二次創作小説(紙ほか)
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- バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
- 日時: 2016/03/25 21:41
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド
【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】
の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。
暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」
明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!
体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。
———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照
5〜5.5章及び各種設定 【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照
6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5 103時間目>>8-11 104時間目>>12-16 105時間目>>20-23
106時間目>>24-28 107時間目>>29-32 108時間目>>33-36 109時間目>>37-40
110時間目>>41-44 111時間目>>45-48 112時間目>>49-52 113時間目>>53-56
114時間目>>59-62 115時間目>>63-66 116時間目>>67-70 117時間目>>73-76
118時間目>>80-83 119時間目>>84-87 120時間目>>91-94 121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79
6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132
週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138
ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178
召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196
寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221
7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330
7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350
文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355
彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編
おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編
8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編
———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278
———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279
お知らせ>>270
- 番外編:週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!後編 ( No.138 )
- 日時: 2015/09/25 21:14
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
さてさて……参ったね。明久や造たちも全員戻っちゃったし司会がいないや。仕方ないし、今回はこの辺でお開きとしましょうか———
「待つんだ!その役、僕が引き受けようじゃないかい!」
…………ん?君は久保君……?何でまたこんなところに……?
「そう僕こと、久保利み———もとい、知的眼鏡が皆の相談に答えよう。そう、愛しき吉井君と月野君の後継として立派に引き継いでみせる!」
『『(ゾクッ)……っ!?な、何か今寒気が……!?』』
…………そ、そう?なら久保君に任せようかな……?
「ああ、任せてくれ。それと“久保”ではなく、“知的眼鏡”と呼んでくれないかい?」
あいよ、それなら早速よろしく知的眼鏡先生!まずは一件目のメール行ってみよう!
〜特別企画:知的眼鏡先生の頭脳派人生相談〜
【三年生 T村Y作さんのご相談】
知的眼鏡先生、僕の悩みを聞いて下さい。実は僕には今、とても好きな人がいます。この前肝試しがあり、その時に思い切ってその人に自作のポエムを添えて告白したのですが、相手は悲鳴をあげるばかりで返事をくれませんでした。
これはやはり振られたと考えるべきなんでしょうか。三年であり受験も近いので、そろそろ気持ちを切り替えたいと思っています。こんな僕に、何か一言宜しくお願いします。
【知的眼鏡先生のアドバイス】
「ふむふむ。まずキミは、その考え方から変えるべきだろう。何事もネガティブに考えていては、決して良い結果につながらない。後ろ向きにならず、常にポジティブに物事を考えることが重要だ」
んー、まあ確かに何事もネガティブに考えすぎるのは問題かもね。……ポジティブ過ぎるのもアレだけど。
「メールを送ってくれた君が受験生なら尚更もっと物事をポジティブに考えるべきだろう。そして、キミの告白についてあくまでも僕の個人的な主観で述べさせて頂くが、悲鳴をあげられた程度では振られたうちに入らないと思う」
…………んん?そう、かな?それって本気で逃げられてるんじゃ……?
「そんなことはないさ。相手は恐らく照れているだけで、まだ充分に成就の可能性はあるはずだ。恋愛の基本は、自分の気持ちを素直に認めて、最後まで諦めずに行動すること。この程度で諦めないで、これからも頑張っていって欲しい」
……まあ、ほどほどにね?えっと、まあアドバイスをまとめると……あまり暗い気持ちじゃダメだってことかな。まあ、そこそこいいアドバイスだったってことで。そんじゃ次行ってみよう。
【二年生 S水М春さんのご相談】
知的眼鏡先生、初めまして。私には一年生の時からずっと想い続けているお姉様がいます。私はお姉様の為なら修羅にもなれると自負していますが、お姉さまは『アンタもウチだけじゃなくて他に大事な人を見つけてみたらどうかしら?見ている世界が大きく変わるわよ』とそんなことを仰るのです。
私はお姉様以外考えられないのですが……お姉さまは私に何を言いたかったんでしょうか?どうか教えてもらえませんか?
【知的眼鏡先生のアドバイス】
「さて。アドバイスの前に、キミのそのひたむきな姿勢に敬意を表したい。一途に相手を想うことは大変素晴らしいことだと思う。その姿勢をこれからも失わず君の心の中にいつまでも持ち続けておいて欲しい」
ま、誰かを想い続けたり、大事にする心ってそれがどんな形だって大切だもんね。
「それから本題のキミのお姉様が何を言いたかったかだが———これは流石に君自身が見つけなければならない事だと思う。きっとこれはキミのお姉様が出したキミへの課題なんだろう」
!?く、久保君が真面目だと!?い、いや、久保君はもともと真面目か……!?
「だから久保ではなく知的眼鏡と———コホン。ただし、キミの真摯な想いはそのお姉様にこれからも表現し続けて構わないだろう。相手を想い続けること。それこそが何よりも大事なことだと思うからね。こんなアドバイスで悪いが参考程度に考えておいて欲しい」
うんうん、中々いい感じのアドバイスじゃないか!それじゃ、その調子で最後のメール行ってみよう!
【二年生 N林H美さんのご相談】
知的眼鏡先生、聞いて下さい。私は学年次席の知性溢れる彼のことが好きなんですが、彼はとある同性のバカのことが好きみたいなんです。私は一体どうしたらいいでしょうか?
【知的眼鏡先生のアドバイス】
「諦めるんだ。以上」
…………待て。おい待てちょっと待て。さっきまでの真摯な対応はどこ行った。
「残念ながら僕では答えることが出来ない質問のようだ。いやはや、僕の力不足だね。本当にすまないと思っている」
待て待て待て!と言うか、これある意味一番久保君向けの質問だろうに!?良いからN林さんの質問にちゃんと答えてやりなよ!?
「久保ではなく知的眼鏡だ。それはともかく、これにて知的眼鏡先生の頭脳派人生相談を終了する。ではまた来週」
ちょっと!?勝手に終わらせないでよ!?ちゃんと答えてあげろってば!?
「ふむ……Y井君とT野君の魅力ならいくらでも語れるが?」
趣旨が違うでしょ!?そもそも何をしに来たんだ久保君はっ!?ええぃ、もういい!週刊☆文月学園ラジオ放送局、次回もお楽しみに!
「僕の好きな人たちはね、二人ともとても明るくて親しみが持てる。どちらも天然なところがあるが、それも愛嬌であり一緒の時間を過ごすととても癒されるんだ。そして、いざという時周囲の人間をあっと驚かせるような行動力を発揮する。そんな魅力的な人間なんだよ———“彼ら”は」
…………ホントに語りだしちゃったよ、この人。
- Re: バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 ( No.139 )
- 日時: 2015/09/30 11:58
- 名前: ユウ (ID: iQk5t9Pn)
明久、お前…っ!(同情の涙)
十六夜「そうか…お前も色々と苦労してたんだな…」
アベル「あはは、僕も戦場に出れば何回も死を覚悟したことはあったけど…これは可哀想すぎるね。」
良かったな明久、現役軍師で何回も死地を見たアベルがこれに関しては酷過ぎると言ってくれたぞ。
エル「ね、ねえ皆!アッキー(明久)を元気づけてあげない?」
飛鳥「それもそうね。流石の私も今回の彼には憐憫の情を覚えるもの」
耀「それじゃあ、私は胃もたれに効く薬草を送ってあげる」
エル「エルはアッキーにおいしいトマト料理を送ってあげるね」
アベル「僕からは自分の世界で重宝していた、この体力を全開させる秘伝の特効薬を5本送るね」
飛鳥「私からは…何を送ってあげようかしら」
十六夜「いっそ一糸まとわぬ状態のお嬢様自身がプレゼントとなって送られてみたらどうだ?明久の奴は、強気な女性が好きなはずだからな」
飛鳥「ビキッ!!(怒)…そ、そうね。折角だし一糸纏わぬ状態の十六夜君でも送り付けたらホモ疑惑のある吉井君には喜ばれるんじゃないかしら?」
十六夜「…ほう?だったらやってみたらどうだお嬢様?」
飛鳥「ええ、言われなくても今からしてあげるわね十六夜君?」
2人『…ヤハハ(フフフ)』
バチバチバチバチ!!(目から火花を散らせながら人間が1人入るほどの袋を互いに持つ)
…ヤバい、何かお互いスイッチ入っているんだけど…この2人止めなくていいの?
アベル「はあ、まったくこの二人は…」
エル「まあまあ、飛鳥は何やかんや十六夜君に対して色々と認めてもらいたいし、そんな飛鳥の事を十六夜は少なからず思ってくれてるからこそ弄っているだけだし、時間が立てば元に戻るよ」
耀「…2人は心が素直じゃない」
さいでっか。だったらあの2人は置いておくとして、感想に戻ろうかな。
さて、明久の死…もとい詩が終わっても悲鳴が止まらない『みんなの歌』!!
雄二は恋人からの詩に悶え狂い(死ねリア充!!)、秀吉は愛される同性からの詩にパニック狂う結末に!?(秀吉ーーーー!!?おのれ常村!!よくも秀吉を!!許さんぞ!!)
さらには常村の詩を聞いて保健室送りにされる人が多数!!
1つ言わせてくれ…どうしてこうなった(笑)
アベル「その後の『西村先生の鉄拳人生相談道場』は何だか知ってるかもって人たちからの悩みが重たすぎて、西村先生の胃痛が加速する結末に、と、取りあえず西村先生もこの特効薬をどうぞ」
エル「さらに話は捩れていき今度は同性愛に悩む人々(最後は違うけど)からの悩みに答える久保君…いけない、間違えちゃった。やり直しやり直し。『知的メガネ先生の頭脳派人生相談』で救われる方々が多数!流石は久保君だね!!」
耀「…救っているっていうよりかは、魔の道へと押し込んでいるようにも見えるんだけど?」
うん、耀の言うとおりだね、何せ彼、自分への異性の質問には見て見ぬフリをしていたからね。…K保Y光とN林さんには同情の念を感じ得ないよ。
今回はここまで!それでは楽しみにしてますね!
P.S
あ、後言い忘れてましたけど、ハーメルンに置いてあった自分の作品ですが、余りにも作品が拙かったので、大改稿するために一時削除してますのであしからず。
5人『『『『『…………ハア?』』』』』(初耳の問題児達)
- Re: バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 ( No.140 )
- 日時: 2015/10/02 21:03
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
>ユウさん
いつも読んでくださって嬉しいです、ありがとうございます
明久&美波の受難は……近いうちに何とかしてあげる予定です。それまでは頑張れ超がんばれ
明&美「「がんばれっていわれても……」」
造「お、お二人とも目が虚ろですよ?だ、大丈夫ですか!?」
色々回復できるもの送ってもらったし、それでしばらく凌ぐんだ二人とも。何か痴話喧嘩(?)みたいなエールをしてる別の二人がいるけど彼らの応援もあるから頑張れ!———まあ姫路さんの料理改善はもうちょっと後に書く予定ですからしばらくってレベルじゃなく待たなきゃなんないけどねー
明&美「「…………」」
んでもって常村は……ま、まあここでは彼もかなりまともになってますけどね……それでもやっぱり強烈だったあの死———もとい詩。
造「ツネ……それほどまでにヒデさんの事を好いていますからねー」
康「…………あの先輩たまに秀吉の写真買ってた」
造「あ、やっぱりツネってそうだったんですね……」
彼の秀吉好きの色々もいずれ解決してやらんとなぁ……結構良い先輩になってきましたし。そんな彼を後押しした(?)久保くんは———彼は何だかんだ原作通りだった……
造「久保くん?彼がどうかしたんですか?」
康「…………造は気にするな。こういう話はまだ早い」
宗「……全くどうしてこの学園はこうも……いや、まあ恋愛は自由ではあるんだが……自由過ぎると言うか……いかん、胃が……」
と言うわけで文月学園にいると姫路さんの殺人料理的な意味でもストレス的な意味でも胃薬はいくらあっても足りないようです。
リアルの方やこの小説の続き書きが忙しくてユウさんのところにほとんど顔出せず申し訳ありません。改稿なさったら教えてくれると嬉しいです。もう少しすればちょっと時間が取れると思いますので……その時は顔出すと思うのでどうかよろしくお願いしますね。
ではそろそろ次のお話を書きたいと思います。ではでは
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その① ( No.141 )
- 日時: 2015/10/02 21:56
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
体育祭兼召喚野球大会も無事に終わり、しばらく経ったある日の昼下がり。いつものようにFクラス仲良しメンバーの明久・雄二・ムッツリーニ・瑞希・美波の五人は、お昼を食べるべく楽しげに屋上へと向かう。
「明久君、美波ちゃん。今日もたくさん食べてくださいね!」
「「は、ははは……お手柔らかに、瑞希……」」
「…………二人とも、骨は拾ってやるぞ」
「あと、一応ヤバイ時は日高先生を呼んでやるから安心して逝って来い」
「「(安心出来ない……)」」
……ただし明久と美波の二人は、絞首台への階段を上る死刑囚のような感覚で屋上への階段を上っているが。
「?どうしたんですか、明久君に美波ちゃん?」
「あ、ううん!何でもないのよ!さっ、早く逝きましょ!(うぅ、今日もちゃんと生きて戻ってこれるかしら?現世に)」
「そ、そうだね!お腹ペコペコだし早く逝こう!(僕のはともかく、最悪の場合美波のだけでも雄二とムッツリーニに喰わせねば)」
明久も美波も若干青ざめながらも、精一杯の笑顔を瑞希に見せる。瑞希に強く言えないあたり、惚れた弱みと言うべきか……屋上へ向かう階段に足をかけながら、とにかく話を逸らそうとする明久。
「そ、それにしても造と秀吉はどうしたんだろうね?授業が終わったと思ったらいつの間にか居なくなってたし」
「そう言えばそうよね。と言うか今日だけじゃなくてさ、最近何やらあの二人いつの間にか居なくなっていること多くないかしら?」
「あ、確かにここしばらく木下君も月野君も放課後は二人でよく一緒に行動していますよね。どうかしたんでしょうか?」
———そう。今日は明久たちの言った通り、普段は絶対にこのメンバーの中にいるハズの造と秀吉の姿が見えない。その事に三人は首を傾げつつ話をする。
「言われてみればアイツら何か最近二人でバタバタとしてんな。ま、今日はアイツらも屋上にいるんだろうさ。弁当持って教室出ていってたのが見えたしな」
「あ、そうなんだ。……にしても秀吉と造かぁ。あの二人ってさ、気も波長も合うしいいコンビだよね。何だか本当の姉妹みたいだし」
「…………あの二人のツーショットは、かなり高額で売れている」
主に造と秀吉の波長が合うのは、そんな風に女の子扱いされていたり、コスプレされて写真を撮られたりいるのが原因であることは最早言うまでもないが。
「(まあ、アイツら二人とも男なんだがな)ははっ!案外アイツら付き合ってたりしてな。少なくとも秀吉は木下姉と一緒でかなり造のことを気に入っているしな」
「って、ちょっと!何言いだすのよ坂本。アイツらがいないからって勝手に変な事言うもんじゃないわよ」
「そうですよ坂本君。そんな憶測だけで話ししちゃ、変な誤解が生まれちゃいますよ」
「ん?そうか?」
「「そうなの(そうです)!それに———(ボソッ)そんなこと言ってたら、月野(君)を好きなあの人が心配しちゃうし(しちゃいますし)」」
と、頬を赤らめてそんなことを呟く瑞希と美波。何でも只今絶賛恋をしているこの二人は、お世話になった先輩の恋を応援したいとか。
「お前らが一体何の話をしてんのか知らんが……姫路に島田、落ち着け。言っとくがさっきのは冗談だ。いくらなんでもあの二人が付き合うってことはないさ」
「ま、それはともかく最近二人ってよくいなくなるし、ちょっと気になるよね〜」
「…………気になるなら、本人たちに聞けばいい」
「そうだな……ん?噂すれば造と秀吉の声が聞こえるぞ。やっぱアイツら先に屋上に来てたか」
そう言いつつ、屋上への扉を開ける雄二とそれに続く明久たち四人。そしてその五人の目に飛び込んできたのは———
ダンッ!
「どうして……どうしてなの!?」
「ゴメン、なさい。でも、自分は……自分は貴方の想いには答えられないんです……」
「「「「「…………は?」」」」」
———造の手を掴んだまま屋上の壁に造を押し付け迫る秀吉と、そんな秀吉に困惑し目に涙を浮かべる造の姿が。
「……言っておくけど、ふざけて告白をしたわけじゃないから」
「わ、わかっていますっ!貴方の気持ちは嬉しいですっ!でも、でも……こんな身体じゃ、貴方の側にはいられないんです……」
荒々しくそして力強く造に言葉を紡ぐ秀吉と、弱弱しくそして悲しげに首を振ってその秀吉の想いを拒絶する造。これには全員口を開けて呆然とその場に立ち尽くしてしまう。何せ直前に“あの二人は付き合っているんじゃないか”と話をしていただけあって、この光景は流石に取り乱さずにはいられないのだろう。
「……そんなこと関係ないっ!何をためらう必要があるんだ!いいよ……力づくにでも貴女を……」
「よ、よして下さい……ダメなんです、ダメなんですよ……」
「「「「「…………え?えぇ!?」」」」」
そんな台詞と共に、強引に秀吉の唇は造の唇へと向か———
「……って、あらら?皆さんやっと来ましたね」
「おお、お主ら遅かったのう。ならばちょうど良い時間じゃし一旦休憩しようかの造。こんな時間まで付き合って貰って悪かったのう」
「いえいえ、どういたしましてですよヒデさん。ほらほら皆さんもボーっとしてないでご飯食べましょうねー♪」
向かわずに、そのままの体勢で明久たちを見つけるといつも通りの笑顔を向ける造と秀吉。そんな二人を見た明久たちは一瞬でアイコンタクトをすると、全員流れるような動作で———
「「「「「すみませんでしたっ!」」」」」
「「……は?」」
———全員その場で土下座する事に。その光景に今度は逆に造たちが困惑してしまう。
「な、何じゃお主ら急に?……わ、ワシらが何かしたかの?」
「「「「「本当にすみませんっ!すぐに退場するので、続きをどうぞっ!?」」」」」
「……続き?あの、皆さん?ひょっとして何か物凄い勘違いをしていませんか?」
「「「「「いいえっ!“告白”の邪魔をして本当にすみませんでしたっ!」」」」」
「“告白”じゃと!?ちょ、ちょっと待つのじゃ!?やはりお主ら何やら盛大に勘違いをしておるぞ!?」
「あ、あはは……よくわかりませんがちゃんと説明しますから、皆さんとりあえず土下座するのは止めてください。何だかこっちが恥ずかしいので……」
そう言って驚き半分呆れ半分で明久たちにツッコミを入れる秀吉と、苦笑いを浮かべる造がこの状況を説明する事になった。
〜造&秀吉説明中〜
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その① ( No.142 )
- 日時: 2015/10/02 21:30
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
造Side
「「「「「な、なるほど……つまり演劇の練習だった、と」」」」」
「そう言う事なのですよ。良くわかりませんがごめんなさい、皆さんを驚かせちゃって」
とりあえずお昼ご飯を食べつつ、皆さんにさっきの状況を説明する事に。いきなり屋上に着くなり、皆さんが土下座なんかし始めて何事かと思いましたが……説明したら何とかわかってくれたみたいですね。と言いますか、何をそんなに皆さん動揺していたんでしょうかね?
「全く……お主ら取り乱し過ぎじゃぞ。ワシらは何もしておらぬのに、何故だかこっちが申し訳なるではないか」
「い、いやーゴメンゴメン二人とも。ちょっと直前の会話とさっきの状況がビックリするくらいに繋がったもんで」
「???何の話ですか……?」
「いや、気にすんな造。……それよりも演劇ねぇ?秀吉は演劇部だからわかるが、何でまた造がそんなものやってるんだ?」
と、ゆーさんが不思議そうに尋ねます。皆さんも首を傾げつつ自分たちを見ていますね。あ、そっか。皆さんにその辺の説明はしていませんでしたっけ?
「えっとですね。学園長の依頼で今度ヒデさんたち演劇部が、睦月小学校で演劇をやるそうなんです」
「睦月小?あら、葉月の通ってる学校じゃない」
「あ、僕と瑞希の母校でもあるね」
「そうですね。それにしても学園長直々に依頼されるなんて凄いですね木下君」
あらら?ここで意外な新情報が。そう言えば葉月さんにもしばらく会っていませんね。久しぶりに彼女にもお会いしたいものです。
「…………うちの学園の演劇部はレベルが高いから。オファーが来てもおかしくない」
「ほう、そうなのか?いや、それは置いておくとして、だ。何で造がその演劇をやってんだ?別に造は演劇部じゃねえだろうに」
確かに自分は帰宅部です。多少の興味はありますが、部活らしい部活に入った経験はないんですよね。と言いますか、この場で部活動に所属しているのってヒデさんだけですよね。
「あー……それなんじゃがの。まあ、依頼されたはいいものの、何を演目にするかで学園長と随分揉めてのう。ようやく演目が決まったのは良いのじゃが、今度は相方と読み合わせをする時間も無いくらい時間が差し迫っているのじゃ。各々寝る間も惜しんで稽古に励んでおるのじゃ」
「それでヒデさんも稽古の相手がいなくて困ってたみたいですし自分は暇でしたし、演劇部の皆さんとちょっとした立ち稽古に付き合っていたんですよ」
いつもお世話になっているヒデさんのお役に立てるなら、それくらい安いものですからね。それにちょっぴり演劇ってどう言うものか知りたかったって気持ちもありますし。
「なるほどね。にしてもあのババァも困ったもんだね。どうせまた妙な事を言い出したんでしょ?」
「まあまあ。学園長も悪気があったわけじゃないので……」
「どうだかな。あのババァの事だし金儲けや召喚システム関連で駄々捏ねたんだろどうせ。にしても造、お前に演技の才能があるとは驚きだぞ。さっきのなんか、本気で俺も騙されるところだったからな」
そのゆーさんの言葉に、アキさんたちもうんうんと頷いて同意します。え、えっと……?
「あ、あのぅ?別に騙す気はなかったですし……自分の演技なんか全然です。実際にやってわかったんですが、ヒデさんを始め演劇部の皆さんの演技は本当に素晴らしくて、自分はあの舞台には立てないって実感しましたもん。ね?ヒデさん」
「……いや、造は才能あると思うのじゃが。たった一、二度読んだだけで台詞を覚えて、読み合わせどころか立ち稽古までやれるなぞ、正直ワシも驚きじゃ。実を言うとの、造と舞台に立ってみたいと思っておるくらいなのじゃよ」
「ってちょっとヒデさん!?」
ま、真顔でそんな冗談言わないでくださいよ……皆さん微妙に信じているみたいじゃないですか……
「へー、ああでも確かにさっきのを見る限りだと、造も意外と演劇合うかもね」
「そうね。あのレベルならやれるかもよ」
「月野君、主役も出来そうですよね♪」
「ははっ!いっそお前もそれに参加してみろよ造!———(ボソッ)姫役で」
「…………いい絵が撮れそうだ———(ボソッ)姫役なら」
皆さんも何言っているんですか全く……餅は餅屋。上手いと言っても素人にしてはってレベルです。自分はそもそも人前に立って何か大きなことをするのは向いてなさそうですからね。……それとゆーさんにこーさん、今何かこっそり変な事言いませんでした?
「はいはい。皆さん冗談はそれくらいにして、さっさと食べちゃいましょうよ。のんびりしていると昼休みも終わりますよ」
その自分の言葉に慌ててそれぞれのお弁当を食べ始める皆さん。やれやれですね。
「ホラ、ヒデさんも早く食べちゃいましょうよ。自分お腹空きましたよ」
「むう……ワシ冗談は言っておらんのじゃが。……まあ良い。ああ、それと造。悪いのじゃが今日の放課後も———」
「ふふっ♪ええ。また立ち稽古ですよね。勿論お手伝いします」
「助かるぞい。では、早う食べてしまうかの」
そう言うわけで、ヒデさんと共に皆さん同様にお弁当を食べてしまう事に。さてさて、今日も頑張ってヒデさんたちのお手伝いしましょうか。……なんて早速放課後の演劇について考えている時点で、ちょっとは演劇楽しいなって思っていることは否定できませんね。
……あ、そうそうちなみに。
「「(ゴホッ!?)……み、瑞希?(必殺的な意味で)また腕、上げたね……(ガクッ!)」」
「そ、そうですか♪ありがとうございます!」
「「「「明久(アキさん)、島田(さん)しっかり!?」」」」
……例に洩れず、アキさんと島田さんが姫路さんのお弁当の魔力に倒れる事に。毎度毎度お疲れ様です、お二人とも……
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