二次創作小説(紙ほか)
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- 薄桜鬼×緋色の欠片
- 日時: 2012/09/26 13:48
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
はい。
初めましてな方もそいうでない方もこんにちは。
またさくらが何か始めたで。と思っている方もいると思いますが
薄桜鬼、緋色の欠片好きの方には読んで頂きたいです
二つの有名な乙女ゲームですね
遊び感覚で書いていくので「なんやねん、これ」な心構えで読んでもらえると嬉しいです←ここ重要
二つの時代がコラボする感じです
あたたかい目で見守ってやって下さい
それではのんびり屋のさくらがお送りします^^
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.9 )
- 日時: 2012/10/04 20:35
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
騒がしい足音に、土方は床から上体を起こした。
いくつもの足音がだんだんと近づいて来る。
おそらく喧騒の主は昨日巡察に出たきりの隊士達だろう。日付が変わっても帰ってこなかった彼らに何かが起こったことは明らかだが、どこへ行ったか確証がないため援軍を送ろうにも送れない。
ただ待つだけとなった土方は沖田と斎藤を案じていた。
「近藤さんがいない今になって…忙しいことだ」
近藤は今屯所にはいない。そのため新撰組の舵取りは今土方に一任されている。そんな時にかぎって事件やら騒動が立て続きに起こる。土方は頭痛を訴え始めたこめかみを押さえて、着物を着替えた。
「副長。起きていらっしゃいますか」
「斎藤か」
「はい。ただ今戻りました」
「入れ」
静かに入室してきた斎藤は、普段表情を表に出さないが今日は疲れ切った顔で、報告を始めた。
「昨夜、巡察を終えて戻ろうとしたところ、町中で武士相手に喧嘩をしていた者がおりまして…」
「武士相手に喧嘩?どんな輩だ?」
「それが…」
斎藤は珍しく言葉を濁した。土方が先を促しても言葉に出来ないのか困ったような顔をした。不逞浪士の類ではないようだ。
「その輩は捕らえたのか」
「はい。総司が広間に連行したところです」
斎藤の言葉を聞いてすぐさま立ち上がり、土方は広間へと向かった。自分の目で確かめた方が早い。斎藤はその後ろを付いて行く。
「何人捕らえたんだ?」
「二人です」
「二人?二人を捕らえるのに朝まで手を焼いていたのか」
土方の言葉に斎藤は押し黙った。その反応を見て土方は相当の腕の持ち主なのだろうと思った。沖田と斎藤は新撰組の中でも一、二を争うほどの剣豪だ。その二人の手を煩わせるなど土方は信じられなかった。
「…その輩は武士ではないようで…おかしな技を使うのです」
「おかしな技?」
土方はどこか嫌な予感がした。
「それが人間ではないような怪力の男と風のように逃げ足が速い男で…逃げる二人を捕らえるのに思わぬ時間がかかってしまいました」
本当に疲れているのだろう。斎藤の低い語調から疲労が滲んでいた。
「怪力男と風男だ?面倒なことにならきゃいいけどな」
溜息をつく土方の脳裏にあの女の姿がちらつく。まさかな。
広間に近づくに連れ、その喧騒は大きなものになった。言い争っている声が、外に居ても聞こえる。
「さて、一体どんな輩だ?」
痛みを訴える頭を叱咤して土方は広間の障子を開けた。
土方はまた目を丸くしてしまった。
複数の隊士に囲まれ、中央に座らされた二人の顔は仏頂面で機嫌が悪いのかそれとも生まれつきか、鋭い眼光で土方を睨んできた。
一人の男は長身の沖田と並んでも劣らない、しっかりとした骨格で、赤みがかった短髪の持ち主だった。
もう一人の男、座しているためはっきりとはわからないが、藤堂よりもしかすると身長が低いのかもしれない、小柄な男はも髪が肩までに切り揃えられていた。
袴でもない、裾や袖口が小さい服に身を包んでいる二人はまさに異国人だった。何よりも不振に思ったのは髪の長さ。通常であれば男は髷を結うために髪を伸ばす。
それがこの男二人は髷どころか髪をばっさりと切ってしまっている。
その異様な出で立ちに土方が目を丸くしていると。
「あはははっ。土方さん固まってるー。僕等も最初は驚きましたけどねぇ。大丈夫ですよ、言葉は通じます」
固まっていた土方を指差して爆笑する沖田は、捕らえた二人を逃がすまいと入り口を塞ぐように後ろに座っていた。
二人は腕を縄で縛られ、自由を奪われている。そこまで強いる必要があったらしい。どうもこの二人が妙な技を持っているとは考えにくかった。
良く見れば捕らえた二人も沖田も満身創痍の格好だった。衣服は泥で汚れ、肌にはかすり傷がいくつもある。どのような追走劇だったのか、容易に想像できた。
「…また妙な連中を連れてきやがって…」
「妙とは何だ!!」
土方が嘆息したことに腹を立てたのか、小柄な青年は勢い良く吼えた。
「ったく!!ちょっと暴れただけで追い掛け回しやがって!!この縄ほどけ!!」
「武士相手に喧嘩ふっかける奴も珍しいがな。原因は何だ」
「彼らが言うには町を歩いていたら異国人だ何だの罵られて手を出したそうです」
二人に代わって答えた沖田は、呆れ半分に説明した。
「先に手を上げたのはあっちだぜ!?刀なんざ抜かれたらやり返すに決まってんだろ!正当防衛だっ!」
小柄な青年は噛み付かんばかりの勢いで抗議する。まるで今自分が捕まっている意味がわからないというように。
だがその喧嘩の情景を思い描いてみた土方は納得した。武士と面妖な輩が暴れていたなら、真っ先に怪しい方を取り押さえるだろう。
「なるほど。それで、捕まえようとしたら逃げたってわけか」
斎藤に目線を送ると肯定の頷きが返ってきた。やれやれ、と土方は首を振った。
見たところ攘夷志士や不逞浪士でもないらしい。それならば少し懲らしめて放免する方がいい。面倒ごとは御免だ。
「おい」
それまで黙っていた赤髪の青年が口を開いた。青年に視線が集まる。
「今、年号は何だ」
その問いに周りは眉をひそめた。こいつは何を言っているのだろう。
「慶応、二年だが」
土方は静かに答えると、青年は何が可笑しいのか口端を吊り上げた。
「先輩聞きましたか?俺たち二人そろって頭がおかしいんすかね?どうやら幕末にいるみたいですよ」
男の瞳が不気味に輝いた。
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.10 )
- 日時: 2012/10/07 20:20
- 名前: 紅 聖夜 (ID: pUqzJmkp)
さくらさん、初めまして。僕は紅 聖夜といいます。
さくらさんの小説、すごく面白いです!!
僕は薄桜鬼も緋色の欠片も大好きなので、読んでみたらすぐ話に引き込まれました。
これからも更新頑張ってください、応援してます\(*⌒0⌒)♪
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.11 )
- 日時: 2012/10/09 10:07
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
紅 聖夜さん
はじめまして、さくらです
おもしろいだなんて滅相もない汗
何だか話がゴチャゴチャしてわかりにくい部分もあると思います
でも嬉しいです
ありがとうございます
私も薄桜鬼と緋色の欠片は大好きなんですが、緋色の欠片のゲームをプレイしたのがずいぶん前だったので記憶があやふや…←
今説明書や画集を片手に小説書いてます笑
頑張って更新しますんで、また読んでやって下さい
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.12 )
- 日時: 2012/10/09 11:28
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
「…二人そろっておかしな夢を見てるってか?」
小柄な青年がもう一人の男に確認するように呟いた。
「夢で怪我なんてしないっしょ」
追走劇で負った傷に目をやって男は苦笑する。小柄な青年は納得がいったのか、否か複雑そうな顔をしている。
「じゃぁ大蛇さんやあいつもここに来てるってことか?」
「さぁ、それはまだ何とも…」
「何つべこべ言ってやがる」
二人の会話を聞いていた土方が待ったをかけた。話の軌道が逸れてしまったことに気付いた土方は気を取り直して、二人に問う。
「てめぇら見かけねぇ格好してやがるが、どこの者だ?どっから来た?」
土方の問いは広間に集まる者全員が知りたかったものだ。二人に視線が集まる。捕らえられた二人はしばらく見つめ合い、意を決したように土方に向き直った。
「話して信じてもらえるとは思えねぇけどよ…」
「ここが本当に慶応二年だとすれば、俺たちはそれから百四十年後先から来たことになる」
二人の回答に平隊士はどよめいた。口々に異論を唱える者や、胡乱げな顔で二人を見つめる者もいた。
ただ表情を崩さず黙って聞いていたのは幹部の三人だけだった。
「副長…嘘を吐いているようには見えませんが…」
「……あぁ」
「ちょっと待ってよ。もし本当に君たちが未来から来たっていうなら、どうやってここに来たのさ?そんなことできる訳ないでしょ」
江戸時代、幕末の世。科学も発達していないこの時代、現実であり得ないことはまやかしや幻妖と言われて信じられてきた。
そんな時代に未来からやってきたと言ってもそう簡単に信じられるはずがない。
沖田は厳しい口調で二人に詰め寄った。
「俺たちだってわからねぇんだよ。神社の蔵にいたら突然眩暈がして…目が覚めたらここに居たんだ」
「そんな話信じられると思ってるの?」
「だーから!!俺たちだって信じられないんだって!!」
小柄な青年と沖田が噛み付かんばかりの勢いで揉めだす。
土方は二人を見つめた。二人が嘘を言っているようでないのは確かだが、未来からどうやってここまで来れたのか、それがわからない以上二人を信じることはできない。
不信感を抱く沖田は土方に声を上げた。
「斬っちゃいましょうよ、土方さん。世迷いごとを吐いて世を乱したってことで処罰してしまえば…」
「総司。無闇やたらに刀を抜くものではない。局長もいつも言っておられるだろう」
刀の鯉口に手をかけていた沖田を斎藤が静かに制する。
「もう少し待て、総司」
「それじゃぁ斬ってもいいんですか?」
「そうじゃねぇ。近藤さんが戻ってから幹部全員を集めて沙汰する。それまで処罰はなしだ。これは俺たちだけで解決できる問題じゃねぇ」
珍しく渋い顔で土方はひとまず結論をつけた。結論と言ってもこの二人の処遇を先送りにしただけだが、土方一人で対応するには少し問題があるように思われた。
このまま二人を放免しても構わないのだが、また町で暴れられ治安を乱すようでは意味がない。
自分たちの処遇がひとまず殺されることがないと安堵した二人は、土方に向き直った。
「一つ、聞きたいことがある」
「何だ」
赤みがかった髪を持つ青年が、土方に真っ直ぐと視線を向けて口火を切った。
「人を探しているんだ。一人は髪の長い男で、眼鏡をしてる。身長は俺より少し低いくらいの人で…もう一人は女だ。十七歳の女で多分制服を着ていたはず…」
「眼鏡の男と十七歳の女…?知ってるか、斎藤」
「いえ、特にそのような目撃情報は聞いておりません」
「俺達と一緒で未来から来てるはずなんだ。…たぶん」
小柄な青年が付け足したが、どこか自信がなさそうだった。
「たぶん?多分ってのはどういうことだ?」
「俺たちが神社の蔵でここに来る前。その二人も蔵に入って姿が見当たらなくなったんだ。それで二人を探して蔵に入ったら…」
「ここに来たって訳か…」
目を閉じてこの二人と同じ面妖な格好の人物がいるなど聞いたことがあっただろうか。どこか記憶の片鱗が叫んでいる。だがその理由を思い出せない。
土方が唸っていると、静かに襖が開いた。
「失礼します…あ、お邪魔でしたか?」
「いや、構わねぇ。どうした」
入室したとたん、隊士の視線と見知らぬ二人の姿に戸惑っていた千鶴は、硬直した。
「あの、例の女の子なんですが。目を覚ましたんです。ここまでお連れしましょうか?」
「いや、俺がそっちに行こう」
「土方さん、女の子って?」
二人の会話を聞いた沖田が食い下がってきた。
「後で話す。とりあえずその二人を縄に縛ったままどこか適当に部屋に入れておけ………」
「?いかがしましたか、副長」
立ち上がって退出しようとした土方は、ふと動きを止めた。記憶の片鱗が音を立てて繋がった。
そうしてゆっくりと視線を二人に向けた。
「………もしかして、お前達が探している女ってのは————」
土方が言葉を紡ごうとした刹那。
「きゃぁああぁっ」
あの女の叫び声で掻き消えてしまった。
広間にいた者全員が弾かれたように顔を上げた。声がしたのは広間から北の方角。
「何だ?」
すぐさま土方が部屋を出る。それに続いて千鶴、沖田が続く。斎藤は残った平隊士にすばやく下知を飛ばした。
「お前たちはこの二人を見張っていろ」
「待ってくれ!今の声———っ」
「珠紀———っ!!!」
二人は束縛しているにもかかわらず、立ち上がった。
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.13 )
- 日時: 2012/10/12 19:12
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
土方達が駆けつけたとき、目を疑う光景が広がってい。
叫び声の主である女、珠紀は布団から這い出て部屋の隅の壁に背中を押し付けていた。そうして目の前に佇む男、否男といっていいのか性別も判明できない風貌の、薄汚い布を纏い、鬼の面をつけた“モノ”が部屋にいた。身長は長身の原田よりも高い。手足が異様に長いことにも違和感を感じた。
間に入って主人を守っているのか、小さな狐が全身の毛を逆立て威嚇している。
その“モノ”は長刀と呼ばれる武器を片手に提げ、ひと暴れしたのだろう。障子はスッパリと斬れ、畳や壁はぼろぼろだった。
「何なんだ…こいつ…」
見たことのない風体。突然現れ、それも珠紀一人を狙って千鶴がいなくなった隙を突いた。目的も素性も知れない“モノ”に土方は眉をひそめた。
「ともかく、屯所内に入ってしかも暴れてくれたんだから、お返しくらいしてあげないとね」
沖田は土方の前に進み出ると嬉しそうに抜刀する。
鬼の仮面を被った“モノ”が沖田の敵意を感じて、刀の先を珠紀から総司へと変更した。
「こっちへ!!」
二人が対峙し合っている間に、千鶴は素早く珠紀の元へ駆け寄り手を引いた。
幸い珠紀に怪我は無く、難を逃れるために廊下へ出る。
「土方さん、これ、どういうことか後できっちり説明してもらいますからね」
一瞬珠紀に視線を送り、次に怪しい侵入者に向けて視線を投じた。
「俺だってわからねぇことだらけだ。ただ一つ、はっきりしてることは侵入者の排除だ」
新撰組の屯所に入り込み、部屋を荒らした罪は贖ってもらうしかない。
土方の許可が出ると沖田は一気に間合いを詰めた。
沖田の一閃を真正面から受け止める形となった相手はしかし、物ともしない所作でその一撃を弾き返した。
「なっ…!?」
信じられないといった顔で沖田は一瞬のけぞったが、すぐさま体制を立て直し突きの構えを取る。
そうして目にも止まらぬ速さで相手に突きを見舞った。
だがこれもあっさりと避けられ、沖田は背中を取られた。
相手が長刀を一振りする。
間一髪のところで何とかその一撃を避けた沖田は、すぐに相手の隙を突いて次の攻撃へと転じる。
が、しかしその攻撃も見切られ、相手は長い腕で沖田に拳を食らわせた。沖田の体は浮き、床に倒れこむ。
「沖田さん!!」
見守っていた千鶴が声を上げた。いつもの沖田であれば自分の調子で攻撃を繰り出し、早々と勝利する。その沖田が相手の調子にのまれている。
そう驚いているのは千鶴だけではなかった。土方も目を丸くし、侵入者を睨みつけていた。
「いっててて…」
相手の拳を鳩尾(みぞおち)に食らった沖田は、すぐに立ち上がり再び刀を持ち直す。
「あれじゃ勝てない…」
珠紀が対峙の様子を見てぽつりと呟いた。
「どういうことだ」
土方はその言葉に疑問を覚えた。沖田が勝てないはずはない。誰より剣舞の天才であることを知っている土方は、珠紀に問うた。
「だってあれは人間じゃないから…普通の攻撃じゃだめなんです」
「人間じゃない…?」
もう一度。激しい戦いを見せるあの“モノ”に視線を向ける。
人間離れした身のこなし。長い手足。力もかなりありそうだ。まるで変若水を飲んだ羅刹のようにも見えた。
「普通の攻撃じゃだめってどういうことだ?」
土方が更に質問する。
珠紀はまだ回復しきれていない体を叱咤して立ち上がると、服のポケットから札を取り出した。
「持っておいて良かった…今あの人が戦っている隙に私が何とかしてみます」
言うや否や珠紀は一歩前に踏み出すと、札を構えた。
「略法!伏敵!急ぎ律令の如くせよ!!」
次の瞬間。珠紀の持つ札から凄まじい閃光が迸った。目に見えない力が発動され、その光は真っ直ぐ侵入者に直撃した。
ばりばりと閃光に撃たれた相手は一瞬怯んだ。その攻撃にあっけにとられていた沖田はしかしすぐに気を取り直して、一閃する。
「やった…!!」
沖田の一撃が確実に入ったことを確認した千鶴は声を上げた。
だが喜びも束の間、相手の体にはどこも傷ついていなかった。
「何…!?」
確かに相手を斬ったはずなのに、傷ひとつない。沖田は目を剥いた。
「土方さん、これどういうことなんですか」
「俺が知るかよ」
態勢を立て直し、沖田は間合いを取る。土方も予期せぬ強者に、刀を抜いた。
二人でかかれば相手も怯むかもしれない。そう思って土方と沖田が構えた瞬間。侵入者は二人ではなく珠紀に視線を向け、地を蹴った。
「あっ…!!」
「きゃああぁっ!!」
侵入者は珠紀を片手に庭へと飛び出す。おそらく逃亡する気だ。
「待て!!」
土方と沖田が追いかけようとした刹那、突風が巻き上がった。
その暴風にあおられ侵入者の手が珠紀から離れた。地面に倒れこんだ珠紀は顔を上げて、安堵の笑みをこぼした。
「おいおい、そいつをどこに連れて行くつもりだ?」
「怪我はないか、珠紀」
庭に降り立った小柄な青年がうっそりと微笑んだ。その横から長身の青年が珠紀に駆け寄る。
「拓磨っ…真弘先輩…!!」
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