二次創作小説(紙ほか)
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- バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
- 日時: 2016/03/25 21:41
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド
【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】
の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。
暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」
明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!
体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。
———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照
5〜5.5章及び各種設定 【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照
6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5 103時間目>>8-11 104時間目>>12-16 105時間目>>20-23
106時間目>>24-28 107時間目>>29-32 108時間目>>33-36 109時間目>>37-40
110時間目>>41-44 111時間目>>45-48 112時間目>>49-52 113時間目>>53-56
114時間目>>59-62 115時間目>>63-66 116時間目>>67-70 117時間目>>73-76
118時間目>>80-83 119時間目>>84-87 120時間目>>91-94 121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79
6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132
週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138
ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178
召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196
寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221
7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330
7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350
文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355
彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編
おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編
8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編
———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278
———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279
お知らせ>>270
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑦ ( No.168 )
- 日時: 2015/10/23 20:55
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
とんでもない爆弾発言を投下したからさあ大変。その発言はみるみるうちに広がって———
『そうだよね!眠り姫って確か王子さまのキスで目を覚ますんだよね!』
『白雪姫もそんな感じだったし……王子さまがいるならやっぱりキスじゃない?』
『キース!キース!キース♪』
と、まあこんな具合に、気が付けば観客席の小学生が王子である秀吉の召喚獣に向かって全員キスコール。明久に美波に瑞希、康太に雄二に造はそんな小学生たちのこの反応に、
「「「「《(……さ、最近の小学生って強い……)》」」」」
物凄く慄き戸惑いながら冷や汗を掻く始末。次の展開はキスなんて入っていない為、舞台に上がっている明久たちやナレーターの美波もこの状況をどうするのかチラリと秀吉を見る。が、そんな秀吉はと言うと一人冷静に———
「いやいや。睦月小学校のみんな、僕は絶対にそんな事はしないよ」
『『『えー!どうしてー!』』』
「それはね……眠っている女の子に無理やりキスするなんて、王子さま失格だからだよ。男の子のみんな、間違ってもそんな大人にはなっちゃダメだからねー!王子さまとの約束だよー!いいねー?」
「「「《(か、返しが上手い……!)》」」」
『そっかー!無理やりはいけないんだねー』
『んー?でもうちのおとーさんって、時々夜寝ているおかーさんにチューするよー?』
『あ、それぼくのうちもそうだよ?』
『うちもうちもー!』
『『『ちょっと!?なんて事言うんだい!?』』』
『『『……あ、アナタ?』』』
『『『え!?い、いや……そのぅ……』』』
「……コホン。それはね、みんなのお父さんとお母さんが仲が良いって証拠だからだよ。それも色んな意味で大人になればわかると思うからねー」
———こんな具合に見事に大人な対応を。観客席の保護者の皆さまへのフォローも忘れないあたり、演劇中の秀吉には誰も敵わないのかもしれない。
【え、えっと……と、とにかく姫を起こす方法がわからずに、困り果てた王子さまたち。と、そんな時誰かがいばらのお城に入ってくる音が聞こえてくるではありませんか!】
何とか気を取り直した美波のナレーションと共に、眠り姫が眠る部屋の扉をバンッ!と開ける人影が。慌てて王子たちはそれぞれの武器を構える事に。
「むむむ、この城に入ってくるとは……一体何者だ!」
「それはこっちの台詞です!あなたたち、一体何者ですかっ!私の大事なお友達の眠り姫ちゃんに何をする気ですか!?」
「「「「……え?」」」」
「私が折角悪い人たちから眠り姫ちゃんを守ろうといばらさんでお城を囲っていたのに、何でそのいばらさんを根こそぎやっつけちゃうんですか!?悪い人たちなら容赦しませんよ!」
そう言って颯爽と現れたのは、薄紫色のローブを身に纏い杖を構える魔法使い———瑞希の召喚獣だ。これでようやくメンバー全員が登場した事になる。
【ここで現れたのは素晴らしい力を持つとても良き魔法使いでした。何でもこの良き魔法使いは呪いにより眠り続ける眠り姫のお友達で、眠り姫を悪い人たちから守る為にお城にいばらを囲ったと言います】
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑦ ( No.169 )
- 日時: 2015/10/23 21:09
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「なるほど……それは悪かったね。実は僕らは鬼ヶ島へ行く途中だったんだよ」
「え!?お、鬼ヶ島にですか!?それはまたどうして……?」
「僕らは欲しいものがあるからね。それで最後にここに辿り着いたんだけど」
「このいばらがボクたちを通さなかったから、とりあえず取っ払う事にしたんだよ」
「…………そうしたらこの城で」
「この眠りっぱなしのお姫さんに会ったってわけだな」
王子たちが魔法使いにそうやって説明すると、その魔法使いはしばらく考え込むように手を顎に当ててから、何か決意したように王子たちを見据える。そして———
「いばらさんたちを軽々とやっつけたあなたたちの力を見込んで頼みがあります。鬼ヶ島へ向かわれるのでしたら……どうかこの眠り姫ちゃんも連れて行ってあげてくれませんか?」
「「「「……眠り姫も?それまたどうして?」」」」
「実はこの子……悪い鬼に呪われて、眠り続けていると聞きます。皆さんが鬼ヶ島へ行くならば、この子も連れて行ってどうかこの子の呪いを解いてはくれませんか?お願いします」
【そう言って頭を下げてお願いする良き魔法使い。そして勿論、そんな魔法使いの一生懸命なお願いを聞かないような四人ではありません】
「勿論だとも!この眠り姫の呪い、僕らが必ず解いてみせるよ!」
「「「おうっ!」」」
【その頼もしい言葉を聞いた良き魔法使いは、花が咲いたような笑顔を浮かべて———】
「ありがとうございます!それでは……折角なので私がみなさんをレベルアップさせる魔法のきび団子(自家製)を差し上げましょうっ!」
「「「「《…………What?》」」」」
「いきますよー!ラブリーピンキープルル——ン♪」
【そう言って良き魔法使いが杖を持ち呪文を唱えると……魔法のきび団子がポンッ!と何処からともなく現れます】
「さぁ、これさえ食べれば皆さんたちまちレベルアップ!ついでに鬼ヶ島までひとっ飛びです。えへへ♪」
「「「「《(……あの世までひとっ飛びってオチじゃないよね?)》」」」」
瑞希の召喚獣から誕生したきび団子なだけあって、いつもの姫路瑞希の殺人料理被害者の会のメンバー全員少々引いている模様。特にフィードバックがあり、更に常日頃から瑞希の殺人料理を食べている明久はこの後の展開を予測しているかのように捨てられた子犬のように震えている始末。
「「「「わー!なんておいしそうなんだろうー(棒)」」」」
【(アキに皆……だ、大丈夫よね?流石に召喚獣が作ったもの食べるわけだし……?)えっと、王子さまとライオンとカカシとロボットはそれはそれはおいしそうにきび団子を頬張りました】
とりあえず、次の演目もある以上さっさと食べなければならない四人は、意を決してソレを食べる事に。
《(み、皆さん大丈夫ですよね……?姫路さんの召喚獣から生まれた惨物———もとい産物とは言え、流石に命を刈られるなんてことは……)》
「あ、それから眠り姫ちゃんも食べましょうねー♪」
《……っ!?(何故に!?)》
そしてどう言うわけか眠り姫である造にも、その魔法のきび団子を食べさせようとする魔法使い。眠り姫に無理やり———コホン、優しく口を開けさせて魔法使いはきび団子を一つほおりこむ。そして……
「「「「《(パクッ! ゴクン)…………っ!?ぎゃあああああああああああああああ!?》」」」」
…………何故か演出には無かったが舞台に夜空が浮かび上がり、星が五つばかり流れる。それはまるで五つの尊くも儚い命が流れるかの如く。
〜舞台暗転:次の場面〜
———舞台:鬼ヶ島———
【こ、こうして魔法使いの力でレベルアップしたライオンとカカシとロボット、それに王子さまに眠り姫は……全員魔法使いの言った通り鬼ヶ島までひとっ飛びで辿り着きました】
そう、美波の言った通り現在背景は禍々しい鬼ヶ島へと変わっている。そして瑞希の召喚獣の特製きび団子を食べた五人はと言うと———
「…………ゴホッ」
ライオンは魂が抜けかけ、白目になって泡を吹いて気絶して、
「…………ウグゥ」
カカシは魂が抜けかけ、身体を支えていた竿も無残に折れてうつ伏せに倒れており、
「…………グググ」
ロボットは魂が抜けかけ、ネジや中の部品が飛び出てショート寸前になり、
「《…………キュゥ》」
そして王子と眠り姫は魂が抜けかけ、お互いに寄り添うように安らかに眠るように倒れていた。そうそう、ついでに恐らく皆様予想通りであるだろうが、
「《…………(チーン)》」
「お、おい!?明久しっかりしろ!?目ぇ開けやがれこのバカ!?オイィ!?」
「あ、アキっ!?ま、まさかこれって……瑞希の召喚獣が生成したきび団子を食べた事によるフィードバック!?」
「…………おい、あれ造もリアルに倒れてないか!?」
「な、なんて威力なのじゃ!?造、気をしっかり持つのじゃぞ……!」
明久と造はフィードバックにより、二人で召喚獣共々本当に魂が抜けかけていたそうな。流石は瑞希が召喚した召喚獣の創ったきび団子。召喚者に似て対召喚獣用の最凶最悪の化学兵器を創りだしてしまったようだ。
【と、とりあえずようやく念願の鬼ヶ島へと辿り着いた王子さま一行。四人は眠っている眠り姫を連れて、鬼ヶ島の中へと入っていきます】
現在約二名が生死の境を彷徨ってはいるが、こうしてようやく物語も終盤を迎える事に。さてさて、これから一体何が待っているのか。と言うより、造&明久は色んな意味で大丈夫なのやら……?
「《…………あ、迎えに来た天使が見える……》」
「「「「ちょっと!?本当に二人とも大丈夫なの!?」」」」
「???明久君に月野君、どうかしたんですか?」
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑧ ( No.170 )
- 日時: 2015/10/30 21:03
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
———舞台:鬼ヶ島———
【魔法使いの(ある意味最凶の)魔法のきび団子の力によって、鬼ヶ島まで辿り着いた王子さまたち一行は眠り姫を連れて鬼ヶ島の中を進みます】
王子とカカシたち三人(人ではないが)のお供、そして眠り姫は鬼ヶ島の中をずんずん進んでいく。ちなみに眠っている姫役であるため、動けない造は王子である秀吉の召喚獣が背負う形で移動しているとか。
「へぇ〜?ここが鬼ヶ島かー……思った以上に暗くてどんよりした場所だね。こんな所に籠って、鬼は何が楽しいんだろうね」
「…………引きこもり共の考えはよくわからない」
「まあ、こんな薄汚れた島にいるわけだし、きっと趣味が悪くて気持ち悪い奴らだろうさ」
「えーっと……カカシ君たち。いつどこから鬼が出てくるかわからないしそろそろ静かにしようか。と言うか鬼相手に随分余裕というか言いたい放題と言うか……君たち痛い目見ても知らないよ?」
《すー……すー……》
そうそう、話は変わるが瑞希のきび団子でリアルにノックアウトされかけていた明久と造は(多少造にまだダメージが残っているようだが)何とか自力で回復したとの事。日々食べ続けている明久と、そんな明久を気に病んで食べるのを手伝うことが多い造だからこその超回復なのだろう。瑞希の料理を食べて生き残りたいなら、慣れや耐性は必須だそうだ。
「(……慣れるって言っても、本気で危ないところまで飛ばされることもあるんだけどね)」
「(……そうね。それに何だか最近、瑞希も瑞希で料理の威力(?)上がってきてるし)」
《(……確かにそうですよね。耐性が出来たと思ったら新たに強力な料理が生み出させるワケですし)》
余談だが……瑞希の手料理(殺)を食べる回数が一番多いのは勿論明久で、次いで明久の負担を減らす為に食べる美波と造。そして最後に明久によって無理やり食べさせられる雄二たちであるそうな。まあ、その辺は今はどうでもいい為一旦置いておくとして、
「「《(ちょっと!?どうでもいいって何!?と言うか置いていかないで!?)》」」
———それは置いておくとして、とにかくこの演劇に戻ろう。鬼ヶ島の中を慎重に進んでいく王子たちは、やがて鬼ヶ島の最奥の大きな門の前まで辿り着く。四人は眠り姫を安全な場所に降ろして武器を構えつつ、その門に耳を当てて様子を窺う。
「……いるな。まだこっちには気が付いていないようだが」
「…………(コクン)複数の鬼の気配」
「……何の話かわからないけど、話に夢中になっているね」」
「……そうだね。だったら油断している今が絶好のチャンスかな?」
【そうして四人はそれぞれの武器を握りしめて、勢いよく門を破り中へと入っていきます。そんな四人が見たものとは———】
「「「「…………何だ、コレ……?」」」」
———舞台裏———
……ところ変わって安全な場所に置いて行かれた眠り姫役の造はと言うと、本来なら王子たちが鬼を退治して目を覚ますという脚本故に、出番らしい出番がラストシーンだけとなっているハズだったのだが———
《ネー ツクル♪ ツクルは もっと 活躍 したいよ ネー! ツクルの 出番 アレダケ なんて 勿体 ナイヨ ねー!》
《…………はい?》
《文は ねー! ツクルの 綺麗で カッコイイ ところ ミタイー!》
《…………えっと、文さん?》
———舞台裏で何やらキラキラと目を輝かせてそんな事を言う文に遭遇した造。この時造は、この文の満面の笑みを見て直感したそうな。『最終章に来て、何かとてつもなく妙な事になりそうな気がします』……と。
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑧ ( No.171 )
- 日時: 2015/10/30 21:05
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
———舞台:鬼ヶ島内部———
「「「「…………何だ、コレ……?」」」」
門を破り中へ侵入した王子たちの……いや、その召喚者である秀吉や明久たちの目に映ったものは———
《諸君、異端審問会とは……?》
《《《最後の審判を下す法廷であります!》》》
《異端者には……?》
《《《死の鉄槌を!!》》》
《男とは……?》
《《《愛を捨て、哀に生きるものであります!!!》》》
「「「「(何で……FFF団が……?)」」」」
「「(Fクラスの召喚獣……?)」」
———四人や瑞希や美波の、そして観客の目に映ったものは……一応鬼の姿をしてはいるが、それは紛れもなく異端審問会用の黒い覆面を被ったFFF団の召喚獣であり、そしてその召喚主たちのいつものFクラスの日常を見事に再現している光景であった。
「……おいババァ、何だこれ?何でまたFクラスの連中の召喚獣がいやがる?」
「あん?……ああ、これかい。どうせ鬼の配役が足んないだろうから、自動操縦で動かせる召喚獣をこしらえたまでさね」
そう、学園長の言う通り鬼の配役が足りなかった為、学園長と文がFクラス男子諸君の召喚獣のデータを使ったノンプレイヤーキャラクターを創りだしたそうな。ちなみに自動操縦である為、あの会話や行動は召喚者の日常を映し出しているとの事。まあ、ただ今回が召喚獣自体が演劇仕様に変わっている為、ある程度演劇に合った会話に変換されているそうではあるが。
「いやそれはわかりますけど、何でまたFクラスの皆の召喚獣を使ったんですかババァ長?」
「決まってんだろ。点数が低い連中の召喚獣なら暴走しないと思ってね」
「「「「あー……なるほど。でも学園長(ババァ長)———」」」」
《諸君らの言う通り、それが異端審問会の鉄の掟だ……が、この鬼Aは罪を犯した。自分一人だけ他の島の女の子に告白した疑いがある》
《ち、違っ———》
《残念だがすでに裏が取れている。どうやら事実に相違ないようだ。被告鬼、言い残す事は?》
《ま、待て!落ち着いて話し合おうじゃないか!》
《聞く気になれんなァ!有罪に決まっておろうがッ!》
《《《会長……刑は?》》》》
《そうだな……鬼だけに火あぶり地獄に》
《《《了解であります!!!》》》
《ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!》
「「「「———別の意味で暴走しているように見えるけど……」」」」
「……まあアタシもこんな事なら、Eクラスくらいの召喚獣にしておけばよかったって後悔してるけどね」
そう言って暴走以上に酷い光景を見せるFFF団の召喚獣に、苦々しい顔で頭を抱える学園長。流石の明久たちも“学園長(ババァ長)も多少は苦労しているのか……?”と思ったとか。
《なんか変なオニだねー?》
《知ってるよー!アレってシットっていうんだよね!》
《ねたみとも言うらしいよ!》
《オニもシットしたりねたんだりするのかな?》
《するんじゃないの?うちのお兄ちゃんもあんな感じだし》
《《《あーそう言えばうちもー!》》》
ちなみに、そんな召喚獣版のFFF団でさえも観客の小学生たちには受け入れられているとの事。この町の住人はつくづく順応性が高いものである。その分常識に欠けるところも多々あるが……
【え、えっと……王子さまたちの目に映ったものは、鬼同士で喧嘩(仲間割れ?)をしている光景でした。あまりに熱中し過ぎてか、鬼たちは門が破られて王子さまたちが入って来たことに全員全く気が付いていないようです】
《他に異端鬼はいないだろうな?裏切り鬼は粛正せねばならん》
《会長、それが……残念な事に他にも鬼B、鬼Cも善からぬ噂が……》
《ふむ。疑わしきは罰せよだ。その鬼たちも焼いてこい》
《《なっ!り、理不尽なっ!?お、俺たちはちょっと女の子と話をしただけ———》》
《《《———罪を認めたな?会長、焼いてきます!》》》
《うむ、ご苦労。上手に焼いてこい》
「「「「…………」」」」
ある意味いつもの光景とは言え、流石の明久や秀吉たちも若干引きながらその召喚獣たちの様子を見る。まあコレがいつもの光景になっている時点で何かおかしいのだが、それは一旦置いておくとして……
「あー……本当に気が付いてないね?どうしようカカシ君たち?」
「そりゃ決まっているじゃないか王子さま」
「…………これはチャンス」
「だな。油断している間にやっちまうか」
「「「「そうと決まれば……行くぞっ!」」」」
《《《んなっ!?な、何ごとだ……!?ま、まさか侵入者だとっ!?》》》
- 番外編:ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜その⑧ ( No.172 )
- 日時: 2015/10/30 21:08
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
【そう言って気を取り直した王子さまたちは一気に攻め込みます。自分たちの事で夢中になっていた鬼たちも、ようやく侵入者である王子さまたちに気が付きましたがすでに遅く———】
と、ここからはちょっとした戦闘シーンを魅せる王子たち。ちなみにこの戦闘シーンは試験召喚獣を使った人形劇が舞台である為、観客にちょっとした試召戦争を見て貰えると言うある意味一石二鳥の戦闘シーンだとか。
【———ライオンは“百獣の王”の名に恥じないその鋭い爪と牙を悠々と使い鬼たちを噛み付き切り裂き、ロボットは自慢のその鋼鉄の身体を武器に鬼をまとめて投げ飛ばします】
「オラオラどうした!鬼ってもんはこんなもんか!えぇ?まだあの国の姫の方が何千倍も恐ろしかったぜぇ?」
「…………雑魚が。まるで話にならん」
《《ち、ちくしょう、なんて容赦ないんだ……てか、いきなり襲うなんて鬼かアンタら!?》》
「「お前らが鬼だろうが。それに……油断してた方が悪い」」
《《外道っ!悪魔っ!鬼ィ!》》
「「だからそれを鬼が言うな(っての)」」
【そしてカカシは……えっと、持っていた自分を支える竿を使って巧みに鬼たちを翻弄しなぎ倒します】
「いやいや“竿”って……最初から気になってたんだけど、他の皆と違って何かボクだけ武器がしょぼい気がするんだけどどういう事さ?」
《クソッ……見た目が雑魚でバカなカカシなのにコイツ強いぞ!?》
《バカなカカシの癖にチョロチョロ動きまわって……的が絞りにくい》
《あのライオンやロボットにやられるならともかく、何でこんな雑魚に……》
「まあ、逃げ脚だけは一丁前なバカなカカシだからな」
「そしてどうして雄———じゃなくてライオンもキミたちも必ずって言っていいほど、ボクを侮辱するのかな!?」
《《《「そりゃ……お前がバカだからだろ?」》》》
「どう言う意味さ!?ええぃ怒ったぞ!とりあえずバカって言った奴は覚悟しろっ!ライオンも後で覚悟しておけよ!」
【勿論王子さまだってお供の三人に負けていません。見事なまでの剣捌きで鬼を次々に切り倒していきます】
《《《お嬢さん!是非俺から切ってくださいっ!》》》
「……君たちは一体何を言っているの?後、一応言っておくけど———僕は男だっ!」
《《《グハッ……お、お譲さん、ありがとうございますっ!》》》
「何で切られて喜ぶの!?それと僕はだから男で王子何だってばっ!?」
そうそう、お分かりだとは思うが明久や秀吉たち以外のFクラスの召喚獣は自動で動いている為、演技ではなくリアルに点数を削り合う召喚獣同士の闘いが勃発している。正直召喚元が召喚元だけに何だか物凄くカオスでシュールな殺陣となっているが、実際の試召戦争に近いだけあって観客席から『おぉ……』と感嘆の声がもれる。
〜王子&三バカお供戦闘中〜
【ただでさえ強いうえに魔法使いの特製きび団子を食べてパワーアップした四人に、鬼たちは手も足も出ません。そしてあっという間に鬼たちは追い詰められました】
しばらく殺戮シーン———コホン、戦闘シーンが展開させたが二,三分後ボコボコにされてお互いに身を寄せ合い震える鬼たちを見下ろす王子たち一行の図が出来上がっていた。これは誰がどう見ても王子たちが悪役です、本当にありがとうございました。
「さあ、どうするのさ?もうこれで後がないよね?」
「…………大人しく武器を捨てて降参しろ」
「まあ、お前らが俺らの要求を呑むんならトドメは待ってやっても良いぞ?」
「……えっと、ライオン君たち?何だか物凄くこっちが悪役っぽく聞こえるんだけど、絶対気のせいじゃないよねコレ?」
【そう言って王子さまたちは優しく優しく鬼たちに交渉を持ちかけます。鬼たちは強い上にちゃんと交渉を持ちかけてくれる王子さまたちに感動して改心します】
《《《(ボソッ)お嬢さんはともかくあの三バカ———いや、あの三鬼め……》》》
「「「あぁ?何か言ったか鬼共?」」」
《《《な、何でもないッス!!!》》》
これは交渉と言うよりも……どう考えても恐喝である。確かにこれではどちらが鬼なのかわからない。ある意味鬼たちには同情せざるを得ないだろう。
「ともかく君たちには奪ったお宝を返して眠り姫の呪いを解いて貰うよ」
「そう言うこった。ホレ、お前ら出すもんさっさと出しな」
「あ!雄———じゃなくてライオンっ!キサマお宝を一人占めしようとか考えてないよね!?」
「…………抜け駆けは許さない」
「ったく、やかましいな。んなことするわけねーだろ」
「えーっと……まあとりあえずお願いね」
《《《は、はい……》》》
【さて、王子さまたちの交渉に応じた鬼たちは奪った宝を王子さまたちに渡して、あの眠り姫の呪いを解くと約束してくれました。こうしてめでたく王子さまたちは———】
《ちょっと マッタ! そうは いかない よー!》
「「「「「「…………え?」」」」」」
———本来なら秀吉が書き換えた台本ではここで王道に沿って“王子さまたちはお宝を手に入れて、眠り姫の呪いも解けめでたしめでたし”になり幕が降りる……ハズだった舞台に、突如響き渡る少々間の抜けた声。
《まだまだ 終わらない よー♪ お姫さまは いただいた ヨー!》
「「「「「「…………え?えぇ!?」」」」」」
その声と共に、背景の鬼ヶ島は不気味に暗雲が立ち籠る。コレには出演している明久たちもナレーターをやっている美波&瑞希も、そして舞台に慣れている秀吉でさえも台本にも無ければ何の予告も無い謎の演出に固まってしまう。
そう、そこには生粋のトラブルメイカー《文》自身が、鬼の親分役として造———いや、眠り姫を抱きかかえてどこぞの魔王のように佇んでいた……唯でさえトンデモ台本に加えて、やはり黙っていなかった文の乱入。この劇は何処へ向かって行くのやら?と言うか本当に幕を降ろせるのであろうか?
《(…………文さん、後で本気で説教ですからね……)》
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