二次創作小説(紙ほか)

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バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
日時: 2016/03/25 21:41
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド

【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】

の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。


暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?

『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』

『『『『お願いします!』』』』

「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」

『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』

毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)

「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」

明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!


体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。


———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照

5〜5.5章及び各種設定  【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照

6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5   103時間目>>8-11  104時間目>>12-16  105時間目>>20-23
106時間目>>24-28  107時間目>>29-32  108時間目>>33-36  109時間目>>37-40
110時間目>>41-44  111時間目>>45-48  112時間目>>49-52  113時間目>>53-56
114時間目>>59-62  115時間目>>63-66  116時間目>>67-70  117時間目>>73-76
118時間目>>80-83  119時間目>>84-87  120時間目>>91-94  121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79

6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132

週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138

ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178

召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196

寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221

7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330

7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350

文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355

彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編

おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編

8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編

———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278

———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279

お知らせ>>270

148時間目 ( No.309 )
日時: 2016/03/11 21:41
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

造Side


武器である箒を破壊され、逃げ場もなくなった自分。アキさんゆーさんもFクラスの皆さんに囲まれて、自分も自分でC・Fクラスの皆さんに取り囲まれているこの状況。どうにもこうにも、傍から見たら絶体絶命ですねこりゃ。

「それじゃあ……これで、ゲームオーバーだっ!」
《……勝負っ!》

そう言ってCクラスの生徒さんの召喚獣が、武器も戦友も退路もない自分に止めをさしにかかります。その武器である研ぎ澄まされた刃は無防備な自分に迫り———彼の宣言通り……


ザンッ!


———そう宣言通り一撃で。その刃は召喚獣の身体を切り裂いて、情け容赦なく戦死させます……






《Fクラス 月野造  物理 144点》
        VS
《Cクラス 吉岡創路 物理 DEAD》


「「「…………は?」」」

———まあ、その刃に切り裂かれたのは“襲い掛かってきた彼の召喚獣自身の身体”なんですけどね。よし……よしっ!上手くいったっ……!まずは一人戦死!ゲームオーバーですって?いいえ、窮鼠猫を噛ませて頂きましたよ!ここからがゲームスタートです!

「え、え?な……なん、で俺……戦死して……?え?あ、あの子は倒れてなくて、攻撃したはずの俺が戦死して……え?え?」
「ちょ、ちょっと!?今何があったの!?」
「切りかかったと思ったのに……なんでこっちがやられているのよ!?」

勝利を確信していたのでしょう。油断して状況をよく見ていなかったC・Fクラスの皆さんは混乱の極みに。辺り一帯が騒めき始めます。

「や、ヤロッ……!これでも喰らえっ!」

味方がいつの間にか戦死して、慌てたのでしょう。一人のCクラスの生徒さんが今度こそ自分に止めをさすべく、襲い掛かってきました。さて……この人の召喚獣の“武器”は斧ですか。だったら———

「くっ、そっ!当たれェ!」
《(ボソッ)確かこういう場合は……紙一重で、かわしつつ……》

左右に斧をめいいっぱい、力強くブンブンと振り回す召喚獣をバックステップでギリギリでかわします。その召喚獣を使役している大野くん……でしたっけ?あまりに当たらないことに苛立ち焦れた大野くんは……

「んのヤロォ!いい加減、倒れろっ!」
《(ボソッ)隙を作らせてから……》

思い切り、自分に向けて思い切り召喚獣に斧を振り下ろさせます。その攻撃も最小の動きで避け勢いの付きすぎたその斧は、ザクッと地面に突き刺さり突き刺さったところで———今度はこちらが間合いをすぐに詰め、彼の召喚獣の後ろに回り込んでそして———


ザシュッ!


《Fクラス 月野造 物理 141点》
        VS
《Cクラス 大野透 物理 DEAD》


「お、俺が……この俺が戦死……!?な、何をしたんだ!?」
「ま、まただとっ!?くぅ、一体全体どうなっていやがんだっ!?」

———これで二人目も戦死。更にもう一人わけもわからず自分に飛びかかってきました。次の“武器”は……ナイフ、いや小太刀?まあ、どっちでもいいですけどね。

「セイッ!ダアッ!……こんのぉ!」
《(ボソッ)あの人曰く、ナイフ使いと対峙した時は……突きの時一直線上にならないように身体をずらしつつ……》

先ほど同様紙一重で攻撃をかわしつつ隙を伺います。焦って攻撃が単調になったところで思い切って懐に入り込み、突き出されたナイフを持つ手に———正確にはその手首に今度は手刀を打ち込みます。

「ああっ!?ぶ、武器がっ!」

手首にダメージを受けた召喚獣は思わずその武器を手放してしまいます。その瞬間、手放された武器をパッと空中で掴み取り、自分とは逆に無手になり怯んでいる召喚獣を……

《っはっ!》


《Fクラス 月野造  物理 140点》
        VS
《Cクラス 野々村充 物理 DEAD》


逆にこちらがスパッとその喉元を切り裂きます。よし、これで三人目っ!

「わ、わかった……!あいつ……“俺たちの召喚獣の武器を、自分の武器として”使っていやがる!?」

流石に三度目ですし、どうやらこのカラクリに気付かれたみたいですね。おまけに元々の召喚獣の武器も、その召喚獣が戦死して姿が消えると同時に消え去って再び自分は無手状態になってしまいます。ですが……これなら、いけるっ!

《……護身術レベルのものですし、本来はあまり実戦向きではありませんが何とか上手くいきましたね。鍛えてくれたサクヤさんに感謝です》

ではここでネタ晴らしのお時間です。最初に倒した長刀を持った吉岡くんの召喚獣をどう倒したのか。召喚獣の手首を捻らせて長刀を手放したところでその長刀を拝借。そのままその長刀を使って切り裂いただけ。二人目の斧を持った大野くんの召喚獣をどう倒したのか。その武器である斧を地面に突き刺さらせた上で、彼の召喚獣に足払いをして体勢を崩させてそのまま突き刺さった斧目がけて倒れさせただけ。

それはとっても簡単な事、武器が無いなら……“相手の武器を利用するまで”ですよ。

「っ……!Fクラス、何をボーっとしてるのよ!?」
「さっさとアンタたちも行きなさい!私たちのサポートをするのがあなたたちの役割でしょ!」

『は、はいっ!今すぐにやりますので!……造ちゃん、そこまでだ!』
『オイタが過ぎるよ造ちゃん!お尻ぺんぺんしちゃうからね!』

今度はFクラスの二人が自分に向かってきます。さて……こっちも上手くいけばいいですか……息をすうっと吐いて気合いを入れ直し、対処に入ります。まずは自分を捕まえようと伸ばしてきた一人の召喚獣の手を避けながら逆に掴み取り———

《逆らわず、勢いを利用して……投げるっ!》
『な、何ィ!?』
《もう一人も……足を引っかけて、後は後ろから軽く押すだけで———》
『ふぃ、フィールド外にっ!?』

突進してきたその勢いを殺さず、流れに逆らわず相手の力を利用して一体はくるんと召喚獣を投げ飛ばしもう一体は押し出して、お互いの点数を消費することなくフィールドの外へ。……よし、これもOK!

《先生、確認ですが……今のは別に敵前逃亡になりませんよね?自分の意思でフィールド外に出たわけではありませんので》
「え、ええ……自分でフィールドの外に出るならともかく、こういう場合はかなりギリギリですがルール的には……一応大丈夫だと思います」
《それは良かった♪では……何の問題もありませんね。さあ、どんどん来なさい!》
「か、数の上ではこっちが上だよ!みんな、月野君に一斉攻撃しよう!」
「わ、わかった!いくぞ!Fクラスの連中も月野をどうにかしろっ!」

『『『い、イエッサー!!!』』』

そう言って飛びかかってきた皆さんを、柳のようにしなやかに演舞にも似た動きで翻弄します。もしもの時の為にサクヤさんに昔から教え込まれた合気に近いこの護身術と武装解除術が、まさかこんな時に役立つなんてね……

「なんなの……一体なんなのよアレ!?相手の武器を奪い取って戦う!?そのくせ味方は戦死させずにフィールド外に飛ばす!?」
「そんなのアリかよ……!?こんなの見たことも聞いたことも無いぞ!?何をどうしたらこんな珍妙な事が出来んだよ!?」

この戦法は恐らく学園トップクラスの召喚技術を持つアキさんや先生方にも出来ないもの。何故ならこれはフィードバックだけでなく……“触覚を持っている”ことと“召喚獣と同じ目線で戦える”と言う特性を活かした戦法だから。そう、相手の召喚獣の重心や関節がどの程度まで動きどのように打ち込めば倒れるのかを“召喚獣として体感できる” ……今の今まで接近戦で足を引っ張っていた自分が悩んで編み出した自分だけの戦法です。

一度ふぅっと深呼吸した後、焦り始めた皆さんの前で一礼をしながらクスリと笑って再び構えを取る自分。

《感謝しますね、皆さん。失敗した時のリスクがあまりに大きかったので、今までは実戦はおろか模擬戦ですら試すことが出来なかったのですが———》

さて。一応戦える状態になったとは言え、この場にはまだCクラスの生徒さんは15人以上。妨害するFクラスの生徒さんもフィールド外に投げ飛ばしてもすぐまた召喚して戻ってくる為、結局自分が不利であることには変わりありません。ですが……

《———お陰で一つの弱点を克服できました。ゆーさんも喜んでくれるでしょうね、これならば後のAクラス戦でも戦術の幅が広がって更に戦えそうですから。そのお礼と言っては何ですが……さあ来なさい。まとめて相手してあげますよっ!》

今度はこっちの番ですね。やられっぱなしでは面白くありませんし……反撃の狼煙、上げさせてもらいましょうか……!

149時間目 ( No.310 )
日時: 2016/03/11 21:44
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

———数十分前:Cクラス———


『———何ですって……!?先輩を倒すどころか、こちらの被害が拡大している!?』
『は、はい!妙な体術を使ってこちらの武器を奪い、攻撃できなくなった私たちの精鋭がどんどん倒されています!現在わかっているだけでも12人以上戦死!今もかなりの数倒されている模様!』
『Fクラスの盾たちはどうしたの!?あいつらを使えば……』
『ダメです代表!あいつらすぐに月野にフィールド外に投げ飛ばされる上、身軽に、そして接近戦が可能になった月野に対しては盾としてはまるで使えませんっ!』
『むしろ盾どころか、わらわらと召喚されているせいで奴らが非常に邪魔でこちらの防御も回避もままならない状況です!』
『やられた……!そう言えば噂だけど聞いたことがあるわ……清涼祭の時に暴漢たちがFクラスの生徒を攫ったとかいう事件があったそうだけど、それを月野先輩や坂本君たちが制圧したって噂……そうか、先輩って元々戦闘力が高い上に自身が召喚獣として動ける……だからそんな器用な真似が……!?』
『だ、代表!また5人の戦死者が出ました!こ、このままでは……』
『……っ!そんな……こんな事って……!』
『あ、あの代表、少しお話が……』
『……えっ?』


造Side


《———よし、次っ!》
「と、止まらない……あの子止まらないわっ!?なんでこうもあっさりこっちがやられちゃうの!?」
「ついさっきまでこっちが追い詰めていたのにどうして……!?」

ちぎっては投げちぎっては投げ———とはいきませんが、接近戦が可能となってからは一時間前とは大きく変わり大体いい感じでCクラスの皆さんを倒せていますね。流石に無傷で戦えるほど甘くはありませんが、それでもダメージを最小に抑えられています。……ここまで上手くいっているのは今現在の主に二つの理由が原因でしょうね。

「えいっ!このぉ!……当たってよっ!?なんで……なんで当たんなのよ!」
「ちょ、ちょっと!?私を巻き添えにしないでよ!?」
「しょ、しょうがないでしょ!?あたしそんなに操作上手くないし……」

一つ、Cクラスの皆さんが召喚獣の扱いに慣れていない事。二年生になりCクラスの皆さんは正式な試召戦争は今回を除くと一学期のAクラス戦の一度だけしかやっていません。どうも皆さん戦い方にぎこちなさを感じます。普段から召喚慣れしている上に自身の身で戦える自分と戦うとなると戦闘経験値の差が出てくるのも仕方のない事でしょう。

「くそっ……これ使いにくいっ!」
「きゃっ!?あ、危ないでしょ!?わたしまで戦死させる気!?ちゃんと使ってよ!?」
「しかたねーだろ!?武器が新しくなっている分慣れてないから戦うの難しいんだよ!?」

二つ、召喚獣の扱いだけでなく武器の扱いにも慣れていない事。学園長の計らいで期末試験後に召喚獣の装備の新調が行われたお陰で、普段から使い慣れていた武器よりもリーチの違いなどが原因で相当戦闘がし辛いようです。自分から見てみると目の前の召喚獣たちは構え・武器の持たせ方・使い方———どれもどこかチグハグで隙だらけ。そんな相手から武装解除をすることは、サクヤさんから幼い頃から護身術を教わってきた自分にとってはそう難しいものではありません。

《そう言う意味では……今回このタイミングで攻めてきてくれたのはラッキーでしたかね。感謝しますよCクラスの皆さん》
「何の話よ!?」
「くそっ……俺ら嘗められてるな……」

多分この二つの条件が無かったら、こうも上手くいかなかったでしょうからね。貴重な緊張感のある良い実戦経験を積むことが出来て感謝ですよ。そう考えながら戦っていると先ほどまでは20人近くいたCクラスの生徒さんも、夢中で戦っていたせいか気が付けばもう2、3人くらいしか残っていませんね。

「も、もう後がないぞ……!こうなりゃせめて一撃でも———」
《借りますね、その武器》
「———ああっ!?」

「「か、河瀬君っ!」」


《Fクラス 月野造  物理 132点》
        VS
《Cクラス 河瀬雅人 物理 DEAD》


ダメ押しで一人の召喚獣を打ち倒し、残ったのは二人のCクラスの生徒さんと自分を妨害しているFクラスの皆さんだけ。……よし、そろそろ頃合いでしょうかね。

「よくも!みんなの敵討たせてもらいますっ!」
「だ、駄目だよすみれちゃん!?一人で飛び出しても———」
《飛んで火にいる何とやら……セイッ!》

最後の二人のうちの一人が、ヤケになったまま自身の召喚獣を自分に向かって飛び出させます。その攻撃を避け、後ろに回り込んで腕を極めて武器の日本刀を手放させてから地面に押し倒す自分。……OK、ちょうどいいですし少しこの状況を利用させてもらいましょうか。

「そ、そんなっ!」
「ああ、すみれちゃん!?ま、待ってて今助けるっ!Fクラス、援護して!」

『『『了解っス!今行きま———』』』

《全員動かないでくださいっ!動けば彼女、戦死することになりますよ!》

「「っ……!」」

『『『なっ……!?』』』

取り押さえてから彼女の召喚獣の武器である日本刀を召喚獣の首元に付きつけ、ほんの少しでも力を入れれば戦死になるギリギリのところで日本刀を止めつつ、この場にいる皆さんに向けて大声でそのように警告します。怯ませるように大声で叫んだこともあってか、その警告に皆さん思わずその場で固まってしました。よしよし、良い感じ良い感じです。

《ありがとうございますね、少し話があるので皆さんそのまま動かないように。勿論こちらの召喚獣の召喚者である———えっと、新野さん?ですよね。貴女も動いちゃダメですからね》
「くっ……さっさと戦死させなさいっ!京子ちゃんも私に構わずこの子倒しちゃって!」
《こらこら、Cクラスも戦力的に余裕がなくなっているんですよ。今貴女が戦死したら困るのはCクラスの皆さんの方でしょう、動かない方が賢明ですよ。そこの貴女も変な行動をとらないように》
「わ、わかりました……すみれちゃん戦死させたくないですし……」
「うぅ……ゴメン、京子ちゃん。それに代表……」

……どうでもいいですが、何だかこれ自分が悪役っぽいですね。そ、そりゃあ確かに人質取っているわけですし傍から見れば悪役そのものですが。……ま、まあここは今回の騒動はCクラスに一杯食わされたわけですしお相子ってことで許してもらいましょう。気を取り直して、もう一人残ったCクラスの女生徒さんに話しかけることに。

《さて、そこの貴女———新沼さん?でしたよね。ちょっと取引しませんか?》
「!?な、なんですか……?」
《このままではこちらの新野さんが戦死することになるわけですが……取引しませんか?こちらの要求を呑んでいただけるなら、彼女は解放します。これ以上戦死者を増やして戦力を減らしたくなければ———そこっ!動かないっ!》

『『『ぐっ!?』』』

と、こっそりと近づこうとしていたFクラスの皆さんにもう一度大声で警告します。やれやれ、油断も隙も無いんですから。

《Fクラスの皆さんも動いちゃダメですからね。下手に動いたらこちらの新野さんを戦死させることになっちゃいますから。同盟しているCクラスの生徒さんを見放すのは出来ませんよね》

『『『っ……!な、なんて悪い子なんだ……!?造ちゃん!お父さんはそんな娘に育てた覚えはありませんっ!?』』』

《育てられた覚えもなければ、自分の父は貴方方ではありませんよ!?》

と言いますか、悪い“子”とか“娘”って……この騒動が終わったら、皆さんまとめて説教ですからね……今はそんなことに構っている暇がないので無視しますが。

「と、取引ってどういうことですか?」
《あ、応じてくれます?》
「すみれちゃん解放してくれるなら……で、でも内容次第ですからね!?」
《ありがとうです。では早速その取引の内容なのですが……えっとですね。実はうちの代表からそちらの代表である小山さんに“ある手紙”を渡してほしいと頼まれていまして。そこで取引ですが———》

149時間目 ( No.311 )
日時: 2016/03/11 21:45
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

———冒頭に戻ってCクラス———


『あ、あの代表、少しお話が……』
『……えっ?あ、貴女討伐部隊の新沼さん!?良かった……無事だったのね』
『いいえ、違うんです……ごめんなさい代表……』
『?違うって、何がかしら?』
『その……すみれちゃん人質に取られちゃって……すみれちゃんを戦死させないことを条件に月野君と取引してここに戻ってきました。勝手なことをしてごめんなさい……』
『取引……?それってどんなことか教えてもらえるかしら?』
『はい、月野君に“条件はですね、これを小山さんに渡してください。うちの代表からの手紙です”と言われて……この手紙を預かったんです』
『ああ、なるほど。つまりはメッセンジャーになったってことね。いいえ大丈夫よ、貴方が無事で何よりだわ。その手紙、見せてもらえるかしら』
『は、はい!これです!どうぞ!』
『ありがと。さて———』


〜メッセージ確認中:しばらくお待ちください〜


『……なるほど、そう来たか』
『代表、その手紙には一体何と?』
『要約するとこんな感じかな。“お互いがかなり消費しているし時間も時間だから、お昼休憩を取らないか”———つまりは一時休戦の申し込むのようね』
『一時休戦……ですか』
『ええ、こうも書いてあるわ。“勿論Fクラスの暴れている連中は一時休戦中も関係なく俺たちを殺すために勝手に動くだろうし、Fクラスは現在補充室を使用不可だ。そう言う意味ではこっちはともかくCクラスにデメリットは無いと思う。もし承諾してくれるなら承諾した時点から一時間の休憩を取らせてほしい。それと、別にこっちが補充できないからと言ってCクラスの点数補充にケチをつけるつもりはない。一時休戦中だろうといつでも自由に補充をやってもらって構わない”———だそうよ』
『……普通に考えれば、こちらに非常に有利な条件ですね。ですが……』
『あの坂本君の事だし、十中八九何かしらの作戦がありそうよね。……でもこれは……うーん』
『どうする?個人的には嫌な予感するし受けたくないんだが』
『で、でも向こうほどじゃないけど私たちも動きっぱなしで休憩も欲しいかなって……』
『そうそう。それに単純に坂本君たちも休みたいんじゃないの?坂本君・吉井君・月野君って朝から今までほとんど休みなしの動きっぱなしでヘロヘロだろうし』
『いやだからこそ奴らが疲れている今、倒しておくべきじゃないのか?これ絶対何かの罠だと思うし』
『代表、どうしますか?』
『……受けましょう、この申し込み。このまま続けても勢いに乗った月野先輩に残りの全員が倒されかねないわ。この一時間はこっちも体力を回復しつつ……次の手を打ちましょう。英語等の科目を中心に先輩の現在点数が低い科目を全員で補充!その科目の先生も立会人として確保しておきなさい!いくら接近戦でも戦えるようになったと言っても、先輩の元々の点数が低い状態で戦えばこちらにも勝機があるわ!休戦が終わり次第、仕掛けるわよ!』

『『『了解です小山代表!』』』

『それと……新沼さん。悪いんだけどこの申し込みを受けるにあたって、一つ条件があると先輩に伝えてきてくれないかな』
『はい、勿論大丈夫です!それで、一体何と伝えればいいんですか?』
『それはね———』


造Side


《———条件は、休戦終了後どの場所からゆーさん……もというちの代表が試召戦争を再開するのかを先に公開しておいてほしい、ですか。了解です。新校舎屋上にて開始すると小山さんに伝えておいてください》
「……わかりました、そのように代表に伝えますね。では今から一時間、休戦と言うことでお願いします。それでその、すみれちゃんを……」
《了解ですよ。新野さんの召喚獣は解放します。新野さん、すみませんでした》

交渉成立ですね。ほっと胸を撫で下ろしながら、周囲を警戒しつつ新野さんを解放します。相手クラスの生徒さんに言う言葉ではありませんが、新野さんお疲れ様でした。

「きょ、京子ちゃんごめんね……私が捕まったせいで……」
「ううん、大丈夫。代表も無事で良かったって言ってたし」
《では、お二人とも申し訳ありませんでしたね。今は休戦と言うことでこの辺で失礼します!》

『『『ああっ!?待つんだ造ちゃんっ!逃がさないよ!』』』

《いえいえ、逃げさせてもらいますよ!……おっと、ついでに解除(キャンセル)!》

メッセンジャーとなってくれた新沼さんと人質にしてしまった新野さんに頭を下げて、取り囲んでいたFクラスを振り切りながら一度フィールドを解除して召喚獣化を解きます。そのままちょこまかと現在進行形でFクラスの皆さんと交戦中のアキさんゆーさんの元まで全力疾走する自分。そして———

「(お待たせしましたお二人とも!交渉、成立しました!)」
「(お疲れ造!んじゃ雄二、今だよ!)」
「(うっし、よくやったな造!逃げる準備を!これが最後だ、ムッツリーニから貰った道具全部使うぞ明久!)」

『『『つ、造ちゃん!?ま、まさか……あの包囲網を突破したの———』』』


ボンッ! カッ!! パァンッ!!!


『『『ぐぁあああああああああああ!?ま、またぁあああああああああ!?』』』

———自分が到着すると同時に三人でアイコンタクト。そのままアキさんとゆーさんはこーさんが託してくれた閃光弾・けむり玉・爆竹etc.を作戦が上手くいった祝砲とでも言いたげに、派手に盛大に惜しみなく使い切ります。これでまた暴走中の皆さんを一時行動不能にして、その間に自分はと言うと、こっそりと皆さんに聞こえないようにあるキーワードを呟きます。

『ち、ちくしょう……またアイツら卑怯な真似をやったな……』
『あ、慌てるな!ゲッホゲッホ!?……い、急いで取り囲め!』
『い、いいか!絶対に通すな!蟻んこ一匹通すんじゃねぇぞ!』

モクモクとけむり玉の煙が充満する中、それでも懸命に自分たちの身体で円を作って取り囲もうとする皆さん。

《アキさん、ゆーさん。煙幕が晴れる前に戻ります、しっかり掴まっていてくださいね》
「うん、よろしく造!それにしても……見てよ二人とも!はははっ!随分頑張るね、FFF団」
「くくくっ!こりゃ滑稽だな!俺らがすでにそこにはいないって言うのに必死でガードしてやがる。そこでしばらくジッとしてやがれってんだ」

そんな皆さんを“上空で”眺めながら悠々と隠し部屋の出入り口へと向かう自分たち。そう、こっそり呟いたのはいつもの「起動(アウェイクン)科目、現代国語」というキーワード。そして持っててよかった金の腕輪の能力【飛翔】の能力で空から逃げた自分たちです。ゆーさんの言っていた通り、現代国語を温存しておいて正解でしたね。

そのまま見つからないようにこっそりと隠し部屋の出入り口———今回は最初に使った体育倉庫にある隠し扉に向かいます。念のため、三人で何度か周囲を伺った後は急いで体育倉庫の中に入り、隠し扉のロックを大急ぎで外してそして———

「「《———終わったぁああああああ!!!》」」

なだれ込むように隠し部屋に入ると、そう三人で魂からの叫び声を上げながらそのままバタンと仰向けに倒れる自分たち。もうしばらくは動けそうにありませんね。身体はぐったりヘロヘロ状態、こりゃ明日は筋肉痛確定でしょうね……ですが……ですが!

「はぁ……はぁ……っしゃあ!よくやったぁ造ぅ!やっぱしちゃんと決めてくれやがったな!これが終わったら何でも好きなモン(明久の金で)食わせてやるぜ!」
「信じてはいたけど……ホント凄いよ造っ!まさかあの状態から逆転してくるなんて!今度皆で美味しいもの(雄二のおごりで)食べに行こう!」
《あ、ありがとうございますっ!皆さんが、一か八かのこんな賭けを信じてくれたお陰ですよっ!》

最も厳しい勝負を乗り切って、無事に生還できたこと・作戦が上手くいった事・一時間と言うインターバルを得たことに三人で仰向けのまま喜び合います。良かった……本当に良かった……!

150時間目 ( No.312 )
日時: 2016/03/11 21:48
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

造Side


「…………おつ、かれ……なんと、か……無事みたい……だな……」
《こーさん!ああ、良かったこーさんも無事で。大丈夫ですか?》
「…………俺は、まだ、まだ……平気、だ。それより……今のうち……に、秀吉の用意してた……水、飲んでおけ……」
「おう、サンキュー」
「命の水だね……ちょっとでも回復しとかなきゃね」
《ありがとうですこーさん。なら……解除(キャンセル)!》

C・F連合軍に追い詰められて、後がない土壇場で起死回生の一手を決め何とか作戦通りに約一時間の一時休戦期間を得た自分たち。流石に疲れて3分ばかり仰向けに倒れていましたが、ソファで横になっているこーさんに声をかけられたところで気合いで起き上がり(ちなみに自分は召喚獣化を解いて)ヒデさんが前もって用意してくれていた飲料水を飲みながら、作戦会議に移ることに。

「ふぅ……生き返るな。さて、それじゃあ造が作ってくれたこの一時間を無駄にしないように有効に使うとするか」
「そだね、ある意味でここからが“本当の勝負”なんだし」
「わかっています。まずは現在の戦況分析から入りましょう」

そう長々としのぎ切ったことを喜んでいる暇もありませんからね。すぐさま頭を切り替えて次の作戦に移らねば。

「まずは秀吉の件だ。FFF団曰く確か“秀吉を捕えた”と言ってやがったな」
「うん、言ってたね。“Aクラス付近を”コソコソとしていたところを、とかどうのこうのって」
「Aクラス付近……と言うことはつまり———」

「「「———そう言う事か(ですか)」」」

……三人でコクリと頷きます。なら多分“そう言う事”なのでしょう。

「で、ムッツリーニはどうだ?見た目かなりグロッキーだがあと少しはもつか?」
「とても辛そうですよこーさん……本当に平気ですか?」
「…………なめ、るな……これくらいで……俺は、くたばらん……」
「もう少しの辛抱だし、耐えるんだよムッツリーニ」

鼻血の出し過ぎによる貧血+暴行を受けたことでダウン一歩手前のこーさんですが、ソファで横になりながらも気丈にそう言ってくれます。見た感じ相当危険な状態ですが、本人曰くあと30分くらいなら大丈夫とのこと。こーさんも頑張って……

「さてと、なら今のところはほぼ作戦通りだな。造のお陰で残りのCクラスの連中は最初の一時間で11人、次の一時間で5人、そしてさっきの時間で18人の計34人戦死した。残りは代表の小山入れて16人か」
「秀吉の作戦も多分良い所まで行ってたはずだよね」
「なら、やはり作戦通り次で決めに行きますかゆーさん」

……なるほど、いよいよ次が勝負の時のようですね。どちらのクラスも休戦明けに勝負を決めに来ることになるはず。気合いを入れねばね。

「おう、そのつもりでいく予定だ。となると最後に一つだけ問題が残っているな」
「一つだけ問題……?え、それって何だっけ?」
「おいおい忘れんなよ、一番面倒な奴らが残っているだろ」
「面倒な奴ら……ああ、そっか。それってあの狂戦士達(バーサーカーズ)の事だよね雄二」
「あー……そう言えば残っていましたね、一番厄介な問題が」

あまりに厄介過ぎて放置していた問題があることを思い出す自分たち。アキさんやゆーさんへの嫉妬のゲージが臨界点を超えた結果、理性と言語を引き換えに得た超絶パワーでアキさん達を抹殺しようと校内をうろついているいわゆる狂戦士達(バーサーカーズ)と呼ばれるクラスメイトたちだけはどうにもならないと言うことで、さっきまでヒデさんもゆーさんもお手上げで放置していたんですよねー……

「今の今までは面倒過ぎて放置していたが、一時間後の“詰め”の為にも奴らは放っておくわけにはいかんだろう。考えたくはないが、放置したままじゃ下手をすりゃ奴らの存在が最悪の結果を招きかねんぞ」
「けどどうするのさ雄二、例えムッツリーニが回復して僕らの手錠を外してくれても……」
「ああ、明久。お前が懸念している通り正直奴らと戦うのは俺と明久とムッツリーニの三人がかりでもちょいと厳しいな。万全の状態のムッツリーニでさえあの連中を相手にするのはかなり骨だろう。今回はただでさえムッツリーニは弱っているしな」
「おまけに風の檻をぶち壊しちゃう方々ですからね。元々は一応捕縛用の能力ですのに全然効かないですし、どうなっているんでしょうね皆さん……」
「造、アイツらは今に限って言えば人間として考えるな。暴走中のあいつらは猛獣以上のパワーと猛獣以下の知能を兼ね備えている化けもんだからな」

そうそう。余談ですが道すがら一度試しに点数を消費して風の檻で捕えて動きを止めようと試みたのですが……どういうわけか清水さんや清水さんのお父さん———とまではいかないものの、ものの数秒で檻を破られてしまうと言う結果に終わりました。どうもこの捕縛用の能力、暴走している方々を捕えるのにあまり役に立っていませんね……本来なら野生の熊でさえ簡単に封じ込められるハズなのに……

「……とりあえず自分も彼らを止める方法を考えておきますが、先に姫路さんと島田さんに会ってきますね。作戦の説明も必要でしょうしずっと閉じ込められて現在の状況は勿論、アキさんの無事も知りたくてたまらないと思いますので」
「おう、頼んだ造。俺らは“例の約束”があるし、まだここで待機しておく。その間に俺らも奴らを止める方法を考えておくな」
「…………気を、付けて……な。まだ何人か……校内……うろついている、はず……だし」
「ゴメンね、二人を頼んだよ造。……あ、そうだ!ちょっと待って造!」
「はい?どうしましたアキさん?」
「……その、さ。出来ればでいいんだけど、一つお願いがあるんだ。二人ともお腹空いているかもしれないし———」

と、隠し部屋から出る前にアキさんに呼び止められて、一つ頼みごとをされる自分。その内容は———ふふっ♪なるほど、アキさんらしいものですね。


明久Side


「くくっ……明久、中々やるなぁオイ」
「……何さ雄二。その憎ったらしい笑い顔はさ」
「———“お腹すいているかもしれないし、教室にある僕の鞄の中から二人分のお弁当と水筒を瑞希と美波に渡してくれないかな”……だとよ」
「……それが何さ。そしてその忌々しい顔は何さ」
「いいや?明久にしては随分と気が利くなと思っただけだ。いよっ!ハーレム男!爆ぜろ!」
「ええぃ、黙れ雄二。キサマこれ以上言うつもりならこっちにだって考えがあるからね」
「あ?言うつもりなら何だ?キレるってか?いいぜ、暇だし相手してやる」
「そんな必要はないよ。もしこれ以上余計なこと言うなら———これが終わったらすぐさま霧島さんに、雄二が“毎日お前が作ったみそ汁が飲みたい”って言ってたって伝えてあげるから覚悟しておくように」
「……すまんかった。マジですまんかった」

造に二人を任せて“約束”の時間までこの場で待機をする僕と雄二とムッツリーニ。こんな他愛のない話をしながら、少しでも体力を回復させる。秀吉が上手くやってくれていたなら、そろそろのハズだけど……

「それにしても……どうすんの雄二」
「何がだ明久」
「今暴走している狂戦士達(バーサーカーズ)のことどうするのかってのもあるけど……この造の作戦が上手くいったとしても、これから先もFFF団が暴走しない保証はないと思うんだけど」
「…………たし、かに……いつ……また、アイツらが……裏切るか……」

150時間目 ( No.313 )
日時: 2016/03/11 21:49
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

あれだけ造や秀吉が必死になって頑張ってくれたんだ、きっとこの作戦は上手くいくって信じてる。でもAクラス戦も控えている僕らは、クラス全員団結しなければあのAクラスに勝てるものも勝てないって思う。雄二もそれはわかっているようで、僕とムッツリーニの言葉にコクリと頷く。

「わかっている。狂戦士達(バーサーカーズ)の対処法は今もまだ考え中だが、この試召戦争が終わってからのFFF団の制御法はもうすでに考えてある。今回の決着が着き次第実行に移す予定だ」

ふむ、なるほど。どうやらコイツもただ闇雲に追われたり戦ったりしているわけじゃなかったようだ。腐っても元神童、何だかんだで地味に頼りになるね。

「そっか。まあ、ちゃんと考えてあるなら任せるよ。じゃあ後はこの場を切り抜けるためにもあの狂戦士(バーサーカーズ)を何とかする作戦を練ることと、例の約束まで———」


ガタンッ!


「「「っ……!?」」」

そんな話をしていると、突然まだ使っていない最後の出入り口から物音が。僕ら三人に緊張が走る。ピピーッ!っとロックが外される音とガシャンッ!と隠し扉が開く音が聞こえる。

「「「……誰だ!」」」

と、言いながら侵入者に声をかけながら身構えたのと同時に、僕らの前に“Fクラスにはいない女生徒”が一人飛び込んできた……!

「見つけたっ!こんなところにいたっ!」
「き、キミは……!」
「お前……!」
「…………っ!」


———補充試験室(生徒指導室)———


造Side


《———お待たせしましたお二人とも!……それに先生も。ホントに待たせちゃって申し訳ありません!》

一度こっそりとFクラスに侵入して、アキさんのお弁当等を回収してから最初と同じように天井裏を伝って姫路さんと島田さん(+福原先生)が監禁されている補充試験室である生徒指導室に戻ってきた自分。

「月野!……良かった、あれから随分戻ってこないから心配してたけど、アンタも無事だったのね」
「月野君、お疲れ様です!……それでその、いきなりで申し訳ありませんが、明久君たちは……?」

するすると天井裏から降りながら、召喚獣状態を解除した自分に心配そうに駆け寄るお二人。少し疲れた表情に見えますが無事で何よりですね。

「ええ、大丈夫。アキさん達も勿論元気いっぱいですよ。———はい、これアキさんがお二人に渡してほしいと自分に託してくれたアキさん特製のお弁当です。“一緒に食べられなくてゴメンね、僕は大丈夫だよ”って伝えてほしいともアキさんが言ってました」
「これアキの……!そう、元気なら良かったわ。それに助かるわ月野。アキのお弁当ならウチらもすぐに元気になれるわ!」
「助かります月野君。私たち補充試験をさっきまで4科目ほど受けててお腹ペコペコだったんですよ」

……!補充試験を4科目もですか!良かった、姫路さん達自分の意図をちゃんと組んでくれていたようですね。これなら作戦もより確実性が増してきました。そうか、お二人はお二人の戦いをやっていてくれたんですね。感謝感謝です。

「ナイスですお二人とも!きっとお二人ともちゃんとやってくれるって信じてました。ではお昼を食べながら状況整理と……“これからの作戦”について説明したいと思います。では———おっとその前に、福原先生」
「え?あ、はい。どうしました?」
「うちのクラスの生徒さんが先生まで閉じ込めちゃって本当にすみません。もう少しの辛抱ですので。……それとこれ、一応自分のお弁当です。量が多いので、先生も良かったら一緒に食べませんか?」
「へ……?あー、そうですね。ではお言葉に甘えさせて頂きましょう」
「どうぞどうぞ。では———いただきます」

「「「いただきます」」」

てなわけで、少し遅めのお昼兼作戦の説明に入ることに。


〜お昼&造状況・作戦説明中〜


「———と、言うわけです。今のところ一応一つの問題を除けば作戦通りに進んでいると思います」
「……何というか、アンタら朝から今まで随分無理してたみたいね。無茶をしないで……と言いたいけど、そうも言えないのが正直辛いわ。まあ、その分今度何か奢るからね」
「月野君、これが終わったら明久君たちや皆さんと一緒にケーキバイキングにでも行きましょう。皆さんの分は私たち奢りますので」

全体の状況と休戦終了後の作戦をお昼を食べながら一通り説明すると、お二人は気の毒そうに自分たちを気遣ってくれます。いえいえ、辛いのは皆さん一緒ですしそうお気になさらずに。

「ですからある程度はヒデさんが何とかしてくださったハズですから、残りの問題は一つだけだと思います」
「残りの問題……それっていわゆる“狂戦士達(バーサーカーズ)”と呼ばれるFクラスの皆さんをどうするのか、ですか?」
「はいです。困りましたよね……」

そう、残る問題は十数人ほどいる暴走中の彼らの対処をどうするか。先ほどFクラスにこっそり侵入した時もゆらりゆらりと声にならぬ声をあげてアキさん達を探して校内を徘徊していました。アキさん・ゆーさん・こーさんが見つかればきっとリミッターが吹っ切れた身体能力でアキさん達をコロコロするまで止まらないでしょう。

厄介なのは言葉がまるで通じないことと、あの万全の状態のこーさんですら一対一ならともかくあの人数を相手に太刀打ちできるか危ういとされる戦闘能力ですね。こうなった以上一度物理的に止めて、正気に戻ってもらう他ありませんが……

「恐らく仮にこーさんが回復して、アキさん達が繋がれている手錠を開錠して3人で戦ったとしても……その方々を止めるのは難しいだろうとアキさん達が仰っていまして」
「こ、困りましたね……明久君たちもとても強いですけど、それ以上って……」

この先の作戦、彼らが暴走しっぱなしでは成功する確率がガクッと下がります、例えばサクヤさんや西村先生なら彼らを止めることが出来るでしょうが、サクヤさんは只今海外。西村先生は戦死者の補習監督で動けません。まあ、そもそも先生が一方のクラスの生徒に手を貸すのはルール違反になりかねませんから二人に頼むのは無理ですがね。さて、本当にどうしようかと考え始めた矢先———

「……ならOK。いけるわね」

「「……えっ?」」

———黙って自分の話を聞いていた島田さんが、そう言ってすっと立ち上がります。その眼は活き活きと、そしてただならぬ闘気を全身に纏わせて。

「し、島田さん……?あ、あの……」
「月野、今までよく頑張ってくれたわね。後は作戦再開までしばらく休んでいなさい。瑞希、アンタは月野の作戦通りここから出たら指定の場所に行っておいて。残りの問題は———ウチに任せなさい」
「み、美波ちゃん?美波ちゃんはどうするんですか……?」
「……ふ、ふふふっ……ウチ?ウチはね———」

それぞれの思いを胸に。休戦終了時刻が刻一刻と近づいてきます。恐らく……どちらに転んでも休戦終了直後、そう一瞬でこの試召戦争に決着が着く……そんな予感がします。自分たちの執念が勝つか、Cクラスの策略が勝つか———いざ尋常に勝負です!


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