二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
- 日時: 2016/03/25 21:41
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド
【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】
の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。
暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」
明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!
体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。
———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照
5〜5.5章及び各種設定 【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照
6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5 103時間目>>8-11 104時間目>>12-16 105時間目>>20-23
106時間目>>24-28 107時間目>>29-32 108時間目>>33-36 109時間目>>37-40
110時間目>>41-44 111時間目>>45-48 112時間目>>49-52 113時間目>>53-56
114時間目>>59-62 115時間目>>63-66 116時間目>>67-70 117時間目>>73-76
118時間目>>80-83 119時間目>>84-87 120時間目>>91-94 121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79
6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132
週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138
ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178
召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196
寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221
7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330
7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350
文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355
彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編
おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編
8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編
———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278
———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279
お知らせ>>270
- 117時間目 波乱の決勝:VS教師戦〜高橋先生大活躍?〜 ( No.73 )
- 日時: 2015/08/21 21:07
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
造Side
体育祭のプログラムの一つであり、自分たちFクラスにとっては最も重要な野球大会の決勝戦。その決勝戦を前に、自分たちは一塁側に用意されたFクラスベンチで、それぞれのポジションや打順の確認を念入りに行っているのですが……
「あー……雄二は8番で良かったの?」
「…………俺は英語も世界史も点数を取れているからな」
……どうにもゆーさん未だにご機嫌斜めのようですね。試合が始まれば切り替えるかなと思いましたが、これはもうどうにもなりそうにないですかね?
「(造よ、雄二の奴はどうしたのじゃ?何やら随分不機嫌ではないか)」
「(ホントよね?何?坂本のヤツ何かあったの?)」
クラス代表であり、Fクラス最大の智将でもあるゆーさんが不調(いえ、不機嫌?)な事を気にしてか、先ほどの事情を知らないヒデさんと島田さんが自分に小声でそう尋ねます。
「(えっと……実はですね————)」
〜造説明中〜
「(———そう言う感じで、何やらゆーさんと霧島さん、仲違いをしているみたいなんですよ)」
「(なるほどのう……それで雄二はあんな感じなのか……)」
「(それにしても……翔子が坂本を引っ叩いたですって?正直信じられないわね)」
掻い摘んで二人に説明しましたが、お二人とも大体の事情は察してくれたようです。それにしてもホントに参りましたね……
「(…………作戦に支障が出なければいいが)」
「(と言うか雄二のヤツ、今回はほとんど作戦なんて指示してないからね。僕らで何とかするしかない、か)」
いつの間にか自分らの側に来ていたアキさんとこーさんも話に加わります。
「(……ねえ、瑞希?霧島さんの様子はどうだった?)」
アキさんが島田さんの隣にいる姫路さんに尋ねますが……そうでしたね。姫路さん確か、霧島さんの様子を見に行ったんでしたっけ。姫路さんなら何か知っているのかも?
「(ゴメンなさい……翔子ちゃんあっという間に走っていっちゃって、私じゃ追いつけずに見失っちゃって……)」
「(そっか……いや、瑞希が気にする必要はないよ。にしても霧島さん大丈夫かな……)」
「(そうね……翔子自身、坂本を叩いた事悩んでいるでしょうし……)
「(でも、翔子ちゃんは理不尽に坂本君を叩いたりする子なんかじゃないです!多分、多分ですが……何か理由が————)」
これからの試合も心配ですが、霧島さんとゆーさんが仲違いしている事もかなり心配です。姫路さんの言う通り、何か事情があるとは思いますが……手持ちの情報量では判断できません。全員で試合のこと、ゆーさんと霧島さんのことをどうするか頭を捻っていますが……どうも良い考えが浮かんできませんね。
『これより生徒・教師交流野球決勝戦を始めます。皆さん、整列してください』
……どうやらタイムアップのようです。審判を務める先生の声が聞こえてきます。
「……おら、お前らつまんねぇ話なんてしてないで、さっさと行くぞ」
「あっ……はい、です……」
とりあえずこの辺で話を打ち切って、今は試合に集中しなくては。ベンチのメンバー共々グラウンドに駆け寄り整列します。先生方も三塁側から歩いてやってきて、自分らと向かい合うように並び———
『プレイボール!』
『『『おねっしゃ———すっ!!』』』
一斉に頭を下げて、各自持ち場につきます。自分たちは後攻で、まずは守備からですね。ああ、ちなみに全員の今回の打順と守備位置ですが————
- 117時間目 波乱の決勝:VS教師戦〜高橋先生大活躍?〜 ( No.74 )
- 日時: 2015/08/21 21:10
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
———VS教師陣 守備位置・打順表———
1番 サード 近藤吉宗
2番 レフト 横溝浩二
3番 ファースト 木下秀吉
4番 セカンド 島田美波
5番 ショート 須川亮
6番 センター 月野造
7番 ピッチャー 吉井明久
8番 キャッチャー 坂本雄二
9番 ライト 姫路瑞希
ベンチ 君島博 土屋康太(ムッツリーニ)
—————こんな感じですね。ゆーさんの指示がほとんど無い状態でしたので、一先ず自分とアキさんたちで打順と守備位置を考えてみました。一応各イニングの教科を考慮した打順になっています。守備位置はあんまり変わっていませんが、その辺は順次状況判断して入れ替えればいいですからね。
「はは……野球なんて、二十年ぶりでしょうね。———試獣召喚(サモン)!」
≪化学教師 布施文博 化学 501点≫
VS
≪Fクラス 吉井明久 化学 96点≫
教師チームのトップバッター、布施先生がバッターボックスに入り召喚獣を呼び出します。ちなみに初回の科目は布施先生の担当の化学。初めから超大物が来ましたね。点数差大体400点ですか……
《アウトコース 低め 遅い球》
そんな中、ゆーさんは淡々とアキさんにサインを送ります。一応試合が始まっていますし、ゆーさんも多少の切り替えは出来ているハズ……です。アキさんは頷いて指示通り、第一球を投げました。
『ストライッ!』
布施先生は動きません。まあ、先生方は体育祭の審判等の関係上全員メンバーが入れ替えてあり、召喚獣を使役した野球なんて今回が初めてのハズです。先生も慎重にならざるを得ないってことでしょうかね。
《インコース 高めに外す 遅い球》
次はボール球で、先生の反応を見るみたいですね。アキさんの召喚獣は大きく振りかぶり、二球目を放ります。
「……っ」
『ボール!』
一瞬布施先生はピクリと反応しますが、何とか堪えてそのまま球を見逃します。カウントは1ストライク1ボール。そろそろ先生も振ってくる頃かもしれません。自分も用心しなければ。
《インコースギリギリ 低め 速球》
ゆーさんもそろそろ先生が仕掛けてくるとわかってか、遅い球から速い球に指示を変えてきましたね。緩急つけたボールなら、点数差があっても中々打てないでしょう。アキさんも頷き、思いっきり振りかぶり全力を籠めたボールを————
ひょろ〜
————ぜん、りょく……?あれ?何だか今までで一番遅い球のような……?
『こんのバカ野郎っ!すっぽ抜けてんじゃねえか!?』
ゆーさんの表情を見ると、どうやらアキさん召喚獣に力ませ過ぎたご様子。ボールは打ち頃のど真ん中に、ゆっくりと飛んでいきます。あ、まずいこれは入れられる……?
「っ!?っとと、と……」
と、幸運なことに何やらタイミングが狂わされたのか、先生の召喚獣はフォームが崩れたまま打ち、バットに掠るように当たったボールはそのまま———
『アウト!』
———レフトフライとして抑えられました。よ、良かった……初回ホームランかと冷や冷やしましたが、担当教科の先生を抑えられたのは大きいですね。
- 117時間目 波乱の決勝:VS教師戦〜高橋先生大活躍?〜 ( No.75 )
- 日時: 2015/08/21 21:39
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「やれやれ……あまりに良い球が来たので焦ってしまいましたよ」
「次は僕ですか。中々難しそうですね。試獣召喚(サモン)っ!」
布施先生と入れ替わるように、今度は現代国語の教師の寺井先生がバッターボックスに入ります。
≪現国教師 寺井伸介 化学 211点≫
VS
≪Fクラス 吉井明久 化学 96点≫
むう……寺井先生は現国の教師であるにもかかわらず、化学でもAクラス上位の成績ですか……分かってはいましたが、先生方も一筋縄ではいかないようですね。
《低め一杯 速球》
ゆーさんの指示に頷き、アキさんが狙い通りの中々良いコースに投げます。よしよし、これならそう簡単には打たれな———
「……ほっ、と」
———嘘っ!?初球から打ってきたですって……!?カンッ!と鈍い音が響き、ボールは低い軌道ながら地面を抉るように、一,二塁間を抜けて転がっていきます。
「あはは……ちゃんと捉えたと思ったんですけど、やっぱり生身でやるのとは違いますね」
そう苦笑いをしながら一塁ベースに立つ寺井先生。あっ……!しまった、そう言えばある意味自分の師匠でもある寺井先生って学生時代に野球をやっていたと本人から直接聞いた事がありましたね。これは油断大敵、そして寺井先生は思わぬ強敵になるのかも。1アウト、ランナー一塁。そして迎えるネクストバッターは……
「宜しくお願いします。吉井君お手柔らかに。そして———造くん♪今そちらに行きますからね!試獣召喚(サモン)っ!」
……おおぅ……今度は学年主任にして2−A担任、今回の強敵にしてある意味自分の天敵である高橋先生ですか。余計なひと言付きでアキさんと自分に挨拶をしつつ召喚獣を召喚させます。と言いますか『そちらに行きます』って言われても……出来れば来て欲しくないんですがね?まあ、嫌でも先生が塁に出る事は間違いなさそうです。何せ高橋先生と言えば———
≪学年主任 高橋洋子 化学 803点≫
VS
≪Fクラス 吉井明久 化学 96点≫
『『『ぶほぉっ!!!?』』』
この圧倒的な点数の保持者ですからね……頼りになる守備陣及び、ベンチ・応援席の皆さんが一斉に噴き出したのがわかります。まあ、高橋先生と西村先生がこちらにいる時点でこうなる事は予想済みですが……800点越えかぁ……ホントにこれって勝てるのでしょうか?自分も始まる前は先生方に勝てるチャンスがあると言ってはいましたが、これは流石にどうしようもない気が……
《勝負にならねえ。敬遠するぞ》
流石のゆーさんもここは敬遠を選んだようですね。妥当と言えば妥当でしょうか。と、アキさんが頷こうとすると……
「あれ……?高橋先生、何かおかしいような?」
バッターである高橋先生を見てアキさんは首を傾げます。自分も気になって高橋先生の召喚獣をジッと見てみると……あらら?これひょっとして……バットを持つ右手と左手の位置が逆じゃないですか?……あ、そう言えば以前先生本人に『私あんまりスポーツには詳しくないんですよ』ってことを聞いた事があるような……?
『高橋先生。手が逆だな。それだと打ち難いはずだ』
ネクストバッターボックスに待機中の西村先生もそれに気がついたのか、高橋先生にご自身もバットを持って教えていますね。ああ、やっぱり高橋先生って野球に慣れていらっしゃらないみたいです。
「ああ、通りで……アドバイスありがとうございます、西村先生」
- 117時間目 波乱の決勝:VS教師戦〜高橋先生大活躍?〜 ( No.76 )
- 日時: 2015/08/21 22:16
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
西村先生にそうアドバイスを貰い、バットを構えなおす高橋先生。この様子を見ていたアキさん&ゆーさんも、お互いに『ここは勝負』とアイコンタクトをし勝負の体制に構えなおします。
《アウトコース 高めに外す 速球》
様子見も兼ねて、ゆーさんは外しの空振りを狙っているようです。アキさんはそれに従いボールを放ると———
「ええっと、こうでしたか」
『ストライッ!』
———高橋先生の召喚獣は急に姿勢を変えて、バントの体制に変わります。まあ外してあるのでバットには当たらずに白球はミットに収まりましたが……コレ、送りバント……ですか?いや、ですが……
《ここは黙って送らせて、アウトを一つもらうぞ》
ゆーさんも送りバントだろうと考えたのかアキさんに、そうやってアイコンタクトを取ります。ですが……ちょ、ちょっと待って下さい!?ゆーさんはどうやら素直に送らせるつもりのようですが……いくら高橋先生が初心者とは言え、わざわざアウトカウントを取るようなことはしないはずじゃ!?
それにいくらバントとはいえ、800点越えの点数で打たれたら一溜まりもないハズ。それは姫路さんによる投球を捕球しただけでダメージを負った自分が証明できます。そうでなくてもさっきの姫路さんの400点オーバーの力の凄さを見ていたならばその倍の点数でバントされたらどうなるのかは想像できるでしょう!?こんなこといつものゆーさんならすぐに気が付くはずなのにどうしてっ……!?
《ダメですっ!ゆーさん、アキさん!待ってくださ———》
止める暇もなく、アキさんの召喚獣はボールを放ちます。放たれたボールはバットに吸い込まれるように向かい……
「ここで、こう……」
ゴンという堅い音が響き、バント成功。ただし高橋先生の狙いはただのバントではなく、
「ちぃ!?プッシュバントかっ!」
送る方ではなく、ヒット狙いのバント。そうプッシュバントです。やられました……狙われていたようですね。野球のルールがわかっていないハズなのにこの咄嗟の判断と場の理解力、高橋先生……なんて厄介な。
ボールは目の前に転がると予測し、前に突っ込んでいたピッチャーであるアキさんとサードの近藤くんの間を低い軌道で抜けて行きます。マズイですっ……誰かカバーを……!
「任せろ!」
《おぉ!ナイスです須川くん!》
と、ここで先ほど姫路さんの活躍(?)により召喚獣は戦死させられフィードバックで今まで倒れていた須川くんが復活し、カバーに回ります。おお、助かりました!須川くんはきっちりと捕球の姿勢を取り、すぐさま一塁側に返球出来るような体制を取って……
ズドスッ! ゴロゴロゴロ……
「ごぶるぁあ!?」
《んな!?す、須川くん!?》
「「「!?んだとぉお!?」」」
……!?ぼ、ボールと一緒に須川くんの召喚獣も吹き飛ばされた!?プッシュバントなのに……な、なんて恐ろしいパワーなのですかコレ!?……これが800点越えの本気!?
『高橋先生あれなら二塁まで行けます!』
先生のどなたかが高橋先生に叫びます。ちぃ……呆気にとられている暇はありません!とにかく須川くんの召喚獣ごと飛んでいったボールを追うことに。これは……完全にやられましたねっ!
「二塁……ああ!造くんがいる方向ですね!分かりました♪」
そして、高橋先生は嬉しそうに頷き、凄い勢いで召喚獣と共に自分のいる方向の二塁へと向かいます。まるで障害が無いかの如く、真っすぐ。
「造くん、宣言通りちゃんと来ましたよ!どうですか!凄いですか!」
《…………え?》
『『『…………は?』』』
———そう、真っすぐ一直線に。マウンドの上を突っ切ってどういうわけかボールを捕球しに来ていた自分のところまで。これにはランナーである寺井先生も含め、流石の自分たちFクラスの皆さんも敵である先生方や応援席の皆さんも唯一人の例外もなく全員の目が点になります。確かにこれはある意味凄い。
『……バッター、アウト』
審判の先生が何とも言い難い表情で高橋先生の凡退を宣告します。えっと……ここで野球のルールの一つを確認したいと思います。もうすでに皆さんお分かりだとは思いますが、ランナーは所定の場所以外を走ってはいけないってルールがあります。それと、一塁ベースを踏んでいない状態で二塁ベースを踏んではいけないと言うルールも。つまり一塁ベースも踏まずに真っ直ぐ自分の場所まで召喚獣ごとやってきた高橋先生は……残念でしょうがアウトです。どうやら高橋先生はその事を知らなかったようですね……
『えっと……高橋先生。アウトなのでベンチに戻ってください』
『むぅ……何故ですか?折角造くんのところに行けましたのに』
『いえ……そもそもそういうルールではないのですがね……次の打席までに他の先生方に正しいルールを教えてもらっておいてください』
審判の先生にそう言われ不服そうに高橋先生は、召喚獣と共にベンチに戻っていきます。ま、まあ野球をやる経験が少なかったって事でしょうし、初心者なのでそう言うこともあるんでしょうね……多分。
《えっと……島田さん、お願いします(ヒュッ!)》
「(パシッ!)あ、うん……寺井先生、タッチアウトです」
「え?……あっ」
まあ一応今も試合中ですし、追っていたボールをなんとか捕球し(ちなみにパワーダウンしているはずなのに捕球した際も未だにとてつもないパワーを保持していました)島田さんに投げ渡します。受け取った島田さんが一、二塁間で呆気にとられている寺井先生をタッチアウトに。すみません寺井先生……これも勝負ですので。
『あー……す、スリーアウト。チェンジ……です』
『『『…………』』』
折角一点も入れられずに一回の表を抑えられましたのに、先生方は勿論、喜ぶべきである自分たちも観客の皆さんも物凄く盛り上がっていません。何なのでしょうね……この言いようのない気持ちは……
≪学年主任 高橋洋子 化学 803点≫
VS
≪Fクラス 須川亮 化学 DEAD≫
『ああ、それと残念だが須川。お前は後で戦死した教科の分補習室行きだからな』
『…………はぁ!?ちょ、何故だ!?俺が一体何をしたと言うんだ鉄人!?』
『誰が鉄人だ誰が。まあ、安心しろ。試合が終わるまでは特別に保留してやるからな』
『安心できるかぁ!?』
そうそう……ボールを受けようとしただけなのに、須川くんの召喚獣は再び静かに天に召されていました……姫路さんから戦死させられた分も含め試合が終われば点数補充のため補習室に行かねばならない運命となった今日の須川くん。彼は今日ちょっぴり厄日ですね……
- 番外編:覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜 ( No.77 )
- 日時: 2015/08/22 21:57
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
問1 次の野球用語について説明しなさい。
『タッチアップ』
坂本雄二の答え
『フライがあがった時に走者がその打球の行方を見守ること。捕球後は進塁することができる』
教師のコメント
その通りです。
姫路瑞希の答え
『痴漢をする』
教師のコメント
野球のタッチアップを知らないのに英語の touch up のそんな訳まで知っているとは、流石に先生も驚きました。英語を訳す上では正解ですが、野球用語としては残念ですが間違いですね。
土屋康太の答え
『フライがあがった時に走者が打球とチアリーダーのスコートを確認すること。捕球後は痴漢しに行くことができる』
教師のコメント
落ち着いて下さい。正しい知識といやらしい願望が混ざっています。
霧島翔子の答え
『フライがあがった時に夫(ゆうじ)をチアリーダーとしてコスプレさせること。捕獲後は夫(ゆうじ)を痴漢しに行くことができる』
教師のコメント
霧島さんも落ち着いて下さい。と、言いますか色々とツッコミどころが多すぎてどれからツッコむべきかわかりません。
坂本雄二のコメント
と言うか、翔子は自重しろ!?つーか、それはまさかお前の願望なのか!?
問2 ヒットエンドランとは、どのような連携でしょうか?
吉井明久の答え
『ピッチャーがボールを投げると同時に走者が次の塁に走って、バッターもボールを打つ連携のこと』
教師のコメント
その通りです。ちなみに余談ですがヒットエンドランは、打者の打撃方法や走者の走行タイミングなどでいくつかの応用戦術があります。バントエンドランやバスターエンドランなどがいい例ですかね。
姫路瑞希の答え
『当て逃げ』
教師のコメント
えっと、確かに hit‐and‐run accident で当て逃げ事故と言う意味ですが、野球用語としての問題ですので不正解ですね。
月野造のコメント
……いえ。姫路さんや高橋先生レベルの打球の威力は当て逃げ以上の破壊力ですし、ある意味合っているのかもしれませんよ先生……
須川亮の答え
『hit=撃つ,end=終わる,run=逃げる つまり異端者共を撃ってその対象の命を終わらせてから、速やかに逃げ去ること』
教師のコメント
貴方はゴ〇ゴか何かですか。
〜解答終了後:Fクラス教室〜
「うぅ……」
「ん?どうしました姫路さん?帰らないのですか?それに何やら落ち込んでいるようですけど……」
「あ、月野君……えっと、さっきの野球のミニテストの結果でちょっと落ち込んじゃいまして……これ見て貰えますか?」
「ふむ……あらら。ひょっとして姫路さん野球はあまり得意じゃないのですか?」
「その、恥ずかしながら私野球だけじゃなくて他のスポーツもあまり得意じゃなくて……難しいんですね野球のルールって」
「ああ、大丈夫ですよ姫路さん。誰でも最初は初心者ですし、わからなくても恥ではありませんよ」
「でも……もうすぐ召喚野球大会があるのに、私何もわからなくて……このままじゃダメだなぁって思っていまして」
「あ、それでしたら———折角の機会です。召喚野球の前に姫路さんは放課後にでもアキさんやゆーさんたちに野球のルールを教わってはいかがでしょうか?」
「え?明久君たちに……ですか?」
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77