二次創作小説(紙ほか)

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薄桜鬼×緋色の欠片
日時: 2012/09/26 13:48
名前: さくら (ID: cPNADBfY)



はい。
初めましてな方もそいうでない方もこんにちは。
またさくらが何か始めたで。と思っている方もいると思いますが
薄桜鬼、緋色の欠片好きの方には読んで頂きたいです


二つの有名な乙女ゲームですね
遊び感覚で書いていくので「なんやねん、これ」な心構えで読んでもらえると嬉しいです←ここ重要


二つの時代がコラボする感じです
あたたかい目で見守ってやって下さい

それではのんびり屋のさくらがお送りします^^

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.165 )
日時: 2013/09/05 10:57
名前: さくら (ID: 08WtmM2w)

アゲハさん

ありがとうございます

「え、金賞?あたしが?まさか笑」
とはじめ笑っちゃいました
そのくらい予想外のことだったんです

こんな作者ですがこれからよろしくお願いします

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.166 )
日時: 2013/09/06 00:32
名前: さくら (ID: 08WtmM2w)

「沖田さん、芸者の人ってどうやったら買えるんですか?」
「え?」

珠紀達が新撰組に戻って数週間が過ぎた。季節はもう冬に入り、北風が冷たく体温を奪っていく。
原田の隊と沖田の隊が巡察に出て、今は昼下がりだ。日差しがあっても冷たく吹きすさぶ風が骨まで凍らせるようだった。
原田が隊士とともに検問に向かったため、珠紀は大通りの道の端で待機していた。そこに丁度見回りを終えた沖田と合流し、成り行きで立ち話をしていた。
原田が目を離している隙に珠紀が勝手に動いては困る、と沖田が彼女の傍についていただけだったが、唐突にふられた質問に不覚にも素っ頓狂な声を上げてしまった。

「どうしてそんなこと聞くの?だれか落籍(ひか)せたい人でもいるの?」
「はい…一人…」

そこまで聞いて沖田はどう返答していいものか考え込んだ。珠紀は訳あって男装しているが、女だ。女性が色町の芸者を落籍したいとなると、つまり。

「珠紀ちゃんって…女色家なの?」
「へ?じょそよく…?……ち、違いますよ!!別に女の人が好きなんじゃないです!!」
「え、違うの?僕はてっきりそうなのかなぁって思って…」
「違います!!」
「何言い合ってんだ」

検問から戻った原田が他の隊士を引き連れて珠紀の元に戻ってくる。隊士達に先に裏通りを見てくるように伝えて、原田は珠紀の隣に立った。

「左之さん、珠紀ちゃんって女色家だったんだよ」
「は?珠紀が女色家?」
「ち、違います!!私はただ芸者の人を取り戻したいんです!」

珠紀の声がやけに響き、大通りを往来していた人々が怪訝な目で珠紀達を一瞥する。
視線を痛いほど感じた三人は小声になり、会話を続けた。

「その…芸者さんを取り戻すとしたらどうすればいいですかって斎藤さんにこの前聞いたときに…買えばいいだろうって教えてもらって…どうやったら買えるのかなぁって思ったんです…」
「ん…まぁ斎藤の答えは間違っちゃいねぇが…」

珠紀の話を聞いて原田と沖田は互いに視線を合わせて苦笑した。

「簡単に買えると思ってる?珠紀ちゃん」
「え、買えないんですか?」

斎藤の言葉を鵜呑みにした珠紀はお金があれば取り戻せるのかと思った。だが、原田は困ったように笑いながら、沖田の言葉を続けた。

「お前、人ひとり買うんだぞ?どれだけの金が必要かわかってるのか?」

原田の問いに珠紀は素直に首を横に振った。人を買うなど現世ではなかったことだ。相場など知るはずがない。
原田はそんな珠紀に呆れるわけではなく、ちゃんと事実を伝える。

「俺達が一生働いても追いつかないほどの金額だよ」
「芸者を買う、なんてそんなことするのはよっぽどの豪商か、南蛮人くらいじゃない?」

それを聞いた珠紀は一瞬目を丸くして、そしてしばらくしてから現実味がしたのか、呆然とした。

「そ、そんな…じゃぁどうすれば…」

困惑する珠紀に二人は疑問符が沸いた。どうしてそこまで必死になるのだろう。

「珠紀、一体誰を買いたいんだ?」
「えっと…それは…」
「ちょっと、沖田さん」

珠紀の言葉を遮ったのは巡回から戻った拓磨だった。他の隊士もこの通りの見回りを終えて、戻ってきた。

「いつまで話し込んでるんすか。隊長が無駄口叩いてたら困りますよ」

彼のダンダラ模様の羽織もすっかりと見慣れ、隊士と言っても誰もが頷く風貌になってきた。呆れたように嘆息する拓磨に沖田は口元を歪めて意地悪い笑みを浮かべる。

「ごめんごめん。別に君の彼女を横取りしようとかそういうことじゃないから。あ、もしかして珠紀ちゃんが心配だったの?」
「…冗談として受け取っておきます」

本気で睨みをきかせる拓磨に沖田は肩を揺らして笑った。沖田との接し方のコツを掴んできた拓磨は大仰に溜息をつく。
この性格には慣れたが、面倒であることには変わりない。いい人なのだろうが。

「それより、もうこの辺りは見回ったんだけど。次は?どこに行きますか?」
「そう。じゃぁ次は五条の方に…」

仕事に戻った沖田は他の隊士達に下知を飛ばしに行った。拓磨は何となく視線を原田に向ける。拓磨よりも長身の彼を見上げるかたちでふっと原田と視線がかちあった。

「俺の顔に何かついてるか?」
「や…その、えっと……あ、髪…同じ色だなぁって思って…」

見つめられていた原田は苦笑して拓磨に声をかける。だが拓磨は焦ったようにわたわたと視線を泳がせて言葉を濁した。
そんな二人を見つめて珠紀は目を細めた。
珠紀達が戻ってきてから相変わらずどこか荒んだ空気が互いに流れていた。新撰組内でも自分達を快く思っていない者がいるらしく、どこか居心地が悪い。
だがそうも言っていられず、隊務に精を出して気を紛らわせる。ときどきこうして互いの距離を図りながら会話をするということが増えた。
相手の気持ちを探りながら、というものは中々に難しく依然気まずい空気は打開できていない。

「それより拓磨。沖田さん先に行っちゃってるみたいだよ」
「え、あ!あの人っ…!」

振り返るともう通りの向こうに沖田率いる一番隊の背が見えた。慌てた拓磨は沖田に毒づきながら踵を返す。
拓磨を見送って原田は少し眩しそうな、困ったような顔をして笑った。

「気ぃ遣わせてるみたいだな…」
「え?」

あまりに小さい声で原田が何かを言ったので、珠紀は聞き返した。だが原田はその笑みを消していつもの優しい口調で珠紀を促す。

「何でもねぇ。さて、と。俺達も巡察に戻るか」
「はい」

原田が隊士に集合をかけて、沖田とは反対方向に列を率いて歩き出す。珠紀はその最後列を歩き、町を見渡した。最近は不逞浪士が増えているようで、捕り物が増えている。昼間でも悪行を働く者は多く、新撰組が仲裁、もしくは御用となる人もいた。
珠紀は気を抜かず歩いていると頭の奥がぴりっと電流が走ったように痛んだ。
思わず立ち止まって痛みをやり過ごす。立っていられないほどではないが、その頭痛は何かを訴えるように波紋を広げる。

「っ…誰か…呼んでる?」

珠紀の血が何かを感じ取ったようで、辺りを見渡す。昼下がりの町中。人の往来は相変わらず多い。一体何を訴えているのかわからない。
封具が破られたときの痛みとは違う。何かを訴えかけてくるこの痛みは一体何だ。

「こっち…?」

本能が叫ぶ。その声を頼りに珠紀は隊列から離れた。
頭痛が訴える方へと足を向ける。大通りを横切って小道に入っていく。大通りの騒然とした空気が静かになり、小道を抜けると家々が軒を連ねる裏通りに出た。目の前の橋を渡り、その裏路地に入っていく。どんどんと人気がなくなり、頭痛は強くなっていった。
閑散としたその道は家があまり建っていない。人の往来もなく、辿り着いたのは見覚えのある場所だった。

「ここ…」

珠紀が拓磨と喧嘩をして飛び出したときに辿り着いた橋だった。前回は豪雨が降っていたが、今日は晴天だ。橋の真ん中まで歩き穏やかな川の流れを見る。
頭痛が一層強くなる。まるで何かを見つけたというように血が騒いだ。

「っ…!」

頭の奥を鈍器で殴られているような鈍い痛みに耐えかねて、珠紀は橋の香蘭にもたれかかった。痛みの波紋を広げるように体の力を奪っていく。
すると一つの足音が近づいてきた。ゆったりとした足音が近づいてくる。重い頭をもたげると、珠紀はその足音の人物を目にして驚いた。

「…また会ったな、女」

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.167 )
日時: 2013/09/05 16:36
名前: アゲハ (ID: db3Hcctt)

途中の会話で、珠紀が千鶴になってますよ!

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.168 )
日時: 2013/09/06 00:34
名前: さくら (ID: 08WtmM2w)

アゲハさん

ご指摘ありがとうございます
自分でもびっくりしてます笑
堂々と間違えていましたね汗

気をつけます

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.169 )
日時: 2013/09/14 22:26
名前: さくら (ID: X1kgwzZ6)

「あ…」

口から変な声が漏れた。あの雨の日と同じ。雨が降っていたこと以外が全て同じだった。
香蘭に体重を預けて、とうとう膝を折った珠紀はその人を見上げた。その男は以前と変わらない格好で優雅な足取りで近づいてくる。

「どうした、またそんなところに座って…そんなに地べたが好きか」

男はそういうと珠紀の前で膝を折った。
高貴な空気を纏った男が近づくことで、あの雨の日の恐怖が背中から這い上がってくるようだった。珠紀は頭痛も忘れてその男を見つめる。

「何度も言うが…怯えずとも取って喰おうなどと思っておらん」
「っ…」

男の手が珠紀の頬に触れる。珠紀は息を呑んだ。

「どうした。顔色が悪い…」

慮るような男の手が頬を撫でる。珠紀は目を瞬いた。これがあのときの男か。
以前は恐怖しか感じなかった。相手を威圧するようなその空気と瞳が怖かった。
だが、目の前の男はどうだ。以前とは違い、心配するような赤い瞳と目が合った。

「あ、の…な、何でもありません…」

珠紀は首を横に振った。この男はどこか危険だ。本能がそう叫んでいる。立ち上がろうとした珠紀だったが、足に上手く力が入らず、均衡を崩した。

「あっ…!」
「無理をするな。そんな体でどこに行こうとするのだ」

男に横抱きされるように受け止められた珠紀は再び息を呑んだ。今度は違う意味で驚いた。
見た目とは違って逞しい腕をしていたからだ。どこか拓磨に似ているようで珠紀の心臓が早鐘を打つ。

「あ、の…!私…っ」
「どこか悪いのか」

男の手が珠紀の額に当てられる。身を硬くして珠紀は男を見上げた。

「熱は…ないようだな…どこか痛むのか?」
「あ、頭が…」

珠紀はこの状況をどうにかしたい一心で呟いた。いつまでも抱きしめられているのは居心地が悪い。

「痛むのか」

その真剣な眼差しが珠紀に注がれる。どこか優しい色をしているその赤い瞳が珠紀を困惑させた。どうしてそこまで心配してくれるのだろう。

「横になったほうがいいだろう」
「え、え!?」

そういうと男は急に珠紀の膝裏を持ち上げ、珠紀は抱え上げられた。
軽々と抱きかかえられた珠紀は驚いて男の首に手を回す。

「あ、あのっ!」
「すぐ近くに知人の家がある。そこへ行く」
「で、でも…!」

珠紀の脳裏に原田の姿が映る。黙って隊列から抜けてきてしまったのだ。今頃自分を探しているかもしれない。そう思うと男から離れて帰らなければ、という考えが頭をよぎる。
男から落ちてしまわないように遠慮がちにその首に腕を回して、珠紀は首を横に振った。

「あの、私…はぐれちゃって…すぐに戻らないと、心配しているかもしれなくて…」
「ん?誰か連れがいるのか。ならば連れのところまで送ってやろう」
「え、そ、それは…!」

珠紀は言葉を飲み込んだ。男の真っ直ぐな赤い瞳に見つめられると胸が苦しくなる。
男が進行方向を変え、珠紀をの見た。

「どこではぐれたのだ」
「…」

珠紀は自分がやってきた方向を指で指した。頭痛と胸の苦しさに珠紀は考えることをやめて大人しく男に体を預ける。
その珠紀の反応を見た男は満足そうに頷くと珠紀に振動を与えないように配慮しながら歩を進めた。

「…名前…」

珠紀がぽつりと呟いた。その声は男の耳にもしっかりと届いていて、男は目を瞬くとふっと笑った。

「そういえばまだ名乗っていなかったか。俺は風間千景。西の鬼を束ねる頭領だ」
「かざま…さん……鬼…?」

頭痛が収まらない。鈍い痛みのせいで上手く思考がまわらない。だが聞き捨てならない単語があったことは確かだ。珠紀は痛みに耐えながら必死に考えた。

「そうだ。鬼だ。お前は?人ではないようだが…」

急に自分に話が回ってきて珠紀は目を細めた。まだ考えなくてはいけない。鬼とこの男は言った。それはどういう意味だ。鬼とは拓磨と同じようなものだろうか。だがどこか違う。と本能が首を横に振っている。ならばこの男は一体何者なのだろうか。
珠紀はぼんやりと風間を見つめながらとりあえず気力だけで答えた。

「珠紀…春日珠紀です…私は———」
「その方はお前が触れて良い方ではない」

前方から凛とした声が響いた。風間以外の声を聞いて珠紀はゆっくりと首をもたげた。

「あ…」

驚きのあまりまた変な声が口から漏れた。
路地裏を歩いている風間は足を止めて路地の先に立つ人影を睨む。
長身だ。だいぶ距離があるがこの距離からでもその人影は長身であることがわかる。だが、どこか妙だった。怪訝に思った風間はその人影に目を凝らした。

「…ふん。お前も異端のようだな…」

奇妙と感じた原因はすぐにわかった。その人影の四肢が異様に長いのだ。そしてその背には長刀が提げられている。
無造作に伸びた白い髪をなびかせながら人影は一歩ずつ近づいて来た。

「そのお方を放せ」
「…嫌だと言ったら?」
「奪取するまで」

人影が近づくとその顔には鬼の面を被っていた。表情こそ読めないが怒りが体から滲み出ている。
珠紀は見覚えのある人物にしばらく記憶を手繰り、そして風間を見つめた。

「や、やめて下さい…あの人は…あの人は…」
「何だ、お前の知り合いか」

風間にそう問われて珠紀は眉根を寄せた。
あの鬼の面の男は珠紀がこの時代に来てすぐに連れ去ろうとした輩だ。知り合いというべきなのだろうか。信用できるとも思えない。何せ珠紀を連れ去ろうとしたのだ。あのときの恐怖は忘れない。
だが今この一触即発の空気は否めない。珠紀は風間の問いに頷いた。

「はい…」
「ならば俺はここまでとしよう。知り合いが迎えに来たとなれば俺の用は済んだ」

風間は珠紀を地面に立たせると優しい声音で囁いた。

「ではまた会おう。珠紀」

風間はそう言い残すと踵を返して去った。その背中を呆然と見つめていた珠紀はあることに気が付いた。頭痛が収まっている。あれほど鈍い痛みを伴っていた苦痛が何事もなかったように掻き消えた。

「…あの男には近づかないで下さい。特に一人では危険です」
「え…」

振り返ると面の男が後ろに立っていた。あくまで適当な距離をとり、静かに頭を下げている。初めて出会ったときとは違う態度に驚いた。

「あ、あなたは…」
「先日は失礼いたしました。璞玉様の命により、貴方様を護衛、そして鬼斬丸の監視を任されています。冴鬼(さえき)と申します」
「もしかして…守護者?」
「…いえ。守護者である拓魅様の分家の者でございます」

拓磨と似たような気配を感じていた珠紀は疑問を口にしたが、冴鬼は首を横に振った。

「護衛って…」
「貴方様が万が一守護者の目の届かないところで何かあっては困ります。僭越ながら護衛をさせていただいております。特にこうして外出された際には自分が護衛しています」
「そうだったんですか…私てっきり貴方のこと悪い人なのかと…」
「そう思われても仕方がないことを致しました。ご無礼をお許し下さい」

冴鬼は深々と頭を下げた。何というか適切な距離を保ちつつ、その畏まった所作には清廉さが感じられて珠紀まで恐縮する気分だった。

「あの男には近づかないで下さい、姫。あの男は危険すぎる」
「どうして?」

そう聞き返した自分に驚いた。初めて会ったときは怖いと思っていたのに今は恐怖心などどこへやら。冴鬼を見上げて珠紀は首を傾げた。

「…いずれわかりましょう。でずが、今あの男について何も教えるなと璞玉様から仰せつかっております。あの男は貴方を不幸にする」
「…不幸……?」

冷たい風が路地を通り抜ける。冴鬼の白い髪が尻尾のように揺れ、珠紀の髪も揺れた。

「…さぁ。ここにいては皆が心配しています。途中までお送りいたしましょう」
「はい…」

珠紀を促すと冴鬼は先頭に立つとゆっくりと歩き始めた。その背を見つめながら珠紀は後に続く。
冴鬼の含みのある言葉が気にかかるが背中が聞くなと言っているようでとうとう最後まで何も言えなかった。


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