二次創作小説(紙ほか)
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- バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
- 日時: 2016/03/25 21:41
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド
【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】
の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。
暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」
明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!
体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。
———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照
5〜5.5章及び各種設定 【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照
6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5 103時間目>>8-11 104時間目>>12-16 105時間目>>20-23
106時間目>>24-28 107時間目>>29-32 108時間目>>33-36 109時間目>>37-40
110時間目>>41-44 111時間目>>45-48 112時間目>>49-52 113時間目>>53-56
114時間目>>59-62 115時間目>>63-66 116時間目>>67-70 117時間目>>73-76
118時間目>>80-83 119時間目>>84-87 120時間目>>91-94 121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79
6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132
週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138
ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178
召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196
寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221
7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330
7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350
文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355
彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編
おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編
8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編
———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278
———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279
お知らせ>>270
- 142時間目 ( No.294 )
- 日時: 2016/03/11 21:17
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「……その、70点代……でしたね。あのまま戦っても最悪倒しきれなかったかも……しれません」
「だろ?お前の武器である常時点数消費型の箒の能力はいわば“銃”のようなもんだ。そしてその“銃弾”は勿論試験で取った点数にあたると言っていい。それは確かに強力な能力だが……点数を使い切ったら何もできずに終わってしまう」
そう、普段でさえとても燃費が悪いこの能力。今日は補充室を封鎖され使えないこともあり、いくらゆーさんの点数回復の腕輪があろうとより一層慎重に能力を使う必要があるわけですね。
「その能力、使うなら一撃で確実に相手を倒すべきだ。そしてさっきお前が言った通り、お前の能力で相手を確実に仕留められるのは90〜110点消費した場合だな。お前の現在の戦闘で使える科目は大体300点前後のものばかりだったろ。つまり余裕を見て二回点数消費の能力を使ったら、すぐに撤退すべきだ」
「つまり……これから先は消費するなら約100点単位で一人ずつ倒すべきで、さっきのように残り100点を切っていたなら即撤退すべきってことですね。それとゆーさんの言う通り三人以上と戦ってもダメ、と」
「わかってくれて助かる。確かに人数が人数だけに、いずれどうしても三人以上と戦わなきゃならない状況にもなるだろう。ただし焦る気持ちもわかるが今はまだそう焦らなくていい。これから先は長期戦になるからな。一人二人を相手にしたらすぐに回復して移動するぞ」
「そうだね。造、欲張らなくていいよ。Cクラスの人たちに構いすぎて今度はFクラスの連中に囲まれちゃったら終わりだからね。さっきもあれ以上あの場所に留まっちゃったらFFF団に増援を呼ばれて大変だったと思うしさ」
一対多数という状況で日々逃げることに慣れている二人にそんなアドバイスを頂ます。……確かに自分は焦っていましたね。それと多分過信と慢心も少々。さっきの最後の三人目、自分の残りの点数ですと、ギリギリ倒しきれなかった可能性が高いです。仮に倒しきれなかった場合カウンターを貰って戦死していた可能性も否定できません。そのまま戦死してしまったらと思うとゾッとしますね……それにアキさんの言う通り、これは本来ゆーさんを護りながらの戦いです。そのゆーさんたちが不利になるような戦いをしちゃダメですし。
「……ありがとうございます、ゆーさんアキさん。少々頭に血が上って絶対やれると過信していました。ごめんなさい、これから気を付けて戦いますね」
「謝るな造。つか焦ったり多少頭に血が上るのも無理もないさ。何せお前は気持ち的にはCクラス全員と戦わなきゃならねぇんだ。まあ、慣れてきたら少しずつ倒す人数増やしていこうや」
「プレッシャーも少なからずあるのが当たり前だからね。寧ろ早速二人戦死させてたじゃない。良い調子だよ」
少し調子に乗っていた自分を反省。そんな自分をゆーさんとアキさんは慰めてくれます。……そうですね、今回の作戦焦ってもしょうがないですし長期戦になります。焦らず確実に地道に倒していくことにしましょう。
「そう言って頂けると嬉しいですお二人とも。……それとゆーさん。今のように点数を戻すタイミングや撤退のタイミング、ゆーさんに任せても良いですか?どの道ゆーさんしか再設定(リセット)は出来ませんし、ゆーさんなら絶妙のタイミングで点数回復してくれますよね」
「おうよ、任されたぜ」
「雄二が点数回復させているときは、Fクラスの連中の相手は僕がするね」
『いたっ!体育館裏だ!全員でシメるぞ』
『吉井ィ……坂本ォ……!今度こそテメェら生かして帰さんからなぁ……!』
『皆こっちに来て!坂本君がいるわ!代表さえ倒せば私たちの勝利だし、早速勝負を挑みましょう!』
『気を付けろ!もう二人戦死したって報告もあるし、慎重にいくぞ!』
そんなプチ反省会も数分で終わり、C・Fの皆さんに見つかってしまいます。さて、折角のお二人のアドバイスです。有効に活かしていかねばね。
「それじゃ、次行くか」
「次はグラウンド辺りでやるよ造」
「了解です、しばらく目立つように暴れて皆さんの注意を引きつける必要もありますからね」
そう三人で頷きつつ、一斉に飛び出して今度はグラウンドへと向かいます。これでしっかり皆さんを引きつけておけば、ヒデさんも上手くあの隠し部屋から出られるはずです。少しでも自分たちが目立ってヒデさんが動きやすくしなければね。……ヒデさん。自分も頑張ります、ですから今回もっとも大変な役割を押し付けてしまった自分が言うのも何ですが———ヒデさんもどうか頑張ってくださいね。
秀吉Side
「———ふぅ、何とか無事に辿り着いたの」
造たちが十分に引きつけてくれたお陰で、CクラスからもFクラスの須川たちからも見つからずに隠し部屋から抜け出して作戦の第一段階を攻略すべくこの場所にやってこれたワシ。一応細心の注意を行い変装もしておいて正解じゃったな。
それにしても……今回のワシの役割、正直言って全うできるかは今一つ自信は無い。ワシにこの策を託してくれた造も言うておったが、かなりの難易度じゃ。しかし……
『さあ、俺たちはここだぞC・Fのバカ共が!』
『かかってきなよ!僕ら三人を倒せる自信があるならね!』
『自分たちは絶対負けませんからねっ!では行きますよ皆さん!起動(アウェイクン)!科目:現代社会!』
……新校舎三階の窓からそんな声が聞こえてくる。ちらりと声のする方を窓から覗いてみると、造・明久・雄二の三人が必死になってあの連合軍と対峙しているのが見えてきよった。
……そうじゃな。あやつらも勝つために、必死になっておる。こんなワシにこのような重大な役割を託したうえで、それをワシがやってのけると信じて戦ってくれておる。……ワシだってFクラスの、そしてあやつらの仲間じゃ。その期待に応えたい。そしてその負けないと思う気持ち、決して無にはさせてなるものか……!
決意を新たにワシの頬をパチンと自分で叩く。うむ、気合いは入った。あまりのんびりもしておれぬし、早速最初の関門であるこの教室におる二人に会って話をせねばな。
コンコンコン
『はーい?どちらさま———んん?あ、あれ?キミもしかして……?』
「突然の訪問済まぬ。じゃが緊急事態じゃ。悪いがこの教室のとある二人に話をさせてほしいのじゃが」
変装を一旦解きつつ教室にお邪魔させてもらう。さて……下で戦っておる造たちに今のような戦いがあるように、ワシにはワシの戦いがある。では、全力で挑ませてもらおうかの。
- 143時間目 ( No.295 )
- 日時: 2016/03/11 21:20
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
Cクラスとの試召戦争———だけでなくFクラスの皆さんの暴動を対処するべくいよいよ始まった自分のとある作戦。今のところ第一段階は悪くないペースで事が進んでいると言っていい感じです。
《———フィールドに入ったらこっちのものです!Fクラス月野造!そちらのCクラスの生徒さんに勝負を挑みます!》
「うっ……し、Cクラス野口、勝負に応じます。試獣召喚(サモン)!」
《そこですっ!喰らいなさいっ!》
ブンッ!———ザンッ!
《Fクラス 月野造 数学 378点 → Fクラス 月野造 数学 251点》
VS
《Cクラス 野口一心 数学 142点 → Cクラス 野口一心 数学 0点》
「んな!?い、一撃で戦死……!?」
《よし……!》
とにかく何が何でも先手必勝。相手が試獣召喚(サモン)と唱えられたら、すぐさま次に現れる召喚獣の出現場所———つまりは召喚者の足元を狙い風の刃を撃ちこみます。倒れるのを確認すると今度は……
「よしよし、良いぞ造!明久、腕輪使うからこのバカ三人任せた!」
「わかっているって!ほら、来なよ皆!」
「それじゃ……再設定(リセット)!」
《Fクラス 月野造 数学 251点 → Fクラス 月野造 数学 378点》
「回復出来たぞ造!そんじゃ次行くぜ!」
《助かりますゆーさん。では……解除(キャンセル)!》
———Fクラスの皆さん3人相手に大立ち回りをしていたゆーさんが、すぐさま黒金の腕輪を使い点数を回復します。その間はアキさんがFクラスの皆さんの面倒を見てくれます。回復したらフィールドを解除して周りを囲まれる前に別の場所へと向かって走る自分たち。こんな感じで3人で役割分担をしながら一人倒してはすぐ移動、また一人倒してはすぐ移動と言う具合に“時間”までゆっくり、ですが確実にCクラスの皆さんを倒していきます。
「雄二、例の時間まであと何分?」
「10分ちょいだな。もう少しの辛抱だ」
「では……あとちょっとだけCクラスの皆さんを倒しておきましょうね」
「そうしてくれ。それじゃ次はまた引き返してグラウンドに行くぞ。隠し扉も5つある内の一つがあの辺にあるんだよな」
「はい。時間になったらそこに迷わず飛び込みましょうね……それにしても……うーん」
「「ん?どうした(のさ)造?」」
…………それにしても、これは直接は試召戦争に関係のないですし本人たち曰くどうでもいいことらしいのですが。自分には3人と戦うのは大変だし危険だと仰っている割に、ゆーさんも勿論アキさんも手錠で繋がれていると言うハンデ付きでよくもまあそんな武器を持った複数人のFクラスの戦闘集団と戦えますね……さっきなんかゆーさん、5人以上と相手してたような気が。アキさんもアキさんで手錠でゆーさんと繋がれているのが嘘と思えるくらい身軽に相手を翻弄していましたし。
「……いえ、その二人ともよく鍛えてあるなって思っただけです。(ある意味)尊敬します」
お二人とも先ほどからまさにちぎっては投げちぎっては投げと武器らしい武器は何も持っていないにも関わらず、全く彼らを苦にせずに相手をしています。……こう言っては二人とも落ち込むでしょうから言いませんが、こういうことが出来るからこそ文さんはアキさんとゆーさんを不良だと判断しているのでは……?ま、まあとても男らしいですし自分(+お二人の事を大好きな女性陣)はちゃんとお二人の事とてもカッコイイと思っていますからね。
「ん、そうかな。へへへっ、まあ褒められても照れちゃうかな」
「まあ、これくらいは朝飯前だからな」
「……やっぱり流石ですね、色んな意味で。ま、まあそれはともかくそろそろグラウンドに着きますし気を引き締めていきましょう。ここさえ乗り切れば第一ラウンドは制せますからね」
そう言っている間にグランドに辿り着き、グラウンド中央で立ち止まる自分たち三人。さあ、残り10分はここで迎え撃つとしましょうか。
「さて……次は逃走する必要がありますし、なるべく今現在の点数が高い科目でいきますね」
「そうだな。なら地学辺りでいくと良い。確かCクラスの連中あまり地学は取れてなかったはずだ」
「地学ですね。わかりましたゆーさん」
「雄二、僕らも気を引き締めよう。奴らが来るよ。造がフィールドを張ったら黒金の腕輪使うんでしょ?召喚野球の時みたいに忘れるようなマヌケはしないでよね」
「お?お前にしてはちゃんとわかってやがるな明久。わかってる、んじゃ設定(セット)する間は奴らを頼む。さてじゃあ———」
『『『いたぞ!Fクラス代表、我々Cクラスのために倒させてもらう!』』』
『『『いたぞ!異端者共代表、我々Fクラスのために殺させてもらう!』』』
「———いくぞ、明久・造っ!」
「応よ雄二!さあ来い異端審問会!」
「了解ですゆーさん!起動(アウェイクン)!科目:地学!」
キィイイイイイイイン! ボンッ!
《Fクラス 月野造 地学 387点》
《よし、ゆーさんっ!》
「設定(セット)!———これでいいな。時間まで粘ってくれ造!」
『会長っ!坂本もこっちに来やがりました!』
『飛んで火にいる夏の虫とはこのことだ!総員、全力でぶちのめせぇ!』
そう言ってアキさんが面倒を見ていたFクラスの皆さんと対峙しにいくゆーさん。そんなゆーさんを見送りながら自分は自分でCクラスの皆さん6人と対峙します。
「……今度は地学で来たのね。しかも中々の高得点、金の腕輪がないことが唯一の救いかしら」
「怯むな!どうせ坂本を倒すにはあの子先に倒さないとならないんだ!囲みながら接近戦で挑むぞ!」
「いいか、さっきの代表の説明通り召喚したら間髪いれずに接近戦に持ち込む!攻撃の隙を与えたらすぐに戦死させられると思え!いくぞっ!試獣召喚(サモン)!」
「「「了解!試獣召喚(サモン)!」」」
《では……Fクラス月野造!そちらの6名のCクラスの皆さんに勝負を挑みますっ!》
忘れないように勝負を挑んで、このフィールド内にいる皆さんと対峙する自分。10分後に姿を消す予定ではありますが、ただ時間稼ぎするのは勿体ないです。出来る限りCクラスの皆さんの戦力を削らなければ。
「ハァッ!喰らえっ!」
《っ、早い……!》
召喚と同時に自分の懐に入り込もうとするCクラスの皆さん。まだ空中に点数が表示されていないにもかかわらず、攻撃に転じてくる召喚獣たちの攻撃を避けながら距離を空けます。
「なるべく固まっちゃダメよ!まとめて攻撃されかねないわ!」
「一定の距離を空けられる前にすぐにこの子を囲もう!確か代表曰くこの子の武器は距離を離さなければ使えないそうだしな!」
《……なるほど、見抜かれてますかね》
距離を取って攻撃に転じようとした矢先、四方八方を6体の召喚獣に囲まれる自分。……弱点なので味方以外にはとても言えないことですが、本来は3〜4メートルくらい離れていないと自分まで攻撃に巻き込まれてしまうのですよね……こんな作戦を出すとは、小山さんに弱点が見抜かれているかもしれませんね。
《———ですが、弱音は吐けませんよね。いっけぇ!》
囲まれているので後ろにも注意をしながら、牽制交じりに一番遠くの召喚獣に向かって点数を少しだけ消費して風の刃を放ちます。そうダメージは与えられませんが一瞬の隙はつけるハズ。その攻撃を皮切りに、このグランドが戦場へと変わっていきました。
- 143時間目 ( No.296 )
- 日時: 2016/03/11 21:24
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
雄二Side
『『『死ねぇ!坂本に吉井ィ!』』』
「ハッ!良い度胸だ———テメェらがまずクタバレや」
「色々と勝手に言ってくれて———君らに殺されるほどお人よしじゃないよ」
Cクラスの連中を造に任せ、俺と明久は大事な試召戦争中に暴動なんてバカをやらかしてやがるこの暴徒を相手にする。明久とワイヤー付手錠で繋がれていると言うハンデがある中、この暴徒たちは武器を持って容赦なく攻め込んでくるが……
「っしゃあ!」
『ゴフッ……!?』
こっちも大事な試召戦争の予定が狂わされたんだ。懐に入り込みアイツら以上に情け容赦なく鳩尾に拳を叩き込む。まあどうせしばらくしたら復活してくるだろうが、復活したらしたでストレス解消にまたぶちのめすだけだしな。こりゃ良いストレス解消のサンドバッグだ。
「ついでに———明久!」
「OK!」
明久に合図をして手錠で繋がれている方の手を思いっきり引っ張る。
『お、うぉおお!?』
すると、俺と明久の中央にいた敵の一人がワイヤーに引っ掛かって体勢を崩す。
「くらえやボケェ!」
『ぐぼほっ……!?』
そこにすかさず俺が左拳を叩き込む。そのままコイツはもんどり打って倒れ、地に沈んでいく。ハッ!他愛もない。……と、まあこんな具合に、ハンデであった明久とこの邪魔な手錠の扱いにも慣れてきたところだ。普段はただの世界一のバカだが、こういう時は地味に役に立ちやがる俺と繋がれているバカ。死んでも言うつもりはないが、まあ良くも悪くも息は合うからな。
『ええぃ、相手はたったの二人だぞ!ビビることはねぇ!』
『その通りだ!こっちは三人もいるんだからな!』
『そうとも!俺たちが負けるわけがない!正義は勝つのだからな!』
必死で戦う俺らの前で、相手の三人が口々にそんなことをのたまう。おいおい、それはなんて———
『『『ぎゃあああああああああああ!?』』』
———なんて見事な死亡フラグだ、おい。明久と共に一撃でぶちのめし、グラウンドに沈んでもらう。ま、ごく一部の頭と体のリミッターが外れている連中がいないならこんなもんか。
「何だったんだあいつら、異様に手応え無かったぞ」
「まあ、戦う前から勝負はついてたんじゃないかな」
明久の言う通り、戦う前から死亡フラグ立ててやがったしな。それにしても正義は勝つ?笑わせてくれる。当たり前だ、勝った方が正義だからな。つまりは俺らが正義だ。そう思いつつ、別の連中と対峙する。次は———武藤と君島か。
「さぁて……次はお前らか武藤に君島」
「殺す気で来たんだし、やられる覚悟は勿論あるんだよね二人とも?」
『っ!こ、こうなったら見てろよ……試獣召喚(サモン)!』
『俺も行くぞ、試獣召喚(サモン)!』
と、そんな中何を思ったのか突然召喚獣を召喚するこの二人。造が張っているフィールド内にいるから、普通に召喚は出来る。出来るが……何だ?何をする気だこいつらは?確かに召喚獣はゴリラ並のパワーがある恐ろしい存在だ。だが明久や造のように物理干渉のない召喚獣では俺たちに触れることはできないハズ。そんな召喚獣をこんな時に出すのは、一体どんな策が———
『Fクラス武藤啓太!Fクラス異端者の坂本に召喚獣の勝負を挑む!』
『同じくFクラス君島博!異端者代表の坂本に召喚獣の勝負を挑む!』
「「…………は?」」
…………何をやっているんだこの二人のバカは?
『どうした!ホラさっさと召喚しやがれ!お前を討ち取ればCクラスの勝利で目的の半分は果たせるぜ!』
『造ちゃんもやってただろ!召喚に応じないならお前の負けだぞ坂本ォ!』
…………その言葉に思わず明久と顔を見合わせてしまう。こいつらまさか“召喚に応じなければ戦死”のルールを使っているつもりなのか……?バカだ、ここにバカが二人ほどいるぞ。
「ハァ……あのなぁ。あのルールはあくまで試召戦争中の相手クラスの生徒に対して適用されるルールだぞ」
「まあ確かに今は君たちが造反してるけど、形の上では僕らってFクラスの仲間だしそのルールは全く意味ないんじゃないかな……?」
「そういうこった。明久でもわかることをわかっていないとは……悲しくなるバカだなお前ら」
『『あっ』』
「「隙ありぃ!」」
俺たちのその説明に呆けたこいつらに一撃を喰らわせる俺と明久。ちなみにこの二人FFF団からも———
『えぇい何バカやってんだそこの二人は!』
『邪魔だお前ら!遊ぶんなら別のとこでやりやがれっ!』
『もうあっち行け!召喚獣出してんなら造ちゃんを戦死させて戦いやすくするくらいお前らバカでもできるだろ!』
———そう厳しめのコメントを受けている。その温かい(?)仲間の声援(?)を受け、その二人は少し目に涙を浮かべつつ造とCクラスの連中が対峙している場所に移動してしまった。……何しに来たんだあの二人?
———さて、それは一旦置いておくとしてだ。この造が考え出したこの作戦、改めて当事者である俺たちはともかく関係ないはずの造と秀吉の負担が非常にデカいと感じる。一応納得はしているものの正直言うと、巻き込んでしまったのは悪いと思っているし出来ることなら代わってやりたい気持ちではある。明久たちの同棲生活が一つの切っ掛けではあっても、代表としてクラスをまとめられなかったのは……代表失格って言われてもおかしくないしな。
……まあ、代わろうにも代われない立場だが。どうあっても俺は俺だし、造は造だし秀吉は秀吉だ。立場を悔もうとも出来ることはそれぞれ違って来る。だからこそ出来ることを完璧にやり遂げなければならない。ちなみに俺に今出来ることはただ一つ。代表として死んでも戦死しない事。これがこの無謀な作戦を提案した造や実行している秀吉たちに対する礼儀だ。
「———さぁ、次はどいつだ!さっさとかかってこいや!」
……いかんな。こんな時に妙な感傷に浸っちまった。そんな感傷を吹き飛ばすように大声で叫びつつ拳を固める。とにかく今は明久と共に時間が来るまでこのバカ共の相手をするとしようか。
造Side
《はあっ!》
「うおっ!?」
現在Cクラスの皆さんを一人倒して5人と戦闘中の自分。皆さんが地学であまり点数が取れていなかったこともあって、厳しいですが何とか対処できています。
「なんで……なんでこうも倒されるのよ……!?」
「ダメージはほとんどないのに鬱陶しいな畜生……!」
牽制に1〜2点という少ない点数で生み出した風の刃を、相手の召喚獣の関節目がけて放ちます。それではほぼダメージは与えられませんが、関節に攻撃を受けた召喚獣はコテンとその場に倒れ込んでしまいます。要はちょっとした膝カックンの原理ですね。これなら時間稼ぎにはなりますし攻撃のチャンスが来れば、倒れてる召喚獣に目がけて一撃を加えられますからね。
《みみっちいですけど……これ繰り返せばチャンスが———セイッ!》
「「ああっ!?またっ!」」
《早速チャンス到来っ!喰らいなさいっ!》
そんなことを考えていた矢先、二体の召喚獣が自分の目の前で同時に倒れおまけにそれぞれの武器までも転んだ弾みで落としてしまいます。よしっ!これなら防御も回避も出来ないハズ。さっきの小さな風の刃ではなく100点分キッチリ使った風の刃を生み出してその二体の召喚獣目がけて放ちます。これで二人倒せる……と、その絶好のタイミングで———
『そこまでだ造ちゃん!』
『坂本は殺れなかったが、造ちゃんは戦死できる!さあ尋常に勝負だよ!』
《んなっ!?む、武藤くんと君島くん!?》
———どういうわけか、その倒れたCクラスの二人の前にゆーさんたちと戦っていたFクラス所属の武藤くんと君島くんが召喚獣を引き連れて現れます。な、何でこんな時にっ……!?
- 143時間目 ( No.297 )
- 日時: 2016/03/11 21:23
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「そ、そこのアンタら!ちょうどいいわこっちに来なさい!」
「坂本君倒せないならせめて私たちの盾になりなさいよ!」
『『へ?———って!?攻撃の真っ最中!?や、止めてくれ!?補習室は極力行きたくないのに!?』』
《武藤くんと君島くんの召喚獣を盾に……!》
咄嗟に武藤くんと君島くんの召喚獣を盾にして攻撃を免れようとするCクラスのお二人。マズ……イ!?このままじゃ彼らまで倒してしま———!?
———ザンッ!
《Fクラス 月野造 地学 262点 → Fクラス 月野造 地学 155点》
VS
《Fクラス 武藤啓太 地学 61点 → Fクラス 武藤啓太 地学 9点》
&
《Fクラス 君島博 地学 54点 → Fクラス 君島博 地学 4点》
『『《あ、危なかった……!》』』
あと一歩で倒しかけはしましたが、何とか途中で無理やり風の刃の軌道を変えることに成功した自分。よ、良かった……“作戦上”彼らを倒してしまうと後々困ります。点数も大きく消費してしまいましたしCクラスのあの二人を倒せなかったのは残念ですが、ここは仕方ないですね。思わず自分も、それから戦死しかかった二人もホッと息を吐きます。ホント良かったぁ……
『し、Cクラスの皆さん!俺らはやっぱり坂本抹殺に向かいますね!』
『け、健闘を祈ってますね!それじゃあ失礼しまーすっ!』
あと一歩で戦死という状態でしたし、そそくさとフィールドに出てもう一度ゆーさんを倒しに行く武藤くんと君島くんの二人。良かった……退避してくれるならこちらとしても助かりますね。
「ああもう!何しに来たのよあのバカたち!?」
「まあ、あの子の点数消費してくれたし一応盾としては使えたから大目には見るが……」
「……あれ?ねえ、ちょっと待って。何であの子邪魔になるはずのFクラスのあいつら戦死させないのかしら……?」
「そ、そうよね。助かったけど……あの子からしたら暴走してるあのバカたち倒しちゃっても問題ないはずなのに」
「わからん……わからんがチャンスだ!この隙に畳み込め!」
《うわっ!?……さ、流石にしんどいですねコレ》
そして再び始まる戦闘。とにかく振り回される武器を極力鍔迫り合いにならぬようギリギリで回避して、隙を伺いながらチャンスを待ちます。どうしても躱せなかったり危険と判断すれば吹き飛ばしの能力でフィールド外へ飛ばして仕切り直し。
「ちぃ、吉井並にちょこまかと回避して……」
「今倒されてくれるなら痛くないように倒してあげるわよ月野君!だから大人しくなさい!」
《む、無茶言わないでくださいねっ!?》
……最初にゆーさんが複数人と戦う場合の危険さを説明してくれましたが、今になってわかります。確かにゆーさんの仰る通りですね。味方がいない状態では3人でも大変なのに4、5人相手にするはかなり一苦労。攻撃のタイミング、前後左右だけでなく死角からも向かって来る敵の対処にその他諸々を考えるのは骨が折れますね。
それでも何とか2、3人を戦死させて補習室送りにさせながら、止めどない攻撃の雨を必死の思いで避けつつ待つこと約10分———
pipipipipi!
「「《———っ!》」」
自分・アキさん・ゆーさんの腕に付けていた腕時計のアラームが鳴り響きます。そのアラームと共に必死の攻防を繰り広げていた自分たち3人全員がアイコンタクト開始。
《(ゆーさん、時間です!)》
「(よし!よく耐えてくれたな造。明久、やれ!)」
「(了解、いくよ!目を瞑って二人とも!)」
ゆーさんのアイコンタクトの合図にアキさんがこーさんが託してくれた閃光弾を地面に叩きつけ、3人で次に来るであろう眩い光に備えて目を瞑ります。
———カッ!
「「「うわっ!?」」」
『『『ぐあっ!?』』』
「———今だ!Fクラス坂本雄二!試召戦争開始から一時間経ったので、試召戦争のルールに則りこれより10分間代表の位置非公開可能時間を使わせてもらう!」
まともに閃光弾の閃光を見てしまったC・Fクラスの皆さんが怯んでいる隙に、ゆーさんが高らかにそのように宣言。宣言が終わったら今度は自分の番です。グラウンドに残った点数を消費してプチ竜巻を起こす自分。周囲はたちまち土煙に覆われてしまいます。自分たちの姿をその土煙で隠しながらダメ押しで一発残りの点数ギリギリを使いCクラスの生徒さんの召喚獣がいるであろう場所に攻撃を放ってから———
《ゆーさん、お願いします!》
「おうよ!再設定(リセット)!」
キィイイイイイイイン!ポン!
《Fクラス 月野造 地学 7点 → Fクラス 月野造 地学 387点》
———忘れずにゆーさんの黒金の腕輪の能力の再設定(リセット)で点数を元に戻します。そして未だに視力が回復しきっていない皆さんを横目に———
ピッピッピッ……ガチャ!
———古びている今はもう使われていない焼却炉に偽装した隠し扉のロックを外して勢いよく中に飛び込み扉を閉める自分たち。……緊張した面持ちで、その隠し扉越しに周囲の様子を聞いてみると。
『あ、あの三人の姿が見当たりませんっ!?』
『ど、どこ行ったんだ!?』
『探せっ!まだ近くにいるハズだ!見つけたらすぐに皆殺しだぞ!』
悔しがる声、焦る声、アキさんゆーさんに対する恨みつらみを呟く声などが聞こえてきます。これはつまり———
「「《…………セーフ》」」
———そう、これはつまり無事に撒けたということのようですね。第一ラウンドこれにて終了。よ、良かった何とか乗り切りましたね……
「「《はぁ……疲れたぁ……》」」
- 144時間目 ( No.298 )
- 日時: 2016/03/11 21:26
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
Cクラス及び造反したFクラスとの試召戦争。最初の一時間はどうなることかと思いましたが、自分とアキさんゆーさん三人疲れは見えるものの何とか無事に乗り切れました。
「「《ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……》」」
「よくやったのお主ら!ほれ、水じゃ!」
隠し部屋に入ると、良く冷えた飲料水を持ってヒデさんがすぐに出迎えてくれました。良かった……ヒデさんも無事のようですね。
《あ、ありがとです……ヒデさん……》
「ひ、秀吉もお疲れ……雄二、これインターバルは……?」
「ハァ……約9分ちょい……だな。鉄人の地獄の持久走を思う出すハードさだぜ畜生め」
《そ、それでも……何とかなりましたね……今のうちに、息を整えたりしましょうか。おっと、解除(キャンセル)》
一旦召喚獣状態から元に戻り、座り込んでヒデさんから頂いた飲料水で水分補給を行うと少しは楽になりました。お水がこんなに美味しく感じるとは……まあ、あと数分もしたら同じように戦いの場に逆戻りなんですけどねー……正直しんどいですが頑張らなければ。
ああ、そうそう。少し補足しておきましょう。クラス代表には試召戦争中に皆さんに適用される基本ルールだけでなくクラス代表ならではの特別のルールがいくつか設けられています。その特別ルールの一つに“試召戦争中はクラス代表はどこにいるのか位置を公開しなければならない”と言うものがありまして。これが特に今回自分たちを苦しめているルールなのですが、このルールには実は補充のルールも備わっています。それは代表が戦争中のクラスに対して宣言さえすれば“一時間に10分はトイレ休憩等の理由を使って代表の場所を公開しなくてもいい”良いと言う補充ルールです。
まあ、それも結局10分経ったらまた次の一時間は代表の場所を公開する必要がありますが、10分でも休めればこうやって息を整えたり作戦会議に当てられますからね。そう、つまり一時間戦って10分休憩、また一時間戦って10分休憩といったサイクルでCクラスと戦うわけです。その間に自分がCクラスの皆さんを全滅させるor代表の小山さんを倒せばFクラスの勝ち。自分がミスをしてゆーさんを討ち取られればCクラスの勝ち、わかりやすいですね。
「ふぅ……少しは落ち着いたなお前ら。早速で悪いが状況整理だ。造、さっきの一時間で大体何人倒した?」
あっという間に飲料水を飲み干してから、すぐさま状況整理に入るゆーさん。貴重な時間です。出来るだけ有効に使わねばね。自分とアキさんも同じように一気に飲料水を飲み干して状況整理に加わります。
「えーっと、14人……と思いましたが、すみません。手応え的に最後多分仕留めきれなかったと思うので、10〜11人くらいですかね」
「ふむ、なら少なくともCクラスの5分の1はやれたったことだな」
「はい……悔しいですが思った以上に倒せていませんね」
「いやいや、一人で10人以上は十分すぎると思うんだけど造」
「いえ……限られた時間や状況下ですしもう少し倒しておくべきでした。やっぱりまだまだ足りませんよ。もう少しペース上げていきたいところなんですが中々難しいですね」
やはりいつもとは勝手が違い、補充室が使えないのはかなりのハンデですね。自由に補充が出来ないのは勿論、自分の武器の特性も相まって点数配分を考えて戦う必要があります。こちらには幸運なことに点数回復の手段としてゆーさんの黒金の腕輪もありますが、その特性上一つのフィールドには張りなおさない限り一回だけしか使えないので、結局1、2人倒してはすぐに移動と言うヒット&アウェーな戦術をせざるを得ず思った以上に戦果が振るいませんね。
「それと……さっきゆーさんを討ち取ろうとFクラスの皆さんまで召喚獣を出してきましたよね。仮に、ですが……さっきみたいに仮に敵味方入り混じって襲われたらかなり厄介なことになりますね」
「……それされたら一番面倒だな。小山の奴のことだ、次のラウンドで仕掛けかねん。俺たちの予想通り異端審問会の連中Cクラスと連合組んでやがったしな……ったく連中味方だと使えんが敵になるとこうもうっとおしいとはな」
「個人的には一思いに戦死させて地獄の補習室送りにしてほしいけど、“作戦上”は戦死させちゃマズいんだったよね。なんて厄介な……」
今後の戦力を温存するためにも、そして今回の作戦の“本当の”目的の為にも極力Fクラスの皆さんを戦死させるわけにはいきません。今のところはそのような状況になったらCクラスの召喚獣は確実に仕留めて、Fクラスの召喚獣はフィールドの外に吹き飛ばして消す方法しかありません。そんな切り替え非常に難しいですし骨が折れそうですよねー……まあ、嫌でも次辺りそうせざるを得ない状況になりそうな予感がありますが。
「とにかく造、さっきも言ったが無理せずに一人一人でいいから確実に倒していってくれ。一応今のペースでも十分倒せているんだしな」
「了解です。焦ったり慢心することには特に注意しておきますね」
「頼んだぜ。さて、それで秀吉。そっちはどんな具合だ」
「うむ……一応協力して貰えるそうじゃ。例の二人にはタイミングも伝えてある。しかしすまぬ雄二よ。お主の言った通り少し渋られての、貴重な交渉カードを切らざるを得なかったのじゃ。例の二つのこちらのアドバンテージを使ってしもうた」
と、申し訳なさそうにゆーさんに謝るヒデさん。いえいえそれでいいんですよ。
「安心しろ秀吉。どの道そのカードは早めに切っておくべきものだったしな。これで次は向こうもこっちも憂いなくやれるからな」
「グッジョブですよヒデさん!引き続きよろしくお願いしますね」
「任されたぞい。お主もしっかりの」
そう言ってヒデさんと拳をコツンと合わせてお互いを奮い立たせます。今回の作戦の要は自分とヒデさんの二人です。お互いの健闘を祈りましょう。
「ところでゆーさんとアキさんは大丈夫ですか?一時間ずっとFクラスの皆さんと戦いっぱなしでしたけど……」
「おう、最初のように狭くて逃げ場のない教室ならいざ知らず自由に戦えるなら何とでもなるさ」
「ハンデだったこのワイヤー付手錠にも慣れてきたからね、平気だよ」
「お二人とも。頼もしいですけど、無理はなさらずに。何せ皆さん色々危険な武器を持っていますし……」
木刀程度ならまだ可愛いもの。Fクラスの皆さんは一体どこから用意してきたのかわからない、とっても危ない武器を手にしてアキさんたちを襲っていますからね……ホントうちのクラスってある意味凄いですよね……素手で対処できているアキさんたちもアキさんたちで凄いですけど。
「まあ、問題があるとすれば完全に言葉も理性も失った連中を相手するのが骨だってことと……」
「他の連中も、いくら倒しても倒してもキリがないってことだけどね……どいつもこいつも床に沈んだはずなのにものの数秒ですぐ立ち上がってくるんだよね」
ハァ……と苦虫を噛み潰したような顔をする二人。ゆーさんの言った葉も理性も失った連中というのはアキさんたちへの怒りのゲージが最大値を振り切って大変な状態になったクラスメイトさんたちの事。遠目でしかまだ見ていませんが、何かどす黒いオーラを纏って頭をかくん、かくんと揺らしながらアキさんたちを探していたのを見た気がします。あれはこわい。
そんなタガが外れた一部のクラスメイトは置いておくとしても、他のクラスメイトの皆さんもとても厄介です。アキさんの言う様に何度アキさんとゆーさんが全力で叩きのめそうとも、数秒もしないうちに立ち上がってアキさんたちを襲い掛かっていました。
「あれはまるでゾンビだよ……そう言えば今更だけど肝試しの時って僕ら以外のFクラスの男子全員確かオカルト召喚獣はゾンビだったよね。悪い意味であの召喚獣に負けず劣らずな召喚者たちってことだね」
「そんなこともあったな。あれはホント本質をよーく捉えてあるなオイ」
「ぞんびの本質……?え、えーっと。何度倒されても蘇る不屈の闘志的な———」
「「「いや、間違いなく腐った根性としつこい執念って意味だろ(だね)(じゃな)」」」
「あー……」
納得しては申し訳ない気もしますが、正直今の状況では否定もできませんね……
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