二次創作小説(紙ほか)
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- バカな自分は召喚獣? 〜二学期編〜 お知らせあり>>270
- 日時: 2016/03/25 21:41
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
初めましてな方は初めまして。そうでない方はお久です。こちらはバカとテストと召喚獣の二次創作であり以下のスレッド
【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】及び【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】
の続章となっています。読まれていない方はそちらもよろしくお願いします。
暑い夏も乗り切ってやってきました二学期編!夏休みを満喫したいつものメンバーとFクラスの前に立ちふさがったのは……無敵の鉄人による持ち物検査!?
『お願いします、西村先生!僕らにその本を返してください!』
『僕らには———僕らにはその本がどうしても必要なんです!』
『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせてください!』
『西村先生、お願いします!』
『『『『お願いします!』』』』
「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」
『『『『鬼っ!悪魔っ!!鉄人っ!!!』』』』
毎日バカやる明久たちがそんな教師たちの横暴を黙っているはずもなく。正々堂々鉄人に挑むFクラスだったけど……(正々堂々の意味、今すぐ調べてください皆さん by造)
「ええい!こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な参考書(エロ本)を守るため、命をかけて戦うんだ!」
「ほう?良い度胸だ、かかってこい……シメるついでに夏休みで緩んだ頭のネジをキッチリ締めなおしてやる」
明久たちの必死の抵抗虚しく、鉄人に阻まれ大事なもの(エロ本)を取り上げられるFクラスメンバー。このまま為すすべがないのか?否、まだ手はある……!召喚野球で教師を蹴散らし、取り戻せ僕らの聖典(エロ本)!
体育祭に召喚野球。そしていよいよ試召戦争が解禁となり恋に嫉妬に勉強に、ますます楽しくそして忙しくなる造や明久たち。そんないつものメンバーの非日常的な日常をどうかよろしくお願いします。
———目次———
序章 1〜4章及び各種設定【バカな自分は召喚獣?〜一学期編〜】>>6参照
5〜5.5章及び各種設定 【バカな自分は召喚獣?〜夏休み編〜】>>7参照
6章 体育祭&召喚野球編>>1-117
102時間目>>1-5 103時間目>>8-11 104時間目>>12-16 105時間目>>20-23
106時間目>>24-28 107時間目>>29-32 108時間目>>33-36 109時間目>>37-40
110時間目>>41-44 111時間目>>45-48 112時間目>>49-52 113時間目>>53-56
114時間目>>59-62 115時間目>>63-66 116時間目>>67-70 117時間目>>73-76
118時間目>>80-83 119時間目>>84-87 120時間目>>91-94 121時間目>>98-101
122時間目>>104-107 123時間目>>110-113 124時間目>>114-117
覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜>>77-79
6.5章 文化の秋・食欲の秋・文月学園の秋編>>120-221
酔いと造と幼児返り!?〜お酒は大人になってから〜
前編>>120-122 中編>>125-127 後編>>130-132
週刊☆文月学園ラジオ放送 特別企画・文化の秋!
前編>>135-136 後編>>137-138
ワシと自分と演劇と〜演目はバカテス童話!?〜
その①>>141-143 その②>>146-148 その③>>149-151 その④>>154-156 その⑤>>157-159
その⑥>>164-166 その⑦>>167-169 その⑧>>170-172 その⑨>>173-175 その⑩>>176-178
召喚実験シリーズ〜自分と本音と暴露大会〜
その①>>179-181 その②>>182-184 その③>>185-187
その④>>188-190 その⑤>>191-193 その⑥>>194-196
寒い日は鍋が一番!〜闇鍋?病み鍋?暗黒鍋デス〜
その①>>197-199 その②>>202-204 その③>>209-211 その④>>214-216 その⑤>>219-221
7章 二学期試召戦争開幕&Fクラスの変編>>224-330
125時間目>>224-226 126時間目>>229-231 127時間目>>234-236 127.5時間目>>241-242
128時間目>>243-245 129時間目>>246-248 130時間目>>251-253 131時間目>>256-258
132時間目>>261-263 133時間目>>264-266 134時間目>>267-269 135時間目>>271-272
136時間目>>273-274 137時間目>>275-277 138時間目>>280-282 139時間目>>283-285
140時間目>>286-288 141時間目>>289-291 142時間目>>292-294 143時間目>>295-297
144時間目>>298-299 145時間目>>300-302 146時間目>>303-305 147時間目>>306-307
148時間目>>308-309 149時間目>>310-311 150時間目>>312-313 151時間目>>314-316
152時間目>>317-318 153時間目>>319-321 154時間目>>322-323 155時間目>>324-326
156時間目>>327-330
7.5章 とあるお休みの一日:同棲生活は命がけ編
召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜
その①>>334-336 その②>>337-338 その③>>339-341
その④>>342-344 その⑤>>345-347 その⑥>>348-350
文月学園新聞&特別補習:鉄拳先生の情報講座>>353-355
彼と彼女のとある日の出来事
〜明久と瑞希編〜
前編>>356-358 中編>>359-361 後編>>362-365
〜雄二と翔子編〜
前編>>366-368 中編>>369-372 後編>>373-377
〜造と秀吉と優子編〜
前編>>378-380 中編 後編
〜明久と美波編〜
前編 中編 後編
〜造と葵編〜
前編 中編 後編
〜康太と愛子編〜
前編 中編 後編
おいでませ文月学園!久保弟の学校見学
前編 中編 後編
8章 最終決戦!Aクラス対Fクラス試召戦争編
———バカテスト集———
その⑦>>18-19 その⑧>>240 その⑨>>278
———各種設定———
文月学園レポート:腕輪編その①>>17 その②>>279
お知らせ>>270
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その③ ( No.339 )
- 日時: 2016/03/18 20:58
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
「さて。今度は誰が呼び出すのかねぇ?」
先程は現れた召喚獣が拉致されるという事態が発生しましたが、あまり深く考えないことにした学園長や自分たち。気を取り直して次の挑戦者を促す学園長。
「……次、私と雄二で」
「は、離せ翔子!離せぇええええええええええ!」
次なる挑戦者は毎度おなじみゆーさんと霧島さんの坂本家の(うぉい!?それどういう意味だ造っ!? By雄二)お二人のようですね。
「じゃあさっきも説明した通り、坂本に触れた状態で召喚してみな」
「……はい。試獣召喚(サモン)」
逃げようとするゆーさんをがっちりと抱きしめつつ召喚を開始する霧島さん。ゆーさんの必死の抵抗むなしく二人の足元から幾何学模様が現れ、しばらくするとそこから二人の子どもとしてシミュレーションされた召喚獣が顕在しました。
「あ……すっごく綺麗な子ですね!」
「ホントホント!それに、頭も運動神経も良さげじゃないの。文武両道って感じよね」
現れたのは女の子の召喚獣。どことなく外見は霧島さん似でしょうかね。
「まあ、雄二と霧島の子じゃからのう。恐らく勉強も運動も優秀な子になるじゃろうて」
「…………背も高くなりそう」
「けっ!知るかっ!」
「へぇ、女の子になるのは意外だなぁ。なんかてっきり僕は雄二の持つムサい男の遺伝子のせいで男の子になるかと思ってたよ」
《可愛らしくて綺麗な子ですよねー。それにしても凄いですねこの子どもシミュレーション召喚獣は。霧島さんにもゆーさんにも似てますね。全体的には霧島さん似ですが可愛らしい目とかはゆーさんの昔の頃にすっごく似てる気がします》
「……うん。目元は小さな頃の雄二にそっくり」
「「「「「えっ!?」」」」」
と、そんな自分と霧島さんの発言に皆さん目を丸くします。……ん?何ですか皆さんその妙な反応は。
「え、えぇ!?ま、待ってよ!?雄二って小さい時ってこんなに可愛い顔してたの!?」
「……うん、ほら。これ小さな頃の、雄二」
「「「「「えぇええええええええええええ!?」」」」」
霧島さんがポケットから写真を取り出して皆さんに見せてくれたのは、一枚の写真。そう、ゆーさんの昔の頃の写真ですね。霧島さんにその写真を見せられて自分と霧島さんとゆーさんと、写真なんかどうでもよさげな学園長以外は全員驚いて叫びます。
「う、ウソォ!?こ、これって雄二なの!?今のような濁りきった目とは似ても似つかないんだけど!?」
「む、むぅ……人はここまで変わるのかの」
「…………この写真の奴は滅茶苦茶綺麗な目をしてるのに今の雄二は……」
「テメェらそりゃ一体どういう意味だゴラァ!———って、それ以前にちょっと待てや造!?おま、お前何で俺の昔の頃のこと知っているんだ!?」
《え……?あっ!》
し、しまった……思わず口が滑って……っ!?
《…………そ、そのぅ……すみません。ゆーさんがいない時に霧島さんに拉致られてゆーさんのお家に行った事がありまして……》
「……その時お義母さんに“孫のつーちゃん”に雄二の昔の写真の入ったアルバム見せてあげるって」
《それでその……悪いとは思いましたが、見てしまったと言う……み、見たこと知られたらショック受けるかなーと思って黙ってました……すみません》
「あんのおふくろォオオオオオオオオオオオオオ!」
今度はゆーさんがゆーさんのご自宅方面に向かってゆーさんのお母さんである雪乃さんに叫びます。ゆーさんドンマイです……
「翔子ちゃん、将来が楽しみな子ですね!」
「ホントよねー♪あ、ちなみに翔子。名前は決まってるの?」
「……しょうゆ」
「「…………はい?」」
「……私と雄二の名前を組み合わせてみた」
「いや、霧島よ。その名は今一度考え直すべきではなかろうか」
「…………それだと調味料を連想させる」
「……じゃあこしょうで」
「待って、それも調味料だよ霧島さん!?」
《もー、霧島さん?前に言ったじゃないですか。少なくとも女の子ならもっと可愛らしくしたほうが良いって。例えば霧島さんの“翔子”からとって“ショコラーテ”にするとか———》
「うん造、それはチョコだしお菓子だね。君のネーミングセンスも霧島さん並にアレだからね」
……あれ?み、皆さんの自分と霧島さんを見る目が何故にそんなに残念そうな目に……?
「霧島も霧島じゃが、造も造でかなり独特な感性じゃのう……」
「…………そう言えば造も霧島も機械音痴でネーミングセンスが最悪だった」
「そう言う意味じゃ何だか霧島さんと造ってどことなく似てるよね」
「……娘が母に似てくるのは当然」
《誰が娘ですか誰が!?》
と言いますか、自分のような疑似家族的なこと考えずとも折角自身の子どもを召喚したわけですからその子を見ればいいじゃないですか。なんて思いつつその召喚された召喚獣に目を移すと———
『くそ……っ!こんなもんで勝手に色々言いやがって……おふくろもおふくろだし翔子も翔子で……ああくそっ!やってられるかってんだ……!』
《おとーさん、おとーさん。遊んでよー》
『ふんっ』
《あそぼーよー。ねーねー》
『イヤだ』
《うー……おとーさん……》
『………………』
《おとーさん、あそんでよぅ……》
『………………チッ』
《おとーさん……ダメ……?》
『……少しだけだからな』
《!うんっ!》
『おらっ、これでどうだ』
《きゃーっ!たかーい!》
『……そ、そうか。んじゃ今度は』
《きゃっきゃっ♪すごーい!おとーさんすごいー》
『……まぁな。それで、更にこうだ』
《わーいっ♪ぐるぐるだー♪》
『はっはっは!そうかそうか。それじゃ次はな———』
———そう皆さんでゆーさんと霧島さんの子どもさんの名前の話をしている中、気が付けばゆーさんがしょうゆさん(仮)を高い高いして遊んでいる姿が。ゆ、ゆーさん?
「「「「「「《…………(じーっ)》」」」」」」
「はっ!?!?」
と、自分たちの視線に気が付いたゆーさんは、そのままのポーズで固まります。
《ふふっ♪微笑ましいですね(ニコニコ)》
「ホントホント。雄二、随分楽しそうだねぇ(ニヤニヤ)」
「まったくじゃのう(クスクス)」
「…………素直じゃないな(ニマニマ)」
「バッ!?ち、ちが……っ!これは……っ!」
《どしたのおとーさん?もっともっとー!》
ニコニコニヤニヤしている自分たちに弁解しようとするも、しょうゆさん(仮)にそのようにせがまれるゆーさん。
「……雄二は良いお父さんになる」
「そうね。きっと厳しいことを言いながら、ついつい構っちゃう感じかしら」
「坂本君、お父さん姿がとっても似合いますよ」
「うがぁあああああああああああ!て、テメェらそんな目で見るなぁあああああああああああ!!」
女性陣にまで追撃され、顔を真っ赤にしつつ頭を抱えて叫ぶゆーさん。いやはや良いものを見れましたね。
「(ボソッ)葉月ちゃんへの対応と言い雄二ってやっぱ子供好きだよねー、そう言えば雄二の奴、造がウイスキーボンボン食べて酔って幼児化した時もあんな感じだったよねー」
「(ボソッ)ああ、あったのうそんなことが。やはり雄二は将来子煩悩になりそうじゃの」
「(ボソッ)…………絶対親バカになるぞ雄二は」
「そこの三人っ!何コソコソと小バカにしたような笑いしながらささやき合ってる!止めろや!!」
《ま、まあまあゆーさん。あまり大声出すとしょうゆさん(仮)が怖がりますのでその辺で———》
《おねーちゃんもいっしょにあそぼー!》
《…………何ですと?》
待ったおかしい……血の繋がりが一切無いと言うのにこのしょうゆさん(仮)は自分を何故姉扱いしてくるのですか……?霧島さんの影響なのですか……?
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その③ ( No.340 )
- 日時: 2016/03/18 20:59
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「……造も妹できて良かったね。お姉ちゃんになれて嬉しい?」
《いえ、ですから自分は坂本家の子どもでもなければ女の子でもないですからね……》
《おねーちゃん、おねーちゃん!おねーちゃんもいっしょにおとーさんにたかいたかいしてもらおー》
《ですから誰がお姉ちゃんですか誰が!?》
「さて、面白いもんが見れた———もといデータとしては十分集まったわけだし、それじゃあ一旦その子戻すよ」
含み笑いをしながらも、学園長がフィールドを一度消して再び起動します。ゆーさんと霧島さんの子ども召喚獣であるしょうゆさん(仮)は姿を消して、後には未だ顔を真っ赤にして壁を思いっきり殴っているゆーさんの姿が。
「この俺が……なんて恥ずい真似を……!」
《ゆ、ゆーさん落ち着いて。怪我しちゃいますよ……》
「いやぁ、微笑ましい光景だったね。見てるこっちまでニヤニヤしちゃうくらいに」
「じゃかしいバカ久!テメェも同じ目に遭いやがれってんだ!つーわけで———行け島田に姫路!」
「えっ?」
「わかりました!さあ、明久君覚悟は良いですね?」
「うん、そうね。それじゃあ今度こそウチとアキが———」
ガラッ!
「———む?何だお前たち、まだ帰っていなかったのか。……って、吉井に姫路に島田……お前たちは何をやっているんだ……?それに……学園長。貴女まで何故ここに?」
《あ、西村せんせ。お疲れ様です》
と、姫路さんがアキさんを羽交い絞めにしつつ島田さんがアキさんに触れて召喚しようとした矢先、突然Fクラス教室の扉が開いたと同時にクラス担任である西村先生が現れました。
「……おまけに月野は召喚獣状態か。それで?本当に一体全体何をやっているんですか学園長」
「何って、そりゃあ召喚獣の実験に決まっているだろうさね」
「……またですか。それで、一体今度は何を思いついたのですか……」
ハァ……と、頭を抱えて溜息を吐く西村先生。何だか心なしか疲れたように見えるのは、多分それほどまでに学園長に先生も振り回されているってことでしょうかね……後で胃薬をプレゼントしましょうか。
「て、鉄じ———西村先生、そんな事より今すぐ助けてくださいっ!この二人を止めてくださいぃ!」
「は?止めるだと?吉井、お前は一体何を言って———」
「西村先生邪魔しないでください!今度こそ“ウチとアキの子どもを”作るんですから!」
「そうですよ西村先生!美波ちゃんの次は“私と明久君の子どもを”作るんですからね!」
「…………本当に何をやっているんだお前たちは」
眉間に皺をよせ、先ほど以上に深い溜息と疲れた表情と見せる西村先生。……し、心労で先生が倒れないか心配になってきましたよ自分。
「そう言えば吉井、さっきちらりと噂でお前が不純異性交遊をしていると聞いたんだか……その噂本当ではあるまいな」
「ごっ、誤解です!?違うんですよ鉄人先生!僕の話を———」
「「どうしてそんなに嫌がるのよ(ですか)!坂本(君)とは子ども作っておいてウチ(私)の子どもは作ってくれないの(くれないんですか)!?」」
「…………僕の話を、何だ吉井」
「…………おねがい、たすけて造」
《あ、あはは……了解ですアキさん。あの、先生安心してください。本当に誤解ですので。それこそ学園長に頼まれて新しいタイプの召喚獣実験をやっていまして。二人で一体の召喚獣を召喚する仕様だったんですが———》
〜造&学園長説明中〜
「———それで、二人で召喚した召喚獣がその召喚者たちの子どもとしてシミュレーションされて現れる、と?」
《はいです》
「……男同士や女同士でも?」
「まあねぇ」
「…………ハァ」
自分や学園長の説明に何度目かの溜息を吐く西村先生。ま、まあそうなる気持ちもわからないでもないですね。
「……正直にわかには信じられんな。では吉井の不純異性交友、並びに不純同性交友の噂もソレが原因だと?」
《ソレだと思います》
「可愛い生徒の言葉を信じてくださいよ鉄人先生!そして可愛い生徒を助けてくださいよ!?」
「明久君っ!お願いします!子どもを!」
「アキっ!早く子どもを作らせてよ!」
「……吉井に月野、お前たちはこれでも信じろと?」
「《…………》」
「まあ、何も知らぬ状態でこんなことを口走りおる生徒がおれば信じられぬのも無理なきことかのう」
「…………傍から聞いていたらギリギリアウトな発言だからな」
…………説明している間にも姫路さんと島田さんはそんな傍から聞いているとかなりの過激な発言をしつつアキさんに迫ります。仮に、そう仮に自分が西村先生の立場だったら、何もないなんて信じるのはちょっと無理かもしれませんね。さてどうしたものやら……
ガラッ!
「あら♪造くん相変わらずとても小さくて可愛らしいですね!———と、それはさておき学園長に西村先生。Fクラスで何を?」
《あの高橋先生、その余計なひと言は挨拶か何かですか?》
興奮状態の姫路さん達を宥めつつ、どうすれば西村先生に理解してもらえるのかをアキさんと一緒に考えていると、何故だか高橋先生が妙な挨拶をしつつFクラスの扉を開けます。ついでに———
「あれー?こーたくんに皆もいるや。おまけに召喚フィールドまで出てるし……ひょっとしてまた何か面白い事やってるのカナ?ボクも混ぜてよ」
「…………工藤、部活は?」
「今日は早めに終わったんだー♪で、何々?何をしてるのカナ?こーたくんたちは」
———Aクラスの工藤さんも一緒にやってきました。と、高橋先生と工藤さんに注目が集まった隙に姫路さんに捕まっているアキさんはその拘束をするりと抜け出してどういうわけか高橋先生に駆け寄ります。
「えぇい、こうなったら論より証拠!コホン、高橋先生ちょっと良いですか?」
「?何でしょう吉井君」
「その、後ろのロッカーを動かしたいんですけど、僕の召喚獣の点数じゃ力が弱くて動かしきれないんです。すみませんけど召喚獣出して手伝って貰っていいですか?」
「ああ、なるほど。わかりました、良いですよ。それでは試獣召(サモ)———」
「いよっと(ササッ)」
「———喚(ン)」
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その③ ( No.341 )
- 日時: 2016/03/18 21:00
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
高橋先生にそう頼み込むアキさん。言われるがまま高橋先生は召喚に応じます。そしてその召喚するタイミングに合わせ、高橋先生の手を西村先生の腕に触れさせると———
ポンッ!
「こ、これが鉄人と高橋女史の……!な、なんつー迫力だこりゃ」
「か、格闘少年と言う感じじゃのう」
「…………強そう」
《か、カッコイイですねこの子……》
「うわぁ……どういう育て方したらこんな子どもできるんだろうね……」
———幾何学模様の魔法陣の中から誕生した西村先生&高橋先生の子どもシミュレーション召喚獣は……子どもと言うよりも武人そのもの。少し細身でありながらも秘めた力を感じられる体格に西村先生の幼い頃はこんな感じだったのだろうと想像できるしっかりとした表情。下手をしたらここにいる自分たちFクラス男子メンバーよりもカッコイイかも……?
「おい吉井、何の真似だ」
「いや、説明しても理解してもらえないならこれが一番手っ取り早く理解してもらえる方法かと思いまして」
「???あ、あの?これは一体……?」
「これはアンタら二人の子どもをシミュレーションした召喚獣だよ」
「は、はぁ……」
「……なるほどこれがか。学園長、貴女と言う人はまたこんな妙な事を……」
召喚された召喚獣をじーっと見つめる高橋先生と冷めた目で学園長に物申す西村先生。
「それにしても……あまり高橋先生には似てませんね」
「うん、そうよね。全体的に西村先生って感じがするわ」
「いいや、姫路に島田。よく見てみるんだ。ちゃんと高橋女史の特徴も引き継がれているぞ」
《ん?どの辺でしょうかゆーさん》
「右手を見てみろ。……眼鏡を持っているだろ」
「それだけ!?ねぇ、鉄人って遺伝子情報まで強すぎない!?」
い、いや確かにあらゆる面で西村先生似ではありますが、どことなく高橋先生にも見てるところは———ある、ハズです。多分。
「まったく、学園長。毎度毎度このような冗談は困ります。もう少し教育機関の長としての自覚をですね」
「なーに言っているんだい。冗談で作ったワケじゃないよ。これも立派な研究の一部さね」
《だそうですよ西村せんせ。これって次の召喚大会とかもしかしたらいずれ試召戦争にも実装されるかもしれない大事な実験らしいので、自分たちはお手伝い中と言うわけでして》
「月野、俺にはとてもそうは思えないんだが……だいたい、以前も本音を喋る召喚獣の時も学園長は———」
「やれやれ。西村先生は頭が固いねぇ?」
そんな珍しい先生方のやり取りを眺める自分たち……の脇で、
『こんにちは。ママでちゅよ〜』
「「《!?!?!?!?》」」
何だか耳を疑いたくなるセリフが聞こえてきました。これには自分は勿論言い争っていた先生方もメンバー全員もそれぞれの作業を中断して一斉に声のした方へ首を向けてしまいます。
「あら?どうしましたか皆さん?」
けれどもそこにいたのは書類を抱えて普通に立っている高橋先生がいるだけ。……あ、あれ?……では今のは一体……?
《あの、高橋先生?今何か……》
「?何かとは、何のことでしょうか造くん?」
《あ、いえ……なんでもありません……多分》
気になって問いかけるも高橋先生に特に変わった様子はありません。気のせい、ですかね。
「……ま、まあいいか。ともかく鉄人、これで分かってもらえましたよね」
《ですね。子どもっていうのはこの召喚獣の事で、別に不純異性交遊並びに不純同性交遊なんて無いんですよせんせ》
「まあ俺もハッキリこの目で見たわけだしな。いや疑って悪かったな吉井。噂は所詮唯の噂だったようだ。それと西村先生と呼べ」
「わかってくれて何よりですよ。鋼鉄の西村先生」
「余計な枕詞を付けるな吉井」
「それよりもアキ!いい加減アンタもウチらと———」
「そうですよ明久君!どうしてさっきから私たちとは———」
『おいでおいで〜。だっこしてあげまちゅからね〜』
「「「「《っ!?!?!?!?!?》」」」」
バッ!×11人
「何か?」
《あの、先ほど以上に何か変なセリフが聞こえた気がするのですが……?》
「高橋先生。今、私にも妙な声が聞こえたんだが」
「いいえ。私には何も聞こえませんでしたよ造くんに西村先生」
《は、はぁ……》
「そ、そうか……」
む、むぅ……正直全く納得はいきませんが、高橋先生にそう断言されたら仕方ありません。渋々と引き下がる自分に西村先生。そして、再びこの場にいる全員の視線が高橋先生から外れたところで、
「なんでしょうね?おかしなおねーちゃんとパパでちゅね〜」
「「《絶対に気のせいじゃなぁあああああああああああい!!!》」」
聞こえたっ……!今度こそはっきりと聞こえた!やはりさっきから聞こえていたセリフは高橋先生のもの!?と言いますか、ですから誰が姉ですか誰が!?
「い、意外です……高橋先生って子煩悩だったんですね……」
「そ、そうね……もっとこう、バリバリのキャリアウーマンなイメージだったから」
「……ビックリ」
「い、いや待て。確かにイメージ湧かんがよくよく考えりゃ造関係で高橋女史が暴走している時のこと考えりゃ納得は……出来るハズだぜ」
「た、確かにのう……し、しかし何じゃろうの、このイメージのギャップは」
「???あの、私が何か変な事でも?」
「…………しかも、自覚無しか」
……随分前から思っていましたけど、高橋先生って結構天然系ですよね……
「あーコホン、学園長先生。この召喚獣、そろそろ消していただけませんかね」
「あん?何を言っているんだい西村先生。これも研究のうちさね。ワガママを言うんじゃないよ」
「ぐっ……」
“パパ”なんて呼ばれたせいか気恥ずかしさからか学園長にそう頼む西村先生。気持ちはわかります。
「そうですよ西村先生。そんなに嫌がらなくてもいいじゃないですか!」
「姫路……お前面白がっていないか」
「先生。これもこの学校の大事なイベントの為ですよ!」
「島田……顔がにやけているが」
「……先生。学園長の頼みには協力しないと」
「霧島……お前も楽しんでいるだろう」
「ははっ!照れても可愛くもなんともないですよ鉄人!」
「吉井……目を閉じて歯を食いしばると良い」
「どうして僕だけ殴られる流れに!?」
珍しく目に見えて動揺している西村先生に、珍しく女性陣までからかう始末。ホント珍しい光景ですねこれ。
《せんせ、ドンマイです。とりあえずこの教室内だけしかこの特殊フィールドは張られていませんので、教室から出れば召喚獣は消えると思いますよ》
「そうだな……じゃあ俺はこの辺で失礼する。まったく、付き合っていられん」
「あ、パパ———コホン。ではなく西村先生待ってください。せめて造くんとこの子と並んで家族写真を」
「撮りません。それと高橋先生。その呼び方は誤解を招きますので今後は絶対にやめて頂きたい」
「これは失礼しましたパパ先生」
「いえ、敬称を付けろと言う意味ではなく」
そんな会話をしながら、二人の先生はFクラスを後にします。先生たちの子ども召喚獣にも驚かされましたが、それ以上に先生方の反応に驚かされましたね。
《ホント衝撃的でしたよね。色々と》
「だな。ま、お陰で鉄人にあの俺と明久の気持ちの悪い噂の誤解が解けたのはありがたいがな」
「そだね、良かったよ。さてこれで一安心———」
「んふふー♪そっかー、皆でボクに黙ってこーんな面白いモノで遊んでたんだー♪」
「「《…………》」」
———どうやら。どうやら一安心出来るのはまだまだ先の事のよう。子ども召喚獣の存在を目の当たりにした工藤さんがそんなことを言いつつ最高の笑みを浮かべ目をキラキラとさせる姿を見ながら、これから先の更なるトラブルに震える自分たちでありました。
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その④ ( No.342 )
- 日時: 2016/03/18 21:03
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
明久Side
またもや始まった学園ちょ———ババァ長のはた迷惑な思い付き実験。その全貌は異性間は勿論の事、同性同士でも子どもがシミュレーション出来るなんてバカげた召喚獣の仕様だった。そんなババァ長の悪だくみに乗せられてしまった瑞希たちの度重なる攻撃(?)や鉄人の問答を何とかクリアした僕だったけど、更なる刺客(?)が立ちはだかる。
「んふふー♪そっかー、皆でボクに黙ってこーんな面白いモノで遊んでたんだー♪」
「「《…………》」」
鉄人と高橋先生の子ども召喚獣を目の当たりにした工藤さんが、そんなセリフと共に僕らに向かって笑顔を見せてきた。ぐぬぬ……工藤さんと言えばこの前の本音を喋っちゃう召喚獣の時に僕ら男子全員を弄った過去を持つ強敵だ。このまま黙っていたら、きっと前回の二の舞になるだろうね。とは言え早々にやられる僕ではない。対工藤さん対策は出来ているんだし、見てなよ……!
「(ガシッ!)OK工藤さん。ここは一つ、コイツで手を打ってくれないかな」
「(ガシッ!)頼む工藤。コイツを好きにしていいから、俺は見逃してくれ」
「…………っ!?」
危険予知して咄嗟に逃げようとするムッツリーニを雄二と一緒に押さえつけて工藤さんの前に捧げることに。工藤さんと言えばムッツリーニ担当。目には目を歯には歯を、そしてエロにはエロをぶつけるのは当然の判断と言えるだろう。
「…………裏切者……っ!!(ジタバタ)」
「HAHAHA!ムッツリーニ、お前さっきから余裕そうだったし良いじゃねぇか少しくらい」
「そうそう。ムッツリーニも楽しんでいきなよ。工藤さんに普段からお世話になっているわけだしさ」
「…………離せ……っ!離せ……っ!!」
《……さっきまであんなに仲が良かったですのに……どうしてこうなったのやら》
「すぐに裏切ったり裏切られたりと敵味方の入れ替わりが激しい忙しない奴らじゃからのう。それより造、もっと離れようぞ。巻き込まれでもしたらバカらしかろう」
ムッツリーニを拘束する僕らを見ながら何とも言えない表情をしている造を連れて秀吉が工藤さんに巻き込まれないように下がりながらそんなことを言う。まあ、昨日の友は今日の敵。昨日の敵は今日の友と言う言葉もあるくらいだし、毎日の裏切り裏切られは仕方ないよね。
「それはさておき。で、どうかな工藤さん。このムッツリあげるから見逃してくれないかな」
「んー、そだね。こーたくんとの子どもかぁ……うん、おっけー!じゃあこーたくんくれるならいいよー」
「よし、交渉成立だな。ならムッツリーニの身体に触れた状態で召喚してみるんだ工藤」
「なるほど、こんな感じ?(ペタ)試獣召喚(サモン)!」
「…………っ!(ジタバタジタバタ)」
僕と雄二が必死に抵抗するムッツリーニを羽交い絞めにしている間に、工藤さんが召喚すると二人の子どもを模した召喚獣が出てきた。うーん、これは……どうやら髪型や顔立ちは基本的に工藤さん。目はムッツリーニそっくりの男の子だね。なるほど、この二人の子どもはこんな感じになるんだ。
「まあ、外見は普通っぽいね」
《二人にそっくりって感じですよね》
「外観は問題なし。問題があるとすりゃ———」
「うむ。性格はどうなるのか、じゃな」
何せ工藤さんとムッツリーニの保健体育コンビの子どもなんだし、一体全体どんな性格になっているのやら。怖さ半分恐ろしさ半分ってところかな。
「俺の予想では、二人のエロをコンピューターが処理しきれずに、一周回って生真面目な子どもになるって感じだな」
《あはは。それは面白いかもしれませんね》
「はははっ!確かにそうなったら面白いけど、流石にそれは無いんじゃないかな」
「うむ、いくらなんでも無理があるじゃろて」
「だよな。冗談だ、俺も言ってみただけだしなー」
なんて僕らが笑い合っている中、召喚獣が第一声を上げる。その言葉は———
《……子曰く、命を知らざれば以て君子と為るなし》
「「「《………………はい?》」」」
———予想を超えた第一声。それは子どもらしくない毅然とした口調で放たれる、難解な言葉だった。え、何コレ……
《……礼を知らざれば以て立つなし》
「おい……これって」
「……多分、“論語”」
「ろ、論語……?ねぇ瑞希……それって確か———」
「え、えっと……儒教における四書の一つですね」
「儒教……それってえーっと……どこかで聞いたような気が」
《そ、そうですね。漢文の教科書にものってますしこの前の世界史の期末試験でも出ましたっけ。中国の思想書です》
「あ、ああ……そう言えばあったのう。そ、それにしても———」
「「「「「「《ホントに一周して真面目になったぁ!?》」」」」」」
なんなの!?設定上は二歳程度の子が誕生するとかババァ長が言ってたけど、こんな小さな子が漢文を暗記してるなんてありえないでしょ普通!?エロさが限界突破して知能まで高くなってるとでもいうの!?
「ムッツリーニに工藤、お前らどんだけエロいんだよ!?」
「お似合いだけどエロスは程々にしといた方がいいんじゃないかなぁ!?」
「…………なんのことだかわからない」
「あはは♪お似合いなんて照れちゃうなぁ」
いや、冗談だって思ってたのにまさか本当に一周回って真面目な子になるなんて……正直驚きを通り越して呆れちゃう二人だなぁ……まあそれも含めてお似合いだろうけどさ。
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その④ ( No.343 )
- 日時: 2016/03/18 21:04
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
《……言を知らざれば以て人を知るなし》
そんな僕らの会話をよそに、ムッツリーニ&工藤さんの子ども召喚獣はまだ何か喋っている。
「ところでさ。これってどういう意味なんだろうね?」
「えっと、命と礼と言を知ることの大切さを説いた一文ですね」
《天命を知らないなら君主に成れず、礼儀を知らないなら世で立って生きていられず、言葉を知らなければ人が何なのか知ることが出来ない———って感じですかね》
「???め、命に礼に言……?え、えーっと?」
「……吉井、難しい?わかりやすいようにちょっと意訳するなら『人生とは社会の礼儀は何かを理解して、人の言葉の中にあるその人の心を理解して、そして天から与えられた使命を理解すること』って意味になるかも」
「へぇ……それは為になるなぁ」
そんな感じで瑞希と造と霧島さんが説明してくれる。なるほど、こりゃまた随分良い言葉だ。でもまさかこんな小さな子に教わるなんて思わなか———
《……即ち、我が天命は究極の性行為の追及に在り(ボタボタボタ)》
「「「「「「《って、更に一周して結局エロに行き着くの!?》」」」」」」
———前言撤回。結局エロかい!と、こんな感じで全員ハモらせてツッコんでしまう。わかってはいたけどこの二人の子どもなわけだし、最終的にはエロに行き着いちゃうんだね……
「…………俺には全く似ていないな」
「えー?そうかなぁ?こーたくんにすっごく似てると思うんだけどなー?」
ムッツリーニの否定は毎度のことながら今更感がたっぷりだった。
「さて、んじゃまた仕切り直すかねぇ。で?次は誰がやるんだい?」
そう言ってフィールドを張り直して仕切り直すババァ長。えぇい……まだやるのか……
「それじゃあ今度こそウチが行きますねっ!」
「明久君、逃がしませんからね!」
「……雄二、もう一回やろ」
「こーたくんこーたくん!ボクも何だかまたボクらの子ども見たくなってきちゃったよ」
「「「断る!!」」」
女性陣に壁を背にして迫られつつ声を荒げる僕と雄二とムッツリーニ。何でまたこんなに今日は皆気合十分なのさ!?
「やれやれ。いつものことながらこやつらは騒がしいのう」
《まあ、傍から見ていると楽しそうなんですけどねー》
「ん?何だい木下に月野。お前さんたち何だか自分たちには関係ないように言っているように聞こえるんだがねぇ?」
そんな風に僕らが迫られる横で、傍観者として僕らを見ていた造に秀吉がババァ長にそう尋ねられる。
「む、そうじゃろうか?まあ実際ワシらはこういう騒ぎにはあまり関わり合いが無いからのう」
《それと自分は今回に限って言えばこの召喚獣体験できませんからね。傍観者するしか無いですし》
「木下はともかく……体験できないだって?何言ってるんだい月野」
《へ?い、いえですから……二人で一体の召喚獣を召喚する実験ですし、強制的に単体として召喚されている自分じゃどうあっても体験できませんよね?》
そう言って少し複雑そうな表情を浮かべて笑う造。ああ、そっか。今回造ってこの召喚獣の仕様上体験することは出来ないのか。……うーん、無理やりやらされるのは嫌だけど、これはこれで何だか仲間外れになっているみたいでちょっと造がかわいそうだなぁ……
「だから何言ってるんだい月野。一体いつ誰がどこでアンタがコレ体験できないって言ったんだい」
《……はい?》
「よし、ならちょうどいい。木下、試しに月野に触れた状態で召喚してみると良い。面白いことになるよ」
「ワシがか?う、うむ……?よくわからぬが、造よいか?」
《え、ええ……どうぞ?》
よくわかっていなさげな秀吉と造は、ババァ長に言われるがままその指示に従う。何だろう、一体今度は何を企んでいるんだろうかこのババァは……?
「ならばとりあえず失礼して(ペタ)———試獣召喚(サモン)じゃ」
《……っ!?あ、あれ……?な、なんだか……急に……いしき……が》
「っ!?つ、造!?な、何じゃ!?急に造の身体が変化を……!?」
「「「「「「造(月野)(月野君)っ!?」」」」」」
え、えっ!?何コレ!?秀吉が造の身体に触れたまま試獣召喚(サモン)と唱えた途端、造の召喚獣化した身体が発光と共に変化し始める。ってちょっと!?だ、大丈夫なのコレ!?
「ば、ババァ長!アンタ何させてんですか!?つ、造大丈夫なんですか!?」
「ババァテメェ!よりにもよってテメェが造を危ない目に遭わせてどうすんだ!今すぐフィールド消して造を———」
「落ち着きなジャリガキどもが。ホレ、よく見てみな。そろそろ出てくるよ」
ボンッ!
慌ててこの迷惑お騒がせババァに突っかかる僕と雄二だったけど、ババァはすました顔で変化していた造を指差す。お馴染みの召喚音が聞こえてきた途端現れたのは———
《おとうかあさまだっこー!》
「っ!?!?!?つ、造……?ではない、のう。お、お主は……?」
《つくる?おかあとうさまのことー?》
———現れたのは、造と秀吉を足して割ったような小さくて可愛い召喚獣。秀吉の足元に来てそんなことを言いながらしがみついてくる。え、えっと……これってまさか。
「あの、ババァ長これって……」
「勿論月野と木下の子ども召喚獣だよ。月野の召喚獣化している身体を再構築させて召喚できるようになっているのさ。一応言っておくが月野に害はないよ。先に(文の協力のもと)実験してあるから安全面は問題ないさねぇ」
「こんの……それを先に言えやババァ!無駄に心配させんじゃねぇぞクソが!」
思わず雄二と二人、いいやこの場にいるババァを除いた全員が深く溜息を吐く。あービックリした。造に何かあったら大変だからね。
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