二次創作小説(紙ほか)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

薄桜鬼×緋色の欠片
日時: 2012/09/26 13:48
名前: さくら (ID: cPNADBfY)



はい。
初めましてな方もそいうでない方もこんにちは。
またさくらが何か始めたで。と思っている方もいると思いますが
薄桜鬼、緋色の欠片好きの方には読んで頂きたいです


二つの有名な乙女ゲームですね
遊び感覚で書いていくので「なんやねん、これ」な心構えで読んでもらえると嬉しいです←ここ重要


二つの時代がコラボする感じです
あたたかい目で見守ってやって下さい

それではのんびり屋のさくらがお送りします^^

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.74 )
日時: 2013/04/23 21:55
名前: さくら (ID: 1RG8a0Ta)

会津藩に浪士を引き渡した後、屯所に戻った原田は隊士達に解散を告げると玄関で足を止めた。
原田と珠紀、そして祐一以外誰も居ない。空を見上げれば闇の帳は薄まり、白み始めている。
原田は二人を振り返って疲れた声音で口を開いた。

「土方さん達に報告する前に、一つ確かめたいことがある」

そう言うと原田は手にしていた槍を祐一に向けて構えた。槍の矛先が祐一の鼻の先まで迫る。
それを横で見ていた珠紀は慌てた。

「は、原田さん!?」
「ちっと黙ってくれるか、珠紀。俺の質問に答えてもらうだけだ」

原田は構えを崩さず、祐一を睨み据える。祐一も抵抗する様子もなく、微動だにしない。

「まず一つ。お前は長州か、薩摩か」
「何だそれは」
「とぼけるなよ。珠紀の知り合いのようだが、これだけははっきりさせとかねぇと…どうしてさっきあの場にいたんだ。お前も制札を引っこ抜きに来たのか」

槍を握る手に力を込める。
原田は先ほどの浪士の一派ではないかと懸念している。もし珠紀の知人と言って近づいてきているのなら、それは新撰組として見逃せない。
口を挟むことも許されない空気の重さに、珠紀は二人を見守ることにした。

「…珠紀の気配がしたから駆けつけた。それだけだ。それに俺は先日ここに来たばかりでここがどこなのか、ここがいつなのかわからない…」
偽りのない真っ直ぐな瞳で原田を見つめる。原田は祐一を一瞥した。
よく見れば拓磨達がやって来たときと同じ服装だ。細い袖に灰色の上着、見たこともない袴も穿いている。腰紐が見当たらないことに少し違和感を覚えたが、拓磨達と全く同じ服装であることはわかった。

「…なるほど。お前も先の世から来たっていうわけか」
「どうやらそうらしい」

祐一は淡々と答える。原田はそれでも槍を下ろさない。そのまま言葉を紡ぐ。

「もう一つは…あの大道芸は一体何だったんだ」
「大道芸…?」
「どうやって川の水を蒸発させた?あの炎は何だったんだ」

原田は一番問いたかったことを口にした。
あれは人が成せる技ではない。巨大な炎をどうやって作り出したのか、どうやって川の水を蒸発させたのか。
全ての問いをその言葉に託し、原田はじっと祐一を見つめた。

「…俺は人ではない、と言っておこう。俺の血には人ならざる血が流れている…これ以上の回答が必要か?」

祐一の瞳が強い光を宿す。しばらく原田は動かなかった。祐一の表情に動きや変化が少しでもあれば、それは嘘を言っていると思ったからだ。
だが、祐一の真摯な表情は変わらない。

「…はぁ…わかった。認める」

原田はすっと槍を下ろすと大きな溜息をついた。

「まさかそんな奴がいるなんて…信じられねぇが、今目の前にいるんだから…」
「原田さん?」

ぶつぶつと小声で原田は自分に言い聞かせるように何かを呟いている。
珠紀は警戒を解いた原田におずおずと声をかけた。

「ってことは、拓磨や真弘も同じなのか」
「そうだ。二人を知っているのか」
「知ってるも何も、二人はこの屯所の隊士だ。驚いたな…」
「あの、黙っているつもりはなかったんですけど…すみません」

珠紀は驚く原田に頭を下げた。原田は首を横に振る。

「人の過去を詮索するのは好きじゃねぇから、俺もこんなことしたくはなかったんだがな…謝ることじゃねぇよ。人に言いたくない過去の一つや二つ。誰にだってあるしな」

珠紀の頭をぽんと叩いて、原田はいつもの笑みを浮かべた。祐一を振り返って微笑する。

「悪かったな。俺も幹部に身を置くモンだから、確かめておかねぇと色々まずいんだ」
「いや、大丈夫だ」
「その血とやらは…あまり口外しない方がいいようだな」

珠紀と祐一を交互に見やって、原田は真剣な表情に戻る。

「私達のことを知っているのは幹部の方だけで…あの、迷惑はかけません。だから私達のことはまだ誰にも言わないでほしいんです…私達の正体を知って、もしかしたら新撰組の人達に迷惑かけてしまうかも知れませんし…」

珠紀達に流れている血は異形のものだ。封印に異変があったということは、鬼斬丸を巡って何かが起ころうとしている。自分達の正体を告げれば、そのいざこざに新撰組の面々も迷惑をかけてしまうかもしれない、と珠紀は杞憂していた。
ならば少しでも迷惑にならないように自分達の正体は伏せておくべきだ。

「…言っても誰も信じねぇよ。炎を出して川を蒸発させた、なんて言ったら平助達に馬鹿にされるだけだ」

にっと笑って原田は肩をすくめて見せた。

「事情はわかった。今思えば珠紀を助けてくれたんだ。怪しい奴なわけないよな」

原田は珠紀と祐一を見つめて笑った。

「とりあえず、部屋に戻って着替えて来い。そのままでいると、風邪ひくぜ。俺は先に土方さんに報告してくるから。着替えが済んだら土方さんの部屋まで来いよ」

原田は踵を返すと先に屯所に入っていった。玄関に残った二人は顔を見合わせる。

「とりあえず、なかに入りましょう。着替えは拓磨に貸してもらえば…」
「そうだな」

二人はひとまず拓磨の部屋に向かった。着物の着替えであれば、同じ身長の拓磨が身の丈に合っている。
皆が寝静まっている静かな廊下を歩いていると、祐一はふっと微笑んだ。

「先輩?」
「いや、珠紀に会えて本当によかったと思って…珠紀達の姿が見えなくなったときは慌てたものだ…」
「先輩は昨日こっちに?」
「あぁ。ところで、ここは江戸時代で間違いないのか」
「あ、はい。幕末だそうですよ。ここは新撰組の屯所です」
「…なぜそんな時代に…俺達は神社の蔵にいたはずだろう」
「先輩ももしかして…蔵の本を見つけて…?」

珠紀の問いに祐一は深く頷いた。

「あぁ。お前達がいなくなって、蔵の奥まで探していたら書物が床に落ちていた。それを拾おうとしたら…ここにいたんだ」
「やっぱり…私達も皆その本に近づいてここに来てるんです」

この時代に来るときには必ずその書物が絡んでいる。床に落ちていたというその書物に何か手がかりがあるのは明確だが、こちらに来てしまってはそれを確認することもできない。
暗い拓磨の部屋の前に着くと、珠紀はそっと声をかけた。

「ん…?珠紀か?」

何度か声をかけると、眠っていた拓磨がもぞもぞと動く気配が伝わってきた。
明かりをつけて拓磨が部屋からでてくると、目を見開いた。

「え…祐一先輩!?」
「眠っているところすまない。久しぶりだな、拓磨」

祐一を前に眠気もふっとんだ拓磨は目を何度も瞬いた。

「どうして…いつこっちに来たすか…何で二人ともずぶ濡れなんだ?」

突然のことに困惑する拓磨に珠紀はくすりと笑った。

「ちょっと色々あって…先輩に着替え貸してほしいの」
「あぁ、ちょっと待てよ…」
「それじゃ、先輩。私も着替えてきます」

珠紀は拓磨の部屋を出ると自分の部屋に戻って着替えを済ませる。ずぶ濡れだった珠紀に原田が気を遣って貸した羽織を丁寧に畳んで、明日に洗って返そうと決めた。
部屋を出て真弘の部屋の前を通る。祐一が見つかったのだから報告したいが、眠っているところを起こすのは気が引けた。
逡巡していると突然部屋の障子が開いた。

「うわっ」
「あっ、先輩。あの」
「何だよ、何突っ立ってんだよ。びっくりするじゃねぇか」

厠に行こうとしていた真弘は部屋の前に佇む珠紀に驚いた。

「あの、祐一先輩が見つかったんです!」
「マジかよ!」

珠紀は真弘を拓磨の部屋に連れていく。部屋に着くと真弘は目を輝かせた。

「祐一、祐一じゃねぇか!」
「真弘か。起こしてすまない」
「そんなことより、お前元気だったか!?良かったぜ、お前もこっちに来てたんだな!」

喜ぶ真弘はばしばしと祐一の背中を叩いて、無事を確認する。
拓磨の着物に着替えた祐一は再会した真弘に微笑んだ。

「お前達がいなくなったときには驚いた。まさかこんなところにいたとは…」
「まぁ、俺達も何でこっちに来たのかはわかんねぇんだけどな。今は新撰組に世話になってる。あぁ、それと。大蛇さんもこっちに来てるぜ。慎司以外は全員揃ったわけか」
「慎司は…わからない。蔵の奥で本を見つけたときは俺一人だった…」
「これだけ俺達はここに集まったんだ。慎司もこっちに来ていたら、近くにいるのかもしれない」

拓磨が推測を述べると皆同じことを考えていたのか黙って頷く。
もし慎司がこちらに来ているならこの近くにいる可能性が高い。捜索の手を緩めないことを確認して、珠紀は祐一を見上げた。

「先輩、そろそろ行きましょうか」
「あぁ。そうだな」
「行くってどこに?」
「土方さんのところに。今日の警護の報告に行かないといけないみたいだから…」

珠紀と祐一は部屋を後にする。
二人を見送って安堵していた拓磨はしかし、すぐに表情を変えた。

「…祐一先輩までこっちに来たってことは…」
「何かあるのは間違いねぇな…ここを動けないのが歯がゆいぜ」

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.75 )
日時: 2013/04/24 18:26
名前: 彩音 (ID: Gd7LnyXy)

さくらさん!お久しぶりです(^_^)
いきなりですが、名前変えました[彩音]から[亜梨來]です。
今書いてる小説は[SAKURA−少年少女物語−]をシリアス・ダ−クで、
[緋色の欠片−玉依姫の真実−]を二次創作(紙)で書いてます。
今はこの2つの小説に集中してるので、良かったら遊びに来て下さい(^-^)

ではでは…

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.76 )
日時: 2013/04/26 21:59
名前: さくら (ID: 1RG8a0Ta)

彩音さん

あら、お名前変わっちゃうんですね
双子の風車はやめちゃうんですか?

また新しい小説読ませてもらいますね^^

あ、緋色の方は読ませてもらいました!
真弘先輩だぁあああぁぁぁっ
ってなりました

真弘が一番大好きなんで^^

更新頑張ってくださいね

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.77 )
日時: 2013/04/26 22:20
名前: 彩音 (ID: WRKciX17)

さくらさん。

読んでくれてありがとうございます(^-^)
さくらさんも[真弘先輩]が好きなんですか?
実は私もです(^_^)
一番好きな台詞は、
「オレの…女に…手ぇ出すんじゃぁねぇ…」
です☆
これからも最新待ってますので、頑張ってください!

ではでは…

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.78 )
日時: 2013/04/26 22:23
名前: さくら (ID: 1RG8a0Ta)

白みだした空を鳥が横切っていく。
冷え込む朝方に身を震わせ、箪笥から羽織を出して単の上に着た。
土方はそのまま文机の前に腰を下ろす。墨を作るために水を硯に入れていると、部屋の前に人の気配を感じた。

「…土方さん」
「千鶴か。入れ」

膝を折って障子を開けて入室した千鶴の手には湯飲みと急須があった。
墨を作っていた土方は手を止めて振り返る。

「どうした、こんな朝早くに…」
「いえ。今日は早くに目が覚めただけで…その時土方さんのお部屋に明かりが点いていたので…温かいお茶をお持ちしました」
「あぁ、すまねぇな」

千鶴から湯飲みを受け取ると土方はふっと微笑んだ。

「気を遣わせて悪いな。俺も目が覚めたついでに仕事を終わらせようと思ってな…」
「そうなんですか…」

千鶴は文机の上に置かれた書類の山を見つめて悲しげに呟く。彼女の瞳が揺れたことを土方は見逃さなかった。湯飲みを文机に置くと、土方は千鶴と正対する。

「どうした」
「いえ…」
「何もねぇならどうしてそんな顔しやがる。言え」

向かい合って座ると千鶴は更にばつが悪そうに視線を畳の上へと泳がせる。
しばらく躊躇していた千鶴は小さな声で語りだした。

「あの…政とか、私にはわからないんですけど…家茂公が崩御されて…世の中が大変になりつつあるのはわかっているんです…そのせいで土方さんのお仕事が増えているように思われて…」

土方は黙って千鶴の言い分に耳を傾ける。千鶴はそっと顔を上げて土方の顔を見た。
目元には黒いくまが出来上がり、少し痩せた気がする。食事の時間を惜しんでまで最近は仕事に追われているようだ。今も早朝から仕事に手をつけないと回らないらしい。
自分が心配したところで土方の仕事が減ることもないのはわかっている。
だが、言わずにはいられなかった。

「…世の中が大変だから新撰組が必要とされるのはわかっています。それは良いことだとも…でも、私、土方さんが心配で…」
「そんなことか」

最後まで千鶴の言葉を聞いていた土方はふっと溜息をついた。

「心配しなくても俺は大丈夫だ。体のつくりは丈夫な方だからな。そう簡単に倒れたりしねぇよ」
「…でも…今日くらい少し休んだほうが…」

心配と不安が入り混じった瞳が大きく揺れる。土方はその視線を真摯に受け止めて、それでも首を縦に振ることはなかった。

「…大丈夫だ。心配してくれて、ありがとな。けど俺にしかできないことがあるだ。隊士達が外で駆け回ってるのに、俺は何もしてないようじゃ副長の名が泣く。こんなときだからこそ、だ」
「土方さん…」

湯飲みを口に運んで茶をすする。温かい緑茶が全身に染み渡るようだった。

「お前にも色々助けてもらってるよ。こうやって温かい茶を淹れてくれることとか…」

それでも千鶴は土方が心配でならない。新撰組の大きな柱である副長が倒れては、その損傷は大きなものだ。
千鶴の気遣いを痛いほど感じてはいるものの、それでも土方は休むことをしない。事務的な仕事から会談の予定、上からの命に対して返事を書くなど、土方の仕事は多岐にわたる。
休んでいる暇などない。
どう宥めてやればいいものかと悩んでいると部屋の前で声がした。

「土方さん」
「原田か。入れ」

原田が入室すると千鶴はさきほどまでの曇った表情を消して、微笑んだ。

「おかえりなさい、原田さん」
「おう。千鶴か…」
「あ、私お茶もう一杯淹れてきますね」

千鶴が退出すると、土方は大きな溜息をついた。

「どうしたんだよ、土方さん?」
「いや…千鶴が俺のことが心配だとか言って少し休めというんだがな…」
「まぁ、千鶴の気持ちもわからないまでもないけどなぁ…今度くらい休みをとればそう心配されることはないんじゃねぇか」
「そうするか…」

千鶴の不安を拭ってやるにはそれが一番なのだろうが、土方の頭には休息の文字はない。だが、少しだけでも休めば、彼女が安心するのは間違いないだろう。
土方はこの山済みになった仕事をどうやって片付ければ空き時間が作れるか考え込む。

「土方さん、それで今日の制札警護で…」
「あぁ、悪い。そうだったな」

現実に意識を引き戻して原田を見やる。原田がここに来た理由はそれ以外にない。
土方は真剣な表情で原田の報告を聞いた。

「浪士を何人か捕まえたんだ。多分あいつらが制札騒ぎの犯人だと思うぜ。捕縛して会津藩に引き渡してきたところだ」
「そうか、よくやった。ご苦労だったな。これで会津藩にも面目が立つ」

素直に喜んでいる土方とは違い、原田は暗い表情のままだ。浪士を捕まえた本人が一番喜んでいるのかと思いきや、そうではなかった。

「どうした。まだ何かあったのか?」
「いや…そうじゃねぇんだが…」

するとそこへ原田の茶を持ってきた千鶴が入ってきた。原田の横に茶を置く。

「どうぞ」
「あぁ…ありがとな」

原田は苦笑を浮かべて茶を口に運んだ。まるで千鶴と顔を合わせないように原田は曖昧な表情を浮かべている。
どうしたのかと言い募ろうとしたところへ、またも部屋の前に人の気配を感じた。

「あの、珠紀です」
「どうした」

障子をゆっくりと開けて、珠紀は部屋に入った。その後に入ってきた人物に土方と千鶴は目を瞬く。

「土方さんに報告しておかねぇとと思ってな」

珠紀は原田の横に腰を下ろし、その隣に祐一も膝を折った。

「えっと、こちら。私達が探していた…」
「狐邑祐一だ。珠紀達が世話になっている」

すっと頭を下げる祐一に土方は目を丸くした。

「お前達が探していたのは大蛇とかいう名前じゃなかったか」
「あ、いえ…その人も見つかったんですけど…今は松本先生のところでお世話になっているそうで…まだ私達探さなくちゃいけない人がいて」
「その内の一人が見つかったんだよ。ついさっきな」

原田が付け加えると土方は腕を組んだ。

「あの、私お茶淹れてきますね」
「あぁ、何度も悪いな」

千鶴は立ち上がるとそっと部屋を出て行った。しばらく祐一を一瞥していた土方は口を開く。

「俺は新撰組副長、土方歳三だ。珠紀の探し人というが…お前も先の世から来たのか」
「あぁ。蔵にいたはずなのに、気がつけばここにいた」

土方は祐一の瞳から目を逸らさない。嘘をひとつでも言えば、土方にはその目の動きだけでわかる。だが、嘘は揺るがない瞳から言っていないと判断した土方はふっと溜息をついた。

「それで…お前も鬼斬丸がどうとか、守護者がどうとか言うのか」
「俺は守護五家の一人だ。封印のことは知っているのか」
「珠紀から少し聞いただけだ。ということはお前も妙な力があるようだな」
祐一は首を縦にふった。また妙な者が集まると思うと土方は頭を痛めたが、真弘が昨日捕り物で力をふるったことを思い出してその考えを振り払った。

「それで…お前もここの隊士になるっていうのか」
「できればそうして欲しいんです」

珠紀が土方に願い出た。

「私達が今ここにこうやって集まったことには意味があると思っています。もしかすると、鬼斬丸の封印が解けてしまうかもしれない…私達がどうしてここに来たのか、それを見極めるまでここに置いてもらえませんか?」

懇願する珠紀の横にいる原田に目をやって土方は口を開く。

「お前はどう思う、原田。こいつを見つけたときお前も一緒だったんだろう」
「俺の意見なんかで良ければ…俺は拓磨や真弘がどんな力をもっているのかは知らねぇが、こいつは凄いと思うぜ。あくまで俺の意見だが…」

土方はその言葉を聞いて再び祐一に視線を戻す。外見から言わせてみれば特別な力を持っているようには見えない。身長はそこそこ、髪の色には驚くが、体も細くぼんやりとしているその表情からはとても考えられない。

「気になるというのなら、見せよう」

土方の怪訝な表情を見て、祐一は見せた方が話が早いと思ったのだろう。すっと手を持ち上げた。
すると突然何もなかった手から青い炎が燃え上がる。ゆらめくその炎を前に土方は絶句した。

「…な?土方さん。隊士にしても損はねぇと思うぜ?」
「そうだな…お前達は一体何者なんだ…」

呆然と呟く土方は我に返って祐一を見つめた。手の内の炎を消して、祐一も土方を見つめ返す。

「わかった。近藤さんには俺から伝えておこう。お前がどこの隊に入隊するかは追って沙汰する」


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。