コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
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最強次元師!!【※新スレ作成におけるお知らせ有り】
日時: 2015/03/15 09:40
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)
参照: http://ncode.syosetu.com/n5050ci/

 運命に抗う、義兄妹の戦記。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 基本毎週日曜日に更新!


 ※追記

 実は、本作を一から書き直そうと思いまして別サイト様にて“完全版”を再連載し始めました。
 やりたい話が多くて一度断念してましたが、やっぱり優先しようと思ってもう一度記載致します。
 ご興味のある方はどうぞ! 上記のURLで飛べます*
 とってものんびりと、更新する予定です。


 Twitterの垢をつくってみました→@shiroito04
 イラストとか宣伝とかを呟いてます!



 ※注意事項

 ・荒らし・中傷はお控え下さい。
 ・チェンメなんかもお断りしてます。



●目次

prologue >>001
第001次元 >>002第011次元 >>012第021次元 >>048
第002次元 >>003第012次元 >>013第022次元 >>050
第003次元 >>004第013次元 >>019第023次元 >>052 
第004次元 >>005第014次元 >>020第024次元 >>055
第005次元 >>006第015次元 >>021第025次元 >>059
第006次元 >>007第016次元 >>025第026次元 >>060
第007次元 >>008第017次元 >>027第027次元 >>063
第008次元 >>009第018次元 >>030第028次元 >>065
第009次元 >>010第019次元 >>044第029次元 >>070
第010次元 >>011第020次元 >>046第030次元 >>071

第031次元 >>072第041次元 >>146第051次元 >>224 
第032次元 >>077第042次元 >>169第052次元 >>230
第033次元 >>081第043次元 >>176第053次元 >>234
第034次元 >>082第044次元 >>179第054次元 >>241
第035次元 >>090第045次元 >>180第055次元 >>245
第036次元 >>097第046次元 >>189第056次元 >>260
第037次元 >>104第047次元 >>191第057次元 >>262
第038次元 >>108第048次元 >>203第058次元 >>264
第039次元 >>109第049次元 >>209第059次元 >>268
第040次元 >>138第050次元 >>216第060次元 >>274

第061次元 >>298第071次元 >>359第081次元 >>385
第062次元 >>300第072次元 >>361第082次元 >>388
第063次元 >>308第073次元 >>365第083次元 >>391
第064次元 >>337第074次元 >>369第084次元 >>393
第065次元 >>338第075次元 >>370第085次元 >>399
第066次元 >>339第076次元 >>371第086次元 >>402
第067次元 >>345第077次元 >>377第087次元 >>403
第068次元 >>346第078次元 >>378第088次元 >>413
第069次元 >>352第079次元 >>380第089次元 >>414
第070次元 >>353第080次元 >>383第090次元 >>417

第091次元 >>420第101次元 >>448第111次元 >>480
第092次元 >>421第102次元 >>450第112次元 >>484
第093次元 >>422第103次元 >>458第113次元 >>489
第094次元 >>427第104次元 >>459第114次元 >>495
第095次元 >>431第105次元 >>467第115次元 >>499
第096次元 >>432第106次元 >>472第116次元 >>501
第097次元 >>433第107次元 >>475第117次元 >>502
第098次元 >>436第108次元 >>477第118次元 >>504
第099次元 >>444第109次元 >>478第119次元 >>507
第100次元 >>445第110次元 >>479第120次元 >>508

第121次元 >>509第131次元 >>544第141次元 >>558
第122次元 >>510第132次元 >>546第142次元 >>560
第123次元 >>511第133次元 >>547第143次元 >>563
第124次元 >>512第134次元 >>551第144次元 >>564
第125次元 >>520第135次元 >>552第145次元 >>565
第126次元 >>521第136次元 >>553第146次元 >>576
第127次元 >>528第137次元 >>554第147次元 >>590
第128次元 >>533第138次元 >>555第148次元 >>595
第129次元 >>534第139次元 >>556第149次元 >>608
第130次元 >>536第140次元 >>557第150次元 >>623

第151次元 >>631第161次元 >>683第171次元 >>759
第152次元 >>632第162次元 >>711第172次元 >>760
第153次元 >>633第163次元 >>719第173次元 >>762
第154次元 >>637第164次元 >>726第174次元 >>764
第155次元 >>643第165次元 >>739第175次元 >>766
第156次元 >>655第166次元 >>749第176次元 >>768
第157次元 >>659第167次元 >>753第177次元 >>769
第158次元 >>664第168次元 >>754第178次元 >>770
第159次元 >>665第169次元 >>755第179次元 >>771
第160次元 >>680第170次元 >>758第180次元 >>772

第181次元 >>773第191次元 >>788第201次元 >>813
第182次元 >>775第192次元 >>789第202次元 >>814
第183次元 >>776第193次元 >>792第203次元 >>826
第184次元 >>777第194次元 >>793第204次元 >>832
第185次元 >>778第195次元 >>794第205次元 >>835
第186次元 >>781第196次元 >>795第206次元 >>841
第187次元 >>782第197次元 >>798第207次元 >>853
第188次元 >>783第198次元 >>802第208次元 >>854
第189次元 >>784第199次元 >>803第209次元 >>855
第190次元 >>785第200次元 >>804第210次元 >>858

第211次元 >>862第221次元 >>883第231次元 >>897
第212次元 >>868第222次元 >>884第232次元 >>898
第213次元 >>873第223次元 >>888第233次元 >>901
第214次元 >>874第224次元 >>889第234次元 >>902
第215次元 >>875第225次元 >>890第235次元 >>903
第216次元 >>876第226次元 >>892第236次元 >>904
第217次元 >>877第227次元 >>893第237次元 >>905
第218次元 >>878第228次元 >>894第238次元 >>906
第219次元 >>879第229次元 >>895第239次元 >>907
第220次元 >>882第230次元 >>896第240次元 >>908

第241次元 >>909第251次元 >>929第261次元 >>955
第242次元 >>913第252次元 >>930第262次元 >>956
第243次元 >>914第253次元 >>933第263次元 >>957
第244次元 >>915第254次元 >>947第264次元 >>958
第245次元 >>916第255次元 >>948第265次元 >>959
第246次元 >>917第256次元 >>949第266次元 >>960
第247次元 >>918第257次元 >>951第267次元 >>961
第248次元 >>919第258次元 >>952第268次元 >>962
第249次元 >>921第259次元 >>953第269次元 >>963
第250次元 >>926第260次元 >>954第270次元 >>964

第271次元 >>965第281次元 >>977第291次元 >>988
第272次元 >>966第282次元 >>978第292次元 >>989
第273次元 >>967第283次元 >>979第293次元 >>990
第274次元 >>968第284次元 >>981第294次元 >>991
第275次元 >>969第285次元 >>982第295次元 >>992
第276次元 >>970第286次元 >>983第296次元 >>993
第277次元 >>973第287次元 >>984第297次元 >>994
第278次元 >>974第288次元 >>985第298次元 >>995
第279次元 >>975第289次元 >>986第299次元 >>996
第280次元 >>976第290次元 >>987第300次元 >>997

※第301次元〜は新スレにて連載予定


       ●おまけもの●

●資料集など
皆のプロフィール1 >>218
皆のプロフィール2 >>278
皆のプロフィール3 >>287
皆のプロフィール4 >>288
皆のプロフィール5 >>289
皆のプロフィール6 >>503
主な登場人物 >>852
さいじげテスト。 >>843
最強次元師!! について >>58

●番外編 
キールアの想い >>41
メイド喫茶祭り① >>327
メイド喫茶祭り② >>331
メイド喫茶祭り③ >>341
友達の証① >>492
友達の証② >>493
友達の証③ >>494
疎外少年と次元少女① >>810
疎外少年と次元少女② >>811
疎外少年と次元少女③ >>812
蛇梅隊DE☆大集合!! >>829
E FIEDLA >>941
英雄と妖精 >>945

 
●外伝
第001時限 >>942
第002時限 >>943
第003時限 >>944


●キャラ絵(1人)
奏様が描いて下さったルイル >>116
奏様が描いて下さったティリ >>105
奏様が描いて下さったロク >>119
奏様が描いて下さったロク(舌出しVer.) >>185
奏様が描いて下さったロク(ポニテVer.) >>523
奏様が描いて下さったキールア >>127
奏様が描いて下さったアリル >>141
奏様が描いて下さったリリアン >>148
奏様が描いて下さったミル >>154
奏様が描いて下さったフィラ副班 >>162
奏様が描いて下さったレト >>168
奏様が描いて下さったレト(メイド服Ver.) >>329
奏様が描いて下さったガネスト >>304 
奏様が描いて下さったガネスト(メイド服Ver.) >>318
奏様が描いて下さったアルア >>460

●キャラ絵(複数) 
奏様が描いて下さったレト、ロク、キールア >>693
奏様が描いて下さったエン、ミル、リルダ >>737

☆奏様には毎度ご感謝しております!!
 すごく似ていて、イメージ通りです
 キャラの絵が分からない場合には奏様の絵を見て下されば納得します!!
 これからも描き続けてほしいですね、是非とm((黙


●お知らせなど

* 2009 11/13 執筆開始
* 2013 09/01 執筆中断
* 2014 01/17 執筆再開
* 2014 10/19 別サイトにて再連載開始 >>980
* 2015 03/15 新スレ作成におけるお知らせ >>998

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Re: 最強次元師!! ( No.880 )
日時: 2012/08/12 03:54
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: Wzrhiuo9)

こんな時間にひょっこりと失礼いたします、いつもながら勝手に尊敬している遮犬です、覚えていますでしょうかっ。

私情ですが課題に追われており、こうしてこんな時間に課題したりあれこれいらんことに手を出したり……。

まあ、それはさておきですよ!
何しにきたかといえば、二周年おめでとうございます! ……って、物凄く遅れてますよねw
今はコメディ掲示板で書いてないのですが、たまに見る時に瑚雲さんの名前と、この作品があることでホッとしている自分がいます。羨ましいなぁと口を咥えて見ていた僕なんですが、個人的にカキコのコメディといえばまず最初に瑚雲さんの名前が来ちゃいます。

現在……僕のせいで880レス目ですかw
もうすぐ1000レスいくこの小説ですが、正直もっと続いて欲しい、勿論完結もして欲しいという狭間にいますw

何を思い立ってこのようなことを話しているのか自分でも分からなくなってきましたが(ぇ
無理はなさらぬよう、執筆頑張ってくださいと言いにきちゃいました。そうです、こんな遅くにです、ごめんなさい……

幼稚な文章を残して申し訳ないです。
それではっ、また来ます(ぇ
失礼いたしましたー。

Re: 最強次元師!! ( No.881 )
日時: 2012/08/12 18:51
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TDcrpe6v)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

うぁぁぁ!!/// こ、こここんにちわ!!!!

ちょ、正直今テンパってるのでちょっと待tt(((((黙



…では。←


なんだか不思議ですね。
昨日遮犬さんの小説である『白夜のトワイライト』をちょこっと覗いてきたのです。
更新なさっているところを見て、私も少しほっとしました。

そ、そうですか……?
コメディの中でメインでやっているのは一つだけなので、正直凄い嬉しいです。


この物語は、もしかしたらこのスレでは終わらないかもしれないですね。
終盤の方とは言え、自分には纏める力が足りないのでまだまだ続きそうです((汗
そう言って貰えて嬉しいです。有難う御座います!!!
残念ながら、続いちゃうんですね((笑


はい、これからも頑張らせて頂きます!!
遮犬さんの小説の更新も、待っていますので!


お返事が大変遅くなってしまい、ごめんなさい。
でも来てくれたら飛び上がって喜びます←
変態ですね。ごめんなさい。


ではではーっ!

Re: 最強次元師!! ( No.882 )
日時: 2012/08/23 18:44
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: hsrPOuX9)

第220次元 魔竜

 「岩砲——————!!!」

 リフォル・アーミストの攻撃が真正面へ向かってくる。
 先程と同じ展開だろうか。レトヴェールは大きく剣を、後ろに構え。

 「——————斬り払い!!!」

 岩の砲撃へ向けて、思い切り剣を振り切った。
 色素の薄い真空波はその岩砲に当たり、

 「————ッ!!?」

 その岩を見事、“溶かす”。

 「な、なんだ……その技は……!!?」

 リフォルは一瞬退いた。
 目の目に広がるのは、岩が溶けたかのような痕。
 レトは、ふっと一度双斬を振り払った。

 「それは斬り払いっつってな。次元唱無しで術が使えるようになった時、新しい能力を発揮しやがったんだ」
 「新しい……能力、だと?」
 「あぁ、“一般的な物体であれば、好きな形状に変えられる”ってやつだ。
  ……まぁ使い慣れてねぇから、まだ石とか地面を溶かすくらいしかできねぇけどな」

 レトは、へへっと笑った。
 リフォルはその表情に、一度眉を動かす。
 勝負しているのに、何故笑っていられる、と。

 然しそれが義妹の面影でもある事を、彼は知らなかった。




 
 「これは……面白い展開ですね」
 「……」
 「元力の問題的に言うと、このままだとリフォル君が勝ちそうですけれど……ファイちゃんはどう思いますですか?」

 観客席での事。
 全身を包帯でぐるぐる巻きにしているルルネ・ファーストはくるっと振り向いた。
 視線の先にいるのは、ファイ。
 たった1人で男の次元師2人に見事打ち勝った少女である。

 「……私は……その……」

 ファイは、一度唇を閉じた。
 まるで言いたくないとでもいうように。

 「何です?」
 「次元師に大切なのは……“精神力”、ですから……」
 「……だ、だから何なのです?」
 「そういう面では……あまり優勢とは……言えません……」

 そう、言い終えた彼女はぎゅっと手を握った。
 それは決して嘘ではない。
 ルルネは返事もせず、もう一度会場を見つめる。 
 そして、軽く息を吐いて、

 「まぁ確かに……そう思えば五分五分ですかねー」
 「いえ……そうでは、なく……」
 「じゃあ何です? まさか相手に肩入れしてるんですかぁ?」
 「リフォルさんと、彼では……背負うものが、違うんじゃないかな、と……」
 「……か、簡潔に言って貰えますですか?」
 「……リフォルさんは……負けるかもしれません……」

 その言葉を聞いて、ルルネはキッ、とファイを睨む。
 然しそんな表情にさえ動揺しないファイ。

 「リフォル君は勝ってくれますです。彼は我々チームの中で最強なんですよ?」
 「だから……です」
 「……?」
 「リフォルさんは、負けた事がない……それはきっと、大きな欠点です……」

 どういう事です? とルルネは尋ねる。
 そしてファイは、一呼吸置いて、

 「負けを知らない人は……一度でも道を迷った事のない人は……決して、強くないんです」

 自分がそうだったから、分かる。
 ファイはそう言っているようだった。
 家族を殺され全てを恨み、何度も地の果てで泣きじゃくり、悩んで迷い続けた彼女。
 だからこそ分かる事。それが負けを知らぬ者の一番の欠点。

 狂いなく人生全てに全身全霊を賭けてきた彼には、分からない事。

 ファイはただただ、自分のチームのリーダを見る。
 何て逞しい背中だろう。とても弱いとは思えない技術。

 然し彼女はこうも思う。

 レトヴェールの背中は、とても大きく見える、と。
 あの背中に全てを託したら、何故だか安心できるような。
 確信はないけれど、そう思わされる。

 ファイは少しだけ、笑った。







 「八斬切りィィ——————!!!!」

 レトは、岩の塊を打ち砕く。
 然しその残骸に隠れていたリフォルは、レトの背後から思い切り肘を落とす。

 「ぐはァ!!?」

 レトは、小さな岩に埋もれながら、その攻撃に声を上げた。
 そして前に体勢を崩す。然し彼は、地面に手をつける事なく、

 「十字斬り————!!」

 リフォルがいたと思われる方へ、思い切り剣を振るった。
 然し彼はそこにいない。ぱらぱらと崩れる岩の上に立ち、飛び回って足場を変えながらこちらを見ていた。
 レトはそれを確認して、後ろへ下がる。
 岩から華麗に着地する彼との距離は、僅か10m弱。

 (近くにいたから分かる……あいつの元力、並じゃねぇ……)

 あれだけ攻撃しておいて、彼は悠然と立っていた。
 蛇梅隊のような戦闘機関にいなくとも、彼はしっかりと戦闘経験を積んでいるようだった。
 それは多分、元魔と戦っていたのではなく、人間相手だったという事。
 レトの行動も、殆どを見切っている彼には小細工は通じない。
 それは分かっていた。

 「……そろそろ、終いにしようか」
 「……?」
 
 何かが、来る。
 レトはそう直感で感じ、双斬を構え直す。
 リフォルはふっと、目を閉じた。
 
 「我最強の技でいかせてもらおう」
 「————!?」
 「第八次元発動——————————岩竜!!!」

 途端、大地が揺れた。 
 何だ何だと観客がざわめき、徐々に地面が割れていくのが分かった。
 そして————会場から現れたのは。


 「————————竜ッ!!?」


 そう、岩で形取られた“ドラゴン”。
 大きな翼を生やし、巨大なその口で派手に叫ぶ。
 その怒号は全ての人を圧倒し、その牙は今正にレトへと向いている。
 十大魔次元の中で、最強の攻撃力を持つ“魔竜”。
 竜と化した岩の塊は、会場遥か高くで躍り舞う。

 「う、嘘……」
 「あんな、の……ありかよッ!?」
 「とてもじゃないが、敵うものじゃない……!!」
 
 キールアも、サボコロも、エンさえも。
 その竜の姿に唯驚きを見せるだけ。
 然しレトは言葉を紡ぐ事もなく。

 「……あれに打ち勝たなきゃ、始まんねぇ!!!」

 しかと、双斬を握り締めた。
 そしてその場から飛び上がり、一瞬のうちに竜の前へと姿を現す。

 「馬鹿な男よ……我最強の竜に喰い殺されるが良い——————!!!」

 リフォルは、天上へ向けてそう叫ぶ。
 それに応えるようにまた、岩竜も天へと吠えた。
 レトは体の目の前で双斬を十字に重ね、

 「第八次元発動————————十字斬りィィィ!!!!」

 竜に向かって、思い切り振り切った。 
 それは腕の力を全て駆使し、放たれた一撃。
 真空波が、岩竜にぶち当たって爆発音のような音を立てる————が。


 「え……!?」


 レトは思わず、言葉を失った。
 確かに、十字斬りは直撃した。それも一瞬の避ける間を与えず。
 然し竜は、その煙が晴れ、姿を現し、


 「オオオォォォォ————————!!!」


 無傷のままで、怒号を撒き散らかす。
 その巨体には十字斬りを受けた形跡すら残らない。
 そして。

 「今度はこちらの番だな——————岩竜!!!」

 リフォルは、岩竜に向けて叫んだ。
 地に落ちたレトは、咄嗟にその竜を見上げる。
 然し竜は、思いも寄らないスピードで急降下してきた。

 (やばい————————来る!!!)

 竜が大きく口を広げ、その牙が向き出しとなる。
 そしてまるで餌を喰らうように——————その口で喰いついた。

Re: 最強次元師!! ( No.883 )
日時: 2012/08/25 15:50
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: dYnSNeny)

第221次元 第九次元、勃発

 「う、そ……」

 キールアは、思わず声を漏らす。
 いや、彼女と問わずとも、観客にいた全ての人間が黙り込んだのだ。
 消える岩の竜。そして立ち込める煙。
 その煙から外れて涼しい顔で佇むリフォルは、笑う事もせず。
 唯煙の先にいる彼を、見据えるだけ。
 
 『こ、これは……レトヴェール選手大丈夫なのか……?』

 あまり活躍しない実況でさえ、驚きも隠せず声を漏らした。
 巷じゃ有名だったエポール義兄妹の兄が、竜に呑み込まれた。
 その事実が信じられず、誰もが息を呑み込んだ。
 
 (……あれで生きていられた者は、そういない)

 リフォルは、静かに勝利を確信した。
 何と言っても、レトヴェールの姿が見えない。
 攻撃される雰囲気もない。最早、生きているかさえも。

 「……!!?」
  
 瞬間、リフォルは妙な殺気を感じた。
 胸の奥が疼くような、まるで心臓を抉り取られるような。
 気持ちの悪い感覚が、胸元で響き渡る。
 
 その時だった。


 「————————ッ!!!?」


 リフォルの体が、引き裂かれた。


 「ぐ……ァ……!!!」

 まるで双剣で、十字に斬られたような傷跡が残る。
 そう、“双剣”で。

 
 「————————余所見すんなよ、“天才次元師”」


 聞き慣れた声が響く。
 彼は血に塗れた双剣を払い、
 そうして、笑った。

 「レト————!!!」

 驚いたキールアは、思わず手すりに喰らいつく。
 あの岩竜に喰われ、尚笑いながら登場する彼は、本当に逞しく。
 少し涙を浮かべながら、必死に叫ぶ。
 そして彼の一言で、会場がまた歓声に溢れた。

 「き、さまァ……何故、生きて……!!」
 「ったくあんな物騒なもんで攻撃しやがって……お陰で死ぬかと思ったぜ」
 「そうではない!! あれを受けて何故……!!」

 リフォルは叫んだ事を悔やんだのか、がくりと膝をつく。
 然し2人の傷の具合は同じ程。見ただけではとても立っていられない傷のつき方をしている。
 それでも尚、レトヴェールは立っていた。
 震えもせず、怯えもせず。

 「確かにまともに喰らったけどよ……あそこで諦めたら全部終わっちまうだろうが」
 「……そういう事か……どうやらもう一度、死にたいらしいな」

 リフォルも負けじと立つ。
 今の言葉からは、レトの決意が感じられた。
 然しこれ以上闘うには無理がある。
 体力も元力も殆どない。
 それだけ計算すれば、どう考えてもリフォルの方が有利になる。
 
 「いくぞレトヴェール——————————岩柱!!!」

 地面に両手をつくリフォル。
 そしてレトの真下から、勢い良く岩の柱が飛び出した。
 それに弾かれるようにまた頭上に飛ばされる。

 「う、く……っ」
 「こっちだ、レトヴェール!!!」

 またしても後ろにまわったリフォルは手を突き出す。
 然しレトも学んでいない訳ではない。
 その攻撃に瞬時に対応するように、空中でくるりとまわった。

 「岩撃————!!」
 「真斬————!!」

 ぶつかり合う岩と剣。
 互いが技を使い合う度、徐々に元力も削られていく。
 そんな繰り返しが、空中から地上に変わっても行われ続ける。
 どちらも退けを取らない、そんな攻防戦が続くのだった。

 「岩弾!!」

 後ろから、或いは前から、岩の塊がレトの体を襲う。
 それを全て斬り刻むには、あまりに体力を減らし過ぎた。
 体中に衝撃を受けながらも、レトは立ち続ける。
 
 「八斬切り————ッ!!」

 岩弾を全て薙ぎ払い、レトは周りを見渡した。
 然しリフォルはいない。
 何処から来るか分からない以上、しっかりと周りを見ていなくてはならない。
 そう思っていた時だった。

 「岩砲————!!」

 自分の下から、声が聞こえた。
 然し刹那の間にレトは岩に弾き飛ばされる。
 柱ではない、別の技に。

 「お、おま……何で地面から……!?」
 「十大魔次元を扱う者は、時にその技と一体になるのが常識だ」

 地面の土を抜けて、リフォルが起き上がる。
 彼の言い文も、正しいところがある。
 十大魔次元は自然の一部。
 それを扱うには己が自然を知る事が重要である。
 故に一体となって闘う事でより自然を理解し、強くなる。
 そういう訳である。

 「なるほど……初めて聞いたな、そんな理屈」
 「十大魔次元を扱う者にしか、分からない事だ」
 「そっか……じゃあ後でサボコロに聞いてみっかな」

 服についた土を払い、レトはまた立ち上がる。
 それでも精一杯で、双斬を握る力も最初とは比べ物にならないくらい弱かった。
 だからこそもう一度強く、より強く握り締める。
 絶対に、離さないように。



 

 「……次で……決まりそうですね」
 「え……どういう事です?」
 
 ぽつりと、ファイは呟く。
 そんな時、治療を終えたムシェルはむくりと起き上がった。
 見るからに痛々しい。全身が包帯で包まれている。

 「次って……、まさか2人とも最大元力を使うってんじゃ……」
 「そう、ですね……あの瞳は、次で決める、という目をしてる……」
 「じゃあ本当の本当に、決まるんですね……」

 誰もが息を呑む。
 2人とも依然として動かず、唯相手を見据えるだけ。
 リフォルの手も、動かない。
 然し2人とも決して暢気な顔はしていない。
 次で決めてみせると、あの表情からはそう読み取れる気がした。

 「ギリギリまで——————出せる元力を全てぶつけよう」

 リフォルは、ゆっくりと手を挙げた。
 これ以上は続けさせない。
 必ず戦闘不能にしてやる、と。
 そう、訴えるかのような瞳で。

 「もう一度姿を現せ——————」

 その鋭い瞳は、既に全てを覚悟していた。

 「第九次元発動————————岩竜!!!!」

 十次元の、一歩手前。
 法に触れぬ空前絶後の力。
 その姿が今、力と化して————レトの目の前に立ちはだかった。


 「オオオオォォォォ——————ッ!!!」

 
 もう一度、その絶対の力が君臨する。
 その怒号で、全てのものが薙ぎ払われそうだ。
 レトはそう思う。
 然し彼は————決して臆する事なく。

 「次こそぜってぇ負けねぇ——————必ずぶっ潰す!!!」

 レトは、右手の剣を突き出す。
 そして、竜はまた標的へと向かい、加速した。
 持ち前の怒号で叫びを散らしながら急降下する。
 然しその姿を見て、彼は怯えない。
 それどころか楽しそうに笑って、大きく息を吸い込んだ。

 「第九次元発動————————!!!」

 そう、ありったけの声で叫んで。
 リフォルもキールア達も思わず驚いた。

 (あいつも——————九次元だと!!?)

 然し彼の言葉ははったりなんかじゃない。
 周りに溢れる気力が、渦を巻く。

 この瞬間、この場にいた誰もがその背中を大きく感じた。

Re: 最強次元師!! ( No.884 )
日時: 2012/08/27 19:56
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: dYnSNeny)

第222次元 2つの次元技と次元改変  

 上空から地上まで、僅かあと十数メートル。
 レトは刃を後方を向け、腕もまた体より後ろに追いやる。
 刃が光を帯びる。そして竜が鋭い牙を向ける。

 レトヴェールは————、遥か上空を見上げた。


 「——————————万闘円斬ッ!!!!」

 
 全ての景色を薙ぎ払うように、空を斬る。
 そして岩の竜と赤き真空波が、互いに衝突した。

 「行っけェェ——————!!!」

 「押し潰せ、岩竜——————!!!」

 真空波が、竜の腹部にぶち当たる。
 そして竜が、それに耐えて弾こうとする。
 どちらも優勢で結果が見えないと————そう思った矢先。


 「「——————!!?」」


 真空波が、岩の竜を打ち砕いた。

 「そ、んな……何故……————!!!」

 然しレトヴェールは、刹那の隙間さえ与えなかった。
 レトの存在に気付かないリフォルは————もう遅い。


 「——————ッ!!?」
 
 「八斬切りィィィ————!!!」


 煙の中を抜け、加速したレトに追いつく筈もない。
 瞬間、リフォルの体は血飛沫と共に悲鳴をあげた。
 岩と共に崩れていく天才少年は、力尽きたように倒れる。
 それは、レトの勝利を明らかにしたものだった。

 『しょ、勝者——————レトヴェール・エポール!!!!』

 吠えるように上がる歓声の中、レトはサボコロ達に向けて大きく剣を上げた。
 そして喜び合う。ボロボロになったリーダーの勝利を。

 『第1回戦は——————エポールチームの勝利だァァァ!!!』

 再び上がる歓声はもう歓声ではなく叫び声にすらなっていた。
 かなり喧しいその声に、レトも思わず表情が苦しくなる。
 そしてボロボロの体を何とか引き摺って、選手席へ戻る。
  
 「よっ! 良くやってくれたな!!」
 「まぁ……結構ギリギリだったけどな。……つうか休みたい」
 「今はゆっくり休め。何日か休養を貰えるはずだ」
 「あぁ、そうだな」

 サボコロとエンが2人がかりでレトを持ち上げる。
 肩を貸したままのレトは、いつの間にやら眠っていて。
 その後を追うように、キールアも歩き出す。
 これで、漸く終わる。
 長かった第1回戦が。

 





 「くぅーっ! やっべぇ疲れた」
 「本当にね。この後はミル達の試合だっけ?」
 「ああ。あいつらなら楽勝なんじゃね?」

 サボコロは腕を伸ばしたまま、ベッドに転がりこむ。
 今日一日だけで体力も元力も限界に達している。 
 そんな4人はそれぞれのベッドに腰掛けてまどろんでいた。

 「って……そういえば俺、聞きたい事あったんだけどさぁ」

 サボコロが、寝転んだ体をくるっと前に起こす。
 その声に反応して、キールアもエンも向く。
 流石にレトは熟睡中なので向く事もなく、唯寝息を立てて眠っていた。

 「キールアの次元技って、ぶっちゃけどうなってんの?」
 
 そういえば、とエンも言う。
 一度次元技が失われたにも関わらず、キールアは違う次元技を出現させた。
 それは今までにない特例の出来事で、勿論知らない訳で。

 「それなら、話が長くなるけど聞いて貰えるかしら?」
 「「「!!?」」」

 キールアの背後から、突然凛とした声が響き渡る。
 ひょっこりと顔を現したのは、百槍だった。

 「お、お前……おお驚かすなよ……」
 「びっくりしたぁーっ」
 「神出鬼没だな、元霊というのは」
 
 あはは、と炎皇と光節も笑う。
 確かに出現自由自在なので、いつ何処で出てきても可笑しくないのだが。
 それより、と。
 百槍は話を切り出した。

 「聞きたいんでしょう? 私と“慰楽”の秘密が」

 ごくり、と、皆が喉元を鳴らし、百槍に視線を集めた。
 そう、これは今から500年も昔の話だった。




 500年ほど前、この世界では“次元改変”という行事が一度だけ行われた。
 何故そんな事が、というと。
 実は各地域で“次元技が勝手に暴走する”や“元力の消費が異常に速い”等という問題が起きていた為。
 全ての次元技を回収し、その次元の再調整を行ったのだ。
 そのおかげで殆どの次元技が元通りになり、問題は発生しなくなった。
 然したった2つだけ、その調整に失敗し、逆にくっついてしまった次元技があった。
 それが“慰楽”と“百槍”。

 「でも、今まで慰楽を使っていた人は、百槍の存在なんかに気付かなかったわ」
 「え?」
 「貴方みたいに百槍を扱った人は、今までほんの一握り。慰楽のまま戦い、死んでいく次元師が殆どだったの」
 「へ、へー……」
 「でも別に悪い事じゃないわ。このおかげで少しだけだけど、慰楽の次元技を使えるのだから」

 百槍の言う通り。
 2つの次元技が1つと化してしまった以上、この事実は変えられない。
 然し百槍まで辿り着いた人は、何と慰楽の時使っていた次元技を少しだけだが使う事ができる。
 これは悪い話ではない。

 「なるほどなぁ、でもこれでキールアも元霊持ちかぁ」
 「そ、そうだね」
 「そう考えると俺らって凄くねーか? その、ロクも含めたら……全員元霊持ちじゃんか」

 そう、言われてみればそうだ。
 普通出会う筈のない5人の元霊持ちが、もう既に出会っている。
 しかもその内4人は同じチームで、仲間である。
 然しこんな偶然が本当に在り得るのだろうか。

 「偶然じゃ、ないのかもね」
 「びゃ、百槍……?」
 「もしかしたら、何か使命を果たす為に……集められてしまった、とか」

 その言葉に、3人が黙り込む。
 何かを背負い、何か使命を果たす為に、この場に揃っているのだと。
 そう百槍が言い放ったからだろう。

 「は、はは……いや、んなわけねーって。確かに……出来すぎてるけどよ……」
 「そうだぞ百槍。こんなサボテンと使命を果たせなどと……」
 「今のは違うと思うぞこのチビ」
 「何か言ったかバカテン」
 「今略したァ!!?」
 「でも……そうだったら、良いね」
 
 キールアの何気ない小さな一言に、睨みあっていた2人は動きを止めた。
 そしてキールアも、少しレトの方を見やる。

 「この4人と……あとロクで、何か使命を果たせるんだったら、あたし、それが良いなっ!」
 「……まぁ、そうかもな!!」
 「どこまでいっても一緒か……」
 「お前とはご免だけどなっ」
 「こっちの台詞だバテ」
 「……いや、それは略しすぎ」

 サボコロとエンも、何気に喧嘩の雰囲気を殺していた。
 あの時の2人の表情に比べたら、柔らかく、とても穏やかなものに変わってきている。
 これもレトの戦いを見たせいだろうか。
 そう思うと自然に顔が綻ぶと、そうキールアは思った。

 「じゃあもう難い話はやめて休もっか」
 「そうだなー。キールアこそ休んだ方が良いぜ? お前無茶しすぎたんだし」 
 「はは……それもそうかも」

 3人は、飲み物を飲むなり寝転がるなり、自由にこの時を過ごしていた。
 唯、こんなまったりした時間が夢のようだと思いながらも。
 それでもまだ、次が待っている。
 ミル達が勝ってくれる事を、心から望んで。



 (果たすべき宿命、か……)

 唯一人。
 眠ったふりなんかしてた金髪の少年も、その言葉に悩まされていた。


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