コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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最強次元師!!【※新スレ作成におけるお知らせ有り】
日時: 2015/03/15 09:40
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: u/FYQltH)
参照: http://ncode.syosetu.com/n5050ci/

 運命に抗う、義兄妹の戦記。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 基本毎週日曜日に更新!


 ※追記

 実は、本作を一から書き直そうと思いまして別サイト様にて“完全版”を再連載し始めました。
 やりたい話が多くて一度断念してましたが、やっぱり優先しようと思ってもう一度記載致します。
 ご興味のある方はどうぞ! 上記のURLで飛べます*
 とってものんびりと、更新する予定です。


 Twitterの垢をつくってみました→@shiroito04
 イラストとか宣伝とかを呟いてます!



 ※注意事項

 ・荒らし・中傷はお控え下さい。
 ・チェンメなんかもお断りしてます。



●目次

prologue >>001
第001次元 >>002第011次元 >>012第021次元 >>048
第002次元 >>003第012次元 >>013第022次元 >>050
第003次元 >>004第013次元 >>019第023次元 >>052 
第004次元 >>005第014次元 >>020第024次元 >>055
第005次元 >>006第015次元 >>021第025次元 >>059
第006次元 >>007第016次元 >>025第026次元 >>060
第007次元 >>008第017次元 >>027第027次元 >>063
第008次元 >>009第018次元 >>030第028次元 >>065
第009次元 >>010第019次元 >>044第029次元 >>070
第010次元 >>011第020次元 >>046第030次元 >>071

第031次元 >>072第041次元 >>146第051次元 >>224 
第032次元 >>077第042次元 >>169第052次元 >>230
第033次元 >>081第043次元 >>176第053次元 >>234
第034次元 >>082第044次元 >>179第054次元 >>241
第035次元 >>090第045次元 >>180第055次元 >>245
第036次元 >>097第046次元 >>189第056次元 >>260
第037次元 >>104第047次元 >>191第057次元 >>262
第038次元 >>108第048次元 >>203第058次元 >>264
第039次元 >>109第049次元 >>209第059次元 >>268
第040次元 >>138第050次元 >>216第060次元 >>274

第061次元 >>298第071次元 >>359第081次元 >>385
第062次元 >>300第072次元 >>361第082次元 >>388
第063次元 >>308第073次元 >>365第083次元 >>391
第064次元 >>337第074次元 >>369第084次元 >>393
第065次元 >>338第075次元 >>370第085次元 >>399
第066次元 >>339第076次元 >>371第086次元 >>402
第067次元 >>345第077次元 >>377第087次元 >>403
第068次元 >>346第078次元 >>378第088次元 >>413
第069次元 >>352第079次元 >>380第089次元 >>414
第070次元 >>353第080次元 >>383第090次元 >>417

第091次元 >>420第101次元 >>448第111次元 >>480
第092次元 >>421第102次元 >>450第112次元 >>484
第093次元 >>422第103次元 >>458第113次元 >>489
第094次元 >>427第104次元 >>459第114次元 >>495
第095次元 >>431第105次元 >>467第115次元 >>499
第096次元 >>432第106次元 >>472第116次元 >>501
第097次元 >>433第107次元 >>475第117次元 >>502
第098次元 >>436第108次元 >>477第118次元 >>504
第099次元 >>444第109次元 >>478第119次元 >>507
第100次元 >>445第110次元 >>479第120次元 >>508

第121次元 >>509第131次元 >>544第141次元 >>558
第122次元 >>510第132次元 >>546第142次元 >>560
第123次元 >>511第133次元 >>547第143次元 >>563
第124次元 >>512第134次元 >>551第144次元 >>564
第125次元 >>520第135次元 >>552第145次元 >>565
第126次元 >>521第136次元 >>553第146次元 >>576
第127次元 >>528第137次元 >>554第147次元 >>590
第128次元 >>533第138次元 >>555第148次元 >>595
第129次元 >>534第139次元 >>556第149次元 >>608
第130次元 >>536第140次元 >>557第150次元 >>623

第151次元 >>631第161次元 >>683第171次元 >>759
第152次元 >>632第162次元 >>711第172次元 >>760
第153次元 >>633第163次元 >>719第173次元 >>762
第154次元 >>637第164次元 >>726第174次元 >>764
第155次元 >>643第165次元 >>739第175次元 >>766
第156次元 >>655第166次元 >>749第176次元 >>768
第157次元 >>659第167次元 >>753第177次元 >>769
第158次元 >>664第168次元 >>754第178次元 >>770
第159次元 >>665第169次元 >>755第179次元 >>771
第160次元 >>680第170次元 >>758第180次元 >>772

第181次元 >>773第191次元 >>788第201次元 >>813
第182次元 >>775第192次元 >>789第202次元 >>814
第183次元 >>776第193次元 >>792第203次元 >>826
第184次元 >>777第194次元 >>793第204次元 >>832
第185次元 >>778第195次元 >>794第205次元 >>835
第186次元 >>781第196次元 >>795第206次元 >>841
第187次元 >>782第197次元 >>798第207次元 >>853
第188次元 >>783第198次元 >>802第208次元 >>854
第189次元 >>784第199次元 >>803第209次元 >>855
第190次元 >>785第200次元 >>804第210次元 >>858

第211次元 >>862第221次元 >>883第231次元 >>897
第212次元 >>868第222次元 >>884第232次元 >>898
第213次元 >>873第223次元 >>888第233次元 >>901
第214次元 >>874第224次元 >>889第234次元 >>902
第215次元 >>875第225次元 >>890第235次元 >>903
第216次元 >>876第226次元 >>892第236次元 >>904
第217次元 >>877第227次元 >>893第237次元 >>905
第218次元 >>878第228次元 >>894第238次元 >>906
第219次元 >>879第229次元 >>895第239次元 >>907
第220次元 >>882第230次元 >>896第240次元 >>908

第241次元 >>909第251次元 >>929第261次元 >>955
第242次元 >>913第252次元 >>930第262次元 >>956
第243次元 >>914第253次元 >>933第263次元 >>957
第244次元 >>915第254次元 >>947第264次元 >>958
第245次元 >>916第255次元 >>948第265次元 >>959
第246次元 >>917第256次元 >>949第266次元 >>960
第247次元 >>918第257次元 >>951第267次元 >>961
第248次元 >>919第258次元 >>952第268次元 >>962
第249次元 >>921第259次元 >>953第269次元 >>963
第250次元 >>926第260次元 >>954第270次元 >>964

第271次元 >>965第281次元 >>977第291次元 >>988
第272次元 >>966第282次元 >>978第292次元 >>989
第273次元 >>967第283次元 >>979第293次元 >>990
第274次元 >>968第284次元 >>981第294次元 >>991
第275次元 >>969第285次元 >>982第295次元 >>992
第276次元 >>970第286次元 >>983第296次元 >>993
第277次元 >>973第287次元 >>984第297次元 >>994
第278次元 >>974第288次元 >>985第298次元 >>995
第279次元 >>975第289次元 >>986第299次元 >>996
第280次元 >>976第290次元 >>987第300次元 >>997

※第301次元〜は新スレにて連載予定


       ●おまけもの●

●資料集など
皆のプロフィール1 >>218
皆のプロフィール2 >>278
皆のプロフィール3 >>287
皆のプロフィール4 >>288
皆のプロフィール5 >>289
皆のプロフィール6 >>503
主な登場人物 >>852
さいじげテスト。 >>843
最強次元師!! について >>58

●番外編 
キールアの想い >>41
メイド喫茶祭り① >>327
メイド喫茶祭り② >>331
メイド喫茶祭り③ >>341
友達の証① >>492
友達の証② >>493
友達の証③ >>494
疎外少年と次元少女① >>810
疎外少年と次元少女② >>811
疎外少年と次元少女③ >>812
蛇梅隊DE☆大集合!! >>829
E FIEDLA >>941
英雄と妖精 >>945

 
●外伝
第001時限 >>942
第002時限 >>943
第003時限 >>944


●キャラ絵(1人)
奏様が描いて下さったルイル >>116
奏様が描いて下さったティリ >>105
奏様が描いて下さったロク >>119
奏様が描いて下さったロク(舌出しVer.) >>185
奏様が描いて下さったロク(ポニテVer.) >>523
奏様が描いて下さったキールア >>127
奏様が描いて下さったアリル >>141
奏様が描いて下さったリリアン >>148
奏様が描いて下さったミル >>154
奏様が描いて下さったフィラ副班 >>162
奏様が描いて下さったレト >>168
奏様が描いて下さったレト(メイド服Ver.) >>329
奏様が描いて下さったガネスト >>304 
奏様が描いて下さったガネスト(メイド服Ver.) >>318
奏様が描いて下さったアルア >>460

●キャラ絵(複数) 
奏様が描いて下さったレト、ロク、キールア >>693
奏様が描いて下さったエン、ミル、リルダ >>737

☆奏様には毎度ご感謝しております!!
 すごく似ていて、イメージ通りです
 キャラの絵が分からない場合には奏様の絵を見て下されば納得します!!
 これからも描き続けてほしいですね、是非とm((黙


●お知らせなど

* 2009 11/13 執筆開始
* 2013 09/01 執筆中断
* 2014 01/17 執筆再開
* 2014 10/19 別サイトにて再連載開始 >>980
* 2015 03/15 新スレ作成におけるお知らせ >>998

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Re: 最強次元師!! ( No.760 )
日時: 2011/03/02 19:51
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: yycNjh.Z)

第172次元 運命を背負いし橙の少女Ⅲ
 
 紅い空から仄かに紫へと変色しつつある夜空を見上げ、2人は溜息をつく。
 あれから3時間、休暇をとる事なく探したが、セルナ・マリーヌは見つからなかった。
 既にこの街に滞在していないか、隠れているかの選択肢に迫られた。

 「はぁ・・・、もう6時まわってんな・・・」
 「うん、全然見つからなかったしね・・・」

 街中を走り回って収穫はゼロ。
 疲れ果てた2人はその喫茶店に戻り、飲み物を飲んで休んでいた。
 帰るか、と言ってレトは席を立ち、ロクも立ち上がった。
 
 (・・・・っ!?)

 途端、ロクの脳裏に何かが過ぎる。
 顔を真っ青にし、バッ!!っと振り返ったが誰もいない。
 いるのは客と喫茶店の店員のみ。
 にも関わらず何かを感じた。
 “殺気”のような、禍々しい何かを。

 「・・・ロク?」
 「あ・・・何でもない」
 「ならいいけど・・・なんかあったか?」
 「い、いや・・・」

 だがそれはたったの一瞬に過ぎず、変な気配も殺気も消えてしまった。
 気のせいか、とロクは心の中で呟き、喫茶店の扉を潜った。
 辺りはもう真っ暗になっていて、雲も薄暗い灰色に包まれていた。
 街の街灯が目立ち、その中を2人は悠々と歩いた。

 「セルナって言ったっけ?・・・あいつ、何処行ったんだろ・・・」
 「そうだね・・・・、あんなに寂しそうな目してたのに・・・」
 「兎に角、実験に関わってる可能性が高いから、次元師としても見逃せねぇよな」
 「うん・・・もう、嫌だからね」

 幾度となく実験に関わってきた2人。
 未だ実験として良き結果を得られた事はないのに、それでも人間は神に打ち勝つ為に実験を繰り返してきた。
 例えそれが人の道を外れたとしても。
 
 



 「・・・実験?」

 義兄妹からの言葉で酷く悩まされていたコールド・ペイン副班長。
 コールド副班はレトとロクから聞いたセルナの関わっているであろう実験の事について迫られていた。
 
 「んー・・・今のとこだと何の報告も受けてないが・・・」
 「そこをなんとかっ!!」
 「んな事言われてもなぁー・・・」
 「なぁコールド副班、まさかまだ未発見の実験があるとか・・・聞いてないか?」
 「未発見、か・・・。よし、調べてみようか」
 「おお!?太っ腹ぁーっ!!」
 「まぁ、俺だって一番隊の副班だしな、可愛い教え子が青春に向かおうとしているのならば・・・」 
 「一応言うが、青春と実験は無関係だぞ」
 「・・・はいはい、ったく・・・レトヴェールはきっついなぁーっ」

 軽く頭をくしゃくしゃっ、っと掻き、コールド副班は廊下を歩いて行った。
 もしかしたらつい最近の実験かもしれない、その線もあるだろう。
 未だにセルナの関わっている実験の内容が不明で、その実態も分からない。
 果たして、見つける事ができるのだろうか。
 
 「・・・ねぇレト」
 「ん?」
 「セルナ・・・何で狙われてたんだろ」
 「あー・・・何か理由でもあるんじゃねぇの?」
 「ん・・・そうかも、だけど」
 「・・・?」
 「“巻き込みたくない”って・・・セルナは言ったよね」
 「あ、あぁ・・・」
 「やっぱり何かあるんだよ————————あたし達も知らない、何かが」

 自分達も知らない何か。
 それを突き止めるべく、実験の事を詳しく調査しているのだ。
 セルナと出会ってしまった以上、もう“他人”としては接していけない。
 今、正に目の前で何かが起っているのならば、救うしかなかった。

 「・・・あれ?2人とも何してんの?」

 その時、突然にもあの綺麗な声が2人の耳を突き抜けた。
 2人の幼馴染、キールア・シーホリーだった。
 金髪の髪を2つに結い上げ、蛇梅隊指定の医療部隊の白衣を羽織り、何かの資料を片手に歩いていたのだ。
 ふと2人を見つけ、キールアは話しかけた。

 「いや、あんまりそれといった事はしてないけど・・・」
 「ふーん・・・ま、何かに巻き込まれてるんだろうけどね」

 (う゛・・・っ)

 「あんまり無茶・・・しないでね?」
 「え・・・」
 
 あまりに子犬のような可愛らしい瞳で寂しげに言ったので、一瞬2人の心臓はドクリ、と大きな音を鳴らした。
 相変わらずの大きな瞳を覗く度、何かと胸が高鳴ってしまう。
 それは老若男女問わず、同じだったと言える。

 「そ・・・そこまで心配する程じゃ・・・————」
 「・・・だってあたしの仕事増えてめんどくさいし?」

 満面の笑み、完璧な笑顔。
 右手の人差し指を立て、にこっ、っとキールアは微笑んだ。
 そうだと思った、キールアは普段、2人の心配はしないのだから。
 何か可笑しいと思えば、キールアの策士だった。

 「やっぱそっちかよ・・・」
 「何か言った?」
 「いえ、何も」
 「にっしてもキールアってホント働きものだよねぇー・・・。ってか、次元技使ってるの?」
 「いや、あたしは特に使ってない。元力の数値も少ないみたいだし・・・使う必要もないかなって」
 「そっかぁ・・・」
 「・・・?何か悩みでも、あるの?」
 「いいや、別にないけどねっ」
 
 微妙な苦笑いをしたロクに少し疑問を抱いたが、キールアは自分の仕事がある為にその場を後にした。
 取り残された2人は、ただコールド副班の帰りを待つのも疲れるので、しょうがなく自室に戻った。
 何故こんなに必死にもセルナの事を知りたいのか・・・、2人はそうとも思っていた。 
 ただ懸命に思う。ただ必死に願う。
 セルナの無事を・・・心から。

Re: 最強次元師!! ( No.761 )
日時: 2011/02/18 23:20
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: M2SneLVI)

                *お知らせ*

只今、私こと瑚雲は試験という名の悪魔に追われている状況にあります。
と・・・いう事で長らくは更新が不能になりますのでご了承下さいませ。

何とも中途半端なところで中断している事は突っ込まないで下さい。
試験が終わり次第、きちんと更新致します・・・いや、たぶn(((黙

そういう訳で、皆様には私が良き結果を残してくる事を心からお祈り頂きたい。
まぁ、自分の実力次第なのでs((ry

以上、知りたくもないお知らせでした。
ではでは〜。

Re: 最強次元師!! ( No.762 )
日時: 2011/03/02 19:50
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: yycNjh.Z)

第173次元 運命を背負いし橙の少女Ⅳ

 レトヴェール・エポールの部屋で寝息をたてながら静かに眠っていた2人の眠りを、見事妨げた人がいた。
 扉を荒々しく開け、その人物は叫んだ。

 「おい・・・【元力略奪事件】だッ!!!」

 コールド副班は汗の滲む右手で資料を掴んで叫ぶと、呼吸を整えた。
 大きな声に驚いて起き上がった2人は目を擦りながら首を傾げた。

 「・・・【元力略奪事件】?」
 「んだよ・・・それ」
 「詳しい話は俺の家で、だ。————まずいもんに巻き込まれたぞ、お前ら」

 コールド副班にそう言われ、2人とも後をついて行った。
 副班の足取りは重く、何かを抱えている冷や汗も掻いていた。
 蛇梅隊から出歩いて8分。茶色のレンガの家の前に来た3人はそこに入る。 
 流石男性の部屋だと思わせる程の…というものはなく、
 きっちりと整理整頓された部屋が目の前に広がった。

 「おぉー・・・」
 「副班の部屋ってこうなってたんだぁー」
 「関心するな、それが目的じゃねぇんだから」
 「んで、さっきの【元力略奪事件】って?」
 「あぁ・・・その事だが」

 コールド副班は淡々と話し始めた。
 もしかしたら聞かなかった方が良かったかもしれない、その“事件”を。

 
 今から数ヶ月前、その発端は数人の柄の悪い集団からだった。
 この街でも良く知られていたその数人のグループはある日まるで消えてしまったように悪事が途絶えていた。
 でもそのすぐ数日後、この街には見た事もない小さな研究所が聳え立っていたようだ。
 それが、今回の事件現場とでも言う冪か。
 始めは好奇心で始めた…【次元師を襲う】という事件。
 名の通っていない無能な次元師を襲い、自分達の名を上げようとしたのが元だった。
 だがそれが日に日にエスカレートしていってしまい、次第には【元力略奪】にまでなってしまった。

 “元力があれば、もしかしたら次元師になれるのではないか?”

 そんな事まで考えるようになってしまった男達は始めのターゲットとして1人の少女を狙う事にした。
 小さな村にいた、気の弱そうな少女を。
 その被害者が…『セルナ・マリーヌ』という事だ。
 残念ながらその男達の身元はまだ判明していない、何処にいるのかも掴めない状況だそうだ。
 
 「・・・っていうのが今までの最新情報ってとこだな」
 「そんな・・・っ」
 「そんなの、すぐに捕まえちゃえば———っ!!」 
 「・・・ダメなんだ、そいつらは他の人間より身体能力が優れすぎている」
 「んじゃどうしろっていうんだよ・・・」
 「今までで襲われた次元師はまだ4,5名で・・・【元力略奪事件】に狙われているターゲットは・・・1人」
 「だからセルナはあたし達を巻き込みたくないって・・・」
 「俺達が次元師なのを知って、それでも言おうとしたけど、自分の良心がそれを拒んだ」
 「どうしてどんな大事な事・・・」

 気弱そうで、見ていて不安になる、1人の少女。
 でもその少女が背負うには重すぎる現実が立ちはだかっていた。
 他の次元師を巻き込む訳にはいかない。ましてや今有名な次元師など…。
 2人は小さく顔を頷かせて、ガタンッ!!、と音を鳴らせて椅子から立ち上がった。
 救いに行く、助けに行く。
 セルナにこれ以上重いものは背負わせない——————。

 「・・・2人とも?」
 「わりぃな副班」
 「あたし達・・・こういう性分だからさ」
 「・・・そうか。死ぬんじゃねぇぞ、2人とも」

 副班の言葉に自信のある目で応えた2人。
 自然に目に力が入ったような、そんな気がした。

 「「———————————了解ッ!!!!」」

 

 晴天と太陽の光を受けて、2人は飛び出した。
 街の中を必死に駆け巡る2人が目指した先は———小さな研究所だ。
 そこに数人の男がいるとなれば・・・話は簡単だ。
 国際指名手配犯の4人組・・・それがもしセルナや他の次元師を襲った犯人ならば。

 次元師としても、人間としても、神としても、
 許す訳にはいかなかった——————。


 「ここかよ・・・」
 「物騒だけど・・・大丈夫、だよね?」
 「怖かったら逃げてもいいんだぞー?」
 「あれれー?それはレト君じゃないのかなぁ?」

 何度も2人で地獄の中を彷徨ってきた。
 今更怖気づくなんて、そんな恐怖感はうまれない。
 ただ少しでも多くの人間を救えるのであれば・・・過ちや危険の道は避けない。
 堂々と真正面からぶつかって戦う——————それがエポール義兄妹なのだから。

 「もしかしたらセルナはもう捕まってるかもしれねぇな」
 「うん・・・あの路地で、もう捕まりそうだったのに」
 「兎に角進むぞ・・・双斬、一応もう武器になってくれねぇか?」
 「へ?あぁ・・・いいけど」
 「雷皇も頼むね」
 「分かったっ」

 奥へ奥へと進んで行く2人。
 進む度、足を運ぶ度、次第に鼓動は速くなる。
 ギシギシ・・・と床の軋む音が聞こえる。
 前に進んできた2人は、既にドアノブの破壊されている扉の前に立った。
 扉越しに聞こえてくる数名の男の声。
 息を呑んで、いざ。
 レトは扉を押した———————————。

Re: 最強次元師!! ( No.763 )
日時: 2011/02/28 18:17
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: yycNjh.Z)

や・・・やっと試験終了((
でもまぁ明日別のテストがありますがw

とりあえず更新したいとこだが…、一旦休憩かな((

はい、ごめんなさい((

Re: 最強次元師!! ( No.764 )
日時: 2011/03/02 19:50
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: yycNjh.Z)

第174次元 運命を背負いし橙の少女Ⅴ

 「「———————————————ッ!!?」」

 レトが勢いよく部屋の扉を開けると同時。
 真っ黒な服を身に纏った2人の男がその音に反応した。
 だが、見渡す限りではセルナ・マリーヌの姿がない。

 「だ・・・誰だお前らっ!!」
 「この研究所に何の用が・・・!?」
 「・・・ちっ、いねぇのか」
 「んじゃ—————ちょっと痺れててね?」

 ロクは男達の背後に回り、雷皇を纏った右手で同時に首元を叩いた。
 男達2人は声を上げる暇もなく、そのまま眠るようにして倒れていった。
 無機質な機械音の鳴る中、レトはため息をつく。
 倒れてしまった男2人にも目を向けず、扉へと向かう。

 「ちぇ・・・、やっぱいなかったか」
 「もっと奥の方にいるんじゃない?・・・此処は狭いし」
 「だな、探そう」

 そう言って2人はこの部屋を後にし、再び廊下を歩いた。
 冷たい、何とも言えぬ空気が立ち込める廊下は、何処か寂しさと孤独を与える。
 まだ真新しい壁や天井、床。
 こんな事件など無ければ、これ程美しい研究所はないというのに。

 「あ、れ・・・」
 「?、どうした、ロク」
 「あっちから・・・・声がする」
 
 先程の部屋から真っ直ぐに進んできた、その突き当たり。
 誰かの声がする。それも、どうやら女性と男性の声だ。
 まだ幼いような女性の声に・・・大人というのには早すぎる低い声。
 いるのは、2人・・・いや、3人か。

 「もしかしたらセルナかもしれねぇな」
 「うん・・・、油断は禁物だよ?レト」
 「ばぁーか、俺はお前程バカまっしぐらじゃねぇーよ」
 「な・・・!?そ、その言葉は聞き捨てならな————」

 途端、ロクの言葉は何かの音によって遮られる。
 鋭いような・・・まるで、

 鋸のような恐怖感の滾る音が———————。

 「・・・!?、セルナ・・・!!?」
 
 鋸の音を聞いて飛び出した2人は、バタンッ!!!という大きな音により扉を開ける。
 荒々しく開けたせいか扉はその衝撃で変形し、目の前に映る光景にも驚きは隠せなかった。
 セルナ・マリーヌは確かに、そこにいた。

 「セルナ・・・」
 「あ・・・っ!?・・・レトヴェールさん、と・・・ロクアンズ、さ・・・ん・・・・?」
 「ほほぉ・・・、仲間がいたのかよてめぇ?」

 若くてひょろっとした体系の男の声が耳を過ぎる。
 鋸を片手に卑しそうな笑みを浮かべて、びくびくと怯えるセルナの前に立っていた。

 「・・・単刀直入に言う、セルナを返せ」

 レトは鋭い声で男に言い放つ。
 だが返ってきた反応は、想像もつかなかったものだ。

 「あぁ・・・いいぜぇ?、こんなんで良ければなぁ」

 男は簡単に、セルナを差し出してきた。
 今まで何度も追いかけてきたであろう少女を、たった一言で解き放った。
 何か策略でも…。

 「そんなんで良ければ・・・だがなぁ?」
 「お前・・・何考えてんだよ」
 「さぁーなぁ?俺だっていらねぇよ、そんな屑」
 「だ、ダメです・・・!!!」

 セルナは、その小さな声で精一杯叫んだ。
 震える腕から大量の汗を流し、全力で首を横に振る。

 「え・・・」
 「私と一緒にいちゃ・・・だ、め・・・・っ!!!」

 涙ぐみながらも、セルナはそう言った。
 レトとロクは、同時に男の方に顔を向ける。
 
 「てめぇ・・・、今まで散々セルナに何してきたんだよ」
 「あぁ?知らねぇーなぁ、だって俺は考案者だし」
 「ふざけないで!!あんた達のせいでセルナがずっと怖い思いしてんきたんだから!!!」
 「ふざけてねぇよ、ただ俺達は欲したんだよ」
 
 くっくっく…っと不適な笑みを浮かべて男は高笑いをする。
 狂ったような青い瞳を輝かせ、不気味な声をあげた。
  
 「次元師よりつえぇっていう—————名誉がなぁッ!!!!」
 「・・・!!?」
 「いいだろ?俺は次元師よりつえぇんだぜ?人間を超越してんだよ!!!!」
 「・・・・笑えるな、お前」
 「・・・あぁ?」
 「その腐った脳天———————————」

 
 狂った男に向かって、

 2人の義兄妹は拳を翳した。

 
 「「180度回転させてやるよ————————————————ッッ!!!!」」


 男に向かって2つの拳が襲いかかった。
 その衝撃により鈍い音が鳴り響いた後、男は口から吐血した。

 「ぐ、はぁ・・・!!?」
 「もう許してやらない———ッ!!!」
 「超越だと?そんな事して楽しいのか、てめぇ!!!」
 「・・・くっくっく・・・・」
 「・・・!?」
 「楽しいねぇ・・・、やっぱ次元師はそうじゃなくっちゃなぁ———————ッ!!!」

 烈火の如く男は2人に向かって走り出した。
 流石噂に聞いていた通り、身体能力はズバ抜けているようだ。
 
 「ぐはぁ!!?」
 「・・・おいおいどうしたぁ・・・?盛り上がんねぇなぁ次元師!!!」
 「雷撃ィィィィ—————ッ!!!!」

 男がレトの頬に拳を振るった瞬間、横の方から雷の塊が襲いかかってきた。
 だがそんなものはものともせず、男は安易に避けてみせた。

 「え・・・っ!?」
 「甘い、甘いぜぇ次元師・・・、もっと楽しませろよ・・・」
 「ったく・・・調子乗りやがって・・・・っ」
 「レト・・・、どうするの?」
 「——————————————最終手段、だな」

 レトはロクに向かって微笑んだ。
 手の甲で口から吐き出した血を拭い、レトは再び立ち上がる。
 狂った男は未だ笑い続けていて・・・その不気味な笑みに少し肩が震えてしまう。

 「・・・おい、どうしたぁー?」
 「・・・・分かった」
 「次元師様ぁー?どうしましたぁー?」
 「・・・あぁ?うっせぇな・・・てめぇに勝つ最終手段使うんだよ」
 「はぁ・・・、最終手段だぁ?」
 「あぁ—————————、分からせてやるよ、次元師が最強って事をな」

 レトとロクは2人で頷き合い、目を閉じ、お互いの右手、左手を隣で合わせた。
 そしてゆっくりと指を折り曲げ、絡ませ———————、息を吸う。

 「「両次元発動————————————」」

 「・・・・———!?」
 
 「「雷斬———————————ッ!!!!」」

 レトの両手には金色の雷を纏う両手剣が収まっていて、ロクはぺたりと座り込む。
 そしてそのまま壁に寄りかかり、呟いた。
 
 「・・・今回は任せたよ、我が義兄っ」


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