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ハイキューBL!
日時: 2015/06/13 22:43
名前: くるる (ID: rd7NbV2E)

初めまして。くるると申します。このスレを見て頂きありがとうございます。
最近、ハイキューにはまってしまい、
「月菅やっほい!」と思ったのがキッカケです。
どうでもいいですね。書けるのが、これです。

・月菅
・影月
・月影
・月山
・木赤
・黒大
・菅大
・及影
・及岩
・黒月
・及月

うん...誰も見ないな。お付き合い頂けたら幸いです。それでは宜しくお願い致します。

Re: ハイキューBL! ( No.385 )
日時: 2015/06/21 19:22
名前: くるる (ID: 6Nc9ZRhz)


はなまつ

冷たく肌を刺すような雨が降り出した。驟雨だ。
急いで屋根のあるところまで来るけれど、一向に止む気配は無い。どうしたものかと溜息を吐く。 横にいる彼は溢れる雫など気にも留めずに、降り続ける雨を見ていた。肌から垂れる雫は何だか涙の様で、少しだけ怖くなった。あの儚げな瞳から溢れるものは美しく、儚く、脆く、なんと残酷なものだろうか。
「花?どした」
「、泣いてるかと、思った」
惚けたまま言った。微かな声は彼に届いているらしく、笑って何でだよ、と返した。だって、こちらを覗きこむ彼の顔があまりにも綺麗で、目が離せなかった。
「あ〜、にしても、これ。どうすっかな」
「こんな雨降ると、思わなかったし、な」
たどたどしい言葉で、彼の顔を直視したまま返す。少し焼けている肌とか真っ黒で癖のある髪とか、触れれば崩れてしまいそうな瞳とか。どれも綺麗で、俺には不釣り合いな彼。そんな彼が、俺を愛してくれているのだ。俺の前だけに見せる笑顔も不貞腐れた様な顔も、全部俺だけが知っていること。
誰にも見せられない、見せたりなんかしない。
「....あれ、松。風邪?震えてるけど」
「あー...、ちょっと寒い。咳も出るし、なんかクラクラする」
「立派な風邪じゃん...。俺のブレザー着て」
「えっ、いいよ。花が風邪ひく」
現在進行形で風邪の彼には言われたくない。
半ば強引にブレザーを羽織らせる。それでもいい、と頑なに拒否をするので、それを頑なに拒否した。最終的に彼が折れてくれ、渋々ブレザーを羽織った。
「なんだよ、そんなに嫌だった?」
「嫌じゃなくて、何ていうか、花の匂いがして、その、」
嬉しい、なんて。そんなに顔を赤らめながら言われたら理性が保てなくなるのを彼は知っているのだろうか。
「松、今日俺ん家きて」
「やだよ、変なコトするじゃん」
「...しない、とは、言いきれない...」
うぐっ、と言葉に詰まる俺を見て彼はさも可笑しそうに笑う。先程から滴り落ちる雫が、彼が着る薄い布にへばり付く。色っぽくて、艶やかなその姿は、どこか愁嘆している様で。
「松、やっぱ俺ん家行こう。こっから近いし」
「まぁ、いいけど。濡れたまんまも気持ち悪いしな」
了承を得て、急いで家に向かう。
さほど距離は無いので、走れば数分で着いた。
「あ、花の親とかは?」
「俺ん家親あんまり帰ってこなくてさ。多分今日も」
あぁそうなんだ、と納得の返事が後ろから聞こえる。深くまで詮索してこない辺り、彼らしいなと少し微笑んだ。
部屋に着くと、真っ先にタオルを渡した。そうして自分の部屋着を彼に投げ渡すと少しサイズが小さかったらしい。少し、いや大分ムカついたけれど、もう今では着なくなっているであろう父親のものを私てやった。これまたムカつくくらいにぴったりだ。親父、松はお前より大きかった。ついでに髪の量も松の方がフサフサ。気にすんな、どうせ皆禿げる。
などとふざけたことを思いながら彼をまじまじと見る。やはり彼は美形の分類に入るのだろう。色っぽい雰囲気があり、男子と女子の間で話題に上がった事がある。
「なに?」
「んー。松ってエロいなーって」
「いやなんで...。花もじゃん...」
「俺が言ってるのは雰囲気。たまに見せる仕草がエロい」
ほら、今首を傾げている所とか。
「よく分かんないけど...?」
「まぁ分かんないでいーよ。で、さ。松」
「ヤんないよ」
「俺何も言ってなかったし...。合ってるからいいけどさー」
確かに明日も学校はあるし、何より朝練がある。腰を痛めて部活はしたく無いのだろう。実に彼らしい真っ当な理由だ。部活愛してんなーとか思ってちょっと悲しくなった。
「もう帰る。これは洗濯してから渡すから。サンキューな」
「松ー...、抜くだけでもダメ?」
「ダメ。絶対それだけじゃ済まないし」
「分かったよ...、わかりましたー!」
不貞腐れて、そっぽを向く。彼は溜息をついて、俺の前まで来た。座り込み、ベットに座る俺より小さい彼は俺を見上げる形になっている。
「花、またすればいいじゃん」
「今がいい」
「何その変な理由.....。っわ、あ、はな?」
見上げる彼の襟元を掴みキスをした。
舌を絡めようとするけれど彼はいつまで経ってもこれが苦手で、精一杯息をしながら舌を絡めてくる。あぁ何だか、愛しくて。
「ん、ふ、ぁ、はな...っ、ん」
我慢が利かなくなっているのか、胸板を叩かれる。抵抗する力を失った彼は、淫らで、いやらしい。
「キスだけで我慢するから...、今度はさせて?」
「分かった、から...」
彼は俺から離れると別れの挨拶を告げて、足早に出た。
未だ熱を持つ唇。彼の感触がある肌。何より、彼の姿を捉えたこの目がいつまで経っても俺を縛り付けるのだ。

彼のあんな姿、俺にだけ見せてくれればいい。

(日照雨の様な彼に見合う紫陽花を)


end
もうすっかり梅雨です

Re: ハイキューBL! ( No.386 )
日時: 2015/06/26 18:42
名前: くるる (ID: uumkjDES)


くろつき

誰にも頼らない。そうすれば、借しも作らないし作られない。一人、とあとやけに後ろをついてくる彼さえいれば良かった。
けれど、出会ってしまった。面倒くさくて、変化に敏感で、優しくて、何を考えているのかなんて分からない彼に。気になって、惹かれて、愛し合って。
まさかそんな関係になれると思わなかった。気持ちを押し留めておくつもりだったのに。
ぽつりと、彼に対する思いを呟けば、彼は照れくさそうに笑って、俺も、と。
あぁ、何、なんなの、この、やけに恥ずかしくてふわふわして、悪くないかも、と幸せになるこの感じ。いや、違う。そうではなくて。
手も繋いだ。キスもした。性行為だってした。これで子供でも出来たら、と何度かその考えが頭をよぎる。
「けーい、何考えてんの?」
「別に...」
「お前、分かりやすいんだよ。ほら、話してみな?」
こうやって、優しく手を差し伸べてくるから、縋ってしまうんだ。きっと一番辛いのは貴方なのに。こんなこと話したら、多分貴方は自分を責めるから。泣きそうな笑顔でごめん、とでも謝るのだ。そんな姿を見たいわけじゃない。やけに優しい笑顔で、声で、慰めて欲しいんじゃない。硝子細工でも触るような弱々しい腕で、抱き締めて欲しいんじゃない。
だから、まだ、そんな貴方を見れるほど、受け入れるほど僕は大人じゃないから。まだ待っていてください。
「ほんと、なにも無いですから」
「蛍、嘘つくなって」
「....言ったら、多分あなた死ぬデショ?」
俺といるくらいなら、と。僕のことを想って笑顔で死んでしまうかもしれない。自意識過剰かもしれないけれど、貴方はそれ程のことをしそうだから。
「死ぬ、って、なに、が、」
「言っても死にませんか?」
「や、待って。何がなんだか分かんねぇ...」
「....黒尾さん...、抱いて」
力強く、激しく。遠慮なんてしなくていいから、なんならいっそのこと、死ぬ間際まで抱いたっていい。今はただ、貴方の愛が欲しいから。
「...抱く?」
「お願いです。優しくしなくていいから」
急かすように喋ると、安心させる為なのか貴方はまずキスをした。
相手の舌が歯列をなぞっていく。焦れったい。無理矢理舌を捩じ込ませて、水音が響いた。
「ん、けい....」
「なんですか...っ、ふ」
「死なないよ、俺は。だから、話して...?」
いつまでも、どこまでも貴方は優しくて。それが時に耐えられなくて。きっと貴方は僕を安心させようと、笑って、安心させる為の言葉をくれるんでしょう?
だけど、そんなものはいらない。嘘みたいな笑顔も、言葉も。僕は貴方が欲しいんです。心も体も。
「俺のこと、信じられない?」
「信じてます...。だから、話せないんです」
貴方を信じているから、多分貴方が消えてしまったら、死んでしまったら、それは僕にとって裏切りになる。そしたら僕は、貴方を憎んで、恨んで、泣いて、泣いて。
だから、まだ、ダメなんだ。
「まだ、待ってください...。いつか話すから...」
いつかなんて、もしかしたら話さないかもしれないのに。
貴方はそれを分かっている。
「うん、わかった...」
それでもこうして、優しい微笑を浮かべるのは、優しい声音で語りかけてくれるのは、どうしてですか?

















そうしてかれらは死にました。



かれはなにもはなさず、ふれず。
もうひとりも、ふれず、はなさず。



えがおで、死にました。






ずっとにせものなかんけい。





それをわかりながらも、かくしてごまかして。





しあわせだとおもいこませて。





_____そうしてかれらは死んだのです。








えんど

Re: ハイキューBL! ( No.387 )
日時: 2015/06/26 23:22
名前: みい (ID: 1DXeiWDK)

( 'ω' )・・・





( ´'ω' ` )ウルッ






(´;ω;`)ブワー




何ヶ月も…くるるの…小説…読ま…なかったか…ら




いつも以上に感動できるよーーーー゜(゜´Д`゜)゜

Re: ハイキューBL! ( No.388 )
日時: 2015/06/28 21:45
名前: くるる (ID: iNxht3Nk)


牛大

らしくない、と言われた。プレー中でのミスや、手足の痙攣。何だか嫌な予感がして、滅多に行くことのない病院へと足を向けた。
嫌な予感、というのはどうにも当たることが多い。ああ、どうか、当たっていませんように。なんて、やはりらしくない神頼みをしながら。

死ぬ、と言われた。淡々と何でもない様に。それは患者を落ち着かせる為なのだろうけど、そんなものは逆効果だった。途切れ途切れに聞こえてくる医者の言葉に耳を傾けながら、自分に対する叱責を投げかけた。もうそんなこと、今更無駄なのだけれど。
どうやら植物状態になるらしい。時期はいつだか分からない。今かもしれないし、ずっと後かもしれない、と。植物状態になったら、死ぬまで眠り続けて、もう目を覚ますことは無い。それはもう、彼の笑顔を見れないことを指していた。

泣きじゃくる母を宥め、落ちつかせた後で、彼に電話をかけた。

『もしもし』

「あぁ、大地か。俺だ」

『おお、若利。どうしたんだ?珍しいな』

嬉しいと言わんばかりの声が返ってくる。今からあのことを話すとなると若干気が引けた。けれど、彼には一番に知ってもらいたいのだ。嘘は吐きたくなくて、全部本当のことを話したい。

「俺はどうやら、死ぬらしい」

あぁ、こういうことを言う時は重苦しい声を通り越して、どこか淡々となるものなんだな、と、一人納得した。

『なん、の、じょうだん』

対する彼は動揺を隠せない様子で問いかけてくる。
その時の彼の表情が容易く想像できて、胸の辺りが苦しくなった。彼は泣くのか。当たり前だろうな。あの堅物と言われる母でさえ泣いていたのだから、自分とはまるで真逆の彼なんて泣き叫ぶだろう。
一先ず医者に言われたことをそのまま話すと、彼からは適当な相槌が返ってきて冷静なその対応に少し驚いた。

「お前、は、泣かないのか」

『泣き、てぇけどっ...お前が泣いてないんだから、泣け、ない...泣かない...ッ』

その声はもう、ほとんど泣いているんじゃないか、と聞けばうるさい、なんて言われて次に鼻を啜る音がした。こういう時、どうしたらいいのだろう。交友関係なんてあまり持たない。ましてや恋人なんて、今までもこれからも彼だけだ。これから、なんてあるのかわからないけれど。あぁそう言えば、恋人が泣いている時どうしたらいいのかと女子達が談話していた気がする。抱きしめる、やキスをする、は今では出来ない事だ。それなら、と、もう一つ思い出した。口にするのは何だかとても恥じてしまいそうだ。それでもここでは、言うべきなのだろうと、自分の中の何かがそうさせた。

「大地、なあ、大地、」

『な、に』

「愛してる」

たった五文字をゆっくりと踏みしめるように。

『.....』

何故だか反応がなくて、不安に思う。
もう一度言ってみると、やはり反応がてんで無くて、名前を呼んでも微かな息遣いが聞こえるだけだった。

「大地、愛してる。愛してる、大地」

『わ、分かったから。ちょ、待て』

「なら何故、なにも言わない」

『だ、って、お前、こんな、タイミングで...っ』

糸がプツンと切れたように彼は泣いた。電話越しに聞こえる嗚咽が、声が、鼻を啜るその音が、荒くなる息が。
こんな時に思うのは不謹慎なのは分かっているけれど、艶っぽさを帯びていた。

『わか、とし』

「なんだ」

『俺も、愛してる』

へへ、と微笑み交じりに出されるその言葉はその言葉は何だか良く分からない気持ちになった。

「...むず痒い」

『おめーが言ってきたんだろ』

今度は声を立てて笑う彼の表情を想像して一先ず安堵した。いつも思うが、彼にはやはり笑顔が似合う。彼の笑顔にどれだけ救われたのか分からない。彼の言葉に、どれだけ一喜一憂しただろう。彼のその姿を見られるだけでどれだけ喜悦しただろう。こんなにも愛しくて、こんなにも見ていて哀しくなる者は初めてで、いつもどうしたら良いのか分からなくなる。
こんなにも頭の中では彼が思い浮かんでくるのに、掴めない、触れられない。そんなもどかしさがあって、胸を更に苦しませた。こんなにも会いたい、と願うなんてどれだけ彼に執着しているんだ、と失笑する。それで多分、会いたいという気持ちが強くなるだけ。

『会いたい、なぁ』

言ったのは自分ではなく、彼。しみじみと何かを物語るように呟くその声は、触れれば壊れてしまいそうな儚さがあって、ともすればここから消えてしまいそうで。
だから、何かを言わなければと思い出た声は珍しく裏返った。

「おれ、....俺もだ」

『珍しいな、裏返るなんて。安心しろよ。お前の迷惑になるような事はしないからさ』

あぁもう、違う。違うのだ。
言いたい事が上手く言えない。行動で表わしたいけど目の前には彼がいない。どうしたら、彼に伝わるのだろう。正直なことを話そうとしても、言葉がまとまらない。それなら、と、口をついて出た言葉は俺も彼も予想を越えていた。

「何処かへ、行かないか。遠いところに」

いつ眠ってしまうのかも、分からないから。どうせなら最期くらい彼といたい。いつ果てるかも分からぬ身なのだから。...あぁ、随分我侭を言ってしまった。こんなの聞き入れて貰えるはずがないのは分かっている。さぁ、早く、取り消さなければ。

「悪い、今のは」

『行こう。静かな所がいい。...あっ、もちろんお前が良かったら』

「....は」

『静かなところは嫌か?そういうの好きだと思ったんだが』

「いや、待て。何で...?」

どうして、彼は、

『会いたいけど、そういう我侭言えないし...。だけど、良かった。お前も一緒で』

当たり前だ。いつもお前を見てきたのだから。

そんな言葉は喉の奥にしまって、代わりに顔に熱が集まる様な感覚に襲われた。彼はいつも俺を喜ばせる。彼といると心地良くて、自分は今幸せなのだと感じることが出来る。この時間がいつまでも、続いてくれるのだと、信じていた。それが当然だと思っていた。
神は信じない。運命も偶然もない。けれど、もし、もしそんな夢みたいな話があるなら。

______口も目も鼻もいらない。

______ただ、彼を抱きしめるこの体だけは。

______彼といる、という感覚だけは置いていってくれないか。


それさえあれば、他は何もいらないから。





「静かな所が、いいな」

『お、そうか!良かった』





大事な気持ちは仕舞いこんで、今は彼とのこの時間を楽しみたいと切に願うばかりだった。



(愛の逃避行)






続くんです


みい

お久しぶりです!久しぶりのお客様に心が踊りまくりです
かっ、かんどっ、え!?←
最近暗い話書いてばっかりだから楽しい話書きたいなーとか思ったらまた暗い話...!いやほんと、ね。
コメントありがとうございます。また暇なときにちらっと覗いて見てください。

Re: ハイキューBL! ( No.389 )
日時: 2015/06/30 23:12
名前: くるる (ID: OiQJLdzt)


今日だけ、今日だけは愚痴みたいな独白みたいなのを、
どうか許してください。




空気が凄く読めるね、と言われたことがあった。いや、今もたまに言われる。そう話しかけてきた彼女はとても素敵な女性だ。気さくで相談しやすくて、けれどどこか心に闇のようなものを抱えている様に思える。そんな彼女に、言われた。
何の気にもなしに言ったその言葉が、何だか胸を締め付けるのだ。
空気が読めるのではない。人の顔色を伺って、焦って、焦って、失敗して、恐くなる。そんな怯えた奴なのだ。

可愛い、と、綺麗だと言われたことがあった。そう言ってくる者は複数いたが、義務づけられている様な周りの雰囲気に合わせて言ってくる者がいた。その者に私は何もかも劣っていたのだ。体格も頭脳も顔も性格も人望も何もかも。全部、全部私が欲しかった。こんな体だから、皆とは圧倒的に違うものがあって。そんな自分を酷く恨んだ。どうして私だけ、と。

私はきっと、最低なんだ。汚いのだ。
こうすれば自分の評価はどうなる、と無意識の内に考えて気付いた時に後悔をして。けれど、そうしなければ生きれないと思った。
四歳、五歳くらいだろうか。父と母が離婚した。父の仕事に対する態度が母の心に火を付けた。あの時の光景は、覚えている。新しい家に越してきた。荷物の整理をしている時父から電話がかかってきた。母の表情はどんどん厳しくなり、もう電話しないで、と叫んだ。そんな空気の後母は私に携帯を寄越した。そのとき何故母が私に渡したのか分からない。分からぬまま、電話越しにいる父の声に耳を傾けた。父の声は案外普通で、あぁなんだ、よかった。なんて。そう安心していたのだ。
その直後である。父から酷く小さな声で、ごめん、と。謝るくらないなら謝罪をする程の責任を感じているのなら、どうして、何で別れた。どうして態度を改めなかった。けれど昔の私はただ涙を堪えて、うん、と頷いただけ。ここで泣いたら父も母も酷く悲しむと思ったから。ここで泣いたら母はきっと自分を責めて、多分私のことも少なからず恨むかもしれないから。私はその頃から、我慢と、自己防衛の術を覚えた。

それでもうまく出来ないんだから、多分これが、精一杯。

何もできなくてごめん。
こんな性格でごめん。
こんなに、ダメな子でごめん。
私のせいで貴方たちを下げるようなことばかりしてごめん。
面倒くさい奴でごめん。
こんな下らない事を皆様の前で話してしまってごめんなさい。



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