二次創作小説(紙ほか)
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- バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
- 日時: 2016/03/25 21:41
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド
【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】
の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。
暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」
明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!
体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。
———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照
5〜5.5章及び各種設定 【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照
6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5 103時間目>>8-11 104時間目>>12-16 105時間目>>20-23
106時間目>>24-28 107時間目>>29-32 108時間目>>33-36 109時間目>>37-40
110時間目>>41-44 111時間目>>45-48 112時間目>>49-52 113時間目>>53-56
114時間目>>59-62 115時間目>>63-66 116時間目>>67-70 117時間目>>73-76
118時間目>>80-83 119時間目>>84-87 120時間目>>91-94 121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79
6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132
週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138
ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178
召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196
寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221
7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330
7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350
文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355
彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編
おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編
8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編
———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278
———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279
お知らせ>>270
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その② ( No.148 )
- 日時: 2015/10/09 21:06
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「……学園長よ、またその話かの?」
「ん?またってどう言う事ですかヒデさん?」
「……ホレ、前に言ったじゃろう?“学園長から依頼されてから何を演目にするかで学園長と揉めてのう”と」
……あ、そう言えばそうでしたね?もしかして、その演目が“アレ”なのでしょうか……?
「ワシも召喚獣を使った人形劇は……まあ、中々画期的だとは思うのじゃ。しかしのう」
「「「「「「……しかし?」」」」」」
「……学園長よ。学園長が持ってきた台本をこやつらに見せてやってくれまいかの?」
ヒデさんに頼まれて学園長が持っていた台本を自分たちに見せてくださります。何々……?タイトルは———っ!?
———バカテス童話———
〜召喚獣は見た!?赤く染まったウェディングドレス!みちのく湯けむり密室の悲劇!!孤島の狭小物件黒髪の匠の技〜
「「「「「…………」」」」」
…………これ、は一体……!?
「え、えーっと?何だか火曜日にあるサスペンス的な劇場と、劇的でビフォー・アフター的な番組が合体事故をしていそうなタイトルですね……」
「と言うか、これを本当にやるの?絶対に小学生向きじゃないよね」
「やっぱババァの作った脚本は当てにならんな。こんなもん、小学生に聞かせたら教育に悪いぞ。秀吉が嫌がるのも無理はねえな」
「…………嫌な予感しかしない」
「す、凄い画期的(?)なタイトルね……?」
「こ、これならお客さんにインパクトは与えられますね」
寧ろインパクトしか与えなさそうですが……ま、まあタイトルはともかく。
「それで?この童話ってどう言うお話だったんですか?」
「……一言で言うと、あらゆる童謡や昔話のごった煮じゃな。赤ずきんにいばら姫。オズに桃太郎と……ワシも色んな演劇をやって来たが、いくら読んでもどう言う話かちっともわからんかったのう」
「「「「「「…………」」」」」」
それは……小学生に見せる劇としてはどうなんでしょうかね?何となくヒデさんが嫌がるのもわかるような気もしなくもないかもです……
「やっぱ、このババァの考えなんざロクなもんがねえな。他の案を考えるか」
「そもそもさ。こんなババァに頼っちゃいけないよね。人として」
「…………ババァだしな」
「はっ!言ってくれるじゃないか?アタシは別にいいんだよ?このままアンタらが何も出来ずにステージの上でボーっと突っ立っているのを観客席で面白おかしく笑い飛ばすだけさね」
「「「こんのクソババァ……っ!」」」
ゆーさんたちと学園長が睨みあう中、ヒデさんは顎に手を当てて何か考えているようです。やはりここは……ヒデさんに決めて貰うしかないでしょうね。
「ヒデさん……どうしますか?最終的にどうするかは、ヒデさんにお任せするしかないかと」
「……そうじゃのう。学園長よ。いくつか聞いていいかの?」
「ん?何だいジャリガキ?」
と、今まで何か考えていたであろうヒデさんは、真剣な顔で学園長に問いかけます。
「その演目をやると仮定して———舞台を今から設置するのは無理なのではないかの?」
「ああ、それかい?安心しな。召喚フィールドを展開する際に、立体映像を使ってその背景も出してやるよ。ついでにアンタが指定さえすれば効果音や演出もやってやろうじゃないか」
「……そこまで出来るなら、当然召喚獣にそれぞれに合った衣装を着させることも出来るのじゃろうな?すでに三時間程度しかないのじゃが」
「当り前さね。それくらい朝飯前だよ。背景の立体映像に効果・演出用のプログラムも含めて30分もありゃ何とかなるね」
学園長もこう言う事は本当に有能ですよね……流石は召喚システムの創案、開発者ですね。
「それならば最後に一つ。……この脚本をワシがいくらか手を加えても、その設定で演劇が出来るかの?かなり無茶な設定にするやもしれぬぞ?」
そうヒデさんが尋ねると、学園長はやれやれと言った顔で肩をすくめると飄々とした面持ちで答えます。
「はっ!誰に聞いてんだい?嘗めんじゃないよ、それも含めて全部任せておきな」
「そう……か。むぅ……」
「お、おいおい秀吉?まさかお前……?」
「ちょ、ちょっと秀吉?このババァの言う事聞く気なの!?」
と、ゆーさんとアキさんが心配そうにヒデさんに問いかけます。まあ、二人が不安になるのも無理のない事でしょうが……ヒデさんは溜息をつきながら、それでも何か決意したような目で自分たちを見ます。
「……正直、コレしか手はないのう。ワシだってこれまで稽古してきた演劇が出来んのは辛いのじゃが……我儘言ってはおれぬ。学園長のその脚本は置いておくとしても、召喚獣の人形劇自体は客受けも良さげじゃろうて。何よりこれなら多少の演技の経験不足も補えるじゃろう」
「ヒデさん……」
「「「秀吉……」」」
「「木下(君)……」」
ヒデさんのその言葉には若干の不満と自分の演劇が出来ない悔しさが籠められているようでした。あれだけ稽古してその演技ができないのはヒデさんもお辛いのでしょうね……
「……三十分ワシに時間をくれい。学園長の持ってきたその脚本をある程度形になるように書き直してくる。ついでに配役と背景をどうするかもな。その後は皆、悪いがワシの言う通りに動いてほしいのじゃ。演技・台詞の指導を通しでする。時間も無く、ぶっつけ本番になりかねんが———後は成るようになれじゃ!」
そう言ってヒデさんは学園長の持ってきた台本を、物凄い勢いで書き直し始めます。凄い……ヒデさん切り替えが早いですね。そう言うわけで、急遽やる事が決定した召喚獣を使った人形劇。正直不安だらけですが、はてさて一体どうなる事やら?
———ってあれ、ちょっと待って下さい?ヒデさんを手伝うってことは勿論良いのですが、自分ってこのままじゃ召喚獣として一人舞台に立つってことなるのでは……?い、いかん何だか今から嫌な予感が……
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その③ ( No.149 )
- 日時: 2015/10/10 20:56
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
造Side
どう言うわけか、急遽行う事になったぶっつけ本番の召喚獣を使った人形劇。現在ヒデさんが“三十分で学園長が持ってきた脚本をある程度形になるように書き直してくる”と言って全力で執筆していらっしゃるので、邪魔しないようにと学園長の演劇召喚フィールドを設置するお手伝いをやっている最中です。
「それにしても……学園長?あの脚本って本当に学園長がお書きになったんですか?」
「あん?いきなり何さね?」
他の皆さんは別の場所で作業を行っていますし、今なら他の方々に聞かれることもないだろうと考え学園長が設置している中々の重量の機器を自分も運ぶのを手伝いながら、少し気になっていたことを学園長に尋ねることに。
「いや、ハッキリ言っては申し訳ないと思うのですが、学園長ってあんまりこう言う演劇とかって興味無いでしょう」
「ホントハッキリ言ってくれるねぇ……まあ事実だから否定できんが」
「すみません。ですが学園長の性格からして、ただ宣伝の為だけで興味のない演劇の脚本作ってまで召喚獣の人形劇を推すなんて……ちょっと違和感がありまして。と言うか、あの脚本自体学園長が書いたにしては———少し幼稚と言いますか?」
正直言ってわざわざ演劇部と演目について揉めてまで実行するほどの脚本ってわけでも無い気がするんですよね。まあ、と言ってもあくまで自分の勘なのですが。
「とは言え気に障るような発言でしたね。すみません、ちょっとふと気になっただけなので気にしなくても———」
「……アンタ普段はぽやぽやしているようで、やっぱ何気に勘は良いみたいさね」
……ぽ、ぽやぽや?どう言う意味ですかそれは……?
「……まあ、アンタには話しておこうと思っていたから、ちょうど良いさね。———《文》、出ておいで」
「…………は?」
そう言って学園長が、何故か先程まで自分が持っていた機器に向かってそう言うと———
《はーい♪ ツクル! 文は お手伝いに キタヨー♪》
その機器の中(?)から、どう考えてもここにいるハズが無い文月学園召喚システムの頭脳、《文》さんが出て来ると同時に、自分に抱きついてきました。……ってちょっと!?
「ふ、文さん!?どうしてここに!?と言いますか、どうやってここに!?」
《えへへ 来ちゃったー♪》
自分に抱きついたまま、楽しそうにそんなことを言う文さん。いやいやいや!?“来ちゃった”っていつの間にそんな簡単にこの子はこんな場所まで来れるように!?確か文さんは学園外へ出る事は無理だった気が……?どう言う事ですホントに?
「落ち着きなチビジャリ。理屈はアンタとアンタの持ってる腕輪と同じようなもんさ。持ってきたフィールド形成装置の中に文の意識の一部を入れただけさね」
「は、はぁ……なるほど。いや、それにしてもどうしてまたそんなことを?」
「そこで話が戻るわけだが……あの脚本、この子が書いたんだよ」
…………ん?あの脚本って———
「え、えっと?まさかあの『〜召喚獣は見た!?赤く染まったウェディングドレス!みちのく湯けむり密室の悲劇!!孤島の狭小物件黒髪の匠の技〜』って言う脚本をですか?」
「よ、良くそんな長くどうでも良さそうなタイトルを覚えてたね……?まあそれは良いとして。そうさね、それはこの子が書いたのさ。そもそもこの子が余計な事をしたせいで……」
と、学園長はギロリと文さんを睨みつけます。……ん?ひょっとしてまた何か文さんがトラブルを……?
《ムー! ばーちゃん ヒドイ! 文の サイコウ 傑作なのにー!》
「ったく“最高に最低”なトンデモ脚本だろうが……文、少し月野と話があるから、吉井たちのところに行っておいで。ハッキリ言って邪魔さね」
《文 ジャマじゃ ないよー! ばーちゃんの イジワル!》
「誰が“ばーちゃん”だい!?ええぃ!良いから行っといで!言う事聞かなきゃ、すぐに帰すよ!?」
《あーい じゃあ ツクル♪ 後で 遊んで ネー!》
そう言って文さんはヒデさんが台本を修正し終わるまで待機しているアキさんたちのところへと特攻しに行きました。あらあら……文さん元気ですね〜
「あんのじゃじゃ馬娘が……これ以上暴れるなら一度分解(バラ)そうかねぇ?」
「ちょっと!?だからそんなこと言っちゃダメですってば!?……こ、コホン。それで学園長?その様子だと、やっぱり文さんが何かやっちゃったんですかね?」
「察しが良くて助かるよ……実はね———」
そうして学園長が苦々しげに話した内容は……
〜学園長説明中〜
ふむふむ。順を追って説明すると……何でも学園長、度重なる文さんの暴走に業を煮やし『この子には少しは常識ってもんをちゃんと学ばせないと』と思い至り、文さんの精神年齢を考慮して近頃は彼女に絵本や童話を読ませるようにし始めたとか。
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その③ ( No.150 )
- 日時: 2015/10/10 21:16
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
それに関しては全く問題無く、文さんも暇を潰せて学園長も文さんに学習させられてと一石二鳥の良い話だったんですが———ここからが問題だそうで。
「それがねぇ……あの子は一体何を思ったのか、一通りの本を読み終わったかと思ったら《文も 何か 書いて みるー♪》って言い出してねぇ」
「?えっと……それはつまり、童謡や昔話のようなお話を自分で書いてみたくなったってことですか?」
「その通りさね。その時はアタシも『どうせ適当に言っているだけだろう。すぐに飽きるだろう』と思って放置してたんだが……」
その学園長の予想に反し、出来上がったのが先程の脚本『〜召喚獣は見た!?赤く染まった(ry〜』だそうです。てか、あのタイトルも文さんが付けたって事ですか。自分が言うのも何ですが、流石は自分を元にして誕生した文さん。その凄いネーミングセンスは確かに自分とよく似ていますね……
「ふむふむなるほど。ですが、それは別に問題ないのでは?寧ろ文さんがそう言う事に興味を持つ事は良い事だと思うのですが」
「……まあ“書くだけ”で済むならね。まだ話は終わっていないのさね」
と、学園長はさらに続けます。頭が痛くなる話はその次から。その物語が出来上がると、今度は文さんその物語が“テレビみたいに実際に動いているところを見れたらな”と欲が出てきてさぁ大変。いつものようにネットの世界に潜って調べてみると……世の中にはあるではありませんか。そう“演劇”と言うものが。
「な、なるほど……今度は文さん演劇に興味を持った……と」
「そうさね。そんでもって『それを召喚獣でやってみたい。文の脚本が動いているところが見たい』って言い出してね。そのせいで、現在進行形で召喚システムが“演劇召喚獣仕様”何だよ……」
「……はい?召喚システムが“演劇召喚獣仕様”ですと?どう言うものなんですか、それ?」
「あー……ちょいと説明しにくいんだが……」
えっと……?どうやら今現在自分も含めて皆さんの召喚獣は、“普段の状態”で無ければ“初期設定”でもなく、ましては“オカルト召喚獣仕様”でもない新たな状態———“演劇召喚獣仕様”になっているとか。
簡単に説明すると文さんが設定した配役の召喚者の召喚獣がフィールドに現れると、その召喚獣は配役に合った服装や装備が出て来るそうです。ちなみに召喚フィールドもその背景に合ったものが立体映像として出されるそうでして。
「へぇ、それはまさに演劇の為だけの召喚獣仕様になっているんですね」
「ああ。その通りさ。そしてこの設定の一番厄介なところは……文の指定した解除法以外で、設定を元に戻す事が出来ないところにあるんだよ」
…………んん?文さんの指定した解除法以外で、元に戻せない?それってつまり……?
「あ゛!?……ま、まさかとは思いますがそれって……!?」
「———そうさね、多分アンタの予想通りだよ。“あのじゃじゃ馬システムの脚本を使った召喚獣の劇をやり遂げないと”……」
「し、システムが元に戻らないように……文さんが設定しちゃったって事ですか?」
「……その通りさね。アタシも必死で元に戻そうとやってみたんだが———あのバカ娘、無意識に複雑且つ普通じゃ解除出来ない妙なプロテクト掛けやがったんだよ。解除するには天文学的な計算をしなきゃならないわけさ。このままじゃ、二学期の試召戦争はお遊戯大会になっちまうだろうね」
「「…………」」
な、なるほど……つまり召喚獣で文さんの演劇を行わないと、このままでは試召戦争すら出来ないようになるってことですね。なるほどそれで合点がいきます。だからこそ学園長はこの状態を解除するためにも“演劇部と時間ギリギリまで揉める”ほどこの文さんの脚本を推したんですか……
「で、ですが何でまたこんな大舞台で?普通に学園で劇をするだけじゃダメなんですか?」
「それも解除の一つの条件のようでね。文の意識に“皆に見て欲しい”って気持ちが解除キーになっているらしく、どうやら大勢の前でやらんと解けないようになっているのさ。一度試しに先生方だけでやった時は解除できなかったよ」
「そ、それはまた……何て念入りで厄介な……」
手が込んでいると言いますか、とにかく厄介ですね。とりあえず文さんにはまたお説教しないといけないのでしょうか……ん?あれ?ですが、それでしたらどうして……?
「ねえ学園長?ならなおの事、どうしてご自身が不利になるような説明を皆さんにしたんですか?」
「あ?何の事さね?」
「いや、だって……文さんの事を少し誤魔化して『召喚システムが異常で、こう言う演技をしないと元に戻らない』って初めから説明しておけば、皆さんも少しは理解してくれたのではないでしょうか」
そう、学園長の“あの”説明に違和感が。主にゆーさんにとっては試召戦争の開始期間をこれ以上延ばされては困るはず。文さんのことをぼかして説明さえすれば、渋々でも協力してくれたはずではないでしょうか……?
「……さて、どうだろうね」
「と言うかですね。わざわざアキさんたちの前で『アタシが考えた脚本通りに動きな』とか『これは宣伝の為さね』とか———そう説明する必要はなかったですよね?何でアキさんたちを挑発するような言い方をしたんですか?」
これではまるで、学園長が大元の原因だって思われちゃいますよね。何でまたあんな風に自分が不利になるような説明をしたんでしょうか?ちゃんと説明すれば試召戦争を望んでいるゆーさんたちの事、わかってくれると思うんですが。そう尋ねると、学園長は拗ねたような顔をします。
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その③ ( No.151 )
- 日時: 2015/10/11 00:48
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「……特に理由なんてないさね。宣伝にもってこいだって思ったのは事実だからね」
「むー……本当にそれだけですか?まだ何かあるんじゃないですか?」
「…………ちっ、ホントアンタは無駄に勘は良いようだねぇ。まあ、《文》が折角アンタ以外のものに興味を持ったことは良い傾向だと思って、ギリギリまでやらせてやろうとも思っただけさ。ただの気まぐれだよ」
「……ふむふむなるほど、それで学園長の本音は?」
「…………まあ、アレだ。アタシは《文》を創った張本人だからね。言うなれば年取ったあの子の親なのさ」
そう渋い顔で言いながら、何やら気恥ずかしさを隠すかのようにノートPCのキーボードを力強くカタカタと叩く学園長。そして———
「……親はね、子の尻拭いをするものさ。あの子———文の責任はアタシの責任。ってことはこの問題はアタシに責任があるのさね」
「…………あ」
「そもそも、今回演劇部の連中に無理言って悪いことしちまったのはわかっているからね。アタシを悪者扱いして気が済むなら、それで良いのさ」
……なるほど。何だか妙なくらいあの脚本に拘るのも、わざわざアキさんたちを挑発するように説明したのも……文さんを庇ってたってっことですか。口では“じゃじゃ馬娘”とか“イカレシステム”とか言っているわりに、学園長って文さんの事を何だかんだで可愛がっているんですね。普段の言動がちょっぴりアレな分、少しホッとしました。
「……学園長はホントに不器用ですねー♪文さんが怒られないように自分が罪を被るんですか?」
「はっ!やかましいよ。どうせ他の連中には文に関する話を出来るわけないだろうが。だから文にはその分、アタシがこれでもかって言うくらい説教させてやるからね……てか、アイツらにこの事絶対に喋んじゃないよ月野。調子に乗るだろうからね」
そう言って作業に戻る学園長。……ふふっ♪本当に不器用ですよね。“アタシがこれでもかって言うくらい説教する”って事は、“アンタは文に説教しなくていい”って事の裏返しじゃないですか。本当に……不器用な方です。
「ほら、何をニヤニヤ笑っているのかしらんが、さっさと手伝いな。時間が無いんだろうが」
「ふふっ♪はいです学園長。…………(ボソッ)文さんを庇ってくださって、ありがとうございます」
「…………ふん」
———三十分後———
「何とか、やってみたぞい……」
「「「「「「ほ、本当に三十分で何とかなった……!?」」」」」」
「ほー?やはり流石と言うべきかねぇ?」
若干疲れた顔をしつつも、ヒデさんは宣言通り三十分で脚本を書き直してくれました。先程のちょっとごちゃごちゃし過ぎててどう言う内容かすらわからなかった物語が———正式な脚本として生まれ変わっています。
「とりあえず、元の脚本をワシの解釈で書き代えさせて貰った。ついでにワシの独断でお主らの配役・効果・背景その他を決めておる。今からお主らにそれぞれの台本を渡す。誰がどの配役かはそれに載っておるからの」
そう言いつつ、いつの間に用意していたのか各自の台本を全員に配るヒデさん。三十分でここまで出来るとは、ヒデさんってホント凄いですね……
「これから一時間はこの物語の流れと台詞の確認じゃ。いくら台本を使ってよい劇とは言え、多少は台詞を覚えてもらわぬと困るからの。その後一度召喚獣を出して演技を実際にやりつつ動きや効果の調整を一時間で行い、最後に仕上げを一時間で終わらせるからの」
かなり厳しい状況なのに……いえ、この厳しい状況だからこそですか?ホントにヒデさん輝いています。優姉さんがこの場にいたら、きっと双子の弟の成長を喜んでくれるでしょうね。
そんなヒデさんに感心しつつ台本を開きます。さてさて、自分はどの役何でしょうかね?カッコイイ役やれたらいいなと淡い期待を抱きつつ台本に目を落とすと…………あれ?
———キャスト———
王子 :木下秀吉
ライオン:坂本雄二
カカシ :吉井明久
ロボット:ムッツリーニ(土屋康太)
眠り姫 :月野造
良き魔法使い+ナレーション(前半部):姫路瑞希
お城の女騎士+ナレーション(後半部):島田美波
…………姫?自分の役は……眠り……姫?えっと、これツッコんでいいのでしょうか?
「……え、えっとヒデさん?お聞きしたいことがあるのですが」
「……造が言いたい事は物凄くわかる。“何で自分が姫なのか?”じゃろう?ワシも悪いと思って配役を変えたかったのじゃが———学園長曰く、それだけは譲れんらしくての」
「学園長が……?」
気になってちらっと学園長の方を見ると、無言で顎をしゃくって文さんの方を指します。指を指された文さんは……何かを期待したような目で自分を見つめています。そう、具体的には———
《ツクルの お姫様 見てみたい!》
と、言わんばかりの目でね……な、なるほど?文さんの希望で……そうなったんです、か……何でまた自分、姫の役なんかを……
「まあ、じゃがワシはこれで良いと思っておるぞい」
「……へ?な、何でですかヒデさんっ!?」
そんなっ!?ま、まさかヒデさんまで自分の事を女の子か何かと……!?
「これこれ、勘違いするでない。造は明久たちと違って召喚獣として出なくてはならぬじゃろうが」
「は、はい。そうなりますね」
「そうなると台本無しで演技せねばならぬじゃろうて。その点その役なら動きや台詞も少なくて良いし、出てくるのは後半じゃ。その間に台詞を覚えられるじゃろう?」
「あ、あぁ……なるほど、そう言う事ですか」
そう、皆さんと違い自分だけは自身が召喚獣に成るせいで台本を本番では読めない、ある意味普通の(?)お芝居をしなければなりません。そうか、ヒデさんちゃんと自分の事を気にかけてくれてたんですね。カッコイイ役を貰えなかったのはちょっぴり残念ですが正直助かりますよ。
「皆もある程度、それぞれ合った役柄をワシの一存で選ばせて貰ったのじゃが……他に異論はないかの?今の内になるべく意見を聞かせて欲しいのじゃが」
「「「「「「だ、大丈夫っ(ですよっ)!(……と言うか、これ以上反論する余地も付け足す事も何も無いし)」」」」」」
……本当に、よくもまあこんな短時間で脚本を書き直し、配役を決めて、演出を仕上げられましたねよね……ヒデさんの頼もしすぎる姿に、自分も皆さんも思わず恐縮してしまいます。
その皆さんの反応にヒデさんは頷いて、大きく息を吸い込み———
「よしっ!動きや演技でわからぬ事はワシが答える。遠慮せずに言うて欲しい。……本来部員でないお主らにここまでやらせるのは忍びないが———ワシにどうか力を貸してくれっ!では、お主ら!頼んだぞい!」
「「「「「「おうよ(です)っ!」」」」」」
ヒデさんの鼓舞で全員力が入ります。まずはそれぞれがどう演技すればよいかを考えながら台本を読み始めました。さてさて、演劇開始まで三時間を切っていますが、一体どんな劇になるのやら?期待半分、不安半分ですかね。
「……ま、頑張りな」
《文 劇見れて 嬉しい♪ ミンナ 頑張って ネー!》
……ある意味原因の二人は、楽しそうで何よりですが……
- Re: バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 ( No.152 )
- 日時: 2015/10/11 18:37
- 名前: ケー (ID: Thm8JZxN)
忙しくて書けないなら私がかわりに書いていいですよ。ハーメルンで書くつもりならやっときましょうか
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