二次創作小説(紙ほか)
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- 薄桜鬼×緋色の欠片
- 日時: 2012/09/26 13:48
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
はい。
初めましてな方もそいうでない方もこんにちは。
またさくらが何か始めたで。と思っている方もいると思いますが
薄桜鬼、緋色の欠片好きの方には読んで頂きたいです
二つの有名な乙女ゲームですね
遊び感覚で書いていくので「なんやねん、これ」な心構えで読んでもらえると嬉しいです←ここ重要
二つの時代がコラボする感じです
あたたかい目で見守ってやって下さい
それではのんびり屋のさくらがお送りします^^
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.119 )
- 日時: 2013/07/25 23:44
- 名前: 黒蝶 アゲハ (ID: db3Hcctt)
- プロフ: 期末しんどかった・・・。
ここでは、珠紀と拓磨は入らないのですか?
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.120 )
- 日時: 2013/07/25 23:48
- 名前: さくら (ID: p81XYxhw)
真弘が退出したあとを見つめて、しばらく逡巡した後藤堂もその背を追う。
静まり返った室内の重い空気を打ち破ったのは大蛇だった。
「…すみません。彼は正義感が人一倍強い子でして…どうしてもやりきれない部分があるのです…私から後で言っておきますので…」
「いや、我々も幕府の命とは言え彼らを傷付けた。それは変わらん事実だ」
近藤は悲痛な面持ちで呟く。隣に座っていた土方が溜息をついて近藤の後に続けた。
「最初は断ろうと思っていた。こんな馬鹿げた実験、何のためになるんだってな…だが…昔の俺達には力が必要だったんだ…武士になってのし上がるだけの力が…」
原田や永倉、斎藤は眉根を寄せてその言葉を聞く。脳裏には血に狂い、死んでいったものたちの姿が焼きついて離れない。手には肉を裂き骨を絶つ感触が残っている。耳に残っている彼らの断末魔が消えることはないだろう。
その表情に大蛇はただならぬ覚悟と意志によっておぞましいとされながらも実験を続けていることが見て取れた。
「…私たちは生ぬるい時代に生まれました。私達がこうして安穏に暮らしているのは貴方方のような時代を変えようと命を賭した方々のおかげです。確かに被害を受けましたが、それは致し方ないことだったのでしょう…あなた方の苦悶の表情を見ればわかります。珠紀さんや鬼崎君も説明をすればわかってくれるはずです」
「俺達にあの倉に近づくなと言ったのは俺達を危険から遠ざけるためか…?」
祐一の問いに土方と山南は顔を見合わせ、彼に視線を移す。
「そうだ。だが実験のことを知って口外されても困るからな…一応お前達には伏せていた」
土方の答えに祐一は黙ったまま頷いた。
彼らには彼らの道理がある。乱世で生き抜くために取った正統な手段だ。それがどんなに残酷でも彼らが新時代を築くために必要とした結果だ。
それを理解した祐一は怒りを沈め、幹部の面々を見つめる。
「本来であればこの実験は私ではなく、別の者が担当していたのですが…」
「今、その人は?」
大蛇の問いに一同は押し黙ってしまった。何かまずいことを言っただろうか。
「その人は蘭方医で、幕府から命を受けて実験を行うはずだったのですが…」
「実験もそのまま、どこかにふらっと行っちゃったわけ。今捜索してるけど、どこにいるのかなぁ」
沖田の茶化すような言葉に土方は彼を睨んだ。横槍を入れるなと諌める。
「蘭方医…ですか」
「千鶴ちゃんのお父さんなんだけどね。だから顔のわかる彼女と一緒に捜索してるんだけどなかなか見つからないんだよね」
「千鶴の…」
祐一は疑問がようやく解けた。女である彼女がどうして女子禁制の組織に身を置くのか。父を探すためにこの新撰組とともにいるのだ。
「祐一」
名を呼ばれて顔を上げるとそこにはただでさえ険しい表情の土方が更に眉根を寄せて祐一を見据えていた。
「お前にもう一つ聞きたいことがる」
そう言って土方が懐から取り出しのは鉄の塊だった。畳に置かれたそれを凝視してそれがあの倉の門にかかっていた錠前だとわかると祐一は顔を上げる。
「これはお前の仕業か」
「…言っている意味がわからん」
祐一は小首を傾げて土方に説明を求める。
「お前は確か炎を操る力を持っていたな。その力で鉄を溶かすことはできるのか」
そこでようやく土方が言わんとすることがわかった。
あの倉の錠前を壊して羅刹たちを解放させたのかと問いただしているのだ。土方は最後の疑念を振り払うらために問うている。あの場にいた者でそれができるのはただ一人。
祐一ははっきりとした口調で言い放った。
「俺ではない」
「じゃぁ誰がやったんだ。こんなことが出来るのはお前しかいねぇだろ」
「確かに。俺はどんなものも燃やす力を持っている。だが、俺は決して錠前を壊してなどいない。誓ってもいい。俺はやっていない」
土方は黙ったまま祐一の目を見つめる。一転の曇りがないその瞳には強い光を感じた。
しばらくしてふっと先に土方が視線を逸らす。
「…そうだな。お前が錠前を壊す理由なんざねぇ。羅刹の存在すら知らねぇのに錠前を壊す理由はないんだからな」
土方は自分に半分言い聞かせるように呟く。己の疑いが晴れたことに祐一は安堵した。
「では一体誰がその錠前を溶かして門を開けたのでしょうか…」
斎藤の問いに誰も答えられない。だが、大蛇が口火を切った。
「さきほどからお話を聞いていて不審な点がいくつかあります…」
「不審な点?」
顎に手を添えて考え込む大蛇の姿に一同は視線を向ける。
「まず一つ。鴉取君と狐邑君が山南さんの倉の方角で聞いた破裂音。それは一体何だったのか」
「それは…」
祐一は説明できなかった。倉が多く点在していたあの北の敷地内で音がしたからそちらに駆けつけた。駆けつけたときには門は開いていて中には血を流した拓磨がいた。
その強烈な展開で見落としていたが、結局その音が何だったのかはわからない。
「まるで何かに誘われたように音がしたんだ…」
「二つ目はその錠前の件です。祐一君がそんなことをすると考えられないとなると、一体誰の仕業なのか。科学が発展していないこの時代にこのような技を持っている人は少ないはずです」
「まるで人じゃないみたいな言い方だね」
沖田がくすくすと笑う。だが大蛇は真剣な表情を崩さずに沖田の言葉から何かを閃いたのか手を打った。
「…典薬寮…?」
「まさか。どうして典薬寮がわざわざこんなところまで…」
祐一は一瞬抗議しようとしたが、口を噤んだ。その可能性は捨てきれないものだからだ。
典薬寮も自分達と同じ、古い組織だ。この時代にいてもおかしくはない。
「以前、真弘君が典薬寮らしき人物と接触したと言っていました。おかしいとは思いませんか?それから何の接触がない。私達を探るつもりなら新撰組に潜入していても頷けます」
「ちょ、ちょっと待てよ。大蛇さん。それじゃ何か?その、てん…ん?」
「典薬寮な」
「そう、その組織が新撰組に潜り込んでるってのか?」
永倉の問いに大蛇は頷いた。
「断定はできません。ただ、その可能性は多いにあります。お話したとおり、一つ封具が破られました。ですが、それから封具を破壊されていません。おかしいと思いませんか?鬼斬丸を欲しているのであれば封具を全て破壊されていても何ら不思議ではありません。だのに、封具は破られることなく存在している…恐らくこの時代の玉依姫と典薬寮の間で何かが起こっている…そしてそこに現れた守護五家と玉依姫。きっと典薬寮は私達の存在を良しとしないはずです」
「なんだ、その典薬寮ってのと仲良くねぇのか?」
原田の問いに祐一は複雑な面持ちになる。
「悪いといえばそうだが、全てがそうではない」
「彼らも鬼斬丸に魅了された組織です。私達と鬼斬丸の監視と謳っていますが…果たして信用できるものか…それに彼らは陰陽道や呪術に長けた人物が多い。恐らくですが、その錠前ももしかすると彼らの仕業かもしれません」
「鉄を溶かすことなんかできるのかよ」
永倉の驚きの声に大蛇と祐一は冗談ではなく真剣に頷いた。
「できます。彼らにとっては容易いことでしょうね」
「…頭が痛くなってきたぞ」
近藤はこめかみあたりを手で押さえて話を整理する。
「つまり、その典薬寮が新撰組に潜り込み、君達を陥れ、羅刹を解放させた犯人ということかね?」
「証拠がありませんので…まだ見解の域を出ないので何とも…ですがその可能性は十分にありえます。彼らの狙いがわかるまでは警戒して下さい。彼らの力を侮ってはいけません」
大蛇の言葉に一同に緊張が走る。
話に聞く典薬寮は鬼斬丸の力を有効活用と称して、何度も近づいて来た組織らしい。それ故に守護五家とは相容れない仲だとも。
だが、この時代の典薬寮の目的がわからない。一体なぜ彼らを襲うのか。
「不審者がいるってのか…新撰組に…」
土方ははぁと溜息をついた。近藤は隣に座る鬼副長に提案する。
「トシ。取調べとまではいかないが、平隊士をそれとなく見張る必要があるな」
「そうだな…警戒はした方がいいだろう。お前等」
土方は渋面で頷くと振り返って幹部達に下知を飛ばす。
「不審な行動をしている隊士がいればすぐに俺に報告しろ」
「でも土方さん。伊東さん達の隊士までは見張れませんよ。彼らは僕たちと違って別行動をとることが多いし、何より伊東さんが連れてくる隊士の顔、僕たち知りません」
沖田が声を上げると土方はしばらく悩んだあと呟いた。
「山崎に偵察を頼む。それしかない」
同盟を結んだとは言え、伊東の言動は目に余る。だがしかし。今の新撰組には必要な人材だ。罰すれば危うい関係を崩しかねない。伊東派を疑うわけではないが、念のためだ。
「決まりだな。では皆。頼んだ」
近藤の声に幹部は深く頷いた。
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.121 )
- 日時: 2013/07/25 23:54
- 名前: さくら (ID: p81XYxhw)
アゲハさん
そうですね
珠紀と拓磨を出したいと思ったのですが、
何せ大怪我を追った拓磨はまだ昏睡状態
なのに起き上がって話し合いに参加するのは何か違和感があるかな、と思ったんです
いくら治癒能力が高いからと言って一日で治るのはちょっと突拍子すぎるかなとさくらは考えたんです
でもアゲハさんの言うとおり、出したかったです!
だって後で二人に説明するとか二度手間…ッ
珠紀と拓磨が一緒にここにいてくれれば話は早かったんですけどね
中々上手くいきませんね^^;
もう少しで拓磨も回復すると思うので、待ってあげてください
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.122 )
- 日時: 2013/07/28 13:45
- 名前: 黒蝶 アゲハ (ID: db3Hcctt)
- プロフ: 期末しんどかった・・・。
そうなんですか!
拓磨が回復するよう、祈ってます^^
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.123 )
- 日時: 2013/08/01 21:12
- 名前: さくら (ID: lDRmYQrD)
皆に下知を飛ばしたところで近藤はつっと視線を山南に向け微笑む。
「悪かったね、山南さん。昼は体に堪えるというのに…」
「いえ。では話は済んだようなので、私はこれで…」
山南が立ち上がって一人先に屯所に戻ろうとする。その背中を見つめていた土方が彼を呼び止めた。
山南はゆっくりと振り返り、険しい表情の土方を見つめる。
「何か?」
「あんた、本当に拓磨を襲ったとき、記憶がなかったんだよな?」
「えぇ。恥ずかしながら…羅刹化してしまうと記憶があやふやになってしまうようです」
「そうか…変なこと言って悪かったな」
山南は微笑むと入室したときと同様に襖を開けて出て行った。
変わらずに険しい表情の土方に斎藤が窺うように声をあげる。
「副長?どうかされたのですか?」
「いや…」
土方はそこで言葉を切ると何事もなかったかのように声の調子を変えた。
「さて、話は全部済んだな。俺達は屯所に戻る。珠紀と拓磨が回復し次第、屯所に戻ってくるように伝えてくれ」
「わかりました」
大蛇は立ち上がった土方を見上げて頷いた。
「おい、真弘。おいっ。なぁ、おい———」
「うっせぇな!!ついてくんな!」
部屋を飛び出した真弘を心配して追いかけてきた藤堂は、庭を横切って家の裏手に行こうとする真弘の腕を掴む。
気が立っている真弘は藤堂の心配など煩わしいものでしかなく、苛立ちの矛先を藤堂に向けた。
「人殺しが何の用だ!!俺はあんな腐った組織には戻らねぇぞっ」
「真弘、落ち着けって、俺の話も———」
「落ち着け?俺はいたって平常心だぜ?おかしいのはお前達のおつむだろうがっ!!いいから俺に構うなよっ!!」
藤堂の腕を乱暴に振り払うと真弘はずんずんと先を歩き始める。
その小さな背中を見つめながら藤堂は呟いた。
「多分、山南さんは拓磨の血が欲しくてあんなことをしたんだと思う…」
「…あ?」
あまりにも小さな声に真弘は立ち止まって振り返る。聞き間違いか、今藤堂が何と言ったのか聞き取れなかった。真弘は視線を彷徨わせて逡巡している藤堂を睨む。
「確信はないけど…でも最近の山南さんはおかしい。土方さんもそれをわかってて山南さんを泳がせてると思うんだよ…だから、その…悪い…」
「お前に謝られても何の意味もねぇよ。胸くそ悪いだけだ」
「ごめん…」
うな垂れてさらに謝る藤堂に真弘は呆れた。
こいつのせいではないのに、どうして謝るのか。非など藤堂にはないはずなのに。
組織のため。研究のために土方の頭は決して下がることはない。頭を下げる役目は近藤が担い、土方は新撰組を率先する義務がある。
だから決して頭を下げない。どんなに非道で残酷な言葉を並べてもそれは組織のため。組織を一番に考えた結果だ。
危険だとわかればそれを徹底的に排除する。土方のやり方は間違ってはいない。
だがそこに感情がないことは確かだ。
拓磨や珠紀が傷ついて倒れてなお、新撰組を、実験を最優先とした。そこに私情は挟まない。それが鬼の副長だ。
その彼の代わりに藤堂が謝っているのだと気付いた真弘は更に苛立ちを募らせる。
「…わかってるよ、お前等にとってあの実験が大事なことくらい…けどよ、人の生き死にを何とも感じてないように思えて、俺は…」
「真弘…」
藤堂は目の前で拳を握り締め、唇を噛む真弘を見つめる。
「人体実験で得た結果なんてどうせ無残なもんだろ…人は人以上にはなれねぇんだ…ッ」
どんなに強靭な力を手に入れても、それは空虚で儚いものだ。人が人以上の力を求めれば必ず身を滅ぼす。
瞼の裏に焼き付いたロゴスの姿。彼らは鬼斬丸を求めてその身を滅ぼし、そして儚く散っていった。人は強い力に焦がれるものだ。だがそれを手に入れてしまえば最後。人が力を望みすぎると結果は悲しいものだ。
「真弘…俺も実は土方さんのやり方には疑問を感じてるんだ…」
唐突に語りだした藤堂は曇った表情で続けた。
「今回のことで、俺ようやくわかった…土方さんと俺の考えが食い違ってるって…いくら何でもあれは酷すぎるだろ…どうしてお前たちばかり責められるんだよ。多分元凶は山南さんなのに、お前達が悪いって決め付けて…」
「平助…」
「今までお前達は新撰組で頑張ってくれてたのに…土方さんはそれを考えてない…大局ばかり見てる気がするんだ…」
藤堂の苦悶の表情を見て真弘は理解した。激動の時代であればあるほど人々の心は熱く、脆い。それぞれに己の考えを持つ。それが相違となったとき、そこに争いが生まれた。
藤堂の目にはそれがわかっていても止められないという硬い意志があった。
「真弘…俺と一緒に新撰組を出ないか…?」
「え…?」
思わぬ提案に真弘は目を丸くする。
「ど、どういうことだよ。平助…」
「伊東さんっているだろ?あの人が今新撰組から人員を割こうとしてることは知ってるか?」
藤堂の口から紡がれた言葉は決して穏やかなことではない。それはきっと新撰組からすれば重大な問題だ。真弘は理解が追いつかずただ首を横に振る。
「伊東さんに俺、声かけられたんだよ。一緒に新撰組を離隊しねぇかって…まだ伊東さんに返事はしてないけど…俺は…」
「離隊ってお前…新撰組を辞めるのか?」
「まだ決めてないけど…結構大勢の隊士が伊東さんに誘われて離隊を考えてる奴もいるんだぜ?」
「けど、そんなことしていいのかよ…局中法度にも確か…」
「あぁ。けどそれが俺の意志だったら切腹にはならねぇはずなんだ。伊東さんの目的は新撰組の力を分散させるためなんだよ」
真剣な表情を崩さず、藤堂は答える。そこまでわかっているのならどうして離隊するというのだろうか。それは新撰組にとっては多大な損害が予想されるのではないか。
「ここで近藤さんについていくか、伊東さんについていくか…真っ二つに分かれるんだ…真弘。お前はどうだ?」
「どうって…」
藤堂の迷いのない口調に、真弘は気圧される。これは謀反というやつではないのか。
それを今持ちかけられている。その持ち掛けた相手である藤堂は至って本気だ。本気でこれから近藤についていくか、伊東についていくのかを考えている。
それを悟った真弘は急に言葉を発することができなくなった。
妙に納得している自分がいるからだ。伊東について行ってもいいかもしれない。
そう思ってしまう自分に驚いていると、話が終わったのか幹部達が居間からぞろぞろと現れた。
「おい、平助。帰るぞー」
「あ、あぁ」
永倉が藤堂に声をかけると玄関へと踵を返す。その背中を見送って藤堂は真弘に向き直った。
「俺は屯所に戻るけど、お前はどうするんだ?」
「珠紀と拓磨が目覚めるまでここにいるつもりだ」
真弘の返答に頷くと藤堂は真剣な眼差しで顔を上げた。
「お前達が無理やりここにいる必要はないと思うんだ。今回の件で俺は離隊を考えるつもりだ…お前も考えてみろよ」
「…あぁ」
藤堂は幹部達の背を追って駆け出す。その背中が力強く見えた真弘は息を吐いた。
「ちゃんと考えてんだなぁ…」
時代に、人に流されるわけではなく自分の目で、物差しで己の道を決める。藤堂は今がそのときなのだろう。自分の信じたものを貫く。その決意を見たようで真弘は圧倒された。
「…離隊、か…」
考えてもいなかった選択肢だ。それが正解なのかはわからないが、真弘は今回の件で新撰組に対して疑心を抱いてしまった。再び信じるというのは難しい。
「黙っておくか…」
まだ答えが出たわけではない。真弘はこの話を胸の奥深くに仕舞っておくことにした。
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