二次創作小説(紙ほか)

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バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
日時: 2016/03/25 21:41
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド

【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】

の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。


暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?

『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』

『『『『お願いします!』』』』

「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」

『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』

毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)

「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」

明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!


体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。


———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照

5〜5.5章及び各種設定  【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照

6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5   103時間目>>8-11  104時間目>>12-16  105時間目>>20-23
106時間目>>24-28  107時間目>>29-32  108時間目>>33-36  109時間目>>37-40
110時間目>>41-44  111時間目>>45-48  112時間目>>49-52  113時間目>>53-56
114時間目>>59-62  115時間目>>63-66  116時間目>>67-70  117時間目>>73-76
118時間目>>80-83  119時間目>>84-87  120時間目>>91-94  121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79

6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132

週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138

ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178

召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196

寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221

7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330

7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350

文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355

彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編

おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編

8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編

———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278

———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279

お知らせ>>270

Re: バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 ( No.153 )
日時: 2015/10/11 21:10
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

>ケーさん
お気遣いありがとうございます。ですがすみませんお手を煩わせるのも申し訳ありませんし、実を言うと誤字脱字多々あり展開的にも書き直したい場所もまだまだあるので書くときは自分が書かせていただきます。

多分書く時は報告しますので気長に待ってくれると幸いです。わざわざありがとうございます。ではでは。

番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その④ ( No.154 )
日時: 2015/10/11 21:30
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

文と学園長の(主に文の行き当たりばったりで破天荒な)行動が原因で、急遽葉月の通う小学校で召喚獣を使った人形劇を行う事となった造たちFクラス仲良しメンバー。ステージで他の演劇や芸人のちょっとしたコントが行われる間も、秀吉が中心となっての演劇の稽古及びに調整が行われていた。

そして———あっという間に三時間が経ち……

『それでは、只今より睦月小学校創立祭:午後の部を始めたいと思います』

お昼を過ぎて舞台裏で忙しさがピークに達している中、午後の部のスタートを告げる司会の声が観客たちのいる体育館に、そしてギリギリまで稽古をしていた造たちの元に響き渡る。

『さてさて、午後の最初の出し物は……皆さんも良くご存じの、あの“試験召喚システム”で有名な文月学園からお兄さんお姉さんたちがみんなの為に来てくれました!』

午後一番の出し物だと言うのに、体育館はすでに人という人で溢れ返る事に。今話題の試験校“文月学園”の生徒による演劇だけあって、睦月小学校の生徒たちだけではなく保護者・学校関係者が午後からのひと時を今か今かと楽しみに待っている。

『そしてドッキリサプライズ!本来プログラムになかったのですが、何と今回はその試験召喚システムにより生みだされる試験召喚獣を使った人形劇を披露してくれるそうです。話題の召喚獣たちが動きまわる姿をどうかみんなで楽しんでいってね♪』

『しょーかんじゅう?ねえ、それってなーに?』
『えっと、ホラ。あれだよ!よく葉月ちゃんが話してくれる……ね!』
『そうです!葉月のお姉ちゃんとバカなお兄ちゃんたちが通っている学校のマスコットさんです!』

『へぇ〜召喚獣を使った人形劇ねぇ、それは結構面白そうね。噂には聞くけど試験召喚獣を見るのは初めてだし』
『そうですね。噂は聞きますが、実際は中々見る機会はないですからね』
『これはまた、粋なサプライズですね。流石話題に事欠かない文月学園と言ったところでしょうか?』

さり気なくプログラム変更を伝える司会の言葉に賑わう観客席。この観客の中に、まさか本来は普通に演劇を行うはずだったとか、今から始まるのは実は三時間半前に急遽やる事になったぶっつけ本番な演劇であると言う事を知る人はいないだろう。

「やれやれ……実際はサプライズでも何でもない、ただのババァの横暴のせいなんだけどね。僕らの方がサプライズだよ……」
「だよな。ったく……後であのババァに払うもん払って貰わにゃワリに合わんぞ」
《ま、まあまあ。その辺は終わってからにしましょう》

そう言って愚痴を言う明久たちとそれを宥める召喚獣化した造。まあ、明久の言う通り真の意味でビックリドッキリなサプライズは演技する彼ら本人であるため、愚痴がついつい出てしまうのは仕方のない事である。

「もうあっという間に出番じゃな……ワシは舞台にも緊張にもある程度慣れておるつもりじゃったが、今回のような緊張感はまた新鮮じゃな……」

と、先ほどまで必死になって演技指導していた秀吉がポツリと呟く。

「やはりワシの本音としては、練習時間がもっと欲しかったのう……危惧しておった通り、やはりほとんどぶっつけ本番になってしもうたしの。と言っても今更じゃな」
「そうね……でもこの三時間で少しはマシになったんじゃないかしら木下」
「ですね、限られた時間の中で私たちは私たちのやれることはやったわけですし」
「…………後やれる事と言えば、本番で自分の演技をしっかりするだけ」

多少のぎこちなさ・経験不足、そして本来の演劇部たちの演技に比べてのレベルの差はあれど、この三時間で全員秀吉を中心にかなり頑張って何とか見せられるレベルに至ったとのこと。秀吉の指導の巧さと、それぞれの頑張りの賜物だろう。

「まあ、お主らはこの短時間で良く頑張ってくれたからの。ワシはこれ以上の贅沢を言う資格はないじゃろう———さて最後に一つだけ言わせて貰いたい」

番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その④ ( No.155 )
日時: 2015/10/11 22:16
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

そう言って全員を集める秀吉。全員の視線が秀吉に集まると、秀吉はゆっくりと見まわしてこう告げる。

「確かにお主らは半強制的にこの演劇に参加することとなったわけじゃが……これだけは心に留めておいて欲しい。どうか、失敗を恐れずに演劇を楽しんでくれ」

「「「「「「演劇を、楽しむ……?」」」」」」

「うむ。この状況で楽しめだの言われてもピンとこんかもしれぬが、演劇は本当に素晴らしいものなのじゃよ。見ている客にとっても、そして———演劇をする者にとっても楽しいものなのじゃ。だからどうか存分に楽しんでくれ。どれだけ間違えても良い。その時はワシがちゃんとフォローする。じゃから……ワシと共に演劇を楽しんてくれ。ワシからは以上じゃっ!」

秀吉の言葉に、メンバー全員は頷いて笑い合う。それと同時にステージに上がっていた司会の説明が終わり、いよいよ全員の出番が来る事に。

「さて、アンタたち。準備は良いかねぇ?良いならとっとと行っちまいな」
《ミンナ 頑張れ ガンバレ〜♪》

ついでに舞台をセッティングしていた元凶の学園長と文がステージ裏に来て能天気に激励(?)する。これにはメンバー全員苦笑い。

「では……行くかの!」
「はいっ!皆さん、ヒデさんの言う通り楽しみましょ♪」

そして———

『それではお待たせいたしました!只今より、文月学園生徒有志による創作人形劇“バカテス童話”を上映致します。どうかごゆっくりお楽しみくださいませ!』


———舞台:お城———


観客の拍手が鳴り終わると同時に、舞台にライトが当てられると学園長と文が創った立体映像が浮かび上がる。背景はどこか中世をイメージしたような城が浮かび上がり、あまりのリアルさと迫力に小学生たちだけでなくその保護者たちの『おぉ……』と言うどよめきが聞こえる。

そこへ一体の召喚獣、そう主役の秀吉の召喚獣がトコトコ舞台の中央まで歩く。ちなみにいつもの秀吉の召喚獣の装備の袴と薙刀ではなく、文の設定どおり王女———コホン、王子様の恰好をしている。その王子が中央まで辿り着くと、瑞希のタイトルコールで劇のスタートだ。

【バカテス童話〜王子さまと三バカトリオに告ぐ!眠れる姫の残したダイイングメッセージ“犯人はきび団子”の意味とは!?鬼ヶ島に眠る財宝の謎を追え!〜】

……序盤から何か変だが、とりあえず召喚獣版人形劇の始まり始まり。

「「「「《……って!?何このタイトル!?秀吉(木下)(ヒデさん)!?》」」」」

「……言っておくが、ワシが考えたワケではないからの。学園長がまた……」

勿論、このタイトルにしたのは文の強い要望だそうだ。流石造を元に誕生しただけあって、何とも残念なネーミングセンスである。そうそうちなみに……

『あはは!変なの〜!』
『そんな童話聞いたこともないよ〜』
『えー?いいじゃん!普通のより面白そうだし!』

……意外にも客受けは良いようだ。そんな造や明久たちの反応と、観客の反応に若干苦笑しつつも、瑞希は早速ナレーションに戻る事に。

【むかーし、むかしのお話です。とある国のとあるお城に、それはそれは可愛らしい———“王子さま”が住んでいました】

「睦月小学校のみんな、こんにちは!僕はこの国の王子さまです。よろしくね♪」

『『『かわいい〜♪』』』

『よろしく〜王子さま!』
『王子さまなのにかわいいね!』
『ホントに動いてる!すご〜い!』

瑞希のナレーションに合わせて、秀吉は裏で声を当てつつ、召喚獣に飛んで跳ねさせたり手を振らせたりする。そのように召喚獣が動き喋る事に小学生たちはキャッキャッとはしゃいでいる。

【この王子さまは国のどの女の人よりも可愛く、何処へ行っても“可愛い可愛い”と言われ国中から愛されていました。道を歩けば“今日も可愛いですね、王子さま”と声をかけられ、パーティに参加すれば男の人に“躍って頂けませんか王子さま?”と誘われます】

……どう考えても中の人(秀吉)の事のを言っているように聞こえるのは気のせいだろうか?

番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その④ ( No.156 )
日時: 2015/10/11 21:24
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

【ですがいつでもどこでもどこの誰からも“可愛い”と言われる王子様は、とうとう怒ってしまいます】

「うぅ……みんなみんな、僕を可愛いって言うなんてヒドイよ!僕は立派な王子さまなのに!最近はお父さまもお母さまも僕に女ものの服を着せようとするし、“王女さまになってもらうのもいいな”って言ってたし!」

そう言ってプンプンと腰に手を当てて怒っている演技をする秀吉の召喚獣。妙に力が入っている演技は、中の人(秀吉)の心の声に聞こえるのは気のせいではない気がする。

【そう、何と王さまと王妃さまにまで“可愛い王女”と言われるようになった王子さま。このままではいけないと思った王子さまは、お城で一番強くてカッコいい女騎士のところに行って相談をすることにしました】

瑞希がそう言うと同時に舞台は一旦暗転して、立体映像で映していた城が消え今度は立派な部屋が背景として映される。その背景と共に美波の召喚獣、女騎士が現れる事に。

『あ、あれ……?もしかして……お姉ちゃんの召喚獣?』
『ん?どうしたの葉月ちゃん?』
『い、いえ!何でもないです!』

美波の召喚獣は女騎士と言う設定だが、元々彼女の召喚獣は軍服にサーベルと言う設定である為ほとんど外見は変わっていないようだ。と、美波の召喚獣が本を読んでいる(ように演技をしている)と、王子さまを扮する秀吉の召喚獣が部屋に駆けこんでくる。

「女騎士、女騎士!」
「あら?どうしましたか王女———コホン、王子さま?」
「女騎士!?ねぇキミ今僕の事を“王女さま”って言いかけなかった!?」
「おほほ♪気のせいですよ、王子さま♪」

ちなみにこれは余談だが、この時美波は素で秀吉の事を王女様と呼んでしまっていたらしい。呼ばれた秀吉は『アドリブとは、島田も中々やるのう』と考えていたそうだが。知らぬが仏というものだろう。

「ま、まあいいや!それより僕の悩みを聞いてくれよ女騎士!」
「おや?ウチ———じゃなくて、私に何の用でしょうか王子さま」
「それがね、みんな僕のことを“可愛い”だの“王女さま”だの言いたい放題なんだよ。どうすればいいと思う?どうやったら君みたいにカッコよくなれるかな?」
「えっ?えーっと……」

【そう言って女騎士に尋ねる王子さま。ですが、誰がどう見ても可愛い王子さまをカッコよくする方法なんて女騎士にはわかりません。困った女騎士はしばらくの間考えて、こう言います】

「そうですね……私は王子さまをカッコよくする方法はわからないのですが、私の故郷に“鬼ヶ島”と言うとても強くて恐ろしい鬼が住んでいる島があるんです」
「オニガシマ?強くて恐ろしいオニ?」

女騎士(美波)の言葉にポカンとする王子さま(秀吉)。ちなみに、急に桃太郎の話になったことに観客席にいる子供たちや保護者たちも同じようにポカンとした顔をする。

「おい……今更だがこれ、客はこのトンデモ話の流れについていけんのか?」
「そだね……改めて思ったんだけど、この脚本ってホントに色んな物語がミックスされすぎてるよね?」
《ま、まあその辺は、ヒデさんが巧い具合に脚本を書き換えているので大丈夫なのではないでしょうか?ホラ、現にお客さんも反応は上々ですし》

『ねーねー?鬼ヶ島はももたろうのお話じゃないの?』
『別にいーじゃん!普通のももたろうより、こっちの方が面白そうだし!』
『そうだね!……ってあれ?葉月ちゃんどうしたの?』
『うーん?……あの声って、やっぱりお姉ちゃんですよね……?』
『葉月ちゃん?さっきからどうしたのさ?』
『え?……あ、何でもないですよ』

造の言う通り観客席では“普通”の劇ではない事にちょっと戸惑いつつも、これからどうなるのかワクワクしている子供たちの声が聞こえてくる。ちなみに島田さん家の葉月ちゃんは、劇の内容よりも自分の姉がどう言うわけかこの劇に参加している事に戸惑っているようだった。

「鬼とは強くて悪い妖怪の事です。その鬼はとてもとても欲張りで、色んなものを奪い取ってしまうそうなのですが……その鬼が奪った物の中になら、もしかしたら王子さまの望むものがあるかもしれませんね」
「おお!それは良い事を聞いたよ!ありがとう、女騎士!」

【それを聞いた王子さまは、女騎士にお礼を言うと部屋から飛び出して早速鬼ヶ島へ行く準備を始めます】

「……と言ったものの、“そこ”に王子さまの望むものがあるワケでは無いんですがね。王子さまは果たして“それ”に気が付いてくれるのかしら?」

と、美波が操る召喚獣が溜息と吐きつつ、そんな意味深な台詞を喋ると同時に舞台は暗転する。さてさて、とりあえず序章は中々順調な立ち上がりを見せるこの召喚獣の人形劇。このまま無事に進むのやら?それとも……?

番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑤ ( No.157 )
日時: 2015/10/12 21:04
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

観客の反応も立ち上がりも上々の召喚獣版人形劇。さてさて場面は変わり、再び背景に城が浮かび上がる。

【お城の女騎士に、カッコよくなれる方法が鬼ヶ島にあるかもしれないと聞いた可愛い王子さま。王子さまは王さまや王妃さまに反対される前に一人で鬼ヶ島へ向かう事にしました】

瑞希のナレーションと共に、秀吉と美波の召喚獣の扮する王子と女騎士が再び現れる。

「よし!それじゃあ、後は色々と頼んだよ女騎士!行ってくるね」
「ふむそれは構わないのですが……本当にお一人で向かわれるのですか?王女———じゃなかった、王子さま」
「ああ、勿論さ!それじゃあ女騎士は僕が戻るまで、お父さまとお母さまを上手く誤魔化してね!」

そんなことを言う王女———ではなく王子を前に、女騎士は溜息を吐き……

「はいはい。わかりましたよ王子さま。ですが王子さま、どうか気を付けてください。何でも鬼ヶ島へ行く途中には“一本足の妖怪”と“冷酷な機械人形”と“暴れる百獣の王”が行く手を阻むと聞きます。危なくなったらすぐに帰ってくるのですよ?」
「ふむふむ。“一本足の妖怪”と“冷酷な機械人形”と“暴れる百獣の王”だね?ありがとう女騎士、気をつけるね!それじゃあ、行ってきます!」

【そう言って王子さまは一人、鬼ヶ島があるとされる女騎士の故郷へと向かう事にしました】

瑞希がナレーションを終えると同時に、美波の召喚獣である女騎士が退場し背景が城からまた別の背景へと変わっていく。絶えず動きまわる召喚獣やコロコロと変わる背景に子供たちや保護者、観客一同は知らず知らずにこのハチャメチャなお話を堪能しているようである。


———舞台裏———


———そうそう、ちなみに一芝居終えた美波は舞台裏で明久たちに誉められていた。

「美波お疲れ。物凄く良い感じだったよ!」
「そ、そうかしら?……あれでホントに良かった?木下よりも断然台詞とか動きとかも少ないハズなのに、ウチ結構疲れちゃったわ。こんなにも緊張するものなのね」

と、てのひらで顔を仰ぎながらそんなことを言う美波。いくら人形劇とはいえ、流石にぶっつけ本番の劇を大勢の観客に魅せなければならなかった分は緊張したようだ。……まあとは言え、

「いやいや、僕はかなり良かったと思うよ。ね、皆!」
《そうですね。とても良い演技でした、お客さんの反応も良いみたいですよ》
「だな。しっかり演技してたし、秀吉もかなり演技しやすいみたいだったぞ」
「…………お疲れ」
「そう?まあ、楽しかったからウチも良いんだけどね。あ、そろそろアキたちの出番でしょ?ふふっ、アンタらも頑張ってね!」

「「「《おうっ!》」」」

こんな具合に多少の緊張はあるものの、何だかんだでこの状況を楽しんでいるFクラス仲良しメンバー。こういう不測の事態にも割とスムーズに対処できるこのメンバーは、案外大物なのかもしれない。……まあ、日々非現実的な毎日を送っている結果がこれだろうが。


———舞台:トウモロコシ畑———


さて、再び演劇に戻ることにしよう。舞台は夜のトウモロコシ畑。鬼ヶ島へ向かう道中そのひと気のないトウモロコシ畑を、秀吉が演じる王子は一人トコトコ進んでいく。

【と、ずっと歩きっぱなしで疲れた王子さまは道の端の柵にちょこんと座り休憩する事にしました。月明かりに照らされている王子さまとその周りは、一面のトウモロコシ畑と一本足で立っている奇妙な人形のようなものが立っているだけでした】

瑞希がそうナレーションし終わると、秀吉の召喚獣の前に今度は明久の操る召喚獣が現れる。と、同時に劇を見ていたとある一人の小学生が声を上げる。

『ば、バカなお兄ちゃんの召喚獣さんですっ!』

『『『へ?……バカなお兄ちゃん?』』』

「…………はい?」

『はい♪そうですっ!葉月のお婿さんですっ!バカなお兄ちゃーん♪』

『『『お婿さん……?(小学生の婿……ロリコン……っ!犯罪!?)』』』

「え……?ちょ、ちょっと?」

『『(ムッ!)……アキ(明久君)はウチら(私たちの)嫁よ(ですっ)!』』

『『『よ、嫁……!?(男なのに……嫁っ!?……変態!?)』』』

そのたった一言から、一人の生徒の社会的立場が一気に危ういものとなったことは、おそらく容易にわかることであろう。

「って!?ちょっと待った!?僕はまだ誰かの婿にもなっていないし、嫁とかでもないからね!?てか、今の発言って一体誰が!?違うからね!?」
「これ明久!気持ちはわからんでもないが、ちゃんと演技せい!」
「ぐっ……で、でもこのままじゃ僕の社会的立場がヤバイことになるような気がするんだけど!?」
「元々お前にんなもんねーだろ。いいからさっさと演技しろや明久」
《そ、それは言い過ぎかもしれませんが……とにかく今は気にせず演技を続けましょうアキさん》
「…………客を待たせるな」
「その通り、本番中の観客のヤジ(?)をいちいち気にしてるようでは先に進めぬ。ホレ、今は演技じゃ演技」
「うぅ……ゴメン……でも納得いかない……あと雄二は後でぶちのめす」

その小学生の発言とナレーター&舞台裏の女騎士の発言に少々(?)一部の出演者と観客席に動揺が走ったが、とりあえず明久は気を取り直して演技を続ける事に。


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