コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 最強次元師!!【※新スレ作成におけるお知らせ有り】
- 日時: 2015/03/15 09:40
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n5050ci/
運命に抗う、義兄妹の戦記。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
基本毎週日曜日に更新!
※追記
実は、本作を一から書き直そうと思いまして別サイト様にて“完全版”を再連載し始めました。
やりたい話が多くて一度断念してましたが、やっぱり優先しようと思ってもう一度記載致します。
ご興味のある方はどうぞ! 上記のURLで飛べます*
とってものんびりと、更新する予定です。
Twitterの垢をつくってみました→@shiroito04
イラストとか宣伝とかを呟いてます!
※注意事項
・荒らし・中傷はお控え下さい。
・チェンメなんかもお断りしてます。
●目次
prologue >>001
第001次元 >>002第011次元 >>012第021次元 >>048
第002次元 >>003第012次元 >>013第022次元 >>050
第003次元 >>004第013次元 >>019第023次元 >>052
第004次元 >>005第014次元 >>020第024次元 >>055
第005次元 >>006第015次元 >>021第025次元 >>059
第006次元 >>007第016次元 >>025第026次元 >>060
第007次元 >>008第017次元 >>027第027次元 >>063
第008次元 >>009第018次元 >>030第028次元 >>065
第009次元 >>010第019次元 >>044第029次元 >>070
第010次元 >>011第020次元 >>046第030次元 >>071
第031次元 >>072第041次元 >>146第051次元 >>224
第032次元 >>077第042次元 >>169第052次元 >>230
第033次元 >>081第043次元 >>176第053次元 >>234
第034次元 >>082第044次元 >>179第054次元 >>241
第035次元 >>090第045次元 >>180第055次元 >>245
第036次元 >>097第046次元 >>189第056次元 >>260
第037次元 >>104第047次元 >>191第057次元 >>262
第038次元 >>108第048次元 >>203第058次元 >>264
第039次元 >>109第049次元 >>209第059次元 >>268
第040次元 >>138第050次元 >>216第060次元 >>274
第061次元 >>298第071次元 >>359第081次元 >>385
第062次元 >>300第072次元 >>361第082次元 >>388
第063次元 >>308第073次元 >>365第083次元 >>391
第064次元 >>337第074次元 >>369第084次元 >>393
第065次元 >>338第075次元 >>370第085次元 >>399
第066次元 >>339第076次元 >>371第086次元 >>402
第067次元 >>345第077次元 >>377第087次元 >>403
第068次元 >>346第078次元 >>378第088次元 >>413
第069次元 >>352第079次元 >>380第089次元 >>414
第070次元 >>353第080次元 >>383第090次元 >>417
第091次元 >>420第101次元 >>448第111次元 >>480
第092次元 >>421第102次元 >>450第112次元 >>484
第093次元 >>422第103次元 >>458第113次元 >>489
第094次元 >>427第104次元 >>459第114次元 >>495
第095次元 >>431第105次元 >>467第115次元 >>499
第096次元 >>432第106次元 >>472第116次元 >>501
第097次元 >>433第107次元 >>475第117次元 >>502
第098次元 >>436第108次元 >>477第118次元 >>504
第099次元 >>444第109次元 >>478第119次元 >>507
第100次元 >>445第110次元 >>479第120次元 >>508
第121次元 >>509第131次元 >>544第141次元 >>558
第122次元 >>510第132次元 >>546第142次元 >>560
第123次元 >>511第133次元 >>547第143次元 >>563
第124次元 >>512第134次元 >>551第144次元 >>564
第125次元 >>520第135次元 >>552第145次元 >>565
第126次元 >>521第136次元 >>553第146次元 >>576
第127次元 >>528第137次元 >>554第147次元 >>590
第128次元 >>533第138次元 >>555第148次元 >>595
第129次元 >>534第139次元 >>556第149次元 >>608
第130次元 >>536第140次元 >>557第150次元 >>623
第151次元 >>631第161次元 >>683第171次元 >>759
第152次元 >>632第162次元 >>711第172次元 >>760
第153次元 >>633第163次元 >>719第173次元 >>762
第154次元 >>637第164次元 >>726第174次元 >>764
第155次元 >>643第165次元 >>739第175次元 >>766
第156次元 >>655第166次元 >>749第176次元 >>768
第157次元 >>659第167次元 >>753第177次元 >>769
第158次元 >>664第168次元 >>754第178次元 >>770
第159次元 >>665第169次元 >>755第179次元 >>771
第160次元 >>680第170次元 >>758第180次元 >>772
第181次元 >>773第191次元 >>788第201次元 >>813
第182次元 >>775第192次元 >>789第202次元 >>814
第183次元 >>776第193次元 >>792第203次元 >>826
第184次元 >>777第194次元 >>793第204次元 >>832
第185次元 >>778第195次元 >>794第205次元 >>835
第186次元 >>781第196次元 >>795第206次元 >>841
第187次元 >>782第197次元 >>798第207次元 >>853
第188次元 >>783第198次元 >>802第208次元 >>854
第189次元 >>784第199次元 >>803第209次元 >>855
第190次元 >>785第200次元 >>804第210次元 >>858
第211次元 >>862第221次元 >>883第231次元 >>897
第212次元 >>868第222次元 >>884第232次元 >>898
第213次元 >>873第223次元 >>888第233次元 >>901
第214次元 >>874第224次元 >>889第234次元 >>902
第215次元 >>875第225次元 >>890第235次元 >>903
第216次元 >>876第226次元 >>892第236次元 >>904
第217次元 >>877第227次元 >>893第237次元 >>905
第218次元 >>878第228次元 >>894第238次元 >>906
第219次元 >>879第229次元 >>895第239次元 >>907
第220次元 >>882第230次元 >>896第240次元 >>908
第241次元 >>909第251次元 >>929第261次元 >>955
第242次元 >>913第252次元 >>930第262次元 >>956
第243次元 >>914第253次元 >>933第263次元 >>957
第244次元 >>915第254次元 >>947第264次元 >>958
第245次元 >>916第255次元 >>948第265次元 >>959
第246次元 >>917第256次元 >>949第266次元 >>960
第247次元 >>918第257次元 >>951第267次元 >>961
第248次元 >>919第258次元 >>952第268次元 >>962
第249次元 >>921第259次元 >>953第269次元 >>963
第250次元 >>926第260次元 >>954第270次元 >>964
第271次元 >>965第281次元 >>977第291次元 >>988
第272次元 >>966第282次元 >>978第292次元 >>989
第273次元 >>967第283次元 >>979第293次元 >>990
第274次元 >>968第284次元 >>981第294次元 >>991
第275次元 >>969第285次元 >>982第295次元 >>992
第276次元 >>970第286次元 >>983第296次元 >>993
第277次元 >>973第287次元 >>984第297次元 >>994
第278次元 >>974第288次元 >>985第298次元 >>995
第279次元 >>975第289次元 >>986第299次元 >>996
第280次元 >>976第290次元 >>987第300次元 >>997
※第301次元〜は新スレにて連載予定
●おまけもの●
●資料集など
皆のプロフィール1 >>218
皆のプロフィール2 >>278
皆のプロフィール3 >>287
皆のプロフィール4 >>288
皆のプロフィール5 >>289
皆のプロフィール6 >>503
主な登場人物 >>852
さいじげテスト。 >>843
最強次元師!! について >>58
●番外編
キールアの想い >>41
メイド喫茶祭り① >>327
メイド喫茶祭り② >>331
メイド喫茶祭り③ >>341
友達の証① >>492
友達の証② >>493
友達の証③ >>494
疎外少年と次元少女① >>810
疎外少年と次元少女② >>811
疎外少年と次元少女③ >>812
蛇梅隊DE☆大集合!! >>829
E FIEDLA >>941
英雄と妖精 >>945
●外伝
第001時限 >>942
第002時限 >>943
第003時限 >>944
●キャラ絵(1人)
奏様が描いて下さったルイル >>116
奏様が描いて下さったティリ >>105
奏様が描いて下さったロク >>119
奏様が描いて下さったロク(舌出しVer.) >>185
奏様が描いて下さったロク(ポニテVer.) >>523
奏様が描いて下さったキールア >>127
奏様が描いて下さったアリル >>141
奏様が描いて下さったリリアン >>148
奏様が描いて下さったミル >>154
奏様が描いて下さったフィラ副班 >>162
奏様が描いて下さったレト >>168
奏様が描いて下さったレト(メイド服Ver.) >>329
奏様が描いて下さったガネスト >>304
奏様が描いて下さったガネスト(メイド服Ver.) >>318
奏様が描いて下さったアルア >>460
●キャラ絵(複数)
奏様が描いて下さったレト、ロク、キールア >>693
奏様が描いて下さったエン、ミル、リルダ >>737
☆奏様には毎度ご感謝しております!!
すごく似ていて、イメージ通りです
キャラの絵が分からない場合には奏様の絵を見て下されば納得します!!
これからも描き続けてほしいですね、是非とm((黙
●お知らせなど
* 2009 11/13 執筆開始
* 2013 09/01 執筆中断
* 2014 01/17 執筆再開
* 2014 10/19 別サイトにて再連載開始 >>980
* 2015 03/15 新スレ作成におけるお知らせ >>998
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- Re: 最強次元師!! ( No.550 )
- 日時: 2010/09/04 14:31
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
>>夏乙
何で起きてんのwwwww
絶対腐らないってwww
保障します(`・ω・´)
っていうか自分が見たいだけ((←
○○○戦隊は好きな言葉を当てはめて下さいwww
適当ですね、はい。
お姉さんwwwww
いつからお姉さんにっ!?
夏乙・ミコーテ?((黙
- Re: 最強次元師!! ( No.551 )
- 日時: 2010/09/04 22:45
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
第134次元 冷たき瞳の言葉Ⅳ
(ラ・・・ラミアが・・・泣いて・・・る?)
あまりの状況に声を喉に詰まらせたロクは立ち止まってしまった。
そして、何も言わず、何の音もたてずに屋上のドアをゆっくり閉じ、出ていった。
ラミアが泣いていた。あの、一匹狼と謳われた少年が。
だが、何故?
「ラミア・・・」
何故泣いていたのか。そして何故屋上で?
そんな疑問が次々とロクの頭を襲う。
ロクはくしゃりと髪を掴み、何も言わずにその場を後にした。
「・・・・?」
レトの自室には、レトは滞在しておらず、
なんと1人で任務に行ってしまったらしい。
「レト・・・」
まさか置いて行かれるとは思っていなかったロクは溜め息を吐き、隣である自室へと戻った。
ベッドにダイブするようにして飛び込み、ロクは顔を上げずに何度も考えた。
何故、ラミアは泣いていた?
何故、ラミアは今までその涙を隠していた?
何故・・・ラミアはあんな寂しそうな目をしていたのか。
何度か考えているうちに、ロクは寝入ってしまった。
考えたくない。
そう、ロクの脳裏を何かが過ぎた。
「・・・・おい」
ロクが目を覚ましたのは、レトの声…。
ではなく、何故かラミアの声だった。
「ラ・・・ミア・・・?」
「お前・・・屋上にいただろ」
「っ!?」
「・・・そうだろ?」
ラミアは、ロクに拷問するかのように問いかけた。
ロクは…口を開かなかった。
「・・・言わない、か」
「・・・?」
「お前も、あの人に似てるよ」
「あの・・・人?
「・・・・何でもない。じゃあな」
「あ・・・っ!!」
ロクは、ベッドからがばッっと起きて、ラミアを呼びとめた。
「・・・何だよ」
「何で・・・・来たの?」
「・・・別に、俺の事、お前はバカにしねぇのかなって」
「・・・しないよ」
「・・・?」
「だって・・・大喰らいに悪い人はいないもん」
「・・・あそ」
ラミアは先程とはまるで違う態度を取り、ロクの部屋から出ていった。
ラミアは気付いていたのだろう。
あの時、ロクが屋上で自分の泣き顔に気付いてしまった事に。
だがロクはラミアを事をバカにするような事はしない。
ラミアはそれを何故か、『あの人と似ている』と言っていたが。
「・・・・あの人って・・・誰だろう」
色々は不安が過ぎる中、
ロクは夕食を食べに食堂へ足を運んだ。
食堂についたのは良いけれど、流石にラミアの姿はなかった。
いたのは戦闘部隊の援助隊員と、医療部隊の人達。
ちょくちょく副班長の姿も見えていた。
ロクはいつも通り、椅子に腰をかけた。
「余計な事はすんなって・・・言ったのに」
隣で溜め息を吐きながら、何やらぽつりと呟く少年。
レトはアップルパイを黙々と食べながらそうとだけ言った。
「余計な事っていうか・・・」
「余計な事なんだろ?どうせ」
「・・・・」
「何があったかは別に問わないけど、ラミアをあんま傷つけたりすんなよー?」
「・・・何で?」
「何でって・・・だってあいつは同じ戦闘部隊の仲間だろ?」
「・・・そうだね」
「・・・?」
「ごめんあたし、もう1回行ってくるっ!!」
「待て」
「・・・?」
「ちょっとだけ、待ってくれ」
「何?急いでるんだけど」
ロクが焦った声でそう言った。
だけど、そんなロクの気も、レトの言葉で吹っ飛ばされた。
「なぁ、ラミアの昔話とか・・・興味ないか?」
レトは、自慢げにそう言った。
机から足を出して走る準備をしていたロクの足は、ぴたりと止まった。
「昔・・・話?」
「あぁ、任務先でラミアの名前を知ってる奴に会ってな。そんで色々聞いたんだ」
「そ・・・その人、なんてっ!?」
「まぁ落ち着け。最初から順を追って話す」
「う・・・うん」
そう言われたロクはゆっくりと戻り、椅子に腰をかけた。
レトが水を少し口に含み飲み込むと、ロクは小さく喉をこくんと鳴らす。
「ラミアってさ・・・実は髪伸ばしてるのに理由あるらしいぞ?」
「へ?」
「ラミアの青い髪だよ。何でだと思う?」
「んー・・・母親がそうだから?」
「近い。・・・ってかそれ、俺か?」
「あ・・・そういえばレトはそうだったね」
「まぁ正解は・・・」
レトは少し言葉を止めた。
次の言葉が出るのを、ロクは懸命に待っていた。
「あいつの師匠が・・・青くて長い髪だった。・・・だそうだ」
「し・・・師匠?」
「あぁ、そしてあいつは今もその師匠の面影を探してる」
「面影・・・」
「でも、何故かラミアはその師匠を恨んでる」
「へ?何で?」
「何故かというと・・・だな」
レトの飲んでいた水の中の氷が、カラリと音を立てて崩れた。
その時、衝撃の一言がロクの鼓動を走らせる。
「ラミアの次元技が————————————、その師匠の命を奪ったからだ」
- Re: 最強次元師!! ( No.552 )
- 日時: 2010/09/09 17:10
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
第135次元 冷たき瞳の言葉Ⅴ
「・・・え?」
「ラミアの次元技がその師匠に当たって、師匠はこの世から去ったんだと」
「ま、待ってっ!!」
「?」
「何で、恨んでるの?普通なら悲しむんじゃない?」
「いや・・・それには理由があってだなぁ・・・」
「何?俺の話?」
後方から声がしたかと思うとすぐに振り向いた2人。
そこにはラミアが堂々と立っていた。
「ら・・・ラミア・・・」
「余計な事をべらべら喋る奴がまた残ってたのか・・・どうりで」
「俺も詳しく知らねぇんだ。教えてくれないか?」
「・・・何のために?」
「ラミアのために決まってんじゃんっ!!」
「・・・俺のためになんか・・・絶対ならねぇ」
『ラミア君——————、強くなりたいなら、力を求めなさい』
(分かってる———————、そんなの、初めから)
ラミアはふっと後ろを向いて、食堂入り口の方へ歩いていった。
誰かの言葉を、思い出しながら。
ラミアがまだ、幼かった頃。
ラミアの両親はラミアを置いて何処かへ旅立ち、行方を晦ましてしまった。
1人取り残されたラミアは、街で奇妙な男と出会う。
「えぇー?このリンゴ、そんなに高いのー?」
細い目で青く長い髪の毛を1つに結った、
30代前半の長身な男。
髪を掻き、んー、っと唸る男は溜め息をついてリンゴを買った。
リンゴを丸齧りしながら、その男はラミアの傍に寄る。
「・・・どうしたの?あ、このリンゴ欲しい?」
「い、いらねぇよっそんなリン・・・」
その時、ラミアのお腹から蛙の声かと思う程の大きな音が。
「・・・クスクス・・・いいよ、あげる」
「いらねぇって・・・っ!!」
「お腹ってさ、空いたときに食べないと損しちゃうんだよ?」
「余計な・・・お世話だ」
「いいじゃんいいじゃん、ねぇねぇ、僕と旅しない?」
「はぁ?何言っ——————」
ラミアが言い終わる事なく、男はすたすたとラミアの腕を引っ張って歩く。
真っ赤リンゴを、時折齧りながら。
ラミアは先程貰ったそのリンゴを、小さくだけど齧って食べた。
「んー・・・、まぁここらへんで休憩だなぁ」
男が止まったかと思うと、そこは草原の中。
綺麗に並ぶ花はまるで星のように輝き、揺れる際に日光によって光る。
こんな美しい景色を、見た事がない。
「すっげぇー・・・」
「でしょでしょ?此処で色とりどりの花を見ながらご飯食べるのが好きなんだ」
「あんた、何者なんだ?」
「僕?僕はねぇ・・・」
一瞬、男は声を詰まらせた。
「ただの・・・旅人だよ」
「旅人?」
「そうさ。世界中の景色をこの目に刻む、一種の職人」
「よく分かんね・・・」
「まだ、君には難しいかもね」
「名前は?」
「秘密♪」
「・・・」
「んじゃあ君は?」
「・・・ラミア・ミコーテ」
「へぇ・・・可愛い名前だね♪」
「可愛くねぇ」
「照れてる照れてる〜っ」
「て、照れてねぇっ!!」
風が気持ち良く2人を包み込む。
2人を見ていると、とても親子に見えたのだ。
「あんた、こっからどうすんの?」
「そうだね・・・何処行きたい?」
「はぁ?決まってねぇの?」
「うん。だって自由気ままに生きたいじゃない?」
誰がどう見ても、不思議な男だ。
名も名乗らず、ただ『旅人』としか言わぬこの人を、
誰が信じるのだろうか。
「・・・そろそろ行こうか?」
「何処にだよ」
「次の場所さ」
「決まってなかったんじゃ・・・」
「今決めた♪」
「・・・・」
呆れた。
ラミアは心の中で呟く。
まだ幼かったラミアには分からない。
この人物が誰で、どういう存在か。
本当にただの旅人か?
それとも本物の変人なのか?
ただこの男は言う。
『世界中の景色のこの目に刻む、一種の職人だ』、と。
- Re: 最強次元師!! ( No.553 )
- 日時: 2010/09/09 17:11
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
第136次元 冷たき瞳の言葉Ⅵ
「・・・おい何処行くんだよー」
「まぁいいからいいから、ついてきてよ」
先程から何の答えもくれない男はすたすたと歩く。
ラミアは引きずられるようにしてついていき、男の後姿を眺めた。
自分と髪の色が似ている…と思いながら。
「さぁて、此処だっ!!」
「此処だ・・・って・・・・」
ラミアの目の前に広がったのは、
とある街の景色。
「これ・・・何だ?」
「何だ?って・・・街だよ」
「街っていうか・・・もはや・・・・」
ラミアはごくりと息を飲んだ。
「国じゃないのかぁぁぁーーーっ!?」
そう、ここは南の方の大きな街。
今時の都会人が集まり、
金に溺れ、金に生きる者達だ。
「こんなところで何すんだよっ!?」
「ん?金稼ぎ」
「金稼ぎって・・・」
「まぁ見てなって」
男の言われるがままに大きなカジノへ入るラミア。
此処で何をすると言うのだろうか。
「おい・・・っ!!」
「・・・呼びにくい?」
「・・・は?」
「僕の事、師匠って呼んでもいいからねー?」
「やだよ。誰も師匠だなんて認めてねぇっ!!」
「あぁ、そうなの?なら好きに呼んでちょー」
男、いや、師匠と名乗る男はラミアにそう言った。
自分が師匠である自覚などこの人にあるのだろうか。
「すみませーん50Nで100枚コイン下さぁーい」
N、というのはラミアも初めて聞く言葉だった。
「・・・Nって何だ?」
「あれ?この国のお金だよ?」
「へ?そう・・・なのか?」
「うん、50Nでコインが100枚もらえるんだ」
「へ、へぇー・・・」
コインについても硬貨についても良く知らないラミアにとって難しい事だった。
師匠はまず、スロットをやりに走った。
そこでコインを入れ、数字を合わせ…を繰り返していく。
どんどんコインを貯めていく師匠の顔を見て呆然と立ち尽くすラミア。
この時初めて、師匠がすごいと思ったのだろう。
そして約3時間経った頃。
師匠は沢山のお金を持って店から出てきた。
「お・・・おま・・・」
「へへっ、こういうの得意なんだよー?」
(得意どころじゃねぇだろ・・・この強運野郎・・・・)
お店の従業員の半泣き姿を拝み、食事へ向かった2人。
凄いのは師匠だけじゃない。
ラミアの大食いぶりは半端ではなかった。
「おかわりくだはいっ!!」
「ちょ・・・ラミア君・・・?」
「何だ?」
「そろそろやめない?お・・・お金が・・・・」
「さっき儲かってきたんだろ?」
「でも限度というものをだね・・・」
「んなケチケチすんなって、大人だろ?」
子供はこういう時に有利になる。
師匠は負けた気持ちでいっぱいだった。
良く食べるラミアを見て、お店の人も驚いていた。
「それに・・・」
「ん?」
「ここの料理店、さっき看板見たら『30人前のお食事につき無料!!!』とか書いてあったし」
「30人も一気に来ないと思うけど・・・」
「それが売りなんだろ。それに俺もう60人前食ったけど?」
「無料が更に無料か・・・」
「んじゃそろそろ行こうぜ?」
「君ねぇー・・・」
ちゃっかり60人前を平らげて無料の食事を楽しんだ師匠達がレストランを出た直後。
そこでは不良達が暴れていた。
「おいお前!!俺達の事裏切っただろ!?」
「何とか言えこの野郎!!!」
「す、すみませ・・・っ!!」
「許せるかバァーカッ!!!」
殴り合う男達。
いや、一方的な攻撃に変わりはないが。
ラミアは、気にせずに横を通ろうとした。
だが師匠は、ラミアの服の裾を掴んだ。
「お・・・おい・・・」
「ラミア君、僕は正義と悪、どっちだと思う?」
「え・・・」
「旅人は・・・常に正義なもんさ」
「何言・・・———っ!!」
ラミアは言い終わる事なく、師匠はその細い目を更に細めて男達に向かった。
師匠に気付いた男達は1人の男を殴るのやめた。
男は叫びながら必死に逃げていった。
「・・・んだよ、お前」
「旅人、だよ」
「旅人?この時代に何ほざいてるんだ?てめぇ」
「へぇー・・・今の時代は1人に対し複数で戦うのが正統なんだね」
「っ!?」
「何が言いたい?」
「ん?別に僕は君達と戦りに来た訳じゃないよ〜」
「喧嘩を売ってきた奴は強制的に戦うはめなんだよ———ッ!!!」
1人の男が師匠に殴りかかろうとした。
「ちょ、おま———っ!!」
ラミアが叫んだ時、
師匠は右から迫る男の腕を、右手を上げて一瞬にして止めた。
だが師匠はたった1人、目の前の男だけを見つめ、決して視線を変えなかった。
「な・・・っ!?」
「あんな状況からっ!?」
「すげぇ・・・」
「甘いんだよ。ろくに人生を送ってない人達に僕は殺れない」
「んじゃあ・・・これならどうだ?」
師匠の後方に立っていた仲間がにやりと笑う。
「次元の扉———————、発動!!!」
男は両手を綺麗に開いた。
「伸爪—————っ!!」
(次元技・・・・か)
男の両手の指からは突如指輪のような物が現れ、そこから30㎝程長い爪が伸びる。
「さぁ・・・釘付けになりな」
(厄介だなぁー・・・次元師は苦手なんだけど・・・)
「次元師・・・」
男は足を構えると、ダン!!!という風に足を弾いて高速で師匠の懐に入ってきた。
「そらよ!!!」
「ぐぁッ!!」
長い爪で師匠の腹を狙い、突き刺した。
「師匠!!!」
「ぐはぁっ!!!・・・これは・・・すごい次元技・・・だ」
師匠の口からは血の塊がどっと出てくる。
ごぼごぼと、まるで滝のように。
「・・・ラミア君」
「・・・?」
「これ、持っててくれないかな」
師匠は自分の髪を結っていた赤い髪紐を解いて、ラミアにぽんっと投げた。
「これ・・・」
「僕の大事な人から貰ったんだ。・・・傷つけちゃ悪いからね」
「・・・」
「さぁ、遊びはこれくらいにしようぜ?」
「あぁ、おっ始めようとしよう」
今までの師匠とは違う。
何やら…すごく怖い殺気が伝わってきた。
それはまだ幼かったラミアにも分かる。
禍々しいというよりは幼く、まるで怒りを鎮めているかのような、この感覚。
師匠からはそういう殺気が伝わってきた。
「第六次元発動——————、刺根雑騎ッ!!!」
「・・・・」
たった今、
長き鋭い爪を持つ大柄な男と、
滑らかで綺麗な青い髪を靡かせ立っている旅人の、
2人のかけ離れた戦いが始まる。
- Re: 最強次元師!! ( No.554 )
- 日時: 2010/09/13 13:57
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
- 参照: 最強次元師!!等、色々と執筆中—*
第137次元 冷たき瞳の言葉Ⅶ
「そらよ!!!」
「うぉ!?」
男が大振りに爪を振り回す。
それを華麗に避ける師匠。
次元師でもないのに、良くここまで戦えるものだ。
「お前・・・何者だ?」
あまりの戦闘慣れに、男は師匠に問う。
「旅人だよ」
「でも・・・ただの旅人じゃねぇよな?」
「んー?僕は何処にでもいる旅人さ。————世界中の景色をこの目に刻む、職人だけど」
「職人か?」
「うん・・・立派なね」
師匠が話し終えると男は足を構えて体勢を低くし、高速で向かってきた。
師匠はその攻撃を少し掠りながらも避け、体勢を崩した。
師匠の息が上がる。
ラミアは少し、不安な顔をした。
「もう終わりか?喧嘩売ってきたわりには弱いな、お前」
「はは・・・普通の人間だからね」
「んじゃあ普通の人間らしく、この世から去れ——————ッ!!!」
男が長い爪を構えて一気に襲い掛かる。
だが、男が狙ったのは師匠ではない。
「ッ!?」
「—————なんてな、嘘だよ」
男の爪は師匠の後ろにいたラミアに向けられる。
「ラミア君ッ!!」
「死ね小僧!!!」
(し・・・しょ————ッ!!)
男の爪が深く突き刺さる。
血しぶきを上げ、ポタ…ポタ…と血が落ちた。
「・・・・しぶといなぁ、お前」
「・・・はは、旅人ですから・・・」
「し———、師匠!?」
ラミアが声を上げた。
爪の餌食となったのはラミアではなく、師匠。
男の戦いでかなり体力を消耗しているはずの師匠がとっさにラミアを庇ったのだ。
「何でだよ・・・師匠ッ!!!」
師匠は、ぐったりと倒れて声も発さなかった。
その様子を見て男達が嘲笑う。
その時だ、
ラミアの怒りが、限界を超えてしまったのは。
「・・・・おい」
ラミアの横を吹き抜ける風は、
まるで師匠の体を包み込むように
ただただ———、流れ続ける。
「謝れよ」
「誰にだ?」
「師匠に・・・」
「・・・?」
「決まってんだろーーー—————————ッ!!!!」
(なんだ————、この威圧感はッ!!?)
ラミアの怒りが一気に周りの空気を変えた。
吹き抜ける風も、今や暴れる猛獣のように騒がしい。
「次元の扉——————発動ッ!!!!」
ラミアが溢れ出る涙を抑えながら必死に叫んだ。
「水皇ーーー————————ッ!!!!」
ラミアの周りを水が回る。
まるで操られているかのように舞う水は
ラミアを包みながら放浪としていた。
「次元技・・・だと!?」
「ぜってぇ許さねぇ!!!」
ラミアが右手を突き出す。
その動作にぴくりと男が動揺した。
「第六次元発動ッ!!!」
「初めから・・・六次元だとッ!?」
「水撃ーーーーーッ!!!!」
突き出した右手から突如現れる多大な水。
放射された水は男達を激しく包み込み、飲み込んだ。
その姿はまるで———、竜のよう。
「ぐごばぁっ!!」
爪の男が水から這い上がり、荒い息をしながら出てきた。
「・・・ミア・・・・く・・・」
ラミアの近くから、何者かの声がした。
怒りで我を忘れたラミアはそんな小さな声を聞き取る事さえできなかった。
「————まだゲームは終わってないぜ?」
「こんの・・・小僧が・・・ッッ!!」
水を纏い、怒り狂うラミア。
そんな弟子の姿を見て、
師匠は静かに涙を零す————。
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