「———っ!」」」
姫路さんのそんな過激な発言の直後、体育館にいる全員に向けてそのように警告するアキさん。大声での警告だったため、怯んでしまい思わず“手に持っていた携帯でメールをする手を”止めてしまう部活生たち。
「ふぅ……よしよし、全員その構えた携帯電話を床に置いて手を頭の後ろに組むんだ。余計な動きは見せないように」
「「「くっ……」」」
「凄まじき判断力、流石ですねアキさん」
「このまま放置しておったら今の姫路の発言が学園中に噂されることになったじゃろうからの」
「…………危険回避は慣れてるしな」
「まあ、いつもの事だもんね。さて、造に秀吉にムッツリーニ。悪いけどさ、この場の皆にこの誤解を解いて———」
そう言って皆さんを牽制しつつアキさんが自分たちに誤解を解くように頼もうとした矢先。
「そうよアキ!どうしてウチとの子どもも嫌がるの!?」
ガチャガチャガチャ!
「誰が動いていいって言ったっ!?いいからさっさと携帯から手を離すんだ!!」
今度は島田さんがアキさんを更に追い込みます。そんな姫路さんや島田さんに煽られたのか———
「……雄二、私に早く二人目の子どもを産ませて。造に弟か妹を見せてあげたいの、お姉ちゃんにしてあげたいの」
ピピピピッ!!
「動くんじゃねえ!お前ら、全員携帯を置けと明久が言っただろうがっ!指一本動かすなゴラァ!」
「……造もお父さんに言ってやって。弟か妹が欲しいって」
「霧島さん。その理屈おかしいですよね?何故に自分坂本家の初子カウントされているんですか……?」
———ついでに霧島さんがゆーさんと……自分を追い込みます。待った、ホント待って。ですから何故に自分は坂本家の長女扱いなのですか……!?
「え、えっとさ!この場にいる皆に聞いてほしい事があるんだけど!」
「ご、誤解だからな!こいつ等の妙な発言は全部デタラメだ!説明してやるから耳かっぽじって聞け、いいか———」
このままではここにいる部活生たちにメールをされて、ある事ない事学園中に噂されると判断したお二人。大急ぎで説明しようとしたのですが、その説明に被せるように姫路さん、島田さん、霧島さんが更に続けます。
「不公平ですよ明久君!納得できませんっ!」
「そうよアキ!おかしいじゃないの!」
「……雄二、どうしてなの!」
「「「坂本(君)(吉井)とは子どもを作ったのにっ!!!」」」
ガチャガチャガチャ!ピピピピッ!
「「畜生っ!!もう限界だっ!?」」
この爆弾発言にアキさんゆーさんの制止を振り切って学園中にメールを打ち始める部活生さん達。
「ホラ、アキ!こっちに来なさいな!」
「さぁ教室に戻って私たちの子どもを作りましょうねー!」
「……雄二、一緒に夫婦の営みを」
「待って!お願い待って!せめて弁明をさせて!」
「このままじゃ俺はこんなバカと男同士で子ども作ったことになるだろが!?一言でいいから弁明させろや!」
「「「さあ、楽しい子ども作りにレッツゴー!!!」」」
「「い、嫌だぁああああああああああああああ!!」」
涙目でささやかな抵抗をするも引きずられて教室に後戻りのアキさん達。その間も皆さんのメールを打つ音は鳴りやみません。……あー、仕方ないですねこりゃ。
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その② ( No.338 )
- 日時: 2016/03/18 20:56
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「……せめて、この場の皆さんの誤解を解いてから自分たちも戻りましょうかね」
「うむ、このままでは流石に明久たちが不憫じゃからのう」
「…………下手をしたら普段からつるんでいる俺らまで妙な誤解されかねないしな」
「ですよね……さてと。皆さん、聞いてください!さっきのはですね———」
アキさん達の名誉の為、そして自分たちに新たな火の粉が降りかからないようにする為にもひっきりなしにメールを打つ部活生たちに事情をちゃんと説明することに。少しばかり時間はかかりましたが、何とか被害は最小限に留めることになりました。
…………ああ、そうそう。ちなみにですね。確かに何とか最小限の被害でアキさんたちの誤解は解けたのは解けたのですが……
———同時刻———
『あの、久保君……体育館裏なんかに呼び出しちゃってゴメンなさい』
『いいや、僕は別に構わないんだが……中林さんこそいいのかい?その恰好から見るとどうやら部活の最中のようだが』
『あ、うん。それは大丈夫、今は休憩中だし何だか他の皆忙しいみたいだから。そ、それより……話があるんだけど、その……いいかな』
『ん?』
『その……わ、私———』
「———どうして明久君は、私と子どもを作ってくれないんですか!」
『…………』
『あ、あの……久保君?』
『いや、すまない。なんでもないよ。続けてくれ』
『そ、そう?じゃ、じゃあ改めて。わ、私久保君の事が———』
「そうよアキ!どうしてウチとの子どもも嫌がるの!?」
「……雄二、私に早く二人目の子どもを産ませて。造に弟か妹を見せてあげたいの、お姉ちゃんにしてあげたいの」
『…………』
『ホ、ホントに大丈夫!?』
『うん、問題にゃいよ』
『噛んだよね!?今物凄く噛んだよね!?それに顔面蒼白だよ!?』
『気のせいさ。さあ、続けてくれ』
「「「坂本(君)(吉井)とは子どもを作ったのにっ!!!」」」
『…………(ガクガクガクガク)』
『久保君っ!?生まれたての子鹿のように足が———ううん、全身が震えているんだけど!?』
『は、ははは……風邪かもしれないね。すまない中林さん。ちょっと保健室に行かせてもらってもいいかい?話は申し訳ないがまた今度と言うことで……』
『え、あ……うん。その、お大事に……』
『本当に申し訳ない。それじゃあまた(ガクガクガクガク)』
『は、はい……また、ね……』
『…………吉井、坂本ォ!アンタらホント、次に試召戦争でもあったならその時は覚悟しておきなさいよねぇ!!』
———自分たちの知らないところで中林さんが更にアキさん&ゆーさんに対抗意識を持ってしまうことになったのは、これはまた別の話です。
———Fクラス———
「僕は……無力だ……もう絶対学園内で噂されてる……よりにもよって雄二と子ども作ったって……こうなったら雄二抹殺するしか道は———」
「明日から俺は……どうやって学園に通えばいいんだよ畜生め……こうなりゃ明久滅却した後に他の連中の口封じを———」
《あ、あのアキさんにゆーさん。さっきの部活生さん達の誤解は自分やヒデさんやこーさんが解いておいたので、そう悲観しないでくださいね。あとそんな物騒な計画立てないでくださいね》
「「心の底からありがとうっ!!」」
「お主ら……それ、泣くほど嬉しい事なのかのう?」
「…………そりゃ泣くほど嬉しいだろう。このままじゃまた明久たちの男色疑惑が加速することになる」
「「待て!?またってどういう意味だムッツリーニっ!?」」
体育館で追い詰められ、そのまま姫路さん達に捕縛されつつ引きずられてきたアキさん達と一応アキさんたちのあらぬ噂を払拭してきた自分達は学園長の待つFクラスに戻ってきました。ちなみに学園長は待ちくたびれたよとでも言いたげにすでにフィールドを張ってお出迎えです。
「学園長先生、じゃあ最初はウチからいきますね」
「明久君、もう逃げちゃダメですからね」
「……雄二も逃げられないし逃がさない」
「召喚の準備はできているよ。ホレ、いつでも呼び出しな」
「はい!ありがとうございます、それじゃ———」
トップバッターは島田さんのようで、アキさんに向かって手を伸ばします。そんな島田さんを黙ってみていたアキさんはと言うと。
ササッ! ペタ
「試獣召喚(サモン)———ってちょっとアキ!?」
「わ、わわわ……!?み、美波ちゃん!?」
島田さんが召喚獣を呼び出す直前に、その手をサッとさけたアキさん。島田さんのその手はアキさんを後ろで拘束していた姫路さんに接触しそのまま召喚されてしまいました。
「さぁて、これで出てくるのは瑞希と美波の子どもだねー」
《アキさんってホント逃げたり避けたり上手いですよね……あ、召喚されますよ》
「うむ、どんな子どもが出てくるのじゃろうな」
「…………楽しみ」
慌てふためく姫路さん達を横目に、アキさんの回避行動を感心しながらのんきに出てくる召喚獣を待つことに。と、今まさにその召喚獣が顕在しようとしたその時。
ガラッ!
「お姉様?まだ残っていたのですか?それでしたら是非美春と一緒に———」
Fクラスの教室の扉を開けて、清水さんが現れます。そしてほぼ同時に髪が長めの女の子の召喚獣が現れ———
ガシィ!
「…………(シュパッ!)」
《うにゃ———っ!》
「「「《……え?》」」」
———その召喚獣は清水さんに光の速さで掴まれて、そして光の速さで連れ攫われてしまいました。
「「「《…………》」」」
み、見えなかった……何をどうやって連れ攫われたのか目で捕えられなかった……!?あまりの出来事に全員の思考が一時停止します。
『———(ブツブツブツ)まずは……名前を付けて、それから……可愛い服と部屋を用意して……それでいてお姉様が育児疲れしないように……(ポンッ!)———んなッ!?え、嘘……!?ど、どこに消えたのですか美春の可愛い可愛い天使ちゃんは!?も、戻ってきてください!?美春が大事に大事に可愛がって育ててあげますのにぃ!?』
窓の外からそんな学園どころかご近所まで響き渡る切羽詰まった大声で絶叫する清水さんの声が聞こえてきました。ど、どうやら彼女一瞬のうちにフィールドの外まで移動していたようですね……なんて恐ろしい脚力何でしょうか……いやはや彼女の身体能力には毎度のことながら驚かされますね。
「さて。今度は誰が呼び出すのかねぇ?」
今の出来事は忘れようと言いたげに、学園長が気を取り直してそのように告げます。ま、まぁある意味いつもの清水さんですからあまり気にしても仕方ないですかね……
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