コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 最強次元師!!【※新スレ作成におけるお知らせ有り】
- 日時: 2015/03/15 09:40
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n5050ci/
運命に抗う、義兄妹の戦記。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
基本毎週日曜日に更新!
※追記
実は、本作を一から書き直そうと思いまして別サイト様にて“完全版”を再連載し始めました。
やりたい話が多くて一度断念してましたが、やっぱり優先しようと思ってもう一度記載致します。
ご興味のある方はどうぞ! 上記のURLで飛べます*
とってものんびりと、更新する予定です。
Twitterの垢をつくってみました→@shiroito04
イラストとか宣伝とかを呟いてます!
※注意事項
・荒らし・中傷はお控え下さい。
・チェンメなんかもお断りしてます。
●目次
prologue >>001
第001次元 >>002第011次元 >>012第021次元 >>048
第002次元 >>003第012次元 >>013第022次元 >>050
第003次元 >>004第013次元 >>019第023次元 >>052
第004次元 >>005第014次元 >>020第024次元 >>055
第005次元 >>006第015次元 >>021第025次元 >>059
第006次元 >>007第016次元 >>025第026次元 >>060
第007次元 >>008第017次元 >>027第027次元 >>063
第008次元 >>009第018次元 >>030第028次元 >>065
第009次元 >>010第019次元 >>044第029次元 >>070
第010次元 >>011第020次元 >>046第030次元 >>071
第031次元 >>072第041次元 >>146第051次元 >>224
第032次元 >>077第042次元 >>169第052次元 >>230
第033次元 >>081第043次元 >>176第053次元 >>234
第034次元 >>082第044次元 >>179第054次元 >>241
第035次元 >>090第045次元 >>180第055次元 >>245
第036次元 >>097第046次元 >>189第056次元 >>260
第037次元 >>104第047次元 >>191第057次元 >>262
第038次元 >>108第048次元 >>203第058次元 >>264
第039次元 >>109第049次元 >>209第059次元 >>268
第040次元 >>138第050次元 >>216第060次元 >>274
第061次元 >>298第071次元 >>359第081次元 >>385
第062次元 >>300第072次元 >>361第082次元 >>388
第063次元 >>308第073次元 >>365第083次元 >>391
第064次元 >>337第074次元 >>369第084次元 >>393
第065次元 >>338第075次元 >>370第085次元 >>399
第066次元 >>339第076次元 >>371第086次元 >>402
第067次元 >>345第077次元 >>377第087次元 >>403
第068次元 >>346第078次元 >>378第088次元 >>413
第069次元 >>352第079次元 >>380第089次元 >>414
第070次元 >>353第080次元 >>383第090次元 >>417
第091次元 >>420第101次元 >>448第111次元 >>480
第092次元 >>421第102次元 >>450第112次元 >>484
第093次元 >>422第103次元 >>458第113次元 >>489
第094次元 >>427第104次元 >>459第114次元 >>495
第095次元 >>431第105次元 >>467第115次元 >>499
第096次元 >>432第106次元 >>472第116次元 >>501
第097次元 >>433第107次元 >>475第117次元 >>502
第098次元 >>436第108次元 >>477第118次元 >>504
第099次元 >>444第109次元 >>478第119次元 >>507
第100次元 >>445第110次元 >>479第120次元 >>508
第121次元 >>509第131次元 >>544第141次元 >>558
第122次元 >>510第132次元 >>546第142次元 >>560
第123次元 >>511第133次元 >>547第143次元 >>563
第124次元 >>512第134次元 >>551第144次元 >>564
第125次元 >>520第135次元 >>552第145次元 >>565
第126次元 >>521第136次元 >>553第146次元 >>576
第127次元 >>528第137次元 >>554第147次元 >>590
第128次元 >>533第138次元 >>555第148次元 >>595
第129次元 >>534第139次元 >>556第149次元 >>608
第130次元 >>536第140次元 >>557第150次元 >>623
第151次元 >>631第161次元 >>683第171次元 >>759
第152次元 >>632第162次元 >>711第172次元 >>760
第153次元 >>633第163次元 >>719第173次元 >>762
第154次元 >>637第164次元 >>726第174次元 >>764
第155次元 >>643第165次元 >>739第175次元 >>766
第156次元 >>655第166次元 >>749第176次元 >>768
第157次元 >>659第167次元 >>753第177次元 >>769
第158次元 >>664第168次元 >>754第178次元 >>770
第159次元 >>665第169次元 >>755第179次元 >>771
第160次元 >>680第170次元 >>758第180次元 >>772
第181次元 >>773第191次元 >>788第201次元 >>813
第182次元 >>775第192次元 >>789第202次元 >>814
第183次元 >>776第193次元 >>792第203次元 >>826
第184次元 >>777第194次元 >>793第204次元 >>832
第185次元 >>778第195次元 >>794第205次元 >>835
第186次元 >>781第196次元 >>795第206次元 >>841
第187次元 >>782第197次元 >>798第207次元 >>853
第188次元 >>783第198次元 >>802第208次元 >>854
第189次元 >>784第199次元 >>803第209次元 >>855
第190次元 >>785第200次元 >>804第210次元 >>858
第211次元 >>862第221次元 >>883第231次元 >>897
第212次元 >>868第222次元 >>884第232次元 >>898
第213次元 >>873第223次元 >>888第233次元 >>901
第214次元 >>874第224次元 >>889第234次元 >>902
第215次元 >>875第225次元 >>890第235次元 >>903
第216次元 >>876第226次元 >>892第236次元 >>904
第217次元 >>877第227次元 >>893第237次元 >>905
第218次元 >>878第228次元 >>894第238次元 >>906
第219次元 >>879第229次元 >>895第239次元 >>907
第220次元 >>882第230次元 >>896第240次元 >>908
第241次元 >>909第251次元 >>929第261次元 >>955
第242次元 >>913第252次元 >>930第262次元 >>956
第243次元 >>914第253次元 >>933第263次元 >>957
第244次元 >>915第254次元 >>947第264次元 >>958
第245次元 >>916第255次元 >>948第265次元 >>959
第246次元 >>917第256次元 >>949第266次元 >>960
第247次元 >>918第257次元 >>951第267次元 >>961
第248次元 >>919第258次元 >>952第268次元 >>962
第249次元 >>921第259次元 >>953第269次元 >>963
第250次元 >>926第260次元 >>954第270次元 >>964
第271次元 >>965第281次元 >>977第291次元 >>988
第272次元 >>966第282次元 >>978第292次元 >>989
第273次元 >>967第283次元 >>979第293次元 >>990
第274次元 >>968第284次元 >>981第294次元 >>991
第275次元 >>969第285次元 >>982第295次元 >>992
第276次元 >>970第286次元 >>983第296次元 >>993
第277次元 >>973第287次元 >>984第297次元 >>994
第278次元 >>974第288次元 >>985第298次元 >>995
第279次元 >>975第289次元 >>986第299次元 >>996
第280次元 >>976第290次元 >>987第300次元 >>997
※第301次元〜は新スレにて連載予定
●おまけもの●
●資料集など
皆のプロフィール1 >>218
皆のプロフィール2 >>278
皆のプロフィール3 >>287
皆のプロフィール4 >>288
皆のプロフィール5 >>289
皆のプロフィール6 >>503
主な登場人物 >>852
さいじげテスト。 >>843
最強次元師!! について >>58
●番外編
キールアの想い >>41
メイド喫茶祭り① >>327
メイド喫茶祭り② >>331
メイド喫茶祭り③ >>341
友達の証① >>492
友達の証② >>493
友達の証③ >>494
疎外少年と次元少女① >>810
疎外少年と次元少女② >>811
疎外少年と次元少女③ >>812
蛇梅隊DE☆大集合!! >>829
E FIEDLA >>941
英雄と妖精 >>945
●外伝
第001時限 >>942
第002時限 >>943
第003時限 >>944
●キャラ絵(1人)
奏様が描いて下さったルイル >>116
奏様が描いて下さったティリ >>105
奏様が描いて下さったロク >>119
奏様が描いて下さったロク(舌出しVer.) >>185
奏様が描いて下さったロク(ポニテVer.) >>523
奏様が描いて下さったキールア >>127
奏様が描いて下さったアリル >>141
奏様が描いて下さったリリアン >>148
奏様が描いて下さったミル >>154
奏様が描いて下さったフィラ副班 >>162
奏様が描いて下さったレト >>168
奏様が描いて下さったレト(メイド服Ver.) >>329
奏様が描いて下さったガネスト >>304
奏様が描いて下さったガネスト(メイド服Ver.) >>318
奏様が描いて下さったアルア >>460
●キャラ絵(複数)
奏様が描いて下さったレト、ロク、キールア >>693
奏様が描いて下さったエン、ミル、リルダ >>737
☆奏様には毎度ご感謝しております!!
すごく似ていて、イメージ通りです
キャラの絵が分からない場合には奏様の絵を見て下されば納得します!!
これからも描き続けてほしいですね、是非とm((黙
●お知らせなど
* 2009 11/13 執筆開始
* 2013 09/01 執筆中断
* 2014 01/17 執筆再開
* 2014 10/19 別サイトにて再連載開始 >>980
* 2015 03/15 新スレ作成におけるお知らせ >>998
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- Re: 最強次元師!! ( No.555 )
- 日時: 2010/09/14 18:34
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
- 参照: 最強次元師!!等、色々と執筆中—*
第138次元 冷たき瞳の言葉Ⅷ
「水撃ぃぃーーーっ!!!」
ラミアによって放たれる水の塊。
その水はまたしても男達を襲い、飲み込んでいく。
「「第七次元発動————ッ!!!」」
両者が次元唱を唱える。
「水弾ーーーッ!!!」
「裁爪ーーーッ!!!」
水と爪がぶつかり合う。
2つの攻撃が相殺し合い、その煙の中から姿が見えた。
「はぁ・・・はぁ・・・、やるな、小僧」
「謝れ」
「断るって言ったら?」
「ぶっ殺す!!!」
ラミアは低い姿勢で走り、手を広げた。
「第七次元発動——————ッ!!!!」
ラミアは男の懐まで入り込み、足を止めて手を構えた。
「水撃ーーーーーッ!!!!」
「——————————な・・・ッ!?」
勿論、言うまでも無くラミアの水撃は直撃した。
男は倒れ、もう息も絶え絶えだった。
「う・・・・ぁ・・・っ」
辛うじて、まだ息はある。
それを確認したラミアは、
なんと、もう戦えない男に向かって、
手を構えた。
「・・・第八次元発動」
「—————ッ!?」
「・・・ミア——————、君・・・っ!!!」
師匠は必死になって叫んだ。
だが、師匠の言葉など、ラミアの耳には届かなかった。
「水げ—————————ッ!!!」
(殺られる・・・こんな小僧に—————————ッ!!?)
「ラミア君ッ!!!」
「—————ッ!?」
もう遅い。
ラミアが師匠の言葉に気付くのが、
遅すぎたのだ。
ラミアの放った水撃は見事に目の前の敵を捕らえた。
そう、師匠が男を庇わなければ。
「し・・・・しょう・・・?」
ラミアは我に返ったのかふっと気が抜けたように座りこんだ。
師匠が目の前で倒れていた姿を見て——————、ラミアは叫ぶ。
「師匠ッ!!!」
誰よりも大事。
まだ1日もこの人と過ごしていなかったのに、
ラミアはそう思っていた。
「師匠・・・、どうしてっ!!!」
「ミア・・・く・・・」
「っ!?」
「すまない・・・許してくれ」
「な・・・何を・・・」
「君を戦いに巻き込んでしまったのは、私が不甲斐なかったからなんだ・・・」
「違う!!これは自分の意思で・・・っ!!!」
ラミアの頬には、一筋の流れる涙。
1つ1つ、丁寧に落としていく。
その涙は土に染み、溶け込んでいった。
「もし君が私のせいでこれから大変な事になってしまったのなら・・・1つだけ、聞いていいかな?」
「何・・・を?」
「君は——————、何を求める?」
掠れ掠れで弱弱しい師匠の声。
その声をしかと受け止めるかのようにラミアは師匠を見下ろした。
「え・・・・」
「君の夢・・・聞きたいな」
「俺の・・・夢・・・」
「いいかな・・・?」
「・・・今のとこ、何も・・・。それより・・・ッ!!!」
「・・・?」
「早く病院行かないと師匠が・・・っ!!!」
「師匠って・・・呼んでくれたんだね?」
「え・・・・」
「今まで、『あんた』だったから・・・ちょっとね」
「んな事、今関係ねぇだろ!!!」
「ラミア君、僕の夢はね・・・」
「師匠!!」
「この美しい世界を・・・全て見る事だったんだ」
「・・・美しい・・・世界?」
「うん・・・珍しい花や大きな山。人が交わる街とか・・・自然現象とか」
「それが何だって・・・っ!!」
「でも・・・叶わなかった」
師匠の体はもう動かず、
ただ、1人で自分の夢を語り続けた。
「まだあるだろ師匠!!」
「君に・・・頼みたい」
「・・・?」
「僕の夢を・・・引き継いで欲しい」
「どうして!!」
「世界中の物を見て、学んで、聞いて、生きて欲しい・・・それが君への願いだ」
「んなの・・・、俺が許さねぇぞ!!!」
「ありがとう・・・やっぱり君は優しい子だった」
「え・・・」
「初めて会った時、君は僕とあんまり話そうとしないし、冷たい態度をとっていた」
「・・・・」
「でも・・・君はすごく優しい子だよ。強くなれる良い子だ」
「そんなの・・・」
「僕の大事な人から預かった髪紐・・・君に預けるよ」
「え・・・」
「僕の変わりに・・・届けて欲しいんだ」
師匠はラミアの溢れる涙を、見つめながらそう言った。
自分が死にそうなのに、優しく微笑んで。
そして師匠はゆっくり口を開いてこう言った。
「ラミア君——————、強くなりたいなら、力を求めなさい」
「・・・—————ッ!!?」
「誰の心も揺るがすような、優しい強さを」
「し・・・しょ・・・っ」
「力を求める事・・・それが今の君にぴったりだと思うよ」
「師匠・・・師匠っ!!!」
「バイバイ・・・僕は今日1日、君に会えた事を誇りに思う」
「そんなっ!!」
「弟子の目の前でこの世から去れるなんて—————、僕はなんて幸せ者なんだろ・・・う・・・」
「師匠———————ッ!!!」
そしてゆっくり、ゆっくり目を閉じる。
今までの過程を終了し、
任務を終えて幸せそうに眠る師匠。
きっと…、安らかな眠りにつけただろう。
「師匠ぉぉぉぁぁぁぁぁああああああ—————————ッ!!!!」
自分の犯してしまった過ちに、今更ラミアは気付いた。
俺は…なんて事をしたんだろう。
師匠の言葉なんか…聞いちゃいなかった。
俺のせいで…師匠が…ッ!!!
「う・・・グス・・・、グス」
真っ暗な闇に包まれ、
月光の光に照らされて1人の少年は泣く。
己の憎しみのせいで死へと追い詰めてしまった大事な人を、
ただ目の前に泣き叫ぶ。
『ラミア君——————、強くなりたいなら、力を求めなさい』
今のラミアに、
師匠の言葉が深く深く、
突き刺さる——————————・・・・・・・・・・、
- Re: 最強次元師!! ( No.556 )
- 日時: 2010/09/15 19:06
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
- 参照: 最強次元師!!等、色々と執筆中—*
第139次元 冷たき瞳の言葉Ⅸ
「・・・へぇー・・・その人の話だと、そうなるんだ」
「まぁ詳しい事は知らないから、良い手がかりにはならなさそうだけど」
「・・・いや、あたし的には大船に乗った気分だけどね」
「・・・は?」
ロクはにやりと笑い、食堂からさっさと消えてしまった。
きょとんとしていたレトも、何か策があるのかと思いロクについていった。
午後5時。
辺りがぼんやりと明るさを失ってきたこの時間帯に、
ロクはづかづかと歩いて屋上に行く。
ひんやりと冷たい風がロクの体を包み込んだ。
その夕日の光に照らされて誰かの青い髪が光っていた。
間違いなく、ラミアだろう。
「・・・何?」
ロク達に気付いたラミアはくるりと回り、夕日をバックに冷たく言い放った。
ロクはそんな言葉をものともせず、ラミアに近づいた。
「だから、何か用って・・・」
「ラミアさぁ、師匠いたんだね?」
「・・・何で知ってんの?」
「まぁ色々とね」
「・・・折角1人で景色を眺めてたのに、台無しだ」
「1人で・・・なんでもしようとしないでくれる?」
「どういう事だ?」
「任務とか食事とか、何でもかんでも孤立しないで」
ロクやレトの周りに漂う空気。
その空気だけが、静かに音をたてている。
「何が言いたいんだ?お前」
「だから・・・」
ロクは、言葉を飲み込んだ。
そしてふいに、出た言葉とは…。
「あたし達にも・・・師匠がいたの」
そう、ロクは会話を止めて自分達の師匠の話を切り出した。
いや、勝手に口が開いていたのかもしれない。
「・・・え?」
「あたしやレトにも、昔師匠がいたの」
「・・・」
「師匠はわけの分からない人でね、自分の親友のために命を捨てられる、正義の人だった」
(ロク・・・)
「だから・・・命を落としたんだ」
昔の事を思いだす度、ロクは目をカタカタと震わせていたのだ。
まるで、雪山で凍え死にそうな子犬のように。
「だから・・・ラミアの気持ちも少し分かるかな」
「俺の気持ちなんて分かんねぇ!!」
「・・・ねぇラミア」
ラミアは怒り余った気持ちを少し緩めた。
「お願いだから・・・、もうやめよう?」
「・・・ッ!?」
「師匠は死んだんでしょ!?、数年前に!!」
「そうだよ・・・師匠は死んだ!!」
「・・・」
「でもずりぃじゃねか!!人の事勝手に庇って自分は罪人みたいな真似しやがって!!!」
「ラミア・・・」
「絶対許さねぇよ、あんな師匠!!勝手に死んで、まだ聞きたい事が・・・いっぱ・・・っ!!」
ラミアの言葉は既に掠れていた。
たった一筋、流れる涙によって。
「・・・はは、こんな事言ったの、初めてかも・・・な」
「ラミア・・・?」
「お前・・・似てるよ、師匠に」
「?、?」
(あの能天気で気分屋で・・・名も隠す旅人に——————)
「・・・おい」
「・・・?」
「俺は・・・強くなれると思うか?」
「へ?」
「聞いてるんだ、答えろよ」
「そんなの即答に決まってんじゃん」
「?」
「絶対だよ、100%だから」
「はは・・・お前、怖いもんねぇのな」
「へへっ!!」
師匠の面影を探し続ける1人の弟子の姿。
初め会った頃とは、けた違いの優しさだった。
「そういえばラミアさぁ」
「ん?」
「やっぱ一緒に食べない?あたしと」
「はぁ?大食い勝負ってやつか?」
「そうそう、あたし、1回でいいからラミアと競い合ってみたかったんだ」
「別に・・・いいけど」
「やったーーっ!!あんまり大食いっていないから困ってたんだーっ」
(そりゃ・・・いねぇわな)
「そんなに・・・喜ぶか?」
「うんっ!!ラミアと一緒に食べれるなんて嬉しいじゃん!!」
「勝負だけだから、言っておくけど」
「んじゃあ今夜は何にする?カレーでもいいよ?」
「カレーは昨日食った。どうせならもっと量の多いやつな」
「おっけーっ!!考えとくから!!」
何故だろう。
ラミアの笑顔が急に増えた。
ロクのお蔭なのか、
それとももしかして初めから…、
「さぁて、行くよラミア!!」
「・・・はいはい」
「なるほどな」
「レト!?」
「・・・お前・・・」
「おいお前ら、後ろ見てみ」
「後ろ?」
「後ろに何か・・・—————」
2人が後ろを向くと、
そこには綺麗な橙に鮮やかに光る夕日。
沈む直前、正に奇跡の風景だった。
「綺麗ー・・・」
「あの時の・・・景色みたいだ」
「へ?」
「いや・・・昔師匠と1度だけ見たんだ。花の揺れる丘の上で2人で寝転んだ」
「へぇー・・・すごくいいね、それ」
「あぁ・・・」
まるで、師匠と見た綺麗なあの景色のように、
夕日は綺麗に光を放つ。
誰の心をも溶かしてしまいそうな、
熱々とした夕日は今も燃え続ける。
「・・・さぁ、行くか」
「え、ラミアもう行くの?」
「あぁ・・・此処に残ってても、夕日はあの何分かで消える」
「そっかぁ・・・」
「それに・・・」
「?」
「・・・やっぱ何でもねぇわ」
「?」
ラミアはその長く、青い髪を靡かせて歩く。
ロクはすたすたとついていき、ラミアの後を追った。
レトはただ1人、夕日の目の前にいた。
(バーカ・・・ラミアが何でそんなに早く気が変わったか・・・気がついてないのかよ)
レトはくるりと回って、今にも沈みそうな夕日を眺め、こう呟いた。
「あの夕日を見る前から、とっくにラミアは諦めてたんだよな・・・師匠の事」
根拠は分からない。
レトの言う事が確かだという証拠もないが、
レトはそう言った。
師匠の面影を探して生きてきた少年の奥に隠された、本当の真実。
ラミアはきっと強く、凛々しく生きていく。
あの赤い髪紐が…そう訴えていた。
- Re: 最強次元師!! ( No.557 )
- 日時: 2010/09/17 18:57
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
- 参照: 最強次元師!!等、色々と執筆中—*
第140次元 殺し屋に隠された秘密
「あの時のラミア、結構怖いし可愛かったもんね〜」
「可愛いは余計だ。あの後俺を騙してメイド服着せたお前は何なんだー?」
「まぁ・・・似合いそうだったしっ」
「・・・・」
「ラミアちゃんの過去ってそんなに辛かったんだぁー・・・」
「すごいですね、悲しいと言いますか・・・」
「別にいいんだよ。もう師匠の事は追ってないし」
「嘘つけ」
ラミアが語っていると、
そこでレトの言葉が入った。
「え」
「任務がいつも長引きして帰ってくるのも遅いお前が何言ってんだー?」
「いや・・・それは・・・」
「その任務先の観光スポットや有名な場所をまわってていつも帰ってくるの遅いんだろ」
「・・・まぁ・・・な?」
「でも・・・師匠の夢をお前が背負うんなら、文句ねぇけど」
「旅人・・・、それにこの髪紐の持ち主も探さなきゃなんねぇしな」
「だな」
「・・・そういえば」
「ん?」
「サボコロちゃん、どうするのぉー?」
「「あ」」
レトとロクが思わず言葉を零した。
そういえば…サボコロの事をすっかりと忘れていた。
「お前が関係してるって・・・どういう事だ?」
「簡単に言えば・・・俺が終わらした事に・・・なる」
「詳しく聞きたい、いいか?」
「サボコロが・・・、いいならな」
「・・・?」
「あれは千年前の事だなぁ・・・」
千年前。
そう、炎皇や雷皇、双斬などの英雄大六師が生きていた時代。
炎皇の殺し屋一家は、サボコロのミクシー家との関係も深かった。
「・・・よく参られた、——」
「いえ、レイズ様のためなら東へも西へも行く覚悟ですので」
「頼もしいな、我弟子よ」
「はっ!!」
炎皇は任務のため、ミクシー家の主であるレイズの元へと行った。
その任務は…勿論“殺し屋”としての仕事だった。
「数日前に標的にしたあ奴らを・・・」
「あ・・・あの」
「・・・?」
「私、——は辞退してはいけないでしょうか?」
「・・・何?」
「人を死へと誘う事・・・もうこれ以上はできませぬ!!」
「・・・それが本音か、——?」
「はい」
炎皇は決して好んではいない。
自分と同じ人間を…殺す事など。
「・・・良いだろう」
「!?」
「我も・・・もう殺しなど勘弁と思っていた頃だった」
「レイズ・・・様」
「心優しき人間に、人を殺す事はできぬな。・・・良くぞ言った、——よ」
「レイズ様・・・ありがとうございます」
「この事は内密にな。周りに知られたら偉い事になろう」
「どういう事ですか?」
「・・・我ら殺し屋を、信じている者もいれば妬み、恨む者もいるのだ」
「・・・・」
「だから・・・我・・・は・・・ッ!!」
「レイズ様!?」
その時、不明な病に侵されていたレイズは倒れてしまった。
医者を呼んだが、もう手遅れだった。
炎皇がレイズの部屋へ入ると、レイズは本に何かを書き記していたのだ。
「・・・レイズ様?」
「お・・・おぉ・・・丁度良かった、——よ」
「その本は・・・?」
「これを・・・千年後に我子孫に、渡して欲しい」
「そんな・・・ッ!!!」
「お前しか・・・頼れないのだ」
死に際に書いたレイズからサボコロへのメッセージ。
それは千年の時を超え、今、現在のミクシー家へと受け継がれた。
「俺が殺し屋をやめたいって言ったから・・・ミクシー家の暗殺は終わったんだ」
「待てよ・・・そんなに簡単に殺し屋ってもんはやめられるのか?」
「いや・・・元々レイズ様は殺し屋なんて柄じゃなかった。・・・優しい人だよ」
「・・・・」
「悪い・・・いきなり変な事言って。・・・ホントごめん」
「いや、いいよ。俺も少し冷静にならなくちゃな」
「え?」
「・・・ありがとな、炎皇」
サボコロはその後、静かに自室に戻っていった。
炎皇を置いて、ただ1人で。
「サボコロ、どうしようか?」
「どうしようかって・・・お前が発端だろ」
「でも・・・」
「やけに元気ねぇな、どうした?」
「サボコロは・・・傷ついてないかな」
「え・・・」
「あたし達に責められて・・・傷ついてないかな」
(ロク・・・そんな事考えてたのか・・・)
サボコロに強く当たり、もしかしたらもっと心を閉ざしてしまったのではないのだろうか。
ロクはそう思っていた。
殺し屋の事、妹の事、炎皇の事…。
全てひっくるめて、考え込んではいないだろうか。
「・・・そんなの心配する必要ねぇと思うぞ?」
「・・・え?」
「お前はお前のやり方であいつに仲間意識させるんだよ」
「あたしの・・・やり方」
「そうだよロクちゃんっ!!」
「サボコロもロクも、僕等の仲間ですから」
「まぁ、俺も一応ね」
「・・・あたしはルイル姉さんが良ければそれでいい」
「あ、あたしも・・・かな」
「ぼ・・・僕も・・・ロクさんをし、信じてます・・・」
「・・・皆・・・・」
周りの皆からの言葉を貰い、ロクは再び微笑みだす。
その微笑みは、勝利を確信した顔だった。
「そうだね・・・あたしのやり方でいいなら」
「それでこそ俺の妹だ。・・・元気ねぇロクなんて不気味だからな」
「不気味って・・・レト・・・」
「確かに元気ないロクちゃんは見たくないよね♪」
任務室にいた皆はそれぞれ自室に戻った。
もう夜なのだろう。
真黄色に光る丸くて大きな月。
その月を眺めながらサボコロは何を思いのだろう。
今宵もまた…哀れし人の涙は光る。
- Re: 最強次元師!! ( No.558 )
- 日時: 2010/09/29 20:41
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
- 参照: 最強次元師!!等、色々と執筆中—*
第141次元 笑う事
「・・・あのー、ロクさん?」
「ん?何?レト」
「俺はそんな事要求してないぞ?」
レトの突っ込みはこの任務室に響き渡った。
何故レトはそんな事を言ったのか。
そんな事、言うまでもなかった。
「何ってあたしのやり方で———————」
「お前のやり方ってのは・・・」
「?」
「任務室のド真ん中で孔雀の格好をして踊る事かァァァァァァァァァッ!!!!」
レトの怒りは紛れもなく本物。
任務室では皆がロクから目を逸らしていた。
無理もない、ロクは美しい孔雀の格好をして立っているのだから。
「・・・これが何?文句あるのー?」
「ありすぎだバカ。それにどう突っ込みを入れたらいいか分からん」
「んー・・・結構良いと思ったんだけどなぁ・・・」
(えー・・・)
「それにこれがあたしのやり方だから」
「いや・・・大分違うと思うんだが・・・」
「そう?」
「うん、かなりな」
「やっぱ白鳥の方が良かったかな・・・」
(そっちにするつもりだったのかァァァァァァァァッ!!?)
孔雀も白鳥も似たようなものだ。
レトは完全に呆れていて、突っ込む元気さえ無くしていた。
「ロクちゃん、それ・・・何?」
「何って・・・孔雀だよ?」
「孔雀・・・ですか」
「何?ガネスト」
「いえ、個性的で素晴らしいと思います」
「そう?やっぱガネストは分かるんだねーっ!!」
「ガネストは別の意味でそう言ったんだよ」
「ラミアまで・・・ラミアも着る?」
「死んでもやだ」
「・・・・何だそりゃ」
「私も勘弁。・・・それ、アホらしいわよ?」
「ティリにまで言われたんですけど・・・」
「に、似合うんじゃない?ロクちゃん」
「そうかな?いやぁー、ミルも着る!?」
「いや・・・遠慮しておくよ」
「えー・・・」
「僕もちょっと・・・やめておこうかな・・・」
「皆してー・・・いじめだぁッ!!!」
「現実を見ろ、このアホ」
「アホじゃないもん」
「んじゃあ何だ?」
「え。・・・えー・・・と」
「ほら、アホじゃん」
「アホじゃないもんっ!!!」
今日も騒がしいこの任務室。
皆は日に日に…ロクの事を信用しつつあるのだろうか。
だが、やはりロクの信用はまだ得られているとも言えない状況だった。
「俺やっぱお前が妹だなんて信じられないんだが・・・」
「何それーバカにしてんの?」
「もうお前の事をバカとしか言えないですけど」
「他に言葉ないの?」
「アホですか?それとも大バカですかー?」
「レトなんて嫌いだァァァァァァァァァァァァッ!!!!」
ロクは任務室から逃げるようにして帰ろうと走っていった。
だがそこで丁度任務室の扉が開いたのだ。
そこに現れたのは…。
「「あ」」
紅い髪にバンダナをし、大工のような格好で現れたあの少年。
「何・・・してんの?」
「いや、これは違うんだよ!?決してあたしが自分からやったわけでは・・・っ!!!」
ロクが必死に誤解を解こうとしていたが、
それは事実だったのだ。
サボコロは・・・ぷっと吹き出した。
「・・・え?」
「はははははははっ!!!お前、似合いすぎだっつーのっ!!」
「ちょ・・・サボコ・・・ロ・・・」
「あー悪い悪い、あまりに似合ってたから・・・」
「・・・その笑顔だよ」
「・・・え?」
「あたし、サボコロ大好きっ!!!」
「・・・へ?」
ロクはそう言ってサボコロに抱きついた。
孔雀の部品が所々サボコロに当たって痛そうな顔をしていたが。
「いってェェェェェェッ!!!」
「これからも宜しくね、サボコロ!!!」
「・・・あ・・・あぁ」
ロクの見事な変装により、サボコロは心から笑う事ができた。
さて、あの孔雀の衣装は何処から持ってきた物だったのだろうか。
まぁ、言うまでもなくあのロリコン班長であろうが。
「・・・はぁー、今日は良かった良かった!!」
「ったく・・・」
「でも・・・まだ問題があるね」
「え?」
「エンだよ。あの日以来1回も会ってないし・・・」
「俺も、あんまり一緒に任務行かないんだ」
「今度はエンだねぇー・・・。どうやって取り戻そうか」
「・・・エポール兄妹で・・・ありましょうか?」
ロクとレトの背後から、何者かの声がした。
すぐに振り向くと、そこには元霊のような、着物を着た少年が浮かんでいた。
「・・・拙者、エン殿の元霊の『光節』と申します」
「光節・・・?」
「エンの・・・次元技って事か?」
「御意。・・・貴方方の実力を見込んで、頼みたい事が御座います」
「う・・・うん」
「エン殿を・・・どうか、どうか・・・。救って下さいませんか?」
「救・・・う?」
「エンを?」
「御意」
「事情を・・・説明してくれる?」
ロクも思っていた通り、
エンは亡き姉のために無次元の扉を開いてしまった。
そのせいで死ぬかと思われたエンだったが、
ロクやレトと同様、デスニーに送り返されたのだ。
たった一言、
『また会おう』
とだけ言われて。
「・・・やっぱり・・・・」
「貴方方に・・・頼むしか・・・・」
「分かった。明日までには考えておくよ」
「忝い」
そう、サボコロが本物の笑顔を取り戻し、心を開いてくれただけでは、
ロクの問題は解決しない。
エンが失ってしまった感情を、
心の神であるフェリーが取り戻さなければならないのだった。
- Re: 最強次元師!! ( No.559 )
- 日時: 2010/09/29 20:26
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
- 参照: 最強次元師!!等、色々と執筆中—*
さてさて、
長らく休養をとっておりました、瑚雲ですw
試験やら大会やら部活やら…など、
なかなかこちらに顔を出す事ができませんでした。
今から久しぶりに更新したいと思いますw
ではではw
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