二次創作小説(紙ほか)
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- バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
- 日時: 2016/03/25 21:41
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド
【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】
の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。
暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」
明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!
体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。
———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照
5〜5.5章及び各種設定 【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照
6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5 103時間目>>8-11 104時間目>>12-16 105時間目>>20-23
106時間目>>24-28 107時間目>>29-32 108時間目>>33-36 109時間目>>37-40
110時間目>>41-44 111時間目>>45-48 112時間目>>49-52 113時間目>>53-56
114時間目>>59-62 115時間目>>63-66 116時間目>>67-70 117時間目>>73-76
118時間目>>80-83 119時間目>>84-87 120時間目>>91-94 121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79
6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132
週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138
ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178
召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196
寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221
7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330
7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350
文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355
彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編
おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編
8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編
———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278
———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279
お知らせ>>270
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑩ ( No.178 )
- 日時: 2015/11/03 21:57
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
《えっと、コホン。そして最後に王子さま。貴方のお陰で私は永い眠りから目を覚ます事が出来ました》
「え……?で、でも僕は結局鬼も倒せずに貴女に助けられたんですよ?そんな僕は王子にふさわしくは———」
と、眠り姫はそれ以上の言葉を王子に言わせないように首を振って続ける。
《貴方は立派な王子さまです。貴方は鬼に敵わないとわかっても勇敢に立ち向かって来てくれましたよね?眠り続ける私を庇ってくれましたよね?》
「それはそうですが……」
《鬼を倒す事自体は問題ではないのですよ。貴方のその勇気は何より貴方が王子足る器である証拠なのです。でなければ私が目覚めることは無かったわけですし♪胸を張ってください王子さま》
「眠り姫……は、はい!」
【……こうして、カカシは(悪)知恵を。ロボットは(自重する)心を。ライオンは(告白する)勇気を。そして王子さまは王子さまである証明を無事に得ることが出来ました。それからと言うもの———】
「それじゃあライオンさんはあのお姫さまに告白して来て下さいねー♪」
「え!?ちょ、ちょっと待て魔法使い!?お前何勝手に……」
「あ、安心してくださいっ♪また私の素敵な魔法(きび団子)ですぐにお姫さまの国へ飛ばしてあげますから!」
「なにするやめ———ぎゃあああああああああ!?」
【あのヘタレだったライオンはお姫さまに告白すべく一人また旅立ったそうです。風の噂では無事に結婚までしたとか】
「ほーらカカシ。知恵をもっと付けたいならちゃんと勉強しないと、ね♪」
「えっ、女騎士何言ってんの?そんなことよりボク、ゲームとかしたいんだけど」
「遠慮しないでください!ホラ!参考書いっぱい買ってきましたし、ちゃんとやりましょうねー!」
「よ、良き魔法使いまで!?」
「安心しなさいカカシ、私たち二人がちゃーんと女心のわかる賢くてカッコイイカカシに育ててあげるわ」
「文武両道の素敵なカカシさんにしてあげるので頑張りましょうね!」
「こ、ここは地獄なの!?い、嫌だ!遊ばせてよぅ!?」
【脳がなかったカカシはもっと勉強すべく女騎士や良き魔法使いの元、王子さまのお城で日々参考書と闘う毎日だとか】
「ああ、それからそこのロボット。アンタ自重する心を覚えたのよね?」
「…………は?」
「だったらこのカメラいりませんよねー?没収ですね」
「…………っ!?(ブンブンブン)」
「それとアンタって行く当て無いんでしょ?お城で働かせてあげるから感謝しなさいな」
「まずはお城のお掃除をお願いしますねー」
「…………それ唯のパシリ……!?」
【ついに自重する心を身につけたロボットは、その愛用のカメラを預けて真っ当なロボットとしてお城でパシリ———お手伝いするようになったとか。三人の王子さまの従者は今日も幸せそうです】
「「「待った!?こ、これなら旅したり鬼どもと戦っている方がまだマシじゃないか!?」」」
「……ねえ、眠り姫?幸せって何だろうね?カカシくん達大変だなぁ」
《あ、あはは……まあ、楽しそうですしこれもこれで良いのではないでしょうか?》
「あーうん。そうだよね?」
《ええ。きっとそうですよ♪》
【そして……王子さまと眠り姫の二人は時々眠り姫が王子さまに稽古をつけながら、ずっと仲良く暮らしていったとか?これも一つのめでたしめでたし】
ナレーションが終わると同時に、ゆっくりと舞台からスポットライトの光も立体映像の背景も、そして召喚獣たちも消えてゆく。これで長かったバカテス童話も何とか終幕となる。さてさて、観客の反応はと言うと———
造Side
……さて、あのハチャメチャな演劇(?)のその後の事を少しだけ語っておきましょう。
『けっこうおもしろかったねー』
『動きまくってたし、なんかしんせんだったよね』
『あの動いてた人形さん可愛かったしね♪』
『眠り姫さまかわいくてかっこよかったー!』
結果的に言えばあのトンデモ脚本の演劇は睦月小の子供たちや観客の皆さんを奇跡的に……そう、本当に奇跡的に大いに楽しませ、葉月さんの小学校の創立記念セレモニーは大成功となったそうです。ちなみにどなた知りませんが、この演劇を録画していた方々がダビングして睦月小学校の各家庭に無料で提供した、なんて噂も流れたのですが……さ、流石にただの噂話ですよね?
『くくくっ!いやはやイイもん撮れたな優子っち———もとい弟子一号!』←主犯
『ええ師匠!秀吉———もとい我が弟の晴れ舞台ってことでこっそりスタンバっていましたが……まさか造くんまで出演した上にこんなにイイ絵が取れるなんて最高ですね!』←共犯
———何でしょう?何かすっごい嫌な悪寒がしたような……?こ、コホン。それはともかく今考えても、よくあのシナリオで何とかなったなって思いますよ。一歩間違えれば絶対抗議されるレベルでしたし。特に文さんのラストのアドリブと言う名の暴走は……何といいますかホントにノリと勢いオンリーで乗り切ったと言いますか……
「文……アンタはとりあえず今回の諸々の件を本当に反省するまでは月野と面会禁止、ついでにネットも禁止だよ!」
《えぇ!? ばーちゃん ヒドイ! イジワル!》
「やかましい!もう少しでとんでもない事に成りかけたってわかってんのかい!?」
《楽しかったし イイ ジャナイ ばーちゃんの ワカラズ ヤー!》
「分からず屋ぁ!?それをアンタに言われたくないよ!とにかくさっさと召喚獣の演劇仕様を元に戻しな!」
《… … … 戻したら ユルシテ くれるー?》
「良いからさっさとやりな!と言うか、まだ説教は終わってないよ!」
《むー! ケチー!》
案の定演劇終了後、文さんは学園長にこってり絞られたとか。まあ、今回は(今回も?)しっかり反省して貰いましょうかね。何事もやり過ぎはいけません。あ、一応無事に召喚獣の設定は元に戻ったそうです。良かった良かった。
「つーかこれで設定戻らずにもう一回やれ。なんて言われたらマジでババァぶちのめすからな……」
「…………疲れた」
「だよね……普通の演劇ならともかくこの召喚獣の人形劇はこりごりだよ……」
「そう?ウチは結構楽しかったわ。感想聞いたけど葉月も喜んでたみたいだし」
「そうですね。初めての大舞台でしたけど私も良い経験が出来たと思います」
あ、それと本来行うはずだった『美女と野獣』の改変版の演劇は、演劇部の皆さんが回復した後日、再び睦月小で講演したとのこと。この演劇も大盛況であったことをお伝えしておきましょう。ああ、そうそう。演技・演技指導・脚本再編集・シナリオ設定・舞台監督———その全てをこなした今回のMVPのヒデさんですが……
「君は本当にセンスが良いね。一度私たちの舞台に遊びにおいでよ。色々と勉強になると思うよ」
「ほ、本当かの!?そ、それはありがたいのじゃ!」
「ふふっ、歓迎するよ」
同じく睦月小学校の生誕祭にいらしていた、とある有名な劇団のメンバーに気にいられたそうでそこから色々と縁が出来たとか。おまけにその方から週に一回文月に来て演劇の指導をやってくれると約束してくれたとかも。ヒデさんとても嬉しそうでしたね、ヒデさんが頑張った甲斐があったと言うもので何よりですよ。
ふふっ♪…………その劇団の有名な俳優に“木下秀吉”の名が加わるのは、ちょっとだけ未来(さき)のお話です。
……それから最後に。これは自分の事なんですが———
『あー!眠り姫さまだー!』
『姫さまー!きょうもごきげんうるわしく♪』
『姫ってさ、いつもきれいだよな……』
『うん……きれいだよね』
『姫さま笑ってー!』
「……“また”ですか」
「つ、造よ。そう気を落すでないぞ」
「うぅ、あれから一応自分は男だって説明したハズなんですが……」
…………あの演劇以来、近所を歩けば小学生の皆さんから眠り姫さまと呼ばれるようになりました。葉月さんから聞いた話だと、自分が睦月小のお姫さま兼皆のお姉さまになり始めたとか。ホントにどういうことなの……
「しかもどうして最後にちょっとだけ出た自分の役が、こんなにウケが良いんでしょうね……ヒデさんとかアキさんたちのほうがどう考えても頑張っていたでしょうに」
「いやいや、それは仕方あるまい。こういうのは最後のインパクトが大きいものの方が印象に残るからの。こやつらがお主をヒーローのように見るのは無理もない。しばらくは耐えるほか無いじゃろう。実際……その、中々にカッコよかったぞ造よ!」
「そう言っていただけると嬉しいんですが……と言っても役は眠り姫なんですよね自分……」
それでも慕ってくれるのは悪い事ではないと思いますし、ここは(引き攣った)笑顔で皆さんに応えます。ハァ……さてと、今日もまた大きな誤解とちょっぴり(?)過激な告白に対応する日々の始まりですかね。
『あ、あの!どうかオレのこの手紙受け取ってくださいっ!』
『ぼ、僕の手紙も受け取ってください!』
『あー!ぬけがけ禁止っ!眠り姫さま、むしろあたしを受け取ってくださいっ!』
『姫さま———いえ、姫姉さま……わたしのお姉さまになってくださいっ!』
『あたし……姫さま飼いたい』
「…………あ、あのね皆さん。何度も言いますが、あれは演技で自分は男の子なんですよ。だから———」
『『『『『姫さま!お願いします!』』』』』
「———だからせめて、せめて人前で姫さまって呼ぶのだけは勘弁してくださいぃ!?」
- 番外編:召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜その① ( No.179 )
- 日時: 2015/11/06 20:54
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「……ふむ。これはまた……」
「学園長?どうかなさいましたか?」
ここは文月学園の長、藤堂カヲル学園長のいる学園長室。学園の運営や召喚システムの管理等を行う意外と(何が意外とだい!? By学園長)重要な場所である。
「ん?ああ西村先生。いやね……ちょいと試験召喚システムの操作系統を調整してたら、妙な事になってねぇ」
「……またですか。それで?妙なことと仰いますと?」
流石に西村先生はシステムの暴走に慣れているだけあって、半分呆れつつも冷静に学園長に尋ねる。
「ま、またとはどういう意味さね!?……コホン。いや、どう言うわけかシステムと《文》の意識と連動してしまってね」
「文……ああ、あの子の。それで?」
「召喚獣が半自動化しちまってるのさ。今までの設定がはっきりとした意識のみを読み取っていてとしたら、今回のはその一歩先の意識と無意識の間辺りも読み取って、ある程度自立的に行動出来るようになったってことだねぇ」
「意識と無意識の間……つまり前意識を読み取るということですか?それは確かに妙なことになってますね」
ちなみに前意識とは精神分析の用語のことで、その時は意識していないが思い出そうと思えば思い出すことのできる心の領域。意識と無意識の中間にあると言われている。
「まあ、フロイトの言う前意識とは少し意味合いが変わってくるけどね、だいたいそんな感じさ」
「そうですか。———それで?今度はどんな悪だくみをしているのですか?」
と、西村先生は持っていた資料をまとめつつ、学園長をジトっと睨む。
「……ひ、人聞きが悪いねぇ?別にアタシは実際に召喚獣を喚び出してデータを採りたいなんて思っちゃいないよ」
「(思っているな……)まあ、データ採取なら協力しましょうか」
「あー……いや。アンタの点数だと、試運転に使うには召喚獣が強すぎるからね。何かあったら困るんだよ。暴走的な意味でね」
何せ1桁の点数ですらゴリラ並みのパワーがあると言われる召喚獣。高得点の召喚獣が下手して暴走でもすればどれだけの被害が出るかは容易に想像できるだろう。
「ふむ……でしたら故意に一度低い点数を取りましょうか?」
「それでもいいんだけどねぇ。一度低い点を取って、後でまた点数を戻すためにもう一度試験を受け直すとなると、流石に面倒だろう?」
「そうでもないですが。まあ、効率が悪いと言う意味では確かに。それでしたら———」
『西村先生!大変です!またFクラスの連中が職員室で暴れています!』
『よ、吉井君に坂本君!?何で職員室に逃げ込むんですかっ!?』
『すみませんっ!こうでもしないとあの暴走戦士達から逃げられないんです!行くぞ雄二!』
『わかってる明久!そう言う事で悪いが職員室を通させて貰うぞ!』
『『『異端者共に死の鉄槌を!貴様ら、大人しく審問を受けろッ!』』』
「———すみません。ちょっと指導してきます」
ガチャ!パタン
『貴様らっ!何を暴れておるのだっ!全員とっ捕まえてやるから、覚悟しろ!』
『『『げっ!鉄人!?』』』
『『ちょ、ちょっと待て鉄人!僕(俺)らは被害者で———』』
『それは職員室で暴れておるお前らが言う台詞か!?いいから全員補習室行き決定だ!』
『『『嫌だぁあああああああああああああああああああああ!!!』』』
「———ふむ、そうさね。こういうのは最初から点数の低いバカ共にやらせた方が効率いいねぇ。それに……あのジャリガキの本音が聞けるのは、ちょうど良い機会かもしれないね」
造Side
「「「召喚獣の試運転?」」」
「ああ。そいつをアンタらにやってもらいたいのさ。今ちょいと面白いことになっていてねぇ」
あの体育祭兼召喚野球大会も無事に終わり、しばらく経ったある日の休日の出来事です。Fクラス特別補習(ああ、ちなみに霧島さんと優姉さんは自主登校ですが)が終わってから、体育祭の写真(いつ誰がどこで撮っていたのやら?)を皆さんで鑑賞していると、学園長が現れてそんなことを仰いました。それにしても……試運転ですか。
「(あの、学園長?もしかして文さんがまた何かしちゃいました……?)」
「(ん?ああ、今回は違うよ。文は何もしちゃいないさ。“文がシステムに”———と言うよりも、どちらかと言うと“システムが文に”影響されたようでね。どうも今回の召喚獣は無意識領域の一部を読み取っているようなんだが……コレはアタシが設定したわけじゃないんだよ。つまりシステム自体が文を通じて独自に進歩している証拠さね。だからこそホントの意味でデータを集めたくてねぇ)」
ちょっと小声で学園長に確認。良かった、取り越し苦労でしたね。まあ、体育祭や演劇の時にあれだけ叱ったんですし、そうそう文さんもトラブルを起こすわけではないですね。基本的にとても良い子ですし。
- 番外編:召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜その① ( No.180 )
- 日時: 2015/12/21 23:03
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「えっと……どうしてウチら何ですか?」
と、島田さんが持っていた写真を片づけつつ学園長に尋ねます。言われてみれば確かにどうして自分たちに……?
「どうしてもなにもアンタらが適任だからさ。アンタらなら点数が高すぎず、召喚獣の扱いにも慣れているだろう?それに——」
「それに?」
「———職員室で暴れていた、どこぞのバカ共への罰になるからねぇ」
「「ちょっ!?待てババァ!だから僕(俺)らは被害者だ!」」
「あれだけ暴れておいて、被害者ズラすんじゃないよ!このバカコンビがっ!」
あはは……そう言えばアキさんとゆーさん、いつものようにFクラスの皆さんに追いかけられて職員室に駆け込んだって言ってましたっけ。毎度のことながらお疲れ様です。
「あの。試運転って、具体的にはどのような事をするんですか?」
と、脱線しかかったところ姫路さんがうまいこと話を戻します。ナイスフォロー姫路さん。
「ん?ああ、特にこれと言ったテスト項目はないさね。呼び出して、適当に動き回らせるだけで良いさ。なんの動きもさせないのはテストにならないから困るけどね」
「あ、それだけでいいんですか。それなら私でも出来そうです」
姫路さんが安心したように胸の前で手を合わせます。何だ、結構簡単な事なんですね。試運転なんて聞きましたから、自分もちょっぴり不安に思ってたところでしたもの。
「それなら私、手伝いますね。学園長先生」
「……私も」
「アタシも大丈夫ですよ」
「いや、アンタら三人はダメさね。点数が高すぎる。何かあったら困るからねぇ。気持ちはありがたく受け取っておくよ」
姫路さん・霧島さん・優姉さんの三人も手伝いを名乗り出ますが、やんわりと断る学園長。ああ、そうですよね……確かに下手に高い点数の召喚獣が暴走でもしたら、とんでもないことになりますし。
「そう言う訳で試運転は月野・吉井・坂本・土屋・木下弟・島田に頼むよ。教科は地理でね」
「「「「……名指し指定って……暗に地理の成績が悪いって言われているんじゃ……」」」」
「自覚はあるようだねぇ。まあ、そう思うんならちゃんと成績上げる事さね」
あはは……まあ、誰にでも向き不向きがありますもんね。自分も未だに英語が最下層ですし……
「……ちょっと待てババァ。このメンツはともかく、俺と造はそれなりに点数が高かったはずだが?」
「あれ?そう言えばそうですね。大丈夫なんですか?学園長?」
「ああ。月野は強制的に召喚獣になるからこの試運転も強制参加は仕方ないさね。とは言え月野自身が召喚獣になるわけだし、自身の行動をコントロールできるはずだから今回は特に心配はいらないさ。んで、坂本。アンタには———」
「俺には?」
「———アンタには何が起こっても構わないからね」
「それが教育者の言葉かっ!?」
ゆーさんに堂々とそんなことを言う学園長。学園長……えっと、それはゆーさんを信じているからこそ、ですよね?
「とにかく、そういう事だよ。試験時間は今から一時間。召喚フィールドは一応試運転用に学校全体に広げておくけど、一応この教室から出ないように。データが採りにくくなるからね。うまくやってくれたら……そうさね。図書券や学食の食券を贈呈しようかね。ただでやらせるのもなんだしね」
「「「おおー!」」」
学園長随分景気いいですね〜♪これならアキさんたちも喜んで———
「「…………」」
……あれ?何だかこういった報酬に一番喜びそうなアキさんとゆーさんが思案顔。どうしたんでしょうか?
「じゃあ、頼んだからね。報酬を出すんだから———絶対に、途中で投げ出すんじゃないよ。ああ、そうそう月野」
「はい?」
「一時間ある事だし、アンタの腕輪の調整もしとくよ。ホレ、出しな」
「あ、それは助かります。よろしくお願いしますね」
と、自分の白金の腕輪である代理召喚用の腕輪を受け取ると、そのまま学園長は教室を後にしました。
「ご褒美を用意してくれるなんて、学園長も太っ腹ね〜♪ちょうど欲しい本もあったし助かるわ」
「…………図書券はいくらあっても困らない」
「学食の食券でもありがたいのう」
「良かったですね皆さん」
「……ちょっと羨ましい」
「ホントよね。まあ、今回は仕方ないかしら?」
皆さんが嬉しそうに話をしている中、やっぱりアキさんとゆーさんは何か考えているようですね。気になりますし、ちょっと聞いておきますか。
「(アキさん、ゆーさん?どうしました?ひょっとして何か不都合でも?)」
「(……なあ造。お前今のババァの説明聞いて、何とも思わないか?変だと思わなかったのか?)」
「(……へ?何がですか?)」
「(造は本当に変だと思わないの?君はあのババァ長がわざわざ簡単な操作をさせるだけでお礼なんて出すと思う?)」
「(…………あれ?まあ、言われてみれば確かに……?)」
簡単な操作だけなら学校全体にまで召喚フィールドを張る必要はないですし、アキさんの言う通りお礼を出されるほどの事でもないのもまた事実。
- 番外編:召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜その① ( No.181 )
- 日時: 2015/11/06 21:00
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「(仮にお礼を出すなら出すで、いつもならもう少し色々と難癖つけてくるはずだよ。あのババァ長って超あくどいもん)」
「(明久の言う通りだ。おまけに……何でこのタイミングでお前の腕輪を回収する必要がある。単に調整が目的なら明久の腕輪も一緒に持っていくべきだろが。まるであのババァ、造がフィールド干渉を起こしてこの実験を止めないように持って行ったとしか思えねぇぞ)」
「(あ……そういえば腕輪……学園長が……あれ?)」
た、確かに……何だかアキさんたちの言う通り雲行きが怪しくなってきたような……?自分も何か嫌な予感がし始めました。そんなことを考えていると———
ボンッ!
「「《あっ!》」」
———突然自分の姿が馴染みある召喚音と共に召喚獣へと変化しました。どうやら学園長が校舎全域に召喚フィールドを張ったようですね。
「あら?月野が召喚獣になったってことは、フィールドが張られたってことね」
「ならばワシらも始めるとするかの」
「…………了解」
「「《あっ!三人とも待っ———》」」
「「「試獣召喚(サモン)っ!」」」
ボンッ!×3
三人を止めようにもすでに、先ほどの自分と同じくヒデさんたちの足元に幾何学模様が浮かび上がり、召喚獣が姿を現します。あちゃー……大丈夫でしょうか?
《……ちょっと皆さんを止めるの遅かったみたいですね》
「みたいだな。で?どうだ造。何か異常はないか?」
《えっと……今のところ特に異常は感じられません。以前のようなオカルト仕様でもなさそうですし》
「そうみたいね。やっぱりこのサイズが一番よね!」
「確かにしっくりくるのう」
「…………耳も尻尾もいつも通り」
そう、自分も含めて皆さんの召喚獣の見た目はいつもの召喚獣です。いつもと違うところと言えば、
【うーん?変わった点を強いて挙げるなら服装でしょうか?】
「そうですね。月野君の言う通り、服装もいつものじゃなくて学校の制服ですね」
「……武器も持っていない」
「ああ、そう言えば二学期に入って装備もリセットされるんでしょ?だから今は初期設定のまま何じゃないのかしら」
《ふむ……今のところ何も問題無さそうですね。考えすぎでしたかね?…………って、あれ?》
姫路さん……今“月野君の言う通り”って言いました……?自分声出てましたっけ……あれ?気のせい……?
「そだね。今のところおかしな部分は見当たらないね」
「いや、安心するのは早いぞ。さっきのババァの話だと、変更したのは操作性の部分らしいからな。動かしてみるまでわからんだろうし」
「ふむ。ならば、早速動かしてみようかの」
と、ヒデさんが自身の召喚獣を動かそうとします。その時———
【では、造に飛びついて驚かせてみるのじゃ】
「「「へ?」」」
急に聞き覚えのない子供の様な高い声が教室に響き渡ります。
《あれ?今どなたか喋りました?》
「いいえ?と言うか、アタシたちの誰の声でもないと思うわよ?」
「(ガシッ!)じゃ……じゃあ、今の声は何よ……?」
「(ガシッ!)ち、小さな子の声が聞こえましたよ……?」
「うおっ!?ふ、二人とも落ち着いて」
教室や廊下などあたりを見回しても、子供どころか周囲は自分たち以外誰もいません。他のFクラスの皆さんはすでに下校していますし、先生方も勿論いらっしゃいません。その事実に怯えたのか、姫路さんと島田さんはアキさんにしがみつきます。
「そう言えば以前召喚獣が妖怪になっておったし、そのせいで今度は心霊現象でも起きたのかの?」
「「えぇええええええっ!?(ギュウッ!!)」」
「いっ!?イダ、イダダダッ!?お、落ち着いて二人とも!?大丈夫だからっ!?」
と、ヒデさんの言葉に更に恐怖する姫路さんと島田さん。自然とアキさんの腕を掴む手に力が入っていますね。
《心霊現象……?いやいや……流石にそれは無いと思いますよ》
「そだね。それだと操作性の変更とは関係なさそうだし。てか、今の口調ってどこかで……?」
【今の声はどこから聞こえてきたんじゃろうか?】
…………あれ、この翁言葉。少し甲高いですが、この声……何だか自分の真横にいる親友さんの声のような……?
「“じゃろうか”だと?もしかして秀吉かコレ?」
「…………確かに口調は秀吉そっくり」
「む?じゃがワシは何もしゃべっておらんぞ?」
と、ヒデさんが首を傾げつつそう言った直後、
【な、何……?お化け?うぅ……怖いぃ……!】
【…………この声、変声期前の児童のもの】
他にもどこかで———と言いますか、ほぼ毎日聞いている友人たちの声に似た子供の声がします。とりあえずよくわからないので声が何処から聞こえるのか皆さんで見回すと———
「……召喚獣が喋ってる」
冷静に召喚獣を眺めていた、霧島さんがポツリとそう呟きました。ん?召喚獣が喋ってるですって……?
【それにしても、困ったのじゃ。今朝のことはどうしたら良いじゃろうか】
【怖いっ怖い〜っ!お化けとか、ウチ本当に嫌なのにっ!?】
【…………この視点の低さ。悪くない】
慌てて自分もヒデさんたちの召喚獣をよく見ると、皆さんの召喚獣が口を動かしているのに合わせてさっきの声を発します。
「ホ、ホントだ!召喚獣が喋ってる!」
「へぇー?こりゃ面白いな」
《おおぅ……自分以外の召喚獣が喋るのは結構新鮮ですね》
とりあえず皆さんの召喚獣を観察します。召喚獣は腕を組んだり、その場に頭を抱え込んだり、低い体勢から頭上を見上げてみたりと、それぞれ思い思いの行動を取っていますね。
「と、とりあえず、心霊現象とかじゃないみたいね」
「はぁ……良かったです……」
「あらあら。そう言えば瑞希も美波もそう言うのダメだったわね」
「しかしまぁなんつーか、操作性の向上というよりは、自動化って感じだよな。これ、お前らが指示してるわけじゃないだろ?」
「…………特に何もやらせてない」
「ワシもあのような動作をさせてはおらんの」
召喚獣はさっきから溜め息をつく仕草をしてみたり、胸に手を当てたり、仰向けに寝転がったりしていますね。ですがこれは……
【うーん……これって、ゆーさんの言った通り自動化なら、やはり文さんと同じような理屈……?確か学園長も今回は文さんに影響されたって言ってましたし】
「は?いや造、どうして急に文ちゃんの話になるのさ?別に今日は文ちゃん来てないでしょ?」
《【へ?い、いや……アキさん?自分はそんなこと別に喋ってなんかいませn———って、あれ?何で思った事まで声に出て……?ん?あれ?】》
と、自分が先ほどと同じ違和感を再び感じ始めたその時です———
【お化けとかじゃなくて良かったぁ……危うく前の肝試しのときみたいに、また眠れなくなって葉月と一緒に寝なきゃいけなくなるところだったわ……】
【まさかまた近所の男子中学生に告白されるとは……こんな話が明久たちにバレてしまえば、ワシは更に女扱いされてしまう。なんとか秘密裏に断らねば……】
【…………この視点の低さなら、いつでもアイツのスカートの中を見られる……!】
「「「「「「「「《……え?》」」」」」」」」
———ヒデさんたちの召喚獣たちが口々にそんなことを言い始めました。
《【……こ、これって一体?】》
- 番外編:召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜その② ( No.182 )
- 日時: 2015/11/13 23:43
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
雄二Side
【お化けとかじゃなくて良かったぁ……危うく前の肝試しのときみたいに、また眠れなくなって葉月と一緒に寝なきゃいけなくなるところだったわ……】
【まさかまた近所の男子中学生に告白されるとは……こんな話が明久たちにバレてしまえば、ワシは更に女扱いされてしまう。なんとか秘密裏に断らねば……ここはやはり、造に相談するしか……】
【…………この視点の低さなら、いつでもアイツのスカートの中を見られる……!】
「「「「「「「「《……え?》」」」」」」」」
あのお騒がせババァの提案で、急遽半強制的に始まった召喚獣の試運転。そんな中秀吉たちの召喚獣が喋り出し、しかも何やら妙な事を口に出している。……おいおい、何だこりゃ?
「え、えっと、美波……?今召喚獣が言っていた肝試し以来お化けが怖くて葉月ちゃんと一緒に寝ているって話は……」
「ほ、本当ですか美波ちゃん……?」
「そう言えば秀吉、最近家に帰るたびに何やら溜息ばかりついてたけど……なるほどそう言う事だったのね」
《ひ、ヒデさん……それはまた大変でしたね———【自分も最近告白される回数が増えて】って、また思った事が!?》
「ムッツリーニは……まあ、いつも通りか。ちなみにアイツって誰なんだ。ん?」
そんな感じで三人に問いかけると、それぞれ否定の姿勢で返事をする。
「ち、違うのよ、アキに瑞希!?こ、これは召喚獣が勝手に全く思ってもいない事を喋っているだけなの!いくらなんでもこの歳で葉月と一緒に寝るなんて!」【寝るときだけじゃなくて、最近はお風呂も一緒かな。だって、髪洗う時怖いんだもん】
「島田の言う通りじゃ。いくらなんでも、男のワシが近所の男子中学生に告白されるなぞ、嘘にも程があるぞい。と言うわけで造に姉上よ。真に受ける必要はないぞい」【今月はこれで3人目じゃ……】
「…………別に」【…………工藤の事に決まっているだろう。アイツ、最近イメチェンとか言い出してスパッツ卒業したからな。気にならないワケないだろう。あのスカートの中にどれだけのロマンや夢、そして希望があり興味は尽きないからな】
ふむふむ……語るに落ちるとはまさにこの事だな。と、そんなことを考えていると突然島田の召喚獣が明久と姫路に跳び付く。……ん?
「あ、あれ?美波の召喚獣に触れるんだけど……?」
「ほ、ホントですね。明久君の召喚獣みたいです」
そう、本来召喚獣はホログラムの様な存在である為に、造や明久のような観察処分者用の召喚獣の特性である物理干渉でもない限り召喚獣は物や人には触れない。が、島田の召喚獣はしっかりと明久たちの足にしがみついていた。てことは……
「あのババァの事だ。どーせ細かい設定に失敗したんだろうさ」
《【あー……みたいですね。流石にフィードバックは付いていないようですが】》
「どうもそんな感じだね。案の定何か隠していやがったねあのババァ」
……ちっ。あのババァめ。やっぱ裏があったな。こりゃまた面倒な事になりそうだ。
「そ、そんなことよりアキに瑞希!その子こっちに渡してちょうだい!と言うか、いつまでくっついているのよウチの召喚獣は!?」
【やっ!ウチはアキと瑞希の所に居るっ!】
更には召喚者の意思にも逆らっていやがる。ふむ、こりゃひょっとすると……?恐らく一番この現象について理解しているであろう造にアイコンタクト。
「(造、今のうちに)」
《(はい、わかってます)》
島田の召喚獣が駄々を捏ねて連中が混乱している間に、こっそりと造と教室の端に移動してこの現象について話合う事に。
「さてとだ。造、お前はこれをどう見る。あのババァは一体何をしやがったと思う?」
《【んー……そうですね……学園長の話では、今回のこの召喚獣は無意識領域の一部を読み取るとか何とか。加えてこれは《文さん》に影響を受けたプログラムとも言っていましたね】》
文か……一応あのババァから話は聞いていたが、そういやこの前の体育祭で初めて本人(?)を見たな。あの後こっそりと造に文の事を正式に話を聞いたんだが……ふむ。あの人工知能持ちの文に影響されたプログラムってことは———
「つまり、今の召喚獣は体面より欲求に従った行動をとるってことか。自動化の為に自己を形成された結果が、幼児程度の人格を持つ召喚獣として確立されちまったって感じだろうな」
《【そのようですね。この召喚獣の状態は文さんが生まれた経緯と酷似しているのでまずゆーさんの推測に間違いはないでしょう。文さんも自分の幼児程度の人格をコピーして誕生しましたし。……ご存じの事だと思いますが、召喚獣の本質は召喚者の意思を読み取りその意思に従って行動すると言うものです】》
「だが普段はリアルタイムで受け取っている召喚獣が行動するためのその召喚者の意思を、ババァが自動化にしちまってるせいでこの召喚獣たちは召喚者の意思を今は読み取らない。ならそれ以外に何かしらの行動原理が必要ってことだな」
ババァの作り出したシステムの詳しい理屈はよく知らんが、要するにロボットが自動的に動くには結局最初は命令・信号が設定されてなきゃならんってイメージか?
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