二次創作小説(紙ほか)
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- バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
- 日時: 2016/03/25 21:41
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド
【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】
の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。
暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」
明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!
体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。
———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照
5〜5.5章及び各種設定 【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照
6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5 103時間目>>8-11 104時間目>>12-16 105時間目>>20-23
106時間目>>24-28 107時間目>>29-32 108時間目>>33-36 109時間目>>37-40
110時間目>>41-44 111時間目>>45-48 112時間目>>49-52 113時間目>>53-56
114時間目>>59-62 115時間目>>63-66 116時間目>>67-70 117時間目>>73-76
118時間目>>80-83 119時間目>>84-87 120時間目>>91-94 121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79
6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132
週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138
ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178
召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196
寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221
7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330
7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350
文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355
彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編
おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編
8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編
———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278
———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279
お知らせ>>270
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その① ( No.143 )
- 日時: 2015/10/11 12:55
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
———数日後———
その後もヒデさんや他の演劇部の皆さんのお手伝いをやりつつも、時は瞬く間に流れて往き。そして……
「いやはや。あっという間に演劇公演日ですね」
「そうだね。それにしても……何か凄いね、物凄く賑わっているよ」
アキさんがそう言いながら周りを見渡します。そう今日はヒデさんたち演劇部の公演当日。ここ睦月小学校には自分たちも含めてかなり大勢の人で賑わっています。
「ああ、それね。確か葉月が言ってたんだけど、この小学校の何周年かの記念の為のイベントだって」
「創立の記念の為のイベントと言うわけで、木下君たちの演劇だけではなく他にもたくさんの催しものがあるそうですよ」
島田さんと姫路さんがパンフレットを見ながら皆さんに説明してくれます。そうなんですよね。どうやら結構大規模なイベントみたいで、ヒデさんたちの他にもその道では有名な劇団の方々や芸人さんたちも出演するとのこと。さっきからそう言った有名人さんたちをちらほら見かけます。
「うげっ……そ、そんなに凄いイベントなの?僕らも来て良かったのかな……?」
「それは問題ねえだろ。島田の妹から家族用のチケットを三枚、んでもって秀吉や演劇部の連中から貰ったチケットが三枚。それを俺らはちゃんとここに入る時に出したからな」
「…………表向きは島田の妹の兄弟姉妹と言う設定で、だが」
同じくパンフレットを見ながら苦笑気味にゆーさんとこーさんが話します。まあ、折角頂いたワケですしありがたく使わないとですもんね。
「それにしても優姉さんも霧島さんも工藤さんもここに来ることが出来なくて残念でしたね。折角楽しめそうなイベントでしたのに」
「まっ、それはしゃあねえだろ。翔子は法事って言ってたからな。ほったらかしには出来ねえし」
「…………工藤もどうしても外せない用事があるそうだ」
そうそう。優姉さん(とサクヤさん)も今日は本当に忙しいそうで、一緒に行けないって言ってましたね。優姉さん、ヒデさんの演劇見るの楽しみだったでしょうに残念でしたね。
「あ、ところで造?今の今まで聞きそびれていたけど、秀吉たちがやる演劇って何なのかな?」
「ん?ヒデさんたちの演劇ですか?えっと、確か———“La(ラ) Belle(ベル) et(エ) la(ラ) Bete(ベット)” ———つまりあの『美女と野獣』の改変版だそうです」
「「「「「美女と野獣の改変版?(と言うか。らべるえらべっとって何……?)」」」」」
「ええ。あれって本来は王子が獣になっているお話ですよね。ですがヒデさんたちのやる演劇は立場が逆転して獣になる美女を愛してしまった王子のお話だそうです。これが中々に面白いストーリー何ですよ。脚本読んでいた時、思わず泣いちゃいましたもん」
あ、そうそう。ちなみに皆さんが屋上で見た自分とヒデさんは、そのクライマックスシーンを演じていた真っ最中でした。ヒデさんが主役の王子様、そして自分が獣の姿になったヒロイン役です。獣の身体では側にいられないと思い、王子を遠ざけようとするヒロインとそれでもヒロインの側にいたいと願う王子様———的な。
「「美女と野獣……素敵です(よね)♪」」
「そ、そうなんだ(美女と野獣ってどんな話?)」
「そ、そりゃ楽しみだな(正直俺も覚えてねえ)」
「…………うむ(俺はそもそも読んだことない)」
……ん?何だか姫路さんと島田さんはともかく、アキさんたちの目が泳いでますが……ひょっとして内容を覚えていないとか?あはは♪まあ、演劇見れば思い出しますよきっと。
Prrrr! Prrrr!
「……ん?おい造、お前の携帯鳴ってねぇか?」
「へ?……うわ、わわわ!?ホントに鳴ってる!?」
「?何をそんなに慌ててんだ造、早く出てやれや」
「そ、そんなこと言われましても……ゆ、ゆーさん!すみませんが出てくれませんか!?」
と、そんな中自分のバックの奥底から鳴り響く甲高い機械音。ううっ……けいたい……一応持ち歩いてはいますが……使えないもの持ち歩いてもなぁ……
「……おいおいお前、相変わらず携帯使いこなせてないのか……機械音痴早く治しておけって言っただろ。まあしゃーない、俺が出ても構わないんだな?」
「寧ろ是非お願いしますっ!自分ってどうやっても電話に出ようとすると勝手に切れちゃうんですよ!?」
「「「「造(月野)(月野君)……」」」」
み、皆さんの自分を見る目が……かわいそうな子を見るような目で非常に気になるんですが!?だってしょうがないじゃないですか!?あんなにボタンがいっぱいあると、混乱しちゃいますでしょ!?頑張って出てみてもすぐにプチ!って切れちゃいますしっ!?
「へいへい、と。(ピッ!)あーもしもし?って何だ秀吉か?ああ、悪い悪い俺だ、造が携帯の使い方わからんとか言ってな。今造と代わる———何?俺らにも聞いてほしいことがある?あーわかった。ちょっと待て、今スピーカーモードにすっから。っし、いいぞ秀吉」
『も、もしもし!聞こえるか雄二、造、それに皆の衆よ!?』
「ヒデさん……?あ、もしもしヒデさん、聞こえますよー」
と、携帯から聞こえてくるヒデさんの焦ったようなそんな声。それにしてもどうかしたんでしょうか?ヒデさんたちの出番は午後からとは言え、今の時間も準備やリハーサルなどで忙しいでしょうに……?
『いきなりで悪いが、お主ら今どこにおるのかの!?』
「ん?えっと現在進行形で、皆さんと一緒に公演がある体育館に向かって歩いていますよ」
「睦月小の体育館ならもう二、三分も経たないうちに着くと思うよ秀吉」
『それは好都合じゃ!すまぬ。いきなりで悪いが、ワシらを助けてくれまいか!?』
「へ?た、助けるって……?」
『とにかく舞台裏———体育館のステージ裏まで来て欲しいのじゃ!頼んだぞい!』
そう言ったかと思ったら、ヒデさんはすぐに慌ただしく電話を切ってしまいました。な、何やら只事ではなさそうですね……?ともかく皆さん全員電話が切れると同時に頷き合い、急ぎステージ裏に駆ける事に。
…………うーん。あのヒデさんがこともあろうに演劇に関してこんなにも取り乱すなんて……どうやら何かヒデさんですら対処困難な不測の事態があったようですね。今日はヒデさんたちの活躍を見に来ただけなのですが、ものすごーく今からトラブルな予感がしてきましたよ。
- Re: バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 ( No.144 )
- 日時: 2015/10/04 10:15
- 名前: ケー (ID: Thm8JZxN)
はじめましてケーといいます。前のにじファンあったときから読んでました。
久しぶりにみたら更新してて驚きました。今から読んでなかったところ読んでいきます。それとひとつ頼みたいことあります。いつ更新してるのかわからないしどこにあるのか探しにくいです。ここで書いててもいいのでpixivとかハーメルンとかでも書いて欲しいです。よろしくお願いします。
- Re: バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 ( No.145 )
- 日時: 2015/10/09 20:59
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
>ケーさん
始めまして、そして随分前から読んでいただいていたようで感謝です。それと大分更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
さて、それでそのご依頼ですが……すみません、少し考えさせてもらってもよろしいでしょうか?今から別の場所でも書くとなると正直かなり話数があって労力的にもこちらの続きの更新的にもかなり辛く、あまり余裕もありませんので……
ただもしも書くとしたら、他の方からもアドバイスがあったハーメルンと言う場所で更新が落ち着き次第いずれこちらと並行して書くかもしれません。勿論こちらの更新を優先したいですし、正直約束は出来ないのですがその時はそちらでよろしくです。あまり期待はせずに待っていただければ幸いです。こちらの勝手な事情で申し訳ありませんがどうかご了承ください。
何度も言いますが本当にお待たせして申し訳ありませんでした。そして出来ればこれからもどうかよろしくお願いします。では失礼します。
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その② ( No.146 )
- 日時: 2015/10/09 21:32
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
造Side
突然ヒデさんから『助けてくれまいか!?』と電話を受けた自分と、Fクラス仲良しメンバーは一先ず状況を確かめる為にヒデさんのいるステージ裏へと足を運びます。そのステージ裏に駆けつけると、ヒデさんが物凄く思案顔で自分たちを待っていました。
「すまぬ、皆の衆よ……折角楽しんでもらおうと誘っておいて、急に当日にお主らを呼び出すことになって。ワシも少し取り乱しておったようじゃ」
「いえそれは全く構わないのですが、ヒデさん一体何があったんですか?」
「そうだよ。いきなり助けてなんて言われちゃビックリするよ?」
皆さんも自分とアキさんの言葉にうんうんと頷きます。と言うか、ヒデさんがあそこまで(優姉さんたち以外で)取り乱すなんて……一体何が?
「……それがの。この公演のことなのじゃが、実は———」
〜秀吉説明中〜
「———と言うわけで、ワシ以外の演劇部部員全員が、ここに来る事すらままならぬ状態だそうじゃ」
「「「「「「なるほど……このままじゃ公演が出来そうにないと」」」」」」
……どうやらヒデさんの話ですと偶然か、はたまたこういう運命なのか———今日出演のヒデさん以外の演劇部の皆さん全員が風邪などの体調不良でこの場にすら来れないと言う始末だそうです。おまけに他の出演予定の無い一年生の演劇部の皆さんも家庭の事情やその他諸々で……
「ここのところかなり過密なスケジュールで台本を覚えてもらったり稽古に励んでもらっておったからのう……ワシは慣れておるから体調管理は何とか出来ておったが、他の者は残念ながら……」
「つまり秀吉。お前以外まともに演劇を出来るヤツがいないってことか?そりゃまた何て間の悪い……」
「…………トラブルは重なって起こると言うが、これはまた」
「うーん……でもこればかりは仕方ないんじゃないの?アンタは辛いだろうけど、ここは中止して貰うしか」
「そうですね。やむを得ないですが流石に木下君だけでは、演劇は出来ないでしょうし」
確かに皆さんの言う通り、これが二、三人の欠員なら代役立てたりと出来るハズなんですが……ヒデさんただ一人で演劇をこなすのはまず無理でしょうね。残念ですが自分もここはヒデさんに中止を勧めようとすると、
「……それがのう、無理なのじゃ。中止すらも出来ないのじゃよ……」
ヒデさんは深刻そうにそう言ってきます。はい?中止すらできない?それってどう言う意味でしょうか?
「へ?中止できないってどう言う事さ秀吉?」
「別にプログラムを変更すれば済むのでは?他にも劇団の方や芸人さんたちもいらっしゃいますし、ヒデさんたちの空いた分をずらしてしまえばいいのではないでしょうか?一応その道じゃ有名な方々何でしょ?」
「……いや、それがの。“そこ”が一番厄介な点での。下手にタイムテーブルをずらせばその劇団の方々の予定が狂うのじゃよ。かなり有名な劇団の方々も来ておるし、時間には厳しいハズじゃ。ここに来る前に一つ公演を行うと聞いたのう。そしてこの公演が終わったらすぐに次の公演が控えているとか何とか。そもそもワシらの勝手でプログラム変更なぞそう簡単に出来るわけじゃないしの」
「「「「「「そ、それはまた……」」」」」」
わーお、つまりもう退路無しってことですか……確かにこれは一大事ですね。ヒデさんが取り乱すのも無理ありません。さてさて、どうしたものやら……
「それで、これからどうするかじゃが……お主らには迷惑ばかりかけておるが、少し知恵を貸してくれぬか?もうワシ一人ではどうしようもないのじゃよ」
そう言って自分たちに頭を下げるヒデさん。やれやれ……ヒデさんったら水臭いですね。ここに来た時点で自分も、それから皆さんも何か手伝えないかとそれぞれ思ってこの場に来ていますのに。
「ヒデさん、頭下げる必要なんかないですよ。勿論お手伝いできることなら何でもしますので」
「そうだよ秀吉。僕が何が出来るかはわかんないけどさ」
「まあ、このバカは役に立たんかもしれんが、俺らに出来る事があれば言ってくれ」
「…………微力ながら俺も手を貸す」
「ウチもやってやろうじゃないの。ね、瑞希」
「はいっ!木下君、何でも言ってください!」
そう言ってヒデさんに温かく声をかける皆さん。ふふっ、やっぱり皆さんお優しいですね。
「……本当にありがとうなのじゃ皆の衆。恩に着るぞい」
「まあ、まだ何か出来るって決まったわけじゃねえがな。———それで秀吉、お前にいくつか聞きたいんだが」
と、いつものようにゆーさんが真剣な顔で頭をフル回転させて、思考を凝らしつつヒデさんに状況を尋ねます。流石ゆーさん……冷静にどう動けばいいか、即座に分析して次の手を考え出す手腕は今まで会った方々の中でもトップクラスですね。普段もですが、特にこう言う時の統率力と指揮能力、トラブル対処術はゆーさん本当に頼りになりますね。
「まず、お前らがもともとやる予定の演劇はいつ開演だ?今すぐなら流石の俺もギブアップしかないと思うんだが」
「うむ。確か午後イチで行われるハズじゃな。現在時刻10時前で13時30分開演じゃから、タイムリミットまで三時間半と言ったところか」
「そうか。まあ、準備もあるだろうし時間的には多く見積もって三時間くらいしか無いだろうがな。それじゃあ秀吉、それに造。一つ目の案だが、お前らが稽古していた演劇———美女と野獣だったか?もしそれを俺らが代役として出るとして、三時間でものにできると思うか?正直に聞かせろ」
「「無理じゃな(ですね)」」
「「「「そ、即答……?」」」」
ゆーさん以外の皆さんが自分たちがそのようにあっさりと答えた事に唖然としていますが、まあこればかりは三時間程度じゃ無理でしょうね……練習に付き合ったからこそそれは痛いほど分かります。そんな自分とヒデさんの返答にゆーさんは大して気にした様子もなく会話を続けます。
「そうか。ちなみにそのお前らが無理だと思う理由は?」
「そもそも皆さん、美女と野獣のストーリーをほとんど覚えていないでしょ。今回はそれのアレンジの台本です。皆さんの熱意を削ぐようで申し訳ないのですが、とても三時間で覚えきるとは思えません」
「そうじゃの。それに例えお主らが三時間で台詞を覚えられたとして、それだけでは演技できぬ。何処でどう動くのか、どんな演技を見せるのか。そう考えると———」
「ふむ、三時間程度では全然足りん……そう言う事だな?」
「言っちゃ悪いが、お主らでは———三週間あっても足りんじゃろうな」
「「「「なるほど……」」」」
ヒデさんの経験者ゆえの重みある言葉に、皆さんも頷きます。ヒデさんも長く演劇をしてきただけありますね。こんな時に思うのは悪いのですが、演劇関連のヒデさんは本当に輝いて見えますね。
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その② ( No.147 )
- 日時: 2015/10/09 21:57
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「まあ、その案はそもそも当てにはしてねえがな。じゃあ次の案だが、秀吉と造二人でその演劇をするってのはどうだ?俺も詳しくはないんだが、芝居には一人芝居とか二人芝居とかもあるんだろ?」
「あ!それならいいんじゃないの?二人ともあれだけ練習してて演技も凄かったし、二人だけでも相当迫力あるんじゃないかな!」
……なるほど、二人芝居ですか……まあ、それも悪くは無いんですが……
「「うーん……」」
「…………やっぱり難しい?」
「えっと、自分ってヒデさんと一緒に練習した役と要所要所のシーンしか覚えていないので。それに自分ではヒデさんの演技に釣り合うほどの経験が不足しているんですよ。正直言うと自分では力不足です」
これは謙遜とかではなく、100パーセント本当のこと。正直言いますと一、二週間程度稽古に付き合っただけの自分では足手纏いもいい所。それが二人芝居にもなればヒデさんとの実力の差が誰の目にも見えて、劇が台無しになるでしょうね。加えて本物の舞台に上がったことのない自分では……本当に力不足です。
「まあ、造とならいい線いけるやもしれぬが……そうなると今度は照明やセットの移動、その他諸々をどう動かせばよいかお主らではわからぬじゃろうからな」
「ああ、そうか……二人芝居となりゃ演劇の間中秀吉と造が完全に抜ける事になるから、随時俺らにどう動けばいいかって事の指示が出来ねえ上に、もし何かトラブルがあっても秀吉が対応する事は困難ってことだな」
「一応三時間あれば何とかお主らにも教えられるじゃろうが、そうなるとワシらの演技の打ち合わせが出来ぬようになるし……正直ギリギリじゃな」
そうなんですよね。舞台の設置や大道具など、そう言うきめ細かな指示を自分ら素人では出来ないんですよね。それに二人芝居にでもなれば、今までやって来た芝居からまた違うものに代わってしましますから、そういう経験が全くない自分ではやり遂げられません。本当に困りましたね……
「う、うーん……考えれば考えるだけ頭が痛くなるわね。ウチらが出てもどうしようもない。木下や月野が出ると、今度は舞台を動かせない。どうすればいいのよ全く……」
「そうですね……せめて私たちも台本を読みながらでも出来る劇があれば———」
「あん?アンタらバカかい?もう少し無い頭を使いな。台本読みながらでも出来る芝居ならあるじゃないかい」
「「「「「ううーん…………」」」」」
全員で頭を捻っても、唸っても……すぐには良い案は浮かんできませんね。どうしましょ———ん?あれ?今何か……?
「……えっと、今どなたか“台本読みながらでも出来る芝居ならある”って言いませんでした?」
「……奇遇だね造。僕もそう聞こえた気がする。しかも何だか聞きなれた忌々しき声で再生された気がするよ?」
「……俺もだな。忌々しくも腹立たしい、常に俺らをバカにしている朽ち果てている老婆の声で再生された気がするぞ」
そう言って自分を含め皆さんが、声のした方向を恐る恐る振り向くと———
「何だい?まーたアンタらお困りのようだね、このクソジャリガキ共」
「「「「「「「って!やっぱり学園長(ババァ長)!?」」」」」」」
———ステージ裏の入り口で、ニッと笑いかける学園長の姿が。な、何でまたこのタイミングでこの場所に……!?
「え、えーと……何だかすっごく昔に同じようなこと言った記憶があるんですが、何でここに学園長がいるんですか?」
「はっ!決まってるだろうさ。アタシはこれでもアンタらの学園長だよ?」
そう言いつつ、最高に良い笑顔で学園長は自分らを見回すと、
「何でも演劇部がピンチだって学園に連絡が来てねぇ。アンタらが困っているだろうから、このアタシ直々にこのトラブルを何とかしてやろうと思って来たのさ。ありがたく思いなクソガキ共!」
「「「ありがた迷惑だ、帰れババァ」」」
「やかましいよ三バカトリオ。良いから聞きな!アンタらと違ってアタシにはこのトラブルを一掃できる画期的な案があるのさ!」
アキさん・ゆーさん・こーさんの帰れコールを無視しつつ、いつも通り突発的に語り始める学園長。その学園長はとんでもない案を自分たちに示してくれました。
〜学園長説明中〜
その案はとても……とても学園長らしい提案でした。そう“文月学園の学園長らしい”と言う意味で。
「「「「「「はぁ!?しょ、召喚獣を使った人形劇を行う!?」」」」」」
「そうさね。仕組みはこうさ。アンタらは裏で召喚獣を操りつつ、台本を読み召喚獣が喋っているように見せる。普通の人形劇と違って召喚獣なら色々自由に動かせるし、何より演技が出来ないアンタらでも何とかなるだろう?そう思わないかい?」
あー……確かに。それに召喚獣を使う事は、劇を見てくれている小学生にとってもそっちの方が面白いって思うかもしれませんね。こ、これ本当に素晴らしい案なのでは……!?
「ふむふむ、なるほど。で、どう思う?雄二」
「どうもこうもねぇぞ明久。怪しすぎだろ。なぁムッツリーニ」
「…………絶対裏がある」
「何言ってるんだい。可愛い生徒の為に特別に召喚システムの使用を認めてやろうって言ってるんだよ。裏なんてあるわけないさね。と言うか、寧ろ感謝してほしいさね」
「「「それでババァ長、召喚システムを演劇に使う本音は?」」」
「そんなもの———普段見せられない召喚獣のお披露目が出来る、良い広告機会になると思ったからに決まってるじゃないかい」
「「「思った通り、あくどいなババァ」」」
あ、あはは……そしてその本音もいかにも学園長らしいですね———と、そんな中唯一人苦々しい顔をしているヒデさんが口を開きます。
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