二次創作小説(紙ほか)
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- 薄桜鬼×緋色の欠片
- 日時: 2012/09/26 13:48
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
はい。
初めましてな方もそいうでない方もこんにちは。
またさくらが何か始めたで。と思っている方もいると思いますが
薄桜鬼、緋色の欠片好きの方には読んで頂きたいです
二つの有名な乙女ゲームですね
遊び感覚で書いていくので「なんやねん、これ」な心構えで読んでもらえると嬉しいです←ここ重要
二つの時代がコラボする感じです
あたたかい目で見守ってやって下さい
それではのんびり屋のさくらがお送りします^^
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.104 )
- 日時: 2013/07/10 23:49
- 名前: さくら (ID: 4BMrUCe7)
どんどんどん。
門を叩く音が闇に響く。
「何だ、こんな時間に…」
夜も明けきらぬ薄闇が空を覆っている。松本は急いたようなその音に安眠を邪魔されることとなった。
床から起きて羽織を取ろうとした。すると部屋の前に人の気配を感じてその手を止める。
「先生。私が行きましょう」
「あぁ、大蛇君か。すまんな」
大蛇は宴会から帰宅しても床にはついていなかった。考え事をしているときに門の戸を叩く音で我に返ったのだ。眠っていた松本に行かせることも憚れ、大蛇は素早く動いた。
大蛇は急ぎ足で門につくと扉を開く。
「大変だ!大蛇さんっ」
「鴉取君。それに祐一君も。どうしたんですか」
満身創痍の二人の姿と血相を変えて駆け込んで来たことに驚いていると、その腕に抱かれた珠紀と担ぎこまれてきた拓磨の姿に驚愕した。
「はやく診てくれ!拓磨の方が重症だっ」
祐一が応急処置で傷口を焼いたが、塞ぎきれなかった傷口から血が流れ出していた。真っ赤に着物を染めて血の気の失せた顔をしている。
「こちらへ…!!」
大蛇は二人を近くの処置室に案内するとすぐさま松本の部屋に急いだ。
「先生、急患ですっ!!怪我人が二人…!」
「なに、こんな時分にか。すぐに行こう」
松本はすぐさま着替えを済ませ、部屋を飛び出した。
そして処置室に着いて目を丸くした。
「君は新撰組にいた…」
「先生、今は俺よりもこいつらを見てやってくれよ!」
松本は処置台に横たわる拓磨をまず先に診た。鼓動を確認してから腹部に大きく広がる傷口を見て顔を顰めた。
「こりゃ応急処置がなかったら死んでいるぞ。大蛇君。すぐに湯と新しい手拭を」
「はい!」
「俺も手伝おう」
大蛇の後に祐一が続いて処置室を後にする。
「一体何があったというんだ」
「…」
真弘は表情を曇らせた。地雷を踏んだか、と松本は口を布で覆い拓磨へと視線を落とす。
「新撰組の君のことだ…おそらく羅刹か」
「…!おっさん知ってるのか!?」
「あ、あぁ。ワシは新撰組の医師だからな。可愛そうに、痛かっただろう…」
松本は手の消毒を終えると処置の準備に入る。浅い息を繰り返す拓磨を見つめて松本は苦しげに呟いた。
「こんなことはもう勘弁してほしいな」
「おっさん…その羅刹ってのが何なのか知ってんのか…」
「あぁ。だがワシの口からは言えない。ちゃんと近藤さん達の口から聞くんだ。いいね」
松本は真弘と目を合わせ念を押した。
「彼らにも彼らの使命がある。そこをわかってやってくれ」
「人を平然と殺す奴等の使命って何だよ」
真弘の目には失望の色しかなかった。
先ほどまで酒を酌み交わしていた仲だったというのに、脆く儚くそれは砕け散った。
真弘たちの本性を目の当たりにしたときに見せた表情。あれが人間の本音だ。
わかっていた。いつかこうなると。覚悟をしていたはずだ。
だが新撰組も新たな本性を現した。
異形の者を閉じ込め、危険となれば奴等を平気で処断する。
「ここは…そういう時代だったんだな…」
幕末。時代の動乱に多くの犠牲を払った。教科書の文面を読んでいるだけでは決して理解できない、現実。
真弘はそれを突きつけられたようで、胸が痛んだ。
「だからって…当然のように人を殺して…」
「少年、君に何があったのかはわからん。だが、彼らも決して望んでいたことではなかったはずだ。だから早合点はいかんぞ」
深く皺が刻まれたその笑みに真弘は何も言わなかった。
そこに白湯と手拭を手に大蛇と祐一が戻ってきた。治療が開始される。
「伊東さんたちは」
「遅くまで飲みにでているようで…まだ屯所には戻っていません」
「そうか。騒がれずに済むな…伊東さんたちが戻ってくる前に片付けるぞ」
惨状にかけつけた斎藤は土方の問いに答える。
「数が多い。山崎と島田にも声をかけて処理を頼む」
「はい」
斎藤は頷くと身を翻した。土方は大きく息をつくと、惨状を改めて見渡す。
祐一が放った炎のおかげで地面は焼け、ついでに羅刹の男達もその炎で火傷を負っている。周辺は人の肉が焼けた嫌な臭いに満ちていた。
倉に閉じ込めていたほとんどの羅刹が解放されたおかげでその処理に悩む。あの数の死体をどこに埋葬すべきか。
「何だかあっけなかったですね」
「何がだ」
転がる無数の死体を荷車に乗せながら沖田はつまらなさそうに呟いた。それを聞いた原田が顔を上げる。
「真弘君たちの素性。もっと凄いのかと思ってた。あんなものかぁ」
「けどよ、背中から羽根が生えてたんだぜ?祐一なんか尻尾まであったじゃねぇか」
「新八。さっきもそうだったが、言いすぎだぞ。あいつらがずっと素性を隠してた理由はもしかしたらそんな風に言われたくなかったから隠してんじゃないのか」
原田が永倉の失言を諌める。
確かに永倉の言ったことは誰もが一瞬思ったことだ。そう思ってしまった自分達が情けない。素性がわかるまでは酒を飲み交わし、笑い合っていたのに、彼らの姿が少しでも違えば恐怖を感じてしまった。
「なさけねぇな…俺はその覚悟ができてなかったんだ…」
原田は死体を見つめて唇を噛み締める。
きっと彼らは傷ついたはずだ。一瞬でも仲間に対して恐怖を抱いてしまったのだ。彼らは裏切られるかたちで素性を現すこととなった。
「化け物は本当に俺達なのかも知れねぇな…」
目を見開いたまま息絶えている男の瞼をそっと下ろしてやる。
かつては同士だった。この死体の山にもかつて自分の隊士だった者がいる。
情がないわけじゃない。いつだって狂った羅刹を始末するときは胸が酷く痛む。
この痛みを忘れてはいけない。忘れてしまえばそれこそ彼らの言う化け物になってしまう。
「そういや、あいつらはどこに行ったんだ」
「医者に診せなければ、って言ってたからきっと松本先生のところじゃないの?」
「後で迎えに行くか。話したいこともあるしな」
するとそこへ藤堂が息を切らして戻ってきた。
「山南さんは倉の外で倒れてた…!羅刹化した後みたいで結構な傷を負ってたみたいだ。今はもう回復してさっき倉に運んで寝かせておいた」
「すまねぇな、平助」
「真弘が言うには山南さんが拓磨を襲ったって言ってたけど…」
「それも山南さんが回復するまで待つしかないな」
土方はふっと息をついて羅刹化した男達を閉じ込めていた倉の扉の前に立つ。そしてしっかり施錠したはずの錠前を見て目を細めた。
「これは…」
錠前ごと溶けている。鉄の塊が蝋燭のように溶けていた。
「どうやったらこんな風になるんだ…」
「こっちも同じように溶けてますよ、土方さん」
沖田が他の倉の錠前を手に土方の元へ駆け寄る。
「鍛冶屋の炉だったらこんな風にできるかもしれませんけど、そんなことできっこないですし。一体どうやって鉄を溶かしたんですかね」
「祐一…」
土方の脳裏に青い炎がちらついた。
「祐一ならば炎を使ってこれを溶かすことができた、か…」
「まさか。彼らがそこまでする理由は何ですか?羅刹の存在は彼らに一切伝えていない。何の目的があって彼らがこの倉を開けようとしたんですか」
「そうだな…だが、確かめる必要はありそうだ」
疑心になっている。土方は自分の額に手を当てる。
先ほどの二人の姿が頭から離れない。人のようで決してそうではない。逆巻く青い炎を背に、二人は獣のような姿をしていた。
ついそのとき疑ってしまった。動揺していたとはいえそれは冷静さを欠いた言動っだった。
「くそ…」
わからないことだらけだ。現状の手がかりだけでは結論はつけられない。
だがどうしてもあの二人を怪しんでしまう。
土方は頭を振った。
「拓磨たちの治療が終わる頃、松本先生のところに行く…話はそれからだ」
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.105 )
- 日時: 2013/07/12 21:54
- 名前: アゲハ (ID: db3Hcctt)
- プロフ: 期末しんどかった・・・。
すごいです・・
やっぱり、文章力ありますね・・・!
続き、がんばってください!
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.106 )
- 日時: 2013/07/15 01:13
- 名前: さくら (ID: 4BMrUCe7)
アゲハさん
また読んで下さってありがとうございます^^
更新しますよー
さて、ここからはまたややこしい話になっていくので私も気合入れていきます
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.107 )
- 日時: 2013/07/15 01:17
- 名前: さくら (ID: 4BMrUCe7)
「なるほど…羅刹は心臓を突くか、頭を飛ばさないと死なないんだ…治癒能力も抜群。身体能力も上がるみたいだね」
「人間兵器を造っていたとは思わなかったわ…」
正彦たちは騒ぎに乗じて自分達の部屋に戻ってきた。羅刹について知ったことを整理する。
「とんでもないものを掘り起こしたなぁ…これを使って守護者の邪魔ができないかな」
「あまりやり過ぎちゃ駄目よ、正ちゃん」
「わかってるよ。俺達も正体がばれちゃまずいからな。慎重に動かないと…」
これからの作戦を練っている正彦の手を清次郎は掴んだ。
「何」
「正ちゃん、本当に無理しちゃだめよ…」
「心配性だなぁ、清は。俺は大丈夫だって」
正彦は清の腕をやんわり離すとこれからの動きを考えるため自分の部屋に戻った。清次郎はその背中を見送ることしか出来なかった。どうにも正彦は危なっかしく見える。何を考えているのか最近はわからない。
「追い詰めているのかしら…」
清次郎はぽつりと呟いたが、その問いに誰も答えるはずはなく。清次郎は頭を振った。
良くないほうへと想像して思い込んでしまうのは自分の悪い癖だ。
白み始めた空を障子を開けて見上げた。
「私がしっかりしなくちゃ…」
闇の帳が白く薄らいでいく。東の空を見上げると連なる山の淵から淡い光が漏れていた。
「ふぅ…これで大丈夫だ」
松本は額の汗を拭って手術用の針を処置台に置いた。窓から入ってきた光を見つめて大きな溜息をつく。
すっと視線を戻して処置台で眠る青年を見つめた。
青い顔をしているが、呼吸は安定している。早めの応急処置とすぐさまここに駆け込んで来たことが功を成した。おかげで一命を取り留めたのだ。
腹部の傷口を十針縫合した。大怪我とも言えるその刀傷を前に、松本は気になることがあった。
「大蛇君。そっちはどうだね?」
「はい。今は落ち着いて眠っています。腕の傷もそう深くないようでした。ですが、あの腕の傷は…」
「まるで、何かに裂かれたようだったな…」
拓磨の隣の処置台で眠る珠紀には外傷はひとつだけだった。だが、皮膚を裂いたような傷が白く細い腕に走っている。大蛇はこれが一生傷にならないか、少し不安であった。
「頭を強く打ったようだが、大事ないようだ。大蛇君」
「はい」
「彼は一体何者かね?」
松本の視線が拓磨に向けられたことを確認して、大蛇は目を細めた。
「いくら止血のために皮膚を焼いて応急処置をしたところで、あの傷の深さと大きさでは即死だった。普通の人間であれば、だが」
松本の目が光る。大蛇は黙って松本の言葉の先を待った。
「変若水を飲んだのかね、彼は」
「おちみず、とは一体何のことでしょう?彼は人間です」
「いや、それならばいいんだが…」
「人間に異形の血が混ざっていると言えばいいでしょうか。いえ、混ざっているのではなく覚醒するものなのですが…」
大蛇は視線を下げる。柱に背を預け、疲れて眠る祐一と真弘を見つめて大蛇は優しい語調で続けた。
「そして私も…人であって人ではありません…」
大蛇が松本を振り返った。その際に彼の長く艶やかな髪がさらさらと音を立てて肩から落ちる。
「そうか…」
「驚かれないんですか?私は人間かも分からない者なんですよ」
「そうかも知れんが、私が知っているのは律儀で、温厚で、思慮深い君だ。それでは不満かね?」
目元に深い皺を刻み、松本は笑った。窓から差し込む朝日に照らされ、その笑顔はさらに輝いて見えた。
「それに、私はそういう異形や、異端を他に知っているのでね。そうは驚かないよ」
「それが、さきほどのおちみず、という物と関係しているのですか?」
松本は処置台の脇に散らかっている手術道具を片付け始める。
「さて、それはワシの口からは言えんなぁ…だが、いずれ新撰組から、彼らからも説明があるんじゃないかな」
松本は眠る祐一と真弘に視線を向ける。
拓磨にこれほどの怪我をさせたのだ。相手は相当の手誰だったのかもしれない。不安が胸を走って、どうにも嫌な予感がする。
「大蛇君。君は彼と彼女を布団に寝かせてあげなさい。片付けは私がする」
「はい」
大蛇はいびきをたてて眠る真弘と静かに熟睡している祐一の肩を揺り起こして、拓磨と珠紀を部屋まで運ぶように伝える。
「んぁ…拓磨っ!!」
真弘は目を覚ますと開口一番に叫んで拓磨を見た。
「大丈夫ですよ。松本先生のおかげで一命を取り留めました。珠紀さんも大事ないようです」
「そうか…」
「二人を運べばいいんだな、大蛇さん。どの部屋に運べばいい」
大蛇は珠紀を抱き上げ、祐一と真弘で拓磨を傷に障らないようにそっと抱えて処置室を後にした。
血の付着した器具を水で洗っていると、戸を叩く音がした。
まだ日も昇りきっていない時間だ。松本は大きく溜息をつくと門へと向かう。
「はい、どうしました———…おやおや、これは皆さんお揃いで…」
「朝早くからすまない、松本先生。ここにうちのモンが来ているはずなんだが———」
「はようございます」
「はよう、雪村君」
「はよう、まだ寝ていてもいいんだよ?」
厨に足を向けた千鶴は目が覚めたついでに朝餉の支度を手伝おうと顔を覗かせた。そこには米を研ぐ山崎と魚をおろしていた井上の姿があった。
「あの、何かお手伝いできること、ありませんか?」
「そうだねぇ。もうほとんど準備はできたんだが…あぁ、膳を運ぶ準備をしてもらおうかな」
「はい」
井上の指示に従って人数分の食器を乾燥棚から取り出す。
「あぁ、今日は四人分でいいよ、雪村君」
「四人?どうして四人なんですか?誰か朝餉がいらない人がいるんですか?」
幹部合わせても十人を超える人数がいる。夕べの宴で朝餉が喉を通らないのだろうか。
「他の人たちはちょっと外に行っちゃってね。朝餉はいらないそうだ。残った我々と島田君の分で大丈夫だよ」
「どうして外に行っちゃったんですか?」
「止む終えない事情が発生したため、屯所を出て行った…留守を任されたが、我々も何があったのかはわからない」
山崎は釜戸に薪をくべながら呟いた。幹部総出で外出するなど珍しい。
「捕り物か何かですか?」
池田屋事件の際には幹部総出、それこそ新撰組を総動員した。今回も何か起こったのか。
「いや、そうじゃないみたいなんだけどね…」
「四人分といえば、拓磨君や珠紀ちゃんたちの分は?彼らも屯所を出て行ったんですか?」
「あぁ。詳しいことはわからないが、そうらしい」
「そう、ですか…」
千鶴は胸が騒いだ。何か起こったのだ。夕べの宴から朝にかけて。
でなければ幹部が動くことなどめったにない。千鶴は心配ばかりして浮かない顔をしてはいけないと、準備にとりかかる。
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.108 )
- 日時: 2013/07/16 22:23
- 名前: アゲハ (ID: db3Hcctt)
- プロフ: 期末しんどかった・・・。
千鶴って、意外と勘が鋭いですね^^
確かに、ちょっとややこしい話ですが・・・私は、応援しています!
がんばってくださいね!
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