コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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最強次元師!!【※新スレ作成におけるお知らせ有り】
日時: 2015/03/15 09:40
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)
参照: http://ncode.syosetu.com/n5050ci/

 運命に抗う、義兄妹の戦記。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 基本毎週日曜日に更新!


 ※追記

 実は、本作を一から書き直そうと思いまして別サイト様にて“完全版”を再連載し始めました。
 やりたい話が多くて一度断念してましたが、やっぱり優先しようと思ってもう一度記載致します。
 ご興味のある方はどうぞ! 上記のURLで飛べます*
 とってものんびりと、更新する予定です。


 Twitterの垢をつくってみました→@shiroito04
 イラストとか宣伝とかを呟いてます!



 ※注意事項

 ・荒らし・中傷はお控え下さい。
 ・チェンメなんかもお断りしてます。



●目次

prologue >>001
第001次元 >>002第011次元 >>012第021次元 >>048
第002次元 >>003第012次元 >>013第022次元 >>050
第003次元 >>004第013次元 >>019第023次元 >>052 
第004次元 >>005第014次元 >>020第024次元 >>055
第005次元 >>006第015次元 >>021第025次元 >>059
第006次元 >>007第016次元 >>025第026次元 >>060
第007次元 >>008第017次元 >>027第027次元 >>063
第008次元 >>009第018次元 >>030第028次元 >>065
第009次元 >>010第019次元 >>044第029次元 >>070
第010次元 >>011第020次元 >>046第030次元 >>071

第031次元 >>072第041次元 >>146第051次元 >>224 
第032次元 >>077第042次元 >>169第052次元 >>230
第033次元 >>081第043次元 >>176第053次元 >>234
第034次元 >>082第044次元 >>179第054次元 >>241
第035次元 >>090第045次元 >>180第055次元 >>245
第036次元 >>097第046次元 >>189第056次元 >>260
第037次元 >>104第047次元 >>191第057次元 >>262
第038次元 >>108第048次元 >>203第058次元 >>264
第039次元 >>109第049次元 >>209第059次元 >>268
第040次元 >>138第050次元 >>216第060次元 >>274

第061次元 >>298第071次元 >>359第081次元 >>385
第062次元 >>300第072次元 >>361第082次元 >>388
第063次元 >>308第073次元 >>365第083次元 >>391
第064次元 >>337第074次元 >>369第084次元 >>393
第065次元 >>338第075次元 >>370第085次元 >>399
第066次元 >>339第076次元 >>371第086次元 >>402
第067次元 >>345第077次元 >>377第087次元 >>403
第068次元 >>346第078次元 >>378第088次元 >>413
第069次元 >>352第079次元 >>380第089次元 >>414
第070次元 >>353第080次元 >>383第090次元 >>417

第091次元 >>420第101次元 >>448第111次元 >>480
第092次元 >>421第102次元 >>450第112次元 >>484
第093次元 >>422第103次元 >>458第113次元 >>489
第094次元 >>427第104次元 >>459第114次元 >>495
第095次元 >>431第105次元 >>467第115次元 >>499
第096次元 >>432第106次元 >>472第116次元 >>501
第097次元 >>433第107次元 >>475第117次元 >>502
第098次元 >>436第108次元 >>477第118次元 >>504
第099次元 >>444第109次元 >>478第119次元 >>507
第100次元 >>445第110次元 >>479第120次元 >>508

第121次元 >>509第131次元 >>544第141次元 >>558
第122次元 >>510第132次元 >>546第142次元 >>560
第123次元 >>511第133次元 >>547第143次元 >>563
第124次元 >>512第134次元 >>551第144次元 >>564
第125次元 >>520第135次元 >>552第145次元 >>565
第126次元 >>521第136次元 >>553第146次元 >>576
第127次元 >>528第137次元 >>554第147次元 >>590
第128次元 >>533第138次元 >>555第148次元 >>595
第129次元 >>534第139次元 >>556第149次元 >>608
第130次元 >>536第140次元 >>557第150次元 >>623

第151次元 >>631第161次元 >>683第171次元 >>759
第152次元 >>632第162次元 >>711第172次元 >>760
第153次元 >>633第163次元 >>719第173次元 >>762
第154次元 >>637第164次元 >>726第174次元 >>764
第155次元 >>643第165次元 >>739第175次元 >>766
第156次元 >>655第166次元 >>749第176次元 >>768
第157次元 >>659第167次元 >>753第177次元 >>769
第158次元 >>664第168次元 >>754第178次元 >>770
第159次元 >>665第169次元 >>755第179次元 >>771
第160次元 >>680第170次元 >>758第180次元 >>772

第181次元 >>773第191次元 >>788第201次元 >>813
第182次元 >>775第192次元 >>789第202次元 >>814
第183次元 >>776第193次元 >>792第203次元 >>826
第184次元 >>777第194次元 >>793第204次元 >>832
第185次元 >>778第195次元 >>794第205次元 >>835
第186次元 >>781第196次元 >>795第206次元 >>841
第187次元 >>782第197次元 >>798第207次元 >>853
第188次元 >>783第198次元 >>802第208次元 >>854
第189次元 >>784第199次元 >>803第209次元 >>855
第190次元 >>785第200次元 >>804第210次元 >>858

第211次元 >>862第221次元 >>883第231次元 >>897
第212次元 >>868第222次元 >>884第232次元 >>898
第213次元 >>873第223次元 >>888第233次元 >>901
第214次元 >>874第224次元 >>889第234次元 >>902
第215次元 >>875第225次元 >>890第235次元 >>903
第216次元 >>876第226次元 >>892第236次元 >>904
第217次元 >>877第227次元 >>893第237次元 >>905
第218次元 >>878第228次元 >>894第238次元 >>906
第219次元 >>879第229次元 >>895第239次元 >>907
第220次元 >>882第230次元 >>896第240次元 >>908

第241次元 >>909第251次元 >>929第261次元 >>955
第242次元 >>913第252次元 >>930第262次元 >>956
第243次元 >>914第253次元 >>933第263次元 >>957
第244次元 >>915第254次元 >>947第264次元 >>958
第245次元 >>916第255次元 >>948第265次元 >>959
第246次元 >>917第256次元 >>949第266次元 >>960
第247次元 >>918第257次元 >>951第267次元 >>961
第248次元 >>919第258次元 >>952第268次元 >>962
第249次元 >>921第259次元 >>953第269次元 >>963
第250次元 >>926第260次元 >>954第270次元 >>964

第271次元 >>965第281次元 >>977第291次元 >>988
第272次元 >>966第282次元 >>978第292次元 >>989
第273次元 >>967第283次元 >>979第293次元 >>990
第274次元 >>968第284次元 >>981第294次元 >>991
第275次元 >>969第285次元 >>982第295次元 >>992
第276次元 >>970第286次元 >>983第296次元 >>993
第277次元 >>973第287次元 >>984第297次元 >>994
第278次元 >>974第288次元 >>985第298次元 >>995
第279次元 >>975第289次元 >>986第299次元 >>996
第280次元 >>976第290次元 >>987第300次元 >>997

※第301次元〜は新スレにて連載予定


       ●おまけもの●

●資料集など
皆のプロフィール1 >>218
皆のプロフィール2 >>278
皆のプロフィール3 >>287
皆のプロフィール4 >>288
皆のプロフィール5 >>289
皆のプロフィール6 >>503
主な登場人物 >>852
さいじげテスト。 >>843
最強次元師!! について >>58

●番外編 
キールアの想い >>41
メイド喫茶祭り① >>327
メイド喫茶祭り② >>331
メイド喫茶祭り③ >>341
友達の証① >>492
友達の証② >>493
友達の証③ >>494
疎外少年と次元少女① >>810
疎外少年と次元少女② >>811
疎外少年と次元少女③ >>812
蛇梅隊DE☆大集合!! >>829
E FIEDLA >>941
英雄と妖精 >>945

 
●外伝
第001時限 >>942
第002時限 >>943
第003時限 >>944


●キャラ絵(1人)
奏様が描いて下さったルイル >>116
奏様が描いて下さったティリ >>105
奏様が描いて下さったロク >>119
奏様が描いて下さったロク(舌出しVer.) >>185
奏様が描いて下さったロク(ポニテVer.) >>523
奏様が描いて下さったキールア >>127
奏様が描いて下さったアリル >>141
奏様が描いて下さったリリアン >>148
奏様が描いて下さったミル >>154
奏様が描いて下さったフィラ副班 >>162
奏様が描いて下さったレト >>168
奏様が描いて下さったレト(メイド服Ver.) >>329
奏様が描いて下さったガネスト >>304 
奏様が描いて下さったガネスト(メイド服Ver.) >>318
奏様が描いて下さったアルア >>460

●キャラ絵(複数) 
奏様が描いて下さったレト、ロク、キールア >>693
奏様が描いて下さったエン、ミル、リルダ >>737

☆奏様には毎度ご感謝しております!!
 すごく似ていて、イメージ通りです
 キャラの絵が分からない場合には奏様の絵を見て下されば納得します!!
 これからも描き続けてほしいですね、是非とm((黙


●お知らせなど

* 2009 11/13 執筆開始
* 2013 09/01 執筆中断
* 2014 01/17 執筆再開
* 2014 10/19 別サイトにて再連載開始 >>980
* 2015 03/15 新スレ作成におけるお知らせ >>998

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Re: 最強次元師!! ( No.870 )
日時: 2011/11/20 20:51
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: DxRBq1FF)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id=1152.jpg

えーと…。

だいぶ過ぎてしまいましたが、
この小説を書き始めて早2年が経ちました。

本当は丁度2年ぴったりの日に出したかったのですが、
テスト前という事でパソコンを使っていなくて…。

という事で、1週間程過ぎましたが、
本当に有難う御座いますっ。
ありがとうイラ(勝手に描いた)がURLにありますので、良かったら見て下さい。


ではではーっ。


Re: 最強次元師!! ( No.871 )
日時: 2011/12/05 00:40
名前: ああ (ID: blFCHlg4)

パソコンでみたとき、このくらいのボリュームだと気持ちええな。これ以上空白が多いとキツイが、これは読める。あげ!

Re: 最強次元師!! ( No.872 )
日時: 2011/12/06 19:11
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: DxRBq1FF)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

>>ああさん
 
 ご訪問有難う御座います。
 そう言って頂けると嬉しいですっ




 

 さて。
 更新が疎かになってきているが為…少し気合を入れなおそう((((

Re: 最強次元師!! ( No.873 )
日時: 2012/01/08 19:35
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: aaUcB1fE)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

第213次元 翼

 
 ——————————これは、私が幼かった頃の話。



 
 私は…小さな村に住んでいた。
 父と母と、妹と弟と…私。
 5人家族だった私。例え貧しくても、楽しかった毎日。



 『ま、ま——————?』



 どうしてかは、未だ分からない。
 唯私は…怯えてた。
 

 『ごめんねファイ…これが運命なの』


 そう——————————、焼印。


 『どうして…?い、ぃやだよ……どうして——————ッ』


 シェンランド王国。
 その支配下にあった私の村で…ある事が義務付けられていた。
 そこの住民は必ず体に焼印を入れる…という事。

 焼印なんて、痛いなんてものじゃなかった。
 まだ小さかった弟と妹はそれだけで体がボロボロになって、
 必死になって抵抗したせいで死刑。
 
 私の家族はいつの間にかいなくなっていた。

 怖かった。
 この廃人の生活も、誰1人知らない世界も。



 「何だァ?お前らちゃんと働けよ!!!」

 貧富の差が激しくて、無銭で働かされる日々。
 王国にいた人達が毎日のようにこの村にやってきた。

 廃れた村。支配下に置かれたその日から、変わってしまった私達の村。
 この時から…私は“感情”というものを失っていた。
 
 「…おいそこの女」
 「……」
 「お前だっつってんだよ!!!」

 振り向けば、そこには王国の人がいて。
 私はその人の事を…きっと嫌な目で見つめていたんだ。

 「何だよその目。歯向かったら命はねぇっつってんだろ?あァ!?」

 人の親を餓死させといて…良くもまぁそんな事が言える。 
 私の大事なものを…奪っておいて。

 「生意気だなァ?少しは口でも聞いたらどうだ?」
 「…必要性を感じません」
 「お前————————、死にてェのか!!!」


 死にたい…? 
 そう…できるなら、私は今すぐ死にたい。
 死んですぐに————————、家族に会いたい。

 

 多分この時が…私の感情が昂ぶった、絶頂の頃だった。 
 そうだって————————殺したい程憎んでたのだから。


 「次元の扉——————、発動」


 私は…そう。
 ——————、次元師だったんだ。

 
 「な…なんだ、よその翼————————うあァァァッ!!!!」

 
 
 「————————私はもう…何もいらない」




 何もいらなかった。
 家族さえいれば、何もいらなかったのに。

 「な、何だ…?」
 「あっちでなんか爆音が鳴ったぞっ」 
 「様子を見に行こう」


 その後私は自分で何をしたか…もう覚えてない。
 でもこれだけは分かる。 
 最初に次元技を発動した時…私にはもう理性がなかった。


 人間としての感情も、
 廃人としての目的も。


 自分で気がついた時にはもう…村は壊滅していた。
 残りの廃人達は何処か遠くへ逃げ、王国の人々は引き上げた。
 自分でした事だったと気付くまで…一体何日掛かっただろう。

 
 本当の本当に、独りになった私。
 行く宛もなくやる事もなく。
 いっそシェンランド王国を襲って、国ごと潰してしまおうか。
 そんな事も考えたけれど…後になって面倒くさい事に気が付いた。


 
 ——————だから、あの人に出会った時は驚いた。




 『君…1人?』

 『……そうです』
 
 『じゃあ俺と一緒にいない?俺、そういう子放っておけないんだけど』

 『人と関わるのが、好きではありませんので……遠慮、しておきます』

 『小さくて可愛くて…序に次元師なのに?』


 そう、ルノス・レヴィンに。


 『良いからおいでよ…俺は裏切らないよ』



 彼は、本当に優しい人だった。
 彼も私同様次元師で、幻覚を使う次元師。
 何度も何度もその幻覚に騙されて遊んで……正直楽しいとさえ思っていた。 
 1度は失くした感情が、湧き上がってくるのを感じた。

 
 『貴方と遊んでいるのは…楽しい』
 『そう?、そうだと嬉しいけど』
 『うん……』

 
 彼は次元師の極意やら何やら…沢山の事を教えてくれた。
 まるでお父さんみたいに…。
 凄く凄く、優しくて強い人だった。

 
 『なぁファイ』
 『…?』
 『もう…独りになったりすんなよ?』
 『……どうして?』
 『独り程寂しいものは…ないからだよ』

 彼…ルノスは語ってくれた。
 自分の過去を。
 
 『……分かった…』
 『あと…誰にも負けない強さを…お前にも知ってほしい』
 『誰にも負けない…強さ』
 『うん……、それを見つけられたら、お前はもう独りで悩む事はないよ』





 それが彼の最後の言葉。
 彼はその翌日…私の目の前から消えた。

 メッセージを残して。



 『ファイ…ごめんな。
  俺には、もっと大切なものができちまった。
  お前の事…ずっと傍で見ていたかったけど…。
  
  ファイ…自信もっていいよ。
  お前は何かを失った時、どうすれば良いかをもう知ってる。
  
  本当の強さを…見つけろよ』


 
 もう何にも負けないと。
 そう、心から誓った。

 自分にも、心にも。
 
 
 『強く……なる。……本当の、強さで…』


 独りに、慣れない事。
 それを教えてくれたルノス。
 
 その後私は沢山の人と出会い、戦い、共に時間を過ごした。
 これはきっと…ルノスからのプレゼントなんだと、そう信じたい。





 
 ————————————————だから。



 
 「終わりです……もう、負けないと誓ったから…っ」

 ファイは2人の少年に向き直る。
 苦しかったあの日々を。楽しかったあの日々を。
 思い出して、噛み締めて——————、そして。


 「サボコロ!!エン!!!、ちゃんと前見——————————!!!!」


 レトが再び大きく叫んだその時にはもう、
 ファイの腕は動いていた。



 「もう2度と————————————」



 ファイは、その蒼い眼光で——————、もう1度誓う。


 
 「————————————、翼は畳まないッ!!!!!」



 もう二度と、独りにはならない。
 もう二度と、彼の言葉を忘れない。
 



 「「————————————ッ!!!?」」



 2人が気付いた時にはもう————————遅かった。


 
 「紫踊大裂星————————————!!!!」


 
 幾つもの紫の羽根。
 それが踊るように、2人の体を引き裂きながら舞う。

 それはまるで踊る妖精のように。
 然し残酷に————————少年達の信念を砕く。

Re: 最強次元師!! ( No.874 )
日時: 2012/01/08 22:34
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: aaUcB1fE)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

第214次元 第2試合、開始

 「う、そ……だろ…っ」

 レトヴェールは、思わず感嘆の声を上げた。
 あの小柄な少女たった1人で、英雄大六師を持つ2人の少年に打ち勝ってしまったのだから。
 傷ついた2人は体を引き摺りながらレト達の方へ戻ってきた。

 「やっべ…、マジで死ぬかと思った……」
 「すまないレト…本当に……」

 2人はボロボロのまま、席に座る。
 見るからに分かる…この傷は想像以上に痛いのだろう。
 あんな刃のような雨が降り、縦横無尽に踊り、自分達の身を引き裂いた。
 あれ程の実力を持っていたとは、エン、サボコロ本人も迂闊だったらしい。

 「大体俺に文句つけるお前が悪いんだろッ」
 「何を言うかと思えば負け惜しみか?、少なくとも俺1人のせいではない」
 「はぁッ!?俺だけのせいでもねぇーよ!!」
 「誰がお前1人のせいだと言った!!ちゃんと話を聞け!!」
 「…ッ、お前のそういう態度がムカつくんだよ!!」

 途端に始まる喧嘩に対し、レトの我慢も限界だった。

 「お前ら…良い加減にしろよッ!!」

 その声に驚き、2人も途端に言い合いを止める。
 レトは一息ついてから、2人の姿を見て身を竦めた。

 「喧嘩してる場合だったかよ?そんなに余裕があんなら何で勝ってこれなかった!?」
 「お…俺はこいつがムカつくだけだっつーのっ」
 「……2人共冷静になるまで絶対口きくな。この調子だともし第二試合に進んでも負ける」
 「れ、レト…っ」
 「キールア…悪かったな。お前の事については俺達3人にも責任がある」

 レトは申し訳なさそうにそう言ったが、キールアは軽く首を横に振った。
 レトに怒られた2人は、唯黙って座る。
 それ以降は口もきかず、むすっとした表情で別方向を向いた。
 呆れたレトは再度溜息をついて、ふいっと会場を見渡す。

 「第1試合は——————————、アーミストチーム!!」

 上がる歓声を鬱陶しく聞いてたレトも、次のアナウンスを待つ。 
 然しこのままでは勝ちを望めない。
 此処で棄権するのも手だろうか…そう思った次の瞬間に、アナウンスが流れた。


 「それでは第2試合——————————キールア・シーホリー対ルルネ・ファースト!!!」


 何と次は、キールアの出番だった。

 「やっぱりキールア単体、か…」
 「どうする?…あたし、出た方がいい…かな」
 「俺は出て欲しくないけど……」
 「…でも、ヒントを見つけてきたいっ」

 キールアは少し強気な表情でそう言った。
 その言葉にレトはきょとんとする。

 「ひ…ヒント?」
 「そう…きっとミル達は初戦上がってくると思うし……っ」
 「でもお前、無茶があるだろ…っ!?」
 「うん……でも、やっぱり役に立ちたいよ」

 大丈夫だから、そう言ってキールアは歩き出した。
 もう次元師ではないのに。唯ミル達に繋がれば良いと思って。


 「さて…次は私ですね。行ってきますですっ」

 


 (あれが…相手……)

 赤くて林檎のような髪形。
 背は低くて何やらポンチョのような物を羽織っている。
 これがキールアの相手、ルルネ・ファーストだ。

 「さて…————————、行きますです!!!」

 思い切り踏み込んだルルネは、すぐにキールアの懐へと向かう。
 伊達ではないそのスピードに、キールアは慌てて後方へ飛び退ける。
 
 「次元の扉発動————————————ッ!!」
 
 「————————!?」

 「————————————乱箱!!!」

 ルルネの周りに突如、赤や黄色や橙の箱が出現した。
 どうやらルルネの次元技は“箱”らしい。

 「——————————現出!!」

 「次元唱なしで————————ってわぁッ!!?」

 キールアの目の前、後ろ、上、下。
 あらゆる方向から色とりどりの箱が出現し、キールアは必死に逃げていた。
 それを少なからず、ルルネは不審に思っていた。
 キールアは何とか弱点でも探ろうと、ずっと会場中を駆け回る。
 
 (キールア…何で無理して——————)

 レトはずっとそわそわしていた。
 落ち着かない様子で、次元技に追い掛けられるキールアをずっと心配していたのだ。
 仲間だからというのもあれば、幼馴染だからというのもある。
 キールアは次元師で、自分の次元師で。 
 いつかは戦わなければいけない事は、もう覚悟していた事だった。


 「もしかして、貴方は」

 「…ッ」

 ルルネは一旦技の攻撃を止めて、キールアも慌てて姿勢を直す。


 「————————————次元師ではないのですか?」


 遂に、気付かれた。
 それはそうだ。次元師同士の戦いで次元技を使わないのは最早自殺行為。
 にも関わらずキールアは逃げるばかりで1度も次元技を使わなかった。
 その行動に不審を抱くのは当然である。
 ルルネの一言に声も出ないキールアは、何も答えられなかった。

 「へぇ…じゃあ」

 「…————————!!!」
 
 「——————————、死ぬ覚悟はできているのですね?」

 ルルネはすっと腕を上げた。
 キールアの次元技が知りたくてずっとカマを掛けていたのに。
 何だ、と呆れたルルネは戸惑う事なく。

 「第八次元発動——————————、失隔層!!!」

 キールアの頭上に、大きな箱が出現した。


 (何こ、れ————————————!!?)

 
 キールアを中心とした若干ドーム状の箱が、キールアに被さるように落下する。
 あーあ、とルルネは呆れた声を漏らす。
 そしてその場にぺたりと座り込んで、大きな欠伸までした。

 「さて…もう抜けられないですよ?」

 「あの箱…————、一体何なんだよッ」

 レトは声を荒げた。
 キールアは唯、暗いドームの中にいる。
 中が見えない分不安で、何が起こっているのかさえ分からない。


 (此処…何処…————?)


 まるで第二次選考の時のようだ。
 あの洞窟の中にいた…あの時の感覚と似たようなものだった。
 
 「その箱の中からは次元技でも使わない限り出られません。序に言うと普通の人間は死んじゃいますですよ?」
 「……!?」
 「エポールチームには悪いですけど…これは何でもありな“ゲーム”ですから?」
 「て、め————————、ざけんな!!キールアをそっから出せ!!!」
 「無理ですよー。何せこの箱の中——————————、“無酸素空間”ですので」

 ルルネはにっこりと微笑んだ。
 それはもう、心の篭っていない残酷な笑みで。 
 キールアは徐々に薄くなる空気の中で唯もがくのみ。
 その姿を想像しただけで笑えてしまうと————————、そう伝えるかのように嘲笑っていた。

 これは…そう。
 どうしたら生き延びられるかの、キールアに与えられた試練。
 これを突破しなければキールアの道は“死”。

 それを如何打破するかが——————————第2試合の問題となってしまった。


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