二次創作小説(紙ほか)
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- バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
- 日時: 2016/03/25 21:41
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド
【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】
の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。
暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」
明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!
体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。
———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照
5〜5.5章及び各種設定 【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照
6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5 103時間目>>8-11 104時間目>>12-16 105時間目>>20-23
106時間目>>24-28 107時間目>>29-32 108時間目>>33-36 109時間目>>37-40
110時間目>>41-44 111時間目>>45-48 112時間目>>49-52 113時間目>>53-56
114時間目>>59-62 115時間目>>63-66 116時間目>>67-70 117時間目>>73-76
118時間目>>80-83 119時間目>>84-87 120時間目>>91-94 121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79
6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132
週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138
ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178
召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196
寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221
7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330
7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350
文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355
彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編
おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編
8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編
———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278
———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279
お知らせ>>270
- 128時間目 放課後ショッピング〜スーパーは辺境魔境〜前編 ( No.244 )
- 日時: 2016/01/22 20:52
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
あ、別に組み合わせに他意は無いですよ、ふふふ♪別にアキさんと姫路さんと島田さんにちょっとしたデートをして貰おうなんて考えていませんからねー(←二手に分かれて買い物する事を提案した張本人)
「それにしてもゆーさん。今更ですがどうしてアキさんの家で対策会議をする事にしたんですか?単に広いからって理由でもないんでしょうし、ひょっとして何か理由でもあるとかですか?———あ、これなんてどうです?つやも色も中々良いですし弾力も中々のものですよ」
「おっ、流石に造は察しが良いな。ま、単純に俺の家にはあのおふくろがいるからって理由もあるんだが———特売品にしては肉に厚みもあってかなり良い品だな。んじゃ鶏肉はこれで良いか」
お肉を吟味しつつちょっと気になっていたのでゆーさんに話しかけます。多分ですがゆーさんの事ですし、アキさんの家を指定したのには何か考えがあってのことだと思うんですよね。わざわざ自分らの都合を聞いていつものメンバー全員を集めたくらいですし。
「明久の家で対策会議を行う理由は主に三つの理由がある。おまけに大半が試召戦争関係でな———にしてもどうすっか。俺ら7人と玲さんにチビッ子の2人で9人だろ?何作るかにもよるがこれだけじゃ一品か二品ほどおかずが足りそうにねぇな。味気ない夕食は御免だぞ」
「あれ?そんなに理由があるんですか?自分は他のクラスの方々に聞かれたくないからかなー?って理由くらいしか思いつかなかったんですが———それだけの大人数ですし、いっそこの前みたく鍋にします?まあ、この前の闇鍋(ダークマター)が鍋料理に含まれるかは疑問ですが。例えば水炊きとか鶏肉と白菜の塩鍋とかはどうでしょう」
「あー……造に雄二よ。試召戦争の話をするか料理の話をするかのどちらかにせい。お主らの同時進行のバラバラ会話は聞いていて頭が混乱しそうじゃ」
「…………二人とも交互に別の話するなんて器用だな」
「「へ?」」
感心しているような呆れているような、そんな微妙な表情で自分たちの会話にストップをかけるヒデさんとこーさん。おっとと、これは失礼しました。一旦手を止めて一先ずゆーさんにアキさんのお家で対策会議を行う理由から聞きますかね。
「ワリィワリィ秀吉にムッツリーニ、じゃあ一旦話を元に戻すぞ。造が言った通り、一つはやっぱり盗聴に気を付けたいって事だな。ムッツリーニがいるとはいえ、学園内で話してたら少なからず何かしらの俺らの作戦の情報が洩れる恐れがある。昼の作戦会議中に大まかな概要までしか話さなかったのはその為だな」
「ああ、やっぱりそうでしたか。Fクラスの弱点対策を他のクラスに聞かれちゃ一番マズイですからね」
「…………壁に耳あり障子に目あり。こう言う事は用心するに越したことは無い」
「盗聴・盗撮に長けたムッツリーニが言うと説得力があるのう」
「…………何の事かさっぱり」
こーさん……それを今更否定するのもどうかとは思いますが。それはともかく確かに盗聴の件はもう少し気を付けた方が良いかもですね。試召戦争は情報が命ですし。
「んでもって二つ目の理由だがな、召喚獣の装備の確認を比較的広い明久の家でやっておきたいからだな。造がいれば教師共がいなくてもフィールド形成の腕輪使ってもらって召喚出来るだろう」
「へ……?それでしたらゆーさん、それこそアキさんの家よりも学園内でやった方が良いのでは?そもそも召喚獣って基本的には文月学園内でしか出しちゃいけないですし」
っと言っても、何だかんだで色んなところで召喚獣として遊んでる(?)自分が言えた事ではないのですが。
「おいおい造。ちょっと考えても見ろ。俺らが教師の誰かに召喚許可出したとして、素直に“そうですか。わかりました、なら許可しますね”って教師共に言われると思うか?」
「え?いや、それは……あれ?」
言われてみれば確かに、普段何かと召喚獣関連の問題を起こしている(と言うよりも問題に巻き込まれている?)自分たちFクラスメンバーに召喚許可を簡単に渡す教師なんてそうそう『『『私たちがいますよ造くん!』』』いないですよね……
……今脳内で自分を生贄にすれば召喚許可くらい渡せそうな先生方が反応した気もしましたが、やっぱり気のせいですね。
「な?そんな教師はいねぇだろ?俺や明久が頼んだところで“何かまた企んでいるんだろう、絶対召喚許可はやらん”って一掃されるのがオチだ。つーか現にさっき試しに明久連れて鉄人に召喚許可貰いに行ったんだが———」
- 128時間目 放課後ショッピング〜スーパーは辺境魔境〜前編 ( No.245 )
- 日時: 2016/01/22 20:51
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
〜雄二回想スタート〜
『えっと、鉄じ「西村先生と呼べ」西村先生。すいませんが召喚許可を「ダメだ」お願いできま「不許可だ」せんか?「却下だ」試召戦争「断る」も解禁されるし、「諦めろ」新しい召喚獣を「無理を言うな」———って断りすぎじゃないですか!?一つのお願いを言い切る前に六回もダメだしされたのは流石に初めてですよ!?』
『吉井、貴様が俺の話を聞かんからだろうが。そもそも前から言っているように、お前の召喚獣は簡単に喚び出してはいけないものだ。許可など誰がするか』
『けどその辺は大丈夫っスよ先生。今まで俺が問題を起こした事があるとでも?』
『良い事を教えてやろう坂本、それに吉井。お前らが一年から書いてきた反省文がこの間ちょうど500枚を突破した』
『『ならその内の499枚は明久(雄二)のだな(ですね)』』
『……ともかく召喚許可は出せん。さっさと戻って次の授業の準備でもしていろ。だいたいお前たちが俺を先生と呼ぶと大抵ロクな事にならないからな。また何か企んでいるんじゃないのか?』
『(あ。雄二、どうやら呼び方が不味かったっぽいよ)』
『(そうみてぇだな。んじゃ言い方を変えてやるか……)』
『よろしく、宗くん(パキュ)』
『頼むぜ宗一(ペキュ)』
『誰が呼び方を変えろと言った。教師をファーストネームで呼ぶな』
『『手が!?手の骨がああああああああっ!!』』
〜雄二回想終了〜
「———ってな具合で問答無用に拒否られた上に手の骨を粉砕されかけた。ったく頭ン中も筋肉もガチガチの鉄人め、無駄な怪我と手間掛けさせやがって」
「いやいや……ゆーさん。それは西村せんせが怒るのも無理ないことですよ」
「反省文500枚とはの……分厚い文庫本並じゃの」
なるほど、休み時間中にどこかへ行って戻ってきたお二人が負傷していた理由はそれですか。それ以前にゆーさんにアキさん?反省文が500枚って何をしたらそんなに書けるんですか……?
「まあ雄二や明久は召喚獣や腕輪を完全に私物化しておるからのう。鉄人に断られるのも無理は無いじゃろう。ここはやはり造あたりが許可を貰えば……いや、それこそ無理じゃな。“お前も何かまた破天荒な無茶をするんだろう、絶対召喚許可はやらん”と鉄人に一掃されるのがオチじゃな」
「えっ!?え、えっと……ヒデさん。自分そんな無茶なんてやった覚えなんてないんですが……?」
「…………召喚獣化して教頭室に花火ブチ込んだ前科あるのに?」
…………ナンノコトカナー?
「つーわけでヘタに学園で召喚したら俺ら全員仲良く鉄人にとっ捕まえられる可能性があるわけだ。その点明久の家で召喚した方がよっぽど安心安全ってこったな。おまけに他のクラスよりいち早く召喚獣の仕様変更が確認できて、召喚獣を暴れさせても明久の家だから問題無し。まさに一石三鳥だ」
そんな事を何だかとっても悪い笑顔で堂々と宣言するゆーさん。なるほど、そう言う事でした……か?ってちょっと待った。
「いやいやいや、流石に最後問題大有りでは……アキさん泣きますよそれ……」
「安心しろ造。明久だから問題ないさ。何を壊しても玲さんに叱られるのは明久だ。んでもって最後の理由は———」
「「「最後の理由は?」」」
「明久の同棲生活を見ておきたかったからだな。姫路に島田に島田妹に玲さんと同棲なんざ……何かアイツを脅す最高のネタになりそうだったしな!」
「最後の理由に至っては最早試召戦争すら関係ないんですか!?それはただ単にゆーさんがアキさん弄りをしたかっただけじゃないですか!?」
……ひょっとして試召戦争対策は建前で、アキさんの同棲生活を冷やかしたかったのが本音なんじゃないでしょうね?アカン、ゆーさんですし十分あり得る……
「んなことより説明終わったしさっさと食材調達続けるぞお前ら。腹減ったしな。さぁて次は……おお、豚肉発見。あ、だが豚肉より牛肉の方が……いや、どうせなら両方か。特売だからこっちのが———」
そう言って再びお肉を吟味し始めるゆーさん。どうやらゆーさんの中ではアキさん<今日の夕食という力関係が成り立っている模様。ああ、でもよく考えたらアキさんもアキさんでいつもゆーさんに対してはアレな対応してますし……
「い、今更口にする事ではないのかもしれませんが……アキさんとゆーさんって仲が良いのか悪いのか本気でわからなくなるんですが」
「相変わらず雄二は明久に、そして明久は雄二に容赦ないのう。もう慣れたがの」
「…………某世界一有名なネコとネズミの喧嘩と一緒だな」
ホント随分奇怪な友人関係……こんなコンビ今まで見たことありませんよ。アキさんとゆーさんには“悪友”って言葉がよく似合いますよね……まあ、何だかんだで仲は良いとは思うんですがね。
- 129時間目 放課後ショッピング〜スーパーは辺境魔境〜後編 ( No.246 )
- 日時: 2016/01/29 20:48
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
明久Side
……あれ?何だか今不細工でにくったらしい一人の友人(=バカ)からはすっごく失礼な事を言いたい放題言われて、いつも気苦労の絶えない一人の友人(=マスコット)からはそのバカと同じ扱いをされたような気がするんだけど……気のせい、かな?
「ん?どうかしたのアキ?」
「明久君?何かありましたか?」
「あ、ううん。何でもないよ。んじゃ早速選んじゃおっか」
と、美波と瑞希がどうかしたのかと、不思議そうな顔をしつつ僕の顔を覗き込む。おっと、いけないいけない。折角造に———
『効率が良いように“分かれて”お買い物しましょう。アキさんと姫路さん島田さんはお野菜をお願いしますね。……そうそう。自分は美味しいもの食べたいですし、材料もじっくり選びたいわけでして。多分“時間がかかる”と思います。アキさんたちも“ゆっくり楽しんで”選ぶと良いですよー♪』
———てな具合で、気を遣って貰って美波と瑞希の三人で買い物兼デート(?)をする事になったのにボーっとしてちゃ勿体ないよね。折角だし三人で楽しまないと!あ、ちなみに造。お礼に後でお菓子買ってあげるから楽しみにしててね!(ちょっ、アキさーん!? 何かそれ子供の扱いな気がするんですが!?……ま、まあそれはそれとして甘いものなら喜んでいただきますが……by造)
さて、買い物は買い物でちゃんとやっとかないとね。まずは籠を持って三人で今日使う野菜の調達のために野菜コーナーに立ち寄る事に。ちなみに美波と瑞希は僕の両サイドで僕の腕に抱き付いて楽しそうにしている。お陰でスーパーの中にいるお客さん(主に男性)の視線がちょっぴり痛い。経験上これって多分世の男性たちのちょっとした妬みの視線だとは思うけど、まぁいつものFFF団の妬みと殺意と物理攻撃交じりの視線に比べれば大したことないね。
さあ今日は大人数の夕食になるけど何を作ろうか。雄二や造たちにお肉を買って貰っているし、折角ならお肉に合う料理を作りたいんだけど……
「明久君美波ちゃん。今日は茄子がお買い得みたいですよ」
「へー、茄子か……うん、いいね。二人とも茄子は食べられる?」
「はいっ!大好きですよ」
「ウチも葉月も大丈夫よ♪」
そんな風に楽しそうに答える瑞希と美波。そっかそっか。だったら季節もちょうど旬で食べ頃だし、二人とも好物でおまけに安いなら是非とも茄子を買っておこう。揚げ茄子の煮浸しやピーマンとひき肉と一緒に炒めたりと、それはそれは色々と使えそうだからね。
「あ、ところで明久君に美波ちゃん。知っていますか?」
「んー?いきなりどうかしたの瑞希?」
「瑞希、何を知っているって?」
と、三人で茄子を選ぶ為に野菜コーナーの茄子が売られている所に向かっていると、突然瑞希がそんな事を言い出す。ハテ?一体何だろ?
「えっと……“秋茄子は嫁に食わすな”って諺(ことわざ)があるんですけど」
「はぁ?何よそれ?何で嫁は茄子食べちゃいけないのよ?」
「ああ、それは聞いた事があるかも」
日本の諺にはちょっと疎い美波が知らないのも無理はないけど、確かその諺はお姑さんが“秋茄子は美味しいから憎らしい嫁に食べさせるのは勿体ない”ってのが語源らしい。それにしても随分と失礼な諺だよね。ひょっとして遠慮深い瑞希の事だし『私は居候の身ですし、食べちゃいけないんじゃないでしょうか』なんて思っているんだろうか。全く、そんな事全然気にしなくていいのにね。
「瑞希、そんな諺なんて気にしなくていいって。どうせ古臭い考えなんだしさ」
「そ、そうですよね!私たちが気にする必要何て無いんですよね!私と美波ちゃんが頑張ればいいだけなんですから!」
「うん。そうだよ、気にせずに二人が頑張れば———うん?」
…………あれ?何を頑張るの?気のせいかな、話が根本的に噛み合ってないような気がするんだけど……?あ、ひょっとしてこれも瑞希の事だ。その茄子を使って何か料理を作る気なんじゃ……ヤバい。それだけは何としても阻止しておこう。何を作られるかわかったものじゃないし。
「???よくわかんないけど二人とも。茄子のコーナーに着いたわよ」
そんな茄子の話をしつつ、話題の茄子のコーナーに辿り着く僕ら。瑞希の言葉はちょっと引っかかったけど、まずは買い物から先にしなきゃね。本日お買い得品って出てるだけあって中々いい値段みたいだ。折角だし美味しそうなものを選ぼうかな。
- 129時間目 放課後ショッピング〜スーパーは辺境魔境〜後編 ( No.247 )
- 日時: 2016/01/29 20:51
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「イラっしゃイ、イラッしゃイ!ヤスいヨ、ヤスいヨ!」
そこに店員さんがやってきて、威勢の良い呼びこみを始めた。……何かどこかで聞いたような声と訛りの外人さんな気がするけど気のせいかな?
「今日ハ野菜がお買イ得!特にコの———」
と、急に呼び込みの声が止まる。そしてその店員さんは茄子を手に取りジッと見つめて、一瞬首を傾げたようなポーズをとってから———
「コの、なンカ、こう紫色の棒ミタイなヤツ!美味しイよー!ヨく熟シて蜜もタップリで甘くて美味しイヨ!」
「「…………」」
———そんな奇妙な呼び込みに戻る。なん……だと……?店員さんのトンデモ発言に思わず美波と二人で顔を見合わせて絶句してしまう。(ちなみに瑞希は何故か今日のお昼のように頬を染めてボーっとしている模様)あれって一応、なす……だよね?
色や形的にはアレは一応世間一般的に言うと茄子なんだとは思うけど……僕の記憶が間違ってないなら、少なくとも蜜がたっぷりで甘いものは茄子じゃないと思うんだ。どうしよう、もしかして僕の知ってる茄子と違うのかな?
「ね、ねえアキ?……もしかして日本の茄子って甘いの?」
「いや、そんなハズはない……と、思うけど。てか一応あれ茄子だよね?何故か甘くて蜜たっぷりらしいけど」
「何か新しい品種か何かかしら……?」
「オッと!ソコのモテモテのお兄サン!コノ……紫色のナニかはイかがですか!」
ゲッ、しまった。そんな風に思わずまじまじと見てしまってたせいで、呼び込みの店員さんに目をつけられてしまったみたいだ。どうしよう……普段から奇人変人に囲まれている僕だからわかるけど、この店員さんからは変人の気配を感じる。こういう時はあまり関わらないうちに早めに逃げ出さないとね。
「さァさァ!紫棒はイカがですかお兄サン!安イでスヨ!熟しテまスヨ!甘いデすヨ!」
「すいません。ちょっとは高くても良いんで、出来れば熟してなくて甘くないのをください」
何せその店員さんが勧めてきた不自然に熟してて甘い匂いで柔らかいのは、間違い無く腐っているハズだし。
「イヤイヤ、遠慮スるコトはアリマせんヨお兄サン!このパープルバーは甘い部分ガ美味しイのデスかラ!ソレに、エェト……“サンチチョクソウ”っテ書いてアリますかラ!カロリーたくサんで、栄養控エ目でス!他ニもデスね———」
僕の話など全然聞かずに、次々とツッコミどころ満載のデタラメな説明を始める店員さん。困ったなぁ……これは長くなりそうだ。仕方ない、ここは———
「(あー……美波。悪いけど瑞希を連れて先に他のもの買って来て貰える?どうにも長くなりそうだし)」
「(そうみたいね……わかったわ。先に別のを見てくるわね。アキも終わったらちゃんと来てね)ってことで瑞希、ほら先に別の食材を買いに行きましょう」
「えっ?あ、はいっ!折角ですしスタミナがつくものを買いましょうねっ!秋茄子の為にもっ!(ボソッ)赤ちゃんの為にもっ!」
「そうね———へ?赤ちゃん?」
「山芋とかニンニクとかオクラとかも良いと聞きますし……頑張らなきゃですね!」
「……さっきから何の話してるのよ瑞希?山芋とかも食べたいってこと?」
うん、一先ず二人には他の買い物をやって貰っておこう。あんまり足止めされると遅くなりそうだし、造や雄二たちもそろそろ買い物が終わってるかもしれないからね。
「———なドなド、昔かラ愛サレている食べ物なノでス!更にハ……エっト?」
「(二人とも今だよ!行って!)」
「(あ、うん。ありがとアキ!じゃあ先に行ってくるわね)」
「(じゃ、美波に瑞希、買い物頼んだよー!)」
一瞬の隙を見逃さずに、店員さんの目を盗んでこっそりと二人を逃がす。やれやれ、いつものアイコンタクト会話術と逃走技術がこんな所でも役に立つなんて全く世も末だなぁ。
『やれやれね。ああ、ところで瑞希。さっきの諺の意味って結局何なの?茄子と嫁がどうのこうのってヤツ』
『あ、それはですね美波ちゃん!茄子には種子が少ないので———』
- 129時間目 放課後ショッピング〜スーパーは辺境魔境〜後編 ( No.248 )
- 日時: 2016/01/29 21:07
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
店員さんに気付かれること無く、二人とも無事にこの場を離れて貰う。よしよし、上手くいったみたいだ。二人との買い物の時間が削られるのは少々残念だけど、二人がこの変な人に絡まれる事よりもマシだし仕方ないかな。
「———ソうデス!最初ニこノ野菜ガ作らレたのハ、八年前ノ北極でしテ———」
にしても……うぅ、まだ続くのかこの店員さんの話は……無駄に長いし色々ツッコみたくなる変な話だなぁ。とりあえず未だにペラペラと説明を続ける店員さんを前に、面倒だし適度にその話を聞き流しつつ考え事をする事に。えっと、夕飯の食材の他には何か必要な物はあったかな……?
「アー……、とコロでお兄サン……」
キッチンペーパーはまだあるし、ティッシュに歯ブラシとかも問題なし。ああ、そうだ。強いて言えば、足りないのは掃除で使って残りが少なくなってきた———
「ココだケの話、こノ野菜っテ、ナンテ名前でショウか……?」
「———トイレ用洗剤かな……」
「Oh!ソウでスか!アリがとうゴザいます!」
「ん?」
と、気がつくと店員さんが手を握ってお礼を言ってきた。よくわからないけど、どうやらようやく説明が終わったみたいだ。
「じゃあ、これ一つ貰いますね。んじゃどうもです」
「マイどアりがトうゴザイまス!」
説明が終わったなら茄子(らしきもの)を一袋手にとって、さっさとこの場を立ち去ることに。正直この人に下手に関わるとロクでもない事になりそうだからね。触らぬ神になんとやらだ。
『今日ハなんト、トイレ用洗剤ガ大安売り!ヨク熟しテ甘いトイレ用洗剤がお買イ得だヨ!今日のデザートはトイレ用洗剤デ決まリ!』
案の定僕が離れてからすぐに、さっきの店員さんがこれまた奇妙且つ不気味な呼び込みを響かせていた。何だ?新商品に食用トイレ用洗剤でも出たのだろうか?
「え、えーっと……あの店員さんって一体何を売っているのでしょうかね……?」
「何故にトイレ用洗剤の売り文句がデザート何じゃ……?」
「…………意味がわからない」
「俺もわからんが……このスーパーにはこれからはあまり利用しない方が良いかもしれんな。あの母親が何を買うかわかったもんじゃないぞ」
と、そんな僕と同じようにあの店員さんの呼び込みを聞いて戦慄している友人たちを発見。うん、君らのツッコミは正しいと思うよ。
「造に雄二たちお疲れ。そっちは買い物済んだの?」
「え、えぇ。一応こっちは買い終わりましたよ。それでアキさんたちは———って、あれ?姫路さんと島田さんの姿が見えませんけど……」
「あ、うん。ちょうどさっきまで僕ら、あの変な店員さんに絡まれてたからさ。店員さんの対応は僕が担当して、逃がした二人には別の買い物を頼んだんだ」
「ほう、明久にしちゃ利口な行動だな。んじゃ姫路たちを探してとっとと明久の家に行くとすっか。ホレ、外の天気がちょいと悪いからな」
雄二につられて外を見ると、なるほど確かに何だか今にも大雨が降ってきそうな天気だ。これはちょっと急いで帰った方が良いみたいだね。と言うわけでさっさと買い物を済ませることに。まずは二人と合流しなきゃね。
「そうじゃな。ならば早う姫路たちと合流するとしよう。して明久よ、二人はどこにおるのじゃ?」
「ん?ええっと確か……ああ、瑞希が“秋茄子の為にもスタミナのあるものを買いますね”って言ってたから、多分そう言う食材のところじゃないかな?そういや山芋とかニンニクとかオクラとかがどうとかとも言ってた気もするね」
「…………茄子?」
「うん茄子。みんな茄子は食べられるよね?」
「……?あのぅアキさん?茄子は美味しいですし好き嫌い的な意味では大丈夫なのですが、何で秋茄子の為にスタミナのあるものを買う必要があるんですか?」
瑞希たちを探していると、造がそんな事を聞いてくる。……あれ?そう言われてみればどうして瑞希はそんな事言いだしたんだろ?
「そう言えば何でだろうね。そもそも瑞希、“秋茄子は嫁に食わすな”って諺を出した時も様子がちょっと変だったんだよね」
「「…………は?」」
その僕の言葉に雄二と造は何かを察したように一瞬固まってしまう。あれ?どうしたんだろ二人とも?雄二は苦笑いをしながら僕を相変わらずバカにしたようなイヤミったらしい目で見てるし、造は造で何だか顔を赤く染めつつ口をパクパク開けている。んー?何か僕変な事言ったっけ?
「ん?どうかしたの雄二に造?」
「な、何じゃ造よ!?お主顔が限界まで真っ赤じゃぞ!?」
「あ、あー……秋茄子ってそう言う……事ですか。そして姫路さんはがんばる……スタミナのつく食材……あー……」
「…………造どうした?」
「あ、あぅ……その、アキさん。えっと、多分その意味はですね……あのぅ……ぐぅ。ゆ、ゆーさぁん、説明お願いします……」
何だかちょっぴり涙目で、真っ赤になりつつ雄二にバトンタッチする造。造が一体どうしたのかはよくわかんないけど、流石はFクラスのマスコットキャラだ。何だか無性に保護欲をかき立てられるのは、葉月ちゃんといい勝負だと思う。
「へいへい、っと。さて明久よ。お前の事だから恐らく一部の意味しか知らんかったみてぇだが“秋茄子は嫁に食わすな”って諺はな」
「ん?諺は何さ?」
「———“茄子には種子が少ないので、子種が少なくなるから嫁には食わすな”という意味もあってだな」
「へえ〜、そうなんだ。雄二は物知りなんだね」
「お前が物を知らな過ぎるだけだがな」
「そっかそっか…………what?」
「あ、あぅうう……」
……あり?今、何かとんでもない意味を聞いちゃったような?そして造が真っ赤なわけがだんだん理解出来始めた気がするような?
「だからな、“秋茄子は、種子がないので子宝に恵まれなくなる”って意味もあるってこった」
「へ、へー……そ、ソウナンダー?」
「そうだな。それにしても“何のことかはさっぱりだが”お前の話を聞く限り姫路は島田と共に秋茄子食っても大丈夫なくらい“頑張る”そうだな」
「…………ソウラシイネー」
「ちなみに山芋・ニンニク・オクラは精の付く食べ物の代表と言われているそうだな。さて明久よ、もう一度言うが“何を頑張るのか”俺には皆目見当もつかんが……くくっ、頑張れよ」
…………この雄二の笑いを押し殺した顔を今すぐにでもぶん殴りたいのは山々だけど、それよりも何よりもとりあえずは。
「み、瑞希に美波!?今どこにいるのぉ!?」
ちょっと二人に色々とお話しなきゃいけないことが出来た気がするし、急いで二人を探すことに。ま、まさかあの諺にそんな意味もあったとは……何故だか学校にいなくても、日頃の勉強不足を反省した放課後となった。
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