二次創作小説(紙ほか)

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薄桜鬼×緋色の欠片
日時: 2012/09/26 13:48
名前: さくら (ID: cPNADBfY)



はい。
初めましてな方もそいうでない方もこんにちは。
またさくらが何か始めたで。と思っている方もいると思いますが
薄桜鬼、緋色の欠片好きの方には読んで頂きたいです


二つの有名な乙女ゲームですね
遊び感覚で書いていくので「なんやねん、これ」な心構えで読んでもらえると嬉しいです←ここ重要


二つの時代がコラボする感じです
あたたかい目で見守ってやって下さい

それではのんびり屋のさくらがお送りします^^

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.114 )
日時: 2013/07/19 07:22
名前: アゲハ (ID: T0oUPdRb)

ギャー!?
千鶴大丈夫なんですか!?

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.115 )
日時: 2013/07/21 16:52
名前: さくら (ID: 4BMrUCe7)

「無事に成功よ。正ちゃん」

部屋に戻るなり、清次郎は水盆に顔を向けていた正彦は微笑んだ。

「そうか。お疲れ、清」
「いいわよ。でもあんなか弱い女の子まで巻き込まなくても良かったんじゃない?私、少し良心が痛んだわ」
『良心などあってはならんぞ、清次郎。これは新撰組を探るためだ。小娘だろうがなんだろうが利用する価値があれば手玉にする。手段など選ぶ余地などない』

水盆からしゃがれた声が聞こえて、清次郎は畏まったように頭を垂れた。

「申し訳ありません、おじ様」
『正彦から全て聞いた。何やら新撰組は不吉なものを抱えているようだな』
「これからの行動はいかように?」
『詮索を続けよ。できるだけの情報を得て、玉依姫を奪取するのだ。璞玉なぞに玉依姫を渡してはならん』
「どうしたんですか、おじ様。俺達の任務は新撰組に潜入して玉依姫と守護者を探れ、という話じゃなかったんですか?」

正彦は遂行すべき任務目的が変わっていたことに口を挟んだ。

『お主らの報告もあったが、こちらにも変異があった。話は変わったのだ。璞玉の小娘め。小癪な手を打ちおって…』
「璞玉ちゃんがどうかしたんですか?」
『正確な情報故まだ…いや、信じがたいこと故確証を得てからお主らにも伝えよう。今は憶測でしかない。確認をとるまでは玉依姫を見張り、決して璞玉と接触はさせるな。あの小娘は何かを企んでおる…』
「何ですか、それ。じゃぁ俺達は璞玉ちゃんが来るまで玉依姫を監視していればいいじゃないですか。どうして奪取しなくちゃいけないんです?」

辻褄が合わないことを語る老人に正彦は小首を傾げた。水面に映る老人は険しい表情で続ける。

『まだ確証がないと言っているだろう。その場に、新撰組の屯所に姫を置いていること事態危ぶまれるのだ』
「危険があるってことですか?確かに昨日は羅刹に襲われてましたけど…」
『そちらのことではない。“こちら”として都合が悪いと言っているのだ。璞玉の策略に従っていれば、小娘の思い通りになってしまう。それだけは避けなければならんのだ』

余裕をなくしているのか老人は歯噛みして眉根を寄せている。相当璞玉のとった行動に動揺したのだろう。珍しく老人は焦ったように若い二人に下知を飛ばす。

『これからは玉依姫の隙が生じたときに奪取せよ。そして私の元へ連れて来い』
「どんな手を使っても良いですか?」
『何か策があるのか、正彦』
「えぇ。とっても良い策が」
「何なの?正ちゃん」

正彦の隣で黙って聞いていた清次郎は尋ねた。

「まず姫を奪取しやすいように新撰組と守護者に不和を生み出させ…それはもう始まってるんですけどね。新撰組から孤立するように仕向けるんです。そして新撰組の目を掻い潜る…残る守護者は…こちらも良い策があります」

正彦は端整な顔を歪め、不気味な笑みを浮かべた。

「先日清次郎が良い情報を得てきました。それを利用して守護者を分裂させます。簡単ですよ。新撰組から孤立してしまえば、彼らも容易に瓦解するでしょう。そして残った玉依姫を難なく攫う…上策ですよ」
『…ふむ。お前は人の心を操る力に長けているからな…任せよう』
「期待には答えましょう」

正彦の言葉を最後に、水盆に波紋が広がったと思うと老人の姿はなくなっていた。
静寂が戻った部屋に座る正彦と清次郎はふっと息をつく。

「一体璞玉ちゃんが何をしたっていうのかしら…」
「さぁね。けどおじ様は璞玉を毛嫌いしているから、瑣末なことでも気に障るんじゃない?歳をとっても短気なんだから…」

毒づきながら正彦は煙管に葉煙草を詰めて火をつける。

「おじ様に何があったかは知らないけど…確か、璞玉の母親に痛い目を見たって聞いたなぁ。それで根に持ってるんじゃない?」
「まぁ、まだあんな小さい子に…?ちょっと、正ちゃん、煙草はほどほどにしないと」
「わかってる。少しだけいいだろ」

嘆息して清次郎の諌める声に抗議する。口から煙を吐き出しながら正彦は歪む口元を押さえた。

「楽しそうね。私はちっとも面白くないわ。こんなことまでして、璞玉ちゃんの邪魔をしなくたって良いのに…」
「そう?俺はそうでもないよ。おじ様のために動くのは面倒だけど、玉依姫を奪取することには賛成かな。どうも璞玉は良くないことを考えてるみたいだし…それにここに居ると飽きないしね」

意地の悪い笑みは煙って怪しく見えた。清次郎は少し焦燥を覚える。良からぬことが起こらなければいいが。
だが久しく会っていない姫巫女も同時に心配だった。あの小さな背中に今どれほどのものを背負っているのかなど、清次郎には想像できない。ただ、無茶をしないでほしいと願うばかりである。

「そういや、その女の子は?」
「術を施したあとは部屋に運んであげたわ。これで準備は整ったのかしら?」
「あぁ。けど驚いたな。こんなところに鬼に会うなんて…」
「鬼はもう滅んだって聞いていたけど…」
「生き残りだろうさ。まだいるかもしれないね。けど何で新撰組に…」
「それも調べる必要があるの?」
「そうだな。またあの倉に忍び込むか…」

煙草を吸い終わった正彦は灰を煙管から落とすと立ち上がった。

「さて、清。せっかく幹部がいないんだ。ちょっと偵察に行って来るよ」


Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.116 )
日時: 2013/07/21 16:55
名前: さくら (ID: 4BMrUCe7)

アゲハさん

ふふふふ←
主人公にはとことん危ない目にあってもらいましょう^^
千鶴も巻き込まれてもっと皆には踊ってもらいます

さて、珠紀の次は千鶴
一体どうやって男たちは彼女を守っていくのか
見守ってくれたら幸いです

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.117 )
日時: 2013/07/22 17:13
名前: アゲハ (ID: db3Hcctt)
プロフ: 期末しんどかった・・・。

続きが、とってもきになります!

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.118 )
日時: 2013/07/23 17:48
名前: さくら (ID: p81XYxhw)

「…以上が、我々の長い因果の話です。何か質問はありますか?」

太陽の位置も高くなった頃。ようやく朗々と語っていた大蛇の話が終わった。
大蛇の口から朗々と紡がれた話は決して笑い飛ばせるものではなかった。
新撰組の面々は重く口を閉ざし、その真意を理解しようとしている。
遥か古から続く血の運命。定められた数奇な人生を代々と受け継いできた五つの家とそして姫神の残酷なまで刀に翻弄される物語。
一つの呪われた刀を巡って、命とその血を賭け、ただ運命を受け入れて脈絡と守護する。これまでも、これからも。その刀があるかぎり。

「何か、夢物語みたいだけど…本当なんだよな」

藤堂が真剣な顔つきで呟く。
もう誰もその話が嘘だとは思わない。昨晩に本性を現した真弘と祐一の姿は誰もが目の当たりにした事実だ。嘘ではないとわかっているが、信じることも容易ではない。

「すぐに理解して頂かなくても構いません。ただ知ってほしいだけです。無知であればまたどんな危険が迫るかもわかりません」

大蛇の口元に添えられた笑みに、土方は目を細める。

「こちらは全てを語りました。全てです。これ以上何を話せと言われても語ることなどございません。どうでしょうか。ここで新撰組の方々にもお話頂けませんか?」

そう提案する大蛇の後ろで黙っていた真弘は新撰組の面々を睨む。

「…そうだな。珠紀と拓磨が危険な目にあったんだ。話すしかねぇだろ」
「危険な目にあった?まるで他人事みたいに言ってくれるな、土方さん。あんたらが秘密にして隠していた奴等に、身内に襲われたんだぜ。危険な目に“あわせた”の言い間違いじゃねぇのか」

真弘はどこまでも語調を低めて鋭い眼光で睨み据える。大蛇も祐一も黙って新撰組の反応を見守る。

「そうだ。確かに、危険な目にあわせたのは我々だ。本当に、すまなかった」

土方ではなく近藤が両手をついて頭を下げる。大の大人が畳に額を擦りつけてまで非礼を謝罪する姿に真弘は口を噤んだ。

「春日君と鬼崎君は無事なのかね?」

大蛇が顔を上げるように促すと、近藤は心配そうに問うた。

「無事だ。松本先生のおかげで珠紀は軽傷。拓磨はしばらくの安静が必要だが…」

祐一の言葉に近藤はほっと安堵する。
土方と近藤の後ろに控えていた原田がはじめて口を開いた。

「化け物と、俺達は言った…」

原田の言葉に真弘と祐一は身を硬くしてその先の言葉を待つ。

「化け物は俺達の方かもしれねぇ…お前達が言っていたように平気ってわけじゃねぇが、人を殺した…人を死に追い込むような実験までしている…あのときは悪かった…」

原田も手をついて頭を下げた。彼が言っているのは初めて二人の正体を目の当たりにしたときのことだろう。真弘と祐一は何も答えなかったが代わりに大蛇が口を開く。

「こちらこそ。彼らの非をお許し下さい。ですが、分かってあげて下さい。貴方がたが化け物と言われたときどう思われましたか?そのときに感じたその痛みこそが彼らと同じであるということを、どうか忘れないで下さい」
「肝に銘じよう。さて…我々も話すべきことを話そう。トシ」

近藤に促されて土方は口を開く。

「お前達があったあの男達は…変若水と呼ばれる西洋の薬を改良したものだ」
「西洋の…薬?」
「えりくさーと西洋では呼ばれている。俺達はそれを研究するように幕府からの命を受けたんだ」
「幕府から…」

そこで言葉を切ると土方は隣の部屋に視線を向けた。

「ここから先は俺じゃなく、適任に譲ることにする。入ってくれ」

土方がそう声をかけると隣の部屋を仕切っている襖が静かに開いた。

「———っ!!?」

真弘と祐一が弾かれたように立ち上がり、その入室者を睨んだ。

「失礼します」
「お前、どの面下げてここに来やがったっ!!?」

真弘と祐一の剣幕に驚いた大蛇は構える二人を宥める。

「どうされたんですか、二人とも」
「大蛇さん、こいつだよ。拓磨に大怪我させた奴は…っ!!」

入室してきたのは掠り傷ひとつない山南だった。
あの悪夢のような夜のはじまりとも言える彼がなぜ目の前にいるのか理解できない。真弘と祐一は警戒を解くことができずにいた。

「落ち着け、真弘。祐一」
「落ち着け?これがどうして落ち着いていられんだ!拓磨を殺そうとしてた奴だぞっ!!今すぐ俺が殺してやっても文句はねぇはずだぜ!!」

真弘は憤慨して感情をそのまま体で表した。そう広くもない部屋で真弘は風を体に集結させて山南を威嚇する。

「おやめなさい。鴉取君。ここは話し合いの場です。感情に任せて場を乱すのならここを出て行きなさい」

大蛇の重い一言に真弘は何か言い返そうとしたが、喉まで出かかった言葉を飲み込んで構えを解いた。
だが決して気は許さないというように山南を睨み据える。

「この人は山南さん。新撰組の組長を務めている。今現在変若水の研究を行っている。お前達には紹介していなかったな」
「どうして紹介してくれなかったんだ。幹部ならば面識があってもおかしくなかったと思うが…」

祐一の言葉に答えたのは山南自身だった。

「私は死んだ身ですので…表立って新撰組を闊歩することができないのです」

その言葉を理解できずに大蛇は目を細める。真弘と祐一も怪訝そうに山南を睨んだ。
死んだ身であるならば目の前にいるこの人物は亡霊か何かか。だが真弘はその考えを振り払った。拓磨を救出した際に山南の顔面を思いきり殴った。あのときは確かに手応えがあったのだ。亡霊などではない。

「私の腕はあるときを境に使いものにならなくなりました。そうして代わりに力を得る形で変若水を飲んだのです」

そして山南は袂から小瓶を取り出した。中には赤い液体が毒々しい光を放って大蛇たちを嘲笑っているようだ。

「これ…」

山南の部屋に入ったときに陳列していた液体だ。血のように赤いこの液体が変若水。

「これを飲むと治癒能力は向上、身体能力も劇的に変化します」
「だから…」

真弘は呟いた。あの晩どれだけ倒しても起き上がってくる山南をやっと理解できた。

「しかし欠陥もあります。変若水を飲んだ者は必ず血に狂い、その理性さえも制御しきれずに自ら血を求める化け物になるのです」
「っ…!!」

真弘と祐一は顔を強張らせる。脳裏には何度でも立ち上がり、血肉を求める吸血鬼の姿だ。
あれが薬の欠陥。副作用で後には人には戻れなくなった者の末路。
背筋に冷たいものが流れ落ちる。

「ひとつ、いいだろうか」

祐一がすっと挙手して山南を見据える。

「何故、拓磨を襲ったのか。教えてくれるか」

祐一の言葉に真弘と大蛇は頷いた。ずっと問えずにいたが、これだけは確かめなくては。拓磨に直接問いただしたいが、今彼は昏睡状態にある。覚醒するまで待っていれらない。

「それが…私にもわからないのです」
「はぁ!?わからない!?何だよ、それ!!」
「鬼崎君が私の部屋に迷い込んできたことまでは記憶があるのですが…そこから先がどうしても思い出せないのです」

山南が困ったように彼らから視線を逸らした。だが、この少年は黙っていられなかった。
すっと立ち上がると山南の胸倉を掴んで牙を剥く。

「ざけんなっ!!!覚えてないだぁ!?そんな都合のいい話があるかよっ!!仲間を食おうとしてたんだよ、あんたは!!俺達がはっきり見た!どうしてそれを覚えてないんだっ!!!」
「真弘、やめろ」

祐一が山南から真弘を引き剥がそうとするが、真弘の握力は拓磨には劣るが祐一よりは強い。山南の顔を目掛けて拳を握る。

「ま、真弘!」

驚いて藤堂も真弘を止めに入る。怒りが収まらない真弘は喉が張り裂けるほど怒鳴った。

「都合が良すぎるんだよっ!!!仲間を瀕死にさせておいて謝罪もなしかっ!?誰かを傷付けてまで、誰かを死に追い込むまで実験を続けるお前達の神経はどうかしてる!実験だぁ?てめぇらのくだらねぇ実験なんかクソくらえっ!!」

真弘の叫びは部屋によく響いた。誰も一切口を開こうとしない。重い空気が部屋を占めて沈黙が続く。

「…悪いとも思わないのか…拓磨を、珠紀を傷付けても…それは全部実験のためか…?」

掠れた声で真弘が呟く。黙っていた山南はおもむろに口を開いた。

「我々も上の命で行っているのです…危険な実験には犠牲はつきもの…ですが、意識が無かったとは言え、あなた方の友人を傷付けたのは私です。申し訳ありませんでした…」

低く呟かれた声に真弘は黙っていたが、祐一の呪縛を振り払い、一発足元の畳を殴ると部屋を後にした。


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