二次創作小説(紙ほか)

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薄桜鬼×緋色の欠片
日時: 2012/09/26 13:48
名前: さくら (ID: cPNADBfY)



はい。
初めましてな方もそいうでない方もこんにちは。
またさくらが何か始めたで。と思っている方もいると思いますが
薄桜鬼、緋色の欠片好きの方には読んで頂きたいです


二つの有名な乙女ゲームですね
遊び感覚で書いていくので「なんやねん、これ」な心構えで読んでもらえると嬉しいです←ここ重要


二つの時代がコラボする感じです
あたたかい目で見守ってやって下さい

それではのんびり屋のさくらがお送りします^^

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.109 )
日時: 2013/07/17 09:10
名前: さくら (ID: 4BMrUCe7)

アゲハさん

きっと千鶴の女の勘が発動されたんですよ笑
ややこしいですね
私も頭がこんがらがりそうです^^;

がんばりますね
ありがとうございます

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.110 )
日時: 2013/07/17 09:14
名前: さくら (ID: 4BMrUCe7)

寒い。ここはどこ。暗くてよく見えない。
真っ暗闇に立たされ、自分の手足さえ見えない。ひどく寒くて恐怖が背中から這い上がってくる。
そのとき目の前でちらりと何かが光った。もう一度目を凝らしてその光を見つめる。
赤い光はゆらゆらと揺れ、こちらに近づいて来た。

「拓磨…?」

彼の髪と良く似た光の色だと思った。だがその考えはすぐに打ち砕かれる。
ゆらゆらと大きくなる光は数を増し、こちらに押し寄せてくる。
それが人の目だとわかったときには珠紀は悲鳴を上げていた。
赤い目を光らせ、白い髪を揺らし、奴等は手を伸ばしてくる。虚ろな目はしかし何かを欲しているのか珠紀から目を離さない。

「い、いや…っ来ないで…!!」

後退したくても寒くて動けない。恐怖で体が強張ってしまった。
呻き声を上げながらその男達は手を伸ばしてくる。怖い。恐い。こわいっ…!!
誰か———

「いやっ…———!!!」

悲鳴とともに目を開けたときには見知らぬ天井が広がっていた。
荒い呼吸を繰り返して、珠紀は今自分がどうなっているのか考える。

「やぁ、目が覚めたようだね。気分はどうだい?」
「…え、あ…の…」
「心配しなくてもいい。ここはワシの家だ。ワシは医者でね。君の治療をしたのはワシだ。あぁ、まだ動かないほうがいい」

珠紀は起き上がろうとして腕に激痛が走った。あまりの痛みに再び布団に横たわる。

「腕の傷は大きいがそう深くない。すぐに治るよ」

中肉中背の男は珠紀のすぐそばで薬を調合していた。見知らぬ男に珠紀は掠れた声で尋ねる。

「あ…なたは…?」
「ワシかい?ワシは松本良順。医者をやっている。ついでに君の仲間の大蛇君を預かっているよ」

松本の説明をぼんやりと聞いていた珠紀は目を見開いた。
夕べの出来事が走馬灯のように思い出される。
暗い闇。無数の倉。光る赤い瞳。赤い鮮血。激しい痛み。青い炎。
そこまで思い出して珠紀は再び起き上がろうとした。

「おいおい、まだ動くなと言っただろう」
「拓磨、拓磨は…っ!!」

傷ついた腕を庇いながらそれでも珠紀は松本にすがって尋ねた。

「赤毛の青年かね?それなら隣に…」

そう広くもない畳の部屋に珠紀はいた。すっと隣を見て安堵の溜息をついた。

「良かった…」

ずっと探していた。見つかって良かった。
ほっと安堵する反面、珠紀は目を瞬く。どうして自分と同じように床についているのだ。
眠った拓磨の横顔を見つめたまま、珠紀は松本に問うた。

「どうして…眠っているんですか?どこか、怪我でもしたんですか…?」
「ワシも詳しくは知らんが、刺されたらしくてね。一命はとりとめたから…あぁ、こらこら、無理をしちゃいかん」

松本の制止を振り切って珠紀は拓磨の元までにじり寄る。

「拓磨…拓磨…」

傷を負った手とは逆の手で拓磨の頬をなでる。温かい。顔色は良くないが、温もりを感じて安堵する。

「しばらくの安静が必要だ。彼はまだ目が覚めないだろう。さ、お前さんも布団に戻りなさい。頭を打ったんだ。今日一日は安静にしなさい」

松本に促され、珠紀は布団に戻る。だが、拓磨が気になって眠ることなどできなかった。





「これはこれは…こんな朝早く、皆様揃ってどうされましたか?」

大蛇は新撰組幹部を松本宅の広間に招くと優雅な所作で腰を下ろす。
にこやかに彼らを通した大蛇とは違い、朝のあいさつを交わすこともせず幹部達は硬い表情で大蛇と対峙するように膝を折った。

「そこの二人からは何も聞かされていないのか?」

土方と近藤が大蛇に近い場所に座り、彼の背後に控えていた二人を指す。

「さて…私は何も…何か彼らが粗相をいたしましたか?」

大蛇は仏頂面で胡坐を掻く真弘と背筋を伸ばし正座を崩さない祐一に視線を向ける。
彼らに視線を向けても何も答えない。その強張った表情から彼らが粗相をしでかしたなどという瑣末なことではないらしい。

「ふんっ…人殺し集団が何しに来やがったんだ。悠長に拓磨達の回復も待てねぇのか」
「真弘。言葉が過ぎるぞ」

真弘は嘲るように鼻を鳴らした。祐一が諌めるが、真弘は態度を改めない。

「さて…一体何があったのか。教えて頂けますか?尋常ではない緊迫した表情で早朝に押しかけたその理由を…」

大蛇は居住まいを正し、新撰組と向き合う。
幹部は険しい表情のまま、長い一日を迎えることとなった。




「なるほど…話は相分かりました」

土方が主な説明を担当し、大蛇は黙って最後まで聞いていた。その間真弘達は苦虫を噛み潰したような表情で土方を睨んでいた。

「つまり、そちらが管理していた実験者を彼らが解放したのではないか、と。そしてその実験者によって鬼崎君と珠紀さんが…」

さほど長い話ではなかったが突然の話の飛躍に大蛇も戸惑っているようだ。腕を組み、自分なりに整理しているのか、そのまま黙してしまった。

「大蛇さん。そこの彼らにも聞きたいことがあるんだが、構わんかね?」
「えぇ。どうぞ」

近藤は真弘と祐一に向けて声をかける。

「君達は拓磨君を探して倉に行ったんだんだね?他に目的があったわけではないんだろう?」

優しく子供を諌めるような口調で近藤は問うた。

「そう言ったつもりだったが、そこの副長さんは信じていないみたいだぜ」

話をふられた土方に視線を送ると、険しい表情で二人を睨んでいた。

「近藤さん。こいつらはもうあれを見たんだ。今更回りくどい話はしなくていいだろう。真弘。祐一。お前達に質問だ」

土方は抑揚のない声音で言葉を続ける。

「お前達は何者だ」

土方をはじめ幹部達の視線は二人に集まっていた。その目には疑心と畏怖が入り混じっている。
その視線を遮るように大蛇が口を開いた。

「それは私の口から説明しましょう。昨晩お話できませんでしたからね。ではまず手っ取り早く私達の素性から…そこの御仁」
「ん?俺か?」

大蛇に指を指されたのは永倉だった。なぜ指名されたのかわからないといった様子だ。

「どのような形でも構いません。私を攻撃して下さい。何ならその刀で斬って頂いても構いませんよ」

にこやかに微笑む大蛇に一同は目を剥く。一体何を言い出すのだ。
永倉は困惑しながらも抜刀して大蛇の前に立つ。
そして刀を両手で構え持つと大きく振りかぶった。誰もが目を見張る。
勢い良く振り下ろされた刀は大蛇の脳天を確実に狙っていた。だが、激しい音とともに刀は弾かれ、永倉の手から離れた。弾かれた刀は弧を描き、永倉の足元に突き刺さる。

「い、今…何しやがった…」

誰もが目を細めて大蛇を見た。彼は一切微動だにしていない。正座したままにこやかな表情を崩していない。だが今確実に大蛇の前に壁があった。否、壁というよりは強固な膜が現れ、それが刀を弾き返した。

「どうなって…」
「おわかりいただけましたでしょうか?」
「何したんだよ」
「ではもっと判り易く…」

大蛇が目を閉じると彼を中心に円陣が畳に淡い光を放ちながら浮かび上がる。幾重も広がるその円陣に一同はどよめいた。

「私がもつ力は結界を造りだすこと。そして結界を転じて攻撃に換えることもできます」
「結界…?」
「鴉取君は鴉の血を。狐邑君は狐を血を継いでいます。私は蛇ですね。鬼崎君は鬼の力を代々受け継いでいます」
「それで化け物?その代々受け継ぐ血のせいで君達は人間じゃないの?」

沖田の率直な質問にも大蛇は優雅に頷いた。

「私達に流れているのは異形の血。そしてそれは古に続くものです」
「それにしては力がないんじゃない?人も倒せてないみたいだし…君達が言うほど大した力じゃないと僕は思ったけどなぁ」

その言葉に真弘が腰を上げようとした。力がないとは聞き捨てなら無い。この力のせいでどれだけの苦心を強いられてきたことか。
だがその真弘を手で制すると大蛇はさらに続けた。

「当然です。私達の力は人に対して有効なものではありません。人を傷付けるために得た力ではありませんから」
「では一体何のために…?」
「カミや妖から封具と玉依姫を守るためです」
「神…?あやかし…?」

幹部一同は怪訝な顔で大蛇を見た。一体何の話だ。

「この時代には魑魅魍魎が跳梁跋扈しています。それが見える人はこの時代は多いはずです」
「魑魅魍魎って何だよ。妖怪とか怪異のことか?」
「そうですね。怪談などで出てくるアレです。ですが私達が相手とするのはもっと厄介なもの、神が暴走し悪神となったものです。その悪神が暴走する原因が、鬼斬丸という刀から漏れ出る瘴気なんです」
「そういえば、その鬼斬丸を探してるって言ってたよな」

藤堂が思い出したかのように呟いた。元居た時代にもどるために神社に行くべきでは、と新撰組が提案したことがあった。だがそれを拓磨と真弘が断った。『探しているものがこの京にあるかもしれない』といって。

「はい。ではこれからその鬼斬丸についてお話しましょう。古い因果。決して覆すことのできない因縁の話を———」

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.111 )
日時: 2013/07/17 16:11
名前: アゲハ (ID: db3Hcctt)
プロフ: 期末しんどかった・・・。

おお〜!
話が、分かりやすい!
さすが、大蛇さん!

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.112 )
日時: 2013/07/19 00:10
名前: さくら (ID: 4BMrUCe7)

アゲハさん

いつもありがとうございます^^

大蛇さんはいつもややこしい話をまとめてもらう役を担ってもらっています
いつも助かります笑

まだまだややこしい話は続いていくのでどうか温かい目で見てやってください

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.113 )
日時: 2013/07/19 00:13
名前: さくら (ID: 4BMrUCe7)

鳥の囀りが朝日が輝く空の遠くから聞こえてくる。少し早めの朝食を取ると、いつもの人数分より少ない膳の片付けも速く終わった。
千鶴は朝餉の片づけを終えると手持ち無沙汰になってしまった。洗濯物を片付けようと思ったが、先に山崎がそれを片付け終えたらしく、もう出来る家事は掃除ぐらいしかない。
千鶴は境内の掃除をしようかと思ったが、昨日自分がそれをしてしまったことを思い出す。
巡察について行こうにも隊長達がいないため、何をすべきか悩んでしまう。平隊士には言伝で巡察を取りやめて稽古をする日となったらしい。
久しぶりの自由な時間なのだからと井上は羽根を伸ばすように勧めてくれた。

「何をして過ごそうかな…」

今まで忙しい日々を送っていて千鶴にとって束の間の休息だ。だが、突然時間を与えられると何をすればいいのかわからなくなる。自分のために使う時間など今までなかったからだ。
困惑しつつ屯所内を歩き回る。誰の許可も得ずに外出するわけにもいかず、まだ知らない屯所の敷地構造を理解しようと散歩のついでに歩く。
眩しい朝日を背に受け、千鶴は静かな一人の時間を味わった。
今まで幹部連中に囲まれ騒々しい日々を送ってきた。それは決して嫌なものではなく、心地よい空間だった。だが急にその面々が居なくなると、静けさが耳につく。
今日中には戻ると聞いたが、それがいつかもわからない。ならば恐らく何も食べていない幹部達のために何か飯を作っておくべきか。
千鶴はそう思い、厨に足を向けようとしたときだ。
背後から声をかけられる。

「はい?」
「貴方、ここの隊士の方ですか?」

千鶴を呼び止めた声の主には見覚えがあった。
凛々しい顔立ちで、通った鼻筋が一層整った顔を引き立たせている。
一度見たら忘れられないその顔は昨日の昼間、土方の部屋に行く前に廊下ですれ違った人物だ。
優しい響きの声は千鶴から警戒心を奪う。伊東派の人物だと聞いて少し戸惑ったが、彼の顔には人の良さそうな笑みが浮かんでいた。それが余計に千鶴を油断させる。

「私、つい先日ここに入ったばかりで…朝の散歩と思って部屋を出たらここがどこだかわからなくなったんです」
「そうでしたか。この屯所は広いですからね」
「本当に。寺を改造したと聞きましたが、ここまで広いとは思いませんでした」

千鶴は彼の部屋の場所を尋ねてその部屋まで案内してやる。自然と並んで歩くこととなった千鶴は隣の青年を見上げた。原田と並んでも引けを取らないその長身、中世的な顔立ちに千鶴は見ほれてしまった。
長いまつ毛に、大きな黒目。そして透き通るような白い肌に目がいってしまう。彼は男であるはずなのに、千鶴は女である自分が恥ずかしいと思ったほどだ。

「そんなに見つめられると穴が開いてしまいます」

青年は恥ずかしそうに苦笑する。その仕草までも見惚れてしまうほど洗練されていた。

「す、すみません。あの、男の方にこんなことを言うのは失礼なんですけど…お綺麗ですね」
「本当ですか!?嬉しいっ。貴方みたいな可愛い方に言ってもらえるなんて光栄です」

青年はそれは少女のように喜んだ。千鶴はこの人が本当に男なのか疑ってしまう。無邪気にはしゃぐその様を見て千鶴は胸に閊えていた疑心を消し去った。

「私剣術は苦手なんですけど、どうしてもここに入りたくって。それで伊東さんにお願いしたんです。やっと入れてよかった」
「どうしてですか?伊東さんの政の考え方に賛同したからですか?」

稀にこういう人間もいる。新撰組には少ないが、伊東派には伊東の考えに賛同して行動を共にする者もいるらしい。故に鞭撻は流暢でも剣術はからっきしだといことを永倉から聞いたことがあった。
首を傾げる千鶴に青年———清次郎は微笑んだ。

「私、玉依姫を探しているんです」

清次郎は笑顔を絶やさず続けた。

「ここにいるって聞いたんですけど。まだどこにいるかまでは…この屯所は広いですね」
「たま、よりひめ…?」

千鶴は更に首を傾げた。だが今度は記憶の片鱗が音をたててそれが何なのかを必死に考える。
そんな千鶴に構うことなく清次郎は続けた。

「どうしても彼女を探したくて…こちらに来てしまった以上私達が対処しなくてはいけないんです」
「対処?」

どこか不穏な響きを含んだ言葉に千鶴は足を止めた。それにつられて清次郎も足を止めて千鶴を見つめる。

「新撰組の方々も隙だらけですね。貴方を一人きりにさせてしまって…」
「え…?」

千鶴は目の前で微笑む青年が何を言わんとしているのか理解できなかった。ただ本能が警鐘を鳴らし始めたことに気がつく。こんなにも穏やかな朝に、こんなにも優しい笑みを浮かべる青年に千鶴は慄いた。

「貴方は少し特別な方のようですね。あぁ、まだ知らないんですね。じゃぁ私の口から言うのは無粋ですから、またの機会に。少し特殊である貴方にひとつお願いがあるんです」

清次郎は数歩離れた千鶴に向かって歩き始めた。僅かな距離だ。棒立ちになっている千鶴とすぐに距離が縮まった。そして背を屈め、視線を合わせる。

「大丈夫よ。怖くないわ。ただ少しだけ貴方の体を借りるだけだから。あ、今すぐじゃないわよ?もう少し先…そうね。それがいつかは私にもわからないのだけれど…」

優しい口調だがそこから紡がれる言葉は右から左へ聞き流せるものではなかった。耳を疑う千鶴の脳内では警鐘が鳴り響いている。
足が自然に後退しようとした千鶴を、清次郎は腕を掴んで制した。
千鶴の目を真っ直ぐに見つめながら清次郎は微笑む。

「痛くしないわ。ただ貴方に呪いをかけるだけ。あぁ、あと。私と今の会話は全て無かったことにするからね。また会いましょう」

どこまでも優しい声。慈愛さえ感じるその声音とは反対に伸ばされる腕に恐怖を覚える。千鶴は反射的に目を閉じた。

「可愛いお嬢さん。恨むなら私を恨んでね。小さな———————…」

最後に清次郎が何を言ったのか、水底に沈められたように視界が霞んだ千鶴には聞こえなかった。ただ最後まで優しい声音で青年が何かを言っている。それだけはわかった。
青年の顔も、視界も輪郭をなくし、深い海に落とされたように意識も薄らいでいった。


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