コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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最強次元師!!【※新スレ作成におけるお知らせ有り】
日時: 2015/03/15 09:40
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)
参照: http://ncode.syosetu.com/n5050ci/

 運命に抗う、義兄妹の戦記。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 基本毎週日曜日に更新!


 ※追記

 実は、本作を一から書き直そうと思いまして別サイト様にて“完全版”を再連載し始めました。
 やりたい話が多くて一度断念してましたが、やっぱり優先しようと思ってもう一度記載致します。
 ご興味のある方はどうぞ! 上記のURLで飛べます*
 とってものんびりと、更新する予定です。


 Twitterの垢をつくってみました→@shiroito04
 イラストとか宣伝とかを呟いてます!



 ※注意事項

 ・荒らし・中傷はお控え下さい。
 ・チェンメなんかもお断りしてます。



●目次

prologue >>001
第001次元 >>002第011次元 >>012第021次元 >>048
第002次元 >>003第012次元 >>013第022次元 >>050
第003次元 >>004第013次元 >>019第023次元 >>052 
第004次元 >>005第014次元 >>020第024次元 >>055
第005次元 >>006第015次元 >>021第025次元 >>059
第006次元 >>007第016次元 >>025第026次元 >>060
第007次元 >>008第017次元 >>027第027次元 >>063
第008次元 >>009第018次元 >>030第028次元 >>065
第009次元 >>010第019次元 >>044第029次元 >>070
第010次元 >>011第020次元 >>046第030次元 >>071

第031次元 >>072第041次元 >>146第051次元 >>224 
第032次元 >>077第042次元 >>169第052次元 >>230
第033次元 >>081第043次元 >>176第053次元 >>234
第034次元 >>082第044次元 >>179第054次元 >>241
第035次元 >>090第045次元 >>180第055次元 >>245
第036次元 >>097第046次元 >>189第056次元 >>260
第037次元 >>104第047次元 >>191第057次元 >>262
第038次元 >>108第048次元 >>203第058次元 >>264
第039次元 >>109第049次元 >>209第059次元 >>268
第040次元 >>138第050次元 >>216第060次元 >>274

第061次元 >>298第071次元 >>359第081次元 >>385
第062次元 >>300第072次元 >>361第082次元 >>388
第063次元 >>308第073次元 >>365第083次元 >>391
第064次元 >>337第074次元 >>369第084次元 >>393
第065次元 >>338第075次元 >>370第085次元 >>399
第066次元 >>339第076次元 >>371第086次元 >>402
第067次元 >>345第077次元 >>377第087次元 >>403
第068次元 >>346第078次元 >>378第088次元 >>413
第069次元 >>352第079次元 >>380第089次元 >>414
第070次元 >>353第080次元 >>383第090次元 >>417

第091次元 >>420第101次元 >>448第111次元 >>480
第092次元 >>421第102次元 >>450第112次元 >>484
第093次元 >>422第103次元 >>458第113次元 >>489
第094次元 >>427第104次元 >>459第114次元 >>495
第095次元 >>431第105次元 >>467第115次元 >>499
第096次元 >>432第106次元 >>472第116次元 >>501
第097次元 >>433第107次元 >>475第117次元 >>502
第098次元 >>436第108次元 >>477第118次元 >>504
第099次元 >>444第109次元 >>478第119次元 >>507
第100次元 >>445第110次元 >>479第120次元 >>508

第121次元 >>509第131次元 >>544第141次元 >>558
第122次元 >>510第132次元 >>546第142次元 >>560
第123次元 >>511第133次元 >>547第143次元 >>563
第124次元 >>512第134次元 >>551第144次元 >>564
第125次元 >>520第135次元 >>552第145次元 >>565
第126次元 >>521第136次元 >>553第146次元 >>576
第127次元 >>528第137次元 >>554第147次元 >>590
第128次元 >>533第138次元 >>555第148次元 >>595
第129次元 >>534第139次元 >>556第149次元 >>608
第130次元 >>536第140次元 >>557第150次元 >>623

第151次元 >>631第161次元 >>683第171次元 >>759
第152次元 >>632第162次元 >>711第172次元 >>760
第153次元 >>633第163次元 >>719第173次元 >>762
第154次元 >>637第164次元 >>726第174次元 >>764
第155次元 >>643第165次元 >>739第175次元 >>766
第156次元 >>655第166次元 >>749第176次元 >>768
第157次元 >>659第167次元 >>753第177次元 >>769
第158次元 >>664第168次元 >>754第178次元 >>770
第159次元 >>665第169次元 >>755第179次元 >>771
第160次元 >>680第170次元 >>758第180次元 >>772

第181次元 >>773第191次元 >>788第201次元 >>813
第182次元 >>775第192次元 >>789第202次元 >>814
第183次元 >>776第193次元 >>792第203次元 >>826
第184次元 >>777第194次元 >>793第204次元 >>832
第185次元 >>778第195次元 >>794第205次元 >>835
第186次元 >>781第196次元 >>795第206次元 >>841
第187次元 >>782第197次元 >>798第207次元 >>853
第188次元 >>783第198次元 >>802第208次元 >>854
第189次元 >>784第199次元 >>803第209次元 >>855
第190次元 >>785第200次元 >>804第210次元 >>858

第211次元 >>862第221次元 >>883第231次元 >>897
第212次元 >>868第222次元 >>884第232次元 >>898
第213次元 >>873第223次元 >>888第233次元 >>901
第214次元 >>874第224次元 >>889第234次元 >>902
第215次元 >>875第225次元 >>890第235次元 >>903
第216次元 >>876第226次元 >>892第236次元 >>904
第217次元 >>877第227次元 >>893第237次元 >>905
第218次元 >>878第228次元 >>894第238次元 >>906
第219次元 >>879第229次元 >>895第239次元 >>907
第220次元 >>882第230次元 >>896第240次元 >>908

第241次元 >>909第251次元 >>929第261次元 >>955
第242次元 >>913第252次元 >>930第262次元 >>956
第243次元 >>914第253次元 >>933第263次元 >>957
第244次元 >>915第254次元 >>947第264次元 >>958
第245次元 >>916第255次元 >>948第265次元 >>959
第246次元 >>917第256次元 >>949第266次元 >>960
第247次元 >>918第257次元 >>951第267次元 >>961
第248次元 >>919第258次元 >>952第268次元 >>962
第249次元 >>921第259次元 >>953第269次元 >>963
第250次元 >>926第260次元 >>954第270次元 >>964

第271次元 >>965第281次元 >>977第291次元 >>988
第272次元 >>966第282次元 >>978第292次元 >>989
第273次元 >>967第283次元 >>979第293次元 >>990
第274次元 >>968第284次元 >>981第294次元 >>991
第275次元 >>969第285次元 >>982第295次元 >>992
第276次元 >>970第286次元 >>983第296次元 >>993
第277次元 >>973第287次元 >>984第297次元 >>994
第278次元 >>974第288次元 >>985第298次元 >>995
第279次元 >>975第289次元 >>986第299次元 >>996
第280次元 >>976第290次元 >>987第300次元 >>997

※第301次元〜は新スレにて連載予定


       ●おまけもの●

●資料集など
皆のプロフィール1 >>218
皆のプロフィール2 >>278
皆のプロフィール3 >>287
皆のプロフィール4 >>288
皆のプロフィール5 >>289
皆のプロフィール6 >>503
主な登場人物 >>852
さいじげテスト。 >>843
最強次元師!! について >>58

●番外編 
キールアの想い >>41
メイド喫茶祭り① >>327
メイド喫茶祭り② >>331
メイド喫茶祭り③ >>341
友達の証① >>492
友達の証② >>493
友達の証③ >>494
疎外少年と次元少女① >>810
疎外少年と次元少女② >>811
疎外少年と次元少女③ >>812
蛇梅隊DE☆大集合!! >>829
E FIEDLA >>941
英雄と妖精 >>945

 
●外伝
第001時限 >>942
第002時限 >>943
第003時限 >>944


●キャラ絵(1人)
奏様が描いて下さったルイル >>116
奏様が描いて下さったティリ >>105
奏様が描いて下さったロク >>119
奏様が描いて下さったロク(舌出しVer.) >>185
奏様が描いて下さったロク(ポニテVer.) >>523
奏様が描いて下さったキールア >>127
奏様が描いて下さったアリル >>141
奏様が描いて下さったリリアン >>148
奏様が描いて下さったミル >>154
奏様が描いて下さったフィラ副班 >>162
奏様が描いて下さったレト >>168
奏様が描いて下さったレト(メイド服Ver.) >>329
奏様が描いて下さったガネスト >>304 
奏様が描いて下さったガネスト(メイド服Ver.) >>318
奏様が描いて下さったアルア >>460

●キャラ絵(複数) 
奏様が描いて下さったレト、ロク、キールア >>693
奏様が描いて下さったエン、ミル、リルダ >>737

☆奏様には毎度ご感謝しております!!
 すごく似ていて、イメージ通りです
 キャラの絵が分からない場合には奏様の絵を見て下されば納得します!!
 これからも描き続けてほしいですね、是非とm((黙


●お知らせなど

* 2009 11/13 執筆開始
* 2013 09/01 執筆中断
* 2014 01/17 執筆再開
* 2014 10/19 別サイトにて再連載開始 >>980
* 2015 03/15 新スレ作成におけるお知らせ >>998

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Re: 最強次元師!! ( No.790 )
日時: 2011/04/03 20:02
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jBQGJiPh)

ふぅ…やっと此処まできましたか。
長い、つか長すぎた((




やっと物語の主旨部分に辿り着きました!!
此処まで凄く長かったのですが…これからも見て頂けると嬉しいです。
これから先はもう直行で最終決戦という名の【戦争】に向けて更新する予定で御座います。
さてさて…こっからが本当に大変になっていきます。
物語も一変していきますので、快く応援して頂けると幸いで御座います!!


では、余談でした!!((ぇ

Re: 最強次元師!! ( No.791 )
日時: 2011/04/05 13:43
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jBQGJiPh)

特別番外編的なもの 〜愉快な副班長さん達の日常①〜

 「おい待て」

 「今更何です?コールド副班」

 「俺達の出番が少ないとは一体どういう事だ」

 「さぁ?やっぱり大人って古いんですよね、時代が」

 「……」

 「テルガ!! 何か喋れ!! お前絶対に一番台詞少ねぇよッ!!」

 「別にどうでもいい」

 「……」

 「……」

 「ねぇコールド副班さん?今会議中じゃないの〜?」

 「そうだなミラル。だが何で片手に鏡持って髪の毛直してんだよ。話聞いてねぇ証拠だろ、おい」

 「だってぇ〜…すっごい暇なんだもーんっ!!」

 「ヴェインはヴェインで寝てるし…っておいメッセル!!お前そろそろフィラにくっつく癖やめろ!!」

 「何だよかったいなぁーコールド君は。男は野獣なんだよ」

 「うっせぇ、お前だけだ」

 「へいへーい」

 「というか、仮にも会議だぞ?しっかりしろよお前ら」

 「だーかーらー…議題は何だっつうの」

 「俺達の出番の少なさに決まってるだろ」

 「良いじゃねぇーの、お前きっと1番多いぜ?」

 「いやいや、1番多いのフィラだから」

 「えぇ!? わ、私ですか…? ん、んー…」

 「テルガはあんまり隊員たちとも喋らないみたいだしな」

 「俺、そういうの嫌い」

 「確かテルガ副班って四番隊っすよね? ラミアとティリですか?」

 「ってヴェイン、起きてたのか…、あぁ、四番隊はな」

 「ってかさぁー、コールド君」

 「その呼び方やめろメッセル、気持ち悪い。そしてその声もな」

 「……全否定だなぁ、まぁいいけど。俺達って任務行かねぇーの?」

 「別に…行っても問題はないが…」

 「んじゃあこの6人で行こうぜ!! ぱぁーッとさ!! 俺次元技使いたかったんだよ〜っ」

 「はぁー? 俺達の次元技はその為じゃないだろ…」

 「んじゃあ何の為だよ、次元師が次元技使わなきゃ次元師じゃねぇだろ」

 「まぁ…そうだけど」
 
 「我次元技使う故に我ありってね」
 
 「意味分かんねぇよ」

 「1度くらいいいだろ? 班長に全部押し付けときゃぁー」
  
 「それ1番ダメだろ!!!」
 
 「だって班長、隊員達の写真撮ってうへうへしてるんだから、暇だろ絶対」
 
 「あのなぁ…」

 「よーし決まり!! 皆ぁーッ任務行くぞーーッ!!!」
 
 「へ?に、任務ですか?」

 「そうだよ、俺とフィラの愛の任——————」

 「縛るぞメッセル」

 「…はいはい」

 「面白そうっすね、俺も参加ですか?」

 「あぁ、勿論だ」

 「……」

 「テルガも参加な、もうこうなっちゃあ6人全員で行くしかねぇーし」

 「えぇー!? あたしも行くのーっ!?」
 
 「当たり前だろ、六番隊の副班なんだから」

 「ちぇー…遊びに行こうと思ってたのにぃー…」

 「んじゃあ俺達の活躍の場へ行こうぜ!!可愛いねえーちゃんの沢山いる……」
 
 「メッセル、1度良いから埋もれとけ」

 「…お前ホント冗談聞かねぇー奴…」

 「これで俺達の出番が増えるといいが…」

 「さぁ…どうでしょうか…」
 
 「つか、この話は本編でやんの?番外編なの?」
 
 「知るか、作者に相談しろ」
 
 「…へいへい」


                                 完。

 
 この話、本当に本編でやるんだろうか。
 ちょっと悩んでみたり…。

Re: 最強次元師!! ( No.792 )
日時: 2011/04/05 16:26
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jBQGJiPh)

第193次元 恐怖心
 
 更に激しく降り続ける雨。
 天から堕ちて、自分の横を過ぎって落ちる。 
 そして土の表面で1度弾けたと思うと、土の中へじわりと染み込んでいく。
 そんな一瞬の時を、まるでスローモーションのような感覚で感じ取っていく少年。
 レトは、ただ雨の中で1人、ぽつりと立ち尽くしていた。

 「レト…」

 皆はぞろぞろと門へと向かい、雨宿りをする事なく中へ入っていく。
 レトがいない事に気がついたキールアはふっと振り返った。
 だが、キールアの目の前に映るのは絶望感に溢れる少年の寂しげな後姿だった。

 「……」

 レトは唇を軽く噛み締めると、ふと何かが落ちている事に気付く。
 泥の中に塗れた、ロクのペンダント。
 汚くても、例えこれが価値のないものだとしても。
 それでも、レトはそのペンダントを拾って握り締めた。
 優しく、優しく、大事な物を扱うように。

 「俺、さ…」

 やっと口から出た、小さな言葉。
 キールアはレトに歩み寄って肩を触ろうとするが、怖くてそんな事ができなかった。
 キールアがぎゅっと自分の手を握り締めると、レトは言葉を紡いだ。

 「ロクの事、絶対裏切らないから」

 弱い口調で、強い言葉を放つレト。
 レトはそれ以上何も言わずに、キールアの横を過ぎて門へと向かった。
 己の無力さを改めて痛感したキールアもまた、レトの後を追うように門へ向かう。
 
 雨は未だ降り続く。

 誰かの哀しみを、まるで表すかのように。

 

 
 
 沈黙が広がる任務室。何故か皆は此処にいた。
 誰も口を開けようとしない。誰も何も言う事が出来ない。
 皆で一生懸命恩を返そうと思った会場も、今では何の意味もない広い部屋。
 小さな物音さえ聞こえないというのに、体が震えるような、そんな気がした。
 
 「…納得いかねぇ」

 ここで口を開いたのは、サボコロだった。
 あそこまで必死になって食い止めたのに、報われる事がなく終わってしまった。
 ロクの眩しい程残酷な眼光に、何も言えなかった。
 サボコロはガンッ!!っと勢いよくテーブルに拳を落とすと、震えながらそう言った。
 
 「お前らも見ただろ?あの神族の顔を」
 「そう、ですけど…」
 「何で…何でロクを連れて行く必要があったんだよ!!何もしてねぇだろ!!!」
 「…それは違うぜサボコロ」
 「…!?…ら、ラミア…」
 「確かにそうだけど、ロクはきっと自分で望んだんだと思う」
 「でも…!!」
 「そうね」
 「…てぃ、ティリまで…」
 「もしかしたらロクアンズは、私達を助けたんじゃないかしら」
 「助、けた…?」
 「そっかっ!!、もしも、もしもあたし達が人質になっていたら…」
 「助けるのも…考えられますね」
 「僕も、きっとそうだと思い、ま、ます…」
 
 次々と意見を述べて、やっと口数が増えてきたメンバー達。
 副班長達は相変わらず何も述べずに、ただじっとそんな子供達を見つめていた。
 
 「じゃ、じゃあ…」
 「そうです、僕達を助けようと思って、裏切ったような真似を…」
 「なるほど、その線が一番妥当だ」
 「じゃあ俺に雷砲を撃ったのは…っ」
 「多分、貴様の事を裏切ったと、見せかける為のロクなりの嘘」
 「ち、くしょ…っ、あいつ、んな真似しやがって…っ!!」
 「…それより、どうしたレト」
 「…!?」
 「お前、さっきから何も話してないぞ」

 エンの鋭い一言に一瞬動揺するレト。
 先程からずっと、ただペンダントを握り締めていたレトは小さく口を開いた。

 「…別に」
 「別にってお前…」  
 「あぁ?おいレト、てめぇさっきからしけた面しやがって…てめぇは悔しくねぇのかよ—————ッ!!」
 「ちょ…サボコロ!?」

 サボコロはレトの胸倉を掴んで、レトに向かって怒鳴りつける。
 それを止めようと声を荒げたミルが止めに入ろうとするが、レトはサボコロの腕を力強く掴んだ。
 
 「…しいに決まってんだろ」
 「…?」
 「悔しいに——————————決まってんだろ!!!」
 「ッ———!?」
 「俺だって悔しいよ!!目の前でロクがあんな事言って、あいつのとこ行っちまったなんて…今でも信じらんねぇよ!!」
 「れ、レト…」
 「悔しいに……、決まってんだろ…」
 
 レトは気が抜けたように小さな言葉を零した。
 今にも泣きそうな顔を浮かべて、唇と強く噛み締めて、ただくたっと俯いていた。
 サボコロはそっとレトを離す。

 「…わ、悪かったな」
 「…ごめん、俺先戻るわ」
 「れ…!!」
 「…やめとけキールア」
 「っ!!」
 「1番悔しいのは…あいつだからな」
 「…レト……」
 「自分の義妹が自分達を護る為に犠牲になったなんて…義兄にとってはどれだけ悔しい事か」
 「……」
 「それより俺達にはもっと考える冪事があるはずだ」

 エンはレトの姿が見えなくなるまで見送り、姿が見えなくなったと同時に振り返る。
 キールアも同じく振り返り、エンの言葉にガネストが声を上げた。

 「考える冪事、ですか?」
 「今から約3ヵ月後、何があるかは知ってるだろ?」
 「…、あ……!!」
 「『神人世界戦争代表者決定戦』…代表者を決める戦いが始まる事を」
 「だ、代表者決定戦…」
 「その為に、俺達は今よりも強くなる必要がある。…ですよね?副班」
 「あ、あぁ…」
 「始まるんだ…代表者決定戦が……」

 次第に高鳴る鼓動を抑えて、エン達は静かに自室に戻って行った。
 ぞろぞろと自室の階まで上がってくると、皆自室に入っていってしまった。 
 そこでエンは、不意にも立ち止まる。
 横に佇む扉は…レトの部屋。
 何の音も聞こえてこない。レトは眠ってしまったのだろうか。

 「…レト」

 エンは、1度扉へ向かってレトの名を呼んだ。
 だが、やはりレトからの返事は聞こえてこなかった。
 エンはドアノブに手をかける勇気がなくて、そのまま過ぎてしまった。
 レトはベッドで寝転びながら、エンの過ぎる足音を聞いていた。

 「…悪いな」

 見せたく、なかった。
 ロクが自分達の傍から離れた事で、深く傷ついてしまった哀れな自分の素顔など。 
 きっと酷い顔をしている、とレトは更に自分を追い詰め、枕に顔を埋めた。

 「俺は…何でこんなに無力なのかな…」

 ふいに零れた、震えながらにも呟いた小さな言葉。
 レトは、瞳から一粒の滴が流れるのをまるで気付く事なくうつ伏せのまま寝転んでいた。
 再度唇を強く、強く噛み締めて、レトはまたしても震える言葉を吐き出す。

 「俺は弱いよ…なぁ…ロク」


 
 
 俺達は、次元師だ。
 でも、強いのは力だけだよ。

 俺はお前みたいに強い人間にはなれない。
 心が強くて、誰の心をも救えるお前にはなれないんだ。

 実際、自分の義妹さえ救えなかった。
 あんなにも近くにいたのに、いつだって隣にいたのに。



 本当は、怖かった。


 俺を睨んで、俺の手を振り払ったロクが、


 凄く、怖かったんだ。




 震える自分の心は、


 どうしても


 どうしても


 誤魔化せなくて。



 一瞬でも俺は、



 ロクへの恐怖心を抱いてしまったんだ。

Re: 最強次元師!! ( No.793 )
日時: 2011/04/05 18:49
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jBQGJiPh)

第194次元 決勝戦当日

 ———————

 ——————————————



 あれから、3ヶ月という時が経つ。
 今日は3月31日。明日が待ちに待った決勝戦当日。
 この3ヶ月、出来るだけの任務をこなして空いた時間は本部内にある鍛錬場で特訓をし、努力を積み重ねてきた。
 今日は決勝戦の出場する8名を、班長が発表する日だ。
 集まった戦闘部隊隊員11名全員は、班長室に集まっていた。

 「やぁ君達、久しぶりだね」
 「ええ、まぁこちらとて忙しかったですから」
 「最初に説明するが、決勝戦は1チーム4人だ。勝てば代表者になり、その中の1人が人族代表になれる」
 「人族代表ー?」
 「代表は2種類。次元師代表が3人、人族代表が1人。だから代表者は合計4人なんだ」
 「へぇー…」
 「人族代表は、神族代表と1対1で勝負する為に今回新しく加わったルールなんだ」
 「じゃあその人は神族に1人で挑むって事…!?」
 「あぁ、そうなるな」
 「そうなんだ…」
 「…では今から出場者を発表し、AとBチームに分かれてもらうっ!!」
 
 班長は強調するように強くそう言うと、自分の机を開けて、1枚の紙を取り出す。
 ちら、と隊員達に目を向ける。皆真剣な瞳で次の言葉を待っているようだった。
 軽く口元を緩ませた班長は、口を開いた。
  
 「Aグループ、レトヴェール・エポール!!」
 「え…あ、はい!!」
 「サボコロ・ミクシー!!」
 「はい!!」
 「エン・ターケルド!!」
 「はい」
 「最後に…キールア・シーホリー!!」
 「え、あ…は、はい…!!」
 「え…?」
 「班長、何故キールアを?」
 「…守備型の中でも医術の次元技はとても役に立つからだ」
 「なるほど…」

 キールアは1人胸を躍らせながらも、まだ心拍数は消えてなかった。
 まさか自分が選抜メンバーに選ばれるとは、思ってもいなかったのだろう。

 「次はBグループ、ミル・アシュラン!!」
 「はいっ!!」
 「ラミア・ミコーテ!!」
 「はい」
 「ガネスト・ピック!!」
 「は、はいっ」
 「最後に、ティリナサ・ヴィヴィオ!!」
 「…はい」
 
 最後の1人を呼び終わると、それ以外の人達が拍手をし始めた。
 いつの間にか副班長達が背後にいて、何人かが驚いた。
 班長は机の上に紙を置くと、ふっと顔を上げた。

 「以上だ、その8名には全身全霊で戦ってもらう————覚悟しとけ」
 「「「「「はい———————ッ!!!」」」」」
 「…にしても、すごいねぇ」
 「まさかこのチームになろうとは…」
 「ってか、副班達も参加するんだろ?」
 「いいや…副班達にはまだ仕事が残っていて決勝戦どころじゃないんだ」
 「え…だって1番経験多いの副班達じゃんっ!!」
 「貴方達隊員に賭けるって…言ってるのよ」
 「そ、そんな…」
 「それにしても凄いチームになったわね、楽しみだわーっ」
 「班長が考えるチョイスが分かんねぇーなぁー…」

 更に盛り上がり、喜びを分かち合っていると、レトはふと笑顔を落とした。
 もし此処にロクがいたら、きっと喜んでくれた。
 神族だから代表者にはなれない…だがきっと心から応援してくれた筈だ。
 でも、いない。
 いつもレトの隣にあったものが急に姿を消して、
 何となく、いつもと違う寂しさに襲われていた。

 「んじゃレト、鍛錬場行こうぜ!!」
 「え、あぁー…おう」
 「エンも後で来いよーーッ!!」
 「…了解」
 「げ、元気だね…サボコロって」
 「キールアは行かないのか?」
 「だってあたしは戦闘タイプじゃないっていうか…そういうの向いてなくて」
 「そうか」
 「それに…」
 「ん」
 「あたしは、あたしの修行をしたいしねっ!!」

 キールアはくるっと回ってエンに手を振ると、何処かへ行ってしまった。
 すぐにでもその場から、離れたかったからだろうか。
 逃げるようにして、去っていった。

 (ダメだ…あたし……)

 さっきのレトの寂しげな表情を、キールアはうっかり目撃していた。
 ロクを想って、表情を落としたあのレトの顔を。
 見ていられなくなったキールアはレトが見えなくなって、自分も逃げようと思ったのだ。
 これ以上、ロクを求めてはいけないと思ったから。
 代表者候補に選ばれた以上、私情を理由に立ち止まってなどいられなかった。

 




 
 
 それぞれの思いを胸に、次の日が訪れた。
 朝の眩しい日差しがレトの瞼を熱くして、レトはむくっと起き上がる。
 カーテンを開ければ、直線的に自分の部屋に差し込む光。
 今日は、代表者決定戦の翌日だ。
 くーっ、っと体を伸ばしたレトはパジャマを脱ぎ捨てて隊服を羽織った。
 何ヶ月、何年と着てきた自分の一部とも呼べる、隊服を。
 
 「これ着ると…結構気持ち引き締まるんだよなぁ」

 そう呟いたレトは準備を整え、いざ扉を開ける。
 そして廊下を渡ろうと思ったが、レトの足はとある扉に反応して止まってしまう。
 まるで重い錘でも身に付けているように、自分の足が重たくてどうしても動かなかった。
 ロクの部屋。未だ当時のままにしてあり、きっとあれ以来誰も開けていないであろう、義妹の部屋。
 レトはあ、と声を上げて、ポケットからペンダントを取り出した。
 そしてそれを首につけると、自然と足の錘が外れたように、足取りが軽くなる。
 行かなきゃいけない。
 きっとこの試練を乗り越えたその先に、待っている。

 
 
 
 「遅かったな、レト」
 「もう皆来てるよー?」
 「悪い悪い…寝不足でさ」
 「んじゃあ…行くかッ!!!」

 門を抜けて、レト達は決戦の場への1歩を踏み入れる。
 ふっと振り返ったレトは、改めて見る本部の大きさに少し驚いて、ふっと笑った。
 遠くでサボコロが自分の名前を呼んでいる為、慌ててレトは走り出した。 
 
 8人は班長から貰った地図を頼りに本会場へと向かう。
 出発してから約3時間半。
 やっとか、と思わず口にしてしまう程遠かった旅に8人は最早入り口の前でぐったりとしていた。

 正に会場、という冪野球場のように広いドームになっている。
 いや、ドームというには屋根がなくて太陽の日光を受けられるように屋根部分が全開に開いている。
 観客席も半端ではない。沢山の人間達が座れるように多量の席を用意しているようだ。
 入り口の人に札を貰った8人は、その札にチーム名と部屋番号が書いてある事に気付いた。
 どうやら1日では済まされない大規模な決勝戦のようだ。
 会場の構成は、1階が出場者の宿泊室で、2階が観客の宿泊室。そして3回が戦闘会場のようだ。
 
 皆はバラバラになって、1階にある自室へと向かっていた。
 少し広々としたその空間に慣れ親しんでいると、会場中に出場者を呼ぶアナウンスが鳴り響く。
 
 今から開会式が始まる。
 今から決勝戦が始まる。
 
 神に会う為、神を倒す為に、

 次元師達は———————————、一斉に会場へと集う。

Re: 最強次元師!! ( No.794 )
日時: 2011/04/17 17:50
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jBQGJiPh)

第195次元 人間を護る神 

 「—————————、以上を持って【神人世界戦争代表者決定戦】の開会式を終了致しますッ!!!!」

 一斉に上がる歓喜の声。100人に満たない代表者を夢見た次元師達が、今闘いの火蓋を切らした。
 長期に亘って幾つもの試練を乗り越え、勝利を勝ち取った代表者になる為に。
 その為に、今まで全身全霊で戦ってきた。
 そんな兵達の集まった会場で、蛇梅隊の隊員達も気を引き締めていた。
 
 「凄かったなぁ、あの盛り上がり」
 「無論だ。やはり代表者になりたい奴らは半端ではない」
 「その為に此処に来てるもんね、ホント凄いよ」
 「あぁ…今から体がうずうずしてしょうがねぇ、どんな奴らがいんのかな」
 「…そういえば、Bグループは何処行ったんだ?」
 「先に戻ったと思うぞ、さっきも入り口で見かけたしな」
 「ふーん、敵同士って訳ね」
 「さて、1回戦は何なのやら…」

 蛇梅隊のAグループは、受付で話し合っていた。
 いつもお馴染みの、レト、サボコロ、エン、キールアの4人だ。
 どうやらBグループは先に部屋に戻ってしまったようで…此処には見当たらない。
 きっと皆が期待と不安と緊張感に畝を膨らませている筈だ。
 居ても立ってもいられない奴もいるだろう。
 
 「…んでレト」
 「んだよ、サボコロ」
 「お前の腰に付いてるそれ、何だ?」
 「あぁ、これか?」

 サボコロはレトの腰辺りに付いているポケベルのような物を指差した。
 レトは見せるように腰から外し、ぬっとサボコロの前に出す。
 全体が水色に着色していて、画面が1つ、ボタンが3つ付いている。
 腰に付けられるよう金具も付いているようだ。
 
 「これは何か1、2、3回戦の内容とか緊急連絡に使うんだと」
 「んで、それを何でお前が持ってんだよ」
 「知らねぇよ、俺が渡されたんだよ。受付の時に」
 「んじゃ何か!?お前がリーダーみたいになってんじゃねぇかよ!!!」
 「そうなんじゃねぇーの」
 「…な…何故……レト…がぁ…っ」

 サボコロは一瞬瞳に涙を乗せるとそのまま挫折した。
 その泣き声には悔しさが混じっていた。が、そんな事レトにはどうでもいいらしい。
 溜息を1つ零すと、何でもなかったかのように顔を上げた。
 
 いよいよ始まる。
 泣いても笑っても、これが試練だ。
 もう1度会う為、もう1度声を聞く為に。

 次に会うのは、戦場だ。


 「…おっ、来たぞ」

 ピピピ、と音を鳴らした“レスト”は、レト達に知らせを伝える。
 レスト、というのは先程説明したポケベルのような物。
 あらゆる指示や連絡を出場者達に伝える為に作られた、言わば小型受信機。

 「んで、何て書いてあるんだよーう」
 「…えーっと……」 
 「うんうん」
 「『フェルウェイの国に行き、“真”の真実を暴け』…?」
 「「『フェイウェル』?」」
 「ふぇ、フェイ、ウェル…」
 「知ってるのか、エン」
 「あ、当たり前だ…俺の故郷だからな」
 「…え」
 「…ま、マジ!?」
 「じゃあ“真”の真実って意味も————」
 「…残念だがそれは知らん」

 エンの鋭い言葉に3人は肩を落とした。
 だが有力な手がかりだ。エンの故郷だったとは。 
 唯、行けば分かるのではないだろうか。
 “真実”というものがあるのだから。

 「“真”の真実…か」
 「面白そうじゃねぇか!!やってやろうぜ!!!」
 「お前が1番早死にするタイプだがな」
 「なんだと!?てめぇエン、今度こそ俺と決着つけようじゃねぇか!!」
 「望むところだバカサボテン。砂漠という名の故郷に帰らせてやる」
 「だから、俺がいつサボテンになったんだよ!!このドチビ野郎がッ!!」
 「…聞き捨てならんな今の言葉。撤回するなら弓を引かずに許してやるぞ、アホサボテン」 
 「ア…!?おいチビ、冗談はその身長だけにしとけよ?」

 何故喧嘩が始まる。何故この2人はいつも会う度喧嘩する。
 性格が真逆で合わないのも分からなくはないが。
 仮にも今から戦場へ向かうというのに、2人の荒げた声は止まらなかった。

 「…おい、もう始まってんだぞ、決定戦」

 レトの小さな声が果たしてこの2人に届くのか。
 そんな訳はない、もう最早2人の世界に入り込んでいる。
 置いて行くという選択肢は流石に可愛そうなので、歩き出したレト。
 それに応じて2人も足を動かして、且つ喧嘩しながらついて行く。
 最早仲良しなのではないかと、レトは疑念を抱いた。




 会場から出発し、歩くなり車で運んで貰うなり2時間。
 風の匂いが花を擽る…豊かな自然に囲まれる国へと着いた。
 何処へ向いても山、山、山。
 広く晴れ渡る蒼い空。雲1つない快晴な空を見上げて、思わず4人は絶句した。
 色とりどりの花が舞う。広く涼しい草原に花が舞う。
 咲き乱れた木々達を眺めていると、自然に溶け込んだような、そんな感覚まで生まれてきた。
 素晴らしい自然の国だ、空気もとても美味しい。

 「すっげーなぁ…」
 「ホントだよ、周りは木々だらけだし」
 「そうだろ、俺の故郷だからな」
 「綺麗ーっ!!レイチェルより綺麗だよ、きっとっ!!」
 「…んでエン、これから何処行く?」
 「そうだな、宛も無いし」
 「んじゃエンの家に行ってみるか!?」
 「…は?」
 「そうしたら何か分かるかもしれねぇじゃん!!行こうぜ行こうぜ!!」
 「ったく…時間が勿体ないぞ」
 「え?時間?」
 「期間は1ヶ月。1ヶ月以内に“真”の真実とやらの秘密を探らねばならん」
 「そ、そうだけどよ…」
 「まぁいいじゃねーか、エンの家でのんびりしてから考えても」
 「然しレト…!!」
 「急いだって、何も掴めねーぞ」
 
 酷く爽やかなレトの表情にエンは溜息を漏らし、先頭に立って歩き始めた。
 エンの胸に秘めたのは、期待と不安。
 長年帰る事のなかった実家へ、足を1歩1歩、近づけて行く。
 あぁ…心地良いな、と。
 エンの顔も自然と綻んだ。

 「…いるだろうか、あいつは」

 何て小さな声で呟いて、大空の下を歩く。
 1回戦の期間は1ヶ月。たった1ヶ月で、1回戦を勝ち抜かなければいけない。
 唯この時はまだ、『“真”の真実』という意味も知らずに、只管に目的地へと向かって行った。
 この先何が待ち受けていおうとも、それでもならなければならないのだから。
 レトは歩く最中に、何度も何度もあの笑顔を思い出す。
 自分の名を呼んで駆けてくる…あの少女の顔を、何度も、何度も。




 
 「…フェリー、見えるかい?」
 「……」
 「君の右目は最良だね、きっと未来まで見えるに違いないよ」
 「…見えないよ、未来なんか」
 「?、随分とはっきりしてるなぁ、運命でもないのに」
 「心だから」
 「…心?」
 「幾ら最良の力があろうとも、未来なんか誰にも見えないよ」

 
 青空の下で、神と妖精は語り合う。
 4人の姿を上からじっと眺めながら。
 ただただ、4人の逞しげな後姿を…見透かすように。

 妖精は、口を開いた。

 「あたしは…未来を信じてるから」

 神の口調で、神の表情で。
 妖精はただ、神にこう誓う。

 「信じる…ねぇ。格好良いよ、君」
 「…ねぇ【GOD】」
 「何だい?」
 「あくまでもあたしは、“人間を護る神”だから」
 「…そうかい、頼もしいよ」

 神は笑ってみせた。
 その奥に潜む妖精への憎悪の心を消して。
 でも妖精は云う。

 己は“人間を護る神だ”と。


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