二次創作小説(紙ほか)

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バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
日時: 2016/03/25 21:41
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド

【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】

の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。


暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?

『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』

『『『『お願いします!』』』』

「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」

『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』

毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)

「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」

明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!


体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。


———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照

5〜5.5章及び各種設定  【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照

6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5   103時間目>>8-11  104時間目>>12-16  105時間目>>20-23
106時間目>>24-28  107時間目>>29-32  108時間目>>33-36  109時間目>>37-40
110時間目>>41-44  111時間目>>45-48  112時間目>>49-52  113時間目>>53-56
114時間目>>59-62  115時間目>>63-66  116時間目>>67-70  117時間目>>73-76
118時間目>>80-83  119時間目>>84-87  120時間目>>91-94  121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79

6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132

週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138

ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178

召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196

寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221

7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330

7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350

文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355

彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編

おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編

8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編

———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278

———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279

お知らせ>>270

151時間目 ( No.314 )
日時: 2016/03/11 21:52
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

———休戦終了5分前:Cクラス———


『———さあ、これが最後の作戦会議よ。坂本君吉井君の両名は新校舎屋上で開始するって明言しているわ。だからここにさっき補充した部隊を置きましょう。担当の先生は確保できているかしら?』
『はい、代表!代表に言われた通り、英語R・現代社会・化学・生物・地学・古典の6人の教師を確保しています!』
『よろしい、なら皆は英語R・現代社会・化学の先生を連れて屋上に行ってもらうわ。討伐隊として前戦力を以て坂本君たちを絶対に討ち取ること』

『『『了解ですっ!』』』

『そして念のために点を取れている上位2人は近衛兵として生物・地学・古典の先生と一緒に私に付いて来てちょうだい。考えたくないけれど相手は月野先輩と坂本君の策士二人だし、仮に突破された時のことも考えて屋上から一番離れている位置にある旧校舎一階の空き教室を新しい拠点にするわ』

『『わかりました!代表は必ず守りますっ!』』

『頼もしいわ、ありがとう。……じゃあそろそろ時間ね。みんな———勝つわよ!』

『『『はいっ!』』』


———新校舎屋上前———


須川Side


散々あの異端者共に振り回されてきた我々FFF団。だがついに、ついに追い詰めたぞ……異端審問会の血の盟約に背きし者共———吉井に坂本ォ……っ!

「屋上だな……奴らの墓場はっ!さあ殺るぞお前ら……!武器は持ったか!俺・横溝・福村を筆頭にぶちのめしに行くぞぉ!」
「勿論です須川会長!Cクラスと共に休戦終了直後に突入しますよ!」
「奴らに地獄を見せてやりましょう会長!」

吉井に坂本、それと姿は見えんがムッツリーニ……貴様らの命運もここまでだ。わざわざ逃げ場のない屋上を試召戦争再開場所に選んでしまった貴様らの頭の悪さをあの世で後悔するがいいさ……!そう気合いを入れて、いつものFFF団の正装である覆面と黒ローブを身に着ける我ら正義のFFF団。

『さあ、同士諸君。待たせたな!これより吉井坂本をあの世へと誘い、悲願であった全リア充抹殺作戦“Fクラスの変”の偉大なる一歩を踏み出す時である!さあ続け!』

『『『おー……』』』

『……?何だお前たち。随分と殺る気の無さげな掛け声だな』
『念願の奴らの血祭タイムだぞ、もっと喜んでいいのにどうしたんだ同士諸君』
『あのバカ共は自分から逃げ場のない屋上を絞首台に選んだんだ、遠慮なく殺ってやろうぜ!』

『『『…………』』』

何なんだ一体。使命に燃える我々三人と違い、他の審問員はヤケにノリが悪い。まあ、いいさ。大方未だに奴らがのさばっている事ではらわたが煮えくり返って暴走寸前ってところだろう、気持ちは非常にわかる。審問員たちの集中を乱さぬようにこれ以上は話しかけてやらないようにしておくか。きっと異端者共を見ればすぐに殺る気スイッチが入るだろうからな。そんな中、同盟している十数人のCクラスの協力者たちが屋上の扉の前までやってきた。

「今来たぞFクラス。状況はどうなっている?」
『はっ!吉井、坂本の両名は宣言通りこの扉の向こうにいる模様!屋上には奴ら異端者の他に別クラスの一般生徒男1人女2人がいますがご安心ください!あのバカたちを殺るには全く支障がない様子です!』
「…………」

と、横溝がCクラスにそのように報告すると何故か顔をしかめるCクラスの同盟者たち。ん?なんだ?

「……待てよ。Fクラス代表たちはともかく月野はどうした。まさか屋上にはいないのか?」
『へ?……あ、ああそう言えばいませんね。ですが造ちゃんがいないなら逆にチャンスっすよ!』
『そうそう!造ちゃん巻き込んで怪我させる必要もないし、これで奴らを守るものは何もないと言う事!一緒にストレス発散も兼ねて思いっきり殺っちゃいましょう!』

そう、造ちゃんがいないなら好都合と言うもの。グロいシーンを見せることも無く異端者共を仕留める時に誤って怪我をさせることも無い。巻き込まないで良いならば、思う存分奴らをボコボコに出来るからな!Cクラスも憎き吉井と坂本を心置きなく殺れるってものだろう。

「(ボソッ)アホか……何で俺らまで坂本たちを抹殺することになってんだよ」
「(ボソッ)小山代表の言う通り、あれだけ頑張ってたFクラス代表もあの小っちゃい子もホントかわいそうだわ……」
「(ボソッ)つーかこいつ等やっぱバカだな……月野がいないってことは何らかの策を取られているってことだろうに」
「(ボソッ)D・Eクラス戦の時のように、月野君背後から私たちを一網打尽にする気かもしれないね」
「(ボソッ)ならこのワラワラしているFクラスの連中を壁として私たちの後ろに置いてかない?」
「(ボソッ)良い案だ、こいつ等でも壁にはなるだろうからな。この人数だし寧ろこのまま屋上に出てもこいつ等が邪魔でまともに戦えない可能性だってある。数人は前線で俺らの盾にして、他は月野に後ろを取られないようにバリケードとして使うか」

横溝に引き続き俺と福村もCクラスにそのように報告するが、何故か顔を見合わせて何やら相談している。異端者を抹殺するのに何か問題でもあるのだろうか?

「あー、コホン。少し相談なんだが……えっと、お前は須川だったな。あとそこの二人の……えっと?」
『ん?横溝と福村のことだろうか?』
「ああ、横溝に福村ね……えっと、この三人と俺たちCクラスで代表である坂本を討ち取ろうと思う」
「その間、念には念を入れて残りのFクラスの皆で逃げ道を塞ぎつつ誰も屋上に上がれないように屋上の外で私たちの後ろを守ってほしいの。ダメかしら?」
『えっ……?し、しかしそれは……』

そのように同盟しているCクラスに提案されるが……それでは坂本達を直接自分たちの手でぶちのめしたいであろう我らFFF団の同志たちが悔しがらないだろうか。

『それで構いませんよCクラスの皆さんっ!』
『ぜひそうしてください!俺たちは外にいますので!』
『では須川———会長。あとはごゆっくり!』
『へっ……?お、お前たち……それでいいのか?』

『『『ええ!後は全て、会長たちに任せますから!!!』』』

……俺のその予想とは裏腹に、さっさと後ろに下がるFFF団同士諸君。む、むぅ……譲ってくれるのはありがたいが、随分惜しいことをするものだ。折角の異端者狩りの絶好の機会だって言うのに。

『まあ、彼らの分まで俺たちがあの異端者共を完膚なきまでに叩きのめせばいいんだがな』
『ですね、会長。武器も持ちましたしこちらの準備はOKです』
『いつでも殺れますよ会長!』
「それじゃあ、そろそろ時間だ。Cクラスの皆、ついでにFクラス。後一分で休戦終了だ。時間になったら全員で屋上に乗り込んで一気に勝負に出るからな!」
「先生方も、屋上に入ったらすぐにフィールド展開をよろしくです!」

いよいよ審判の時のようだ。屋上の扉の前にて腕に付けている時計をじっと見つめ我ら正義の異端審問会は勿論、Cクラスや付いて来ている教師も緊張しながら息を呑んで今か今かと休戦終了の時を待つ。

時計を見ながら何故かふと俺は、二年になってからのあいつ等のやってきたことが思い出してきた。

……ある時は吉井がラブレターを二通も貰っていた。

……ある時は吉井に坂本にムッツリーニがバスの中で女子といちゃついていた。

……またある時は弁当を作ってもらっていたし、二人三脚で女子と楽しんでいやがった。

……キスもハグもその他諸々も経験済み、今回に至っては同棲生活という禁忌まで犯していると来た。

———判決。吉井・坂本・ムッツリーニ、拷問してから死刑。思い出すだけではらわたが煮えくり返る気分になってくる。アイツらがいるから俺がモテない……神や仏が許そうとも、俺たちFFF団が許さん。やはりこの全リア充抹殺計画“Fクラスの変”は何が何でも達成せねばならぬようだな。そんな決意を新たにしていると、再開時刻がすぐそこまで来ている———残り……5秒……3秒……1……


ピピピッ!


『『『さあ異端者狩りの時間だゴラァ!!!』』

時計のアラームを止めながら、屋上に続く扉をバンッ!と思い切り蹴り開ける。これまでの恨み、我らの恨み全てはテメェらにぶつけるためのものっ!さぁ、テメェらの命、貰い受けるぞ吉井に坂本ォ!

151時間目 ( No.315 )
日時: 2016/03/11 21:52
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

———同時刻:旧校舎空き教室———


小山Side


Fクラスとの試召戦争再開まであと少し。念のため坂本君たちが休戦終了後に試召戦争再開すると公言している新校舎から一番遠い旧校舎一階の空き教室を新しい拠点として、近衛兵を二人と3人の監督役の先生を連れてきた私。

「———では先生。気が早いかもしれませんが召喚フィールドをお願いしてもいいですか?」
「はい分かりました。では古典のフィールドを展開しますね」

更に念には念を入れて先輩が来る前に先輩がかなり消費している科目の先生にフィールドを展開して待機しておくことに。補充試験もギリギリまでやったしFクラスの生贄兼盾も用意している……これでやれることは全部やったわね。

「(ボソッ)ホントはこんな事しちゃいけないかもしれないけど……ごめんなさい先輩たち。何が何でも今回だけは勝たなきゃいけないんです……」

……今更ながら今回のこれ、ホントならかなりギリギリセーフな策だったわ。Fクラスのバカたちが坂本君や吉井君を抹殺したい、協力してほしいと相談された時に思いついた今回の策。Fクラスを使いD・Eクラスに試召戦争を促したり、先輩たちの内部からの妨害を行ったりと色々やったわね。

「?代表、何か仰いましたか?」
「ううん、何でもないわ。ちょっと疲れたなって思ってね。ゴメンね、代表がこんな弱音を吐くようなこと言っちゃいけないのに」
「いえいえ。代表今回の作戦が始まってからずっと動きっぱなしで指示出しっぱなしだったじゃないですか。お疲れなのもわかりますよ。弱音くらいドンドン俺たちにぶつけてください!」
「私たちは全力で代表をサポートしますし守りますからね!ですから絶対Fクラスに勝ちましょう!」
「そう……ね。負けられないわね……ありがとうね」

……そう、負けられない。クラス代表として……そして“アイツ”の為にも……今回だけは絶対に負けられない……

「さて……後は試召戦争再開して、Fクラスがどう動くかだけど……」
「そうそう、ちなみに代表。我々が勝てる確率はどのくらいですか?」
「うーん……90%くらい……かしら?」
「おお!凄く高いじゃないですか!」

うーん……個人的には10%で負けるってことを気にしてほしいんだけどなぁ……

「本来なら100%勝てるようにしてたんだけどね……流石に先輩たちは一筋縄ではいかないわよね。残り10%が正直怖いわ……気持ちで負けるつもりはないけど何だかとても嫌な予感がするのよ」

一応屋上にも先輩が消費している科目の先生3人を呼んでいるし、あの人数相手ではいくら接近戦が出来るようになったからって流石の先輩でも満足に戦えないと思うし……隙を見て坂本君を討ち取れれば勝てると思うんだけど……何故かしら。やれることはやったはずなのに、あと数秒で試召戦争が再開されるからか、不安感が拭い去らない。悪い予感が的中しなきゃいいんだけど……

「きっと大丈夫ですって!屋上はすでに我々の完璧な布陣で構成されています!」
「そうですよ!何も代表が不安になることはありません!試召戦争が再開されたら、きっとすぐにでも私たちCクラスの勝利宣言が聞こえて———」












《———それはどうでしょうかね。その作戦、どうも屋上にばかり気を取られていませんか?》

「「「っ!?」」」

《こんにちは、小山さんにCクラスのお二人さん。待ってましたよ》

と、どうしたことか掃除ロッカーの中からそんな声が聞こえてきたかと思うと……バンッとそのロッカーの扉を開けて私たちの目の前に飛び出してくる一つの小さな影が現れた。


———再び新校舎屋上———


須川Side


「……いよぅ、須川。随分と勝手な事やってくれたじゃねぇか」
「……覚悟はできているんだよね、須川君たちは」

俺・横溝・福村の異端審問会トップ層が屋上になだれ込むと、腕を組んで額に青筋を立てている忌々しき異端者代表である吉井と坂本が出迎える。

『この絶体絶命の状況で、随分とまあ余裕じゃねぇかクソ共が』
『勝手な事をやってくれた?覚悟はできているか?それはこちらの台詞だ異端者共よ。モテない男たちに見せつけるように女子を誑かした罪、最早死すら生温い』
『間違ってもここから飛び降りるような真似だけはするなよ。そんな楽にあの世にいかれては我々の気が収まらん。キッチリ拷問して輪廻すら絶ってやるからな』

数俊遅れてから、Cクラスの同盟者諸君も屋上へと入ってくる。そして何故かそのままボソリと坂本と吉井に話しかける同盟者たち。

「(ボソッ)その……正直悪いねFクラス代表さんに吉井君」
「(ボソッ)利用した俺たちが言うのも何だけど、こんなクズ発言するコイツらで追い詰めるようなことしてホントに申し訳ないわな……」
「ん?ああ、Cクラスは気にすんな。元はと言えばこれはFクラスのゴタゴタが派生した結果だしな。寧ろこの状況を見事に利用してここまで俺らを追い詰めたのは素直に感心するぜ」
「うんうん、悪いのはこの暴走しているFクラスだし、気にしないでよ。このバカたち統率して僕らを追い詰める作戦なんて目茶苦茶スゴイと思うしさ」

……?何の話をしているのやら。まあいいさ、そんなことはどうでもいい。重要なのは———

『そうだ、重要なのは貴様らがここで果てる。ただそれだけだ』
『さあ、大人しく審判されるんだな。まあ、安心しろ。お前たちは一人じゃないさ、二人仲良くあの世逝きだからなぁ!』
『その手錠で繋がれたまま、二人寄り添って死ぬがいい!』

そう言って武器を構えると、異端者二人は物凄く嫌そうな顔をする。

「うげ……冗談じゃないよ。なんでこんなアホ雄二と寄り添わなきゃいけないのさ。気持ちが悪いじゃないか」
「その通りだな、冗談じゃない。何故俺がこんなバカ久と一緒にくたばらなきゃならんのだ。吐き気がする」
「何だと雄二!」
「やるか明久!」

俺たちに囲まれているにも拘らず、そんな漫才めいた事をやりながら喧嘩をするバカふたり。えぇい……どこまでも嘗め腐りやがって……!

『気色悪い夫婦漫才は他所でやったらどうだ。まあ、そうやって繋がれたまま地獄でも一緒に過ごすんだな』

「「何が夫婦漫才だゴラァ!冗談じゃない!だったら———」」

と、そう言って二人は手首に手をかけると———

「「———こんなもの、外すだけだ」」


ガチャン!


『『『…………は?』』』

…………どういう……ことだ……!?吉井と坂本はとてつもなく悪い笑顔をしたまま、今の今までこいつ等二人をつないでいたワイヤー付手錠が、この二人の手首から離れ、重力に従ったまま床に落ちていった……

151時間目 ( No.316 )
日時: 2016/03/11 21:53
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

———再び旧校舎空き教室———


小山Side


《こんにちは、小山さんにCクラスのお二人さん。待ってましたよ》

ロッカーの中から飛び出してきたのは……やはりと言うべきか、Fクラスの……

「……月野、先輩」
《どうもです皆さん。ゆーさんの予想的中で何よりですよ》
「つ、月野だと!?!?」
「さ、坂本君を守りに屋上に行っているはずじゃ……!?」

そう、召喚獣化している月野造先輩だった。そうよね、やっぱり来るわよね……私たちCクラス最大の障害だもの。それにしてもわざわざロッカーの中に隠れていたってことは……やはりこれは私たちがここに来るとわかっていたのかしら……

「先輩、待っていたってことは私たちの考えを読んでいたってことになりますよね。何故この場所がわかったんですか?」
《……警戒心が非常に強くここまで慎重に策を練ってた小山さんのことです。屋上でゆーさんたちが試召戦争再開すると言えば、用心して必ず一番新校舎屋上から遠いこの旧校舎の空き教室に来てくれるハズだとゆーさんが予想してたんです。……見事にビンゴでしたね》

適度に間合いを取りながら、にっこり笑ってそう言う先輩。……なるほど、流石ね坂本君。休戦終了後に屋上で再開するって宣言は、私たちをここにおびき寄せる罠だったってことなのかしら。けれども———甘いわ!

「この場所を読んでいたことは見事です———ですが!近衛兵っ!」
「はいっ!Cクラス榎田克彦、Fクラス月野に古典で勝負を挑みます!」
「任せてください!同じくCクラス横尾知恵、Fクラスの月野君に古典の勝負を挑みます!」

「「試獣召喚(サモン)っ!」」


《Fクラス 月野造  古典  31点》
        VS
《Cクラス 榎田克彦 古典 158点》
        &
《Cクラス 横尾知恵 古典 142点》


やっぱり早めに先生に頼んで召喚フィールドを展開してもらっておいて正解だったわね。古典は先輩が私たちとの戦いで消費している科目。これで少なくとも一撃で倒されることもないし……後は時間になるまで耐えればいいだけ。

「大方坂本君を倒される前に、私を討ち取ろうと考えていたのでしょうがそうはいきません」
「月野、何もお前を倒せるなんて思っては無いさ。悔しいが戦闘技術はそっちが上だってことくらい前の時間で分かってる。俺らが束になってもお前には敵わないだろう。だが———時間稼ぎをするなら話は別だ」
「これで坂本君たちを守るものはいないよ!皆が坂本君を討ち取るまで守りに入った戦いをすればいいだけだからね!」

この二人に勝負を挑まれた以上、先輩は私を討ち取るにはこの二人を倒さないといけない。けれどもこの先輩の残りの点数では遠距離から攻撃しても一撃では倒せないし、接近戦を挑まれても守りに入った戦いになれば二対一でこちらに分があるわ。後は先輩と言うFクラス最大の盾を失った坂本君たちを屋上に行った皆が討ち取れば———私たちCクラスの勝利よ。

「その点数では二人相手にするのは困難。先輩がこの近衛兵たちと戦っている間に、屋上のCクラスの皆が坂本君を討ち取ってくれます。それと……悪いですが科目変更もさせませんからね」

例え先輩が自身に有利なフィールドを白金の腕輪で張ろうとこの古典フィールドを干渉させようとしても、予め来てもらっていた3人の先生がいれば恐れることは無いわ。干渉を起こされてもすぐにまた別の先輩の消費している科目のフィールドに書き換えるだけだから。

《……なるほど、本当に素晴らしい作戦です。確かにこの点数差では二人を相手に戦うのは厳しいです。おまけに時間稼ぎするつもりで守りに入られては倒すのにとても時間がかかるでしょうね。このままじゃ二人を相手にしている間に屋上のゆーさんたちが討ち取られるでしょうね》
「そう言うことです。計算を誤りましたね先輩。まあ、もう一人誰か戦える人がいればまた違う結果になったかもしれませんが」
《……ふふっ、そうですね。ところで小山さん———












———貴女が仰る通り、“自分と共に戦えるもう一人の人物”が実を言うと存在するって言ったらどう思います?》
「…………は、い?」

な、何を……?先輩は何を言っているの?もう一人戦える人がいる……?そんなはず無いわよね……?だって、Fクラスの今の状況はと言うと———

「……先輩が何を言っているのかわかりませんね。坂本君・吉井君は屋上、土屋君は血の流し過ぎで動けないし木下君も捕えられている。姫路さんと島田さんも補充試験室で身動きがとれない。勿論他のFクラスが先輩に手を貸すはずがない———この状況では誰も加勢には来れませんよ」
《いえいえ、実はいるんですよ……ではお願いしますね!》

と、不敵な笑みを浮かべたまま先輩は廊下に向かってそう叫ぶように合図をする。……で、出まかせよね……?だって誰も他にFクラスに戦える人なんていないハズ———

「———ええ、任されたわ。アタシがそっちの横尾さんを倒すわね」
《了解ですよ。では自分は榎田くんを倒します》

「「「「「「…………は?」」」」」」

———そう言って現れたのは……やっぱり私の予想通りFクラスの生徒ではなく。でも予想の範疇を超えた人物だった。

「…………Aクラスの……き、木下優子……?」
「こんにちは小山さん、ご機嫌いかがかしら。悪いとは思うけど———アタシ、造くんと一緒に戦わせてもらうわね」

そう、それは私と同じ女子の制服を着た2-Aクラスの優等生である、Fクラス木下君の姉の木下優子の姿だった。ちょ、ちょっと待ちなさい……?月野先輩の言っていたもう一人戦える人って……まさか木下優子の事!?一緒に戦わせてもらうって……!?何をバカみたいな事言ってるの!?

「な、何を言っているのよ……いくら貴女がFクラスと仲が良いからって、今はFクラスとCクラスの試召戦争中よ。Aクラスの貴女が私たちに勝負を挑んだ段階であなたは補習室送りになるわよ。一体全体何を考えてるのよ」
「アタシが補習室送りになる?あら、そっちこそ何を言っているのかしらね。……まあいいわ。先生、アタシ木下がCクラス横尾さんに勝負を挑みますね」
「えっ?……で、ですが木下さん。小山さんの言う通りですよ。ルール上Aクラスの貴女はこのC・Fクラスの試召戦争に手を出したら自動的に貴女は補習室に———」
「“Aクラス”ですって?先生まで一体何を言っているんですか?」

……何よ?月野先輩や木下君を愛ですぎて、とうとうおかしくなったのかしら?それともまさかとは思うけど自分はFクラスに在籍しているって言うんじゃないでしょうね?

「はぁ……あのね。だからAクラスの木下さんは召喚したら駄目ってことなの。わかるかしら?」
「……なるほど、そうね。確かに“Aクラスの木下優子”は召喚したら駄目かもしれないわね———“じゃが”な、それは本当に“ワシ”が“姉上”だったらの話じゃぞ小山よ」

「「「「「「…………えっ?」」」」」」

152時間目 ( No.317 )
日時: 2016/03/11 21:56
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

———新校舎屋上———


明久Side


『気色悪い夫婦漫才は他所でやったらどうだ。まあ、そうやって繋がれたまま地獄でも一緒に過ごすんだな』

「「何が夫婦漫才だゴラァ!冗談じゃない!だったら———こんなもの、外すだけだ」」


ガチャン!


『『『…………は?』』』

Cクラスとの試召戦争もいよいよ大詰め。今の今まで僕と雄二を繋いでいたワイヤー付手錠を外して、C・Fクラスの皆と対峙する僕ら。ようやくこの厄介な手錠と雄二のアホから解放されたよ畜生め、あーすっきりした。

『な、なぜ貴様らその手錠が外せるんだ!?』
『それはそう簡単に外せる代物じゃねぇんだぞ!?何しやがった貴様ら!?』
『鍵はすでにスペアも含め全て処分しているはずだろ!?一体全体どうなってんだ!?』

……あ、やっぱりか。僕らの予想通り解放する気なんて微塵もないだろうから鍵は捨ててるだろうって思ってたけど……ホントに捨ててたんだね。何と言うか容赦ないと言うか徹底していると言うか意地が悪いと言うか……

「ま、大方予想通りだったな。鍵なんてアテにしてねぇよバカ共め」
「そうそう。僕らには鍵なんて必要ないからね」

僕らには鍵が無くてもこじ開けることが出来る、最高峰の忍がバックに付いているわけだしさ。そうだよね———

『そんなはずがあるか!そのワイヤー付手錠は特注品なんだぞ!テメェらのような素人如きが簡単に外せるはずがないだろが!?』
『一体どんな小細工しやがった!?これを外せるのはアイツ……そう、ムッツリーニくらいのハズだ!』
『だが奴は俺らのトラップにより死にかけて———』
「…………俺が、どうかしたのか?」

『『『……は?』』』

須川君たちがムッツリーニの名を出した瞬間、“変装”を解く屋上にいた男子生徒が一人。保健体育の帝王で盗聴盗撮のエキスパート、現代に生きるムッツリ忍者である……そう、その名も———ムッツリーニだ。

『『『……む、ムッツリーニだと……!?』』』

「君たちの言う通りだよ。鍵も無い状態でこれが外せる人なんて———ムッツリーニくらいさ」
「どんな小細工をしやがった、だと?何も小細工なんてしてねぇよ。ムッツリーニに外してもらっただけだからな」
「…………鍵の開錠など朝飯前」

そう豪語するだけあって、“回復した途端”一瞬で鍵を外してくれたムッツリーニ。まあ、ありがたいと言えばありがたいけど、一人の友人として君は一体どこでこんな技術を習得しているのか正直知りたいような知りたくないような複雑な気持ちになるよムッツリーニ。

『ま、待て待て待て!?な、何でムッツリーニが生きてる!?』
『少なくとも一歩も動けない程の瀕死のハズだっただろうが!?』
『てか、変装だと……!?や、ヤロウ、なんて汚い真似を!?』

色々と事情を知らない須川君たちはムッツリーニの出現に慌てふためく。そりゃそうだ、何せこのムッツリーニはさっきまで虫の息だったわけだし。 “彼女”の処置があと数分遅れていたら、確かにムッツリーニはそのまま鼻血の出し過ぎによる出血多量と言う情けない死に方で天に召されていただろうからね。僕らは元よりムッツリーニはちゃんと“彼女”に感謝しなきゃならないね。

「やれやれ……それ僕らが答える義理あるの?」
「その無い頭で一生考えてみるんだな」
「…………まあ、一生かかってもわからんだろうがな。それと———」

「「「———お前たちだけには汚いって言われるのは心外だ」」」

『『『ぐっ……』』』

ムッツリーニが生きていたことに悔しそうにしているFFF団の三人は無視するとして、今度は現在進行形で試召戦争中の相手であるCクラスの人たちと対峙する僕ら。

「さぁて、ワリィな待たせちまって」
「じゃあCクラスの人たち、やろうか」
「…………いざ尋常に勝負」
「ほう……どういうことかよくわからないけど、土屋が復活したんだな」
「これで坂本君、吉井君、土屋君、そして姿が見えない月野君の4人対私たちCクラスってことになるのね。いいわ、勝負よ!」

そう言って臨戦態勢に入ろうとするCクラス。ムッツリーニが戦力として復活しても関係ないと言わんばかりに全員その眼は勝利を確信しているようだ。確かに保健体育のフィールドじゃないなら、ムッツリーニもそこまでの脅威ではないからそんな風に強気になるのもわかるけどね。それにしても———いいのかなぁCクラスの人たちは。

「ああ、そうだ。ついでに言っておかなきゃならないことがあったんだ。“姿が見えない月野君”って言ってたけど……その造が今どこにいるか知ってる?」

「「「……月野が、今どこにいるか?」」」

「随分とまぁ余裕に見えるが……お前たちの代表を放っておいていいのか?下手すりゃ大変なことになると思うんだがな」
「…………良い事を教えてやる。造が今いる場所は———旧校舎一階だ」

「「「…………っ!」」」

その言葉に、Cクラスの人たちが一瞬怯む様子が見て取れた。ほうほうなるほど。ちょっと僕ら3人で鎌をかけてみたんだけど、この反応なら雄二の予想通りCクラス代表の小山さんが次の拠点としたのは旧校舎一階なんだね。

「……そう来たか。なるほど、確かにそれは大変だ———だが、残念だったな」
「ちょっとびっくりね。君たち代表の位置を読んでたんだ。でもね、こっちだって代表の位置がバレることも月野君が単騎で代表を仕留めることも想定済みよ!」

けれどそこは上位クラスのCクラス。一瞬怯みはしたものの、すぐさま気を取りなおして僕たちにそう気丈に振る舞う。

「こっちも良い事を教えてやるよFクラス。うちの代表はな、こういう事態に備えて近衛兵と月野が現段階で最も消費している科目の教師を3人、立会人として連れていって行っているんだ」
「いくら接近戦が可能になった月野君だろうと、一人では近衛兵が二人もいる状況で点数が低い科目の勝負になればそう容易く代表を討ち取ることはできないわ!」
「それにそうとわかればこっちのものよ!月野君より先に私たちが坂本君を討ち取ればいいんだから!土屋君が加わったところで、私たちとの戦力差がそう易々と埋められると思わない事ね!寧ろ最大戦力の月野君を手放したこと、後悔させてあげるわ!」

むむむ、このCクラスの対応力……どうやら彼らの言う通り一応僕らが囮になって、造が小山さんを討ち取りに行く今回のような場合の対処法もシミュレーションしているようだ。うーん、今更ながらやっぱりやるなぁCクラスは。

「いいわね、先生がフィールドを張ったら、坂本君に勝負を挑んでからすぐに召喚するわよ」
「近衛兵がいるとは言え、イレギュラーな月野相手だしな。代表の為にも速攻で終わらせような」

そう言って身構えて僕らに勝負を挑もうとするCクラス。……さて、なら僕らもやりますか。Cクラスの人たちが見えない位置で“小さく合図をする”僕ら。さあ、頼んだよ……

「ふむふむ、流石だなぁ。確かにこの人数相手だと、造もいないこの状況では僕やムッツリーニだけじゃ雄二を守れずに僕ら負けちゃうね。僕ら三人だけではCクラスを相手にどうしようもないね」
「わかっているようね。と言うわけで先生、召喚許可をお願いしますっ!」
「わかりました。では現代社会の———」

そう、僕と雄二とムッツリーニだけじゃどうしようもない。まともにやり合ってもすぐに全員討たれてしまうだろう。だから———












「このままじゃどうしようもないから後は“瑞希”にお任せするね」
「はいっ!わかりました、後は任せてくださいね明久君っ!」

———後は適任者に任せよう。さあ待たせたね“瑞希”!

「「「…………は、い?」」」

「———召喚許可を承認します」
「召喚許可が出たので、Fクラス姫路瑞希!この場にいるCクラス全員に現代社会で勝負を挑みますっ!試獣召喚(サモン)ですっ!」

ムッツリーニの時と同様に、屋上にいた女子生徒が“変装”を解く。その正体は僕らFクラス最大戦力にして僕の大事な人の一人である———瑞希こと姫路瑞希だ。瑞希の登場でここにいるCクラス全員が怯んだ隙に、勝負を挑まれるより先にこっちがCクラスに勝負を挑む。よっしゃあ!計画通りッ!


《Fクラス 姫路瑞希 現代社会 603点》


瑞希の唱えたキーワードと共に現れたのは驚異的な点数を引き下げた瑞希の召喚獣。勿論腕には400点オーバーから使用可能な金の腕輪が装着されている。

152時間目 ( No.318 )
日時: 2016/03/11 21:57
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

「くくっ!油断したなCクラス。さてどうするんだ?姫路に勝負を挑まれた以上、試召戦争のルールに従いお前らは俺を討ち取る前に全員召喚獣を召喚して姫路と戦わなければ敵前逃亡扱いになって戦死になるぞ」
「ですが……ごめんなさい。もし戦死したくないのであれば、召喚獣を召喚した後はこの場から全員一歩も動かないでください。勿論召喚獣の操作も無しです。こちらはすでに金の腕輪の能力である【熱線】を打つ準備は整っていますから下手な真似をすると皆さん全員戦死ですからね」
「そう言う事。悪いけど瑞希の言うことはちゃんと聞いておいたほうが良いよ。今の瑞希なら召喚された瞬間に全員を補習室送りに出来るからね。多分5秒も持たずに皆まとめて戦死しちゃうだろうしさ」
「…………点数を見れば姫路にこの場の誰も勝てないことは一目瞭然。何せ補充する時間はたっぷりあったからな」

瑞希が召喚しただけでさっきとは逆に完全に僕らが優勢になる。恐らく沢山準備もシミュレーションもしてきたであろうCクラスも、瑞希がこの場に来るということは流石に想定外だったようだ。

「なんっ……なん、で姫路さんが……!?」
「どうなってんのよ!?Fクラス、アンタらちゃんと姫路さん達を監視してたんじゃなかったの!?」
「補充試験室で監禁しているって言ったよなぁ!?何やってんだよ!?何でこんな、こんなところに姫路さんがいるんだよ……!?」
『そ、そんなの俺らが知りたいですよ!?』
『監視していた奴ら今何してんだ!?』
『姫路さんが外に出たなら何かしらの連絡があるはずだ……何故それがないのに……!?』
「皆さんもう一度言います、動かないでください。まずCクラスの皆さんは大人しく召喚獣を出してそのまま待機してください。もし一人でも不穏な動きを見せたと判断した場合……申し訳ありませんが全員戦死させますからね」

「「「うっ……」」」

Cクラスも須川君たちも混乱の渦の中に捕えられたまま止めとばかりに、瑞希が念を押しながら召喚獣を前に出して警告してくれる。これではCクラスの人たちは身動き取れないだろう。

「よし、良くやってくれた姫路。これでCクラスの主要部隊の無力化は成功だな」
「…………GJ」
「お疲れ瑞希、すっごいねその点数!それにその啖呵もめちゃくちゃカッコイイよ!」
「そ、そうですか?えへへ……明久君に褒められちゃいました♪」

褒められて嬉しそうにしている瑞希の頭を撫でつつもこっそり抜け出そうとするようなCクラスの人がいないか注意深く監視する。これで残るは近衛兵二人に代表の小山さん一人となったね。さあ、こっちは足止め完了だ。後は……“造たち二人”に任せるからね!


造Side


Cクラスとの試召戦争、防衛戦、そしてFクラスの暴動……その全てに決着を付けるべく、小山さんを追い詰めようとする二人。一人は勿論自分こと月野造。そしてもう一人は———

「はぁ……あのね。だからAクラスの木下さんは召喚したら駄目ってことなの。わかるかしら?」
「……なるほど、そうね。確かに“Aクラスの木下優子”は召喚したら駄目かもしれないわね———“じゃが”な、それは本当に“ワシ”が“姉上”だったらの話じゃぞ小山よ」

「「「「「「…………えっ?」」」」」」

「“Fクラス木下秀吉”!Cクラス横尾に勝負を挑む!試獣召喚(サモン)じゃっ!」


ポンッ!


《Fクラス 月野造  古典  31点》
        &
《Fクラス 木下秀吉 古典 125点》
        VS
《Cクラス 榎田克彦 古典 158点》
        &
《Cクラス 横尾知恵 古典 142点》


———もう一人は、“優姉さんの制服を着た”自分の友人にして“Fクラス”のヒデさんこと“木下秀吉くん”です。

《よし、“ヒデさん”!いきますよ!》
「うむ!速攻じゃな!」
「んな!?こ、こいつAクラスの木下優子じゃなくて……Fクラスの木下秀吉の方だとぉ!?」
「ちょ、ちょっと待っ———」

「《遅いっ!》」

ヒデさんを優姉さんと思い込んでいた近衛兵である榎田くんと横尾さんのお二人は完全に不意を打たれて対応が遅れます。そんな二人の隙を狙ってヒデさんの召喚獣は日本刀を手に居合い一閃。自分は先ほど同様に相手の武装解除と武器奪取を行います。そして———


ザシュッ! ドスッ!


《Fクラス 月野造  古典  31点》
        &
《Fクラス 木下秀吉 古典 125点》
        VS
《Cクラス 榎田克彦 古典 DEAD》
        &
《Cクラス 横尾知恵 古典 DEAD》

———これは当たり前のことですが、召喚者本人たちの対応が遅れれば当然その使役されている召喚獣も反応が鈍くなり……横尾さんの召喚獣はヒデさんの召喚獣に真っ二つにされ、榎田くんの召喚獣は奪い取った彼の武器であるトンファーによる殴打で自分に倒され両召喚獣ともあっけなく戦死。二対一ならこうもいかなかったでしょうが、一対一なら自分が有利です。そして自分やアキさんとまではいかないものの、ヒデさんも召喚獣の操作技術は幾度となく様々なトラブルに巻き込まれ多くの経験を積まれたお陰か学年でかなり上位に入ります。ですから自分たち二人、慌てふためく相手を倒すくらい朝飯前って奴ですよ。

「ふ、二人ともっ!?」
「……ごめん、なさい代表……」
「なん、で……どうしてこんな……」
《ふぃー……何とかなりましたね。ナイスですヒデさん♪お待ちしていましたよ!》
「うむ、お主もやるではないか。接近戦が出来るようになったようじゃな。見事なものじゃ」

ヒデさんと二人笑顔でそうお互い応えつつも、二人で小山さんに詰め寄ります。さて……随分と手こずりましたが———これでチェックメイトですね。

《さてと。では逃げられてはこれまでの作戦が水の泡ですし、念のために宣言しておきましょうかね。Fクラス月野造、今度はCクラス代表小山さんに勝負を挑みます》
「そうじゃの、最後まで気を抜けぬからな。同じくFクラス木下秀吉。Cクラス小山に勝負を挑むぞい」
「何で……何で……?あ、あなたは木下秀吉の方で……で、でも貴方はさっきの時間、Fクラスに捕まったって……聞いてたのに……なん、で……?」

これでルールに則って彼女は自分たちの勝負に応じるために召喚獣を召喚しなければならなくなります。例え二対一で、且つ勝ち目がない勝負であろうと。

《すみません、これも作戦でしたので。それと、屋上からクラスメイトさんが助太刀に来てくれることを期待しているかもしれませんが……今頃向こうも“姫路さん”によって制圧されているはずです》
「ひ、姫路さん……!?え、待ってください!?か、彼女も補充室で捕えられているはずでしょう!?」
「残念じゃろうが造の言う通り、ちょうど今も姫路が屋上にいるCクラスの精鋭たちを足止めしておるはずじゃぞ小山よ。何ならそこの補充試験室兼姫路たちの監禁部屋を覗いてみると良い。すでにもぬけの殻じゃからの」
「そんな……!?なにが、何が起きているのよ……どうなってるのよコレ!?」

何が起きているのか、どうなっているのかですか……色々と大変でしたし説明するのは長くなるでしょうが……まあしいて一言で言うならば———

「《———Fクラスの勝利ってことですかね(じゃな)》」


———二学年試召戦争———
〜Cクラス対Fクラス:Fクラス勝利〜


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