コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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最強次元師!!【※新スレ作成におけるお知らせ有り】
日時: 2015/03/15 09:40
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)
参照: http://ncode.syosetu.com/n5050ci/

 運命に抗う、義兄妹の戦記。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 基本毎週日曜日に更新!


 ※追記

 実は、本作を一から書き直そうと思いまして別サイト様にて“完全版”を再連載し始めました。
 やりたい話が多くて一度断念してましたが、やっぱり優先しようと思ってもう一度記載致します。
 ご興味のある方はどうぞ! 上記のURLで飛べます*
 とってものんびりと、更新する予定です。


 Twitterの垢をつくってみました→@shiroito04
 イラストとか宣伝とかを呟いてます!



 ※注意事項

 ・荒らし・中傷はお控え下さい。
 ・チェンメなんかもお断りしてます。



●目次

prologue >>001
第001次元 >>002第011次元 >>012第021次元 >>048
第002次元 >>003第012次元 >>013第022次元 >>050
第003次元 >>004第013次元 >>019第023次元 >>052 
第004次元 >>005第014次元 >>020第024次元 >>055
第005次元 >>006第015次元 >>021第025次元 >>059
第006次元 >>007第016次元 >>025第026次元 >>060
第007次元 >>008第017次元 >>027第027次元 >>063
第008次元 >>009第018次元 >>030第028次元 >>065
第009次元 >>010第019次元 >>044第029次元 >>070
第010次元 >>011第020次元 >>046第030次元 >>071

第031次元 >>072第041次元 >>146第051次元 >>224 
第032次元 >>077第042次元 >>169第052次元 >>230
第033次元 >>081第043次元 >>176第053次元 >>234
第034次元 >>082第044次元 >>179第054次元 >>241
第035次元 >>090第045次元 >>180第055次元 >>245
第036次元 >>097第046次元 >>189第056次元 >>260
第037次元 >>104第047次元 >>191第057次元 >>262
第038次元 >>108第048次元 >>203第058次元 >>264
第039次元 >>109第049次元 >>209第059次元 >>268
第040次元 >>138第050次元 >>216第060次元 >>274

第061次元 >>298第071次元 >>359第081次元 >>385
第062次元 >>300第072次元 >>361第082次元 >>388
第063次元 >>308第073次元 >>365第083次元 >>391
第064次元 >>337第074次元 >>369第084次元 >>393
第065次元 >>338第075次元 >>370第085次元 >>399
第066次元 >>339第076次元 >>371第086次元 >>402
第067次元 >>345第077次元 >>377第087次元 >>403
第068次元 >>346第078次元 >>378第088次元 >>413
第069次元 >>352第079次元 >>380第089次元 >>414
第070次元 >>353第080次元 >>383第090次元 >>417

第091次元 >>420第101次元 >>448第111次元 >>480
第092次元 >>421第102次元 >>450第112次元 >>484
第093次元 >>422第103次元 >>458第113次元 >>489
第094次元 >>427第104次元 >>459第114次元 >>495
第095次元 >>431第105次元 >>467第115次元 >>499
第096次元 >>432第106次元 >>472第116次元 >>501
第097次元 >>433第107次元 >>475第117次元 >>502
第098次元 >>436第108次元 >>477第118次元 >>504
第099次元 >>444第109次元 >>478第119次元 >>507
第100次元 >>445第110次元 >>479第120次元 >>508

第121次元 >>509第131次元 >>544第141次元 >>558
第122次元 >>510第132次元 >>546第142次元 >>560
第123次元 >>511第133次元 >>547第143次元 >>563
第124次元 >>512第134次元 >>551第144次元 >>564
第125次元 >>520第135次元 >>552第145次元 >>565
第126次元 >>521第136次元 >>553第146次元 >>576
第127次元 >>528第137次元 >>554第147次元 >>590
第128次元 >>533第138次元 >>555第148次元 >>595
第129次元 >>534第139次元 >>556第149次元 >>608
第130次元 >>536第140次元 >>557第150次元 >>623

第151次元 >>631第161次元 >>683第171次元 >>759
第152次元 >>632第162次元 >>711第172次元 >>760
第153次元 >>633第163次元 >>719第173次元 >>762
第154次元 >>637第164次元 >>726第174次元 >>764
第155次元 >>643第165次元 >>739第175次元 >>766
第156次元 >>655第166次元 >>749第176次元 >>768
第157次元 >>659第167次元 >>753第177次元 >>769
第158次元 >>664第168次元 >>754第178次元 >>770
第159次元 >>665第169次元 >>755第179次元 >>771
第160次元 >>680第170次元 >>758第180次元 >>772

第181次元 >>773第191次元 >>788第201次元 >>813
第182次元 >>775第192次元 >>789第202次元 >>814
第183次元 >>776第193次元 >>792第203次元 >>826
第184次元 >>777第194次元 >>793第204次元 >>832
第185次元 >>778第195次元 >>794第205次元 >>835
第186次元 >>781第196次元 >>795第206次元 >>841
第187次元 >>782第197次元 >>798第207次元 >>853
第188次元 >>783第198次元 >>802第208次元 >>854
第189次元 >>784第199次元 >>803第209次元 >>855
第190次元 >>785第200次元 >>804第210次元 >>858

第211次元 >>862第221次元 >>883第231次元 >>897
第212次元 >>868第222次元 >>884第232次元 >>898
第213次元 >>873第223次元 >>888第233次元 >>901
第214次元 >>874第224次元 >>889第234次元 >>902
第215次元 >>875第225次元 >>890第235次元 >>903
第216次元 >>876第226次元 >>892第236次元 >>904
第217次元 >>877第227次元 >>893第237次元 >>905
第218次元 >>878第228次元 >>894第238次元 >>906
第219次元 >>879第229次元 >>895第239次元 >>907
第220次元 >>882第230次元 >>896第240次元 >>908

第241次元 >>909第251次元 >>929第261次元 >>955
第242次元 >>913第252次元 >>930第262次元 >>956
第243次元 >>914第253次元 >>933第263次元 >>957
第244次元 >>915第254次元 >>947第264次元 >>958
第245次元 >>916第255次元 >>948第265次元 >>959
第246次元 >>917第256次元 >>949第266次元 >>960
第247次元 >>918第257次元 >>951第267次元 >>961
第248次元 >>919第258次元 >>952第268次元 >>962
第249次元 >>921第259次元 >>953第269次元 >>963
第250次元 >>926第260次元 >>954第270次元 >>964

第271次元 >>965第281次元 >>977第291次元 >>988
第272次元 >>966第282次元 >>978第292次元 >>989
第273次元 >>967第283次元 >>979第293次元 >>990
第274次元 >>968第284次元 >>981第294次元 >>991
第275次元 >>969第285次元 >>982第295次元 >>992
第276次元 >>970第286次元 >>983第296次元 >>993
第277次元 >>973第287次元 >>984第297次元 >>994
第278次元 >>974第288次元 >>985第298次元 >>995
第279次元 >>975第289次元 >>986第299次元 >>996
第280次元 >>976第290次元 >>987第300次元 >>997

※第301次元〜は新スレにて連載予定


       ●おまけもの●

●資料集など
皆のプロフィール1 >>218
皆のプロフィール2 >>278
皆のプロフィール3 >>287
皆のプロフィール4 >>288
皆のプロフィール5 >>289
皆のプロフィール6 >>503
主な登場人物 >>852
さいじげテスト。 >>843
最強次元師!! について >>58

●番外編 
キールアの想い >>41
メイド喫茶祭り① >>327
メイド喫茶祭り② >>331
メイド喫茶祭り③ >>341
友達の証① >>492
友達の証② >>493
友達の証③ >>494
疎外少年と次元少女① >>810
疎外少年と次元少女② >>811
疎外少年と次元少女③ >>812
蛇梅隊DE☆大集合!! >>829
E FIEDLA >>941
英雄と妖精 >>945

 
●外伝
第001時限 >>942
第002時限 >>943
第003時限 >>944


●キャラ絵(1人)
奏様が描いて下さったルイル >>116
奏様が描いて下さったティリ >>105
奏様が描いて下さったロク >>119
奏様が描いて下さったロク(舌出しVer.) >>185
奏様が描いて下さったロク(ポニテVer.) >>523
奏様が描いて下さったキールア >>127
奏様が描いて下さったアリル >>141
奏様が描いて下さったリリアン >>148
奏様が描いて下さったミル >>154
奏様が描いて下さったフィラ副班 >>162
奏様が描いて下さったレト >>168
奏様が描いて下さったレト(メイド服Ver.) >>329
奏様が描いて下さったガネスト >>304 
奏様が描いて下さったガネスト(メイド服Ver.) >>318
奏様が描いて下さったアルア >>460

●キャラ絵(複数) 
奏様が描いて下さったレト、ロク、キールア >>693
奏様が描いて下さったエン、ミル、リルダ >>737

☆奏様には毎度ご感謝しております!!
 すごく似ていて、イメージ通りです
 キャラの絵が分からない場合には奏様の絵を見て下されば納得します!!
 これからも描き続けてほしいですね、是非とm((黙


●お知らせなど

* 2009 11/13 執筆開始
* 2013 09/01 執筆中断
* 2014 01/17 執筆再開
* 2014 10/19 別サイトにて再連載開始 >>980
* 2015 03/15 新スレ作成におけるお知らせ >>998

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Re: 最強次元師!! 【定期更新】 ( No.955 )
日時: 2014/03/02 10:52
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: E29nKoz/)
参照: 2話同時更新!

 第261次元 右に、左に

 「う、ぐぁ——!!!」

 衝撃に乗って、シェルは派手に地面の上を転がり回った。
 口から、真っ赤な液体が零れ落ちる。
 レトは、剣を払う。

 「ま、まるで別人みたいだな……どうしたんだ?」

 シェルは笑いながら立ち上がった。
 レトはその時、元力の様子が元に戻ったのを感じた。
 すうっと息を吐く。

 (す、すげえ……————)

 レトは心の中でそっとそう呟いた。
 ただ剣を重ねるだけではない。
 息を止めて動きを読んで、刃を受け流して隙をつく。
 そしてそれだけでは止まらず、一瞬の迷いを見せない。
 自信に満ちた一太刀が、一気に相手との実力差をつめる。
 決して、一秒も無駄にはしない。

 正に英雄の名を背負うに相応しい——————絶対な自信と判断力。





 「レト達……大丈夫でしょうか?」
 「心配ないよーっ! レトちゃん達だもん!」
 「……だと良いけど」
 「今のところ……戦況は良くない」

 観客席に並んでいた蛇梅隊の一同。
 そして今まで1、2回戦で戦った相手のチームがじっと会場にいるエポールチームを眺めている。
 ティリナサ・ヴィヴィオの言う通り、戦況は良くなかった。
 今レトが主将であるシェルを押し気味であるとは言え、全体的には押されている。
 とくに双子組には手を焼いている。
 キールアも一瞬人が変わったようにシャラルを気圧していたが、また元通りになっている。
 皆が皆、腕を組んでうーんと唸っていた時。


 「おーやってるやってるーっ」


 背後から、蛇梅隊戦闘部班隊員なら誰でも知っているであろう声が聞こえてきた。
 一同は、咄嗟に振り返った。

 「え……コールド副班!?」

 ガネストの声は、その場に響き渡った。
 名前を呼ばれた彼は、口に咥えていたタバコを指で挟む。
 本部で仕事に追われているはずの彼が、何故ここにいる、と。
 誰もが思った。

 「今はお仕事中じゃないのー?」
 「ん? ああ……その辺は任せろ」
 「任せろっていうか、任せてきたんですよね?」
 「うるせえ! 俺だって副班を代表して態々来てやったんだぞ?」
 「態々……ねえ」
 「本部じゃ他の副班達が泣いてそうだねー」
 「……お前らなあ」

 深いため息は、響く歓声に紛れて消える。
 よいしょ、とコールド副班は空いている席に座り込んだ。

 「どうだ? レト達は」
 「んー……ちょっと苦戦してるみたいです」
 「そうか……なら大丈夫だな」
 「……はい?」

 ガネストが思わず聞き返す。
 コールド副班は、自信ありげに微笑んでいて。
 煙をふうっと吐くと、懸命に剣を振るうレトに目をやった。

 「大丈夫、って……!」
 「だってそうだろう? ————今まで、奴らが“初めから”善戦したことがあったか?」
 「……え……」
 「つまりそういうこった」

 椅子に凭れていた背を、離す。
 その背中を丸めると、彼はふっと笑ってこう言った。

 「苦境から必ず這い上がる力を持ってる————絶対不屈の強い魂持ってんだよ」

 まるで何かを思い出すように。
 彼は、優しい瞳をして言った。
 ガネストは、その表情に言葉を失う。
 心の底から、絶対勝つと信じ切っているからこそ、こんな顔ができるのだと。
 ガネストだけでなく、その場にいた全員が口を開くのをやめた。

 (ま……実際、複雑っちゃあ複雑なんだけどな……)

 レト達ではなく、今度はちらっとデルトールチームの方へ視線を移す彼。
 その中にいる、一人の青年を彼は見ていた。
 そうしてもう一度、同じ言葉を揺らいだ心の中で呟いた。





 「双斬……お前……」

 レトは、握る剣に語りかけた。
 双斬はそんなレトの心の中で、言葉を紡ぐ。

 (……レト、相手の言葉に惑わされないで。剣術の良し悪しなんて、最終的にどうでもいいんだ)

 「……!?」

 (大事なのは、その剣にどんな想いを“乗せるのか”————つまり、その剣に君の全てを託すんだ)

 今までにないほど落ち着ききった声と、静かな口調。
 たった1分にも満たなかったあの凄まじい光景は、全て霊となってしまった彼の仕業で。
 レトも言葉を挟まず、同じように真剣に少年の言葉に耳を傾ける。

 「どんな、想い……?」

 (僕はね、この“双斬”を使っていた時———————憧れの人に“ある言葉”をもらったんだ)

 「……?」

 (何だか分かる?)

 レトは首を振る。
 その瞬間、長い剣は飛んできた。
 その柄をしっかりと握ったシェルが、レトの懐まで一気に距離を縮める。
 レトは気付くのが遅れ、少しだけ服を掠めた。

 (それは——————)

 シェルの剣が、均衡していた力を相殺する。
 弾き飛ばして、剣を振るう。
 レトはその全てに受けて立ってみせた。
 双斬が、息を吸い込んだ気がした。


 (『僕は君の持つ双剣が——————酷く羨ましいよ』って)


 レトも、息を吐いた。

 (彼は言ったんだ……『君は、その双剣に“二つの想い”を重ねることができるんだ』って)

 「ふ、二つの想い……って?」

 シェルは、また剣を振り上げた。
 レトは剣を引いて咄嗟にそれを避ける。
 剣は横に軌道を描く。
 レトがそれを、右の剣で防ごうと、した時。

 強い響きを秘めた幼い声が、怒号となってレトの体中を駆け巡る。


 (“右の手には”——————)

 「————!?」

 (——————“自分の正直な、心を乗せて”!!!)


 双斬の声が、強く心の内側を叩く。
 ドクンと波打つ心の波が、脳に突き刺さる。
 反射的に、レトは片腕に力を入れて————シェルの剣を止めた。

 「……——!?」

 少し前の、双斬がやった時のように。

 「な……う、嘘だろ……!」

 歯も立たなかったシェルの剣技に、片腕だけで対抗してみせた。
 シェルも驚いたまま動かない。
 はっとした彼はまた、レトから離れた。
 心がまだ、忙しく脈を打っている。
 妙なドキドキがレトの中で消えない。

 (そして——————)

 レトは、その先を聞くこともなく踏み出した。
 右の剣を、下げる。
 左の剣は、刃先を変えて。


 (————————“左の手には、大切なものへの誓いを乗せて”!!!!)


 金の瞳が淡く光る。
 シェルが咄嗟に、顔の前で剣を翳した。

 「う、ぐ……————うわァッ!!!」

 真っ直ぐに、迷いなく斬り上げられた一撃。
 押し負けたシェルは、空間の渦に巻き込まれる。
 カマイタチのような旋風の中を、シェルは踊り弾かれる。
 レトは、目を見開いてポカンとしていた。

 「す、げ……」

 (忘れないで、レト……——君ならできるって、信じてる)

 それから、双斬の声は聞こえなくなった。
 千年前、“紅蓮の魔剣使い”とも謳われていた英雄の言葉。
 レトは、双斬の言葉をしかと心に刻み込む。

 「ちょっとは楽しめそうだな……レトヴェール」

 ぺっ、と唾を吐き捨てた。
 彼はにやっと口元を歪ませてゆっくりと歩く。
 そして、加速する。

 「ぐ……!!」
 「ほら、見せろよ……お前の本気を!!」

 剣と剣が鬩ぎ合う。
 レトは、じっと、自分の剣を見ていた。

 双斬はどんな想いを、この双剣に込めていたのだろう。
 どんな決意と誓いを、この双剣に乗せていたのだろう。

 自分なら?
 レト自身、頭がこんがらがっていて状況は呑めずにいる。
 彼がもし、この双斬に何か想いを託すとしたら、どのようなものだろう。
 そんなことを頭の片隅で考えながら、急にふっとシェルの腕の力が緩んだことに気付いた。

 「————今だ!!!」

 十字に重ねた剣は、隙をついた。
 手押し相撲をするかのように、バランスを崩した光剣が空を舞う。
 レトは、さっきの言葉を思い出した。

 「——俺だって、やられてばっかじゃねーよ」

 すっと、右の手に力が入る。
 彼もそう、やっと。

 この時、“昔の自分”を思い出した。

 不適な笑みも。
 自信に溢れた言葉も。
 何処かの誰かと、背中を合わせて戦った日々も。

 彼の右腕に、その全てが乗りかかった。

 「うりゃあ————ッ!!!」

 彼は知っている。
 諦めろというのは、“彼ら”にとって————その魂に豪なる大火を灯す言葉となる事を。



Re: 最強次元師!! 【2話同時更新】 ( No.956 )
日時: 2014/03/03 00:12
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: E29nKoz/)
参照: おまけ更新【終盤間近なのでハイスピードで更新します】

 第262次元 見え始めた光明

 灯がついたように、彼の双斬は唸りを上げた。
 シェルの目前にまで、その刃が迫った時、

 彼は、一瞬だけ迷いを見せ、そして。

 「第四次元————発動!!」

 「——!?」

 「————絶華!!!」

 それはそう、華舞うように。
 目にも留まらぬ速さで、剣は荒れ狂う。
 レトの剣技を凌いで、会場の上で滑り退いた。

 「……!?」
 「あっぶねーなあ……おい」

 わあっと一際大きな歓声が会場を包み込んだ。
 天高く響くその声に、レトはにっと笑う。

 「どうやら今観客は俺の味方みたいだな」
 「どうだか……次元技使っただけでこれたぁすげーな」

 2人は、睨み合う。
 元力を使ったせいか、シェルの光剣の周りには不思議な気が纏っている。
 ぐっと、足で地を踏みしめる。

 「「第六次元発動——————!!!」」

 少年達は、声を揃えて叫んだ。
 試合開始から約1時間が経過していた時。
 両者は初めて次元と次元をぶつけ合う。
 剣士を超えた、次元師になる。





 「ったく……どうすりゃ良いんだよこれ!」
 「落ち着けサボコロ! 幸い奴らは何かを相談し合っているようだ……作戦会議するなら今だぞ」
 「つってもよぉーっ」

 丸くて長い縄は、未だにサボコロとエンの周りを這っていた。
 その中でしか、本来の力は出せない。
 その上エンの腕に巻かれた縄は、エンの元力を抑え込む働きをしていて次元は使えない。
 サボコロの不安定な次元の扱い方も考慮に入れると、とても優勢とは言えない状況だった。
 勿論、それは本人達が一番分かっている。
 だからこそ、彼らは打開策を見つけようと必死に脳を回転させているのであった。

 「あいつらをここにおびき寄せるとか?」
 「態々敵地に出向いたりはしない……下の縄を外すのが先だろうな」
 「外すって……! さっきびくともしなかったんだぞ!?」
 「だから今考えているんだろう。……もう少し冷静になって考えろ、阿呆」

 そんなエンの言葉に、サボコロは言葉を挟むのを諦めた。
 昔から、難しいことを考えるのは苦手だった。
 それ故に深く考えずに真っ先に失敗をしてしまうのだ。 
 然し、そんな性分もここでは言い訳にすらならない。通用はしない。
 考えるのが苦手な彼も、当然懸命に考えを巡らせる。

 「……俺に、考えがあんだけど」
 「貴様に……? 何だ、言ってみろ」
 「っ……、う、疑わねーの?」
 「阿呆。こんな状況で冗談がかませるか」
 「それもそうか」

 サボコロは、考えた。
 それを、エンにそっと耳打ちする。
 彼は驚いた。

 「……!」 
 「できるかなんて分かんねーし、時間もそれなりに必要になるんだけど……でも勝算は……」
 「……はっきりと言え」
 「……——時間を、稼いでくれ」

 今までにない程の、真剣な眼差し。
 真っ赤な火が灯っているかのような紅い瞳が、エンに真っ直ぐ向けられた。
 お互いを拒絶することを辞め、認め合い、背中を預け合う。
 まるであの義兄妹のような、護り合い信頼し合う戦い方に誰もが憧れていたのもその筈。
 エンは、ふっと笑った。

 「俺を誰だと思っている————————お安い御用だ」

 いつの間にか、この2人の間にも。 
 何故かあの義兄妹の背中が、重なるようになっていた。
 エンはサボコロから視線を逸らして、双子へと顔を向ける。 
 どうやら向こうも、話し合いは終わったようだ。

 「さってさてー! 出られない壁の内側にいるお前たちの、見物でもするかなっ」
 「この間にちゃっちゃと他の奴らやっちゃおーよー! 構ってる時間ないんだからね!」
 「まあまあ良いじゃないか。弱者が無様に足掻く姿も見物だぜ?」

 エンは、弓を構えた。
 戯言には興味がないとでも、言うように。

 「おっと? そっちがその気なら、こっちにも考えがある」
 「そうだね————あたしの出番!」

 鈴のついた紐を、盛大に広げる。 
 宙に浮くそれは、しゃらんと音を立てた。

 「第七次元発動————っ!」

 少年は一瞬の迷いも見せずに
 ぐっと弓を引き絞る。

 「————っ!?」

 リリアンの髪の毛を裂くように。
 一本の細い矢が彼女の頬を掠めた。
 鈴を持つ手が無造作に揺れる。

 「どうした? 音は鳴らさないのか?」
 「こんの——っ!」

 エンの言動に、リリアンは一瞬でかっとなる。

 「次元技使えない次元師なんて————ただの人間なんだからね!!」

 鈴は——広がった。

 「第八次元発動————鈴鳴!!!

 突如、エンの脳内に激痛が走った。
 それは脳の内側から叩きつけるような激音の痛み。
 彼は、弓を落とす。

 「うぐ……!!」
 「八次元級だよ? ——簡単に破れると思わないでよね!」

 サボコロはエンの声に反応して我に返った。
 集中を途中で切らせ、エンに目をやった。
 頭を抱えて必死に痛みを堪える彼の姿が、目に入った。

 「エン!?」
 「阿呆!! こっちには来るな!!」
 「……!?」
 「貴様は貴様のやるべき事に全霊を注げ!! 俺に構っている暇などない筈だろう⁉」
 「でもお前が……!!」
 「言った筈だ……——貴様に心配されると気色が悪いと」

 エンは、後ろを振り向かなかった。 
 まるで大事な人を守るように。
 誰も、傷つけないように。
 己が盾となって————その場で立ち上がる。

 「無茶はよくないなあ……」
 「サボコロ君、助けてあげないの? 仲間が痛みで死んじゃうかもよっ?」
 「く……っそ……!!」
 「じ、時間を……稼げ、と言ったのは貴様……だろう……」
 「……エン……」
 「普段何も考えない貴様が必死になって生んだ結果なら————それに従うまでだ」

 それはエンの、素直な気持ちだった。
 声はやわらかく、表情は見えなくとも分かる。
 決心した。今はサボコロに、全てを託してやると。

 サボコロの中でマグマのように、燃え上がる感情が
 一斉に————全身を駆け巡った。

 ————————そんな、時だった。

 「そうだな————エン」

 彼は一歩、踏み出した。
 前屈みになって立つエンの肩に
 自分の手を、ぽんと置いた。
 サボコロの瞳に、火がつく。

 「集中するとか元力捉えるとか……やっぱよく分かんねえよ」
 「さぼ、こ……っ」
 「でもこれだけは分かる————」

 サボコロは腕を上げる。
 ぎゅっと、力強く拳はその形を成した。

 彼の中で————何かが、溢れ出す。


 「てめえを犠牲にしてまで——————得るもんじゃねえって!!!」


 大火は放たれた。
 拳は————地面を強く叩いた。


 「——————炎柱!!!!」


 それは、一次元級のものの筈だった。
 普段の生活の中で使うような、弱い火の筈だった。

 然し目の前に広がったのは。
 人間に死の恐怖を与えるほどの————“獄炎“

 「何だと————!!」
 「リリエン逃げて——っ!!」

 縄の近くにいた双子は
 同時に戦火の中へ巻き込まれてしまった。

 「今のは……」
 「……」
 「何か、掴めたようだな」
 「……だと良いんだけどなっ」

 セルナと特訓していた日々を思い出した。
 その数は少なかったけれど、確かに今のような感覚に目覚めたことはあった。
 熱い元力が、体中を駆け巡る。
 普段大人しい獣が、突然牙を向くように。 
 サボコロはじっと自身の右手を見つめた。

 「あ、おいエン……!」
 「何だ?」
 「縄が……」

 2人の周りを囲むように。
 2人にまるで、テリトリーでも与えるように。
 張られ、這い蹲っていた縄が、無くなっていた。

 「今の炎で……!?」
 「マジか……」

 分厚い煙の向こうに、揺らめく影は2つ。
 苦しそうに咳を吐いて、双子は姿を現した。

 「どんだけだよ……ったくよ」
 「ホント意味不明! 意地悪いの大っ嫌いっ!!」

 リリアンは、片手に鈴を。
 リリエンは、片手に縄を。
 両者ともすぐに戦えるように、腕を構えて歩いてきた。

 「こっからがホントの本番だぜ!!」
 「……調子乗んないでってば!」

 人で溢れ返る観客席。
 その一席で、必死にサボコロを見守るセルナは、
 またぎゅっと、強く強く祈るように————手を握りしめた。



Re: 最強次元師!! 【終盤間近の為ハイスピード更新】 ( No.957 )
日時: 2014/03/05 19:53
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: E29nKoz/)
参照: 【終盤間近なのでハイスピードで更新します】

 第263次元 自分と、他人

 キールア・シーホリーは驚いた。
 氷が目前まで迫ったところで、その全てが赤く飲み込まれたのを見たのだ。
 シャラルも目を見開いて、何が起こったのか分からないといった表情である。
 その炎はただ、威力あるままに放たれたものではなくて。 
 まるで強さそのものを抑え込んだかのような、威力の塊。

 「あいつ……!」

 (サボコロ……——)

 今までの彼の次元技から、考えもつかないような光景だった。
 目を向けると、彼もまたきょとんとしている。

 「そうか、あいつ炎の次元技を……——それなら!」
 「! ちょっとあんた——待ちなさい!!」

 キールアと対峙していた彼は、急に向きを変えた。
 彼女もまた彼を追う。
 氷を使う彼にとって、炎の次元技は弱点そのもの。
 サボコロを先に討っておこうと、そう思ったのだろう。
 サボコロ本人は、その事に気付かなかった。

 「第六次元発動————氷砲!!!」

 怒号が、キールアの耳に突き刺さる。
 彼女は、睨むようにして前を見る。

 (————間に合え!!)

 刹那。
 気づかないサボコロの目前に、細い氷の閃光。
 エンが口を開けた時、

 誰かが、サボコロの体を押し飛ばした。

 「————っ!?」

 地面を転がるサボコロは、頭を抑える。
 何が起きたんだ、と細い視界で前を見た。

 キールアが、腹部から血を噴き出して立っていた。

 「え……——っ」

 彼女は膝から崩れ落ちた。
 しっかりと槍の柄を握ったまま、だらんと項垂れる。
 サボコロは急いでキールアに駆け寄った。

 「おいキールア!! しっかりしろ!!」
 「さ、サボ……良か、った……間に合っ……」
 「お前そんな体で……おいしっかりしろってば!!」

 シャラルは、驚愕の表情だった。
 サボコロに向けて放ったものが、キールアに突き刺さった。
 彼女は既に満身創痍だったはずだ。
 少し前に脇腹も貫いている。
 泣きたくなるほど傷つけられている。
 それでも泣かない。
 弱音も、決して吐かない。
 ただ諦めるか、といった表情で敵を見据える眼は、
 シャラルに、深く突き刺さっていた。

 「何で……」
 「おいキールア!!」
 「他人の為に……そこまでできるかよ……」

 彼は、キールアを知っているつもりだった。
 最初に会った時、彼女は普通の女の子で。
 可愛らしくて、弱弱しくて、あの義兄妹に守られている存在で。

 次の見たのは、戦場で治癒を行う次元師の彼女だった。
 彼女も次元師だったのか、と少し残念な思いを抱いたのを、覚えている。
 でもその姿も、昔とあまり変わりはなかった。

 然し。

 「大丈夫だよ……もう平気。ありがとう、サボコロ」

 彼女は立ち上がった。
 体が何度悲鳴をあげても、それを表には出さない。
 口にも出さない。諦めたいとも、言わないまま。

 それは、今までシャラルが見てきた彼女の姿ではなかった。

 「あいつぜってえ許さねえ……!!」
 「サボコロが無事なら良かったんだよ……狙われてたんだから」
 「尚更許せねえよそんなん!!」
 「……!」
 「無茶すんなよ、キールア。俺達が守ってやるから」

 サボコロは、キールアの頭に手を乗せた。
 わっ、と驚くキールアも、少しだけ笑った。
 その瞬間だけ、全ての痛みを忘れられた。

 「ちょっとシャラルっ! 邪魔しないでよねーっ」
 「そっちの男が先だっつの……くそっ」
 「あら? ご機嫌斜めみたいっすね」
 「……そうでもねえよ」

 目の前で見た。
 自分にはないもの。
 自分の体も省みずに、他人を救える勇気。

 「あいつらってなんか……不思議だよな」
 「ああ?」
 「さっきもそうだったよ、サボコロ君の為にってエン君は必死に痛みに耐えて」
 「今までもそうだったみたいだし……なんか変—っ」
 「……」

 他人の為、ではないのかもしれない。
 もしかしたらもう、彼らにとっては
 お互いは他人ではないのかもしれない。

 「俺は……人間ってのは“自分”と“他人”で構成されてると思ってた」 

 シャラルは、ぽつりと呟いた。
 リリアンもリリエンも、思わず彼の方へ目を向けた。

 「シャラル……?」
 「あいつらには、それ以外の“何か”があるのかもしれねえ」

 得体の知れない感情。
 想像もつかない、不思議な関係。
 モヤモヤした頭を、シャラルは掻き回した。

 「まあ折角の機会だ————今度は3対3でやろうぜ」

 リリエンの提案を、否定する者はいなかった。
 キールアは、サボコロとエンの後ろに立つ。
 溢れて止まない血が、彼女の内側で煮え立つようにドクドクと音を鳴らしていた。

 「すまないキールア、俺は今次元技が使えない」
 「……!? そうなの?」 
 「ああ……必ず打開策を見つけてみせる」

 エンの、力の入った目。キールアはコクンと頷いた。
 見るからにサボコロもエンも傷だらけで、これ以上動くには困難だ。
 自分の体だって、あと何分もつか分からない。
 自分の気持ちが諦めるその前に、決着をつけてやると。
 もう一度、その胸に誓いを立てた。

 「——————炎撃ィッ!!」

 サボコロが、炎を放った。
 いつもと違う、力を圧縮する事を覚えた勢力のある次元技。
 リリアンは鈴を広げた。

 「鈴解————っ!!」

 炎を、鈴の奏でる音で、掻き消した。
 瞬間、技は紡がれる。

 「氷撃ィィ————ッ!!」

 炎が消えたと同時に、空洞から氷が弾き飛んでくる。
 キールアが駆けて出た。

 「戯旋風————!!」

 槍は唸るように旋回する。
 氷は壁にぶち当たったかのように、派手に砕け散った。
 サボコロは走り出す。

 「見え見えなんだよ————絡縄!!」

 リリエンの縄が、走り出したサボコロの体に巻き付いた。
 バタンと倒れるサボコロ。
 キールアは慌てて走り寄ろうとする。

 「サボコロ——っ!」

 彼女の視線が、敵から外れたと同時。
 鈴は、しゃらんと鳴った。
 刹那。

 「————言ったはずだ」

 小さい声は。
 自分の鈴を、弾き飛ばした。

 「音は……——鳴らさないのか、と」

 自分の鈴と矢が、地面を滑る。
 またやられた。
 リリアンは悔しさを胸に、荒々しく落ちた鈴を掴み取る。

 「ふざけんなって言って————!!」

 キールアは、駆けだしていた。
 しゅん、と金の髪は大きく揺れる。


 「————敵は目の前だけじゃないのよ」


 空高く。
 金の少女は————槍の矛先を、地へと向ける。

 「堕陣————必撃ィッ!!」

 地面を砕く音が響いた。
 衝撃で跳んだ3人は、地面に転がる。

 「ごほっ! げほ……ぐ、くぅ……」
 「大丈夫か? 2人とも」
 「あ、ああ……」

 キールアは元の居場所へ駆けて行く。
 サボコロとエンを守るように、立ち塞がった。

 「無茶はするなよ、キールア」
 「エンこそ」

 サボコロは必死にもがくが、縄は解けない。
 次元級もきっと大きい。並の力ではどうにもできなさそうだと気付く。

 「まった小細工……————鈴鳴!!!」

 鈴が音を鳴らしたと同時に、2人は頭を抱えた。
 頭の中から響き渡る激音が、再び襲う。
 それでも。

 「こんな、もん……?」
 「拍子抜けだな……————全く!!」

 エンは弓を引き絞る。
 キールアは、顰めた顔で槍を構えた。

 「「————ッ!?」」

 真正面から、キールアが突っ込んでくる。
 驚いた3人は、次元技を、態勢を、構えた。

 「バカじゃないの? ————真正面から突っ込んでくるなんてさ!」

 鈴を広げる。腕を構える。
 キールアは、瞬間に、その場で急停止した。

 「————は?」

 ばっとしゃがみ込んで、笑う。
 刹那————矢は放たれた。

 「「「————っ!!?」」」

 3人の、目の前。
 キールアが視界からどいた瞬間に、無数の矢が3人に突き刺さった。
 足を伸ばして、キールアも振りかぶる。

 「ちょ……速————っ!!」

 槍の矛先は、地面を指す。

 「————衝砕ィ!!!」

 叫んで、止まった。
 一瞬にして、腕が止まったのが分かる。
 シャラルは、尻餅をついたまま腕を伸ばしていた。

 「————氷撃」

 氷漬けにされた腕が、槍を巻き込んで凍っていた。
 シャラルが足を伸ばす。
 キールアは派手に転がった。

 「いっつぅ……」
 「あっぶねえな……つか、おっかねえ」

 キールアを囲むようにして、3人が立つ。 
 転がったままのキールアが上体を起こした時。
 既に自分が包囲されている事に気付いた。
 3人の表情が、キールアの背筋を一気に凍らせた。

 (まずい————っ!)

 エンが慌てて駆け出した。
 然し鈴鳴を受けている彼は、その場で膝から崩れ落ちた。
 それを見たリリアンはたった一人でしゃがみ込んで、可愛らしい表情でにぱっと笑う。


 「————ここまでみたいだねっ?」


 鈴は、しゃんしゃんと、音を鳴らした。




Re: 最強次元師!! 【終盤間近の為ハイスピード更新】 ( No.958 )
日時: 2014/03/09 10:12
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: E29nKoz/)
参照: 同時更新!

 第264次元 禁忌

 その光景は、たった数分の出来事であった。
 会場が息を呑む。騒いでいた観客の声も遠くなっていく。

 リリアンは、笑った。

 「第七次元発動————音疵!!!」

 キールアの頭の中で、何かが弾き飛んだ。
 無音。静寂。何も聞こえない世界が一気に彼女の中で広がった。
 ぴたりと、足を止めた。

 「え……何も聞こえな————きゃあっ!!」

 ズキズキッ、と頭の中から鈍器で叩かれるような痛み。
 体の節々から、血が溢れ出す。
 音がそのまま疵となる、無音の次元技。

 「キールア!!」

 縛られたままのサボコロが叫んだ。
 キールアは、その場で蹲る。
 既に体は傷で溢れ返っている。
 それなのに彼女の体から、鮮血が空を舞う。
 体を震わせながらも、立ち上がる。

 (音が……聞こえない……————)

 でも、と。
 槍に再び力が入る。
 血で滾る掌で、鉄の塊を掴んだ。
 よろめいて、息を深く吐いた。

 「はは! 絶対絶命だなあ、おい!」
 「全員次元技使えないんじゃあもう、おしまいかなあ?」
 「これでくたばる奴らじゃない気もするけどな……」

 エンは痛みの走る頭を抑え込んで、キールアの元に駆け寄った。
 彼女は、カタカタと震えている。

 (何で……何で俺は……————っ)

 サボコロは、必死に転がった。 
 声は出せる。然し手の位置、足の位置が悪い。
 このまま次元技を出しても、自滅するだけ。
 然し目の前には、次元技の使えない2人がいる。
 ただ転がっているだけの自分とは、違って。

 「……安心しろサボコロ……キールアは俺が守ろう」

 エンは、キールアの前に出た。
 腕に巻かれた縄を、解かないまま。

 「何言って——!!」

 シャラルが、一歩前に出る。
 手を翳して、ゆっくりと。
 やめろ、やめろと。
 サボコロの中で、心臓は忙しく脈を打つ。

 「残念だよホント……——勝ち目なんて、最初からなかったろ?」

 意識が朦朧としていて、分からない。
 キールアはぐらつく視界の中で、ただ目の前にいるエンだけを見据えた。
 彼は何をしようとしているのだろう。
 自分は今、何をしようとしているのだろう。

 サボコロは、叫んだ。


 「やめろォォ————ッ!!!」


 鋭く尖ったナイフのように。
 2人に突き刺さる、氷の刃。

 全てが、スローモーションにも見えた。
 氷が飛ぶ。エンの体に、キールアの瞳に。
 その全てが、勢い良く放たれ貫いた。


 彼の心臓に、灯は焚きつけられた。
 ドクンと、心臓はそれを知らせるように大きく高鳴る。
 彼の中で、彼の視界の中で。
 何かが、動き出す。

 「う……ぁ……っ」

 何かを吐き出そうとしているようにも、見えた。
 彼は、不安定な足取りで立ち上がる。
 膝から落ちて、頭はぶら下がった。

 その時。

 「うあああああああ————っ!!!」

 雄叫びが、会場を包み込む。
 倒れた2人を見下ろしていた3人の視線が、サボコロに集まった。
 騒ぎ立てる会場。遠くにいたレトも、思わず顔を向けた。

 彼の中で、渦巻く何か。
 それを彼は、塞き止めようと、していた。
 会場席にいる、セルナの心臓も高鳴っていく。
 もしかして、と。
 不安が脳裏を過った————正にその時。

 「——————なあ」

 体は縛られたままだった。
 いつだって熱い彼の言葉が、酷く冷たく会場に響く。

 「……ああ?」
 「“どうしようもなくなった時”……って、いつだ?」
 「はあ?」

 サボコロが揺れる。
 緊張の走る会場で、彼は一人冷静だった。

 「……悪いな————セルナ」

 小さい声だった。
 それは、彼女に届くはずもない音だった。

 彼女の頬に——————涙は伝う。


 「今しか……————————ねえだろ!!!!」


 彼は吠える。怒りの波は空間を伝う。
 溢れ出したかと思った力の流れは————————“止まった”。

 刹那。


 「第八次元発動——————」


 彼は未だに縛られたままだ。
 にも関わらず、彼の周りは炎で溢れる。
 誰もが背筋を凍らせた。誰もがこの時恐怖に陥る。

 灯のついた彼の瞳が————シャラル達に焼きついた時。


 「——————————獄炎撃ィ!!!」


 放たれた大火は——————会場中を巻き込んだ。
 それは、さっきまでの炎とは、比べ物にならない程。
 死の恐怖を、一瞬にして焚きつけられる。

 全ての元力を圧縮し放たれたそれは、その場にいた英雄大六師にある記憶を蘇らせた。


 (嘘だ……こんな炎——————あの時の……!!)


 会場はざわめく。
 炎の海は、観客達の目前にまで迫り、奇声や叫び声も鳴り響いた。
 遠方にいたレトもシェルも、呑み込まれる。

 『き……危険です!! 非常に危険な炎が会場を包み込んでいます!! 速やかに火の届かない所まで避難して下さい!!』

 アナウンスが響く。会場はまだ焦りと不安と怒号で溢れ返っていた。
 サボコロはただ、ぐったりと地に伏せる。
 セルナは一人、震えて立っていた。

 「ちょ、セルナここ危ないよ!? 早く逃げないと!!」
 「……」
 「セルナってばあ!!」

 ミルが腕を引こうとする。然しセルナは動じない。
 じっと、目を見開いて彼を見ている。
 自分のせいだ、と身も心も震えて止まらない。

 「ごほっ……げほっ、げほっ……」
 「だ、大丈夫か、キールア……!!」
 「大丈夫っ……何とか百槍で……サボコロは!?」
 「それが……」

 薄暗い煙の中で、彼は倒れていた。
 キールアは口を押えながら、必死に彼の体を揺さぶった。
 返事はない。

 「サボコロ! しっかりしてよ!!」
 「ダメだ……気を失っている……早く俺達も……っ」

 サボコロを背負って、深い煙の中から出る。
 彼は起きない。ぐったりとしたまま、動かない。
 デルトールチームの3人も、伏せったままだった。

 「何が起こって……」
 「……」

 被害の少なかったレトとシェル。
 2人は腕で顔を覆いながらサボコロの方へ向いていた。
 何をしたんだと、レトも焦る気持ちを抑えられない。
 悍ましくて恐ろしい元力の塊を放り投げられたかのような感覚だった。

 「……! リリエンリリアン! シャラル!!」

 シェルは駆けだした。
 伏せていたリリエンの顔を、くるりと回して仰向けにさせた。
 彼もまた返事をしない。

 「どうしてこんな……っ」

 シェルの中で、何かが沸き上がる。
 レトも、咳を繰り返すキールアとエンの姿を見つけた。
 どうやら意識はあるみたいだと、安堵した時。

 「許さねえ……あいつ……!!」

 シェルの中から、聞いたこともないような低い声。
 はっとしてレトはシェルを見た。
 その表情は——怒りに満ちていた。

 「シェ……!」

 レトの声は届かず。 
 シェルは————迷わずキールア達のいる方へ加速した。

 「————なっ!?」

 驚いた時には遅かった。
 キールアの背中に乗っていたサボコロに、彼は斬りかかる。

 「くらァッ!!」

 気配を感じたキールアは、振り返った。
 反応もできず、目を見開いて。
 鮮血は、舞った。

 「————……っ!」

 ガシャン、と響く金属音。 
 双斬は、落ちた。

 「……!」
 「傷つけなんて、させねえよ……!!」

 レトは、キールアの目の前で立ち塞がっていた。
 闘志に滾る瞳を見て、シェルも我に返る。

 「シェル……」

 シェルの背後から響く、弱弱しい声。
 リリエンもリリアンも、そしてシャラルも。
 よろめきながら立っていた。

 「お前ら……!」
 「私達は大丈夫だから……」
 「頭に血が上るなんて、らしくねえんじゃね?」
 「一杯喰わされただけだ。すぐにやり返す」

 バラバラに戦っていたはずの4人は。
 この時初めて、心を完全に一つにした。
 レトは斬りつけられた腹部を抑えてがくんと落ちた。

 「レト!!」
 「大丈夫か? キールア」
 「私は平気……でも、サボコロが!」
 「意識はねえみたいだな……」

 再び、1人を欠いた7人が同時に向き合った。 
 誰もが傷だらけで、誰もがもう体力すらも残っていない終盤。
 先に大将を討った方が勝ち。
 デルトールチームの視線は、レトに集まった。

 「最終戦だ……派手にやろうぜ? レトヴェール」
 「はっ……死ぬまで戦う気かよ」

 挑戦的な瞳が交差する。
 キールアもエンも、立ち上がった。

 太陽が落ちる。
 8人の影を、夕焼けは照らし出す。
 紅く染まった会場は、もう一度————戦士達の勇士を抱いた。


Re: 最強次元師!! 【終盤間近の為ハイスピード更新】 ( No.959 )
日時: 2014/03/09 19:53
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: E29nKoz/)
参照: 同時更新!

 第265次元 力を振り絞って

 「ねえセルナ……」
 「あ、はい……何でしょう?」
 「サボコロ君のやったアレ……何だったの?」

 ミルは不安げに、セルナに問う。
 彼女は、紅い会場を見下ろした。
 炎は消えた。然し彼は起きないままだった。
 ぎゅっと胸の辺りを掴む。

 「全元力を……圧縮する禁忌の技です」
 「え!? ぜ、全元力って……!!」

 ミルは驚いたといった表情でただ、セルナを見る。
 コクン、と彼女は力なく頷いた。

 「そんなことって……」
 「やろうと思えば……誰にでもできるものです」
 「え……?」
 「ただ、リバウンドが、代償が、大きすぎて……」

 溢れ出しそうな涙を、彼女は必死に堪えていた。

 サボコロと修行を始めて数日後。
 明日決戦を迎えるサボコロは、元力の制御が未だできていなかった。
 心苦しくて、笑うのも辛くて、セルナはその時、昨夜の事を思い出した。
 サボコロに禁忌を教えたのは、それが理由でもあった。

 『なあ炎皇……俺さ』
 『んー?』
 『どうやったら……強くなれんのかな』

 炎皇は驚いた。
 その台詞を聞いたことはあった。然しその表情は。
 優しくて、横暴ではなくて、ただ強くなりたいという切実な表情だった。

 『エンも、キールアも、レトも……必死になって頑張ってる』
 『それはお前もなんじゃないのか?』 
 『俺はただ……足手まといになってるだけだよ』

 自分の人生を捨てたキールア。
 自分の足を、己の矢で貫いて、サボコロの仇を討ったエン。
 自分がどれだけ傷つけられようと、一瞬たりとも諦めを見せなかったレト。

 いつだって彼らは、他人の為に何かを捨てていた。
 それなのに、自分は何も賭けられず、護られるばかりだと。

 『エンと両次元発動できたのだって、お前のおかげなんだぜ?』
 『そうかもしれねえけど……でもさ』
 『?』
 『やっぱりなんか思うよ……俺にも、皆を守れるほどの力があれば良いのにって』

 皆を守れるほどの力。
 彼はそう言った。今までよりずっと、力の入った言葉で。
 セルナはその言葉を聞いて翌日、悪いとは思っていても、教えてしまったのだ。
 皆を守れる力が欲しいと彼は言った。
 彼女なら、それを教えることができる。
 とても単純なようで、それは単純ではないことを知っていた。
 だから彼女は今になって、とてつもなく後悔をしていた。

 「サボコロさんの力に……なりたかったんです……ただ、それだけで……」
 「セルナ……」
 「私は……彼に“罪”を教えただけだった……っ」

 ミルは、その言葉に大きく反応する。
 罪、それは彼女の心に重たく乗りかかった。
 彼女は、会場を見下ろした。
 レトもキールアもエンも、そして倒れたままのサボコロも。
 必死に何かと戦っている。
 剣を振るって槍を振り回して、弓を引き絞って。
 サボコロの姿を見ただけでも、胸が張り裂けそうな痛みに襲われる。

 「私はただ……————彼の笑う顔が見たいだけだったのに」

 方法を教えてもらったサボコロの顔は、とても喜に満ちていた。
 ただ、危険だから控えてほしいと、一言セルナは添えた。
 それがこんな結果を招いてしまうとは、分かってはいたのかもしれないけれど
 あまりにも酷な現実だと、思った。

 セルナは語る。
 ミルはただ、静かにそれを聞いていた。





 「うらァ——ッ!!」

 双剣は唸った。シェルは、その一撃を防ぐ。
 向かってくる氷の刃を、キールアは自分を盾にして躍り出る。

 「!! 大丈夫かキールア!?」
 「平気っ! 私の心配はしないでっ」

 彼女は駆け出す。
 その時エンは、じっくりと自分の腕を見ていた。
 縄は、燃えてなくなっていた。

 (サボコロ、感謝する……————必ずこの手で勝つと誓おう!!)

 弓を、引いた。

 「一閃————!!」

 煌めいた一撃は、双子に向かって放たれた。
 鈴も縄も、同時に広げた。

 「————鈴解!!」
 「————絡縄!!」

 鈴が弓の軌道を弾いた。縄は、真っ直ぐにエンに伸びる。
 彼は弓を片手に、器用な動きでその全てを避けきった。

 「はあ……は、ぁ……っ」
 「これじゃ、キリねえぞ……!!」
 「……っ」

 主将同士、未だに剣を重ね合っている。
 然し残った5人は、荒く呼吸を繰り返している。
 ちょっと前には、深く煙も吸い込んでいる体。
 体はガタガタと震えている。

 (体ぶっ壊れる前に……大将やっちまった方がはえーんじゃねーか?)

 シャラルはちらっとレトを見る。
 彼も傷だらけだ。然し残りの5人ほどではない。
 やるなら今だと、決意を新たにする。

 「悪いなシェル……これ以上はもちそうにねえや」

 シャラルは腕を構えた。
 レトに向けられているものだと、キールアは咄嗟に気付く。
 彼女は、またしても前に出る。

 「邪魔すんなよキールア」
 「何で? レトは私達の仲間だよ」
 「死ぬぞって言ってんだよ」

 お互い、本気だった。
 どちらかの大将を先に討った方が勝ち。
 答えは至ってシンプルだったとシャラルは笑う。

 「自分のことを傷つけてまで、俺達が戦い合う理由なんてなかったんじゃねーの?」
 「何を言ってるの? ……私はただ、レトを守るだけよ」
 「ご立派だな……もう、動けねーんだろ?」

 女のキールアに、その言葉は深く胸を貫いた。
 分かってはいた。自分は元々体力が少ない。
 つい最近まで医者の卵だった彼女に、戦闘は厳しすぎると。 
 寧ろここまで上り詰めてきたことが奇跡だったと。
 誰もが思っている事だった。

 「自分がどうなっても良いっていうのかよ」
 「今までレトが、ロクが……私のことを守ってくれたから」
 「だから引き下がれねえって?」
 「今度は私が、守る番でしょう?」

 槍を構えた。腕はすっと伸びる。
 後ろで戦うレトに、視線は向けない。

 「それじゃあ仲良くくたばれよ————っ!!」

 腕を振り上げる。
 彼女は、片足を引いた。
 その時。

 「——————真閃!!」

 瞬く間に放たれた一閃。
 シャラルの腕を目がけて、矢は空を駆けた。

 「何……っ!?」
 「誰であろうと……レトの事は傷つけさせはしない!!」

 鈴が、鳴り響いた。

 「だったらあたし達だって————同じ気持ちなんだからね!!」

 広がる音は、彼らに襲い掛かった。

 「————鈴鳴!!」

 彼女は喉を引き裂く思いで、そう叫んだ。
 キールア達の脳内に、激音は響く。

 「……エン! キールア!!」

 頭を抱えるキールアとエンを見つける、レト。
 駆け寄ろうとした、その時。

 「レトヴェール……——余所見なんてらしくねえぞ!!」

 彼の刃が、レトに向かう。

 「第七次元発動————四斬切り!!」

 剣は吠えた。彼はそれに————受けて立つ。

 「十字切りィ————ッ!!」

 真空派が、空を伝った。轟音と共にそれは散る。
 煙を巻き込んで、レトは後ろに引き下がった。

 「シェル————どうする?」

 リリエンはそっとシェルに近寄った。
 その言葉を聞いて、剣を握っていたシェルが顔をあげた。
 楽しそうな顔で、煙に塗れた景色を見据える。


 「レトに本気を————出させてみようと思う」


 ぼそっとそう、呟いた。
 リリエンは笑う。

 「そうこなくっちゃな——————絡縄!!」

 ばっと空を飛ぶ縄が、煙を吹き飛ばす。
 そうしてレトの周りに巻き付いた。

 「何だよこれ……————うわぁぁっ!!」

 彼の体は思い切り締め付けられる。
 持っていた双斬も、その時弾き飛んだ。
 跳んだ双斬は、サボコロの近くまで滑ってきた。

 「く……そう、ざ……!!」
 「武器の心配をしてる場合かよ……レトヴェール」

 レトの首元に伸びる、刃先。
 剣は今正に、彼の瞳に映った。

 「ここで終わりにしとくか?」
 「……んなわけねえだろ!!」
 「そうか……お前ホント意地が悪いよな」

 レトの頭上に、剣が振り上げられる。
 降参した方が早いのかもしれない、然しレトはそれを決して認めはしない。
 何かできるはずだと、思った時。

 紅い炎が、今一度姿を現した。

 「炎撃————!!」

 シェルに向かって、炎は放たれた。
 思わず剣の態勢を変えて、それを防いだ。
 サボコロは、立ち上がった。

 「まだ終わりになんか……しねーよなあ……——レト!!」

 渾身の力で、双斬を投げる。
 空を飛ぶ双斬が、地面を滑ってレトの真横に運ばれた。
 元気の良い彼の声が、レトの耳に響く。

 いつも通りの、無邪気な笑顔。
 サボコロは、笑った。



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