コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 最強次元師!!【※新スレ作成におけるお知らせ有り】
- 日時: 2015/03/15 09:40
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n5050ci/
運命に抗う、義兄妹の戦記。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
基本毎週日曜日に更新!
※追記
実は、本作を一から書き直そうと思いまして別サイト様にて“完全版”を再連載し始めました。
やりたい話が多くて一度断念してましたが、やっぱり優先しようと思ってもう一度記載致します。
ご興味のある方はどうぞ! 上記のURLで飛べます*
とってものんびりと、更新する予定です。
Twitterの垢をつくってみました→@shiroito04
イラストとか宣伝とかを呟いてます!
※注意事項
・荒らし・中傷はお控え下さい。
・チェンメなんかもお断りしてます。
●目次
prologue >>001
第001次元 >>002第011次元 >>012第021次元 >>048
第002次元 >>003第012次元 >>013第022次元 >>050
第003次元 >>004第013次元 >>019第023次元 >>052
第004次元 >>005第014次元 >>020第024次元 >>055
第005次元 >>006第015次元 >>021第025次元 >>059
第006次元 >>007第016次元 >>025第026次元 >>060
第007次元 >>008第017次元 >>027第027次元 >>063
第008次元 >>009第018次元 >>030第028次元 >>065
第009次元 >>010第019次元 >>044第029次元 >>070
第010次元 >>011第020次元 >>046第030次元 >>071
第031次元 >>072第041次元 >>146第051次元 >>224
第032次元 >>077第042次元 >>169第052次元 >>230
第033次元 >>081第043次元 >>176第053次元 >>234
第034次元 >>082第044次元 >>179第054次元 >>241
第035次元 >>090第045次元 >>180第055次元 >>245
第036次元 >>097第046次元 >>189第056次元 >>260
第037次元 >>104第047次元 >>191第057次元 >>262
第038次元 >>108第048次元 >>203第058次元 >>264
第039次元 >>109第049次元 >>209第059次元 >>268
第040次元 >>138第050次元 >>216第060次元 >>274
第061次元 >>298第071次元 >>359第081次元 >>385
第062次元 >>300第072次元 >>361第082次元 >>388
第063次元 >>308第073次元 >>365第083次元 >>391
第064次元 >>337第074次元 >>369第084次元 >>393
第065次元 >>338第075次元 >>370第085次元 >>399
第066次元 >>339第076次元 >>371第086次元 >>402
第067次元 >>345第077次元 >>377第087次元 >>403
第068次元 >>346第078次元 >>378第088次元 >>413
第069次元 >>352第079次元 >>380第089次元 >>414
第070次元 >>353第080次元 >>383第090次元 >>417
第091次元 >>420第101次元 >>448第111次元 >>480
第092次元 >>421第102次元 >>450第112次元 >>484
第093次元 >>422第103次元 >>458第113次元 >>489
第094次元 >>427第104次元 >>459第114次元 >>495
第095次元 >>431第105次元 >>467第115次元 >>499
第096次元 >>432第106次元 >>472第116次元 >>501
第097次元 >>433第107次元 >>475第117次元 >>502
第098次元 >>436第108次元 >>477第118次元 >>504
第099次元 >>444第109次元 >>478第119次元 >>507
第100次元 >>445第110次元 >>479第120次元 >>508
第121次元 >>509第131次元 >>544第141次元 >>558
第122次元 >>510第132次元 >>546第142次元 >>560
第123次元 >>511第133次元 >>547第143次元 >>563
第124次元 >>512第134次元 >>551第144次元 >>564
第125次元 >>520第135次元 >>552第145次元 >>565
第126次元 >>521第136次元 >>553第146次元 >>576
第127次元 >>528第137次元 >>554第147次元 >>590
第128次元 >>533第138次元 >>555第148次元 >>595
第129次元 >>534第139次元 >>556第149次元 >>608
第130次元 >>536第140次元 >>557第150次元 >>623
第151次元 >>631第161次元 >>683第171次元 >>759
第152次元 >>632第162次元 >>711第172次元 >>760
第153次元 >>633第163次元 >>719第173次元 >>762
第154次元 >>637第164次元 >>726第174次元 >>764
第155次元 >>643第165次元 >>739第175次元 >>766
第156次元 >>655第166次元 >>749第176次元 >>768
第157次元 >>659第167次元 >>753第177次元 >>769
第158次元 >>664第168次元 >>754第178次元 >>770
第159次元 >>665第169次元 >>755第179次元 >>771
第160次元 >>680第170次元 >>758第180次元 >>772
第181次元 >>773第191次元 >>788第201次元 >>813
第182次元 >>775第192次元 >>789第202次元 >>814
第183次元 >>776第193次元 >>792第203次元 >>826
第184次元 >>777第194次元 >>793第204次元 >>832
第185次元 >>778第195次元 >>794第205次元 >>835
第186次元 >>781第196次元 >>795第206次元 >>841
第187次元 >>782第197次元 >>798第207次元 >>853
第188次元 >>783第198次元 >>802第208次元 >>854
第189次元 >>784第199次元 >>803第209次元 >>855
第190次元 >>785第200次元 >>804第210次元 >>858
第211次元 >>862第221次元 >>883第231次元 >>897
第212次元 >>868第222次元 >>884第232次元 >>898
第213次元 >>873第223次元 >>888第233次元 >>901
第214次元 >>874第224次元 >>889第234次元 >>902
第215次元 >>875第225次元 >>890第235次元 >>903
第216次元 >>876第226次元 >>892第236次元 >>904
第217次元 >>877第227次元 >>893第237次元 >>905
第218次元 >>878第228次元 >>894第238次元 >>906
第219次元 >>879第229次元 >>895第239次元 >>907
第220次元 >>882第230次元 >>896第240次元 >>908
第241次元 >>909第251次元 >>929第261次元 >>955
第242次元 >>913第252次元 >>930第262次元 >>956
第243次元 >>914第253次元 >>933第263次元 >>957
第244次元 >>915第254次元 >>947第264次元 >>958
第245次元 >>916第255次元 >>948第265次元 >>959
第246次元 >>917第256次元 >>949第266次元 >>960
第247次元 >>918第257次元 >>951第267次元 >>961
第248次元 >>919第258次元 >>952第268次元 >>962
第249次元 >>921第259次元 >>953第269次元 >>963
第250次元 >>926第260次元 >>954第270次元 >>964
第271次元 >>965第281次元 >>977第291次元 >>988
第272次元 >>966第282次元 >>978第292次元 >>989
第273次元 >>967第283次元 >>979第293次元 >>990
第274次元 >>968第284次元 >>981第294次元 >>991
第275次元 >>969第285次元 >>982第295次元 >>992
第276次元 >>970第286次元 >>983第296次元 >>993
第277次元 >>973第287次元 >>984第297次元 >>994
第278次元 >>974第288次元 >>985第298次元 >>995
第279次元 >>975第289次元 >>986第299次元 >>996
第280次元 >>976第290次元 >>987第300次元 >>997
※第301次元〜は新スレにて連載予定
●おまけもの●
●資料集など
皆のプロフィール1 >>218
皆のプロフィール2 >>278
皆のプロフィール3 >>287
皆のプロフィール4 >>288
皆のプロフィール5 >>289
皆のプロフィール6 >>503
主な登場人物 >>852
さいじげテスト。 >>843
最強次元師!! について >>58
●番外編
キールアの想い >>41
メイド喫茶祭り① >>327
メイド喫茶祭り② >>331
メイド喫茶祭り③ >>341
友達の証① >>492
友達の証② >>493
友達の証③ >>494
疎外少年と次元少女① >>810
疎外少年と次元少女② >>811
疎外少年と次元少女③ >>812
蛇梅隊DE☆大集合!! >>829
E FIEDLA >>941
英雄と妖精 >>945
●外伝
第001時限 >>942
第002時限 >>943
第003時限 >>944
●キャラ絵(1人)
奏様が描いて下さったルイル >>116
奏様が描いて下さったティリ >>105
奏様が描いて下さったロク >>119
奏様が描いて下さったロク(舌出しVer.) >>185
奏様が描いて下さったロク(ポニテVer.) >>523
奏様が描いて下さったキールア >>127
奏様が描いて下さったアリル >>141
奏様が描いて下さったリリアン >>148
奏様が描いて下さったミル >>154
奏様が描いて下さったフィラ副班 >>162
奏様が描いて下さったレト >>168
奏様が描いて下さったレト(メイド服Ver.) >>329
奏様が描いて下さったガネスト >>304
奏様が描いて下さったガネスト(メイド服Ver.) >>318
奏様が描いて下さったアルア >>460
●キャラ絵(複数)
奏様が描いて下さったレト、ロク、キールア >>693
奏様が描いて下さったエン、ミル、リルダ >>737
☆奏様には毎度ご感謝しております!!
すごく似ていて、イメージ通りです
キャラの絵が分からない場合には奏様の絵を見て下されば納得します!!
これからも描き続けてほしいですね、是非とm((黙
●お知らせなど
* 2009 11/13 執筆開始
* 2013 09/01 執筆中断
* 2014 01/17 執筆再開
* 2014 10/19 別サイトにて再連載開始 >>980
* 2015 03/15 新スレ作成におけるお知らせ >>998
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- Re: 最強次元師!! ( No.965 )
- 日時: 2014/04/17 22:32
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jEYyPTNY)
第271次元 故郷へ
「今日はよく女の子を泣かせる日だな……」
「え?」
「サボコロ君だっけ? 彼の容体は?」
「はい……未だに、目を覚ましてくれなくて」
寝顔は可愛いのに。戦闘部班の隊員のいつか言っていた事を思い出す。
確かに。起きてるより寝ている方が大人しくて子供のような寝顔だった。
彼女は、不安げに彼に視線を落としていた。
「彼も無茶をするよ……全元力の制御の為に、元力の——」
「……! 知っていたんですか?」
「ん? ああ……まあ様子を見れば分かるよ。医者じゃあないけど」
(す、凄い……)
流石だと、感嘆の声は心の中で落ちた。
彼は主に元力の研究をしているとは聞いていたが、これ程とは。
体の中身を見た訳でもないのに、その症状や原因が分かってしまう。
それは決して普通の事ではなかった。
「でもよく思いついたね」
「え?」
彼は、言葉を紡いだ。
「——————元力の流れを、一時的に“止める”なんて」
彼女は、見上げていた視線を落とす。
再び、ベッド脇の椅子に腰をかけた。
「理屈では分かっていても、こんな事になるとは思いもしなくて……」
「まあ……なるよ。元力はとても繊細だからね」
「……本当に、サボコロさんに申し訳ないんです」
「元力の流れを止めるっていうのは……いわば神の意志に背く事、だからね」
「……はい……」
その罪を背負って、受けて、当然な事。
元力の流れを止めるというのは、人間が生まれて死ぬという流れを、変えてしまうのと同じ。
彼はそう続けた。
セルナも、その事については知っていた。だからあまり勧めたくはなかったのだ。
でも、彼の切実な想いに、応えてあげたくて。
セルナは自分のしてしまった罪の重たさに気付いた。
「彼はタフだと聞いた。見たところ大丈夫そうだし」
「……! 本当ですか?」
「ああ、過労もあって随分寝込んでいるみたいだけどね」
安心していいよ、とフィードラスは微笑んだ。
セルナを、心の底から安心させるような笑みだった。
彼は、無造作に手をひらひらさせて、病室から姿を消す。
瞳は、真剣なものに戻る。
(さて……本来の目的を————果たしにいくか)
蛇梅隊の、隊員達を横切って。
奥へ奥へと、彼は歩みを進めていく。
父との感動しない対面を果たし、レトヴェールは自室に戻ってきた。
暗い部屋の明かりを、ぱちりと点けた。
ベッドも机の上も本棚も、相変わらず乱れていて。
出て行ったまんまかよ、と彼はがっくりした。
ベッドに倒れ込んで、片手に持っていた“手紙”を電灯に翳した。
(差出人不明……何なんだ?)
休憩室から出て行く前に、班長に手渡されたこの手紙。
古臭い封筒には、名前はなかった。
『君達宛てに、本部に届いていたみたいなんだ』
レトは体を起こした。
封を切る。中から、和紙のようなものを取り出した。
文頭には、
『四つの空を駆ける戦士達へ、』
そう、書かれていた。
四つの空というのは英雄大四天の事を指すのだろうか、と適当に考える。
彼の視線は、その下へと移行した。
『妖精の社へ 願いを叶えましょう』
書かれていたのは、たったそれだけの事だった。
その他に記述はない。勿論、差出人名も。
妖精、その言葉に違和感を感じた。
「ロク……なわけ、ねえよな」
妙に引っかかる言葉。
“願いを叶えましょう”
レトは、部屋から出て行った。
数日後。
サボコロが目を覚ました翌日。
英雄大四天の4人は出かける準備にバタバタとしていた。
「妖精の社ってのは何処にあるんだ?」
「さあな。俺には分からん」
「俺の記憶だと……確か」
レトが幼い頃。
ロクを探しに深い丘に登っていた時の事だった。
森の奥に、小さい神社を見つけたという。
それが何なのか分からず、幼い彼は完全にスルー。
その後、それを思い出す事もなかった。
「怪しくね? それ」
「ただレイチェルにあるっていうのが気にかかってな……」
「行ってみて損はないんじゃないかな?」
「妖精って事はフェアリーだろ? そいつは当時レイチェル王国にいたらしいし」
「そうそう!」
「そうだぜーっ」
4人が休憩室でテーブルを囲んで話合っている中。
ポンポン、と2人の精霊は突然姿を現した。
「双斬、炎皇!? 急に出てくんなっていつも言ってんだろ!」
「まあまあっ」
「妖精の社っていうのは十中八九、フェアリーの神社だと思うよ」
「そうなのか?」
「ま、一番可能性は高いかもねっ」
一応、双斬と炎皇の言葉を信じて、いざレイチェルへ向かう事に。
4人は立ち上がって、部屋を後にする。
その時。
「おや……皆してお出かけかな?」
レトの表情は氷のように固まった。
もう二度と顔を合わすまいと思っていた、父親の姿が目に入る。
「こんにちわっ」
「やあキールアちゃん。君達はどこへ?」
「ちょっとレイチェルへ、行ってこようと思って」
「へえ……」
「死ね親父」
「どうしたレト、言葉のキャッチボールが一投目から剛速球になってるぞ」
「知るかよ……」
「あ、でも丁度良かった」
「?」
「ちょっとだけ、お前に用がある」
「……俺にか?」
「ああ」
レトは仕方ないと言った表情で、キールアに目配せした。
彼を置いた3人はそのまま玄関へ。
彼はというと、相変わらずの仏頂面で父親と目を合わせた。
悔しいが顔つきは自分に似ているような気もした。
「ちょっとだけ、聞きたい事があるだけさ」
「何だよ」
「ああ……——それはな」
彼は、言葉を紡ぐ。
「久しぶりに帰るなーレイチェル」
「そうだね、私もドキドキしてるっ」
「超田舎ってマジ? わりとセンターから近いのにさ」
「まあ街が隣にあるから不便でもねえよ? でも田舎」
「お前達が育った土地か……良い見物が出来そうだな」
「そういえばレト、さっきの何だったの?」
「さっきの?」
「ほら、お父……お、おじさんに呼ばれてたでしょ?」
「ああ……別に、何でもねーよ」
「そう?」
列車の中。4人の話は尽きないまま時間は過ぎていく。
レトも、柄にもなくわくわくしていた。
久しぶりに帰る故郷。誰かが待っている訳ではないが、それでも楽しみだった。
何といっても、彼の……“彼ら”の————始まりの土地だから。
「わあ……!」
「おー……いつ見ても絶景だな」
列車から、顔を出すレトとキールア。
広がるのは、緑に溢れた彼らの故郷。
花も草も木々も皆、変わらずそこにあった。
貴重な食物が豊富で、水も豊かに村を流れている。
山と森に囲まれた、澄んだ空気の吸える村。
それが、ここレイチェル村である。
「くーっ! 空気がうめえ!」
「もう帰るの、嫌になっちゃうねー」
「フェンウェルもすげえと思ったけど、ここはそれ以上だなーっ」
「うむ……文句は無い。絶景だな」
列車を降りて、一息つく一同。
さて、とレトが話を切り出す。
「その神社、行ってみるか」
「おーっ!」
「その前に家寄って良い? 私随分前から忘れ物があって」
「でも汚かったりしたらお前、掃除したいとか言い出すじゃん」
「えーっ、い、言わないからっ」
「ダメです」
「ケチだなあ……」
「帰りにしよう、な?」
「分かったよ」
サボコロもエンも、2人は相変わらずだな、と気持ちを和やかにする。
然し。
「お前らホント夫婦みたいだよな」
何の嫌がらせか、サボコロからの悪意のない爆弾発言が投下。
レトは、迷いもせずに彼の腹に一発深いものを入れる。
「いっでっ!! てっめレト何す……っ」
「100発耐久逝ってみようか?」
「おま、こえーよ!! 表現がこえーから!!」
「聞こえねーな」
「ごめんなさい許してマジで!!」
どさっと倒れるサボコロを、レトは担いで歩き出した。
レトサボコロも何だかんだで仲が良い。
キールアとエンは半分呆れ顔で、レトの後を追った。
「この辺の獣道だったかな……」
「本当にこんな所、1人で登ったのか?」
「1人じゃねーよ?」
「は?」
「私も一緒だったんだよ、ね? レト」
「おう」
「やっぱり夫————ってはいはいごめんなさい!!」
「貴様は一言多いのではないか?」
「お前もこの間までこっちの人間だったよな……」
「幻覚だろう」
「幻覚だな」
「幻覚ね」
「こいつら……っ」
サボコロは思う。今自分の見方は何処にもいないと。
至極納得がいかない彼を連れ、4人は深い林の中へ。
獣道は続く。鬱蒼とした碧い景色ばかりが空にまで広がっていた。
低い草本を掻き分けて、ずんずんと進むこと15分。
先頭を歩いていたレトが急に足を止めた。
「どうしたの?」
「……見つけた」
「何?」
「あ! もしかしてあれか!?」
サボコロが指で指し示す。
重なる草木の向こう側には、陽射しを受けた低い建物が見えた。
草原の中でぽつり。“神社”のようなそれは静かに佇んでいた。
「すっげ……」
「神秘的っていうか……古い? のかなぁ」
「懐かしいなあ、あの時と何も変わってねえ」
「! ……待て! 誰かの気配がするぞ!!」
エンの声に、息を呑む一同。
さらさらと揺れる景色に、人影は見えない。
神社の周りを見ていたレトが、不意に神社の方へ視線を戻した時だった。
彼女の声は、響いた。
「こんにちは……——ようこそ、妖精の社へ」
この世のものとは思えない声色。
鈴を転がしたようとは、まるでこの事であると。
思い知らされる。改めて、確認させられる。
妖精は、笑う。
- Re: 最強次元師!! ( No.966 )
- 日時: 2014/05/06 11:15
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jEYyPTNY)
第272次元 扉を、開け
その女性は、とても綺麗な顔立ちをしていた。
仄かに紅潮した頬。天使のような、透き通る程の白い肌。
長い睫が、ぱっちりと開く。奥の瞳は怪しく緑に光った。
腰まで流れる深緑の髪が、風と戯れて揺れる。
4人は、その美しさに息を呑んだ。
「え、と……」
思わず言葉が濁った。
何て声に出せば良いのか、何を言ったら良いのか。
一瞬で思考回路を狂わされたレトは、変な汗を掻いた。
「ふふ……相変わらず可愛いのね。髪の毛は伸ばしちゃったの?」
「へっ?」
「あら……記憶にないの? まあお互い久しぶりだから、よく分からないわね」
彼女は何を言っているのだろう。
まるで以前会った事があるかのような口ぶりに、レトは戸惑った。
「お、俺……あんたに会うのは初めて、だけど……」
「……え? ……あ、ああ! ごめんなさい、そうだったわねっ」
「何だ? この人……」
「さあ……」
「じゃあもう一度、自己紹介ね————初めまして、フェアリー・ロックです」
フェアリー・ロック、と。彼女はそう名乗った。
千年前に生きた神、妖精を名として持つ彼女は、微笑みを繰り返す。
史上最美の女性とも謳われる理由が、やっと今分かったような気がした。
間違いはない。彼女は本物のフェアリー・ロックだ。
「貴方達をここへ呼んだのは……少しお話があって」
「話? それならあの時手紙で……」
「いいえ、それではいけないの……——私と共に、ついてきてくれる?」
さらりと揺れた髪は、翻った。
彼女は神社の前まで来て、両手を合わせた。
自分が、死んだ後に建てられたもの。
大きな瞳を、ゆっくりと、開いた。
「フェアリーはとうの昔に死んだのではなかったのか……?」
「そうだと思ったけど……」
「とりあえず、ついていってみようぜ」
彼女は振り返る。
まだ幼い戦士達を、その目に焼き付けた。
懐かしい。懐かしい。何度も思った言葉。
また逢えて、良かったと。
彼女の声は、胸の中で響いた。
「準備は宜しいかしら?」
「おう」
「それじゃあ……レト君」
「……?」
「願いを————叶えに行きましょうか」
“願いを叶えましょう”
たった一文だった。
その言葉を、信じない訳にもいかなかった。
彼は、頷いた。
「————————“有次元の扉”、発動」
魔法の呪文。
彼女の唇から溢れ出た言葉が、彼らを巻き込んだ。
「————!?」
「ちょ、な——!!」
時空を巻いた風が渦を巻いた。
神社の向こう側に、引き寄せられるように。
無理やり、連れ込まれるように。
彼らの体は——浮いた。
「うわああああ——!!」
目を瞑った。体が気持ち悪いくらいに、ぐるぐると回った。
意識は、その時失せた。
きっと、眠っていたのだと思う。
暗い瞼に光が差す。内側にも、そっと熱は注がれた。
重たい瞼を開けると、ぼんやりと滲んだ景色。
レトは、頭に手を添えた。
(ここ……)
フェアリー・ロックの意思に従ったまま、彼は何かに巻き込まれてしまった。
台風のような、時空の歪みのような、何かに。
最後に彼女が、笑った顔が忘れられなかった。
地面に尻をついたまま、辺りを見回してみた。
「おはよう……——起きた?」
綺麗な声。耳に差す声は、レトの脳髄に、叩き込まれる。
艶やかな黄緑の髪は、川のように景色に流れた。
「……ろ……——ロク?」
彼は咄嗟に振り返った。
頭にズキッ、という衝撃を抱えて、一瞬だけ目を瞑った。
そして。
「大丈夫? ——レト君?」
今度は、違う声だった。
はっとして前を見ると、そこにロクはいなかった。
大人びた、緑の女性が自分を見下ろしている。
「やっと見つけた……探したのよ?」
「え、い……今、ロクが……」
「? ロクちゃん? ……彼女は、いないみたいだけど」
「そう、ですか……」
フェアリーと似ているようで、似てない彼女。
多分見間違えたのだろうと、頭をぶるっと震わせた。
改めて、自分の瞳に、景色が入り込んでくる。
「ようこそ、“神の世界”————“有次元”へ」
自然に囲まれた土地。
ここは森だろうか。元いた場所とあまり変わらないが、とても美しい情景だった。
緑、黄緑、碧、と色鮮やかな色彩が散りばめられていて、幾重にも重なっていた。
広くて厚い青の空。雲もある。鳥も浮かんでいる。
赤や橙といった果物も、木の葉に乗って揺れていた。
美味しい空気を、吸い込む。
「すっげ……」
「有次元の自然は、グリンが担当しているから当然よ」
「ぐ、グリンって……」
「自然の神【GRIN】……覚えているでしょう?」
「まあ……」
「皆が待っているわ、行きましょう」
皆、という事は他の3人も飛ばされてきたのか。
レトは不思議な景色に目を奪われたまま、フェアリーについていく。
ぼやけた景色の向こう側にいた、ロクが忘れられなかった。
折角また、逢えたのにと。
夢のような、幻のような、そんな儚い出会いを、繰り返す。
歩いて10分もなかった。
森を抜けて大きな石が地面に埋め込まれた、広い土地に出る。
そこにあったのは、天高く聳え立つ、神殿のような建物。
建物全体は金で装飾され、雲に覆われ天辺は見えない。
今まで任務先で大きな豪邸を幾つも目にしてきた彼ら。
然しそれが霞んで見える程の広大さを誇っていた。
一歩、神殿に近づくレト。
何かに引き止められるように、心臓はドクドクと鼓動を刻む。
今までにないくらい、緊張が彼の中を走った。
手足が痺れるような感覚が、一歩一歩確実に大きくなっていく。
怖いのに、進みたい。
進みたいのに、怖い。
レトは、息を吸った。
「あ……レトー!」
「おっ」
「やっと来たか……」
神殿の前にいたのは、キールア、サボコロ、エンの3人だった。
どうやら先についていたらしい。
変わりない笑顔で、レトを迎えた。
「お前ら、先に着いてたのか」
「レトだけ見つからなかったから、フェアリーさんが探しに行ったんだよ」
「それより早く中入ろうぜ! なんかわくわくしちまってよ」
「ガキか、貴様」
「良いだろ別にっ。ほらほらっ!」
サボコロに促されて、フェアリーを含めた5人は宮殿の中へ。
暗い道がずっと続いていた。
ただ松明がその道を照らして、ぼうっと明るい。
靴の音だけが綺麗に反響する中、大きな階段を上る。
上って、上って、飽きる程階段の景色は続いていく。
「ま、まだ上んの……?」
「ええ、あと、ちょっと」
数分がたった。脚が震えるのを、4人共感じていた。
痺れきって、感覚を失った脚が、漸く動きを止めた。
4人は、息を止めた。
「と、びら……——?」
レトの口から自然に漏れた言葉に、誰もが共感しただろう。
大きな扉。金で装飾されている。
神殿に入る前の、何とない気持ち悪さが、もう一度湧き上がってきた。
「さあ……レト君」
「……お、俺?」
「この先に、“神の創始者”が————貴方達を待っているわ」
神の創始者。
名前など聞かなくとも、容易に頭に浮かんできた。
神を生み出した、人間にとって本当の悪の元凶————“マザー”。
「マザーが……この先に……」
「本来この先に入る事ができるのは、神族だけなの。人間には、1秒もいられない程苦痛の部屋」
「じゃあどうやって……!」
「神の力を、借りれば良いのよ」
フェアリーは笑った。
彼女の力を、借りて良いという事だろうか。
レトは勝手に推測する。
「じゃあフェアリーさんの……」
「私は無理よ。年寄だもの」
「はあ!?」
「貴方の傍にも、もう一人、いるでしょう?」
どの神族も、考えたって当てはまらなかった。
彼女しかいない。
でも彼女は今、傍にはいない。
「でもあいつは……!」
「あら? 貴方のその胸の中に——いると思っていたけど?」
松明の炎が、左右に揺れた。
「え……」
「因みに、比喩表現とか、使ってないからね」
物理的に、よ。
彼女の笑みに含まれた感情が、読み取れなかった。
然し、レトは、気付いた。
ああ、そういう意味かと。
彼は胸元から、鍵のペンダントを取り出した。
「あ、それ……っ」
酷い雨が降る朝だった。
このペンダントを眺める度に、あの日の記憶が蘇る。
泣いた。息を何度も殺して。
沢山泣いて、それでもちっとも、嫌いになれなくて。
大事な人を失う、寂しさを知った、そんな朝だった。
ペンダントは重力に逆らって、ふわりと自ら——浮いた。
「……——!」
扉は、古臭い音を立てて、その先の景色を映し出し始めた。
暗闇だけが、視界に入ってくる。
- Re: 最強次元師!! ( No.967 )
- 日時: 2014/04/20 10:34
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jEYyPTNY)
第273次元 神様の前の神様
ガタン。その音で、扉は完全に開ききった。
暗闇がレトヴェール達を呑み込むように、または引き摺り込むように。
ただ目の前に、広がるばかりであった。
彼は踏み出した。迷いはしなかった。
闇に、呑まれていく。
(マザーに……会える)
その一心であった。レトは目を細める。
ぴくっと眉を動かした時、自然に足は止まった。
その先に進むな、と、全身が叫ぶようだった。
続いて4人も足を止めた。
「マザー——————連れて参りました」
瞬間、明かりは灯った。
何かの周りを囲うように、ぼぼぼっと、炎は音を立てる。
初めに見えたのは、カーテンのような薄い布だった。
ひらひらと波打つそれが、幾重にも重なって段を織り成す。
白い布の塊が、蠢いたような気がした。
振り返る。
「え……——」
白い腕。細い脚と、影。
ドレスのような、カーテンのような、透明な衣服に身を包んでいた。
顔の上半分は包帯のようなもので覆われ、柔らかそうな桃色の唇は、微笑んだ。
その姿は、まるで人間のようだった。
「マザー……って……」
「人間……そっくり……」
「当然よ。……私達神族も、人間の形をしているでしょう?」
「そうだけど……」
「……これは、驚いたな」
「私達神族の母よ……相応しいお姿でしょう?」
フェアリーの外見は、人間らしくも艶やかで、美しかった。
然し、マザーと呼ばれた彼女は、何か違う。
人間らしい外見でありながら、人間ではないと、直感的に分かる。
白すぎる肌。細い体躯。若々しく、瑞々しい体。
まるで枯れを知らない、花のようだと思った。
(……——“英雄大四天”の、英雄達よ)
心に直接声が届くようだった。
声は波となって、体全体にじわりと滲んでいく。
高い声。低い声。可愛らしい声。男らしい声。
その全てが混じり合って、“彼女”は語る。
「今、声が……っ」
「……」
(私の名前は【MOTHER】……————神を生み出す者)
「嘘は、つかないみたいだな」
(聞きたい事があるのでしょう? ……レトヴェール・エポール)
貴殿の願いも叶えましょう。マザーの口調は、とてもゆっくりだった。
神族を生み出し、人間を脅かす存在。
その体は変わらず、レト達の中で疑問も幾つか浮き出ている。
聞きたい事があるというのに、嘘はなかった。
「悪いけど……願いっていうの、後回しにできねえの?」
「……!?」
「レト!?」
「今俺には叶えたいものはないんだ。人類が救われたら、ゆっくり考えて良いか?」
正直な意見だった。マザーも、その言葉に違和感は感じなかった。
彼女は、笑う。
(ふ……ふふ……面白い少年……)
(……! マザーが……笑った……?)
珍しい事もあるものだと、フェアリーは思う。
なかなか感情を表に出さないマザーが、口元を緩ませて、笑っていた。
その表情は、あまりに綺麗すぎた。
(良いでしょう……では、貴方の疑問に、応えましょう……貴方の、力になりたいの)
レトは、マザーと向き合う。
一歩、足を踏み出して。
足元を照らす炎は、揺れる。
「何で……神族を、生み出した?」
声は自然と震えなかった。
怯えもなかった。
ただ一番聞きたかった事を、喉を通して声にした。
(それは……人間を、護る為よ)
「その神族が今、人間にどんな影響を及ぼしていると思う?」
(分かっています……あの子達は、今、人間を憎んでいる)
「護るはずの存在を、脅かしてるのは何でだ?」
(“あの子”が……——人間に捨てられてしまったから)
「あの、子……?」
「レト君……話が長くなると思うけれど、聞いてくれるかしら?」
「え?」
「それとも、神様の事なんて……知りたくはないかしら」
「……どんな事でも、俺は知りたい。その為にここまで来たんだ」
「そう……では語りましょう。私達神族が生まれて、生きて、今に至るまでの——時の流れを」
それは、千年も前の話。
フェアリーは、少しだけ、苦しそうに微笑んだ。
彼はこの時漸く知る。
神の全貌を、生まれ生きる意味を。
存在する、理由を。
「神族、今の私達が生まれたのは……“初めの神族”が生まれてから随分後だった」
「初めの……神族……?」
「そう、それが——————“五大守護神”」
神族の先祖に当たる存在だと彼女は言う。
聞き慣れないものの存在に、レト含める英雄一同は騒然。
「神族だけを生み出したんじゃ……!」
「いいえ……マザーは、実にたくさんの“子供達”を、この世に生み落としているわ」
神族が生まれる前。
マザーが初めに生み出したのは、“五大守護神”と呼ばれる神様だった。
レトヴェール達も、良く知っている人物よ、と笑った。
フェアリーの言葉に、彼らは驚きを隠せなかった。
「“メルギース”と“ドルギース”——————彼女らはマザーの生み出した“神様”なのよ」
メルギースと、ドルギース。
フェンウェルという国で出会った、天使と悪魔のような姿を持つ双子の姉妹。
その昔、メルドルギース大国で王女として生まれた2人は、数奇な運命を辿る。
その経緯は、レト達も知っていた。
「え、でも……確かメドルル・ギースっていう女王が生んだ、って……」
「そうね。マザーの子を、そのメドルル女王が自分のお腹に宿してしまった、が正解かしら」
「へ?」
(神族は……必ずしも私の中から生まれてくるとは限らないの……)
「時として、人間の体を借りて生まれてくる事があるって事ね」
「そうだったのか……」
「でもそのせいもあって、“不具合”が起きてしまった……マザーは、2人を1人として生むつもりだったの」
「1人として……?」
「2人とも、背中に片方だけ翼があるでしょう? それが大きな証拠なの」
4人の守護神を、マザーは生み出した。
1人目は、“善”のメルギースと“不”のドルギース。2人を一つに合わせた“ホイズン”。
2人目は、世界事情を記録できるように生まれた記憶の神“メモラ”。
3人目は、どんな厄災からも人間を護る、盾の神“シルド”。
4人目は、時代と時間。全ての時を管理する時の神“リミト”。
「レト君、貴方は全ての守護神達と出会っている————って言ったらどうする?」
フェアリーの目が、レトに向いた。
整った顔立ちが今、はっきりとレトの景色を照らす。
「え……っ」
「時の神“リミト”……時を操る彼女は、己が神だと気付かずに死んでしまった」
思い当たる節はあった。時を操るという言葉に、そんな次元の力に、聞き覚えがあった。
たった一瞬しか見る事ができなかったが、確かに彼は知っている。
キールアとサボコロとエンは、首を傾げた。
「……あ、アルア……——?」
真っ白い髪の毛に、赤い瞳。
民族衣装に身を包んだ、次元師だったはず。
何故、と表情を陰らせていると、フェアリーは続けた。
「そう。彼女は生きている途中でメモラに記憶を操作されて、自分を次元師だと勘違いしていたのよ」
「そんな……事って……」
「時を操れる次元技だなんて、考えてみれば、無敵でしょ?」
「……そうだけど」
「それじゃあ、盾の神“シルド”は? 覚えているでしょう?」
「さあ……うーん……」
記憶を思い返そうとするレトの姿勢に、フェアリーはくすっと笑う。
真っ直ぐ前を向いて、そっと花咲くように口を開いた。
「……シルドはきっと、思い出せると思うわ」
「……?」
「彼だけ唯一……人間の姿をしていなかったもの」
優しい眼差しだった。
まるで、良い思い出でもあったかのような。
レトは、あっと、気が付いた。
「セルガドウラ……————っ?」
ロクとの両次元を初めて成功させた、洞窟の中。
棺に入っていた水色の怪物の姿を、今でも鮮明に覚えている。
フェアリーとロクを重ねていた彼は、静かに眠りについた。
フェアリーは正解よ、と言って笑う。
「おいおいレトばっかり知り合いかよ……」
「そうだな。俺達が入隊する前の話のようだ」
「……セルガドウラも、神様……」
フェアリーが、優しく優しく、接してたのは。
セルガドウラも自分と同じ、神様だったから。
今になって漸く意味が分かっていく。
「じゃあ最後の、メモラって奴は?」
「それは……自分で知った方が良いかもしれないわね」
「どういう意味だ?」
「でも必ず貴方は彼を知っている。だから敢えて、何も言わないでおくわ」
まあいいか。いずれ分かるだろう。
レトは考えるのをやめた。
ただでさえセルガドウラもアルアもかなり昔に出会っている。
もう1人、思い出すには辛いものがあると感じたのだ。
ただ、とても数奇な運命の巡り合わせだと、自分でも思う。
自分の周りはもしかして神で溢れ返っているのでは、と。
妙に気色悪い話だと、彼は苦笑を零した。
- Re: 最強次元師!! ( No.968 )
- 日時: 2014/04/23 23:58
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jEYyPTNY)
- 参照: 同時更新!
第274次元 運命を背負う少年達
(レトヴェールは……本当に不思議な少年、ね……)
「そんな……偶然だろ」
「運命だったら、恐ろしいわね」
運命。
レトもロクも、大嫌いだった言葉。
フェアリーは話を元に戻した。
「メルとドルは、生まれてから数年後に命を落としてしまったのを知ってるでしょう?」
「ああ……双斬に、教えてもらってな」
「シルドも何者かに封印されてしまったし、神様はメモラとリミトだけになった」
「5人もいたのに……一斉に?」
「そうよ。マザーは、そうして私達“神族”を生み出したの」
五大守護神は減ってしまった。
作為的に、事故的に。
そうしてマザーは考えた。
失われない、永遠の命を持つ“神族”を、生み出そうと。
「見て分かるかしら? マザーには————“五感”がないの」
「えっ?」
「五感を一つ一つ失って、そうして神族を————5人生み出した」
触覚を、ゴッドに。
視覚を、デスニーに。
嗅覚を、アニルに。
聴覚を、グリンに。
味覚を、ワルドに。
自分を削って、自分の体の一部として、神族を生み出した。
全てを失った彼女に残されたのは、心と元力だけだった。
マザーの口元は、笑った。
(ただ……また問題が起きて……神族は、人間を恨むようになってしまった……)
「問題? 人間が、神族に何かをしたのか?」
「……そうね。正確には、ゴッドがだけど」
千年前、ゴッドは生まれてから、人間を護る事に決めた。
然しその念を、見事に人間に打ち破られる。
当時人間は神様というものを信じなかった。
異質の存在として、神族を迫害した。
それが、神が人を憎む、最大の理由だった。
護ると決めた人間が、自分達の体に爪を立てた。
それだけで、神は深く深く、傷ついた。
「そんな……」
「神族は人間を殺し始めたの。ゴッドはマザーに止められて、能力は使えなかった」
「じゃあゴッドが他の神族に命令したってのか?」
「そうね……彼は神の司令塔だから。逆らう神族も……いなかったと思うわ」
「……」
(世界は破滅へと、ゆっくり向かっていった……だから私は……“フェリー”を生んだの……)
心の神が、フェリーが、やっとここで出てきた。
神族を止める為に、穏やかな心を持った神が、必要だったのだ。
「マザーが私を生む時は、マザーの“声”を犠牲にしたの」
「声、か……納得いくような気もするな」
「それと、同時にね」
「?」
「————貴方達“次元師”も、一緒に生み出した」
レトも、他の3人も。
息が止まるようだった。
神だけではない。
神に対抗する“力”を人間達に与えたのも、マザーだったというのだ。
全ては、暴走した神を、止める為に。
「そんな……」
「神族も、五大守護神も、皆元力を持っているのを知っているかしら?」
(フェリーを生んで……元力を、人間に与える事で、神に……子供たちに、対抗して欲しかった)
「マザー……」
「今のマザーには殆ど元力がないの。心だけで、千年間もずっと、生きている」
この世界が生まれた時。
マザーは、世界と共に生まれてきた。
人間はいない。プランクトンや植物で溢れ返っていた世界の中で。
彼女は元力という、無限の力を持って存在していた。
人間達が生まれ、争い合わないように。
護ろうと思って、神を生み出した。でも、できなかった。
自分の子供の躾もできないなんて。彼女は言った。
泣くはずもないのに、心は泣いているようだった。
(随分と、図々しい事は分かっています……でも、この世界を……護って欲しいの)
「……」
(私は、貴方達に力を貸したい……どんな事でも、答えてあげたいの)
「じゃあさ、マザー……一つだけ聞いて良いか?」
(ええ……何かしら?)
「神族って、コアを壊す以外に倒す方法はないのか?」
一瞬の、間。
マザーは暗い視界の先にいるであろうレトを、見透かすように口を開く。
(そうね……今のところは)
「そうか。ありがとな、それだけで十分だ」
(何かあれば……また話を聞きましょう……といっても、フェアリーを通じて……だけれど)
「ああ、頼むよ」
(貴方達が、胸に抱くのは……“無限の可能性”……信じて、貫いて……——生きて)
マザーの声は、4人の心に真っ直ぐ手を伸ばしたかのような暖かさだった。
出会いはバラバラだった。上手くいかない日もあった。
それでも英雄として今、ここに立っているのは。
お互いのお陰であり、元力をその身に与えたマザー自身のお陰でもある。
彼らは視線を逸らさなかった。
随分と成長した4人に、フェアリーは笑いかけた。
「おう」
「ありがとうございますっ」
「よっしゃ!! なんかやる気出てきたなっ!」
「……神のご加護も、悪くはなさそうだ」
無邪気な笑顔は強さに変わるだろうか。
真っ直ぐな目をした少年達が、今後の世界を、創るのだろうか。
少年達の姿は見えない。だけどその心は、しっかりと伝わってきた。
彼らの中に、正義を持たない次元師はいない。
それが分かっただけでも良かったと、マザーは思う。
「それではマザー。私はもう少し彼らに話が御座いますので」
(そうね……——レトヴェール)
「? 俺に何か?」
(貴方は少し、残って下さい……最後に伝えたい事が)
「……分かりました」
「じゃあ先に行ってるね、レト」
「またあとでなーっ」
「神殿の前で落ち合おう」
キールアとサボコロとエンが、踵を返した。
3人で並んで、和気藹々と来た道を帰る。
その後ろ姿が消えるのを確認して、レトも振り返った。
「それで……俺に伝えたい事、って?」
一人になったレトの声は、この暗闇の中でよく響いた。。
音がマザーに伝わった時、彼女は見えてもいないレトへ向けて言葉を放つ。
(……レトヴェール……貴方は、自分の運命を……——知りたいと思いますか)
彼女の声色が、その響き方が、変わった。
心にそっと注がれる水のような声。
凛とした響きは、胸の中で反響する。
「……運命?」
(……キールア・シーホリー……彼女は近いうち必ず、人生最大の運命とぶつかる)
「……!!」
(その時、貴方は諦めないで……彼女を支えてあげられますか……?)
「当たり前だろ……もうとっくに決めてるよ」
(そう……——良かった……)
マザーは顔をあげた。
包帯の裏にある表情は、読み取れないまま。
彼はまだ知らなかった。
背負う運命が、未来を大きく変える運命が今、語られようとしているのを。
(レトヴェール……貴方は、いつか大きな“扉”の前に……立つ……)
「と、扉……?」
(その近くには……————フェリーも、いる……)
「!? ……ロクも!?」
(……世界の運命を、未来を……変える為に、扉を開こうとするでしょう……)
でも、と。
マザーは言葉を紡ぎ続ける。
(貴方達のどちらかは……それを拒んでしまう……)
世界の運命を左右する場面に、出くわしてしまうと言った。
そしてレトかロクのどちらかは、それを諦めて、拒んでしまうと。
レトの口から、声は出なかった。出せなかった。
(どちらも、幸せな世界を……望んでいる……でも、諦めてしまう……)
「どうして……!?」
(それは分からないの……ごめんなさい……でも貴方は、貴方だけは……——どうか諦めないで)
レトは知っている。
ロクは、そういう場面で諦めるような奴ではないと。
自分の身を滅ぼしても、世界を救うような奴だと。
諦めるとしたら。悔しいけれど……それは自分だ。
未来の自分に、レトは腹を立ててしまった。
「諦めねえよ……絶対」
(その言葉を聞けただけで、良かった……ありがとう)
「絶対、何があっても————諦めたりしない!!」
(力強い言葉、ね……時間を取らせてごめんなさい……もう、行っていい……)
「おう。……話し難い事だったのに、話してくれて俺も嬉しかったよ」
レトは一瞬ちらっとだけ、振り返る。
マザー。
神の創始者。神族を生み出した者。
初めはそんなイメージばかりがレトの脳内にあった。
然し実際に話してみると、とても人間くさくて優しい、本当の母のようだった。
昔の事を、思い出した。
母はもういない。でももし今も生きていたら、あんな感じだったろうと。
心の中を、暖かい水が満たしていく。
- Re: 最強次元師!! ( No.969 )
- 日時: 2014/04/24 00:10
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jEYyPTNY)
- 参照: 『今日という日が終わる前に、』——本日生誕。
第275次元 重なる妖精
(……)
神の創始者、マザーはまた一人ぼっちになる。
炎は、風もないこの場所で自然に消えた。
(ごめんなさい……——私は、結局子供が大事なだけの母親……ね)
流れる筈のない涙。溢れる筈のない声。
彼に、全てを話す訳にはいかないと思ったのが、心苦しくて仕方ない。
フェアリーに気付かれていないと良いけど。マザーの胸は無性にざわめいた。
その時。
彼女は、ある気配を感じる。
そっと振り返った。
この心は、と。
「————ありがとう、マザー。あたしなんかの為に」
黄緑の髪を、さらっと揺らした。
彼女の表情は見えない。暗い部屋に、ただ明るい声だけが、響いて消えた。
人間の母が正しく持っている、慈愛を感じた。
マザーが何故か他人のように思えなくて、レトは照れ臭い気持ちになった。
扉を開けて出たところで、レトはまた驚いた。
どうやらレトの事を待っていたようで、フェアリー・ロックは壁から背を離す。
「優しい人だったでしょう?」
「ああ……拍子抜けしたよ」
「でしょうね……私も初めてお会いした時、思ったわ」
実はレトにはまだ、聞くに聞けない疑問があった。
マザーには悟られていたかもしれない。
然し、直接本人に聞くのが良いと思って、言い出せなかった。
長い長い階段を下る。
考え事をしていた彼は、フェアリーが足を止めた事に気付き自身も歩みを止めた。
彼女は振り返る。
「私に……聞きたい事がありそうね?」
流石、心の神を千年もやっているだけはある。
レトは心の内を見透かされていた事を誤魔化すように髪を掻き上げた。
目つきは、真剣なものへ。
「フェアリーさん……————あんた、何で生きてんだよ」
千年も前、彼女は人間への反逆罪に問われ、人間に滅ぼされた筈の存在だった。
十字架刑に処され、跡地には何も残らなかったとも語られている。
紙上でしか彼女の歴史を知らないレトにとっては、一番聞きたい事でもあった。
「そうね……色々疑問はあると思うけれど……」
「……」
「その話は、残りの英雄達にもしてあげないと……ね?」
フェアリーは前へ向き直って、また階段を下っていった。
優しいだけではない彼女の表情は、一瞬にしてレトの心を凍らせるようで。
心の神というのは、人の心を動かすに長けているな、と。レトも思って、歩みだした。
階段は終わった。淡く照らされた景色の先に、扉。
手をかけて、開いた先に、英雄達がぱっと表情を明るくする。
「レトーっ! 遅かったなっ」
「そうか? 話自体は短かったけど」
「まああの部屋から外までは道のり長いもんねー」
「うむ」
キールアとサボコロ、エンはレトとフェアリーの帰りを立って待っていた。
3人はレトのいる方へゆっくりと歩み寄る。
「さて、マザーにも会った事だし……貴方達には来てほしいところがあるの」
「今から?」
「そうよ。私の小屋にね」
こっちよ。フェアリーの後についていくように4人は続く。
碧い森の中を、物珍しい目で眺めながら歩く。
何処に太陽があるのだろうと、レトは首を回す。
黒い点を見つけた。空に浮かんだそれは丸い形でそこにあった。
ブラックホールか何かのようにも見えたが、それは違うと冷静になる。
第一太陽がないとこの世界は明るくならないだろう。
神を創ったマザーがいるのだ。きっとマザー自作の太陽なのだろう。
スケールの大きな疑問だと思った。
「ここよ」
草を掻き分けて見えたのは、木材で出来た小さな家だった。
屋根もある。横に広い。周りには草と花しかない。
然し中自体は意外に広そうだ。
「へえ……ここで一人暮らし?」
「そう。ここはとっても静かなの」
「そういえば神族って皆あの神殿で暮らしてるんじゃないの?」
「そんなまさかっ。……アニルやグリンは外で寝て過ごしていたわ」
「各々、お互いに関わろうとはしなかったと?」
「そうね……皆血は繋がっているけど、心は離れ離れだから」
悲しそうな瞳だった。
普通なら、母がいて、生まれて、家族のような存在なのに。
心は千年経った今でも、離れたままで。
決してお互いを分かり合おうとしない。他人のようだった。
「そんな事より! 早速、貴方達を呼んだ“もう一つの理由”について……」
「……ちょっと待った」
「あら? 何かしら?」
「さっきの話……続きが聞きたいんだけど」
フェアリーはまたくすりと微笑んで、せっかちな少年だと心の中でそっと呟いた。
そんなところまで“彼”に似ているものだと重ねて思い。
彼女は、分かったとただ一言添えて、指差した。
「それじゃあ家に入りましょう。外で話してもなんだしね」
フェアリーに促された英雄の一同は、フェアリーの住む家の中へ。
木造建築で、中は広い。必要最低限のものが取り揃えられていた。
台所やフルーツの入った籠もあり、テーブルには花を生けた花瓶も。
白いレースのテーブルクロスの上に、紅茶を淹れたカップを乗せていく。
冷めないうちにどうぞ、なんて、彼女は楽しげに微笑んだ。
「雰囲気が素敵……」
「気に入ってくれたかしら?」
「はいっ」
「なんか古風だよな……木造だし」
「千年前の家をモチーフにしているの」
「なるほどな」
小屋に足を踏み入れてから、一言も言葉を発さないレト。
彼を見るなり、話す時が来たか、とフェアリーは紅茶のカップを置いた。
「さっき、神殿の前でレト君に聞かれた事があるの」
「へ? レトが?」
「ええ……————“何故私が生きているのか”とね」
知識欲の深い彼なら、絶対に追求してくると分かっていた。
彼女は、語り始める。
「貴方達も気になっていたと思うの……だから、順を追って話すわね」
それは、千年も前の話。
神族の暴走を止める為に生まれたフェアリーは、人間に神だと気付かれないよう名前を変えた。
それがフェアリー・ロック。
美しい容姿、麗しい歌声。そしてどの宝玉にも勝る透き通った心。
その全てが、人間達の心を強く惹きつけ、誰もがフェアリーを愛するようになった。
当時のレイチェル王国の王子、ポプラ・エポールという英雄に出会い恋に落ち。
沢山の人と関わり合いながら、その時はやってくる。
大切な人も、数え切れない程失った。
大切な人の涙を、数え切れない程見てきた。
死んでいく人間達の山を越える以外に、前に進む道はなかった。
それが正に当時の戦国時代を飾る言葉だったろう。
何度も何度も戦争は繰り返され、人々は命を失い続けた。
そうして時は来た。神族が、次元師を含む人間達を一斉に襲撃する日が。
0032年12月25日————第一次神人世界大戦勃発。
「それが……最初の戦争……」
「ええ……80人余りの次元師は、そこで全員命を落としてしまったの」
勿論、英雄大六師も、全員と。
千年も昔の話を、景色を、彼女は未だに覚えている。それも鮮明に。
次元師は全員命を落とした。神族が、生き残った。
これが神と人の差なんだと、フェアリーは絶望とともにそれを知った。
約1週間後、彼女は人間の手により十字架刑で公開処刑をされ、世間的に死亡した。
「……世間的に?」
「私にはその時、殆ど元力が残ってなかったの……だからマザーは、私を引き戻した」
弱り切り、死に際だったフェアリーを有次元に引き戻したと言った。
そんな事ができるのは、マザーだけだと。
引き戻されたフェアリーにはもう、生きる気力はなく。
その後何十年も、何百年も、神殿の一室に引きこもっていたのだとか。
「だから今もまだ私は生きている……あの時、死んだことに、されただけで」
「じゃあ何で……何であいつは……」
「分かるわ……その気持ち。でもごめんなさい……それは私にも、マザーにも分からなかったの」
「? な、何の事だ?」
「知りたかったのでしょう? ————“それなら何故ロクアンズは生まれてきたのだ”と」
「「「!!?」」」
同じ神族が重複して存在する事はあり得ない。
何故なら一つの神につき一つの能力。そして命であったから。
それではロクアンズは何故妖精として生まれてきたのか。
何故神章をその身に刻んで生まれてきたのか。
彼女は、神族から見ても“異質”の神であった。
「あり得ないのよ……私の他に、【FERRY】がいるなんて事」
「じゃあフェアリーさんにも分からないのか?」
「……知っていたら、こんなに悩まないわ」
「だろうな」
「彼女は人間から生まれた可能性も高い……それかと思ったけど、そうだとしてもあり得ないの」
「神族が双子として生まれてくる事は?」
「ないわ。私達は元々一つの個体として、転生を繰り返すから……」
ロクが、この世に生まれてきた理由とは何なのだろうと。
彼女以外に妖精は生きていて、それでも尚その名を背負って彼女は生まれてきた。
見間違えるはずもなかった。
彼女の項に浮き出した神の印を。彼女の閉じた右目に刻まれている神の証を。
謎はただ、謎を深めるだけだった。
レトは、幼い頃のロクの無邪気な笑顔を思い出した。
何も知らなかった頃が懐かしいと。
今でも思う。そう、感じた。
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