二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
- 日時: 2016/03/25 21:41
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド
【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】
の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。
暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」
明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!
体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。
———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照
5〜5.5章及び各種設定 【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照
6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5 103時間目>>8-11 104時間目>>12-16 105時間目>>20-23
106時間目>>24-28 107時間目>>29-32 108時間目>>33-36 109時間目>>37-40
110時間目>>41-44 111時間目>>45-48 112時間目>>49-52 113時間目>>53-56
114時間目>>59-62 115時間目>>63-66 116時間目>>67-70 117時間目>>73-76
118時間目>>80-83 119時間目>>84-87 120時間目>>91-94 121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79
6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132
週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138
ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178
召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196
寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221
7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330
7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350
文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355
彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編
おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編
8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編
———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278
———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279
お知らせ>>270
- 139時間目 ( No.284 )
- 日時: 2016/03/11 21:05
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
その言葉を最後に福村くんは踵を返して去っていきます。そしてそのままダメ押しにさっきまで彼が立っていた場所にもバリケードを張り完全に出られなくなってしまいました……
「やめてください!お願いです……明久君に酷い事しないでください……!」
「アンタたち……!アキに何かあったらタダじゃ済まないんだからね……!」
そんな二人の悲痛な叫びも空しく、アキさんたちを滅するべく階段を上がっていく福村くんたち。やられた……ふと、この前のアキさんの家でのゆーさんが話していた事を思い出します。
『———これもあまり楽観的に考えられない問題かもな』
『今朝の出来事を思い出してみろ。明久の同棲が判明した途端、FFF団が大暴れしただろが』
『いくらストが終わるまでとは言え、一つ屋根の下こんな頭悪くて甲斐性無しのバカとクラスの数少ない女子が一緒に暮らすんだぞ、普段ちょっと女子と話しただけで審問会開く連中がこの事実を見過ごせると思うか?クラス内の士気に影響がないわけないだろが』
『下手しなくても長引けばアウトだな』
———確かに、ゆーさんの仰る通りストライキが長引いてアキさんたちの同棲生活も長引けば、皆さんのモチベーション的な意味で良くないとはわかっていました。わかってはいましたが……見通しが甘かった……!彼らの嫉妬心を甘く見てはいけなかったのですね。アキさんたちの同棲が始まってから、すぐにでも対応すべき問題だったなんて……!
「ど、どうしましょう美波ちゃん、月野君……このままじゃ明久君たちが……!」
「くっ……ここ生活指導室だから生徒が逃げ出さないように出入口がこの扉だけなのよね……今頃アキたちは……」
「落ち着いて二人とも。こうなれば仕方ありません。今すぐどこか脱出できる場所がないか探しましょう」
マズい、これは本当にアキさんたちが危ないです。殺気に満ち溢れた彼らの話しぶりを察するにアレは本気も本気でした。このまま放っておけばアキさんたちの命が———とは言え鍵だけでなくバリケードまでも張られたこの状況でどうすべきか。
島田さんの仰る通りこの場所は窓すらないため外へ脱出も出来ません。おまけにとても強固な作りの部屋ですし壁を壊そうとしてもちょっとやそっとじゃ壊れないでしょう。唯一の出入り口が封じ込まれた以上何か他の脱出方法を考えないと……
「どこかに……どこか……外に通じる場所さえあればアキさんたちを助けに行けますのに……」
必死に三人(+先生)で突破口を探します。扉も使えず窓も無し、ですが何か……何か残る手段が必ずあるはず。必ず———
「…………あっ!」
———旧校舎:4階———
明久Side
防衛戦であるD,Eクラスとの試召戦争も何とか乗り切り、今日が防衛戦の山場であるとされるCクラス戦。そんな重要な戦いがあと少しで始まるにもかかわらず。
『死ねええええええええ!吉井いいいいいいいいいいいいいいい!』
『クタバレ坂本おおおおおおおおおおおお!』
『大人しくFクラスの変の制裁を受けやがれや邪教徒らめがあああああああ!』
『『『地獄に墜ちろや異端者共があああああああああああああああああ!!!』』』
「「危なっ!?」」
仲間であるクラスメイト達が“Fクラスの変”なんて意味がわからない事を呟きながら、全員敵意と殺意むき出しで僕と雄二に襲い掛かってきた。
「テメェら全員落ち着きやがれ!もう時間がねぇだろが!もうちょいでCクラスが攻めてくるんだぞ!?こんなところで負けたら、もう次はないかもしれねぇんだぞ!?」
攻撃を回避しながら怒鳴る勢いでクラスメイトと言う名の暴徒に説得を試みる雄二。
『おうよっ!わかってるぜ、俺も“貴様らに”次は無いって思ってる!Cクラス戦楽しみにしてたんだぜ異端者共よ!めちゃくちゃ待ってたんだぜこの時を!』
『安心しろ坂本!今日まで存分に“殺れ”なかった分、めいいっぱい“殺って”やるよ!』
『点数補充も十分やったし、心置きなく討ち取りに行くからな!———“坂本、吉井、ムッツリーニの三人を”ナァ……!』
が、雄二の説得も虚しく、彼らが攻撃の手を緩めることはない様子だ。FFF団を率いている須川君たち曰く、この暴動の原因はまさかの僕と瑞希と美波(と葉月ちゃんと姉さん)の同棲と普段の僕らと女性陣の関係がどうしても憎くて憎くて仕方がなかったからだとか。……ぎゃ、逆の立場だったら確かに僕もそっちに付いたかもしれないけど……同棲は元々ストが原因であって僕の問題じゃないのに……!
そんなことを考えていると、中距離用に持ってきたであろう鞭を手にしたFFF団が僕らの前に立つ。ええぃ、今はとにかくこの場を切り抜けない事には始まらない。よし、ここはひとまず———
「迎え撃つぞ明久!」
「逃げるよ雄二!」
ピィンッ
「「ふぐぁっ!?」」
真逆の行動を取ってしまった僕らを、中央でワイヤーがピィンッと引き留める。ふぐぅ……!?さっきFFF団に騙されて嵌められたワイヤー付の手錠が邪魔過ぎる……!いや、それ以上に邪魔なのは———
「バカ明久!普通こんなに囲まれちゃ戦うしかねぇだろが!」
「アホ雄二!普通こんなに囲まれちゃ逃げるほかないだろ!」
———このアホ雄二の存在だ。つくづく意見が合わないし、この手錠百害あって一利なしだよこん畜生……
『吉井ィ……姫路だけでなくこっそり狙ってた島田までもがお前に惚れてるだとォ……!同棲ラブラブ生活なんて儚き夢を実現しやがって……死んで詫びろやクソ野郎……!』
『坂本ォ……キサマ如きが霧島さんと言う頭脳明晰クールビューティを手籠めにしていると言う事実……生かしておくかァ!許してほしけりゃ責任取って腹切れゴラァ……!』
「「おわぁ!?」」
大上段から一切の躊躇なく振り下ろされた釘バットを、雄二と二人で横に転がりギリギリ回避する。あ、危なかった……雄二に気を取られててもうちょっとで殺られるところだった……
「あぁもう!雄二、少しは僕の動きに合わせなよ!?」
「喧しい!お前が俺に合わせれば済む話だろうが!?」
思わず敵の前でお互いの胸倉をつかみ合い喧嘩をしてしまう僕ら。ほんっと気が利かない奴だね雄二は……と、そんな仲良く(?)喧嘩する僕らに———
ゴオッ!
殺気!?咄嗟に受け身すら考えずに必死で横に飛ぶ僕と雄二。するとどうしたことか、さっきまで僕らがつかみ合っていた場所に設置してあったロッカーが“突き刺さっていた”……何で!?床にロッカーが突き刺さるって一体どういうことなの!?
「……明久、どうやらこんなことしている余裕は無さそうだぞ」
「……そのようだね。ここはホントに協力しないとヤバそうだ」
雄二と利害は一致した。とりあえずこの場は協力しないと命の保証がないね。気を取り直して雄二と立ち上がり構えを取る。すると、この場を仕切っているFFF団会長須川君と遅れてこの部屋に入ってきた福村君が僕らの前に出てきた。
- 139時間目 ( No.285 )
- 日時: 2016/03/11 21:05
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
『会長。無事に姫路と島田、そして造ちゃんの拘束に成功しました。3人は補充試験室に閉じ込めているのでしばらくは動けません。2階にいる秀吉も同士諸君がすぐに捕獲するでしょう』
っ!?瑞希と美波、それに造たちが……!?なんてことだ……ぶ、無事だろうか?ヘタレだし一応腐っていても無理やり女子に手を出す連中ではないけど今は暴走しているし心配だ……つーか君たち、瑞希と美波の二人に手を出したらぶちのめす。
『うむ、ご苦労であった福村副会長。ムッツリーニはどうだ?』
『ここに来る前に少し様子を見てきましたが、奴は用意したトラップに見事に引っかかり、現在3階で横溝隊長率いる同士諸君に袋叩きにされています。何もかも“計画通り”に事が進んでいますよ』
僕らの頼れるムッツリ忍者、ムッツリーニまでもやられているらしい。くぅ……これじゃ増援は期待できないか……
『それは素晴らしいな。作戦を授けてくれた“彼女”もさぞお喜びであろう。さて、ならばこそ———我々は思う存分そこの異端者共を処刑に専念できると言うわけだな……っ!』
そう言ってギロリと僕らを睨みつけ末恐ろしい形相で対峙する須川君。あの眼……間違いない、今ここで僕らを沈める気満々だ……
「お、落ち着いてよ須川君たち!?そりゃ確かに羨ましいことかもしれないけど、君たちが思っているようなことはそうそう起こらな———」
『“そうそう起こらない”なら起こる可能性もあるってことだろうが吉井ィ!キサマというバカだけは一万回殺しても気が済まねぇんだよ……!』
「Cクラス戦はどうする気だお前ら!?ここで勝たなきゃAクラス戦は———」
『そのAクラス戦もどうせ霧島にイイ恰好見せつけたいんだろうが坂本ォ!キサマの口車には乗らんぞ!代わりにキサマは拷問車に乗せてやるから安心して逝けやっ!』
駄目だ、これ何を言っても逆効果になりかねない。
『本当は吉井の同棲生活が始まった時点で、すぐにでも殺りたかったところだが……貴様らの無駄に高い逃走力は悔しいが驚異的だからな……怒りを堪え機会を待ち、牙を研いできた甲斐があったぜぇ……!
『“あのお方”に頼んで抹殺計画も立てられたからナァ……もう逃げられないぞ異端者共が……!』
『普段は授業と言う名のタイムリミットがあるが今日はそうはいかねぇ……試召戦争中は厄介な教師共の邪魔もされないからな……楽しい楽しい拷問を、皆で楽しもうぜバカ共が……!』
須川君たちだけでなく、周りのクラスメイトたちも僕らを取り囲んでくる。……それにしても不思議だ。この話しぶりだと、単純明快安直直情な連中が今日と言う今日まで僕らの処刑を我慢できたと言うことになる。堪え性のない連中が我慢してまでこんな凝ったことを考えることが出来るとも思えないし、“計画”とか“彼女”とか“あのお方”って一体……?
『『『死ねぇえええええええええええ!!!』』』
「「っ!」」
———なんて、考える暇も息を整える暇もなく連中の猛攻は続く。ちぃ、とにかく今はこの場からどうにか逃げ出すことを先に考えないと……
まず逃げ道らしい逃げ道は2つ。でも一つ目の逃げ道である唯一の扉は10人以上の連中が固めてあってどう考えてもそこからは逃げられない。一応もう一つの逃げ道である———僕らの後ろにある窓は幸運なことに塞がれてはいないんだけど……
「「(ここは……高すぎる……っ!?)」」
雄二とアイコンタクトをして、流石に無理だと判断。2階までならまだしも4階から何も道具無しで飛び降りるのはムッツリーニレベルじゃないと危険すぎる。つまりは……連中の言う通り僕らに逃げ道はないようだ……
『大人しく八つ裂きにされろやバカ共が!お前らと言う名の癌のせいで俺が女子にモテねぇんだよ!死んで詫びろや今すぐに!』
『俺らにも慈悲はある、素直に罪を認めるなら貴様らの人生を終わらせるに留めてやる。認めねぇなら輪廻すらここで絶ってやるぜクソ共がァ!』
「「勝手なことを———抜かすなぁ!!」」
『『ぐふっ……!?———やってくれたな異端者が……!楽に死ねると思うなよ……!』』
「「……ッ!やっぱ効いてないか」」
逃げ道がない以上、正面突破やこの場の全員を倒していくしか今のところ道がないだろうけど———それもまたかなり無理そうだ。さっきから繋がれているワイヤー付手錠が非常にうっとおしくて上手く回避や攻撃が出来ない上、いくら鳩尾に渾身の一撃を叩き込んでも嫉妬でリミッター解除された連中はものの数秒でゾンビの如く復活して襲って来てキリがない。
「ハァ……ハァ……くそっ」
「げ、限界……かも……」
体力がある内は何とか対処してたけど、数の差や武器の差で徐々に……でも確実に追い込まれる僕と雄二。逃げ道もなく助けも来ないのが確定しているこの状況。ホントに打つ手がもう……
『どうやらここまでのようだな。ではさらばだ異端者よ』
『あの世で自分たちの行いを反省するがいいさ』
『まあ安心しろ、すぐには殺さん……たっぷり拷問して自分から死にたくなるように追い詰めてやるよド畜生共め』
それはどっちがド畜生なんだ。くぅ……ダメなのか……万事休すなのか……?こんなところで終わるなんて……!
「(ボソッ)瑞希……美波……ゴメン」
「(ボソッ)翔子……ワリィ」
雄二と二人、一瞬。そう一瞬諦めかけたその時———
バンッ!
「「……え?」」
『『『……は?』』』
と、大きな音と共に扉が開き中に入ってくる小さな影が一つ。これには僕も雄二も異端審問会の連中でさえも思わずその方向に目を向けてしまう。そんな僕らの目に映ってきたのは———
「「っ!?造!?」」
『『『な、何ィ!?造ちゃんだと!?』』』
———連中が閉じ込めたと言っていたハズの、箒に跨り召喚獣化している造の姿が。驚いて造に向かって騒ぎ立てている僕らとは対照的に、造はただただ無言で手に何か持っている。いや、口では確かに無言とは言え、目はハッキリとこう告げていた。
《(お二人とも、目を瞑ってください!)》
———普段のアイコンタクト会話術!造の意図がすぐわかり、咄嗟に雄二と僕は造の言う通り目を瞑る。その次の瞬間、造は手にしていた何かを地面に叩きつけると……
———カッ!
『『『…………っ!!?ぎゃああああああああああああ!?め、目が、目がァああああああああああ!?』』』
連中が転がり込み苦しむ音が聞こえてくる。これは……ひょっとしてムッツリーニの閃光弾……!?
《……OK、もう大丈夫です!目を開けてくださいアキさんゆーさん!逃げましょう、掴まって!》
「よ、よし!助かるぜ造!」
「わかった!頼んだよ造!」
目を開けると箒に跨ったまま、僕らに両手を伸ばしてそのまま窓を目指す造の姿が。造の言いたいことをすぐさま察した僕らは召喚獣化している造の手に掴まって———
『お、おのれ……おのれェ!……吉井ィ、坂本ォ……貴様らァ……!』
———連中の悔しがる声を聞きながら、3人で造の金の腕輪の能力【飛翔】により、4階の窓から大空を駆け悠々と大脱走することになった。
- 140時間目 ( No.286 )
- 日時: 2016/03/11 21:08
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
『か、会長!どうするんですか!?逃げられましたよ!?』
『あと……あと一歩だったのに、畜生ォ!』
『あ、慌てるな!今すぐ“彼女”の下に行き次の作戦を教えてもらいに行くぞ!』
明久Side
Cクラス戦がもう少しで始まるって時に、“Fクラスの変”と言うワケのわからないことを言っていたFFF団に造反されリンチされかけた僕と雄二。そんな僕らを助けてくれたのは……連中に捕まったと言われていた僕らの頼れる友人にしてマスコットキャラの造だった。
《ここまで来れば……よし、解除(キャンセル)!》
追手や監視の気配がないことを確認し、体育倉庫の近くで僕らを降ろして召喚獣から元の身体に戻る造。
「ハァ……ハァ……た、助かったぜ造」
「ぜぇ……ぜぇ……あ、ありがとね造」
そうお礼を言いながら息を整える僕と雄二。ホントギリギリだった……あと少し造の救援が遅れていたらと思うとゾッとする。
「いいえ、無事で何よりです。追ってもいないようですし、お二人ともこちらへ」
もう一度誰もいないことを確認して、そのまま体育倉庫の中に入ろうとする造。———って、駄目だよ造!?
「って、待て造。こんな場所じゃダメだ。すぐに奴らに見つけられちまうぞ」
「そうだよ、気を付けないとすぐに袋の鼠だよ!?」
不用心に体育倉庫の中に入ろうとする造を二人で止める。普段から逃げることに特化している僕らだから言えるけど、一見安全そうに見える場所ほど一番危ない。連中もこういう場所を重点的に探し出してくるし、逃げ場のない場所に逃げ込むのは見つかったらゲームオーバーなのだから。
「……大丈夫です。何も言わず付いて来てください。時間もありませんので」
「……何か策があるんだな?」
「わ、わかったよ。とにかく急がないと皆そろそろ追って来るかもしれないもんね」
僕らのそんな懸念をよそに、自信に満ちた表情で中に入るように促す造。そんな造を信じて体育倉庫に3人で入ることに。扉を閉めて、そのまま造は一番奥にある古くて壊れかかっている重そうな跳び箱を“軽々と”横にスライドさせる。その下に敷いてあったマットを捲ると———
「「っ!?か、隠し扉!?」」
一体どんなカラクリか、そこには下に繋がる真新しい扉が現れた。そのまま造はその扉のロックを手慣れた手つきで解除して混乱している僕と雄二を降りるように促す。先に扉を開いて下に降りて、僕らが降り終ったのを確認すると、続いて造が扉をくぐって体育倉庫を元の状態に戻しながら降りてくる。
「ここです。さあアキさんゆーさん、どうぞ中へ」
造に続いて少し警戒しながら中に入るとそこには———
「おお!無事じゃったかお主ら!」
「…………よ、かっ……た……」
「「秀吉にムッツリーニ!?」」
———そこには真上の体育倉庫と同じくらいの空き部屋が広がっていて、驚いている僕らに駆け寄ってくる秀吉とソファーに寝かされている虫の息のムッツリーニの姿があった。
造Side
疲労困憊のアキさんゆーさんの二人に、非常用に取っておいた飲料水を渡すことに。色々聞きたいこともあるでしょうが、まずは落ち着いてもらわねばね。
「———プハッ……ありがと、生き返ったよ」
「サンキューな。さて、落ち着いてきたところで色々と聞きたい。造に秀吉、ここは一体何だ?」
早速状況分析に入ったゆーさんが自分とヒデさんにこの場のことについて尋ねます。まぁ、コレは当然の質問でしょうね。
「あはは……まあ、大体察して頂けると思うのですが」
「うむ、姉上や先生方から逃走できる用に作った、緊急避難用の部屋なのじゃよ。本来ならワシと造と蒼殿たちしか知られてはならぬ場所だったのじゃが」
元々は……もう使われることはないであろう学園長から頂いたちょっとした思い出のある召喚獣の練習場所だったこの部屋。それをサクヤさんにも内緒で夏休みの間に蒼兄さんたちに手伝って貰って改修した自分とヒデさんのオアシスです。まさかこんなことに使うことになろうとは思っていなかったですが……
「出入り口は今入ってきた場所を含めて5つ。蒼兄さん曰くどの出入り口もロックを解除せずに無理やり誰か侵入すればブザーが鳴るようになっているそうです」
「流石にカメラはないのじゃが、出入り口に音を拾えるムッツリーニや清水の持っておるような盗聴器も置いてある。周囲の様子も多少は分かるはずじゃ」
「こりゃすげぇ。是非とも今後は俺にも使わせてもらいたい良い部屋だな。部屋の事は分かった。で、それともう一つ聞きたいんだが———造に秀吉、それとムッツリーニ。お前たちどうやって逃げてきたんだ?」
「あ、それ僕も気になる。須川君たちに造や秀吉は捕まったって言われたし、ムッツリーニはリンチされてるって聞いてたんだけど……」
ああ、それですか。確かに不思議に思われるでしょうね。閉じ込めたはずの福村くんたちも驚いてましたし。
「ワシは造に助けられたクチじゃ。天井裏から降りてきて間一髪ワシを取り囲んでいた連中を吹き飛ばしてくれてのう」
「「……天井裏?」」
「あ、はい。皆さんご存知の通りここ文月学園は召喚システムを学園内全域で使用するために床や天井にケーブルが張り巡らされているんです。そこには召喚獣一体分くらいの隙間がありまして。ですから召喚獣化して補充試験室の天井から逃げ出すことが出来たんです。その後は———」
〜回想:秀吉の場合〜
「な、何じゃお主らは!?何をする気じゃ!?」
もうすぐCクラスとの試召戦争だと言うのに、待機しておった旧校舎の廊下で数人のクラスメイトに取り囲まれ状態になってしまったワシ。何をやっておるのじゃこやつらは!?
『こ、怖がらなくていいよ秀吉ィ……!』
『チョーット閉じ込めるだけだからネー、イタクないからネー!』
『あ、あくまで拘束するだけ!ちょっと胸とか尻とか触っちゃうかもしれないけど拘束するだけだから!』
そう言って手をワキワキとさせながら、何故か興奮気味に気色の悪い表情でワシに迫るこやつら。ええぃ、一体何がどうなって……!?必死に後退して距離を取るも、にじり寄ってくるこやつらに追い詰められ逃げ場がなくなってしまう。
『じゃ、じゃあ俺から行かせてもらうかんな!?』
『こ、拘束するんだし……ろ、ロープ使うんだな!?』
『ひ、秀吉の亀甲縛り……か、カメラ無いかカメラ!?』
鼻血を出しながら何やら意味がわからぬことをブツブツ言いつつ、ロープを持って追い詰めるこやつら。何やら良くわからぬが逃げる方法は……周りを見ると逃げ道は窓だけ……
「(む、無理じゃな……)」
これが柔らかい地面や生け垣がある場所ならともかく、明久や雄二たちのように2階の窓から下がコンクリートで固められている1階に飛び降りるような芸当は残念ながらワシには出来ぬ。とうとう壁を背にして後退することすらできなくなってしまうワシ。
『『『じゃ、じゃあ秀吉……イタダキマス!』』』
「っ……!」
そうして某怪盗三世のようなポーズでワシに向かってダイブしてくるクラスメイトの変態共。くっ……万事休すなのか……!?
《———そんなに縛るのがお好きなら、いっそ皆さんご自身の身体を縛ってみてはどうでしょうかね》
「……!?この声……!」
と、なすすべなくやられそうになるところで、頭上からそんな声がしたかと思うと、天井の板が勢いよく外れそこから降りてくる小さな影が一つ。
《ヒデさん、伏せて!……吹き飛べぇ!》
———ゴォッ!
『『『———うぉ!?な、何だコレ!?身体が動かな……っ!?』』』
言われた通り咄嗟にその場に伏せると、その小さな影から突風が巻き起こりダイブしてきた連中を吹き飛ばしその突風がそのまま連中を包み込み拘束する。これは———風の檻!?こ、この声……それにこの姿にこの能力……!もしや———
「お、お主……!」
《お待たせヒデさん!さぁ、彼らが縛られている間に行きましょう!》
「つ、造か!助かったぞい!」
- 140時間目 ( No.287 )
- 日時: 2016/03/11 21:08
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
〜回想:康太の場合〜
「…………雄二からの預かりもの?」
『そうそう、これなんだが』
『何でもムッツリーニに是非読んで貰いたい資料だとか』
「…………わかった」
Cクラス戦の準備の最中、横溝から何かの資料を受け取る俺。資料か……このタイミングの資料言うことはCクラス戦攻略のための資料だろうな。そう考え。何の警戒も無しにその資料を開くと———
「…………(ブハッ)!?」
———とてつもない、過激な……ちょっと工藤似の女優の写真集が俺の目に写るとともに、俺の鼻から大量の血が流れ出ていってしまった……
『かかったな阿呆が!』
『さあクタバレ異端者ムッツリーニ!』
『今死ね、すぐ死ね、骨すら残さんぞ……!』
俺がその場に倒れ伏せた瞬間、どこから取り出したのか武器を手に怒りの形相で俺に暴行を加える横溝率いるこいつ等……ぐっ……な、何がどうなっている……!?
「…………ゴホッ!?ど、どういう、つもり……だ」
致命傷だけは咄嗟にガードしつつ、暴行を受けながら意味不明な行動をとり始めたこいつ等にそう尋ねる。するとこいつ等は更に顔を歪ませてこう返してくる。
『どういうつもりだと!?ふざけんな!それはこっちが言いたいことだっ!』
『ムッツリーニ、キサマ忘れたとは言わせんぞ』
『普段は写真を提供してくれていたから大目に見ていたが、今回ばかりは唯じゃ済まさん!』
「…………なん……の、こと……だ」
『『『Aクラスの工藤とキサマの関係だゴラァ!!!』』』
「…………っ!」
……こ、こいつ等……嫉妬で暴走してるのか。よりにもよってCクラス戦前だと言うのに……
『聞けば夏休みに海で工藤とキスだの、他にも体育祭ではお弁当を作ってもらうだの……羨ましいんじゃこのムッツリスケベの犯罪者めっ!』
『どうせ汚い脅迫でもして付き合うことになったんだろうが……そんな横暴神が許しても我々FFF団が許さんわ畜生が!』
『キサマと、それから同棲生活なんて始めやがった吉井に坂本だけは生かして帰さん!“Fクラスの変”の革命の元、死ぬがよい異端者!』
まず……い……こいつ等本気だ……この話しぶりから察するに、今頃明久たちも殺られているのだろう……今すぐ離脱せねばヤバイが……あのトラップのせいで(鼻)血を流し過ぎた……力が出ない。回避すら碌に出来な……
『さぁ、これで仕舞いだムッツリーニ。さらばだ』
『まあ、いつものムッツリ商会の商品の提供だけは感謝していたぜ』
『その功績をたたえ、キサマのカメラ等はそのデータを含め大事に我々が使わせてもらうから安心して逝きたまえ』
そう言って止めを刺すべく釘バット金属バット鉄パイプ木刀に金棒など撲殺グッズを手にした面々。クソッ……ここまで……なのか……?く、どう……スマン……
『『『それじゃあ……あばよムッツリーニィイイイイイイイイイ!!!』』』
倒れている俺の周りを取り囲み、まるでスイカ割りでもするかのごとくFFF団がそれぞれの武器を振り上げたその瞬間———
《———させません!》
俺たちのいる空き部屋にそんな声が響き渡ったと同時に、何かの紙袋が放り投げられた。それに俺もそれから連中も一瞬注意が向かれる。
スパッ! バフッ!
『『『んな!?———ごほっごほっ!?』』』
その紙袋はどういうわけか空中でスパッと真っ二つになり、中から真っ白な粉のようなものが飛び出してきた。それは瞬く間に空き教室全体に舞散らかって、思い切り吸い込んだ連中は咳込んでいる。
『な、何だコレ!?け、けむり玉!?煙幕!?』
『クソッ!?ま、前が見えねぇ!?』
『ムッツリーニがやったのか!?や、奴は動けないはずだったのに!?』
連中は俺がやったと思っているようだが……勿論血を流し過ぎて指一本動かせない俺の仕業じゃない。一体誰がこんな……それに舞っているこれ、チョークの……粉……?
《ヒデさん、頼みます!》
「うむ、任せるのじゃ造!———ほれ、しっかりせいムッツリーニよ」
混乱する俺に肩を貸してくれるマスクと水泳用のゴーグルを付けた女生徒。———いいや、この声は……秀吉か!ありがたい……助かった……秀吉に連れ出されそのまま空き部屋をこっそり抜けると召喚獣と成っている造が空き部屋の扉を閉めて時間を稼いでくれる。そうか、造があの煙幕で助けてくれたのか……
《これで少しは時間が稼げるはず……ヒデさん!ヒデさんはこーさんを連れて“例の場所”へ!自分は4階のアキさんとゆーさんを助けに行きます!》
「心得た!待っておるからの!」
そう言って箒に跨り4階へと急ごうとする造。間違いなく……明久たちを助けに行く気だな……ならば……
「…………ま、まて……つく、る……」
《?ど、どうしましたこーさん?》
「…………これ、持って行け……閃光弾……地面に叩きつけて……使うもの……」
《っ!助かります!ありがとうですこーさん!》
さっきは血を流し過ぎて動けずに使えなかった手持ちの閃光弾を造に託す。ま、任せたぞ造……
〜回想終了〜
- 140時間目 ( No.288 )
- 日時: 2016/03/11 21:09
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「———と、こんな感じで一階から近い順にヒデさん、こーさんを助けて、最後にアキさんたちをこーさんから貰った閃光弾を使って助けたってワケなんです」
「「なるほど」」
ちなみにこーさんを助ける時に使ったのは、隣の教室の溜まっていたチョークの粉と紙袋。ヒデさんのアイデアだったのですが、紙袋の中にチョークの粉を入れて空き部屋に放り込んでから空中にあるその紙袋を風の刃で切り裂いてチョークをまき散らしました。簡易的な煙幕のようなものですね。
「さて、大体状況がわかったところで———本題に入るぞ」
そう言って眉間に皺を寄せ、低い声をうならせるゆーさん。ええ、わかっています。時間もありませんし急いで策を練らねばね。
「あんのバカ共……こんなタイミングで裏切りやがって……!バカの癖に統制は一丁前にとれてやがったし……くそっ!」
「……やられたよね。妬みや嫉妬の怒りが最高峰に達してたのにいつもは直情的で考え無しな連中が統率のとれた良い動きしてたね」
「…………どう、やら……ずいぶん、案が……練られてる……」
アキさん・ゆーさん・こーさんの三人を亡き者にしようとしていたFクラスの皆さん。そのこと自体はいつもの———いえ、いつもので説明するのも可笑しな話ではありますが———いつものこと。ですがいつもと違うのはその一連の行動が全て計算されているということ。造反するタイミング・人員の配置・トラップや協力者の排除まで何から何まで計算されているようです。
「先を見越してアキさんたちに協力的な自分やヒデさん、姫路さんと島田さんの動きを封じてきましたからね。相当手強いですよコレは」
「あっ!?それで思い出した!?造、瑞希と美波は無事なの!?」
と、慌てて自分に詰め寄るアキさん。そうですよね、アキさんは二人が心配ですよね。
「無事ではあります……ですが、その。補充試験室である生活指導室に監督役の福原先生と一緒に監禁されています。鍵だけでなくバリケードまで張られている上周辺に見張りもいて正面からの救出は難しいですし……さっき言った通り逃げ道は天井裏くらいしか無い上召喚獣サイズで通るのがやっとですからそこも使えません。ですから救出は当分は無理かと……」
「そんな……!」
「……褒めるつもりはないが、上手いな。戦力にもなり俺らの味方でもある4人を封じ、且つ補充試験室を封じることにより、俺らに点数補充をさせないことが狙いか……」
ゆーさんが苦虫を噛み潰したような表情で分析します。そうですね、“彼女”はよく考えていますね……ホントにやられました……
「雄二、上手いって須川たちの策の事?」
「須川たちの策?いいや違うぞ明久。確かにこの暴動の切っ掛けも首謀者も須川たちだろう。だがな、ハッキリ言って奴らにこんな策を思いつくような知能は無い。考えも無しにこんなバカな事やらかす連中だぞ」
と、そう断言するゆーさん。それは流石に言いすぎだとは思いますが……ゆーさんの言いたいことは伝わってきます。
「つまりはゆーさん、それは———この須川くんたちの言う“Fクラスの変”の作戦の立案者、そして協力者がいるってことですね」
「流石に気づいていたようだな造。その通り、十中八九連中のバックに協力者がいるハズだ。そしてその協力者と言えば———」
「……“彼女”ですかね」
「……“ヤツ”だろうな」
「「「……彼女?……ヤツ?」」」
———Cクラス———
『———で?まあこうなるのは分かっていたけど失敗したってことかしら?』
『も、申し訳ない……で、ですが姫路や島田はちゃんと拘束できています!』
『あと少し!そうあと少しで奴らを殺れたんっスよ!?』
『すぐにでも奴らの首を持ってきますからね!』
『ハァ……ならさっさと次の作戦に移りなさいよ。もう向こうは動き出しているかもしれないのよ?』
『『『了解です“小山さん”!すぐさま行ってきます!』』』
『———やれやれね。先輩や坂本君たちも大変よね、こんなバカ共に暴れられちゃって……』
『代表、まだどんな手を使ったのか不明ですが、やはり危惧していた通り月野の仕業です。補充試験室を何かしらの手段で抜け出して、坂本達を連れてどこかへ逃げ出したとのこと』
『現在坂本・月野・吉井・土屋・木下の5名の行方は不明。探しましょうか?』
『まだ大丈夫よ。どうせあのバカたちが必死になって5人を探し出してくれるでしょう。こっちは体力を温存しておきましょう。それに———例え見つからなくても、“ルール上”そろそろ出ざるを得ないでしょうし』
『わかりました。では全Cクラス生徒にそう命じてきます』
『お願いね……さて。すみません月野先輩。こんな手を使うべきでないのは分かっていますが———今回は何としても勝たなきゃならないんです。勝たせて頂きますね……』
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77