コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 最強次元師!!【※新スレ作成におけるお知らせ有り】
- 日時: 2015/03/15 09:40
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n5050ci/
運命に抗う、義兄妹の戦記。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
基本毎週日曜日に更新!
※追記
実は、本作を一から書き直そうと思いまして別サイト様にて“完全版”を再連載し始めました。
やりたい話が多くて一度断念してましたが、やっぱり優先しようと思ってもう一度記載致します。
ご興味のある方はどうぞ! 上記のURLで飛べます*
とってものんびりと、更新する予定です。
Twitterの垢をつくってみました→@shiroito04
イラストとか宣伝とかを呟いてます!
※注意事項
・荒らし・中傷はお控え下さい。
・チェンメなんかもお断りしてます。
●目次
prologue >>001
第001次元 >>002第011次元 >>012第021次元 >>048
第002次元 >>003第012次元 >>013第022次元 >>050
第003次元 >>004第013次元 >>019第023次元 >>052
第004次元 >>005第014次元 >>020第024次元 >>055
第005次元 >>006第015次元 >>021第025次元 >>059
第006次元 >>007第016次元 >>025第026次元 >>060
第007次元 >>008第017次元 >>027第027次元 >>063
第008次元 >>009第018次元 >>030第028次元 >>065
第009次元 >>010第019次元 >>044第029次元 >>070
第010次元 >>011第020次元 >>046第030次元 >>071
第031次元 >>072第041次元 >>146第051次元 >>224
第032次元 >>077第042次元 >>169第052次元 >>230
第033次元 >>081第043次元 >>176第053次元 >>234
第034次元 >>082第044次元 >>179第054次元 >>241
第035次元 >>090第045次元 >>180第055次元 >>245
第036次元 >>097第046次元 >>189第056次元 >>260
第037次元 >>104第047次元 >>191第057次元 >>262
第038次元 >>108第048次元 >>203第058次元 >>264
第039次元 >>109第049次元 >>209第059次元 >>268
第040次元 >>138第050次元 >>216第060次元 >>274
第061次元 >>298第071次元 >>359第081次元 >>385
第062次元 >>300第072次元 >>361第082次元 >>388
第063次元 >>308第073次元 >>365第083次元 >>391
第064次元 >>337第074次元 >>369第084次元 >>393
第065次元 >>338第075次元 >>370第085次元 >>399
第066次元 >>339第076次元 >>371第086次元 >>402
第067次元 >>345第077次元 >>377第087次元 >>403
第068次元 >>346第078次元 >>378第088次元 >>413
第069次元 >>352第079次元 >>380第089次元 >>414
第070次元 >>353第080次元 >>383第090次元 >>417
第091次元 >>420第101次元 >>448第111次元 >>480
第092次元 >>421第102次元 >>450第112次元 >>484
第093次元 >>422第103次元 >>458第113次元 >>489
第094次元 >>427第104次元 >>459第114次元 >>495
第095次元 >>431第105次元 >>467第115次元 >>499
第096次元 >>432第106次元 >>472第116次元 >>501
第097次元 >>433第107次元 >>475第117次元 >>502
第098次元 >>436第108次元 >>477第118次元 >>504
第099次元 >>444第109次元 >>478第119次元 >>507
第100次元 >>445第110次元 >>479第120次元 >>508
第121次元 >>509第131次元 >>544第141次元 >>558
第122次元 >>510第132次元 >>546第142次元 >>560
第123次元 >>511第133次元 >>547第143次元 >>563
第124次元 >>512第134次元 >>551第144次元 >>564
第125次元 >>520第135次元 >>552第145次元 >>565
第126次元 >>521第136次元 >>553第146次元 >>576
第127次元 >>528第137次元 >>554第147次元 >>590
第128次元 >>533第138次元 >>555第148次元 >>595
第129次元 >>534第139次元 >>556第149次元 >>608
第130次元 >>536第140次元 >>557第150次元 >>623
第151次元 >>631第161次元 >>683第171次元 >>759
第152次元 >>632第162次元 >>711第172次元 >>760
第153次元 >>633第163次元 >>719第173次元 >>762
第154次元 >>637第164次元 >>726第174次元 >>764
第155次元 >>643第165次元 >>739第175次元 >>766
第156次元 >>655第166次元 >>749第176次元 >>768
第157次元 >>659第167次元 >>753第177次元 >>769
第158次元 >>664第168次元 >>754第178次元 >>770
第159次元 >>665第169次元 >>755第179次元 >>771
第160次元 >>680第170次元 >>758第180次元 >>772
第181次元 >>773第191次元 >>788第201次元 >>813
第182次元 >>775第192次元 >>789第202次元 >>814
第183次元 >>776第193次元 >>792第203次元 >>826
第184次元 >>777第194次元 >>793第204次元 >>832
第185次元 >>778第195次元 >>794第205次元 >>835
第186次元 >>781第196次元 >>795第206次元 >>841
第187次元 >>782第197次元 >>798第207次元 >>853
第188次元 >>783第198次元 >>802第208次元 >>854
第189次元 >>784第199次元 >>803第209次元 >>855
第190次元 >>785第200次元 >>804第210次元 >>858
第211次元 >>862第221次元 >>883第231次元 >>897
第212次元 >>868第222次元 >>884第232次元 >>898
第213次元 >>873第223次元 >>888第233次元 >>901
第214次元 >>874第224次元 >>889第234次元 >>902
第215次元 >>875第225次元 >>890第235次元 >>903
第216次元 >>876第226次元 >>892第236次元 >>904
第217次元 >>877第227次元 >>893第237次元 >>905
第218次元 >>878第228次元 >>894第238次元 >>906
第219次元 >>879第229次元 >>895第239次元 >>907
第220次元 >>882第230次元 >>896第240次元 >>908
第241次元 >>909第251次元 >>929第261次元 >>955
第242次元 >>913第252次元 >>930第262次元 >>956
第243次元 >>914第253次元 >>933第263次元 >>957
第244次元 >>915第254次元 >>947第264次元 >>958
第245次元 >>916第255次元 >>948第265次元 >>959
第246次元 >>917第256次元 >>949第266次元 >>960
第247次元 >>918第257次元 >>951第267次元 >>961
第248次元 >>919第258次元 >>952第268次元 >>962
第249次元 >>921第259次元 >>953第269次元 >>963
第250次元 >>926第260次元 >>954第270次元 >>964
第271次元 >>965第281次元 >>977第291次元 >>988
第272次元 >>966第282次元 >>978第292次元 >>989
第273次元 >>967第283次元 >>979第293次元 >>990
第274次元 >>968第284次元 >>981第294次元 >>991
第275次元 >>969第285次元 >>982第295次元 >>992
第276次元 >>970第286次元 >>983第296次元 >>993
第277次元 >>973第287次元 >>984第297次元 >>994
第278次元 >>974第288次元 >>985第298次元 >>995
第279次元 >>975第289次元 >>986第299次元 >>996
第280次元 >>976第290次元 >>987第300次元 >>997
※第301次元〜は新スレにて連載予定
●おまけもの●
●資料集など
皆のプロフィール1 >>218
皆のプロフィール2 >>278
皆のプロフィール3 >>287
皆のプロフィール4 >>288
皆のプロフィール5 >>289
皆のプロフィール6 >>503
主な登場人物 >>852
さいじげテスト。 >>843
最強次元師!! について >>58
●番外編
キールアの想い >>41
メイド喫茶祭り① >>327
メイド喫茶祭り② >>331
メイド喫茶祭り③ >>341
友達の証① >>492
友達の証② >>493
友達の証③ >>494
疎外少年と次元少女① >>810
疎外少年と次元少女② >>811
疎外少年と次元少女③ >>812
蛇梅隊DE☆大集合!! >>829
E FIEDLA >>941
英雄と妖精 >>945
●外伝
第001時限 >>942
第002時限 >>943
第003時限 >>944
●キャラ絵(1人)
奏様が描いて下さったルイル >>116
奏様が描いて下さったティリ >>105
奏様が描いて下さったロク >>119
奏様が描いて下さったロク(舌出しVer.) >>185
奏様が描いて下さったロク(ポニテVer.) >>523
奏様が描いて下さったキールア >>127
奏様が描いて下さったアリル >>141
奏様が描いて下さったリリアン >>148
奏様が描いて下さったミル >>154
奏様が描いて下さったフィラ副班 >>162
奏様が描いて下さったレト >>168
奏様が描いて下さったレト(メイド服Ver.) >>329
奏様が描いて下さったガネスト >>304
奏様が描いて下さったガネスト(メイド服Ver.) >>318
奏様が描いて下さったアルア >>460
●キャラ絵(複数)
奏様が描いて下さったレト、ロク、キールア >>693
奏様が描いて下さったエン、ミル、リルダ >>737
☆奏様には毎度ご感謝しております!!
すごく似ていて、イメージ通りです
キャラの絵が分からない場合には奏様の絵を見て下されば納得します!!
これからも描き続けてほしいですね、是非とm((黙
●お知らせなど
* 2009 11/13 執筆開始
* 2013 09/01 執筆中断
* 2014 01/17 執筆再開
* 2014 10/19 別サイトにて再連載開始 >>980
* 2015 03/15 新スレ作成におけるお知らせ >>998
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200
- Re: 最強次元師!! ( No.800 )
- 日時: 2011/04/27 20:16
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jBQGJiPh)
>>そらモ
気付くねぇ。長年の付き合いってやt((←
分かるwなんか未熟で見ていて楽しいよw
楽しみにしてくらはいっ、多分期待外れだろうけどぬ。
Me too!!←
幼馴染は肝心だ!!小説には欠かせない設定だよね!!
え、そうなの!?…では出来上がったら見に行こう。楽しみだ(´∀`*)
良いよーっ!!
マジか…ついさっき1番上の兄と喧嘩もどきしてきた^q^
横通る度舌打ちされたしwww
- Re: 最強次元師!! ( No.801 )
- 日時: 2011/04/28 17:17
- 名前: そらモ ◆EAM9lqlcNY (ID: rRtxGeJP)
何か凄くうれしいw((
昔は自分たちもああだったのかなぁって←
了解ですっ、そんなことないさ!!
ねー!絶対いる設定!!幼馴染を中心に世界は回っているっ
へっへhっへ←
大ジョブ?w
それはそれで怖いね…w
- Re: 最強次元師!! ( No.802 )
- 日時: 2011/07/10 22:55
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: SLKx/CAW)
第198次元 漆黒の堕天使
誰もがこの少女の姿を見て、生唾を飲み込んだ。
不気味に蠢く漆黒の瞳の視線からは、人間という感覚を狂わせられる。
本当に子供なのだろうか、そもそも人間なのだろうか。
震える腕を抑えて、レトはすっと息を吸った。
「おい…、お前此処の主か何かか?」
「質問に答えよう。そうだ、神の聖域である“神の水”の守護神である」
「か、神の…水?」
言い伝えの中に記述されていた、“互い祀るは神の水”の、“神の水”だろうか?
もしそうだとするならば…これで明白になる。
あの言い伝えが本当にこの決定戦と繋がっている、という事が。
「それじゃあお前、“真”っていう言葉に聞き覚えないか?」
「…“真”。即ち“白き太陽”…“純白の聖天使”」
「…!!?」
「残念だったな小僧共。私は“嘘”、“黒き月”…そう、“漆黒の堕天使”だ」
「ど、如何いう…事、なんだぁ?」
「つまり正反対の道に来てしまった、という事だ」
「…はぁぁ!!?、ど、どうすんだよーッ!!」
相容れない2つの存在が在る事を知り、更に別の道を選んで進んできてしまった4人。
“真”の真実を探る為には“真”の天使に会わなくてはならないにも関わらず…目の前には堕天使の姿。
結果、後戻り出来ない間違った選択をしてしまったという事だ。
「ち、くしょ…!!」
「如何するレト、決めるのはお前だ」
「んな事言われたって…」
「…何を迷っているか知らんが、此処に来た以上逃がす訳にはいかない」
「な…ッ!?」
「…————————覚悟しろ、生きては帰させんぞッ!!!」
漆黒の瞳がぎらりと一瞬の光を帯びた直後、少女は風の如く素早く消えてしまった。
何処から現れるのかも分からぬ緊迫した状況で、4人は辺りを見渡した。
汗が煮え滾るその瞬間に————————、少女の姿はサボコロの後方に現れた。
「さ…サボコ——————ッ!!!」
レトが叫んだのとほぼ同時。
紅蓮の血飛沫が4人の視界を過ぎった。
「…さて、次は誰が良い?」
その華奢な体には似合わない程大きな鎌を背中に背負い込み、残った3人をキッっと睨む。
鋭く真っ黒な鎌で直接背中に斬り込まれたサボコロは声を出す間もなく地面に倒れこんだ。
苦しそうに足掻き、遂には気を失ったように動きまで止まってしまった。
「ど、どうなってんだよ…!!」
「これは本気で戦って勝てるかどうか…っ」
「サボコロが…っ!!どうしよう…ッ!!」
目の前の現実に飲み込まれてしまった3人を見て、少女は哂う事もなく近づく。
1歩1歩…確実に、正確に、3人の下へ歩み寄る。
そしてすっと右手を鎌の位置へ持っていき、その柄の部分を掴み取る。
まるで今から獲物を狩る————————獰猛なハンターのように。
「「「次元の扉——————————、発動!!!」」」
すると3人は声を合わせて、戦闘準備の為に次元の扉を開いた。
自然に汗が頬を流れる。自然に足が竦む。
気を引き締めて、いざ3人はバラバラに飛び散った。
左右に別れたエンとキールアとは違って動かず少女の目の前に立つレトはふっと双斬を下へ払う。
「お手並み拝見だな…————————、八斬切りッ!!!」
双斬を素早く八つに分けて振り、その剣先を少女へと向かわせる。
唯冷然として立っている漆黒の少女は、ふわっと服の袖を翻し、八つの攻撃全てを見切り、避けてみせた。
「…ぁ…な…!!?」
「我が名は『ドルギース』、私は決して——————————、貴様等人間を許しはしない!!!!」
ドルギース、と名乗った少女は漆黒の鎌を横に振り切った。
孤を描くように飛んできた鎌の攻撃をレトは咄嗟の行動では避け切れず、端の部分が見事腕に当たってしまった。
「ぐあァッ!!?」
スパン!!と切れた腕の切り口からは早くも血が流れ、抑えた手を乗り越えて地面へ向かい零れて行く。
レトは必死に腕を抑え、痛みに耐えていたが…ふと。
(あ、れ…?)
何かに気付いたような、そんな思考が頭を過ぎった。
先程言った、“誰か”の言葉を。
だが一瞬くらりと薄らいだ意識を取り戻す為に、そんな事を考える余地もなかった。
「…他愛もない」
ドルギースの顔は笑ってはいない。だが確実に嘲笑っている。
そう言葉を良い捨てたドルギースは背後に気配を感じて突然振り返った…だが。
「…何処を見ている、堕天使よ」
後ろにいたのは、エン・ターケルドだった。
「一閃——————ッ!!!」
金色の弓を引き、いざその矢先を堕天使に向かって勢い良く放つ。
避ける事が出来ない一瞬の時の中、ドルギースの体には太くて鋭い矢が貫通する。
その弾みで思い切り血を吐き出したドルギースは、顔を顰めエンを酷く睨み付けた。
「…ん、の…!!!」
「…!!?」
「人間の分際で————————私を傷つけるとは何事かッ!!!!」
怒りに狂ったドルギースはエンに向かって精一杯に鎌を振り下ろす。
咄嗟に避けたエンだったが、鎌の先は容赦を知らない。
鎌先は見事エンの左肩を捉え、勢いと共に骨を砕く。
「ぐ…ッ、きさ…ま…!!」
「はぁ…はぁ…、許さんぞ…」
「く……ッ!!」
(如何する…エンは今あいつに狙われてるし…かと言って俺は動けない…キールアはサボコロに元力使ってるし…)
エンは肩を抑えてなるべくドルギースから距離を取り、攻撃を防ぎつつある。
キールアはサボコロの治療の為に離れた場所で“傷消止血”を何度も繰り返していた。
レトは無力な自分を責め…ただ只管に呼吸を整える。
「これで鬼ごっこは終わりだ——————、地獄に行くが良いッ!!」
エンに向かって大きな鎌を振り上げ、そのまま1秒にも満たない内に振り下ろした。
肩を負傷して動ける訳のないエンの心臓は跳ね上がり、そしてまたしても視界には真っ赤な血が飛び散った。
キールアはその光景を見て口を抑え、ぎゅっと目を瞑った。
ドルギースはこの時初めて口角を吊り上げて、笑った。
確信した、エンの死亡を。
…—————————————、だが。
「……ッ!?—————————何だとッ!!?」
目の前にいたのは、藍色の髪をしたエンではなかった。
「…れ……————————レトッ!!?」
金髪の髪を耳くらいまで結い上げ、俯きながら深呼吸を繰り返している。
だがエンを護る為に覆った右腕には見るも無残な鎌の傷跡。
唇を噛み締めて、ただ懸命に堕天使を睨み付けていた。
「何だ、と……な、何故だ…!!何故だレト!!!」
何故、突き出したのは双斬ではなく、自分の腕だったのだろうと。
そう、エンは問う。自分を護る為に腕を斬る覚悟で目の前に現れた少年へ、問う。
「答えは……、1、つ…だろ……?」
「……」
「自分の、腕で…—————————、護りたかったからなんだよ」
その瞬間、レトヴェールの口元は確かに歪み、そして。
静かに流れるように…地面へと体を打ちつけた。
- Re: 最強次元師!! ( No.803 )
- 日時: 2011/05/11 19:58
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jBQGJiPh)
第199次元 対立国
「ど、どうすん…だよ…っ」
「さ…サボコロ!!?」
「ありがとなキールア。…でも、何なんだよこの状況は」
(2人共…どうしよう……!!!)
目の前ではエンが叫びながらレトの体を揺すっている。
何度も何度もその名を呼ぶが、レトは気を失ったまま倒れてしまっている。
堕天使は表情一つ変える事なく佇み、ただじっとエンの様子を伺っていた。
「さぁ如何する?今すぐ此処を去るか、それとも4人共此処で命を落とすか————————、選ばせてやろう」
「く…ッ!!」
「如何する?…ねぇ、サボコロ」
「如何するたって…、俺達じゃ何も…っ」
サボコロはよろりと立ち上がり、腕を構えた。
炎皇を纏い唯堕天使を見つめ、怯える心を必死に抑えていた。
「————————、炎撃ィィーーッ!!!」
そうすると自分の腕から燃え上がる炎を堕天使に向かって放った。
深い炎の焼ける音が地面の上を駆け巡ると、休息もなく堕天使の華奢な体を捉え、包み込んだ。
然し燃え滾る炎の渦の中、少女はさも当然のように炎の中から姿を現したのだ。
まるで、小さな技だとでも言うように。
「…、な……っ!?」
「…実に詰まらない技だな、小僧」
「…ち、くしょう…!!如何すりゃ良いんだよ…!!」
更に鼓動は加速していき、堕天使を見つめる瞳を疲れを帯びてきた。
キールアも自分の掌を見て、カタカタと震えている。
(も…もう元力がない……ッ!!?)
先程のサボコロの傷の手当てで、元々の少ない元力を削り、最早キールアに残された元力は僅かだった。
これ以上元力を使う訳にはいかないが、それではレトもエンも助けられない。
レトは気を失い、エンの肩からは大量の血が流出し、とても矢を放つ力は残っていない。
サボコロは未だ何度も何度も次元技を堕天使に向かって使っているが…堕天使はぴくりとも動かない。
更にキールアに残された元力は僅か。
この状況を世の中では“絶体絶命”というのだろうか。
「そろそろ遊びも終わりにした方が良いだろう———————、消えろ、我が意の元にッ!!!」
堕天使は持っていた鎌を地面へと叩きつけ、聞いた事もない言葉を発し始めた。
それは何処かの国の言葉のようで、とてもサボコロ達には聞き取る事ができない。
そう…例えるならば“呪文”のような。
『“黒白月陽”—————————、第十二の錠、『月下ノ軌跡』ッ!!!』
堕天使…いや、ドルギースがその呪文を唱えた途端、4人の体はふわりと浮かんだ。
そうして風船の様な物に包まれたかと思うと、突如頭上に現れた大きな黒い穴に吸い込まれてしまった。
ドルギースがその穴を閉じると、4人の意識は一瞬で吹っ飛んでしまう。
「…ん、ぁ……」
レトは1人うっすらと瞳を開いた。
まだ視界がぼやけていたのか辺りを見回している様にも見える。
唯レトはゆっくりと起き上がり、再び瞼を持ち上げた。
「こ、此処…、は……。つ、つか怪我…い、痛くない?」
目の前に始めに飛び込んできたのは、水玉の中に入っている古い景色だった。
この場所は如何やら宇宙空間らしく、唯呼吸はきちんとできる。
遠くには銀河が見え、良く目を凝らせばその中で瞬く星々が見えるようだ。
レトは再度目の前にあった大きな水玉を覗き込んだ。
だが、あ、と声を上げたレトは急いで辺りを見回す。
ふと気が付いたのは、残りの3人も此処にいたという事だ。
「そっか…皆一緒に飛ばされたんだな…」
安堵の溜息をついたレトはもう1度、水玉の中の景色に目を向けた。
古い景色…そう、現代では見られない多くの低い家が立ち並び、小さな村の様にも見えた。
ビルが存在しない、唯自然ばかりが広がっていて…まるで昔の時代のようだ。
「すっげぇー…」
「…あぁッ!!?」
「ッ!!?」
レトが感嘆の声を上げると、突然隣から大きな声が鳴り響いた。
その大きな声に咄嗟に耳を塞いだレトはちらっと横に目を向ける。
そこには水玉の中を見て驚愕の表情を作っている、双斬だった。
「如何したんだよ…お前」
「如何したもこうしたもないよ!!!見てよ、ねぇ!!」
「はぁ?何を?」
「ほーらッ!!あの男の子!!」
どれどれ、とでも言うようにレトは水玉の中を覗き込んだ。
そこにはきょろきょろと辺りを見回している小柄で中性的な顔をした少年の姿。
その姿を何処かで見たような…という顔をしていたレトの肩を、ちょんちょんと双斬が叩く。
「あ?何だ?」
「…これ」
「ん?」
「この男の子!!」
「…お、おぉ?」
「…まさか気付かないの?」
「うん」
「僕だよ!!、千年前の僕っ!!」
レトの思考は一瞬停止し、ぱちくりと目を開いたり閉じたりしている。
そうして戻った思考を元に、水玉の中と隣にいた双斬を見比べると。
「あぁーーッ!!?」
「……、遅いよ、バカぁ」
「あ、いや、だってさ…え?」
「だってじゃないよ!!何年も一緒にいたのにぃ!!」
「マジでお前なの?これ」
「これって言わないでよー…正真正銘僕だよーっ」
「…じゃあ…これって…」
レトの鼓動は増すばかり。そう、少し考えれば分かる事。
この水玉の中の世界は…そう。
————————、千年前の世界だと言う事になる。
「でもお前…縮んだ?」
「何それ。これ僕の本当の体じゃないの、知ってるよね?」
「……あぁ、そうだっけ」
「…、薄情者」
「ま、まぁ良いとして…間違いないんだな?」
「そうだよ。どこから如何見ても…この村は『メルギース国』の中の村さっ!!」
「…え?」
その名を聞いて、レトは思わず声を上げた。
『メルギース』…そう、この言葉を聞いて。
「お前…メルギースって言ったか?」
「うん、メルギース国。あれ?知ってた?」
レトの脳内にふと違和感が走った。
昔何処かで聞いた様な…そう。
先程堕天使と戦った時同じ様な感覚になった…あの時の事。
「ま…まて、よ……」
「?、ど、どうしたの?」
「め、メルギースと…ドルギー、…ス?」
「…!?、そ、それって!!」
「!?」
「メルギース国とドルギース国の事!!?」
メルギースと、ドルギース。
その言葉も嘗て聞いた…似たような2つの言葉。
双斬はわなわなと震えていた。
「メルギース国と…ドルギース国?」
「そうだよ!!千年前、その2つの国は対立してて、戦争まで起こったんだからッ!!」
「…!?、そ、その話…聞かせてくれねぇか!?」
レトは興味津々な口調で、双斬にそう質問する。
こくりと頷いた双斬の顔にもやはり、汗が一筋垂れていた。
誰も起きてはこない、この宇宙感覚の世界。
目の前にある、千年前の景色。
一体何の目的で、何の為に、こんな所まで来てしまったのだろうか。
全ての謎は、千年前の“とある2つの対立国”に隠されていた。
- Re: 最強次元師!! ( No.804 )
- 日時: 2013/04/07 11:56
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 2DX70hz7)
第200次元 黒白の双子王女
時は今から千年前。
僕達英雄大六師さえ生まれていない……僕達のお母さんの時代の話だ。
この頃は戦争も絶えなく続き、唯一安全だったのが“メルドルギース国”だった。
メルドルギースは元は1つの大きな国で、戦争も起こったりはしなかった。
そう……国を次ぐ王女が生まれるまではね。
メルドルギース国女王、メドルル・ウェンヴェルは次の王女の為、出産を決意した。
でも、産まれたのは1人じゃなかった。
『メドルル様……!? ま、まさか……!!』
誰もがこの時驚愕の表情を作り上げたと思う。
産まれたのは、片翼を生やし、それぞれ黒と白の髪を持つ子供だった。
そしてこの時……この国には言い伝えが存在していたんだ。
“片翼も持ちし黒白の子をこの世に産み落とした時、不を齎す黒の子を生かすべからず”……と。
その言い伝えを知っていた国の人々はいきなり反発し合った。
不幸などご免だ、黒を子を殺せと。
だけど、折角の女王の子を殺す事はできない、という人もいたらしくて……。
結局、産まれた双子は別々に暮らす事になってしまった。
白の子の名前が“メルギース”
黒の子の名前が“ドルギース”
双子は、それぞれそう名を付けられた。
メルギースことメルは、その優しい心と暖かな笑みで国の人々への信頼を得て、
ドルギースことドルは、不幸を齎すと言われていた故に監獄の塔で監禁されてしまった。
だけど、メルはドルの事が好きだったみたいなんだ。
『ねぇ、お母様?』
『何です?メル』
『何故にドルがいないのです?』
『……』
『何処にいるのですか? —————教えて下さい、お母様っ!!』
メルはドルに会いたくて、いつもこっそりと監獄塔へ向かっていた。
暗い部屋の中で足を抱えて座っていたドルを見て、いつも哀しそうな顔をして。
ドルは与えられる物も少なく、細くて冷たい体になっていったんだ。
それを見たメルは自分のご飯の分をドルに渡していた。
でもドルは……受け取るのが怖かった。
『……貴方なんか、私の姉妹じゃない』
ドルの心は荒み、ボロボロに傷ついていった。
それでもメルは諦められなくて、何度も何度も救おうとした。
そして、10年の歳月が経った頃。
遂に……次期王女をどちらにするかの、討論が始まった。
勿論国民は、心優しきメルを王女にする事を推薦した。
でも、もう片方でドルを王女にしろという反発も上がってきたんだ。
それで始まったのが、“メルドルギース第一戦争”だった。
それが幾日……幾月と続き、終わったのは丁度1年後だったって。
勝利の栄冠を手に入れたのは、メルギースだった。
だけどその戦争のせいで国は“メルギース”と“ドルギース”という2つの国に別れてしまったんだ。
そうして戦争は無意味な結果を終え、お互いの国にそれぞれメルとドルを置いたという。
でも、問題があったのはその後だった。
「……問題?」
「そう、その双子の王女は————————、その後3ヶ月間行方を晦ましてたんだ」
「……————!?」
国同士は勿論騒ぎ立てた。
国を治める王女が、忽然と姿を消してしまったが故に。
その謎の失踪を遂げた2人は、3ヵ月後に元のように国に戻ってきた。
だけど……2人の様子が変だったと言われてるんだ。
まるで性格が変わってしまったように。
でも国民は、3ヶ月も離れていたのだから違和感があるのは当然だ、と事を済ませてしまった。
そうして長きに亘ったメルドルギースの王女事件は幕を閉じた。
「……と、いう訳なのさ。あ、因みにその後すぐに2人は死んじゃったらしいけど」
「……! じゃあさ」
「ん?」
「2人が死んだ理由って、分かるか?」
「あぁ……メルは病死。不治の病に侵されて僅か14歳で死去したよ」
「ドルギースは?」
「ドルは何者かに殺された。……でも」
「……?」
「2人とも……死んだのは同じ日だったらしんだ」
レトはまた悩むように顎に手をかけて唸りだした。
まだ若いうちに、2人の王女はこの世を去ってしまった。
1人は病死、1人は暗殺の手によって。
だが、同日に死ぬ事は偶然だっただろうか。
唯の偶然だという事を信じきれず、レトはじっと床を眺めていた。
「なるほどな……」
「レトは、如何思う? この双子について」
「何とも言えねぇけど……現代と繋がってんのは分かった」
「へ?」
「前に師匠が言ってたんだ。“メルギース”と“ドルギース”っていう地域の戦争を」
「あぁ……そっかっ」
「何か引っかかってると思ったけど……やっぱこれかぁ」
レトはふと横に顔を向ける。
そこに映るのは……昔の景色。
色を帯びていない、千年前の情景だった。
だがレトはその水玉をじっと見た後に、ふいっと立ち上がった。
「レト?」
「まぁ、やっぱ此処から出るのが先だな。皆気失ってるみたいだし」
「そうだね。まずは出る方法から考えないと……」
「さてと……」
レトは一先ず、辺りを見回した。
だが瞳に映るのは、変わらぬ宇宙の様な世界の景色だった。
向こうに銀河が見えるのも変わらない、果たして本当に出口があるのだろうか。
唯、考えている余裕もないと判断を下したレトは、その場に3人を置いて、歩み始めた。
唯只管に……前だけを向いて。
双斬はその大きな背中を見つめながら、ちょこちょこと後を追った。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200
この掲示板は過去ログ化されています。