二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ポケットモンスター 星と旋風の使徒
- 日時: 2017/01/28 12:25
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078
どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。
※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。
これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。
それでは、よろしくお願いします。
登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342
プロローグ >>1
シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390
決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399
非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5
- http:// ( No.330 )
- 日時: 2016/07/07 10:02
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
>>マルガリータさん
久々にコメントいただきまして、ありがとうございます。
まぁその辺あたりから徐々に更新頻度が怪しくなってきましたからね。
物語でいうとそれほど進んでないです。
この一年間は多忙な日々が続き、一時期はカキコの存在を忘れていたこともありましたが、ようやく落ち着いてきたので、また頑張っていこうと思います。
私もまたそのうちそちらに伺いますね。ありがとうございます。
- Re: 第百七十九話 星砕 ( No.331 )
- 日時: 2016/07/08 10:48
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: iS81xPxh)
「アルデッパ、凍える風!」
「プラネム、ダイヤブラスト!」
アルデッパが冷気を込めた凍える風を放ち、対してプラネムは青白く煌めく爆風を放って凍える風を防ぐ。
「アルデッパ、パワーウィップ!」
爆風に紛れてプラネムに近づき、アルデッパは両手から長い蔓を伸ばすが、
「見えてるぞ。プラネム、サイコバーン!」
プラネムは溜め込んだ念力を爆発させて衝撃波を起こす。
鞭のような蔓の一撃は、衝撃波に阻まれ、プラネムに届かない。
「熱風だ!」
さらにプラネムは灼熱の風を起こすが、
「アルデッパ、ハイドロポンプ!」
アルデッパが口から大量の水を噴射し、熱風を貫通し、プラネムに激流を浴びせる。
アルデッパも熱風を浴びるが、受けたダメージはプラネムの方が高い。
「もう一度行きますよ! パワーウィップ!」
アルデッパの両手から蔓が伸び、鞭のように振り下ろされる。
「ちっ、プラネム、サイコバーン!」
吹き飛ばされながらも、プラネムは念力の衝撃波を放つ。
念力と二本の蔓がぶつかり合うも、衝撃波が破られてしまう。威力は削いだものの、プラネムは二本の蔓に叩きつけられる。
「アルデッパ、メタルニッパー!」
攻撃の手を緩めず、アルデッパが大きな口を開く。
無数の牙を鋼のように硬化させ、プラネムに噛み付く。
「構うな! プラネム、サイコバーン!」
岩肌に牙が当たった瞬間に、プラネムが周囲へと念力の衝撃波を放つ。
口の中に衝撃波を叩き込み、アルデッパを吹き飛ばす。
「プラネム、熱風!」
アルデッパに向けてプラネムはさらに灼熱の風を放つ。
「ならばアルデッパ、床へハイドロポンプ!」
真下へとアルデッパは大量の水を放つ。
水は床に当たって跳ね返り、アルデッパの目の前に水の壁を作り、熱風を遮断する。
「プラネム、壁ごと吹っ飛ばせ! ダイヤブラスト!」
プラネムが水の壁に近づき、周囲を爆発させて煌めく爆風を起こす。
水の壁を崩し、その後ろにいるアルデッパも吹き飛ばす。
そのつもりだったが、
「甘いですね。アルデッパ、パワーウィップ!」
アルデッパは上空に浮遊し、爆風を躱していた。
両手の蔓を伸ばし、上からプラネム目掛けて振り下ろす。
「メタルニッパー!」
両手の鞭が直撃し、吹き飛ばされるプラネムに対し、アルデッパは口を開き、硬化させた牙を剥く。
「その手は通用しねえぞ! プラネム、サイコバーン!」
プラネムが体内に念力を溜め込む。
アルデッパが噛み付いた瞬間に、念力を爆発させて衝撃波を起こし、吹き飛ばす。
だが。
「そうくると思いましたよ! ハイドロポンプ!」
牙が突き刺さる直前、大きく開いたアルデッパの口から大量の水が噴射される。
水柱が直撃し、なす術なくプラネムは吹き飛ばされ、
「まずった……! プラネム!」
ケケが引っ掛かったと気付いた時には、既にプラネムは戦闘不能になっていた。
「ディザソル、十万ボルト!」
「プラネム、怒りの炎!」
ディザソルが放つ高電圧の電撃を、プラネムは荒れ狂う炎で相殺し、
「スプラッシュ!」
周囲に水を纏った無数の岩を浮かべ、ディザソルへと撃ち出す。
「ディザソル、冷凍ビーム!」
対してディザソルは冷気の光線を放ち、岩を纏う水を凍りつかせ、
「続けてぶち壊す! 岩を足場に使うんだ!」
床を蹴って飛び出す。
氷の岩を足場に使って飛び回り、プラネムを撹乱させ、
「鬱陶しい! プラネム、焼き払って! 怒りの炎!」
プラネムが炎を放とうとした瞬間、
「そこだ、ディザソル!」
一瞬の隙を見計らって、ディザソルが額の鎌を叩きつけ、プラネムを吹っ飛ばす。
「続けていけ! ディザソル、サイコカッター!」
「ぐぅっ、プラネム、立て直すわよ! ストーンエッジ!」
ディザソルが念力を纏った鎌を振るい、念力の刃を飛ばすが、プラネムは体勢を崩しながらも無数の尖った岩を撃ち出す。
無数の岩は念力の刃を破壊し、ディザソルにもいくつか突き刺さる。
「ダメだったか。ならディザソル、十万ボルト!」
身体中から電気を発し、ディザソルは高電圧の電撃を放つが、
「プラネム、ストーンエッジ!」
プラネムの周囲に白い光が迸る。
光は無数の岩を形作り、一斉に射撃され、電撃を打ち破り、さらにディザソルを狙う。
「ディザソル、ジャンプだ!」
大きく跳躍し、ディザソルは無数の岩を回避。
「怒りの炎!」
「サイコカッター!」
上空のディザソルを撃墜しようと、プラネムは憤怒の感情の如く荒れ狂う業火を放ち、ディザソルは念力を額の鎌に纏わせ、鎌を振り下ろして念力の刃を飛ばす。
ディザソルは燃える炎を浴びてしまうが、念力の刃は炎を貫いて進み、プラネムの顔面を切り裂く。
「今だディザソル! ぶち壊す!」
白い体毛に残る黒い煤も気に留めず、ディザソルはプラネムとの距離を一気に詰める。
「プラネム、来るわよ! スプラッシュ!」
ディザソルを迎撃すべく、プラネムは水を纏った無数の岩を飛ばすが、
「ディザソル、躱して突き進め!」
猛スピードで、しかし的確にディザソルは岩を躱していく。
鋭い爪を携えた前脚の渾身の突きが、プラネムを吹っ飛ばした。
「くっ……! プラネム、まだよ! ストーンエッジ!」
「遅いぜ! ディザソル、十万ボルト!」
吹き飛ばされたプラネムが動くよりも早く、ディザソルの放つ高電圧の電撃がプラネムを捉えた。
「ああっ、プラネム!」
キキの声と共に、プラネムは今度こそ力尽き、目を回して戦闘不能となった。
巨大な氷塊が、ホムロソクを覆い隠す。
氷塊が溶ければ、そこには倒れたホムロソクがいるはずだ。
そう、ラピスは考えたのだが。
「ホムロソク、火炎放射!」
氷塊の中心が瞬く間に溶解し、そこから灼熱の業火か噴き出し、プラネムを燃やす。
「プラネム、逃さないで。氷塊の穴にストーンエッジ」
炎を受けてもプラネムは怯まず、氷塊に空いた穴へと無数の尖った岩を撃ち込む。
しかし、
「どこを狙っている? ホムロソク、シャドーボール!」
セイラの声が響く。
直後、炎に紛れて氷塊から抜け出していたホムロソクが黒い影の弾を放ち、プラネムを吹き飛ばす。
「……っ、火炎放射に紛れて抜け出したのね、見逃したわ。プラネム、まだやれるかしら」
ラピスの言葉に応えてプラネムは再び浮上し、赤い瞳を点滅させる。
「プラネム、反撃よ。スターフリーズ」
プラネムが冷気を集め、巨大な星型の氷塊を作り上げるが、
「砕きなさい」
直後、氷塊が音を立てて砕け散る。
砕けた氷塊は無数の星型の氷となり、氷の星群がホムロソクに一斉に襲い掛かる。
「ホムロソク、サイコキネシス!」
ホムロソクは強い念力を発して無数の氷を止めようとするが、いかんせん数が多すぎる。
全てを止めることは出来ず、ホムロソクは氷の星の雨を浴びる。
「ホムロソク、熱風!」
灼熱の風を放つホムロソクに対し、
「プラネム、連続でスターフリーズ」
プラネムは立て続けに巨大な星型の氷塊を撃ち出す。
氷塊は熱風の前に溶かされるが、次第に熱風の勢いは弱まっていき、
「ストーンエッジ」
ホムロソクの放つ熱風が途絶える瞬間を狙って、プラネムが無数の岩の刃を撃ち出す。
攻撃直後で避けられず、ホムロソクに無数の岩が突き刺さる。
「プラネム、スターフリーズ」
再びプラネムは星型の氷塊を作り、砕き、無数の氷の星群を降らせる。
「ホムロソク、サイコキネシス! 壁を作れ!」
ホムロソクは再び強い念力を操り、今度は念力の壁を作り上げる。
氷の礫が次々と念力の壁にぶつかるが、どうにか全て防ぎ切った。
「ふふ、ようやく立て直せたな。ホムロソク、反撃だ! シャドーボール!」
体勢を整えたホムロソクが、両手から影の弾を放出する。
「プラネム、スターフリーズ」
対してプラネムは再び巨大な星型の氷塊を作り上げる。
今度は影の弾を潰すべく、氷塊をそのまま撃ち出すが、
「ホムロソク、サイコキネシス!」
ホムロソクが強い念力を起こす。
念力を掛ける対象は、自分で放った影の弾。
シャドーボールを操り、巨大な氷塊を避けさせ、その後ろにいるプラネムに二発のシャドーボールを命中させる。
「ふふ。ホムロソク、火炎放射!」
さらにホムロソクは灼熱の業火を噴き出す。
迫り来る氷塊を貫き、さらにシャドーボールを受けて体勢を崩したプラネムを炎に飲み込む。
「っ、ホムロソク、炎を払って。ストーンエッジ」
プラネムの周囲に光が迸り、体を覆う炎が吹き飛ばされる。
白い光は無数の尖った岩を形作るが、
「ホムロソク、熱風!」
プラネムが放った岩は、灼熱の暴風によって薙ぎ払われてしまう。
「ふふ。これで貴様のプラネムの技は全て攻略した。後は倒すだけだ」
「そう簡単に出来るのかしら。プラネム、熱風」
「ホムロソク、こちらも熱風だ!」
プラネムとホムロソクが同時に灼熱の風を放つ。
再び通路一帯に暴風が吹き荒れるが、
「スターフリーズ」
プラネムが巨大な星型の氷塊を放つ。
これほどの質量であれば、風に左右されずにホムロソク目掛けて突き進む。
対して、
「ホムロソク、サイコキネシス!」
ホムロソクは強い念力を操り、星型の氷塊の動きを掌握する。
「熱風で氷塊が小さくなっているな。この程度の大きさであれば押し返せる」
「へえ。ならプラネム、ストーンエッジよ」
跳ね返される氷塊に対し、プラネムは無数の尖った岩を放ち、氷塊を粉々に粉砕する。
が、
「ここだ。ホムロソク、シャドーボール!」
刹那、氷塊のすぐ後ろにいたホムロソクが両手から影の弾を放出する。
この距離からの一撃を躱す術はプラネムにはなく、プラネムは影の弾の直撃を受け、吹き飛ばされる。
「……っ!」
ラピスの目の前に落下し、プラネムは戦闘不能になった。
「ちょっと焦ったかしら。プラネム、お疲れ様」
プラネムをボールに戻し、ラピスは最後のボールを取り出す。
「天将の恐ろしさはこれからよ。夜天の魅せる闇に沈みなさい」
紫色の光を放つ二重の鎖が描かれた、夜天の切り札を。
- Re: 第百八十話 一閃 ( No.332 )
- 日時: 2016/07/16 20:46
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Ft4.l7ID)
レオとブレイズの戦いは、互角に進んでいる。
「オオイナリ、サイコキネシス」
「トゲキッス、サイコバーン!」
本来は実力的にはレオのトゲキッスの方が勝っているのだが、ブレイズのオオイナリは瞑想によって互角に立ち回っている。
オオイナリが強い念力を操って念力の波を放ち、トゲキッスは溜め込んだ念力を爆発させて衝撃波を飛ばす。
「トゲキッス、波動弾!」
念力同士が激突して巻き起こった爆煙の中に、トゲキッスは体内の波動を一点に集めた念弾を撃ち出す。
「集中しなさい、オオイナリ。煙から出てきた瞬間にシャドーボールです」
オオイナリの口元に黒い影が集まる。
「来ます!」
煙の中から波動弾が現れた瞬間、オオイナリが影の弾を放ち、波動弾を相殺するが、
「今だ! トゲキッス、エアスラッシュ!」
煙に紛れて浮上していたトゲキッスが、波動弾と全く違う方向から空気の刃を飛ばす。
「間に合うか……オオイナリ、サイコキネシスです」
オオイナリが念力を生み出すが、空を切る刃の方が速く、念力を操る前に刃に切り裂かれてしまう。
「トゲキッス、大文字!」
さらにトゲキッスが燃え盛る大の字型の炎をオオイナリへ撃ち込む。
しかし、オオイナリは眼前に迫った炎を吸い込み、食べてしまった。
「……しまった、そいつ貰い火か!
「ご名答、私のオオイナリの特性は貰い火です。残念でしたね、今の大文字、有効活用させていただきます」
ブレイズが不敵な笑みを浮かべ、
「オオイナリ、火炎放射」
口を開き、オオイナリが灼熱の業火を噴き出す。
「トゲキッス、躱してエアスラッシュ!」
放たれた炎を躱そうとするトゲキッスだが、思っていたよりも炎の攻撃範囲が広い。
直撃は避けたものの、翼の先を焦がされ、トゲキッスの体勢が崩れてしまう。
「サイコキネシスです」
その隙を逃さずオオイナリは強い念力を操り、滞空しているトゲキッスに念力を掛け、床へと落とす。
「決めましょうか。火炎放射」
床に叩きつけられたトゲキッスへ、オオイナリは荒れ狂う灼熱の業火を噴き出す。
「っ、やられてたまるか! トゲキッス、真下に波動弾だ!」
床に倒れたまま、トゲキッスは真下、つまり床へと波動の念弾を放つ。
技を撃ち出した反動により、トゲキッスの体が僅かに浮く。
「今だトゲキッス、飛べ!」
大きく羽ばたき、トゲキッスは間一髪で宙へ舞い上がる。
次の瞬間には、トゲキッスが先ほどまで倒れていたところを荒れ狂う炎が飲み込んだ。
「逃がしませんよ。オオイナリ、火炎放射!」
「貫け! トゲキッス、エアスラッシュ!」
上空のトゲキッスを見上げて、オオイナリは灼熱の業火を放つ。
対してトゲキッスは思い切り羽ばたき、空を切り裂く空気の刃を飛ばす。
空気の刃は灼熱の炎の中を突き進み、オオイナリの顔面に直撃した。
しかし、トゲキッスも灼熱の炎を正面から浴びてしまう。
刃を顔面に食らってオオイナリが倒れ、直後にトゲキッスも墜落し床に落ち、両者とも戦闘不能になった。
「トゲキッス、よく頑張った。戻って休んでてくれよ」
「ここまででしたか。オオイナリ、よくやりました」
レオとブレイズはお互いにそれぞれのポケモンをボールに戻す。
「瞑想を数回使って、さらに貰い火まで発動させたオオイナリの炎に負けないとは。驚きました」
「僕のトゲキッスの特殊攻撃は僕の手持ちでもトップクラスだ。そう簡単には打ち破れないぜ」
そして、両者が最後のボールを取り出す。
「頼んだぜ、ヘラクロス!」
「守護せよ、ハッサム!」
レオのポケモンはヘラクロス、ブレイズのポケモンはハッサム。
どちらも、物理攻撃力に優れる虫タイプだ。
「それでは行きましょうか。ハッサム、バレットパンチ!」
ハッサムが猛スピードで動く。
一瞬のうちにヘラクロスとの距離を詰め、弾丸のような連続パンチを繰り出す。
「ヘラクロス、受け止めろ!」
対してヘラクロスは防御の構えを取る。
体の硬さを生かし、ハッサムのバレットパンチを受け切り、
「メガホーンだ!」
長く硬い角をハッサムの腹の下にねじ込み、ハッサムを持ち上げ、軽々と投げ飛ばす。
「何という怪力……ならばハッサム、馬鹿力!」
投げ飛ばされて床に落ちたハッサムだが、即座に起き上がり反撃に出る。
パワーのリミッターを外し、渾身の力でヘラクロスに殴りかかる。
「ヘラクロス、もう一度メガホーン!」
対してヘラクロスは長い角を突き出し、ハッサムを迎え撃つ。
鋼の鋏と硬い角の一撃が、真っ向からぶつかり合う。
「エーフィ、サイコショック!」
エーフィが額の宝石から念力を発して実体化させ質量を持った念力を放つ。
「マンタイン、冷凍ビーム!」
対してマンタインは冷気の光線を放ち、念力を凍らせて破壊する。
「エーフィ、シャドーボール!」
「マンタイン、ハイドロポンプ!」
エーフィが黒い影の弾をマンタインへと飛ばすが、マンタインは大量の水を噴射し、シャドーボールを押し流す。
「ならばエーフィ、躱して電磁砲!」
跳躍して水柱を躱し、エーフィは額の宝石に電撃を溜め込むが、
「させねえよ! マンタイン、バグノイズ!」
マンタインが耳をつんざく超音波を放ち、空気を振動させて溜めた電撃を霧散させ、さらに超音波がエーフィの体力を削り取っていく。
「エーフィ、シャドーボール!」
ノイズを受けながらも、エーフィは額に影を集め、黒い影の弾を撃ち出す。
マンタインに直撃し、ノイズは止まる。
「どうやら、ノイズの発射中は動けないようだな」
「よく気付いたな。確かにノイズを止めないとマンタインは動けない。だけどマンタインは特防も高いし、シャドーボール如きじゃ致命傷にはならないぜ」
「ならば物理で叩いてやろうか。エーフィ、サイコショック!」
エーフィが念力を実体化させ、質量を持った念力をマンタインへ飛ばす。
「マンタイン、ハイドロポンプ!」
マンタインは大量の水を噴射して、実体化した念力を防ぎ、
「エアスラッシュ!」
大きなヒレを羽ばたかせ、空気の刃を飛ばす。
「刃ごと砕け。エーフィ、電磁砲!」
エーフィの額の宝石に電気が集まり、電気の砲弾が作り上げられる。
撃ち出された砲弾は空気の刃を粉砕し、その後ろのマンタイン本体に迫る。
「バグノイズじゃ間に合わねえな、だったらマンタイン、ハイドロポンプ!」
マンタインは大量の水を噴き出し、電気の砲弾をなんとか食い止める。
しかし、
「エーフィ、サイコショック!」
その隙を突いてエーフィは宙に浮かぶマンタインの真下に入り込み、実体化させて質量を持った念力を打ち上げる。
マンタインの腹部に念力が直撃し、空中でマンタインの体がぐらりと傾く。
「ちっ、マンタイン、バグノイズだ!」
ゆっくりと降下しながら、マンタインは耳をつんざく超音波を放つ。
「もうその技は効かんぞ。シャドーボール!」
ノイズを受けながらも、エーフィは黒い影の弾を撃ち出す。
マンタインの額に命中し、マンタインは押し戻され、ノイズは止まる。
「ならばこうするか。エーフィ、マンタインに飛び乗れ!」
エーフィが大きく跳躍する。
体勢を立て直したばかりのマンタインの背中に着地し、マンタインの上を取った。
「んだと!? マンタイン、振り落とせ!」
マンタインがヒレを激しく振り、上に乗ったエーフィを振り落とそうとするのだが、エーフィも中々離れようとしない。
「叩き落とせ。サイコショック!」
エーフィが念力を発生させる。
念力を実体化させて質量を持たせ、それをマンタインの額に叩きつける。
マンタインの巨体が撃墜され、床に叩き落とされる。
「とどめだ。電磁砲!」
エーフィの額の宝石から、電撃の砲弾が撃ち出される。
地面にうつ伏せになるマンタインの背に着弾し、マンタインの体全体に激しい電撃が走る。
マンタインは水・飛行タイプで、電気技には非常に弱い。いくら特防が高くとも流石に耐えきることは出来ずに、戦闘不能にされてしまった。
「ここまでか。マンタイン、よく頑張った」
リョーマはマンタインの頭を撫で、ボールに戻す。
「やっぱ天将第二位の称号は伊達じゃねえな。こないだの第三位と比べても明らかに実力が飛び抜けてやがるぜ」
少しずつではあるが、リョーマはトパズの強さの正体に気付きだした。
輝天のトパズは隙を見逃さない。普通のトレーナーであれば絶対に気付かないような隙でも、トパズは的確に突いてくる。
さらに彼のポケモンの並外れた能力、数多の戦場で培った圧倒的な戦闘経験。
そして、
「そんな相手に勝てるとしたら、こいつだけだよなぁ!」
そんな化け物を相手取っても、リョーマは全く恐れない。
寧ろ攻略するのを楽しむかのように、最後のボールを取り出す。
「行くぜ相棒! 出て来い、ブレイオー!」
リョーマの最後のポケモンは、勿論エースのブレイオー。天将第三位のラピスをして本物と言わしめるほどのポケモンだ。
「やはりブレイオーで来たな。その力を見せてもらおうか。エーフィ、リフレクター!」
「上等だぜ。ブレイオー、リーフブレード!」
一歩進み出るブレイオーの右手の刀が淡く光る。
次の瞬間には、エーフィがリフレクターを作り上げるよりも早く、刀がエーフィを切り裂いていた。
目にも留まらぬ一撃を受け、エーフィの体がドサリと音を立てて崩れ落ちた。
「……ほう。エーフィ、休んでいろ」
僅かに驚いたような表情を見せ、トパズはエーフィをボールに戻す。
「さあ、これで条件は五分だ。最後のエースを出してもらおうか」
「なるほど、ラピスが高く評価するだけのことはあるな。いいだろう、我が最後のポケモンで、全力を持って相手をしてやろう」
トパズが最後のボールを手に取った。二重に描かれた鎖の模様が、橙の光を放つ。
「輝天の明光を受けよ、マカドゥス!」
- Re: 第百八十一話 闇鎌 ( No.333 )
- 日時: 2016/07/13 18:52
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: RUUNG3Sd)
「キキ、貴方負けてしまったの?」
「姉貴だって負けてんじゃねえかよ」
自分たちを打ち負かした敵二人を目の前にしながら、姉弟は動揺一つしない。
「エフィシにーちゃん、こいつらどうするんだ?」
「決まっています。ここで縄についてもらう」
エフィシとホロが二人に詰め寄るが、キキとケケはまるで気に留めず、
「でもさ、ケケ。今回の任務は時間稼ぎだったわよね」
「ある程度時間は稼いだけど、トパズ様はまだ戦ってるぜ」
そんな訳で、とケケが続けたその直後。
ガタン! と天井から鉄のシャッターが降り、最上階への通路を塞いでしまう。
「私たちが戦ってる間に、ソライト様がここのシステムをハッキングしてくれたのよ」
「最上階まで辿り着きたけりゃ、このシャッターを壊していくことだな」
シャッターの向こう側から、キキとケケの声が聞こえる。
「っ、しまった!」
「逃さないぞ! ディザソル、ぶち壊す!」
ホロのディザソルがシャッターへ攻撃するが、シャッターはびくともしない。
「本来は火事などを防ぐための強固なセキュリティドアですからね、そう簡単には破れないでしょう。仕方がありませんが、別の道から行きましょう」
「オッケー、わかったぜ」
最後の最後で姉弟に一杯食わされ、やむなくエフィシとホロは引き返す。
お互いの一撃が激突するが、
「ハッサム、退きなさい」
競り合う途中で、素早くハッサムは後退し、体勢を立て直す。
「ヘラクロス、瓦割り!」
翅を広げ、ヘラクロスが飛翔する。
一気に接近し、ハッサムの頭上から固い角を振り下ろす。
「ハッサム、シザークロス」
両手の鋏を交差させ、ハッサムはヘラクロスの角を防ぐ。
「バレットパンチです」
角の勢いが緩んだところに、ハッサムは弾丸の如き連続パンチを放ち、ヘラクロスを押し戻す。
「まだ行きますよ。ハッサム、燕返し!」
ヘラクロスの動きが止まったところに、ハッサムが迫る。
刀身のように白く輝く鋏を、ヘラクロスへと突き出す。
「ヘラクロス、辻斬り!」
ヘラクロスの鋭い爪が光を纏って伸びる。
ハッサムが刀を振るうように二本の腕による攻撃を繰り出してくるが、それをヘラクロスは両手の爪で防ぎ切った。
「今だヘラクロス、瓦割り!」
間髪入れずにヘラクロスは硬い角を思い切り振り下ろし、ハッサムの脳天に叩きつける。
「なかなかやりますね。ハッサム、退きなさい」
一旦ブレイズの元まで下がり、ハッサムは体勢を整える。
「なかなかの動体視力です。私のハッサムの燕返しを、全て見切るとは」
「パワーだけが僕のヘラクロスの取り柄じゃないってことさ」
ニヤリとレオは笑い、
「ヘラクロス、次は岩雪崩!」
ヘラクロスはハッサムの頭上から無数の大きな岩を落とす。
無数の岩がハッサムの動きを封じてしまうが、
「それは効きません。ハッサム、馬鹿力」
次の瞬間には、無数の岩は粉々に砕け散ってしまう。
「もう一度馬鹿力です」
「だったら、メガホーンだ!」
ハッサムが床を蹴って飛び出し、渾身の力を込めて鋼の鋏を振り下ろす。
ヘラクロスも前方に飛び出し、硬い角を突き出す。
双方の全力の一撃が激突し、火花を散らすが、
「ヘラクロス!」
床にしっかりと爪を食い込ませ、ヘラクロスがさらに角の力を込め、ハッサムを突き飛ばした。
「っ、やはりパワーでは劣りますか。ならばハッサム、バレットパンチ」
鉄砲玉のようにハッサムが飛び出し、弾丸のような目にも留まらぬ連続パンチを繰り出す。
「ヘラクロス、辻斬りだ!」
連続パンチを受け切ったヘラクロスの爪が光を纏って伸びる。
「ハッサム、シザークロス」
しかしハッサムの鋼の鋏によって防がれ、
「燕返しです」
ハッサムの脚が刀身のような光を放ち、ヘラクロスの脇腹を蹴飛ばす。
「ハッサム、もう一度シザークロスです」
さらにハッサムが両手の鋏を構え、ヘラクロスを追う。
鋏を交差させ、X字型にヘラクロスを切り裂く。
「ヘラクロス、瓦割だ!」
対してヘラクロスは硬い角を叩きつけ、ハッサムの鋏を何とか受け止める。
「ヘラクロス、メガホーン!」
「ハッサム、退きなさい」
ヘラクロスが角でハッサムをすくい投げようとするが、ハッサムは後ろに跳び、素早く身を退く。
「だったらそのまま突っ込め!」
翅を広げ、ヘラクロスが飛び立つ。
硬い角を突き出し、一気にハッサムとの距離を詰める。
だが、
「ハッサム、捕まえなさい」
角が当たる寸前で、ハッサムが横に逸れる。
そのまま、頑丈な鋼の鋏でヘラクロスの角を挟み、ヘラクロスを捕らえた。
「馬鹿力です」
右の鋏でヘラクロスを捕まえたまま、ハッサムが左の鋏を振り上げる。
「夜天の闇に蠢け、ネクロシア!」
ラピスの切り札、ネクロシアが現れた。
真っ赤に血走った目は赤い残光を引き、鉤爪や鎌は鋭く悍ましい。
「これは……ホムロソク、ここまでよくやってくれた。後は戻っていろ」
ネクロシアを見て、セイラはまだ戦えるはずのホムロソクをボールに戻した。
「あら、懸命な判断ね」
「見た瞬間に確信した。私のホムロソクが弱いとは微塵も思っていないが、間違いなくそのネクロシアには勝てない。ここは私もエースを出させてもらう」
セイラが最後のボールに手を掛ける。
「こいつに勝てるか? 出て来い、ヒョウカク!」
セイラの最後のポケモンは、勿論エースのヒョウカク。
「じゃあ行くわよ。ネクロシア、シャドークロー」
鉤爪を構えて、音も無くネクロシアが動く。
静かに、しかし一気にヒョウカクに近づき、影を纏った黒い爪を振るう。
「ヒョウカク、ドリルライナー!」
ヒョウカクは角を伸ばし、ドリルの如く回転しながら突撃する。
高速回転によってネクロシアの爪は弾かれ、
「ヒョウカク、ハイドロポンプ!」
ネクロシアが体勢を崩したところに、ヒョウカクが太い水柱を噴き出す。
「ネクロシア、スプラッシュ」
だがネクロシアはその場で宙返りしながら、水を纏わせた下半身の刃を振るい、水柱を両断してしまう。
「サイコバレットよ」
ネクロシアの周囲に念力が発生する。
念力は無数の念弾を形作り、一斉に射撃される。
「ヒョウカク、守る!」
対してヒョウカクは守りの結界を張り、念弾を完全防御し、
「吹雪だ!」
雪を乗せた暴風を起こし、周囲を纏めて吹き飛ばす。
「ネクロシア、ギガスパーク」
吹雪に吹き飛ばされるが、着地するとネクロシアはすぐさま反撃に出る。
掌に電気を集めて巨大な電撃の砲弾を作り上げ、それをヒョウカクへと投げつける。
「ヒョウカク、ドリルライナー!」
ヒョウカクは高速回転し、砲弾の中へと突っ込む。
ドリルライナーは地面技。ギガスパークの中心を貫いて撃ち破り、そのままネクロシアへ突撃する。
「ネクロシア、受け止めなさい。シャドークロー」
ネクロシアが両手に影の爪を纏う。
ドリルのように高速回転するヒョウカクを両手で挟み込んで受け止め、
「スプラッシュ」
水を纏った下半身の鎌を振り抜き、ヒョウカクを切り裂き、吹き飛ばす。
「続けなさい。ネクロシア、シャドークロー」
「っ、ヒョウカク、ハイドロポンプ!」
ネクロシアがヒョウカクを追って影の爪を突き出し、ヒョウカクは体勢を崩しながらも大量の水を噴き出す。
しかしネクロシアの爪の一振りによって大量の水は一発で吹き飛ばされ、
「スプラッシュ」
鎌に水を纏ったネクロシアが、その切っ先をヒョウカクへと向ける。
「させない。ヒョウカク、守る!」
鎌が振り下ろされる瞬間、ヒョウカクの周囲に守りの結界が張られる。
鎌の一撃はヒョウカクを捉えられず、逆に結界に弾き返されてしまう。
「ふふ。ヒョウカク、ハイドロポンプ!」
返す刀でヒョウカクが太い水柱を放ち、ネクロシアを押し流した。
「ヒョウカク、続けてドリルライナー!」
さらに角を伸ばして高速回転し、ヒョウカクはドリルの如く突撃を仕掛ける。
「ネクロシア、スプラッシュ」
しかしネクロシアもヒョウカクの突撃に合わせ、体勢を立て直して下半身の鎌に水を纏わせて素早く振り抜く。
ヒョウカクの角とネクロシアの鎌が激突し、直後に双方素早く退いて距離を取る。
「ネクロシア、ギガスパーク」
「ヒョウカク、ドリルライナー!」
ネクロシアが電撃の砲弾を投げつけ、それに対してヒョウカクは再び高速回転しながら突撃する。
電撃の砲弾を破って、さらにネクロシアへと矛先を向けるが、
「甘いわよ。ネクロシア、サイコバレット」
刹那、無数の念力の銃弾がヒョウカクに撃ち込まれ、ヒョウカクは逆に吹き飛ばされてしまう。
「むー、ポケモンの力はともかく、戦術的にはあのフード男に勝っているな。流石は第三位、攻撃こそ全てのあの第四位とは違うな」
「それはどうも。真っ向から相手を破壊するメジストとは違って、私はあらゆる角度から相手を闇に沈める。さあ、次はどこから攻めようかしら」
起き上がったヒョウカクの姿が、血走ったネクロシアの赤い瞳に映る。
- Re: 第百八十二話 雷獣 ( No.334 )
- 日時: 2016/07/16 20:46
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Ft4.l7ID)
ハッサムの鋏が、ヘラクロスの角を挟み、動きを止めた。
さらにもう片方の腕が振り上げられ、ヘラクロスの脳天を狙う。
だが。
「甘い! ヘラクロス、ハッサムを持ち上げろ!」
地に足をつけ、ヘラクロスは角を思い切り振り上げ、逆にハッサムを宙吊りにする。
「何と……ハッサム、離れなさい!」
ブレイズの口調に焦りが生じる。
ハッサムは慌てて鋏を離し、ヘラクロスから距離を取ろうとするが、
「遅えよ! ヘラクロス、投げ飛ばせ!」
ハッサムの腹の下に角をねじ込み、ヘラクロスは角の力だけでハッサムを持ち上げる。
そのままハッサムを力一杯真上にぶん投げ、
「メガホーン!」
翅を開き、真上にヘラクロスは飛び上がる。
硬い角を突き出し、ハッサムの腹を思い切り突き上げ、そのまま天井へと激突した。
「ッ! ハッサム!」
ブレイズが天井を見上げる。
ヘラクロスが離れると、ハッサムは重力に従って為す術なく落下し、床へと激突した。
ハッサムを見れば、既に目を回して、戦闘不能となっていた。
「……ここまでですか。ハッサム、よくやってくれました」
ハッサムの側に屈み込み、ブレイズはハッサムをボールへと戻す。
「さあ、僕のポケモンはヘラクロスも含めてまだ四体が戦える。これで終わりだぜ」
レオとヘラクロスがじりじりとブレイズへ迫る。
「ふむ、どうしましょう。ソライト様から通信が来ないということは、トパズ様はまだ戦っておられる。やはり貴方相手に私では力不足でしたか。それならば」
ブレイズが特に慌てる様子もなく、そう言った直後。
レオの真上から、鉄のシャッターが降りてくる。
「っ!?」
慌ててレオとヘラクロスは後ろへ飛び退く。
間一髪シャッターの下敷きになるのは避けられたが、ブレイズと分断されてしまった。
「ふふふ。ソライト様が既にここのセキュリティシステムをハッキングしています。最もここのセキュリティはこの無数の壁のみのようですが。私がここで貴方を待ち伏せしていたのは、私が敗北した場合にも確実に足止めするためだったのですよ?」
鋼鉄の壁の向こうから、ブレイズの声が聞こえてくる。
「くそっ、ヘラクロス、瓦割りだ!」
ヘラクロスが硬い角を壁に叩きつけるが、壁はびくともしない。
このまま壁を攻撃し続けて、仮に壊せたとして、その時にはもうブレイズはどこにもいないだろう。
「ちっ。残念だけど、迂回するしかないな。ヘラクロス、ありがとう。お疲れ様」
ヘラクロスを戻し、レオは別の道から最上階を目指す。
トパズの切り札、マカドゥスが、その姿を現した。
無数の結晶のように硬く鋭い岩が体を覆い、白く輝く鋭い爪や牙からはバチバチと電流が走る。
右眼は潰れているが、ほんの少しの弱さも全く感じさせない。
(遂に来やがったか。っ、こいつぁ凄え。こんなに強そうなポケモン、今まで見たことねえぜ。下手すりゃ先生のドラドーンより強えんじゃねえの、こいつ)
それでも、一歩も引かない。
恐怖は感じない。あるのは、目の前の相手を必ず倒すという強い意志のみ。
「燃えてきたぜ。こんなに強そうなポケモン、俺のブレイオー以外に初めて見た。こいつを倒せりゃ、もうほとんどネオイビルなんざ怖くねえ。ブレイオー、やってやろうぜ」
「ふっ、前回戦った小娘よりは、ずっと歯応えのあるバトルが出来そうだな。では行くぞ。覚悟は出来たか、『ブロック』副統率よ」
「その言葉、そっくりそのまま返すぜ。輝天将、覚悟はいいな?」
輝天将の口元が僅かに緩み、副統率が戦場に似合わぬ楽しげな笑みを浮かべる。
「マカドゥス、ダイヤブラスト!」
「ブレイオー、聖なる剣!」
刹那、両者の姿が消え、中央で青く煌めく爆発が起こった。
ブレイオーが放った神速の剣の一撃を、マカドゥスは爆発を起こして正面から受け止めたのだ。
「マカドゥス、磁力線!」
「ブレイオー、リーフブレード!」
マカドゥスが磁場を荒らし、磁力の波を起こす。
対するブレイオーは自然の力を帯びて淡く光る剣を携え、磁力の波を破ってマカドゥスに一太刀浴びせる。
「ダイヤブラスト!」
だがマカドゥスは動きを止めない。
剣に切り裂かれた、その瞬間に、マカドゥスの周囲が青く煌めく爆発を起こす。
「ストーンエッジ!」
しかしリョーマも油断はしていない。この反撃は想定内。
ブレイオーの周囲を白い光が渦巻き、無数の岩を形作る。
放たれた煌めく爆風は、無数の岩に防がれる。
「ほう、我がマカドゥスのスピードに追い付くか。やるではないか」
「おいおい、凄えな。ブレイオーの剣を食らって、顔色一つ変えねえとはよ」
相変わらず薄ら笑いを浮かべるトパズに対し、リョーマも余裕の口調を崩さない。
「マカドゥス、悪の波動!」
マカドゥスが全身から悪意のオーラを放出し、闇の力を纏った衝撃波を飛ばす。
「ブレイオー、リーフブレード!」
対してブレイオーは自然の力を纏った剣を一振りして衝撃波を両断し、
「メタルブラスト!」
左手を翳して、強大な鋼エネルギーの砲撃を放つ。
「マカドゥス、雷!」
それに対してマカドゥスは雷に匹敵する超高電圧の電撃を撃ち出し、砲撃を突き破る。
槍のような電撃がブレイオーに直撃するが、ブレイオーはしっかりと地に足をつけたまま耐えた。
「マカドゥス、ダイヤブラスト!」
そのブレイオーに対して、一瞬でマカドゥスが距離を詰める。
マカドゥスの青い岩肌から爆発が生じ、青白く煌めく爆風が放たれるが、
「ブレイオー、聖なる剣!」
ブレイオーは剣の鎬で爆発を受け止め、すかさず剣を横薙ぎに振るい、マカドゥスの岩の体を切り裂く。
「磁力線だ!」
その一瞬後に、マカドゥスの周囲の磁力が荒れる。
磁力の波が噴き出し、ブレイオーをリョーマの元まで押し戻した。
「マカドゥス、雷!」
マカドゥスが咆哮し、超高電圧の電撃が槍のように放出される。
「ブレイオー、聖なる剣!」
右手に携えた剣を突き出し、ブレイオーは雷撃を正面から突き崩す。
凄まじい音を立てて火花が散るが、それでも剣が雷撃を止めた。
(技は全部見えた。とりあえずはどの技も捌けることも確認。後はこっちの展開に引き込め。ペースを握られさえしなければ、勝てる!)
「ブレイオー、リーフブレード!」
「マカドゥス、悪の波動!」
ブレイオーが一歩踏み出し、次の瞬間には淡く翠に光る剣がマカドゥスを切り裂く。
だが直後、マカドゥスの周囲へ悪意に満ちた衝撃波が放出される。
「ダイヤブラスト!」
体勢を崩すブレイオーへ、マカドゥスは青白く煌めく爆発と共に爆風を起こす。
「やっべ、ブレイオー、メタルブラスト!」
咄嗟にブレイオーは床へと鋼エネルギーの砲撃を放つ。
砲撃の反動で遠くへと飛び、爆風を躱してマカドゥスとの距離を取る。
「危ねえ危ねえ。直撃は受けねえぜ。ブレイオー、ストーンエッジ!」
ブレイオーの周囲に白い光が迸り、無数の尖った岩を形作る。
「させぬ。マカドゥス、悪の波動!」
「どうかな! ブレイオー、リーフブレード!」
マカドゥスが悪意を込めた衝撃波を放つが、対してブレイオーは岩を周りに纏ったまま踏み出す。
周囲の岩を盾に利用し、悪の波動を防ぎつつ、自然の力を受けて淡く光る右手の剣がマカドゥスを切り裂いた。
「聖なる剣!」
「ならば、雷!」
さらにもう一歩ブレイオーが踏み込んでもう一太刀浴びせようとするが、マカドゥスの体中から超高電圧の電撃が放出される。
聖なる剣の一撃は電撃に阻まれ、
「ダイヤブラスト!」
間髪入れずにマカドゥスの周囲が青白く煌めく爆風と共に爆破し、ブレイオーを吹き飛ばした。
「ちっ、ダメか。それにしても」
ブレイオーが上手く着地して立ち上がったのを確認し、リョーマが口を開く。
「ダメージは入ってるんだろうが、仰け反るどころか怯みすらしねえとは恐れ入るぜ。そもそもどんな鍛え方すりゃそんな頑丈なポケモンが出来上がるんだよ」
「生憎、貴様らとは戦ってきた環境が違うのでな。負けても地位や財産しか奪われないお前たちの戦場とは違い、我の戦場は負ければ命を奪われる。そもそもの根本的なところが違うのだよ」
それこそ、我がマカドゥスの右眼が示すようにな、とトパズは続けた。
マカドゥスを見れば、全く変わらぬ闘志がその左眼の瞳に宿っている。
恐らく、右眼が無いことなど気に留めてすらいないのだろう。
トパズの言葉を受け止めた上で、
「だけどよ、俺だってただ『ブロック』に入って戦ってるわけじゃねえ。お前には及ばないかもしれねえが、それでも人生変える覚悟を持って今こうしてやってんだ。俺だって、ここで負けるわけにはいかねえんだよ」
リョーマもまた、自身の信念を貫く。
「だからこの勝負、絶対に勝たせてもらう! ブレイオー、聖なる剣!」
「なるほど、その信念は認めよう。だが、それでも我には勝てぬ。マカドゥス、雷!」
ブレイオーが剣を携えて踏み出し、マカドゥスが全身から超高電圧の電撃を放つ。
張り巡らされ襲い来る電撃を掻い潜り、ブレイオーが黄金に輝く剣の剣先をマカドゥスに差し向ける。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81