二次創作小説(紙ほか)
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- バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
- 日時: 2016/03/25 21:41
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド
【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】
の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。
暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」
明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!
体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。
———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照
5〜5.5章及び各種設定 【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照
6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5 103時間目>>8-11 104時間目>>12-16 105時間目>>20-23
106時間目>>24-28 107時間目>>29-32 108時間目>>33-36 109時間目>>37-40
110時間目>>41-44 111時間目>>45-48 112時間目>>49-52 113時間目>>53-56
114時間目>>59-62 115時間目>>63-66 116時間目>>67-70 117時間目>>73-76
118時間目>>80-83 119時間目>>84-87 120時間目>>91-94 121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79
6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132
週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138
ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178
召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196
寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221
7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330
7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350
文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355
彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編
おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編
8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編
———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278
———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279
お知らせ>>270
- 番外編:覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜 ( No.78 )
- 日時: 2015/08/22 21:19
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
———体育祭兼召喚野球大会前のとある放課後の教室にて————
「———と言うわけで、数日後に召喚野球大会を控えているわけなんだが……野球をほとんど知らない姫路に、簡単に野球のルールについて説明をしようと思う」
「あはは♪僕らが教えるなんて、いつもとは逆の立場だね瑞希」
「よ、宜しくお願いしますね皆さん!」
「姫路さん、そう緊張なさらずに。楽しく覚えていきましょうね」
先日のちょっとした野球に関する問題で、野球の事があまり理解出来ていないようであった瑞希の為に、明久と雄二と造が一通りの野球についての知識を教えることとなった。
「今回は……そうだな。“ボーク”などの反則行為について学んでいこうか」
「ボーク、ですか?」
「そうだ。これはピッチャーの投球や送球における反則行為の一つなんだがな」
「反則ですか。具体的にはどういうものなんですか?」
「その辺は明久に造、説明を頼む。俺は要点を黒板に書いておく」
そう言って黒板の前に立って要点をまとめ始める雄二。バトンタッチされた明久と造が瑞希にその内容を説明し始めることに。
「オッケー。ふむ、例えばそうだね……プレートに足を着けた状態で一塁に牽制球を投げるフリをして、実際には投げないとかがボークの例にあたるかな」
「ピッチャーというボールを投げるポジションの人がいますよね。その人が走者という塁に出ている人を騙して盗塁とかヒットエンドランを阻むことが無いようにするルールですね」
「……?当て逃げを防止するんですか?」
「……はい?」
「OK、とりあえず瑞希はヒットエンドランを当て逃げと結びつけないようにする事から始めようか」
雄二は黒板に要点を書きつつ、明久や造は瑞希に具体的な説明を瑞希にする。造はともかく残りの二人はこういうことがちゃんと出来るなら、普段の授業も真面目に受ければいいのに……
「「それは全力で断る!」」
「???えっと……二人とも、突然どうしたんですか?」
「ああ、すまん。気にしないでくれ。ボークに関しては二人の言った通りの事だな。他に例を上げるならつま先を打者方向に向けたままでの牽制球とか」
「そうそう、あとは二段モーションって言って———投球動作中に少しでも全身の動きが止まったりすると、これも反則になるんだよ」
「ええと、つま先を打者に向けての牽制球に、二段モーション……」
瑞希が一生懸命ノートにメモを取る。流石に真面目な子なだけあって、真剣に理解しようと頑張っているようだ。
「姫路さん、そう深く考えなくていいですよ。要するにピッチャーがボールを投げる時には、走者やバッターに対して【紛らわしい・思わせぶり】と取られるような行動をしちゃいけないってことです」
「そゆこと。バッターが『来る!』と思っていたら牽制球だったり、『来ない』と思っていたらいきなり投げてこられたり、なんてされたら大変でしょ?簡単に言っちゃえばその防止のためのルールなんだよ」
そんな瑞希の授業態度に苦笑いをしながら、明久たちは朗らかに説明する。その説明を受け、瑞希はポンッ!と手を叩き納得した面持ちでこう返す。
「なるほど……【紛らわしい事・思わせぶり】な行動はボーク、ですね!」
「ああ。大まかにはそう考えてもらって構わない」
「つまりボークとは———明久君みたいな人の事を言うんですね」
「「「…………へ?」」」
ここで何やらよくわからないことを言いだす瑞希。これには教師役のこの三人も意味がわからないと言う顔で頭に疑問符をつけてしまう。
「え、えっと……何でボークが僕?」
「……姫路、ちゃんと意味わかっているのか?つか、お前が何をどう捉えたのか俺にはわからんのだが」
「じ、自分もです……姫路さん、どういう意味ですそれ?」
「違うんですか?紛らわしくて思わせぶりな反則行為———つまり明久君ってことですよね?」
その瑞希の言葉は明久は未だに理解できていない様子だが、その他の二人は何となく理解できたようで。
「あー、そう捉えたか。まあ、大体合ってるかもな」
「……あ、ああそう言う事ですか。ルール的には理解してもらったか微妙ですが……ニュアンス的にはあっている……のではないでしょうか」
「わかりました!明久君、ボークは反則ですから今後は気を付けてくださいね!」
「何が!?何が合ってるのさ!?一体何の話してんの!?」
恋愛面に関して常日頃から非常に紛らわしい行動を起こしまくり、思わせぶりな行動で瑞希や美波、玲さんや葉月ちゃんや久保君や玉野さんたちをも誑かす吉井明久と言うこの男。ある意味存在自体がボークと言っても問題ないのかもしれない。
- 番外編:覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜 ( No.79 )
- 日時: 2015/08/22 21:29
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
———これまたとある放課後の職員室にて————
「高橋先生。頼まれていた資料を持ってきました」
「ありがとうございます姫路さん」
「いいえ。えっと、ここに置いておきますね」
瑞希が野球の勉強を始め出した次の日。高橋先生に頼まれごとされた瑞希は職員室に高橋先生と共にしていた。
《大日本高校、1点を追う状況でバッターは山根。ここまでの打率は———》
「あれ?高校野球のラジオですか?」
「はい。どうにも私は野球に疎いようなので、勉強も兼ねて聞いていました」
と、瑞希に貰った資料に目を通しながらも高橋先生は苦笑い混じりにそう言ってくる。
「勉強ですか。高橋先生は勤勉ですね」
「いえいえ。わからないことは勉強しておく必要がありますから」
「そうですよね。私も頑張らないと……」
「おや?姫路さんも苦手なのですか。では一緒に頑張りましょうか、姫路さん」
「はい!頑張ります!」
と、笑い合う二人。生徒と教師という立場ではあるが、何だかんだでこの二人は気が合うのかもしれない。思えばこの二人、立ち位置も性格もかなり似ているようである。
「あ。わからないことと言えば。野球に関係あるかどうかはわからないんですけど……」
「?なんでしょうか姫路さん?」
「先生はスクイズって何のことだかご存じないですか?ここに来る前に、明久君と坂本君がそんな話をしていたの気になって。自分で調べたら良いのですけど……」
「いえ。気になったことを忘れないうちに確認するのも大事なことです。姫路さんは立派ですよ♪」
「あ、ありがとうございます♪」
「そうですね。スクイズ、ですか……」
※スクイズとは———野球で三塁走者と打者が示し合わせて、打者がバントをすることで走者を本塁に迎える連携プレーのこと
「あまり私も詳しくはありませんが……響きから察するに———『スクール水着』の略称か何かだと思います」
「あ、なるほど。そうなんですか。ありがとうございます」
…………ツッコミが……いないだと?この場に誰か一人でも常識人の教師がいれば、絶対にツッコまれていたであろう間違った知識を、何の違和感もなく頭の中に二人が入れ込んでいると。
《大日本高校、ここはきっちり“スクイズ”を決めてきましたね》
《そうですね。7番・山根権三郎くん、見事な“スクイズ”でした》
「「…………えっ?」」
———ラジオからそんな衝撃の解説の声が聞こえてくる。傍から聞いていれば何もおかしな解説ではないのだが、間違って理解しているこの二人にはさぞかしとんでもない解説に聞こえてきたであろう。
「……先生。高校野球って、スクール水着を着てやるものなんですか?」
「……わかりません。ですが……もしかしたら、暑さの厳しい地域の風習なのかもしれません」
「そ、そうですよね……(明久君のスクイズ……)」
「そ、そうなんでしょう……(造くんのスクイズ……)」
やはり完全に違う意味でスクイズの事を認識してしまった高橋先生と瑞希。そしてその最悪のタイミングで————
「失礼しまーす!あ、瑞希いたいた。今日の野球の授業は外でやるよー」
「失礼しますです。高橋先生、何か良くわかりませんが、サクヤさ———もとい日高先生が呼んでましたよ。保健室まで来てほしいとかなんとか」
————能天気にニコニコと笑いながら、この状況も自分たちがピンチだと言うことすらも理解していない最高の獲物(かも)がやってくる。
「「…………」」
そして高橋先生と瑞希はお互い顔を見合わせると……
「あ、明久君!スクイズしてくれませんか!?」
「つ、造くん!造くんもスクイズしてください!?」
「「…………へ?」」
「「スクイズです!スクイズをお願いします!!」」
「「???(スクイズって、お願いされるものなのかな?)」」
いきなりそんなことを言われて、造と明久は頭にクエスチョンマークを浮かべ首を傾げる。
「えっと……よくわかりませんが、つまりスクイズプレーをすればいいんですかね?」
「スクイズプレイ(=スク水プレイ)!?は、はいっ!恐らくはそれですっ!」
「んー……まあ、どの道今日は簡単に試合の流れを実際にグラウンドで教えようと思ってたし、僕らでいいならやって見せようか?雄二がピッチャーで僕が打者、造が三塁にいればギリギリできそうだし」
「本当ですかっ!?あ、ありがとうございます明久君!では————」
と、高橋先生と瑞希は嬉しそうに自分たちの鞄の中を探ると————
「「————では、早速お願いします!これに着替えてくださいっ!さあ!」」
「「…………ゑ?」」
————その日、涙目になりながらも必死で逃げる造と明久の後ろを、スクール水着(女子用)を片手に全力疾走で追いかける高橋先生と瑞希の姿が見られたとか。
「「二人とも待ってください!スクイズをしてください!」」
「瑞希、違うっ!多分君の思っているスクイズは色んな意味で違うんだよ!?説明を聞いてくれないかなぁっ!?」
「た、高橋先生も落ち着いてくださいっ!?貴女はとんでもない勘違いしているんです!とにかくちゃんと説明するので、お願いですから冷静になってくださいっ!?」
「「でしたら、その説明!是非こちらに着替えてからお願いしますっ!」」
「「そんなこと出来るかぁ!?」」
それにしても。どうしてピンポイントに高橋先生&瑞希はスク水なんか持っていたか……それはこの二人にしかわからない永遠の謎だろう。
「「いや!?というか、野球のルールの勉強はどこ行ったの(ですか)!?」」
「「これも立派な野球のルールの勉強ですっ!!」」
- 118時間目 不調の雄二と波乱の決勝〜隠し玉にご用心〜 ( No.80 )
- 日時: 2015/08/23 21:20
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
明久Side
僕たちFクラス対鉄人たち教師の因縁の召喚野球大会決勝。一回の表は大波乱だったけど、今度は僕たちの攻撃の番だ。見てろよ……絶対に一泡吹かせてやる!
「んじゃ、行ってくる。一発でかいの打ってきてやる」
「頼んだよ、近藤君!」
こっちのトップバッターの近藤君が、張り切って打席に立つ。向こうは科目が化学なだけに、ピッチャーは化学の担当教師の布施先生。キャッチャーは鉄人と言う組み合わせだ。あ、ちなみに一回表で様々な意味で活躍(?)した高橋先生の守備位置はライト。あの点数じゃ流石にピッチャーは任せられなかったんだろうね。高橋先生と瑞希の存在が重なるのは気のせいではないだろう。
「高橋先生のいるライトに飛ばせれば、勝機があるかもしれないね」
《そうですね、まあただ、ライトに飛ばすだけの余裕は残念ながら今はなさそうですけど。超え難き点数差をどう攻略するか……ここはまだチャンスを待つしかないですかね。ねえ、ゆーさん》
そんな中霧島さんとの一件以来物凄く機嫌の悪い雄二をフォローするように造が話しかける。相変わらず造は気が回るなぁ〜……まあ、その本人はと言うと———
「ああ、そうかもな」
———ぶっきらぼうにそんな返事をするだけ。コイツ……全然機嫌直ってないな。全く、らしくないと言うか何と言うか……
「(ホント、この試合どうなるんだろうね?)」
雄二があんな感じだし、とりあえず皆に小声で相談する。下手に雄二を刺激したくないからね。
《(うーん……一応ゆーさんの『ストライクっ!』作戦では、終盤が『ストライク、ツー!』先生方に勝つ、唯一の鍵だって『ストライク!バッターアウト!』言ってましたよね?)》
「(…………序盤は点を取られないように『ストライク!』だけ、気を付けて『ストライク、ツー!』いればいいらしい)」
「(それにしても『ストライク!バッターアウト!』坂本があんな感じで『ストライク!』本当に何とかなるの?)」
「(私たちだけじゃ、先生方に勝つ方法なんて『ストライク、ツー!』わかりませんよね……)」
「(まあ、ここは一先ず皆で応援を『ストライク!バッターアウト!チェンジ!』———する前に、さあ守備だ。皆頑張ろう)」
「「「「(おー…………)」」」」
近藤君・横溝君・秀吉の全員が三球三振に倒れる。向こうに比べると戦力的にこっちの方が圧倒的に不利だってことくらい最初からわかっていたけど、なんて僕らの攻撃は短いんだろうか。
気を取り直して再び守備につく僕ら。科目は世界史ってことで、ピッチャーはまた僕がやる事になった。まあ、召喚大会や瑞希たちとの勉強会以来世界史と日本史は僕の得意教科だからね。ここは活躍できそうな場面だし、目的の一つであった教師共の鼻を明かすチャンスでもある。きっちり決めてやろうじゃないか。
「さぁ来いっ!今度はさっきまでのようにはいかないはずだっ!」
マウンドの上でバッターを待つ。さあ、次は誰だっ!どう料理して————
「ほう?随分威勢が良いな吉井」
————ヤバイ、コレどう考えても僕が料理される。いきなり鉄人とか、もう意欲が削がれまくりだよ……い、いや!鉄人は僕らFクラスの担任なんかしているわけだし、怖いところと言えばあの無尽蔵の体力と無敵の身体能力だけのはずだ!頭はそこまで良くないと
≪補習教師 西村宗一 世界史 741点≫
VS
≪Fクラス 吉井明久 世界史 174点≫
《敬遠するぞ》
《OK雄二》
- 118時間目 不調の雄二と波乱の決勝〜隠し玉にご用心〜 ( No.81 )
- 日時: 2015/08/23 22:25
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
目を見るまでもなく雄二の考えが伝わってきた。あの化け物相手に真っ向から勝負なんて正気の沙汰じゃない。全くもって意味が分からないけど、この鉄人あれだけ武闘派なのにどうやら頭も良いらしい。ここは悔しいけれど大人しく塁に出すほかないだろう。
「……あれ?」
と、雄二はキャッチャーミットをストライクゾーンの外に構える。……え、嘘立ち上がらないの?ああ、もしかして雄二の事だし、敬遠すると見せかけて三振狙いとかか……?いくらなんでも立ち上がるのが面倒だったってことは……流石にないと思うし。
多少疑問に思いつつも、一先ず雄二の指示通りにボールを投げることに。
『ボール!』
一球目は鉄人は眉を顰めながらも見逃す。何かえらく不服そうな顔で雄二と僕を眺める鉄人。雄二も雄二だけど鉄人も鉄人で一体どうしたんだろ?敬遠されるってことが腹立たしいのかな?
『……これは、まさか坂本の指示か?』
『そうだが、何か?』
『……そうか』
何だか不機嫌そうに低い声で雄二にそんな事を言う鉄人。鉄人もしかして正々堂々やれって言いたいの?まさか敬遠が汚いなんて言うつもりなんだろうか?いやでも敬遠だって立派な作戦の一つなのになぁ……
『やれやれ……お前たちは勉強が苦手でも、こういったことはわかっているものだと思っていたんだがな……まだまだ教育が必要だということか』
『? 何を言ってるんだ?敬遠くらい、勝負の世界では常識だろう。この程度のことで文句を言うとは———』
『いいや。そういうことを言っているんじゃない……いいか、坂本。教師として一つ言っておく』
何だかよくわからないけど、とりあえず雄二の指示通りボールを投げる。会話の途中だったみたいだけど、どうせ敬遠なら別に———
『———何事も、やるならば徹底的にやれ!』
ガギン!
「「なっ!?」」
物凄く豪快な音が響き、ミットに向かっていたはずのボールがかき消えた!?ば、バカなっ!?ひょっとしてこれ敬遠球を打たれたの!?
慌てて後ろを振り返るも、ボールはどこにも見えない……フィールドにないってことは……くそっ!ホームランか!?
『……ふっ、月野に救われたな』
と、そう言って鉄人はニッと笑うと、何故か一塁には行かずに再びバッターボックスに戻る。あ、あれ?どうして……?
『ファール!』
「「……え?」」
鉄人がバッターボックスに戻ると同時に審判がファールと宣言する。ど、どう言うこと?ファールって……今の軌道なら、明らかにホームランじゃ?それに鉄人が言っている“月野に救われたな”って一体……?
『た、タイムじゃ!造、しっかりするのじゃ!?』
と、突然に秀吉がタイムを取る。秀吉の声のした方向を見ると……
《た、たはは……流石西村せんせですね……点数約半分……使っても……ボールの軌道を変えるだけで、精一杯……でしたよ》
≪Fクラス 月野造 世界史 451点 →Fクラス 月野造 世界史 203点≫
造が息を切らしてかなり辛そうにしている姿があった。点数もごっそりと削られているところを見ると……ま、まさかアレを止めようとしたの!?僕も、そして雄二も慌てて造の元に駆け寄る。
「つ、造ゴメン……まさか打たれるなんて……」
《あはは……大丈夫ですよ。それにしても警戒してて正解でしたね。さすが西村せんせです……》
造は打たれた事を気にしていないように僕に笑顔で答えてくれる。相変わらず何て無茶するんだ!?僕と造にとって、召喚獣の点数は言わば体力ゲージに相当する。一応フィードバックが全部返ってくるわけじゃないけど、それでも当然点数が半分になれば体力も半分になるって事とほぼ同義なのに……
- 118時間目 不調の雄二と波乱の決勝〜隠し玉にご用心〜 ( No.82 )
- 日時: 2015/08/23 21:38
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「悪い……甘かった……」
「そうじゃ雄二よ!あの例の腕輪で造の点を戻せぬか?どの道半分も削れておるのじゃ。今点を回復させておけば次の造の打席で戦えるじゃろ」
あっ、そうか!雄二にはあの点数回復の黒金の腕輪があるんだったね。それなら造の点も回復するだろうし、体力だって回復するはず。雄二も秀吉の提案に慌てて懐から腕輪を取り出し始める。
「そ、そうだな……なら待ってろ、今すぐ腕輪の能力を《ゆーさん、腕輪使うのは無理ですよね?》———は?」
と、造は腕輪を出している雄二にやんわりと首を横に振る。使うのは無理?造は何が言いたいのだろうか。回復すれば辛くないだろうに?
《ねえ、ゆーさん……その腕輪を使用する際の条件、覚えていらっしゃいますか?》
「は?いや、それは……お前や明久の腕輪のようにキーワードを言うことだろ?俺の場合は『再設定(リセット)』って言わないと———」
《……違います。ゆーさんの腕輪を使用するにはもう一つ条件がいるハズだったでしょう?ご自身で言ってたじゃないですか“面倒な腕輪だ”ってね。ある条件、つまり———“あらかじめ張られているフィールドに『設定(セット)』のキーワードを唱えてその腕輪に場の状況を覚え込ませる事”が条件だったでしょう?》
「っ!?」
……そ、そう言えば造と雄二がEクラス戦の時に雄二の腕輪の説明でそんなことを言ってたよね。ま、まさかだけど雄二……お前っ!?
《ゆーさんこの回、『設定(セット)』を使ってないでしょ》
「…………すまん」
やっぱりそうか……そんな単純なミスするなんて、いつもの雄二では考えられない。そもそも腕輪を使って出し抜くって作戦は、雄二が何よりも誰よりも得意としていたのに腕輪の存在すら忘れているなんてらしくないにも程がある。さっきの鉄人の件と言い、初回の高橋先生のプッシュバントの件と言い、悪知恵だけがウリの雄二がこんな調子じゃ……
《自分の事はどうでもいいですが……とりあえずちゃんと立って、西村せんせは歩かせる事にしましょう。ゆーさん。ご自身が一番わかっていらっしゃると思いますが———ここは気持ちを切り替えてくださいね》
「…………ああ、すまなかった」
そう言うと、雄二は踵を返しキャッチャーボックスに戻って行った。
「「《…………ハァ》」」
残った僕と秀吉と造は顔を見合わせて、同時に溜息を吐く。ダメだ……あんな状態の雄二に試合なんて任せてたら、とてもじゃないけど先生たちに勝つなんて夢のまた夢だ。
《……とりあえず、今は“あのゆーさん”に任せて、どうしようもなければ自分がキャッチャーになります。アキさん。それまでは大変かもしれませんが、どうかゆーさんをお願いします》
「……そうじゃの。本人も本調子ではないことくらいわかっておるようじゃが、このままではコールド負けも考えられるぞい」
「……あのバカ……まあ、霧島さんの事で悩むのはわかるけど、それとこれとは別なのに……」
……とりあえず鉄人は歩かせて次から勝負をする事に。諦める気はさらさら無いけど、雄二があのまま腑抜けているようなら……この勝負、絶対に勝てないと僕らは心の中でそう考えていた。
〜試合再開〜
現在得点は【2 — 0】しかもツーアウト満塁のピンチ。あの後、一応鉄人を歩かせたんだけど……鉄人ほどではなくてももう一人の超人:大島先生がホームランを放ちこんな結果になっている。大島先生は保険体育の教師だし野球もお手のものだってこと、それに僕の球が打たれやすいってこともあるだろうけど、それよりも最大の原因は雄二の指示がかなり雑になってきたところを狙われたからだって感じがする。正直2点も入れられたのは痛すぎる……これ以上点が離されたら、本気で追いつけないね。
迎える打者は一巡して、再び一番の布施先生。ちぃ……そろそろこの野球に慣れてきている頃だろうし、一回のような先生のミスを待つなんて無駄だろう。困ったね、この流れはどう考えても教師たちに分がある……と、どうやって勝負するか悩んでいると、僕の視界の隅で秀吉が手を上げて何かを訴えてくる。ん?どしたんだろ?
《明久よ。牽制球を頼む》
そうアイコンタクトを送る秀吉。……ふむ?もしかしてちょっと落ち着けってことかな?この嫌な流れを払拭すべく、一先ず秀吉の言う通り一塁に向かってボールを投げる。
パシン!
軽く投げられたボールは、秀吉の召喚獣のグローブに収まったけど……勿論ランナーはアウトになるわけもなく、悠々と塁上に立っている。まあ、多少これで落ち着けたかな?と、秀吉にボールを戻して貰おうと手を上げると、
『……むぅ。タイムじゃ』
何やら心配そうに顔を歪ませてタイムを宣言する秀吉。あれ?何か僕の投球で悪いところでもあったのだろうか?そのまま秀吉と秀吉の召喚獣は僕のところにやってくる。
「?どしたの秀吉?」
「……いやなに。ちょっと仕掛けをじゃな。造!すまぬが来てくれぬか?」
秀吉は僕のところに来ると、ついでに造も呼びだした。んー……ひょっとして雄二の件で何か相談したいのかな?造もトコトコやって来たけど……
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