二次創作小説(紙ほか)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
日時: 2016/03/25 21:41
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド

【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】

の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。


暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?

『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』

『『『『お願いします!』』』』

「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」

『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』

毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)

「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」

明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!


体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。


———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照

5〜5.5章及び各種設定  【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照

6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5   103時間目>>8-11  104時間目>>12-16  105時間目>>20-23
106時間目>>24-28  107時間目>>29-32  108時間目>>33-36  109時間目>>37-40
110時間目>>41-44  111時間目>>45-48  112時間目>>49-52  113時間目>>53-56
114時間目>>59-62  115時間目>>63-66  116時間目>>67-70  117時間目>>73-76
118時間目>>80-83  119時間目>>84-87  120時間目>>91-94  121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79

6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132

週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138

ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178

召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196

寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221

7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330

7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350

文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355

彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編

おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編

8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編

———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278

———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279

お知らせ>>270

110時間目 僕らとチアと召喚野球〜須川君自重しろ〜 ( No.43 )
日時: 2015/08/02 21:41
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

明久Side


『———トライッ。バッターアウッ!』

審判のコールが響き、一番バッターの美波が戻ってくる。うーむ、流石三年生のAクラスだけあって球の速度・コントロールと共に申し分ないね。

「ごめん。あれは打てないわ……」
「気にするな島田。点数差が点数差だ」
「美波、とりあえずまだ始まったばかりだし落ち着いて一回は様子見しよう」
《ですね……まだ全然目が慣れていませんもん》

なんせ僕らは勿論初戦のEクラスに比べても、点数でも操作技術でも相手の方が一枚も二枚も上手だ。まずは少しでもボールに慣れることから始めないとね。寧ろこの回の科目は化学なんだけど、それが得意教科でもないにもかかわらず必死に喰らいつきフルカウントまで持ちこんだ美波は十分賞賛に値するだろう。

あ、そうそうちなみに今回の勝負での打順と守備位置は—————


———VS3−Aクラス 守備位置・打順表———


1番 サード    島田美波
2番 ショート   須川亮
3番 ピッチャー  吉井明久
4番 キャッチャー 坂本雄二
5番 ライト    姫路瑞希
6番 セカンド   土屋康太(ムッツリーニ)
7番 レフト    君島博
8番 ファースト  福村幸平
9番 センター   月野造

ベンチ 横溝浩二 木下秀吉


—————ってな感じだ。雄二曰く今回の作戦で重要なのは、雄二がどのタイミングで腕輪を使うかと瑞希の抑え。そして何よりその瑞希の球をきっちり捕る事が出来る造にかかっているらしい。守備は二人に、特にフィードバックによる疲れが懸念される造に任せっきりになる分、僕らでなるべく一点でも取らなきゃね。造の負担を減らす為に打順が回りにくい9番に置いたのはその為だってさ。

あ、ちなみに何で最初から瑞希と造をピッチャーとキャッチャーにしないかだけど、瑞希に少しでも野球に慣れて貰う為に、そして2回は科目が英語だから造がまだ出せない為だそうだ。まあ、造の英語はちょっとアレだから仕方ないね。一回と二回はそれまで何とか僕と雄二で抑えられるよう頑張ろう。

『っしゃあ!やってやるぜっ!試獣召喚(サモン)っ!』

美波に続き、2番打者の須川君がやけに気合いを入れて召喚を開始しバッターボックスへと入る。さてさて、戦力差はどんな感じで……


≪Aクラス 夏川俊平 化学 244点≫
         VS
≪Fクラス 須川亮  化学  59点≫


うん、須川君はともかく流石は三年のAクラスだね。中々に高い点だ。あっちの方は夏川って先輩がピッチャーで常村って先輩がキャッチャーのバッテリーを組んでいる。あの先輩たちとは何かと因縁があるね。色んな意味で。戦力差もはっきりしてるしこりゃ攻略は中々厳しそうだ。

『ほう?随分気合い入ってんな。……俺も全力で相手するぞ!』

マウンドに立つ坊主頭の夏川先輩が、楽しそうに須川君に言ってくる。何だかこの先輩(と常村先輩)って最初に会った時と比べると、良い意味で本当に印象が変わったなって思う。

110時間目 僕らとチアと召喚野球〜須川君自重しろ〜 ( No.44 )
日時: 2015/08/03 00:30
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

そんなことを考えていると早速先輩の召喚獣が投球の構えを取り、大きく振りかぶり力を込めてボールを放る。

『ットライ!』

瞬きする間に、ボールはミットへと吸い込まれていった。くっ……やっぱり早いね。須川君もまるで目を皿のようにして真剣に見ていたけど、どうやら見逃したようだ。

先輩は満足そうにニッと笑い、続く二球目をまたまた際どいコースに投げてきた。

『ットライ!ツー』

これも見逃し2ストライク。……どうしたんだろう?何だか須川君、ボールと言うより別の何かを狙っているみたいだけど……?

『さあ!そろそろ手を出さないとまずいぞ?打てるなら打ってこいっ!』

先輩が須川君にそう言ってくるけど……須川君は黙って、それでも何かを見て分析しているようだ。これは……もしや一回の攻撃を犠牲に相手の弱点でも見定めようとしているのだろうか。

立て続けに3球目を先輩はさっきと同じモーションで————さっきよりも遅いボールを投げてきた。こ、これってチェンジアップ!?ここに来てこんなことまでするなんてっ!?これじゃ間が外されて……

『っ!見えたっ!予想通りっ!!』
『何っ!?』

ええっ!?“見えた”だって!?おまけに“予想通り”って……!?ま、まさかこのチェンジアップを狙っていたのか須川君!?やるな須川君っ!見なおしたぞ!そしてその宣言通り、遅めのボールを狙い澄ましバットを振り切———





———らず、見逃した。うん、見事に見逃し三振だね☆っておい!?須川キサマっ!?見えたんじゃなかったのかっ!?

『え、えっと。ストライッ!バッターアウッ!』
『…………び、ビビったぞ……?』
『…………み、見えたんじゃなかったのか?』

これには審判も、それからボールを放った夏川先輩とコースを指示していたであろう常村先輩も呆然としている。てか、拍子抜けしてるね……

「(ちょ、ちょっと須川君!何が〝見えた”だよ!?何で打たないのさ!?)」

何やらアウトになったのにやけに興奮しながら2−Fクラスのベンチに戻ってくる須川君に、弁解を求めて小声で話しかけてみる。そんな須川君はちょっと気持ち悪い笑みを浮かべたまま僕にこう返してくれる。

「(フッ、吉井。お前にも良い情報を教えてやろう。アレを見ろ)」

と、須川君は観客席の方を指差す。良い情報、ね?それは有難いけど、それにしては何で観客席なんかを?野球と何の関係があるんだろうか?とりあえず僕も釣られて指差された場所を見てみると、

《フレー フレー ツ・ク・ル♪ ガンバレ ガンバレ ツ・ク・ル♪》
『ふふっ♪月野君、ついでに皆さんも頑張ってくださいねー』

チアガール二人が楽しそうに飛んだり跳ねたりして(主に造を)応援している姿が。ん?いや、あれって確か……

「(えっと……造の妹さんの文ちゃんと、着物の先輩だね。でもあの二人がどうかしたの?何か彼女たちが重要な情報を握っているとか?)」
「(ああ……とてつもない情報だ。いいか吉井?さっきの俺の打席でちゃんと確認したんだが、あの二人———)」

と、須川君が一呼吸間を開けてから……

「(あの二人————俺の予想通り、妹ちゃんは“ピンク”で先輩の方は“黒”だった……っ!)」
「(…………)」

そうか……必死に何かを見定めようとしていたのは“パンチラ”狙いか……君は一体何を観察しているんだい?いや、まあ多少気持ちはわかるけど。一先ず須川君は無視することにして、僕はバッターボックス入る事に。全く……ちょっとは自重しないとダメじゃないか!(←エロ本の為に野球をやっているバカの心の台詞)

『かっ、会長っ!どうでしたか!?』
『お、俺らの理想郷はどんな感じで……?』
『……お前ら、アレは凄かったぞ……方や可愛らしい文字通りの“桃色”の桃源郷、方や大人のセクシーさ際立つ“黒”だったっ!』

『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』』』

『……こやつらはどこまでバカなのじゃ……?』
『本当にバカだな……野球に参加していない先輩の色香に引っかかってどうするんだ。とりあえず後でシメるの確定だな』
《こ、困りましたね。味方を応援してくれるハズの文さんが、逆に皆さんの集中力を下げているとは……》
『そうね……こんなので本当に勝てるのかしら?』
『あ、あはは……』
『…………エロは自重すべき』
『その台詞をムッツリーニに言わせたら終わりじゃのう……』

…………いつものメンバー以外のFクラスの連中は、どうやらあの着物の先輩と文ちゃんに完全に堕とされてて使い物になりそうにないね……というか、キミたちはそれで良いの?この会話って3年生の先輩たちとか先生たちに聞かれているんだけど。みんなのFクラスを見る白い目がとても辛いや……これは折角回復しつつあったFクラスの評価が下がっていくことだろう。

「あー……吉井だったか?お前のところのクラスって、その何と言うか……個性的だな?」
「あー……吉井君。私も文月に来る前も結構長いとこ教師として勤めてきましたが、その……こんなに面白いクラスは見た事がありませんよ?」
「えっと……色々とすみませんでした。先輩に先生」

キャッチャーをしていた常村先輩と、審判の先生が引きながらも言葉を選んで頑張って僕をフォローしてくれたのが地味に嬉しかった。

111時間目 真剣勝負でも〜事故は起こるさ〜 ( No.45 )
日時: 2015/08/07 21:20
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

明久Side


『ストライッ!バッターアウッ!チェンジッ!』

「ふぅ……当然だろうけど、予想してたよりしんどいね……」

僕たち2−F対先輩たち3−Aの召喚野球対決は、今何とか2回の裏を終えた。得点は【1 — 1】1回の表で2アウトながら、何とか雄二と僕の連携で一点はもぎ取ったんだけど……

「ゴメン皆……一点入れられた」
《いえ、アキさんのせいじゃないですよ。自分も止められませんでしたし》
「そうじゃの……まさかあの難しい球を狙ってホームランを打たれるとは思っておらんかったからの。明久が気に病む必要はないじゃろ」
「…………あの4番、点数も凄かった」

1回は何とか三者凡退に抑えられたんだけど……2回の裏のしょっぱなに4番の先輩(確か金田一って先輩)にホームランを打たれた。確かに点数差も凄かったけど、まさか外しのボール球を打たれるとはね。

「安心しろ明久。これが満塁のピンチだったら不味かったが、寧ろ1点で済んだんだ。その後持ち直して上手く対処出来たんだから序盤としてはいい流れだ」
「そう?……にしても、やっぱり3年生は手強いよね。まだ2回が終わったばかりなのに、完全に僕の投げるコースが読まれているみたいに打たれてたし」

1回の三者凡退が嘘みたいにガンガン打たれてたからね……まあ、満塁になるピンチはあったもののそこは雄二の的確な指示と造のカバーで何とか抑えられたけど。

《あー……それに関しては多分アキさんの言う通りこちらの手の内は読まれていると考えていいと思います》
「へ?や、やっぱり読まれてるの?」
《あはは……ほら、あちらで応援している小暮さん———つまり着物の先輩いるじゃないですか》

苦笑気味に造が指差す先には、造の妹ちゃんと例の先輩の姿が。そんな造に気が付いたのか二人とも嬉しそうに造に手を振っているけど……あの先輩がどうしたんだろう?

《えーっと、ですね。彼女どうやらアキさんたちのサインと球種を1回である程度読み切ったみたいでして……対処法とどう動けばいいかを応援席から紙飛行機飛ばして指示してますよ》

「「「「はぁっ!?」」」」

《見ててください———ほら、あんな風に》

慌ててもう一度見てみるとルーズリーフに何やら書いて、書き終えると今度は紙飛行機にして文ちゃんに渡している着物先輩の姿が。い、一体何を……?

『文さん、また紙飛行機作ったので、飛ばしゲームしましょうね♪三年生のいる場所にどっちが一番近くに飛ばせるか勝負ですよ』
《ウン! 文 負けない ヨー!》

そうして二人が紙飛行機を飛ばす先には、三年生の先輩たちのベンチ。よく見ると届いた紙飛行機を開いて先輩たちが何やら指示を出しているようだ。な、なんだこれ……

《——と、まああんな具合に小暮さんがお茶目にそして遊び心たっぷりに、三年生に指示出しているというわけでして》
「う、嘘ぉ!?と言うかそもそもたった1回の攻撃でサインとか傾向とかわかるものなの!?」
《そこはまあ……小暮さんですし》
「マジかよ……ちぃ、やっぱりあの先輩は油断ならねえな」

いや、油断してなくても勝てる気がしないんだけど……?何で野球に参加していない先輩にここまで苦しませられるのだろうか。戦友たちは色気にやられて使い物にならないし、確かに僕の投げるコースも球種も見破られていた。造の言う通りあの先輩ってある意味最強なのかもしれないね。

「だがまあ、次からは姫路と造のバッテリーだ。急には流れは読めんだろうし、こっからが腕の見せ所だな」
《おっと、そでしたね……では、その前に一点稼いでおきましょう》

そんなことを言いながら、造はトコトコとネクストバッターボックスに入る。幸いにも3回の科目は造が最も得意とする現代国語。造ならここで一発決めてくれるだろう。……何でも造曰く現国なら点は十分且つ風の能力がある以上、例え敬遠されても敬遠球ごとバックスクリーンに叩き込めるそうだ。何それ凄い。

『ストライッ!バッターアウッ!』

8番の福村君が三振(って言っても、須川君同様にあの着物先輩と文ちゃんに見惚れていただけっぽいけど)でツーアウト。ここは流れをこっちに持って来て貰う為にも、造に一点入れてもらおう。

111時間目 真剣勝負でも〜事故は起こるさ〜 ( No.46 )
日時: 2015/08/07 20:57
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

『あら♪文さん、待ちに待った月野君の出番のようですよ』
《ホント だー♪ ツクル ガンバ! ガンバ♪》
『ふふふ♪頑張ってくださいね〜♪』

応援席で応援している文ちゃんと着物先輩が造の出番により一層力を込めて応援している。……にしても、あの先輩は自分のクラスは応援しなくていいのかな?いや、一応作戦は指示しているらしいし、応援は自由だろうけど。

造もそれに気が付いているみたいで苦笑いをしながらバッターボックスに入る。さてさて、得点差は一体———


≪Aクラス 夏川俊平 現代国語 236点≫
         VS
≪Fクラス 月野造  現代国語 582点≫


———あれれ〜?おかしいなぁ?あの先輩の点数って低いわけじゃないし、かなりの実力があるはずなんだけど……点数差2倍以上ってどういうことなの……?

「……改めて思うけど、造が味方で良かったよね」
「……だな。もし造が何も問題なく3年生として俺らと拳を交える事があったと思うと……」
「……もう手が付けられんかったじゃろうな。英語以外は」
「…………圧倒的戦力」
「……い、いや。保健体育限定ならムッツリーニも人の事言えないけどさ」

正直言って僕がもし造と戦う事があったら、間違いなく撤退をせざるを得ないだろう。点数的に教師たちや保健体育でムッツリーニを相手にしなきゃならないのと同じわけだし。この様子じゃ向こうの先輩たちも戦意を喪失して———あれ?

《よろしくです、ツネ・ナツ》
『月野か……ふむ。お前の事だ、間違いなく敬遠しても召喚獣の能力使ってそのまま打ってくるだろうな』
『ここは敢えて勝負だな。速球且つ重い球なら、その点でもそう易々とは打てないはずだ』
《たはは……読まれてますね。ちゃんと目で追えないと打てませんからね》

……凄い。どうやら先輩たちは冷静に造を抑えようとしているみたいだ。敬遠を打ってくるってところも読んでいるみたいだし。

造も先輩たちも真剣そうな顔で……まずは第一球————


バシィ!


『————ス、ストライッ!』

…………は、速い!?なんて速球を……流石の造も追いつけなかったようだ。今まで投げていた球に比べても、最高速度みたいだ。続く二球目。先輩の召喚獣は大きく振りかぶり渾身の力で投げ込む。これは……


バシィ!


『ボールッ!』

さっきと同じく目に負えないほどの速球で投げてきた。まあ、これはボールだからいいんだけど。

「……どうやら向こうさん、フォアボールになってでも力負けしないボールを投げるつもりだな」
「???どう言うこと雄二?」
「まあ、簡単なことだ。さっき先輩二人が言っていたように造のあの点数且つ、能力が付加されたバットならどこ投げても、敬遠球さえ打たれちまうだろ?生半可なボールじゃホームランにされちまう。だったら造本人が目で追えないボール、且つ重いボールを投げるしかねえ。この際コントロールや力配分は無視してやがるな。……見てみろ」

と、雄二がキャッチャー(確か常村先輩)を指差す。どれどれ?

『ボールッ!』


≪Aクラス 常村勇作 現国 225点 →Aクラス 常村勇作 現国 203点≫


「あれ?捕り損なってもいないのに……点が減った?」
「あれだけの剛速球且つ、点数もそれなりにあるんだ。そりゃ持ち点も減るだろうさ」
「む?じゃがそれならワシらにとっては有利になるのではないか?」
「そうでもないさ。投手ならいざ知らず捕球側は基本的に戦死にだけ気を付ければいいんだ。多分だが向こうさんの考えとしては『三振になれば儲け物。ここは月野を歩かせてでも、打たせないように』って感じだろう」
「…………あの点数差なら、それが一番正しいかもな」

111時間目 真剣勝負でも〜事故は起こるさ〜 ( No.47 )
日時: 2015/08/07 21:02
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

そうか、下手に投げて一点を取られるより全力で投げて打たせないようにした方がいいってことだね。敬遠球を投げれば打たれるってことも想定済みみたいだ。塁に誰もいないわけだし別にフォアボールになってもホームランよりずっとマシ。少なくとも次でアウトにすれば良いわけか。むむむ……中々力技なようで考えてあるね。

『ボールッ!』

気がつけば1ストライク3ボール。出来れば単発でも打って一点を貰いたいけど、ここは造は歩くしかないのかな?そんなことを考えていると、先輩の召喚獣が力強く5球目を……

『あっ……!?』


ゴスッ!


『あ……デ、デッドボール!一塁へ』

《痛っ〜〜〜〜〜〜〜!?にゅおぉおおおおお……っ!》
『わ、ワリィ月野!?召喚獣を力ませ過ぎた!?』
『お、おい……大丈夫か?メチャクチャ良い音したんだが』
《ぷ、プロ野球選手って……大変な職業なんですね……おおぅ、地味に効きました……》

『月野君!……かなり痛そうですね。平気……ではないようですね』
《! ツクル!? 大丈夫!?》

……造の左手にジャストミートさせた。あー……アレは痛い……僕と造にはフィードバックがあるからね。おまけにさっき雄二が言った通り、先輩は全力投球しているからその威力は半端ないものだろう。

≪Fクラス 月野造 現国 582点 →Fクラス 月野造 現国 425点≫

流石に200点越えしている召喚獣が放つボールをノーガードで受けただけあって、150点以上点が削られていた。僕や造の場合フィードバックもさることながら、召喚獣の点数が自身の体力にも直結するからあれは辛い。僕の感覚的に言うといきなりあれだけの点数が減らされると100メートルを一気に駆け抜けた疲労感が来る感じだって言えば伝わるかな。

「って言うか……半分は僕らのせいでもあるけど、造って今までも結構散々な目に遭ってるよね」
「ああ……生まれながらのトラブル吸引機っぽいしな。後でなんか奢ってやるか」
「それより治療の方が先じゃろな……この場合は疲労の方じゃからどうこうできるものでもないがの」
「アキもそうだけど……フィードバックって大変なのね」
「そうですね……月野君大丈夫でしょうか?」
「…………何か甘いものでも用意しておこう」

皆の心配をよそに、涙目で蹲っていた造がようやく起き出す。まだ多少痛そうだけどもう良いのかな……?

《痛ぅ……も、もう大丈夫です。気にしないでください。一塁行きますね?》
『すまんな……そういや月野にはフィードバックがあるんだったな』
《いえいえ。こればかりは事故ですし。別にどうってことないので平気ですよ。気にしないでくださいね》

まあそれでも戦死したわけじゃないし、問題は無さそうなので造は笑顔で(痛みで顔がちょっと引きつってたけど)一塁へ。造はホントに頑張ってるよね……造が塁に出てくれたんだ。僕らもここは一点でも入れないとね……!

『ああ……良かったです。月野君平気みたいですね、文さん』
《…… …… …… うん》
『あら?文さんどうしたのですか?少し顔色が悪いように見えますよ。それに一体どちらに……?』
《…… …… …… チョット 公平に 設定 し直してくる ねー》
『……?何の設定ですか?』
《アオイは 文の 分も 応援 してて ねー! 文 すぐに 戻る からー♪》


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。