二次創作小説(紙ほか)

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薄桜鬼×緋色の欠片
日時: 2012/09/26 13:48
名前: さくら (ID: cPNADBfY)



はい。
初めましてな方もそいうでない方もこんにちは。
またさくらが何か始めたで。と思っている方もいると思いますが
薄桜鬼、緋色の欠片好きの方には読んで頂きたいです


二つの有名な乙女ゲームですね
遊び感覚で書いていくので「なんやねん、これ」な心構えで読んでもらえると嬉しいです←ここ重要


二つの時代がコラボする感じです
あたたかい目で見守ってやって下さい

それではのんびり屋のさくらがお送りします^^

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.200 )
日時: 2014/01/12 13:53
名前: さくら (ID: 45QnB5qh)

闇を縫うように駆け抜ける影がひとつ。月光の届かない暗闇にその人はいた。

「…だから言ったでしょ…信司…俺は、お前なんかには救えないって…」

あぁと口から感嘆の息が溢れる。そして天を仰いだ。
いつ仰いでも空の星は輝き、月は眩しい。転じて足下に視線を落とせば闇。這い上がろうとしても抜け出すことができない永遠の業。

「…俺の居場所はここしか、ない…」

薫は気づいていない。その頬を伝うその雫に———



「風間。どこに行っていたのですか」

宿屋に戻ると天霧が玄関で仁王立ちになっていた。

「愚問だな。出かける前に俺は薩摩との会合に行くと言っていたはずだが?お前に耳はなかったのか」

風間は嘆息すると天霧を押しのけ玄関に上がる。

「それにしてはあまりに時間が遅かったのではありませんか」
「…お前は俺の妻にでもなったつもりか。いちいち言われなくともわかっている」

風間は天霧を横目で睨むと自分の部屋へと向かう。だが天霧の用件はまだ済んでいないらしく、風間の後をついてきた。

「風間、羽織はどうしたのです。この冷える夜に羽織を会合場所に忘れて来たのですか」

天霧は言いながら風間の箪笥から新調した羽織を手渡す。風間は部屋に入るとその羽織を受け取り、ぼんやりと窓を眺めた。冬の季節だ。当然窓は開いていない。

「身の憂さを嘆くにあかであくる夜はとり重ねてぞ音も泣かれける…」
「は?」

天霧は小首を傾げて風間を見つめた。今のは和歌か。それも恋歌。天霧はまさかと思い、眉を潜める。この歌からするに誰かと夜を共にしたということか。だから帰りが遅くなったというのか。
風間は窓辺に寄り掛かり、ふっと微笑した。

「源氏物語の空蝉の歌だ…強引に求めても空蝉の心は開かなかったということだ…」
「…はぁ…」

天霧はさらに小首を傾げる。では女と寝て来たわけではないのか、どっちなのか。風間の言葉を聞く限り上手くいったようには聞こえない。

「風間…どこの女子と何をしようと私は関知しません。ですが、万一のことがあれば私に報告を———」
「万一などあってたまるか。俺はそんなヘマはしない」
「では何故そのように憂いているのですか」

天霧の問いに風間は深いため息をつく。

「初めて…初めて手に入れられなかったものができた…」

その言葉に天霧は何となく察した。詰め寄った女に振られたのだろう。風間はあまり女に興味がない性分で、あまり女と付き合っている姿は見たことがない。
今回は珍しく風間から興味を持ったようだが、上手くいかなかったようだ。

「貴方が望んでいるのは雪村千鶴、ただお一人かと思っていました」
「ふん…千鶴も当然手に入れるさ…だが…それよりも先に手に入れておきたかった…」

風間を後悔させるほどの女性の存在が天霧は気になった。そこまで風間が手にしたかった女性は一体どんな人なのか。

「…男の失恋は女々しいですぞ、風間」
「誰が失恋だ」
「違うのですか?」
「……」
「そうなのですね」

天霧はただ深く頷く。

「だいたい貴方はいつも強引なのですよ。きっと相手もそれが嫌で———」
「喉が渇いた。天霧、水を持ってこい」

嘆息する天霧をよそに、風間は窓を開け高欄に腰を預ける。
渋々水を取りにいった天霧の背を視界の隅で確認し、次に夜空に視線を転じた。
冷えるとばかり思っていたが、冷気が星空を引き立てていた。夜空を見上げて風間は珠紀との会話を思い出す————



『教えてくれ————お前は何ものだ…』

風間の最後の願い。
自分を受け入れてくれないのなら、せめて珠紀の本性を知りたい。
懇願する風間に、しかし珠紀は静かに唇を動かした。

『私は———…春日珠紀です…ただの、普通の女です…』




求めれば求めるほどその手をすり抜けていく。

「今なら光君の気持ちが理解できるな…」

源氏物語の主人公である光君は空蝉という女性に恋をしたが、彼女は一向に応えてくれなかった。
その理由はひとつ。

「好いている者がいるというのか…」

既に珠紀の心は他者のものだったということだ。だから彼女は振り向かない。風間になびかない。
入り込む余地も与えないほど、珠紀の心はその相手でいっぱいなのだ。

「…では何故俺はお前に惹かれたのだろうな…」

風間はふっと微笑した。
完全に立場がなく、望みがないはずなのに、この胸を満たす感情は何だ。
彼女に惹かれて止まないこの気持ちは何だ。

「…春日、珠紀…」







長い夜もいつかは明ける。
闇の帳は静かに後退し、朝焼けの光が空を覆う。
どこか遠くから小鳥のさえずりが聞こえる。空の光は冬の澄んだ空気に屈折し、世界を照らす。そしてその光は優しく降り注いだ。

「………」

瞼を上げれば見知った天井が広がっていた。部屋には朝の光で溢れ、一瞬目を閉じてもう一度ゆっくり瞼を上げた。
目が光に慣れたとき、自分の隣で船を漕いでいる人物が視界に入る。

「ひじ…かた…さん…」

真冬のこの季節に何も羽織らず、うたた寝をしている鬼副長の寝顔は少しだけ疲労の色が浮かんでいた。
もう一度声をかけると、土方は顔を上げて身を乗り出した。

「千鶴…!」
「土方さん…私…」
「倒れてたんだ…覚えてるか…?」

千鶴は首を横に振る。土方は体に異変や怪我はないかと訊ね、それにも首を横に振った。
その反応を見た土方はほっと息をつき、千鶴の枕の傍らに再び腰を下ろす。

「何で倒れたのかもわからねぇのか…まぁ無事で何よりだ…」

土方は安堵して千鶴を見ると目を見張った。

「おい、どうした…」
「わかりません…」

布団に横たわる千鶴は泣いていた。我知らず涙が頬を伝い、止まらない。
胸に渦巻く感情が奔流となって涙を流させる。切なさに息ができなくなる。
次第に抑えきれなくなり、千鶴は声を出して泣いていた。

「千鶴…」
「す、すみ、ませ…っでも、どうしてか…涙が、止まらなくて…っ…!!」

千鶴は顔を口に手を当て、嗚咽を堪えるがそれでも堰き上がってくる涙は止まらない。
突然子供のように泣き出した千鶴に、土方はどうすべきか困窮する。

「な、にか…だい、大事なこと…忘れている、気がして…!!」

混乱しながらも夕べのこと思い出す。
座敷に上がった後、客に絡まれて困っていた。そこまでは覚えている。だが、その先がどうしても思い出せない。誰かが自分を助けてくれたはずだ。
だが、その人の顔が思い出せない。
記憶はそこで途切れる。何か大切なことを忘れている気がするのに、記憶を巡っても思い出せない。これは何だ。

「思い出せない…!こんなに、こんなに悲しいのに…っ私———」
「千鶴…」

見ていられなくなった土方は千鶴の目元に手を当て、そっぽを向く。

「…誰も見てねぇんだ…思う存分泣け…」
「…っ————!!!!」

千鶴は子供のように泣き声を上げて泣いた。土方はただ黙って千鶴を見ないように天井を仰ぐ。
彼女がここまで取り乱したのは初めてだ。だが、その理由は彼女自身もわからない。
そして記憶が無いと泣き咽ぶ。一体どういうことなのか。
千鶴を発見したのは捜索してからさほど時間が経っていないときだ。
先に捜索を始めた拓磨、原田の二人が見つけ出したらしい。
だが、その惨状は後で駆けつけた土方にも理解できなかった。
店の片隅、店主ですらあまり使わない部屋に何故か千鶴がいた。そして傍らには血まみれの女———否、男が横たわっていた。
千鶴はその男に覆い被さるように倒れていた。その場は騒然となり、一緒に駆けつけた珠紀など気が動転していた。
男は珠紀達が探していた犬飼信司という人物だった。すぐに男は松本の元へ護送された。今はまだ治療中だろう。
そして現場にいた千鶴は屯所に運ばれ、目が覚めるまで待っていた。
あの凄惨な場は何だったのか。彼女なら知っていると思った。だが。

「…一体、どういうことだ…」

千鶴の泣き声で土方の呟きは聞こえない。
今はただ千鶴の気が済むまで泣かせてやればいい。土方は何度も千鶴の頭を撫でてやる。
無事で帰って来た。それだけでいい。土方は存外自分が安堵していると気がつく。昨晩はずっと気を揉んでいたせいか、疲労感が今になってやってきた。
心配の種が今は泣いて話にならないが、落ち着くまで待とう。
土方は嘆息すると呆れたように笑った。

「心配させやがって…」

彼女が今何故泣いているのかはわからない。昨晩千鶴に何かあったのは明白だが、今は何も言わず傍にいよう。

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.201 )
日時: 2014/01/23 13:18
名前: せな (ID: X9g0Xy3m)

お久しぶりです!!読ませていただきました!!!!
慎司くん大丈夫でしょうか…(´;ω;`)!?!
千鶴ちゃんも気になるのですが珠紀ちゃんの心の傷も心配です…。゜(゜´ω`゜)゜。
拓磨が知ったら倒れちゃいそうな展開ですね…!
続きの方すごく気になります!更新頑張ってください!!!

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.202 )
日時: 2014/02/06 18:29
名前: さくら (ID: 45QnB5qh)

せなさん

お久しぶりです^^
いつも読んでいただきありがとうございます

信司君についてはこれからじっくり取り上げていこうと思っています
多分、無事でしょう^^

珠紀についてですが、風間のヤロウがやらかしましたね☆
せなさんの読みどおりきっとこれから珠紀と拓磨の間に何かが起きます
楽しみにしていて下さい

最近ドタバタしていてなかなか更新できませんでした
これからもまた少し忙しくなるので気長に待ってくれる優しい方は更新を暖かい気持ちで待ってあげて下さい^^

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.203 )
日時: 2014/02/06 18:36
名前: さくら (ID: 45QnB5qh)

読んで下さっている皆様へ


今回の小説大会も皆様のおかげで金賞を受賞することができました
こんな駄文が続く小説が金賞でいいのかと不安になりつつも、
読んで下さっている人がいるんだと思いこれからも頑張っていきます

作者は重く、暗い、シリアスな話が大好きなので自然とその割合が増えていくと思います
それは今まさにそうですね
暗い話ばかりですみません
信司君好きの方ごめんなさい
好きで女装させているわけではありませんので、ご容赦ください^^;

もっと明るく楽しい展開になれるよう努力していきます
そしてこれからも温かい気持ちで読んで頂けると嬉しいです

今回の受賞は皆さんのおかげです
遅れながらお礼を言いたいと思います
ありがとうございました^^

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.204 )
日時: 2014/02/06 18:41
名前: さくら (ID: 45QnB5qh)

「珠紀…着替えてきたらどうだ…部屋に替えの着物を用意した…」
「祐一先輩…」

声をかけられ、珠紀は顔を上げた。
闇の帳は朝日によって消え、世界が目を醒ます。白み始めた空を小鳥が横切っていく。
ゆっくりと目覚めゆく世界の静寂を破るかのように、松本邸は騒がしかった。
手術室では松本と大蛇が奔走し、緊迫した状態が続いている。珠紀は手術室の前でただ待つことしかできないでいた。

「…はい。そうします」

珠紀はゆっくりと立ち上がると隣の部屋へと入っていった。
その背中を見送って祐一は深い溜め息をつく。
昨晩新撰組とともに実行した作戦は結果論でいえば成功した。
新撰組が欲していた情報は得られ、不逞浪士を無事捕獲したと聞いた。
そして珠紀たち一同も作戦は成功した。
だがそれを素直に喜べる状況ではなかった。
探していた信司は発見できたが、駆けつけたときには彼は血の海のなかに倒れていた。千鶴も傍で倒れていたが彼女に怪我はないようだ。
問題の信司は背中や肩を負傷していた。一番の深手は腹部の刀傷だ。
信司は守護者の血を引いているが、拓磨や真弘のように血は濃くない。故に傷の回復力も常人よりやや優れている程度でその状態は芳しくないのだ。

「信司…」

手術室の襖を見つめて祐一は小さな声で彼を呼んだ。
彼に何があったのか、それを知っているのは彼自身と千鶴だけ。
たとえ信司を取り戻せてもこの状況を素直に喜ぶことはできない。
胸に不安と不満を抱えながら刻を数えていると、玄関がある方角からばたばたと慌ただしい足音が近づいて来た。

「祐一!!信司は…っ!?」
「真弘」

屯所まで全速力で走って来たのか肩で息をしながらやってきた真弘、彼を呼びに行った拓磨が手術室の前で足を止める。

「まだ手術中だ。容態は…拓磨から聞いたか?」
「あぁ…くそ…どこの誰が、こんな…」

真弘は唇を噛んで手術室にいる信司を想った。

「先輩。そう言えばどうして昨日は作戦に参加しなかったんすか?」

拓磨はふと思い出したかのように訊ねた。
昨晩守護者達は珠紀を護衛するために色町へ同行していた。そこに真弘の姿がなかったことに、疑問を抱いていたものの誰もそのことに触れなかったため口を噤んでいた。

「…ちょっと、な…」

真弘にしては珍しく、視線を泳がせて口を濁している。
首を傾げる拓磨とは反対に、祐一は相変わらず乏しい表情だったが何かを思っているそんな顔つきだ。
妙な空気が流れている気がしたがそれをあえて言葉にすることも憚られ、拓磨は何だか居心地の悪さを感じる。
いつもはこうじゃなかった。
いつもなら軽口を叩いて、お互いの素直な気持ちを口にしていたはずだ。こんな空気にはならない。
どこかで感じたことのある妙な感覚に拓磨の本能は警鐘を鳴らす。
それは何だったのか思い起こそうと腕を組んで考えようとしたときに、手術室の襖が静かに開いた。

「先生…信司、信司は…!!」
「あぁ…何とか命は取り留めたよ。峠は超えた。今回もだいぶ危ない状況だったがね」

疲労の色が濃く顔に表れている松本だったが、朗らかに笑って三人に安堵の結果を報せる。
そこに着替えを済ませた珠紀が現れ、手術が成功したと聞いて感極まったのか泣き崩れた。

「珠紀…」
「良かった…良かった…信司君…」

今回の一件で責任を感じているのは珠紀だった。
彼女のせいではないと言ってはいるが、信司に辿り着く前に事態が思わぬ方向に転んだ。潜入していた珠紀としては一番動きやすい立場であったはずなのに何の成果も上げられなかったと悔いているのだろう。

「珠紀さん…皆さんも昨日から一睡もしてないでしょう。今日は私が犬戒君を見ていますので、屯所に戻って休みなさい」

手術室から現れた大蛇は優しく彼らを促した。
一同はその意見に従い、帰ろうと玄関へ足を向ける。

「珠紀。立てるか?」

拓磨が床に座り込む珠紀に手を差し伸べる。

「ッ…!!……ぁ、えと…うん…大丈夫。ありがとう」

一瞬珠紀の肩が揺れたが、すぐに笑って立ち上がった。

「…」

そしてそのまま玄関に向かって歩いていった。その背中を見つめて拓磨は目を細める。
見間違いでなければ、手を差し出した瞬間脅えたような目をしていた。
拓磨は目を瞬いたが、彼女も疲れているからだろうと思い、屯所に戻った。





「へぇ…また守護者が現れたんだ…」
「大怪我して松本邸に運ばれて今は安静にしているみたいよ」

日が昇り、真冬の冷たい朝の風が開け放たれた障子から入ってくる。
風にそよぐ雅彦の長髪は、朝日に照らされ濡れて輝いているように見えた。

「今回の守護者は犬戒家のようね」
「鬼崎。鴉取。狐邑。大蛇。そして犬戒…これで守護五家は揃ったわけだ…」

手にしていた煙管から立ち上る煙が風に流れていく。雅彦は開けた障子から望む空を見上げて、目を細めた。

「璞玉ちゃんは何を考えているんだか…姫だけでなく、とうとう守護五家まで呼び出して…そうまでして一体何をする気だ…」
「上もそろそろ重い腰を上げる頃かしら?」
「だろうな。姫だけならまだしも、先の世の守護五家が揃ったんだ。見過ごすことはもうできない…」

雅彦はふっと口から煙を吐き出し、苦々しく呟いた。

「ここまで事態を動かしたんだ…璞玉ちゃん…完全に君と僕は対立することになるよ…君のとった行動は僕たちを的に回すことなんだから…」
「報告したらおじ様が然るべきとき、鬼斬丸を奪取しろと言っていたわ」
「ははっ…結局上は腰を上げても僕たちを先に使わせるのか…」
「私たちが動いてそれから出方を考えるんじゃないかしら…」
「全く…下っ端は嫌になるね…」

雅彦は肩にかけていた羽織を着ると、煙管を咥えたまま立ち上がった。

「俺たちの仕事はここからだ…多家良清次郎(たからきよじろう)」
「はい」

名を呼ばれた清次郎は居住まいを正して雅彦を見上げた。

「準備に取りかかろう。もうすぐこの新撰組は大きく二つに別れる。俺たちはその混乱に乗じて鬼斬丸を奪取する。人は脆いからな。混乱すれば目の前のことなんて見えなくなる。その機会が訪れるときのために今は準備を始める」
「わかったわ」

清次郎の返事を聞いて雅彦は頷くと開け放たれた障子から外に出た。
冷たい風が雅彦の髪を弄び、空を見上げる背中がどこか切なさを語っているようで、清次郎は思わず声を上げる。

「芦屋雅彦(あしやまさひこ)」
「何?」

振り返ったその顔はいつもと変わらない、年齢より少し幼い顔があった。
それでも不安は消えない。胸に渦巻く不安の種を口にした。

「…本当に大丈夫?」
「何が?」
「だから、その…この先上からどんな命が下るかわからないわ…もし、もし璞玉ちゃんと…」
「清」

清次郎の言葉を遮って雅彦は微笑んだ。

「俺はもう昔の俺じゃないんだ…」

朝日が優しく降り注ぐ。冷たい風は雅彦を通り抜けると天高く舞い上がった。

「やるよ。どんなことでも。例え璞玉ちゃんを殺せと言われてもね…」


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