二次創作小説(紙ほか)

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薄桜鬼×緋色の欠片
日時: 2012/09/26 13:48
名前: さくら (ID: cPNADBfY)



はい。
初めましてな方もそいうでない方もこんにちは。
またさくらが何か始めたで。と思っている方もいると思いますが
薄桜鬼、緋色の欠片好きの方には読んで頂きたいです


二つの有名な乙女ゲームですね
遊び感覚で書いていくので「なんやねん、これ」な心構えで読んでもらえると嬉しいです←ここ重要


二つの時代がコラボする感じです
あたたかい目で見守ってやって下さい

それではのんびり屋のさくらがお送りします^^

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.135 )
日時: 2013/08/06 22:51
名前: さくら (ID: lDRmYQrD)

「新撰組が…人体実験…?」

話を全て聞き終えた珠紀は目を丸くした。珠紀が話を聞いている間黙って祐一と真弘は珠紀の様子を窺う。
祐一と真弘が受けた中傷的な出来事は伏せて珠紀に全て報告した。そんなことを話せば珠紀はまた人の分まで悲しむに違いない。
大蛇は頷くと険しい表情で続けた。

「珠紀さんを襲った輩もその人体実験の犠牲者です」
「…そんな…」

信じられないと驚愕する珠紀に祐一は言葉を補足する。

「俺達はこれからについて考えなくてはならない」

祐一の言葉に珠紀は瞬いた。これからとはどういうことだろう。

「新撰組に残るか否か…」

暗い表情で祐一が言葉を紡ぐ。珠紀にはそれがどういうことなのかわからなかった。

「ど、どうして新撰組を出て行くことになるんですか?私達、何かしたの?」
「その逆だよ、珠紀。新撰組がしでかしたんだ。羅刹とかいう人体実験を行っていることを伏せて、お前や拓磨を傷付けた。なのに向こうは実験のためだった、だから仕方ないって言ってやがんだ。こんな危険な場所にいつまでも居座る必要なんざねぇだろ」

真弘の棘のある物言いに珠紀はますます不安を募らせる。この重い空気は何?
祐一も深刻そうに顔を顰め、大蛇は鎮痛な面持ちで珠紀を窺っている。
何かあったに違いない。自分が眠っている間に何か起こったのだ。珠紀はそれを直感すると、真弘に向き直った。

「でも、玉依姫がここに、新撰組にいてほしいって…いつか迎えに来るからって…」
「だからってあんな危険な場所にずっといるつもりか?お前、死にかけたんだぞ?それを忘れたわけじゃねぇだろ」
「で、でも…」

真弘の言葉にも一理あった。
自分はともかく、拓磨も死を彷徨った原因は新撰組にある。その羅刹という存在が脅威であることに間違いはない。
だがだからと言っておいそれと出て行くのは違う気がするのだ。

「危険な実験していたのに俺達にはだんまりだった。これがどういう意味かわかるか?」

真弘は腕を組んで苦々しく吐き捨てた。

「俺達を信用してなかったってことだ。実験の情報が漏洩しないように。俺達には内密にしてたんだよ」

真弘の顔には失望の色が見えた。珠紀はそんな彼を見て混乱した。
どうして。その晩までは楽しく飲み交わしていたではないか。それがどうして一夜でこうも関係が瓦解してしまうのか。
自分が気を失っていたことが悔やまれる。真実をまだ自分を知らないのだ。それが歯痒くて珠紀は大蛇の腕を掴んだ。

「大蛇さん、私にまだ話していないことがあるんじゃないですか?お願いします、教えてください」
「珠紀さん…」

懇願する珠紀に気圧されて、大蛇はちらりと祐一と真弘に視線を送る。

「俺は別に構わねぇ。珠紀だけ蚊帳の外はおかしいからな」
「同感だ。だが、酷な話になるぞ」
「それでも…構いません」

珠紀は真っ直ぐに大蛇を見つめて頷いた。大蛇は漸う、言葉を選びながら語り始めた。

「実は…我々の正体を彼らに話しました。鬼斬丸のことも玉依姫や守護者のことも…」
「あの夜、姿を現したから…」

珠紀の脳裏に残る薄っすらとした記憶。青い炎のなか祐一が本性を現して戦っていた。それをきっと新撰組が目撃したに違いない。そこで何があったのか、何となく想像ができる。
珠紀は悲痛な面持ちで祐一と真弘を見つめた。

「そんな顔をするな。俺達が化け物であることはわかっている。今更どう言われようが気にしない」
「俺達の心配なんざいらねぇよ」
「でも…」

きっと驚いたのだろう。新撰組幹部たちは彼らの異様な姿に。そしてそこで何があったのかは真弘の棘のある物言いですぐにわかった。
どうして真弘が出て行こうと促すのか。どうして祐一はこれからの話をするのか。
互いに驚いて、互いに傷つけあってしまったのだ。真実を晒したとき、そこに不和が生じた。
珠紀は我知らず零れていた涙も構わず、自分がのうのうと眠っていたことが悔やまれる。

「先輩たちがつらい思いをしていたのに…私…」
「泣いたってしょうがねぇよ。それよりも俺達はこれからどうするか考えねぇと」

真弘はふっと嘆息すると珠紀に手拭を差し出す。珠紀はそれを受け取ると涙をしっかり拭い、顔を上げた。

「私はここに残りたい。鬼斬丸の行方も調べないといけないし…何より玉依姫がここにいてって言ったんだから…私は新撰組にいなくちゃいけない」

はっきりとした口調で珠紀は言い切った。
その言葉に頷いたのは大蛇だけで、祐一と真弘は黙りこくってしまった。

「ど、どうしたんですか?先輩…」
「俺は反対だ」

真弘は珠紀の意見を真っ向から反論した。その硬い声音に珠紀は目を丸くする。

「あんなところに俺は戻らない。お前や拓磨が倒れても何とも思わなかった奴らだ。そんな連中にへつらってまで俺はあそこに居たくねぇ」
「へつらってって…別にそんな」
「俺はまだわからない。拓磨があの夜何をしたかったのか。一人で何を調べようとしてあの倉に近づいたのか。拓磨が目覚めるまで俺は答えを考える」

あの夜、現場にいた二人だからこそ、現実を知っている。二人の反応に珠紀は戸惑った。

「どうして…だって今までお世話になってたんだよ?それが…」

掌を返したようなこの態度は何だ。珠紀はただ驚くことしかできない。

「お前だって死にかけたのにまたあそこに戻って同じことが起こったらどうするんだ?」
「それは———」

確かに死にかけた。あの場に戻ることは少し躊躇う。だが、だからと言ってこんな身分も怪しい自分達を受け入れてくれたのは他ならぬ新撰組だ。そんな彼らの恩を仇で返すようなことはできない。

「じゃぁ先輩は新撰組を出て行った後、どうするんですか?」
「そこまではまだ考えてねぇ…」

視線を逸らして言葉を濁す真弘に珠紀は不安を募らせる。どんどんと彼の心が離れていくようで、珠紀は悲しい気持ちになった。

「狐邑君の言う通り、拓磨君の話も聞かなくてはいけませんね。珠紀さんの意志はわかりました。私も珠紀さんの意見に賛成です」

珠紀は大蛇の言葉にほっと安堵するが、祐一と真弘の表情を見ると胸騒ぎがした。
どこか遠いところに二人の心はある。

「先輩…」

どうか杞憂であってほしい。この胸騒ぎも、この不安も。どうか二人に考え直す機会がありますように。
珠紀は鎮痛な面持ちの二人を見つめて密かに願った。

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.136 )
日時: 2013/08/06 22:55
名前: さくら (ID: lDRmYQrD)

安静を余儀なくなれた千鶴は結局その日一日横になり、翌日に起き上がった。
先日の胸の違和感もなくなり、体も軽い。千鶴は朝早くに目を覚ますと一番に厨へ向かった。
冬に近づいているためか早朝でも暗い。目を凝らしながら燭台に火をつけ、調理にとりかかる。きっと幹部全員が帰っているはずだ。いつも通りの人数分を調理しようと算段していると、そこにひとつの足音が近づいてきた。

「もう起きていいのか?体調不良と聞いていたが…」
「あ、斎藤さん。おはようございます」

厨に顔を覗かせた斎藤は釜戸に火を起こそうとしている千鶴を見止めて少し驚いているようだ。食事当番に当たっていた斎藤はそのまま厨に入ると袂を紐でたくし上げ、米を研ぐ準備をする。

「もう大丈夫です。心配おかけしました」
「なら良かった」

斎藤は千鶴の顔色を見て回復したことを確認する。

「あんたはいつも無茶をしすぎだ。つらいときはつらいと言わねば。ここの男達は鈍感だからな」
「はい。ありがとうございます」

千鶴は斎藤を見上げると微笑んだ。心配されることは嫌ではない。むしろ相手の思いやりを感じられて少し嬉しくなってしまう。
千鶴と斎藤はその後黙々と朝餉の準備を進め、膳に盛り付けていく。朝餉が出来上がった頃には日が昇っていた。
千鶴と斎藤は朝餉を広間に運ぶとそこには幹部達が揃っていた。

「おはよう、千鶴ちゃん。もう体の方は大丈夫なのか?」
「はい。おかげさまで」
「女は体調が変わりやすいからあんまり無茶すんなよ」

永倉と原田と朝のあいさつを交わし、次に沖田と藤堂に膳を運ぶ。

「今日の朝飯、千鶴が作ってくれたのか?」
「うん、そうだよ」
「本調子じゃないんだから張り切りってご飯作らなくてもいいんだよ」

それぞれから心配の声を聞いて千鶴は微笑する。体が丈夫である千鶴が不調と聞いて一同は驚いたのだろう。千鶴の顔を見ると必ず無理はするなという心配の声をかける。

「最近は妙な風邪も流行ってんだ。気をつけろよ」

土方と近藤に膳を持っていくとぶっきら棒ではあるが、気遣いの言葉をかけられる。

「風邪といえば…総司。お前最近妙な咳ばかりしてるな。松本先生には診てもらったのか?」
「大丈夫ですよ、近藤さん。すぐに治りますって」
「そうか?お前も無茶をするなよ」

膳を運び終えて、千鶴はあることに気が付いた。茶を運んでいた斎藤に駆け寄る。

「あの、斎藤さん。膳の数はこれで合ってるんですか?」
「あぁ。間違いないはずだが?どうかしたか?」
「え、でも…珠紀ちゃんたちは…?」

その声に反応した一同が静まり返った。

「…珠紀たちは別件でここにはいない。数日したら戻るはずだ」
「別件で…」

幹部達は口を閉ざしてそれ以上は言えない、と食事を始める。
千鶴はどこか寂しさを覚えた。自分はまだ信用されていないのだろうか。どこか蚊帳の外に追い出された気がして、千鶴はそれ以上何もいえなかった。
落ち込む千鶴を原田は見逃さなかった。
食事を終えた幹部は各々の仕事にとりかかる。広間を後にしていく幹部達の残していった膳の片づけをしていると、最後に残っていた原田が千鶴に声をかける。

「千鶴」
「はい」

千鶴は手を止めて少し離れて座っていた原田を振り返る。原田は湯飲みを膳に戻すと、朗らかに笑った。

「何もお前が余所者だから話さないわけじゃねぇんだよ」

千鶴の落ち込んだ姿を見ていた原田は言葉を選びながら語り続ける。

「珠紀達が心配なんだろ?」
「…はい」

何もかもこの男に嘘や偽りは通用しない。千鶴の本音を見抜いて、原田は苦笑した。

「珠紀たちはな、見ちまったんだよ…あれを」
「…羅刹をですか?」

原田の言葉の響きを汲んで、千鶴は目を瞬いた。そして悟った。
皆で飲みにでかけたあの夜。きっとその夜に珠紀たちは羅刹の存在を知ってしまったのだ。
だから次の日に珠紀達と幹部がいなかった。

「今、珠紀ちゃんたちはどこにいるんですか?」
「松本先生のところだ」
「え!?どこか怪我でもしたんですか…!?」

驚く千鶴に原田はなおも慎重に言葉を選んで続けた。

「珠紀は大したことはねぇ…ただ、拓磨が重症でな。拓磨が回復するまであいつらは戻ってこねぇだろう」
「珠紀ちゃんと拓磨君が…」

千鶴の表情が一気に曇る。それを見た原田は補足した。

「大丈夫だろう。あいつらはちょっと体のつくりが違うからな」
「体のつくりが、違う…?それってどういう意味なんですか?」
「あぁ、お前は知らなかったんだよな…うん…千鶴」

しばらく逡巡した後、原田は千鶴を呼んで近くに来るように促した。
千鶴は原田の前まで膝行すると、真剣な眼差しを受ける。

「これから話すことは冗談でも、嘘でもねぇ。事実だ。いいか?」
「はい…!」

そして原田から語られる話に千鶴はただ目を丸くすることしかできなかった。
最後まで話を聞いた千鶴はしばらく言葉を発せなかった。

「千鶴…どう受け止めるかはお前次第だが…あいつらを軽蔑しないでやってくれ…」
「原田さん…」

苦笑する原田を見上げて千鶴は困惑する。きっと原田は彼らをこれからも変わらず接してやってくれと言っているのだ。

「私は…どんな彼らでもどんな姿でも私のお友達です…それだけは変わりません…」

思うより先に言葉が口から零れる。原田は安堵したように頷いた。

「あぁ…お前だけは変わらずあいつらと接してやってくれよ」

原田は慈愛を込めたような言葉の響きに千鶴は瞬いた。そのまま立ち上がると原田は広間を出て行った。
その広い背中を見送って千鶴は原田の言葉を反芻する。

「お前だけは…?」

頭に不安の文字がよぎる。

「…珠紀ちゃん…」

脳裏に彼らの姿を思い浮かべる。今までの彼らは真っ直ぐで、温厚で、優しい。彼らが化け物と聞いただけでは信じられない。
だが、今朝の幹部達の曇った表情。幹部と彼等に歪ができているというのか。
どこか寂しさが吹き抜けていくようで、千鶴は広間を見渡した。

「…土方さん…」

あの人はきっと多くのことを考えている。そして多くの選択肢を迫られ、新撰組にとって最良の選択肢を選んできた。だから今回もきっと間違ってはいないはずだ。
不安を振り払うように頭を振ると、膳の片づけを再開した。

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.137 )
日時: 2013/08/07 20:54
名前: せな (ID: HBvApUx3)

さくらさんこんにちは!!!
お話の方、毎回楽しく読ませていただいてます(*^o^*)
拓磨が思っていたより重症で本当に心配です(´;ω;`)
珠紀ちゃんの意思と先輩達の意思もすれ違っているみたいで…!
続きがすごく気になります!!!

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.138 )
日時: 2013/08/08 17:04
名前: 黒蝶 アゲハ (ID: db3Hcctt)
プロフ: 期末しんどかった・・・。

拓磨早く元気になって><

Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.139 )
日時: 2013/08/08 21:12
名前: さくら (ID: lDRmYQrD)

せなさん

お久しぶりです^^
またまた読んでいただいて嬉しいです
ありがとうございます

それぞれに考えと想いがあってのことなんでしょうね
皆さんが拓磨を愛していることがよくわかります
さてはて拓磨は一体いつ目覚めるのか←

また読んであげて下さい


アゲハさん

またまた読んでいただきありがとうございます
アゲハさんから拓磨の愛を感じます^^
私もここまで拓磨が眠っているとは思いませんでした笑

また読んで下さいね


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