コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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最強次元師!!【※新スレ作成におけるお知らせ有り】
日時: 2015/03/15 09:40
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)
参照: http://ncode.syosetu.com/n5050ci/

 運命に抗う、義兄妹の戦記。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 基本毎週日曜日に更新!


 ※追記

 実は、本作を一から書き直そうと思いまして別サイト様にて“完全版”を再連載し始めました。
 やりたい話が多くて一度断念してましたが、やっぱり優先しようと思ってもう一度記載致します。
 ご興味のある方はどうぞ! 上記のURLで飛べます*
 とってものんびりと、更新する予定です。


 Twitterの垢をつくってみました→@shiroito04
 イラストとか宣伝とかを呟いてます!



 ※注意事項

 ・荒らし・中傷はお控え下さい。
 ・チェンメなんかもお断りしてます。



●目次

prologue >>001
第001次元 >>002第011次元 >>012第021次元 >>048
第002次元 >>003第012次元 >>013第022次元 >>050
第003次元 >>004第013次元 >>019第023次元 >>052 
第004次元 >>005第014次元 >>020第024次元 >>055
第005次元 >>006第015次元 >>021第025次元 >>059
第006次元 >>007第016次元 >>025第026次元 >>060
第007次元 >>008第017次元 >>027第027次元 >>063
第008次元 >>009第018次元 >>030第028次元 >>065
第009次元 >>010第019次元 >>044第029次元 >>070
第010次元 >>011第020次元 >>046第030次元 >>071

第031次元 >>072第041次元 >>146第051次元 >>224 
第032次元 >>077第042次元 >>169第052次元 >>230
第033次元 >>081第043次元 >>176第053次元 >>234
第034次元 >>082第044次元 >>179第054次元 >>241
第035次元 >>090第045次元 >>180第055次元 >>245
第036次元 >>097第046次元 >>189第056次元 >>260
第037次元 >>104第047次元 >>191第057次元 >>262
第038次元 >>108第048次元 >>203第058次元 >>264
第039次元 >>109第049次元 >>209第059次元 >>268
第040次元 >>138第050次元 >>216第060次元 >>274

第061次元 >>298第071次元 >>359第081次元 >>385
第062次元 >>300第072次元 >>361第082次元 >>388
第063次元 >>308第073次元 >>365第083次元 >>391
第064次元 >>337第074次元 >>369第084次元 >>393
第065次元 >>338第075次元 >>370第085次元 >>399
第066次元 >>339第076次元 >>371第086次元 >>402
第067次元 >>345第077次元 >>377第087次元 >>403
第068次元 >>346第078次元 >>378第088次元 >>413
第069次元 >>352第079次元 >>380第089次元 >>414
第070次元 >>353第080次元 >>383第090次元 >>417

第091次元 >>420第101次元 >>448第111次元 >>480
第092次元 >>421第102次元 >>450第112次元 >>484
第093次元 >>422第103次元 >>458第113次元 >>489
第094次元 >>427第104次元 >>459第114次元 >>495
第095次元 >>431第105次元 >>467第115次元 >>499
第096次元 >>432第106次元 >>472第116次元 >>501
第097次元 >>433第107次元 >>475第117次元 >>502
第098次元 >>436第108次元 >>477第118次元 >>504
第099次元 >>444第109次元 >>478第119次元 >>507
第100次元 >>445第110次元 >>479第120次元 >>508

第121次元 >>509第131次元 >>544第141次元 >>558
第122次元 >>510第132次元 >>546第142次元 >>560
第123次元 >>511第133次元 >>547第143次元 >>563
第124次元 >>512第134次元 >>551第144次元 >>564
第125次元 >>520第135次元 >>552第145次元 >>565
第126次元 >>521第136次元 >>553第146次元 >>576
第127次元 >>528第137次元 >>554第147次元 >>590
第128次元 >>533第138次元 >>555第148次元 >>595
第129次元 >>534第139次元 >>556第149次元 >>608
第130次元 >>536第140次元 >>557第150次元 >>623

第151次元 >>631第161次元 >>683第171次元 >>759
第152次元 >>632第162次元 >>711第172次元 >>760
第153次元 >>633第163次元 >>719第173次元 >>762
第154次元 >>637第164次元 >>726第174次元 >>764
第155次元 >>643第165次元 >>739第175次元 >>766
第156次元 >>655第166次元 >>749第176次元 >>768
第157次元 >>659第167次元 >>753第177次元 >>769
第158次元 >>664第168次元 >>754第178次元 >>770
第159次元 >>665第169次元 >>755第179次元 >>771
第160次元 >>680第170次元 >>758第180次元 >>772

第181次元 >>773第191次元 >>788第201次元 >>813
第182次元 >>775第192次元 >>789第202次元 >>814
第183次元 >>776第193次元 >>792第203次元 >>826
第184次元 >>777第194次元 >>793第204次元 >>832
第185次元 >>778第195次元 >>794第205次元 >>835
第186次元 >>781第196次元 >>795第206次元 >>841
第187次元 >>782第197次元 >>798第207次元 >>853
第188次元 >>783第198次元 >>802第208次元 >>854
第189次元 >>784第199次元 >>803第209次元 >>855
第190次元 >>785第200次元 >>804第210次元 >>858

第211次元 >>862第221次元 >>883第231次元 >>897
第212次元 >>868第222次元 >>884第232次元 >>898
第213次元 >>873第223次元 >>888第233次元 >>901
第214次元 >>874第224次元 >>889第234次元 >>902
第215次元 >>875第225次元 >>890第235次元 >>903
第216次元 >>876第226次元 >>892第236次元 >>904
第217次元 >>877第227次元 >>893第237次元 >>905
第218次元 >>878第228次元 >>894第238次元 >>906
第219次元 >>879第229次元 >>895第239次元 >>907
第220次元 >>882第230次元 >>896第240次元 >>908

第241次元 >>909第251次元 >>929第261次元 >>955
第242次元 >>913第252次元 >>930第262次元 >>956
第243次元 >>914第253次元 >>933第263次元 >>957
第244次元 >>915第254次元 >>947第264次元 >>958
第245次元 >>916第255次元 >>948第265次元 >>959
第246次元 >>917第256次元 >>949第266次元 >>960
第247次元 >>918第257次元 >>951第267次元 >>961
第248次元 >>919第258次元 >>952第268次元 >>962
第249次元 >>921第259次元 >>953第269次元 >>963
第250次元 >>926第260次元 >>954第270次元 >>964

第271次元 >>965第281次元 >>977第291次元 >>988
第272次元 >>966第282次元 >>978第292次元 >>989
第273次元 >>967第283次元 >>979第293次元 >>990
第274次元 >>968第284次元 >>981第294次元 >>991
第275次元 >>969第285次元 >>982第295次元 >>992
第276次元 >>970第286次元 >>983第296次元 >>993
第277次元 >>973第287次元 >>984第297次元 >>994
第278次元 >>974第288次元 >>985第298次元 >>995
第279次元 >>975第289次元 >>986第299次元 >>996
第280次元 >>976第290次元 >>987第300次元 >>997

※第301次元〜は新スレにて連載予定


       ●おまけもの●

●資料集など
皆のプロフィール1 >>218
皆のプロフィール2 >>278
皆のプロフィール3 >>287
皆のプロフィール4 >>288
皆のプロフィール5 >>289
皆のプロフィール6 >>503
主な登場人物 >>852
さいじげテスト。 >>843
最強次元師!! について >>58

●番外編 
キールアの想い >>41
メイド喫茶祭り① >>327
メイド喫茶祭り② >>331
メイド喫茶祭り③ >>341
友達の証① >>492
友達の証② >>493
友達の証③ >>494
疎外少年と次元少女① >>810
疎外少年と次元少女② >>811
疎外少年と次元少女③ >>812
蛇梅隊DE☆大集合!! >>829
E FIEDLA >>941
英雄と妖精 >>945

 
●外伝
第001時限 >>942
第002時限 >>943
第003時限 >>944


●キャラ絵(1人)
奏様が描いて下さったルイル >>116
奏様が描いて下さったティリ >>105
奏様が描いて下さったロク >>119
奏様が描いて下さったロク(舌出しVer.) >>185
奏様が描いて下さったロク(ポニテVer.) >>523
奏様が描いて下さったキールア >>127
奏様が描いて下さったアリル >>141
奏様が描いて下さったリリアン >>148
奏様が描いて下さったミル >>154
奏様が描いて下さったフィラ副班 >>162
奏様が描いて下さったレト >>168
奏様が描いて下さったレト(メイド服Ver.) >>329
奏様が描いて下さったガネスト >>304 
奏様が描いて下さったガネスト(メイド服Ver.) >>318
奏様が描いて下さったアルア >>460

●キャラ絵(複数) 
奏様が描いて下さったレト、ロク、キールア >>693
奏様が描いて下さったエン、ミル、リルダ >>737

☆奏様には毎度ご感謝しております!!
 すごく似ていて、イメージ通りです
 キャラの絵が分からない場合には奏様の絵を見て下されば納得します!!
 これからも描き続けてほしいですね、是非とm((黙


●お知らせなど

* 2009 11/13 執筆開始
* 2013 09/01 執筆中断
* 2014 01/17 執筆再開
* 2014 10/19 別サイトにて再連載開始 >>980
* 2015 03/15 新スレ作成におけるお知らせ >>998

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Re: 最強次元師!!【別サイト様にて完全版更新中】 ( No.990 )
日時: 2014/12/31 22:15
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)

 第293次元 心は正直

 エン・ターケルドも、サボコロ・ミクシーも。
 全く場所は違えど、同じ事を、同じ地上で成していた。

 広くて暗くて不気味な、世界の神【WOLD】が創り出した世界の中。
 二人の英雄は、次元も持たずに只管土を蹴り上げ、走り続けていた。
 それも仲間である筈の、次元の力として生まれてからずっと心の中に在った。
 千年前の英雄達から、必死に逃げるように。

 「!」

 エンは足を止める。彼を探しているのか、“沢山”の光節達が首を動かしていた。
 本物の次元の力と、それも第二覚醒をしなければ元の世界へは帰れない。
 制限時間は100時間。似すぎた容姿からは、判断も出来ない程そっくりな。
 奇妙な光景だった。一つであった筈の次元が、声を重ねてエンを探す。

 (ワルドが言っていた……本物を見つけ出す方法が、“次元”にあるというのか?)

 エンははっとして、暗黒募る雲の上、白く輝く満月を見上げた。
 普通の視力では分からない、微々たる欠けが、生じていた。
 既に始まっている。100時間というタイムリミットを抱えたまま。
 木の幹に隠れ、再び走り出そうとしたその時。

 「「——!?」」

 目の前に、サボコロがいた。
 二人の目が合った瞬間、紅い少年サボコロの背後から、彼の名を呼ぶ元気な声が聞こえてきた。
 振り返ると、何体もの炎皇がサボコロを探している。
 エンは首だけで合図をすると、二人はより深い森の中へと、身を潜めていく。

 「良かったぜエン! お前何か良い方法思いついたか!?」
 「本物を見つけ出す、か。色々考えたが……矢張り難解だ」
 「そっか。基準さえありゃあなあ〜っ!!」
 「……基準、か」

 木陰に隠れ、サボコロの何気ない台詞に、エンは考える。
 遠くではまだ、エンとサボコロを探す次元達の声が微かに響いていて。
 エンは、ゆっくり瞳を開いた。

 「あるぞ、一つだけ」
 「!? な、何だよそれ!」
 「……本物と、偽物の区別なんてこれしかないだろう」
 「何だよ焦らすなよ!!」
 「今まで、共に————“戦ってきた”か、“きていない”かだ」

 つまり、心で。
 惹き寄せるしかない、今まで通り、心だけで。
 本物としか、次元を繋いだ事はないのだから。

 「そ、……んなの超難しいじゃねーか!!」
 「だからこうして悩んでいるのだろう!! 易く第二覚醒は出来んという事だ!!」
 「何でこんなんが第二覚醒の修行なんだよ! ワルドの奴覚えてろよ……っ」
 「兎に角今は、本物を見つけ出さねば進まな————サボコロ!!」

 サボコロの頭上が、陰る。
 突然明かりが消えた頭上に驚き退いた瞬間。
 大地を砕く————“元魔”の腕が見えた。

 「げ、元魔——!?」
 「この世界にも元魔がいるとは……次元のないこの状況は不利だぞ!」

 元魔は唸る。これ程元魔を恐怖だと思った事は、ないというように。
 薄暗い森の中で、二人は駆け出した。走り疲れて足も痛いだろうに。
 それでも、必死に逃げ出す。

 「げっ!!」
 「! ——サボコロこんなところにいたのか!」

 サボコロは思わず足を止めてしまった。目の前でにぱっと笑う、炎皇に。
 次元の力と出会う事が出来たのに、彼の表情は固まったまま。
 元魔の気配がだんだんと近づくにつれ、焦り、思考回路は渋滞したように働かず。
 エンの掛け声で、漸く我に返った。

 「どうしたサボコロ!! 今は兎に角——」
 「——炎皇、今だけ力借りるぞ」
 「!!?」
 「次元の扉、発動————」

 ワルドは言っていた。
 本物を第二覚醒しないとこの世界からは出られない。
 偽物と第二覚醒した場合、別の世界へ飛ばされると。

 然しこうも、言っていた。

 「————炎皇ッ!!」

 本物とも偽物とも——“第一覚醒”は出来るのだと。

 「第五次元発動——炎撃ッ!!」

 掌から繰り出される炎。包まれて元魔の姿は、真っ赤になった。
 夜闇の中で唯一の光を今は信じなければいけない。
 それが偽物でも、本物でも。

 「貴様……っ」
 「今はどうのこうのって言ってる場合じゃねえ! 元魔を倒す事が先だ!!」
 「……それもそう、だな」
 「ああ、そう————、っ!」
 「どうした、サボコロ!」
 「今……変な、感じ……が」
 「?」

 炎皇と次元の扉を開いた時にも、僅かに感じていた違和感。
 もう一度サボコロの胸の中を駆け巡ると、それははっきりと言葉になった。


 「違う……——こいつ“炎皇”じゃねえ!!」


 叫んだと、同時に——元魔の巨体が、起き上がる。


 「どういう事だサボコロ!!」
 「エンお前も適当な光節ひっ捕まえてやってみりゃ分かるよ——炎撃ィ!!」
 「……? それは、もしかして……」

 炎撃は揺れる。心の中を満たす、元力もまた。
 違うと叫んでいる。心が、体が。
 今まで感じた事もない、何日間も次元を扱っていないかのようなむず痒い感覚が。
 “偽物”であると、頭の悪い彼、サボコロにも容易に理解出来た。

 「次元を開いた時も、こうして今技を使ってる間も……なんか知らねえけど変な感じすんだよ!」
 「変な感じ……初心者に、戻ったような?」
 「そうそれ! ——っとあっぶねえな!! くっそこんな次元技で戦えるかよ!!」

 柔軟な体で、器用に元魔の攻撃を避けていく。
 地面に手をついて跳んだり、炎を纏った腕、脚でその巨体に衝撃を与える。
 まるで“格闘技”。以前までとは違えた戦闘スタイルに、エンは思い出した。

 (サボコロの奴、そういえばセルナ・マリーヌに修行をつけてもらっていたんだったな……)

 「第七次元発動————炎柱ゥッ!!」

 地面に、両手を。顔を上げた時、元魔は炎の渦に——呑まれていた。
 炎が散った時、元魔は闇に溶けたと思わせる程身を焦がし、倒れ伏せる前にその体は砂と化してしまった。
 サボコロも、次元の力を解く。

 「……」
 「嬉しいぜサボコロ! 俺の事、ちゃんと見つけ————」

 遮るように、言い終わらない、うちに。
 サボコロは——炎皇の腹部を殴り飛ばした。

 「サボ……——ッ!?」

 次の、瞬間。

 「————ッ!!?」

 炎皇は、“煙”と化して——“消える”。

 「な、何……!?」
 「……やっぱりか」
 「やっぱりとはどういう事だサボコロ!?」
 「“核”を備え付けてるって言ってたろ? その核に衝撃でも与えて壊しゃ、消えるかなって」
 「……なるほどな。然し良かったのか? 核は、本物にもあるのだぞ」
 「ああ……あいつは、“偽物”だった」
 「分かる、のか?」
 「……次元を繋いだ瞬間、偽物だって思ったんだ」
 「してその根拠は?」
 「ねえよ! お前も言ってたじゃねえか——“心”で見抜くしかねえって!」

 本物と偽物の唯一の違いは、今まで主たるエンやサボコロと次元を発動してきたか、そうでないか。
 それ以外はまるで容姿、声、性格共々似すぎていて、区別はつけられない。
 サボコロは次元の扉を開いた瞬間に、違うと直感した。
 それは“心”だけで次元と繋がってきた次元師にとっては最も大事な事なのではないかと。
 二人とも、同じ事を考えていた。

 「あいつら全員と次元の扉開いてみねーと……こりゃ分かんねーかもな」
 「本物と偽物の決定的な違い、か……次元以外にあるやもしれん」
 「でもアテになんねーよそんなん! 今みたいにまたすぐ元魔に襲われて……」
 「それもそう、か……サボコロ貴様、成長したようだな」
 「は? お前が褒めるなんてめっずらしー事もあんだな!」
 「野生の勘だけは褒めてやると言ってるんだ」
 「やっぱ喧嘩売ってんのかよ!!」

 エンはふと、空に浮かぶ月を見上げる。
 少しずつ、本当に僅かだが月は徐々に欠けているようだ。
 突然歩き出したエンに、慌ててサボコロも後を追う。

 「お、おいどうしたんだよ!」
 「貴様の言う通り、今は光節達と次元の扉を開く他、道はなさそうだからな」
 「そういう事かよ……くっそ100時間でホントに終わんのか!?」
 「……終わらせなければ、いけないだろう」

 相手は神族。能力の規模もその実力も。
 人間とは桁外れに違う。その名を神というだけはあると。
 さあ勝利の女神はどちらに微笑んでくれるものか。世界の上で、一人楽しげな世界神ワルドは。
 自分の創った世界の中で苦難する英雄を見て、そんな事を考えていた。

Re: 最強次元師!! ( No.991 )
日時: 2015/01/08 00:25
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)

 第294次元 立ち上がれ少年達

 「こいつもダウトだ——っ!!」
 「うわああ!!」

 跳ね飛んだ等身大の精霊、炎皇はぼうん、という煙の音で消える。
 体の内部に備え付けられた“核”。それに衝撃を与えれば、精霊達は消える仕組みになっている。
 当然、偽物であれ本物、であれ。
 本物探しの夜はまだまだ続く。

 「サボコロ、今ので幾つ倒した?」
 「ええっと12、体目かな……ったく、良くもまあ元魔も尽きねーもんだ」
 「元魔より元霊達の方が数は圧倒的に多いがな……俺も消した数は似たようなものだ」
 「さあてまだまだ炎皇達は沢山いるんだ! うかうかしてらんねー!」
 「……時間も、無いしな」

 月の様子を伺う。見上げたそれは、何も知らず無常にも欠けていくばかりだった。
 今まで当たり前のように傍にあった次元を失い、二人はそれでも本物求めて、戦い続け。
 言葉を失っていたエンは、サボコロが気合を入れるように、うし、と。
 声を上げたのに気が付いて、振り返った。

 「信じられるのは自分の“心”だけ、か。上等だ! 英雄ともなった俺達の底力、見せてやろーぜ!!」
 「ああ、そうだな……必ず、見つけ出してみせよう」

 迷いなく駆け出した。目的地は何処にも無いけれど、力強く足跡は刻まれていく。
 足音が揃う、今更臆しもしない————見慣れた巨体が、道を塞いだ。

 「おっと! 炎皇探す前に見つかっちまうとはな……」
 「グルルル……ッ」
 「——いたぞサボコロ! 光節もいる!」
 「! ——よっしゃショータイムだぜ!!」

 エンが指さす先から走り寄ってくる。笑顔のままの炎皇は本物か偽物か——分かる為にも。
 迷わずサボコロ、そしてエンも迷わずして。
 重ねる、心。

 「「——次元の扉、発動!!」」

 元魔の目の前が明るく照らされる。闇夜の下、それは英雄達に残された唯一の光。
 たったそれだけ——信じて、開く。

 「炎皇——!」
 「光節——!」

 唸る炎が走り出した。微動だにしない、弓を構えてエンは矢を引き絞る。
 体中に真っ赤な火が灯り、自慢の柔らかい肢体は、跳ねる。

 「——炎撃ィ!!」

 元力を抑制し、最大限に圧縮された——彼が地に堕ちる。

 「ウガアア——ッ!!」

 ブレた炎の中で啼き叫んだ、咆哮ともとれるそれに追い打ちをかけるよう。
 エンは、瞬きをしない。

 「——、一閃!!」

 元魔の胸を——細い矢が、突き破った。
 矢に込められた力が見えない渦を巻いて、元魔の体で大きな円を繰り抜くが如く。
 破られた半分以下になった上半身が少しだけ、痙攣する。

 「へ、へへ……また変な感じがすらァ……偽物、かよ」
 「俺の方もどうやら外————サボコロ!!」
 「——!?」

 ——それは、鉄槌。

 「ぐはァ——ッ!!?」

 満身創痍の元魔が下す、図太い拳がサボコロを叩いた。
 その腕に全力を注いだのか、そこから元魔が動く様子もない。
 不意を突かれたサボコロの姿が見えない。不安がったエンに——次いで。

 (——しまっ!?)

 空いていた片方の——元魔の腕が、風を裂いた。

 「うぐぅ——!!」

 衝撃波を連れてエンの体は弾き飛ばされた。
 木が薙ぎ倒され風が彼の体を纏い、遠い遠い——湖に、体が落ちた。
 溺れゆく、掠れゆく。サボコロもエンも、動かない体で地に、湖面に、浮かび倒れる。



 まるでキールア・シーホリーの時のようだと、神を含めた三人は同じように考えた。
 夕方になって空がだんだんと色を崩すにも気付かない。刻々と部屋に飾られた時計だけが、動く中。
 レトヴェールは漸く重たい口を開いた。

 「……遅い、な。二人とも」
 「ええ……まるで、キールアちゃんの、時みたい」
 「私の時みたいって事は、まさか……」
 「ああ、恐らくあいつらも……神族に」
 「————ピンポーン! 大正解だ、レトヴェール」
 「「「——!!?」」」

 キールアのベッドが携えられた、部屋の扉に背中を預けて世界の神は微笑んだ。
 サングラス越しの怪しい目つき。軽く口笛を鳴らしてワルドを、レトは睨みつけた。

 「大正解って……やっぱりお前の仕業かワルド」
 「“やっぱり”ってこたァないだろー? 信用ねーなー」
 「何しに来たのよ、こんな所まで」
 「……おっとこれはこれは珍しい……“悪魔”も、ご一緒とはな」
 「てめえ!!」
 「……」
 「ちょ、ちょっとレトく……!」
 「冗談に決まってンだろ? 短気な英雄様だな」
 「もう一度殺されたいのかお前……っ」
 「そう怖い顔すんなよ。あの二人の事が知りてーんだろ? なあ」

 飄々とした顔つきから一転。二十面相かと思わされる程の豹変ぶりに、何も言えなくなった。
 レトは表情から険しさを失わない。癇に障るような物言いにカチンときたものの、手は出さない。
 随分利口なもんだと口に出さずワルドは、続ける。

 「あの二人なら今、俺の創った世界の中で修行中だ。心配すんな」
 「……修行中?」
 「信用出来ない。ワルド、今すぐ二人を返して」
 「せっかちな譲さんだなったく……安心しな、お前らみたいにちゃーんと第二覚醒ひっ捕まえてくらァ」
 「! ……【WOLD】、貴方第二覚醒の修行を……?」
 「フェアリー・ロックか。それ以上の情報を与える気はねェよ」
 「……私は、【FERRY】よ」
 「いや、お前は【FERRY】じゃない」
 「……!」
 「【FERRY】はもう……お前じゃねェよ」

 まるでお前は、神族ではないと切り捨てるかのように。突き放された感覚に、フェアリーは戸惑った。
 千年間一度も死に至らなかった。それなのに何故。
 何故新しく生まれてきたロクアンズだけを——心の神と認めるのか。

 「私もあの子も同じ【FERRY】。寧ろ私が生きているのに生まれてきた、あの子は異例の神でしょう!?」
 「あーあーうるせェな……これだから女って奴はよォ……」
 「ワルド、あの子が何を企んでるか分からないけれど……勝つのは、人族よ」
 「……そーかい、そりゃさぞかしステキなハッピーエンドを用意してるんだろーな?」
 「……っ」
 「伝えるこた伝えた。話は以上だ」

 ひらっと手を振ると、ワルドはあっという間にその場から姿を消した。
 ガタンと床に崩れ落ちるフェアリーをレトが必死に支えるも、顔は上げない。
 無意識のうちに震えていた膝の上で、ぎゅっと拳を握る。

 「それでも、私は……あの子を信じてるわ……っ」

 【FERRY】であって【FERRY】でない。神以外の何者かとも考えた事がある。
 然し彼女の右眼が全てを物語る。神族である証がある以上。
 認めざるを得ない。例え彼女が何を思い考えていたとしても。
 同じ、心の神であると信じてる。

 「サボコロもエンも……大丈夫、かな」
 「ワルドの修行がどんなもんか知らねえけど……多分、大丈夫だろ」
 「? どうして?」
 「あいつらだって英雄だ。サボコロは言うまでもなく、見かけによらずエンもタフだしな」
 「……そう、だね。私の事も信じて待ってくれてたみたいだし……私も、信じるよ」

 当然私も彼らの事を信じていると、続けてフェアリー。
 すっかり暗くなった空から振ってくる闇に紛れて月光。窓から差して、灯の要らない夜がまた訪れる。
 ここへ来て一体どのくらいの時間が流れたのか。蛇梅隊の隊員達は元気で、やっているだろうか。
 レトはそんな事を思いながら、欠けもしない満月をじっと見上げ重ねて願う。

 (……必ず、無事に帰って来い——エン、サボコロ)

 金髪を揺らして少年は、英雄達の耳にも届かないと知って尚、月に言葉を掛けた。



 地面に伏す、少年と湖面に浮く、もう一人の少年は。
 その脚に、拳に————その、眼に。
 力を入れて、立ち上がる。

 「——ま、だまだァ!!」
 「——ッ!!」

 片手に炎を。片手に弓を携えて。
 サボコロが放つ炎の柱が——元魔の右腕を焼き飛ばす。

 「グ、グア……ッ」

 無くなった右腕に気を取られ、その体に向けられた——矢の先も知らずに。
 エンは、矢を放つ。

 「——グアアッ!!」

 一本の矢はまるで何千本も矢を束ね放つように、残された元魔の肢体を掻き消した。
 砂と化す風景を見ると今までの事が全て嘘だったかのように思えてしまう。
 それは元魔と戦ってきた次元師達が口を揃えて言う言葉だった。

 神族が創造する、使徒元魔。
 その外形は醜い怪物と形容するが一番近いだろうと専門学者は語る。
 人間を脅かし、果てには次元師に始末され砂と化すだけの一生である事を。
 今更考え出した。いつの間にか元魔を倒す事が当然になっていた世の中で。
 考えもしなかった、元魔の一生なんてものを。

Re: 最強次元師!! ( No.992 )
日時: 2015/02/07 14:37
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)

 第295次元 裏切り者と

 互いに背を預け合って、地面の上で足を崩す。少年達の息は実に荒いものだった。
 慣れない次元を使い続けて数時間。気力も体力も限界に達する頃。
 変わらぬ夜空の下でやっと息つくサボコロとエンは、その景色に何者もいない事を確認した。

 「はあ……はっ……あーもうっ!!」
 「っ……静かにしろ。ただでさえ疲れているんだ……傷に響くだろう」
 「これが叫ばずにいられるかってんだ! ……くそっ……」
 「これで五十体目、か……お互いに、本物とは巡り会わないものだな……」
 「一体どうなってんだよ……はぁ」
                                                           
 「……見ろ、サボコロ。月が」

 見上げると丸かった月は、半分以上失われていた。
 時間の経過を現すそれを怪訝そうに睨んで、サボコロは視線を落とす。
 空っぽの心に、未だ力は戻らない。

 「時間がねえ! もう一踏ん張りすっぞー!」
 「ああ」

 木陰から、月光の差す小広い道の先を眺めた。
 大分元霊の数が減ったといえど、本物を導き出すには時間が足りなさ過ぎる。
 元魔を利用し、元霊を一度心に取り込み、一度でも違和感を感じたら切り捨てまた探し、を。
 何度も繰り返していた。
 道の上には何人もの元霊が徘徊し、その光景はとてつもなく異様なものであった、が。
 それは、つい数分程前の話。
 サボコロとエンは今、正に、逃げていた筈の態勢から一転。
 逆に元霊を、探している最中であった。

 「どういう事だあ? やっぱちょっと前くらいから、元霊の姿が見当たらねー」
 「さあな……数が減ったせいか、それにしてもまだまだ数はいた筈だ」
 「探しに行こうにも、俺もうクタクタだぜ……」
 「それは俺も同じだ。少し休憩を挟んでから、また探しに行こう」

 次元を使えないサボコロとエンは、自ら火を起こし、薪を詰んで暖を取る。
 暗がりは明るみを手に入れ、ぼうっとただ、サボコロは火が揺らぐのだけを見ていた。
 珍しく重たい表情を見せるサボコロに、エンは何の言葉もかけられずに、ただ。
 同じように火を眺めてから、自分の掌に視線を落とした。
 その時。

 「——サボコロ?」
 「「——!」」

 草を踏み分けた、二人は音の方へ咄嗟に振り向いた。
 少し身構えてから一瞬、サボコロははっとし声の主を見て、息を詰まらせる。

 「え、炎皇……」
 「よう、こんな所にいたのか、サボコロ……光節も一緒だぜ」
 「! 光節」
 「お久しぶりです、エン殿。サボコロ殿も……お変わりないご様子で、何より」
 「……っ」
 「そう睨むなサボコロ。分かってる。疑ってんだろ……それで良い、だから」

 どうやら周りに、現れた炎皇と光節以外の元霊はいないようだった。

 「手当たり次第に次元の扉を開いてみて、虱潰しに本物を探してるんだってな」
 「ああ、知ってたのか……」
 「俺達でも試すか? サボコロ」
 「え? ああ、でも今日は疲れたし別に……」
 「そうか……ま、本物本物って、言ったって実際分からねえしな」
 「信頼を得ようにも、どれも言い訳がましくなってしまいますしね」
 「お前ら……」
 「ご心配なく。どうか信用もなさりませんよう……拙者達は早く此処から抜け出したいのです」
 「ちんたら遊んでる時間はねえ。そうだろ、サボコロ」
 「……もう俺達に殆ど元力は残っていない。また、明日だな」
 「……ああ」

 火花は散る。それは夜空へ吸い込まれるように、舞い上がっていった。
 今までとは違う、元霊二人の面持ちにサボコロもエンも。
 少なからず動揺していた。本物かと思ったが、それこそ信用するのは早すぎる。
 明けはしないが、明日、また元力が回復すればそれも済む話。
 然し久しぶりに落ち着いた空間を取り戻した。夢だったとしても。
 それはこの突飛な世界に来る前と、同じ時間で。
 焦がれる程に求めていたものだった。



 目を覚まし、同じような夜を見上げた時には既に。
 炎皇と光節は姿を消していた。
 次元を開ければ全てが証明される。筈であったのに。
 薪の火も消え、早くに目を覚ましたエンは驚いて辺りを見回した。

 「……一体……」
 「……んっ、え……エン……?」
 「やっと目を覚ましたか……行くぞ」
 「……? おい、何処行くんだよ」
 「探しに行くんだ。……嫌な予感がする」

 辺り一帯には、元霊は一人もなかった。
 今まで波を作っていた彼らの影は見えず、その気配も感じさせず。
 怪しく思わせる、不可解な現象に二人とも焦り始めていた。
 もしかして——彼らは。

 「——!! エンあれ見ろ!!」
 「!?」

 見えたのは、それこそ今までにない、“波”だった。
 炎皇の赤い髪と、光節の黒く塗りつぶしたような暗黒色の髪が揺れる。
 それも、沢山。
 同じ顔が立ち並び同じ声が反響し合う。サボコロとエンは一瞬考える力を失った。
 そして、一歩踏み出し、中にいた元霊の一部が気付き声を上げる。

 「!! おいサボコロ!」
 「エン殿……! お待ちしておりました!」
 「裏切り者だ! 裏切り者に——“制裁”を下せ!!」

 “裏切り者”——確かにその単語は、二人の耳に刺さる。
 一体全体如何いう事かと、状況を把握出来ない二人は黙ってその様子を見ていた。
 それは、沢山の元霊が群がる中囲まれ縄で縛られていた、二人の元霊。
 同じ容姿を持ち、がっくりと首を落として、地面に座らされている。
 声も出せずにいたエンの代わりに、サボコロがやっとそれを絞り出した。

 「お、おい……何だよ、これ……!」
 「サボコロ、落ち着いて聞いてくれ。あいつらは偽物だ——裏切り者なんだよ!」
 「だから何だよその……裏切り者ってのはよ!!」
 「まあ本物なんてこの中に一人しかいねえけど、それでもあいつらは……!」

 元霊達は、侮蔑の瞳を、二人の元霊に向けていた。
 ここ数日元霊達の様子が可笑しい事にはサボコロもエンも気づいていた。
 然し原因も分からず、今度はこちら側から元霊を探す作業へ移行。
 この間何が起こっていたかなど、知る由もなかったのだ。

 「俺達は一度全員で集まって、本物を決める会議をしてたんだ……」
 「本物は当然一番強いだろ? それにサボコロの事も良く分かってる」
 「エン殿の事も、です……それで力試しをし、生き残った者が二人の許へ行けると」
 「!」
 「なのにあいつらは……勝手に抜け出してお前達の所へ行った!」
 「抜け駆けをし、貴方達を騙し……危険に晒そうとしたのです!」
 「許さねえ……逃げるってこたあそういう事だろ!?」

 既に憤りは広がっていた。誰もが猛る。吠える、そして縛られた二人は。
 苦しい表情を浮かべ尚、黙り込んでいた。
 サボコロとエンは人波を掻き分け、元霊二人の前へ出る。

 「倒したきゃ倒せよ! 自分が本物だって分かってんのに遠慮する必要なんかねえだろ!?」
 「その通りです。それにもし偽物だったとしたら、時間が経てば正体はバレてしまうでしょう?」
 「サボコロにもエンにも俺達を見分ける力がある……怖けりゃ皆向かってきゃあ良いだろうが!!」
 「それが出来ないのは……貴方達全員が、偽物だという証拠にもなるのでは!?」

 本物だけが、自分を本物だと知っている。それが故に飛び込んでいく自信もある。
 何故なら正体をさっさと見抜いて欲しいと一番に願うのは、本物であるから。 
 炎皇と光節の必死の主張が更に大きく、声を荒げ空間を支配する。
 それに対して抜け駆けは偽物の証拠だと反論を繰り広げる、他の元霊達。
 サボコロとエンは、ただただ見ていた。
 どちらが正しくて、誰が本物であるか。
 本物ならば、サボコロとエンの信用を一番に得ようとする。
 それも絶対に、必死に、迅速に。
 何故ならサボコロ達英雄に——“一刻の猶予”も許されない事は知っているから。

 気味の悪い調和は空間を叩き、反響し、サボコロとエンの。
 耳に突き刺さる——決着をつけてやると言わんばかりの、縛られた元霊二人は叫びが。

 死んだ体に唯一託された、“魂”だけで、“本物”は語る。
 見抜いてくれと、真実だけを。

Re: 最強次元師!! ( No.993 )
日時: 2015/02/14 23:14
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)

 第296次元 見出したのは“無音”

 刻々と月が削られる下で英雄達は、見た事もない光景に目を奪われるでもなく。
 たった二人の、等身大の元霊を見ていた。
 その身体は縄で固められ、膝をつくような形で他の元霊達に見下ろされている。
 罵声は飛び交う。裏切り者だ、核を壊せ、そして。
 本物は自分だと。誰もが言い張る、それを同じ声色で。
 サボコロは、ぐっと胸の辺りを掴んだ。

 (炎皇……)

 様子を見ていたエンも、自分の胸を見下ろす。
 信じられるのは、心だけ。
 それが今正に試されているような気さえしてくる。
 サボコロもエンも、一歩踏み出して。二人の元霊の前へ爪先を向ける。

 「サボコロ……」
 「エン、殿……」
 「……お前達、本当に……」
 「信じてくれなんて言わねえよ、サボコロ——お前の信じる奴を信じろ!」
 「拙者も同じく——永久にエン殿に付き従うと誓った身ですので!」

 サボコロは、その時ふと思い出した。脳裏に微かに、蘇る記憶を手繰り寄せた。
 それは、嘗て殺し屋だった時の、サボコロへ向けた言葉。

 『……サボコロ、良いか。俺達殺し屋に“情”は要らない』
 『……分かってるよ、んな事』
 『人の命を奪う云々じゃない……常に判断を怠るなって事だよ』
 『判断?』
 『流されるな、沈着でいろ、その心音が跳ね上がった瞬間に、殺し屋を止めろ』
 『……』
 『忘れるなよ。敵を見抜く力は——常に、』

 サボコロがじっとして、息を静かに、吐いた時。
 狩人として自分を思い返すエンもまた、サボコロと似たような事を考えていた。
 ずっとずっと、昔に言われた事も。

 「炎皇……ありがとな」
 「!」
 「お前のお陰で、思い出した……忘れてたんだ、大事な事」
 「さ、ぼころ……」
 「光節、貴様も言っていたな……狩人にとって一番大事なものは——息を殺す事だと」
 「……? エンど——」


 サボコロとエンはその時確かに——“本物”を見つけ出した。


 「大事なのは“言葉”じゃねえ」
 「今まで過ごしてきた——“時間”だ!!」


 英雄の拳は————“核”を打ち砕いた。


 「——!?」
 「え、ン殿——!」

 その勢いは止まらず、サボコロもエンも——土を蹴り上げ駆け出した。
 適当に目についた、元霊を試しもせずに。
 拳を振り翳す。

 「てめえもダウトだ——!!」
 「!!」

 二人の次元師が、一瞬の迷いも見せずに見る見る内に元霊の核を壊していく。
 それも、次元を開く事なく。自棄になり我武者羅になっているとも取れる光景を。
 世界の神【WOLD】は、ポカンとしたまま遥か空の上、世界の上で言葉を失い眺めていた。
 彼らは一体、何をしているのだろうかと。

 「おいおい、ど、どうしたんだよサボコロ、エン……!?」
 「自棄になるのはお止め下さ——うわああ!」
 「落ち着けサボコロ!! 俺は本も——っ!」

 容赦は、なかった。躊躇いもない。エンも光節を次々と打ち負かしていく。
 数は確実に迅速に減っていく。時として暴れ回る英雄二人を止めに入る元霊もいたが、虚しく。
 快速的に元霊の核を破壊していく中——サボコロとエンは、足音に気が付いた。
 唸るような、野太い声と——“大きな影”が差す。

 「けっ! こんなタイミングで——元魔が現れるたァな!!」
 「寧ろ好都合だ……今日ほど貴様の存在を感謝した日もない」

 草を踏み分けるでなく、太い木々を薙ぎ倒して現れた。
 牙を剥きだした元魔の口内から零れる液体と、ギラギラ光るその眼が。
 本来人間を脅かす為だけにあるそれに、英雄達は臆す事を忘れた。
 遠い昔は、思い出しこそすれ、今はもうないのだから。

 「よしお前、手伝え」
 「? お、俺か?」
 「ああ、次元を開く事は出来るからな——“偽物”でも、勿論“本物”でも」
 「そこの光節も頼む——力を貸してくれないか」

 突っ立っていた炎皇と光節の腕を引っ張って、二人は。
 いつも通り、いつも以上に“心”を合わせて——扉を、開く。

 「「次元の扉————発動!!」」

 体中を駆け巡る、目に見えない力は疼き、暴れ——漸く。

 「——炎皇!!」
 「——光節!!」


 形と成る、それは確かに——二人の手に戻ってきた。


 「第七次元発動——炎撃ィ!!」
 「いくぞ光節——、一閃!!」

 湧いた炎が唸りを上げて、元魔を捉えた、隙間を縫って——矢が裂き貫いた。
 元魔の胸部に突き刺さる、鋭い矢でぐらりと傾く重心。
 足に力を入れたのか元魔は、態勢を崩しながらも、胸に穴を開けたまま立ち上がった。
 その時には既に、英雄は目の前にはいなく。

 「ヒャッホォー!! ——飛ばすぜデカブツゥ!!」

 渦巻いた、炎を纏った腕が——元魔の頬を殴り飛ばした。

 「アホが……カウンターを喰らっても知らんぞ——複閃!!」

 一本の矢と見せかけた、何十何百もの矢が雨の如し——元魔を襲う。
 突き破れる甲殻、弾き飛んだ血と肉が地面へ落とされる。
 怒号とも捉えられる、痛みの叫びが元魔の口から血と共に吐き出された時。
 サボコロは地面へ着地したと同時、その手についた地面から。
 大地を、円を描いて縫う炎の一筋が————元魔を囲んだ。

 「第八次元発動————炎柱!!」

 描かれた円の中を空まで塗り潰すが如く——炎の柱は元魔を焼き尽くした。

 「あースッキリしたァ!!」
 「油断はするなよサボコロ、ここは神の創った世界だ」
 「わあってるっつの! くぅー! やっぱ落ち着くなあ!」
 「ああ、そうだな————矢張り、“本物”に限る」

 ふっとエンが口元を緩めると、勝手に次元は解け、その姿を現した。
 等身大の元霊は視線を同じくして、サボコロとエンの前で優しく笑う。
 それは、初めて目にした“本物”の姿だった。

 「良く分かった、な——サボコロ」
 「エン殿も、流石です」
 「ばっきゃろー! 俺にかかりゃあこんなもん……」
 「殺し屋も狩人も、基本は同じという事だ」

 熱血バカなサボコロと冷静沈着なエンとでは全く性格が真逆だとしても。
 二人の本質はまるで一緒。
 人を狩るか元魔を狩るか。“隠密起動”を第一とする、二人は思い出した。
 何より炎皇や光節から受け継いだ言葉に、救われるなんて。

 「ご、ゴホン……炎皇お前言ってたよな、『殺し屋は常に冷静でいろ』って」
 「ああ、そうだな」
 「それで思いついたんだよ……信用を言葉で乞うんじゃなくて、“行動で示す”んだってな」

 裏切り者には制裁をと憤り怒号の飛び交う中で、サボコロとエンが見つけたのは、“無音”だった。
 大勢の元霊の中で唯一情に流されず、息を潜めていた気配を感じ取った。
 それが今目の前にいる炎皇と光節だったというのだ。

 「なるほどな」
 「狩人たる者、“隠密”“不動”は絶対……敢えて動かず、その存在を俺達に気付かせたのだろう?」
 「……流石です、エン殿」
 「でももうちっと分かり易くしてくれりゃあ俺達だって……」
 「すまねえな。ただ俺達二人を見つけるんじゃ……意味がねえと、思って」
 「? それどういう……」
 「サボコロ殿、エン殿。本来の目的を、まさかお忘れではありませんよね?」
 「……!」
 「ああ……当然だろう」
 「俺達を心の底から信用するにゃ、これが一番だったんだ」

 ドクン——、その響きだけが、サボコロとエンの中に広がっていく。
 “信用”は、何より“両次元”発動の、絶対条件。
 そして、それ即ち——“第二覚醒”に必要不可欠なものであるが、故に。
 自棄でなく、我武者羅でなく、運でなく、虱潰しでも、なくて。

 「どうする? サボコロ。……本当に、“俺”を信用して——良いんだな?」
 「エン殿……もし間違いであったら貴方達は、二度と元の世界へは戻れません」

 それでも我らを選ぶと言うのか、現代の英雄よ。
 千年前の英雄達は、初めてその顔を見せた。
 必死の覚悟。死を臆さず決して恐れない。
 全人類の未来を背負わされた英雄達へ、間違いは決して許されないと。

 「ああ、信じるぜ」
 「例え間違いで——あってもな」

 殺し屋と、狩人は頷いた、その————頭上に。
 見えた、巨体から伸びる腕が。
 少年達に——“決意”を振り下ろした。

 「お前を選んだんだぜ“炎皇”————バカでも分かるに決まってんだろ!!」

 「俺達の“心”を狩った————貴様らを信用してやると言っているんだ!!」

Re: 最強次元師!! ( No.994 )
日時: 2015/03/03 18:30
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)

 第297次元 繋がる英雄達

 「炎皇——!!」
 「光節——!!」

 月明かりを遮った、元魔の太い腕は——吹き飛んだ。
 炎が唸り、矢が裂き千切る。振り返った少年達の目にはもう、捉えられていた。
 既に血管は浮き上がり、ズタズタに引き裂かれた腕から細い血が噴き出し始める。
 不安定な足取り一つで地震を呼び起こす、巨体は重くよろめいた。

 「へっへー!! 調子戻ってきたぜー!!」
 「嘘みたいだ……こんなに力が溢れて良いものか?」
 「なんか上手く言えねーけど——すっげえ“炎皇”と繋がってる気がすらァ!!」

 跳んだ、彼の柔軟な体が空に置かれて、ニッと微笑むと同時に。
 翳した右手は——燃えるように熱く。

 「炎撃ィ——!!」

 放たれた業火は——再び元魔に襲い掛かる。
 厚い煙は元魔から視界を奪った。考える力の無い元魔の、頭に。
 向かって再び放たれる——“一閃”は貫かれた。

 「——真閃!!」

 通常の一閃と違う、激しく力強い刃が——顔面の中心へ。
 鼻を突き破って、丸く空洞が出来ると。
 エンは弓を下した。

 「お前もなんか腕上がってるみてーだな!」
 「……軽く引いたつもりだったんだがな」 

 心音がだんだんと高鳴りを見せていく。ドクドクとその存在を、知らしめていく。
 レトヴェールもキールアも、こんな気分だったのだろうか。
 胸の中に生きる英雄と、共に同じ力を持つ事で。
 同じ意思を、持つ事で。初めて知る事になる。

 図太い奴だと呟いた。元魔は顔に穴が空こうとも、まだ死なない。
 ぐちゅぐちゅと血が、妙な液体が、肢体の節々から見え隠れするも恐れず。
 英雄達は、身構える。

 「殺し屋なんて……止めた筈だったのにな」
 「俺にとっては久々の“狩り”だがな」
 「……炎皇は、俺を試したんだよな」
 「……光節もきっと、俺を信じてくれたのだろうな」

 顔も声も性格も全て統一された、何十何百と元霊のいる中で。
 たった一人、いや二人だけが本物で、それ以外は紛い物で。
 間違えたら元の世界には戻れなくなってしまう。
 レトやキールアと肩を並べて神を討つ事が、出来なくなってしまう。
 第二覚醒をしたが最後、この世界から出た先が吉か凶か。
 少年達の心音は確かに重なっていく。

 サボコロとエンに、本物だと伝える為には。
 言葉で言ったって無駄だ。それは元殺し屋と、狩人には意味を成さない。
 心の根から彼らの信用を得る方法はたった一つ。
 同じ心を、持つ事だけ。

 (殺し屋も狩人も、容易に他人を信用しない)
 (上面の言葉は以ての外……一瞬の躊躇いは己を殺すのみ)

 だから敢えて己から会いに行かず、じっと息を潜めていたという。
 気づいて欲しい。思い出して欲しい。
 義兄妹に出会う前の自分達が一体——何であったかを。

 傷で溢れた元魔の腕が、真っ直ぐ伸びた。

 「炎皇、お前を信じるって……こういう事だったんだな!!」
 「貴様らとの“時間”、“心”……見つけ出せて良かった!」

 跳んで避ける。木の枝にエンが、空中にサボコロが。
 今まで生きた中で一番の——自信に溢れた笑みを零す。

 (サボコロ……俺はお前に、出会ったあの瞬間から)
 (全てを託すと決めていました——今に至るまでも同じ)

 元霊は初めから、主を知っていた。この人だと決めていた。
 だから次元師とは違って信用の厚さが、熱さが、違う。
 最初から信用していた。疑った事は一度もない——だから。

 (力になりたい——死んだ俺達の分まで!!)
 (神に討ち勝つ力を——与えられると言うのなら!!)


 千年前の英雄は、共に戦う為でなく。
 今生きる英雄の、背を押す為だけに。


 「信じてるぜ“英雄”————お前が俺を、信じたみたいに!!」

 「今度は俺達が“応える”番だ————躊躇いはない!!」


 信じろ、重なれ。
 同じ想いを抱いた————千年の時が。


 「「“第二覚醒”————!!!!」」


 ————————“繋がる”。


 「————“炎神皇”!!」


 「————“光郷節”!!」


 神の伊吹は豪なる炎に匹敵し、その矢は刃が如く。
 獄炎を纏う、サボコロは宙で一度、腕に力を入れた。

 「————“炎神撃”ィ!!」

 拳を振るった直後————元魔の上半身全てが、“掻き飛んだ”。

 「は……?」
 「“一架閃”——!!」

 息つく間も無く放たれた——細い矢の先が、今度は下半身を同じ様に。
 矢の何千倍も大きさのある元魔のそれは——“裂け散った”。

 正に跡形もなくたったの——“二回”の攻撃で。

 「う、嘘だろ俺今……」
 「俺も……割と軽く引いたつもりだったんだが……」

 今まで以上に濃くて赤い、残酷さまでも含んで放たれた。
 エンの矢も同じくして、光のような、矢の先は元魔を
 一本の矢で、その巨大な下半身を難なく掻き消した。

 「これが……第二覚醒……?」
 「次元の力と、両次元を開く……か。……奇怪な現象、だな」
 『————パンパカパァーン! おめでとう英雄諸君!!』

 数十時間ぶりに聞いたその声は一瞬で背中にぞっと悪寒を走らせる程の。
 そして、沸々と怒りを覚えそうな——神族【WOLD】の声色だった。

 「『おめでとう』じゃねえよ!! 降りて来いてめえぶっ殺してやる!!」
 『あーはいはい……これだから短気なガキは苦手なんだよ……』
 「貴様が現れたという事は……」

 エンが見上げると、月は見事に細い三日月を描いて、夜空に浮かんでいた。
 あと少しだったのか。危ないな、と。
 欠ける事を辞めた月から目を離すと、姿の見えぬ声のした方へ顔を上げる。

 『ああ、良くやったな英雄共——お前達は晴れて“本物”の英雄になれた!』
 「……はあ? 本物?」
 『“名”ばかりじゃねえ、本当の力ってのを手に入れたんだ——満足したろ?』
 「馬鹿馬鹿しい……満足など、出来る筈がないだろう」
 『お? 何だ何だあ? 第二覚醒を手に入れた途端にでっかい態度に——』
 「——俺達の目的は、貴様ら“神”を滅ぼす事だからな」
 『! ヒュー! 言ってくれるねえ!』
 「つうかさっさと出せよ!! 出してくれる約束だろうが!!」
 『どいつもこいつもセッカチさんだ……——良いぜ、目瞑ってろ!』

 ガタンッ——と、大地が一度、大きく揺れた時。
 来た時と同じような時空の歪みが——二人を襲った。

 「「!?」」

 暗転。閉じた景色に、上下に揺れ動く夜闇と——禍々しい色の木々を見たのが最後。
 二人の脳裏が、激しく揺れた。

 「うわあああ!?」
 「くッ——!!」

 英雄達は、瞳を閉じる。



 「——よ、お目覚めか?」

 朝が、来たような気がした。
 頬を撫でる仄かな暖かさも、空を駆ける鳥の、鳴き声も。
 草がざあっと揺れて風を運んでくる。心地良さも。
 久々に体中を流れる澄み切った空気が、二人の脳裏をざわつかせた。
 瞼は、そっと。

 「うっ……わ、ワルド……?」
 「……どうやら……戻ってきた、ようだな」
 「ああ、良くやったな」
 「……何でお前が褒めるんだよ気持ちわりい……ってそうだ! 勝負しろワルド!!」
 「おいおい、そんな傷でどうやって神と戦うってんだよバカかよバカだな」
 「バカバカ言うなあ!! 気が収まんねえんだよ!!」
 「まあそう言うなや。良かったじゃねえか、俺のお陰で第二覚醒取得出来たろ?」
 「はあ!? こ、こいつ……っ!」
 「やめろサボコロ……ワルドの言っている事に、嘘はない」

 負った傷を気にもせずに、英雄二人はその場でワルドと睨み合う。
 遅れて立ち上がったエンはサボコロを宥めるも、その眼はワルドを捉え。
 漸く戻ってきた世界の中で、正しく人と神が向かい合っていた。

 「一つ聞きたい……どうして貴様ら神族が、敵である筈の俺達の手伝いをする?」
 「!」
 「手伝いだァ? はっ! 勘違いするなよ……これは手伝いじゃねえ、“修行”だ」
 「だからそれが何故だと聞いている!」
 「——逆に聞くぞ、“神の存在理由”は何だ?」
 「……!」
 「存在……理由?」
 「マザーに聞いたんだろ? 神は、人を守る為に生まれてきたんだぜ」
 「……そう、だったな。……然し——!」
 「人は神を信じなかった。神は見捨てられた。そうして恨み始めた——でもこりゃ“筋書き”だ」
 「……筋書き、だと?」
 「なあ、お前らは信じるか?」


 それは初めて見る、神の——“人間らしい”、表情だった。


 「神族の中で“たった一人”————【GOD】だけが人間を憎んでた、なんてよ」


 草木だけが揺れて。風だけが、音となり。
 ——英雄達は、言葉を失った。


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