二次創作小説(紙ほか)
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- 薄桜鬼×緋色の欠片
- 日時: 2012/09/26 13:48
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
はい。
初めましてな方もそいうでない方もこんにちは。
またさくらが何か始めたで。と思っている方もいると思いますが
薄桜鬼、緋色の欠片好きの方には読んで頂きたいです
二つの有名な乙女ゲームですね
遊び感覚で書いていくので「なんやねん、これ」な心構えで読んでもらえると嬉しいです←ここ重要
二つの時代がコラボする感じです
あたたかい目で見守ってやって下さい
それではのんびり屋のさくらがお送りします^^
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.19 )
- 日時: 2012/10/15 21:12
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
土埃をまとい、現れた二人の姿に侵入者の動きが止まる。
拓磨が珠紀を庇いながら静かに構えた。対して真弘は一歩前に出て、相手を睨む。
「もう、遅いですよ!二人とも」
「おいおい、こんな状況で説教か?」
「仕方ねぇだろ。こんな広いところで離れ離れになっちまったんだからよ」
緊張感漂う場面で三人は何気なく会話をする。その様子を見て戦いの場に慣れていることが窺えた。三人が親しく会話を繰り広げているところを見て、土方はこの三人が見知った仲だと気付いた。
それはなんとなく理解できていた。変わった格好。同じ時期に現れたこと。どれをとりあげても共通点が多い。
「それより、だ。うちの姫さんを誘拐するとは、いい度胸だ」
真弘が侵入者を正面から睨みつける。相手には何の反応もない。ただ無言で長刀を構えた。
それを見て相手が敵意を持っていると判断した真弘も同じく身構える。
「丸腰のままどうすつもりなのさ」
沖田が待ったをかけたが、その肩を広間から駆けつけた斎藤に掴まれ口をつぐんだ。
「待て、総司」
「一君。待てって丸腰なんだよ?あの二人」
「郷に入っては郷に従え、だ。見ろ」
斎藤の視線に促されて、沖田が真弘に視線を向けた。
腰を落とし空に手をかざす。すると空気がざわつき、風が彼の手に集まり始めた。しだいに風は暴風となり、彼の腕にまとわりつく。
それはまるで腕まるごと風の剣となったように見えた。
真弘は一気に地を蹴り、間合いを詰める。腕ごと相手に振りかざす。
侵入者は素早く長刀を構えるが、真弘の力に一瞬態勢が崩れた。
その隙を、拓磨は見逃さなかった。
拓磨は拳を握るとそこに見えない力が込め、相手の隙を狙う。
真弘に気をとられていた相手は、拓磨の襲撃に反応が遅れた。拓磨はそのまま相手の顔面にストレートを決めた。
陶器が割れるような音が響いた。
「すごい…」
「異端には異端が相手するのが一番だ」
千鶴が感嘆する横で、斎藤が頷いた。
侵入者はよろけて、一歩後退する。からからと鬼の面が割れ落ちる。顔を隠すように侵入者は素早い動きで軒の上へと跳躍した。
「逃がすかよ!」
「待て、拓磨っ」
すかさず追いかけようとした拓磨を真弘が引き止めた。
そうしている間に侵入者はそのまま霧のように掻き消えてしまった。
「深追いするんじゃねぇよ。相手の素性だってわからねぇのに、こっちが不利になる」
静まり返った庭には、侵入者が消えた後を睨みすえる三人と、しばらく何が起こったのか理解できない新撰組の面々が残された。
「…とにかくこれだけ屯所を荒らしてくれたんだ。詳しく説明してもらおうか」
庭を見渡せば真弘の起こした暴風でまるで台風が去った後のように草木が薙ぎ倒されていた。
その荒れ果てた惨状に近づく足音があった。
「今帰ったぞ、トシ。騒々しかったが、何かあったのか?」
ゆったりとした足取りで現れたのは、羽織を着た近藤だった。
遠出から戻ってきたのか、旅支度のまま庭にやってきた。
「ん?どうした、庭が荒れているな…ん?何だね、君たちは」
素っ頓狂な声で、小首を傾げた。
張り詰めていた空気が近藤の参上に緩和され、さらに珠紀の腹の虫が鳴いた。
「ご、ごめんなさい」
「ちょうどいい時間ですし、朝餉にしましょうか」
顔を赤らめて謝る珠紀を見て千鶴は苦笑して提案した。
「構いませんか?土方さん。近藤さんも戻られましたし」
「そうだな。少し落ち着くか」
土方の了解を得て、千鶴はすぐに朝餉の支度にとりかかる。
「一体どうしたんだ、トシ」
「説明するよ、朝飯食った後に。近藤さんが帰ってくるのを待ってたんだ。こいつらの処遇に悩んでいたところなんだよ」
土方はちらりと拓磨と真弘に視線を投じた。
二人は近藤と土方に対して警戒しているのか、しばらく黙ったまま睨んでいた。
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.20 )
- 日時: 2012/10/18 19:24
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
秋風が木々の枯葉をもてあそぶ。紅葉した森は美しく彩られ、荘厳な雰囲気をかもしだしている。
その森が群がる場所。山々が連なり森に囲まれた村があった。
知る人も少ない人里離れた村。
その村の最奥に村人から崇められる社があった。
赤い鳥居をくぐると広い境内。迎えるのは入母屋造りの石の間で拝殿と本殿を繋いだ建て方の社だ。
その社の前で深刻な面持ちで空を見上げている青年がいた。
歳は十代だろうか。赤みがかった長髪は三つ編みに結われ、朱色の長着に白の羽織を肩にかけた出で立ちだ。
社を背に空を見上げていた青年は眉をひそめた。
「…来た」
秋晴れの空に星が流れた。否、星ではない。その星はまっすぐに青年に向かって落ちてくる。
青年にぶつかる寸前で星は弾け散った。
眩さに辺りが白光する。光が収まるとそこに薄汚い布を纏った男が現れた。長刀を背に提げ、長い手足を曲げると青年の前に膝間付く。
「よく戻った。報告せよ」
「はい…例の姫君が見つかりました。京の壬生狼にて…」
「壬生狼?何故そんなところに…まぁいい。それで姫君は?」
「ともに居た守護者に阻まれ…お連れすることが出来ませんでした」
「守護者…だと?」
青年の目が光る。しばらくの間青年は押し黙り、考え込む。
「我が姫は姫君をお呼びしたはず…守護者も呼び出したのか…?」
思案していた後青年は考えことを放棄したのか、頭を振って男に視線を落とす。
「ん、面はどうした?」
「それは…」
汚れた薄絹を纏った男は白い長髪を自然にまかせて伸びている。その髪の間から男の白い顔が見えた。
「守護者と戦った際に…顔面を…」
「はははっ。なるほど。殴られでもしたか。面白いな、守護者か…どの守護者であろうな」
今まで硬い表情だった青年の顔は明るくなった。何か思い巡らせているのか、その顔は子供のようだった。
「報告ご苦労。姫君が見つかっただけでも幸運だ。後は“アレ”の行方だな。引き続き捜索を続けてくれ」
命じると男は霧のように姿を消した。
社を振り返り、青年は苦虫を噛み潰したように険しい表情で小さく呟いた。
「“アレ”が盗まれて半月…未だ世界が崩壊していないということは…封印はまだ…」
秋風が青年の声を掻き消す。
梢が響く森を近くに、青年はふと表情を緩めた。
「最近は特に冷えるというのに、外に出てくるなと言っているだろう」
「あらあら。大丈夫ですわ、このくらい」
青年は住居とする母屋から現れた少女に、すぐさま自分が羽織っていた羽織を少女にかけてやる。
「ありがとう。あら、今冴鬼(さえき)が帰ってきたの?」
「あぁ。喜べ。姫君が見つかった。ただ守護者もやって来たようだ」
「まぁ。良かった。これで、これでやっと…」
安堵しているのか少女は嬉しそうに顔を綻ばせた。
その少女を見て青年もつられて笑みをこぼす。だがすぐさまその顔は暗くなる。
「だが…“アレ”がまだ見つかっていない…」
「…拓魅(たくみ)。焦る必要はありませんわ。姫君が見つかった。それだけで未来は明るい…」
「だが、あの古き鬼が“アレ”を持って行かなければ…」
「拓魅。封具はこの手にあります。まだ世に異変がないのですから、あの鬼も“アレ”を使っていないということ。同属だからと気負うことはありません」
拓魅の頬にそっと手を添え、少女は優しく微笑む。
「大丈夫…姫君を迎えに行く…準備を…」
「おいっ」
少女の体が大きく傾ぐ。拓魅はすかさず手を伸ばし、少女を支える。
「やはり起き上がるから…!すぐに横になろう!“アレ”が呼んでいるのだろうっ」
「大、丈夫…少し頭痛がするだけ…」
青い顔で少女は健気に平気な振りをするが、拓魅はそれが嘘であるとわかっている。有無を言わさず少女を抱き上げると母屋へと急ぐ。
「無理ばかりするなよ。俺が姫君を迎えに上がる準備をしておく。お前は休め」
「…ごめんなさい、拓魅…私が弱いがために…」
「言うな。守護者である俺がお前を守るのが務めだ」
「…ありがとう」
少女は弱々しく微笑んだ。青年は頷くと母屋に駆け込んだ。
秋風は寂しく吹き荒れる。
枯葉を巻き上げ、赤い風になる。風は秋晴れの空へと舞い上がり、境内から巻き起こった風はやがて京へと向かう———…。
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.21 )
- 日時: 2012/10/24 21:20
- 名前: 紅 聖夜 (ID: pUqzJmkp)
文章うますぎですー!!Σ(゜∀゜ノ)ノキャー
めちゃくちゃ内容も面白いし・・・もう、さくらさんの大ファンです!!
続き頑張ってください
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.22 )
- 日時: 2012/10/25 18:06
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
紅 聖夜さん
ありがとうございます^^
ファンだなんて!
嬉しいです
更新頑張りますのでまた読んでやって下さい
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.23 )
- 日時: 2012/10/25 19:53
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
てきぱきと厨で朝餉の支度をする千鶴を追いかけて、珠紀は恐る恐る声をかけた。
「あの、私も何か手伝ってもいいですか?」
「え、そんな…さっきまであんな目にあ遭われたんですから無理せずに…」
「無理なんかじゃないですよ!私あぁいうのには慣れてるんで!」
珠紀が両腕を振って笑顔で答えた。
千鶴はしばらく逡巡した後、握っていた包丁をまな板に置くと珠紀に駆け寄った。
そしてそっと白い手で珠紀の額に触れる。
「熱は…ないようですね。どこか具合の悪いところはありませんか?」
「え?あぁ、もう大丈夫です」
「そうですか?では、無理の無い程度にお手伝いしてもよろしいですか?」
千鶴が願い出ると珠紀を大きく頷いた。
「じゃぁ私は何をすればいいですか?」
「そうですね…あ、お味噌汁の味噌、入れて頂いてもいいですか?」
「お味噌ね。味付けは任せて下さい」
珠紀ははりきってかまどの上で煮立っている鍋に向かう。千鶴はあらかじめ茹でておいたほうれん草の水を絞り、ざく切りに切っておひたしにしていく。
珠紀はふと何かを思い出したのか顔を上げた。
「そう言えば、私あなたに看病してもらったんですよね」
「はい。具合が良くなって安心しました」
「お礼まだでしたね。ありがとうございました」
珠紀が腰を曲げて千鶴に礼を述べる。突然のことに千鶴はつられて頭を下げた。
「いえ、私は何も…」
「あ、自己紹介まだでしたね、私春日珠紀です」
「雪村千鶴です」
「見たところ歳近いですよね?千鶴ちゃんって呼んでもいいですか?私は珠紀って呼んでください」
「珠紀…ちゃん」
千鶴は近い歳の少女にあまり知り合いが居ない。唯一いるとすれば最近町で出会ったお千くらいだ。そう言えば似たような会話をお千ともした気がする。
千鶴は近い年端の娘とこうやって話す機会も出会いもなかったためか、どこかこそばゆい気がしてつい頬を赤らめてしまう。
「近い歳なら敬語もやめませんか?」
「あ、そうだね。って千鶴ちゃんが敬語使ってるよ」
歳も近いことからあっという間に打ち解けた二人は、楽しげに朝餉の用意にとりかかった。
一方その頃広間では———
厨とは打って変わって重苦しい空気に包まれていた。
上座には鋭い眼光で鎮座する土方。その前には着替えを済ませた斎藤、沖田が向かい合うかたちで座っている。
ちょうど土方の正面上に拓磨、真弘が肩を並べて正座していた。
「なぁ…何でこんなに空気重いんだよ」
「俺たちがここで暴れたからじゃないっすか?」
こそこそと小声で耳打ちする二人は、張り詰めた空気の重さから正座を崩すことができないでいた。
そんな状況が半刻ほど続いた。拓磨や真弘は短い時間だが一秒一秒が長く感じられた。
「あのよ…」
真弘がしびれを切らしてそっと手を上げた。
「何だ」
「いや、ちょっと顔でも洗いたいなぁ、みたいな…?」
土方の鋭利な視線に珍しく真弘もたじろぎながら用件を口にした。
「井戸ならここを出て左に曲がればすぐだ」
「んじゃちょっと行ってく———」
「ちょっと、先輩!俺をこんなところに置いて行くんすかっ」
広間を出ようとした真弘のズボンの裾を引っつかんで拓磨は睨んだ。
「すぐ行って帰ってくるから、んじゃ」
救いを求める拓磨の腕を振りほどくと、真弘は足早に広間を出て行った。拓磨は裏切られた思いで真弘が出て行った後を睨んでいた。
いつもそうだったが、真弘は肝心な時や面倒ごとは年下である拓磨になすりつけてどこかへ退散していく。今回も例に漏れなかった。
卑怯者と心の中で呪っていると、土方が声を上げた。
「何も取って食おうとしてるわけじゃねぇんだ。そう身構えるな」
「ってこんな状況でくつろげる訳ないだろ…」
鋭い眼光で黙している土方。目を閉じて時を待つ姿が近寄りがたい斎藤。そして怪しげな笑みを浮かべている沖田の三人を前に、身構えるなという方が無理だ。
拓磨は口を引きつぐんでそっと周りを見渡す。
板張りの床。障子で仕切られている。ここで多人数が集まっても何の問題もなさそうだ。土方との距離がだいぶあることから、まだこの広間に誰かが朝食をとりに来るに違いない。
三人の出で立ちをじっくりと観察していた拓磨は、ある一箇所に目が止まった。
「なぁに?これが気になるの?」
沖田がその視線に気が付いたのか、傍らに置いてあった刀を持ち上げた。
「いや…時代劇とかではよく見るけど…生では初めてなもんで…」
歳にそぐわず拓磨は時代劇が好きだった。おかげで学校の試験では日本史だけが唯一の得意教科だ。
特に江戸時代はドラマや映画でよく見ていた。だから沖田や斎藤が羽織っていた羽織には覚えがあった。
「ここってもしかして…」
拓磨が小さく呟いた。もしあの羽織があの有名な浪士組なら。ここは。
真弘は追いすがる拓磨を置いて、井戸に向かった。桶で水をくみ上げて、顔を洗おうとした刹那。
「ふあぁあ…眠ぃ…ん?」
「ん?」
寝ぼけ半分で部屋から出てきた藤堂と目が合った。
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